説明

コンクリート修復法

本発明は、コンクリートにおいて窪み、隙間または継ぎ目の一つを、シラン末端プレポリマー(「STP」)、および触媒、必要に応じて可塑剤、充填剤、顔料、乾燥剤、光安定剤、抗酸化剤、揺変剤および結合剤の1以上を含有するポリウレタンシーラントで充填する工程、およびイシアネート末端プレポリマーを含有するポリウレタンまたはポリウレアの被覆物をシラン末端プレポリマーポリウレタンシーラントに適用する工程を含んでなる、コンクリートを修復するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、コンクリート修復、より具体的には、イソシアネート末端プレポリマーを含有するポリウレタンまたはポリウレアの被覆物の適用前にシラン末端プレポリマーを含有するシーラントをコンクリートに適用する工程を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
速反応性ポリウレア被覆物は、「バグホール」と呼ばれる欠陥を有するコンクリート表面に直接適用することができない。バグホールは、コンクリートの導入中に、形成されたコンクリートの表面に閉じ込められた気泡から生じる規則的または不規則的な小さな空洞である。このようなバグホール欠陥は、新しいコンクリートおよび古いコンクリートのいずれにおいても見出し得る。バグホールを修復工程中にポリウレア被覆物でオーバーコートする際、該被覆物の下に閉じ込められたガスは、発熱性ポリウレア被覆物によって加熱される。膨張性ガスは、被覆物中にマッシュルーム形状または穴(泡がはじけた場合)を生じさせながら被覆物を泡立たせる。該穴は、パッチを当て、再被覆しなければならない。
【0003】
当技術分野の研究者達は、ポリウレアで被覆する前にバグホールを修復することを多く試みてきた。エポキシプライマー、ポリウレタン/ヒマシ油プライマーおよびラテックスプライマーは全て試されてきた。
【0004】
例えば、Primeaux,IIに付与された米国特許第5759695号および同第5962144号はいずれも、最初に適用されるプライマーの使用によって基材への向上した接着力を有するといわれるポリウレアエラストマー系を開示する。プライマーは、疎水性の第一級ヒドロキシル含有化合物(例えばヒマシ油)およびイソシアネートから作られる。Primeaux,IIは、ポリウレアエラストマー系を適用する前にプライマーが硬化するのを待つ必要はないと述べている。該プライマー系は、プライマーが、ポリウレアエラストマーを噴霧する前に基材に浸透する湿潤基材上に特に有用であるといわれている。
【0005】
Mishra等は、米国特許第6376579号において、コンクリートにおいて小さな孔をシールおよび充填するためのプライマーとして用いるために特別に設計されたといわれるエポキシ組成物を報告している。Mishra等は、その組成物が、コンクリートおよびプライマーコンクリートに適用されるポリウレア被覆物への良好な接着力を付与する低温硬化性の耐陥没性エポキシプライマーであることを記載している。そのエポキシプライマーは、40°F未満の温度で硬化性であるといわれ、また、2成分、成分Aおよび成分B(成分Aは耐結晶性の反応性エポキシ樹脂であり、成分Bはアミン硬化剤である)の混合剤である。得られるプライマーは、ASTM D 4541に従って測定した場合、200psi以上でコンクリートに結合する。
【0006】
McGrath,Jr.に付与された米国特許第6875500号は、表面移動を示す床および/またはクッション性硬質床のための軟質床張り系を開示し、これはエポキシまたはポリウレタンのプライマー、ポリマーイソシアネート活性剤と共にウレタングレードヒマシ油、ポリエーテル系ポリオール、錫触媒および増粘剤から構成されるプライマー上の二成分周囲温度硬化ポリウレタン膜基材ベース、および該基材ベース上のポリウレタンまたはポリウレアの芳香族または脂肪族の被覆物を含む。McGrath,Jr.の床張り系は、非常に頑丈であるが床と共に移動する軟質の非亀裂オーバーレイを提供するといわれている。
【0007】
プライマーは、表面多孔性を低減し、次いで適用された被覆物の水疱形成を低減することを示してきた。しかしながら、プライマーの薄い被膜は通常、バグホールの問題を解決しないが、これは、プライマーが穴を被覆し、基材の多孔性を低減するが、深い穴は通常、基材中に残存するからである。従って、被覆物の適用は、より深い穴にガスが閉じ込められたくぼみを未だ生じさせる。
【0008】
他の選択は、イソシアネート末端プレポリマーで作られたシーラントを用いて、コンクリートにおいてバグホールにパッチを当て、継ぎ目を充填することである。しかしながら、そのようなシーラントを湿潤コンクリートに適用する場合または高湿条件において用いる場合、該プレポリマーは水と反応すると考えられる。イソシアネート/水反応は、副生成物として二酸化炭素ガスを生成する。従って、シーラントの泡立ちまたは発泡が生じ得る。
【0009】
従って、復元および修復工程においてコンクリートを被覆またはシールするための方法についての必要性が当技術分野に存在する。該方法は、湿潤コンクリートおよび/または高湿環境においてバグホールを修復し、継ぎ目を充填することが可能であるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5759695号明細書
【特許文献2】米国特許第5962144号明細書
【特許文献3】米国特許第6376579号明細書
【特許文献4】米国特許第6875500号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明は、シラン末端プレポリマーから作られたシーラントでコンクリートを修理および修復するための上記の方法を提供する。本発明の方法を用いて、コンクリートにおいてバグホールにパッチを当ておよび/または継ぎ目を充填することができる。イソシアネート末端プレポリマー含有シーラントを用いる現在の方法を越える改良点は、シーラント中のシラン末端プレポリマーの存在によりガスの発生が無いことである。本発明の方法では、シーラントの中またはシーラントの下に泡立ちが生じない。
【0012】
本発明のこれらのおよび他の優位性および恩恵は、以下の発明の詳細な説明から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、コンクリートにおいて窪み、隙間または継ぎ目の1つを、シラン末端プレポリマー(「STP」)、および触媒、必要に応じて可塑剤、充填剤、顔料、乾燥剤、光安定剤、抗酸化剤、揺変剤および結合剤の1以上を含有するポリウレタンシーラントで充填する工程、およびイシアネート末端プレポリマーを含有するポリウレタンまたはポリウレアの被覆物をシラン末端プレポリマーポリウレタンシーラントに適用する工程を含んでなる、コンクリートを修復するための方法を提供する。
【0014】
本発明は、コンクリートにおいて窪み、隙間または継ぎ目の1つを、シラン末端プレポリマー(「STP」)、および触媒、必要に応じて可塑剤、充填剤、顔料、乾燥剤、光安定剤、抗酸化剤、揺変剤および結合剤の1以上を含有するポリウレタンシーラントで充填する工程、ポリウレタンシーラントを硬化させる工程、およびイシアネート末端プレポリマーを含有するポリウレタンまたはポリウレアの被覆物を硬化したシラン末端プレポリマーポリウレタンシーラントに適用する工程を含んでなる、コンクリートを修復するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明を、図を用いて、例示の目的であって、限定の目的でなく記載する。
【図1】図1は、種々の相対湿度水準でのシーラント密度を示す。
【図2】図2は、種々の相対湿度水準でのシーラント密度の変動性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を例示の目的であって、限定の目的でなく記載する。実施例中または特記する場合を除き、明細書中において、量、パーセンテージなどを表す全ての数は、用語「約」によって全ての場合において修飾されるものと理解される。
【0017】
本発明の方法においてシラン末端プレポリマー含有シーラントを用いる優位性の中には、湿潤コンクリートに適用することができ、および硬化中にガスまたは揮発性有機化合物(メタノールを除く)の発生が無いという優位性が存在する。他の優位性は、後被覆操作を始め得る前の時間が比較的短いことである。第三の優位性は、本発明の方法においてシラン末端プレポリマー含有シーラントが1成分物質であってよいことである。
【0018】
本発明の目的に有用なポリウレタンシーラントに含まれるのに適したシラン末端ポリウレタンプレポリマー(「STP」)は、例えば米国特許第5364955号、同第6001946号、同第6265517号、同第6545087号および同第6887964号に開示されている。シラン重縮合により架橋するアルコキシシラン官能性ポリウレタンは当業者によく知られている。この主題についての総説は、「Adhesives Age」、1995年4月、第30頁以降(著者:Ta−Min Feng、B.A.Waldmann)に見出し得る。本発明の方法に用いるための特に好適なアルコキシシランプレポリマーは、米国特許出願第2007/0055035号により製造し得る。
【0019】
シラン末端プレポリマー含有シーラントを適用しおよび硬化させた後、硬化したシーラントを好適には、当技術分野において知られているイソシアネート末端プレポリマーを含有するポリウレタンまたはポリウレアの被覆物でオーバーコートし得る。あるいは、イソシアネート末端プレポリマーを含有するポリウレタンまたはポリウレアの噴霧被覆物は、シーラントが完全に硬化する前に適用し得る。
【0020】
好適なポリウレタン被覆物は、イソシアネート末端プレポリマーと樹脂ブレンド成分との反応生成物から製造し得る。樹脂ブレンド成分は、ヒドロキシル末端ジオール、トリオールまたはポリオール、および/またはヒドロキシル末端鎖延長剤を含有する。該樹脂ブレンドは、添加剤、好適には1以上の触媒を含有し得る。ポリウレタン被覆物は、特許および科学文献に十分に記載された種々の方法によって製造し得る。
【0021】
好適なポリウレア被覆物は、イソシアネート成分および樹脂ブレンド成分の反応生成物から製造し得る。イソシアネートは、芳香族または脂肪族であってよく、モノマー、ポリマー、 準プレポリマーまたはプレポリマーであってよい。プレポリマー、または準プレポリマーは、アミン末端ポリマー樹脂、またはヒドロキシル末端ポリマー樹脂から製造することができる。該樹脂ブレンドは好適には、アミンおよび/またはアミン末端鎖延長剤を含有する。好適には、樹脂ブレンド成分は、触媒を含有しない。ポリウレアシーラントは、特許および科学文献に十分に記載された種々の方法によって製造し得る。
【0022】
シラン末端またはイソシアネート末端プレポリマーは、本発明の方法に有用なシーラントの製造のために、通常の可塑剤、充填剤、顔料、乾燥剤、添加剤、光安定剤、抗酸化剤、揺変剤または結合剤と、および必要に応じて他のアジュバント物質および添加剤と処方し得る。
【0023】
炭酸カルシウムは必要に応じて、好適には30〜70重量%、より好適には40〜60重量%の量でシーラント中に含ませ得る。炭酸カルシウムは、これらの値の任意の組み合わせの間の(上記の値を含む)範囲の量でシーラント中に存在し得る。
【0024】
シーラントに使用するための他の適当な充填剤の例として、カーボンブラック、沈殿ケイ酸、鉱物チョーク物質および沈殿チョーク物質が挙げられる。適当な可塑剤の例として、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、フェノールのアルキルスルホン酸エステルまたはリン酸エステルが挙げられる。揺変剤の例として、発熱性ケイ酸、ポリアミド、水素添加ヒマシ油から誘導される生成物、ならびにポリ塩化ビニルが挙げられる。有機錫化合物およびアミン触媒は、本発明の1−および2−成分シーラントの硬化反応のための適当な触媒として挙げることができる。有機錫化合物の例として、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビス−アセトアセトネートおよび錫カルボキシレート、例えばオクタン酸錫などが挙げられる。上記の錫触媒は必要に応じて、アミン触媒と組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0025】
本発明を以下の実施例によって限定することなく、さらに例示する。「部」および「パーセント」で示される全ての量は、特記しない限り重量であると理解される。以下のものを実施例に用いた:
〔プレポリマー〕
米国特許出願第2007/0055035号に従って製造された、高分子量ポリオールおよびイソシアナトプロピルトリメトキシシランの反応生成物であるシラン末端ポリウレタンプレポリマー、
〔可塑剤〕
UNIMOL BBとしてLANXESSから市販されているベンジルブチルフタレート、
〔シリカ〕
CAB−O−SIL TS−720としてCabotから市販されている、ジメチルシリコーン液体で処理して、表面ヒドロキシル基をポリジメチルシロキサンポリマーで置き換えたヒュームドシリカ、
〔充填剤〕
DRIKALITEとしてImerysから市販されている、重質炭酸カルシウム、
〔顔料〕
TRONOXとしてTronoxから市販されている二酸化チタン顔料、 TiO
〔触媒〕
DABCO T 12としてAir Productsから市販されているジブチル錫ジラウレート、
〔安定剤A〕
TINUVIN 292としてCiba Specialty Chemicalsから市販されているヒンダードアミン光安定剤(「HALS」)、
〔安定剤B〕
TINUVIN 1130としてCiba Specialty Chemicalsから市販されているUV安定剤、
〔湿潤剤〕
BORCHI GEN DFNとしてLanxessから市販されている湿潤剤、
〔シーラントA〕
PL Self Leveling Concrete Crack SealantとしてHenkel Corp.から市販されている、市販のイソシアネート末端プレポリマー含有シーラント、および
〔シーラントB〕
SIKAFLEX LM−15としてSikaから市販されている、市販のイソシアネート末端プレポリマー含有シーラント。
【0026】
実施例1
実施例1は、市販のイソシアネート末端プレポリマーを含有するシーラントおよびシラン末端プレポリマーを含有するシーラントについて湿度の影響を測定した。市販のシーラント(上記のシーラントA)は、製造業者によってイソシアネート末端プレポリマーから調製され、そのまま用いた。シラン末端プレポリマー(表Iに示す処方)を次のように処方したシーラント中にコンパウンドした。処方物の成分を、FlackTek Speed mixerに設置したプラスチック製FlackTekカップに入れた。該処方物を均質になるまで1800rpmでブレンドした。
【0027】
【表1】

【0028】
湿気硬化性シーラントのそれぞれの試料を4つの異なった湿度水準に設置し、得られるエラストマーの密度を測定した。各シーラントの試料を、4つのアルミニウム皿の1つに加え、皿の上端での水準に合わせた。各皿を4つの異なった湿度水準の環境の1つに設置して次のように硬化した。各シーラントの1つの試料を実験室に40%の測定湿度水準で設置した。各シーラントの第2の試料を、制御された50%相対湿度水準の部屋に設置した。各シーラントの第3の試料をシールした1ガロンのプラスチック製バケツに設置した。バケツは、100%湿度水準を想定して1クォート瓶の水を含有した。各シーラントの最後の試料は、通常の実験室条件下で2時間硬化させ、次いで水の下に沈めた。バケツは水が蒸発することがないようにシールした。全試料を3週間硬化させた後、これらの密度決定を行った。その結果を図1に図式的に示す。シーラントAの比重は製造業者によって1.09828として報告されていた。これは、68.563lbs/ftの密度と等しい。図1中のデータは、シーラントが水と接触する場合に密度が低下することを明確に示す。
【0029】
イソシアネート末端プレポリマーを含有するシーラントは、シラン末端プレポリマーを含有するシーラントよりはるかに湿度水準に敏感であった。得られたデータを、50%相対湿度データを標準として用いて図2として再描画した。評価できるように、図2は、イソシアネート末端プレポリマーを含有するシーラントがシラン末端プレポリマー含有シーラントよりはるかに湿度水準に敏感であることを示した。低湿度条件は、イソシアネート末端プレポリマー含有シーラントの密度を標準に対して12%の差で低下させた。高湿度条件は、標準に対して6%の差で密度を増加させた。イソシアネート基は、水と明確に反応し、二酸化炭素ガスを生じさせた。二酸化炭素ガスは、シーラントを膨張させ、密度を低下させた。
【0030】
シラン末端プレポリマー含有シーラント試料の密度は、この実施例では、わずか1%だけ変化した。1%の変動性はシーラントの密度においては、実験誤差による可能性が最も高い。
【0031】
実施例2
この実施例では、煉瓦基材において湿気硬化性樹脂を評価した。三穴煉瓦を基材として用いて、異なったシーラントのクラック充填特性を決定した。煉瓦は、アルミニウム皿に平らに設置することによって調製した。各穴のボトムインチを未硬化コンクリートで充填し、これを一晩かけて硬化させることによって、大きな「バグホール」を作った。煉瓦を水中に浸し、24時間後、該バグホールを3つのシーラントの1つで充填した。第1の穴をシーラントAで充填した。第2の穴をシーラントBで充填した。第3の穴を表IIに示すシラン末端プレポリマー含有シーラント処方物で充填した。表II中の成分を処方シーラントに調製した。シリカを除く表II中の成分の全てを、プラスチック製FlackTekカップに入れた。カップをFlackTek Speed mixerに設置し、内容物を、均質になるまで1800rpmでブレンドした。シリカをカップに添加し、内容物を、均質になるまで再び混合した。
【0032】
【表2】

【0033】
湿気硬化性プレポリマーを評価するために、煉瓦において穴を3つの異なったシーラントで過剰に充填した。過剰の各シーラントを、煉瓦の上面にわたって舌圧子を引くことによって取り除いた。シーラントを煉瓦の上面で平らにした。煉瓦を水の皿に設置したが、煉瓦の上面は水が流れない。
【0034】
3つのシーラント全てを別に行った。寸法変化は、シラン末端プレポリマー含有シーラント中に観測されなかった。シーラントは、膨張せず、煉瓦の表面で平坦のままであった。しかしながら、シーラントA(イソシアネート末端プレポリマー含有シーラント)は、膨張し、穴の外に膨れ出た。シーラントAは、樹脂中において湿気および閉じ込められた二酸化炭素と明らかに反応した。シーラントB(他のイソシアネート末端プレポリマー含有シーラント)はごくわずかに膨らんだ。
【0035】
実施例3
この実施例では、シラン末端プレポリマー含有シーラントおよびイソシアネート末端プレポリマー含有シーラントについて、基材として湿潤コンクリート敷石を評価した。高速メーソンリードリルで敷石に穴を開けることによって人工バグホールをコンクリート敷石中に作った。穴の径は、0.75インチ(0.75インチ深度)、0.5インチ(0.5インチ深度)、0.25インチ(0.75インチ深度)および0.125インチ(0.5インチ深度)であった。コンクリート敷石を水中に設置し、一晩水に浸した。敷石にブラシをかけて、汚れおよび緩んだコンクリートを取り除いた。コンクリート敷石は、使用するまで水中に沈めた。コンクリート敷石において穴をシーラントAまたは表Iに示すシラン末端プレポリマー含有処方物で充填した。敷石を5ガロンの手桶中に設置し、水を手桶に加えたが、敷石の上面は水で覆わなかった。シラン末端プレポリマー含有シーラントは、4つの穴のうち3つにおいて膨張せず、水準を維持した。該樹脂は最も小さい穴において隆起した。発明者は、本発明においては、樹脂が穴を完全に充填せず、閉じ込められた空気が樹脂を穴の外に押し出したと推定する。
【0036】
実施例4
この実施例では、速硬化性ポリウレタン被覆物によるシーラント処方物の後被覆の影響が存在するかどうか評価した。3つの敷石に予め開けられた穴を、シラン末端プレポリマー含有シーラントおよびシーラントAで充填した。シーラントは、2つの敷石中において、ポリウレタン被覆物を適用する前に24時間硬化させた。24時間後、発泡させる任意のシーラントは穴から既に膨れ出ていた。シーラントの1セットは、後被覆前に1時間だけ硬化させた。市販のポリウレタン噴霧被覆物(Bayer MaterialScience製BAYTEC SPR−156 D)は、Glass Craft変動比率複数成分噴霧機で敷石のいくつかに適用した。3つの煉瓦のそれぞれについてのデータを表III、IVおよびVに要約した。
【0037】
全体として、表III、IVおよびVには、シラン末端プレポリマー含有シーラントがコンクリート中で水によって影響されないことが示されている。イソシアネート末端プレポリマー含有シーラント(シーラントA)はコンクリート中で水と反応し、該シーラントは膨張した。表III、IVおよびV中のデータはまた、イソシアネート末端プレポリマー含有シーラントが最初の24時間で膨張することを示す。隆起したシーラントを後被覆することによって欠陥は隠されなかった。シーラント欠陥は、ほとんどの場合に被覆物「越しに読み取られる(read through)」。1時間の硬化後にイソシアネート末端プレポリマー含有シーラントを被覆することは、該シーラントが水と反応するのを妨げなかった。イソシアネート末端プレポリマー含有シーラントが水と反応する際、被覆物中で充填剤が膨張し、被覆物中に欠陥を生じさせるCOガスを放出した。この効果は、表Vにおいて敷石番号3からのデータに見ることができる。
【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
【表5】

【0041】
本発明の上記の実施例は、本発明を制限する目的ではなく、例示の目的で提供される。本明細書に記載された実施態様は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の方法で変形または修正され得ることは当業者には明らかである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって判定すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートにおいて窪み、隙間または継ぎ目の1つを、
シラン末端プレポリマー(「STP」)、および
触媒、
必要に応じて、可塑剤、充填剤、顔料、乾燥剤、光安定剤、抗酸化剤、揺変剤および結合剤の1以上
を含むポリウレタンシーラントで充填する工程、および
イシアネート末端プレポリマーを含有するポリウレタンまたはポリウレアの被覆物を、シラン末端プレポリマーポリウレタンシーラントに適用する工程
を含んでなる、コンクリートを修復するための方法。
【請求項2】
コンクリートは湿潤している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンクリートは、少なくとも40%の相対湿度を有する環境に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コンクリートは、少なくとも50%の相対湿度を有する環境に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コンクリートは、少なくとも90%の相対湿度を有する環境に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コンクリートは、100%の相対湿度を有する環境に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コンクリートは水中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
イソシアネート末端プレポリマー含有被覆物はポリウレタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
イソシアネート末端プレポリマー含有被覆物はポリウレアである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コンクリートにおいて窪み、隙間または継ぎ目の1つを、
シラン末端プレポリマー(「STP」)、および
触媒、
必要に応じて、可塑剤、充填剤、顔料、乾燥剤、光安定剤、抗酸化剤、揺変剤および結合剤の1以上を含むポリウレタンシーラントで充填する工程、
前記ポリウレタンシーラントを硬化させる工程、および
イシアネート末端プレポリマーを含有するポリウレタンまたはポリウレアの被覆物を、硬化したシラン末端プレポリマーポリウレタンシーラントに適用する工程
を含んでなる、コンクリートを修復するための方法。
【請求項11】
コンクリートは湿潤している、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コンクリートは、少なくとも40%の相対湿度を有する環境に存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
コンクリートは、少なくとも50%の相対湿度を有する環境に存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
コンクリートは、少なくとも90%の相対湿度を有する環境に存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
コンクリートは、100%の相対湿度を有する環境に存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
コンクリートは水中に存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
イソシアネート末端プレポリマー含有被覆物はポリウレタンである、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
イソシアネート末端プレポリマー含有被覆物はポリウレアである、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−534778(P2010−534778A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518203(P2010−518203)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/008847
【国際公開番号】WO2009/017619
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】