説明

コンクリート型枠の間隔保持具

【課題】 打設コンクリート壁面に形成されたセパレータのコーン除去跡の穴をモルタルの充填によって埋めた際に、モルタルが剥離、脱落するのを防止できるようにする。
【解決手段】 セパレータ1の両端部に、型枠の対向内面を受止して型枠間を一定の間隔でもって保持するコーン2、2を有する型枠の間隔保持具において、コーン2をコップ形状に形成している被覆部材3によって被覆しておき、コンクリートの打設、硬化後に型枠を撤去してコーン2から突出したセパレータ端部を折取り用溝5から折り曲げて切除し、その端部をコーン2と被覆部材3と共にコンクリート壁面から除去した際に、被覆部材3の除去跡によって形成された穴18の底部中央部から上記切除された残りのセパレータ端部を突出させた状態にし、この穴18内に充填したモルタル19とこの突出端部との結合力によってモルタルが剥離、脱落するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠間にコンクリートを打設することによってコンクリート壁等を形成する際に、型枠間を所定の間隔に保持するための間隔保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンクリート壁等のコンクリート構築物を構築するには、両端に螺子部を形成していると共にこの螺子部から内方に向かって一定の長さ間隔を存した部分に折取り用溝を形成し、且つ、この折取り用溝の外端にストッパを設けてなる棒状のセパレータと、内端から外端に向かって徐々に拡径した周壁を有し、且つ、この周壁の内端側にセパレータの端部に摺動自在に遊嵌して上記ストッパの外側の端面に係止する孔を形成していると共に外端を型枠の対向面保持用開口端縁に形成したコーンとからなる型枠間隔保持具を用い、この型枠間隔保持具を型枠間に配設してストッパによりセパレータの端部に受止されているコーンの開口端に型枠の対向面を当接させることにより型枠を所定間隔を存して対向させ、型枠に設けている孔を通じて型枠から外部に突出しているセパレータの端部の螺子部に締付金具を螺締させることによって型枠を固定したのち、これらの型枠間にコンクリートを打設している。
【0003】
そして、上記型枠間に打設したコンクリートが硬化した後に上記一対の型枠を撤去し、しかるのち、セパレータの端部を折取り用溝から切除してコーンと共に除去しているが、このコーンの除去跡にはコンクリート壁面に向かって開口した穴が生じるので、この穴にモルタルを充填することによって該穴を埋めている。しかしながら、穴壁に対するモルタルの付着力が比較的、弱いために、振動等によってモルタルが穴壁から剥離して脱落してしまう虞れがある。
【0004】
このため、特許文献1の第5図に記載されているように、セパレータの先端に螺子部を突設し、この螺子部に、截頭円錐形状に形成しているコーンの小径側端面中心部に設けている螺子穴を着脱自在に螺合させていると共に、コーンの大径側端面の中心部に先端部に螺子部を形成している杆部を突設してなるコンクリート型枠の間隔保持具が開発されている。
【0005】
このように構成したコンクリートの型枠の間隔保持具は型枠間に配設され、そのセパレータの両端螺子部に螺合しているコーンの大径側端面に型枠を当接、受止させることにより型枠を所定間隔を存して対向させ、型枠に設けている孔を通じて型枠から外部に突出しているコーンの杆部先端螺子部に締付金具を螺締させることによって型枠を固定したのち、これらの型枠間にコンクリートを打設している。
【0006】
そして、上記型枠間に打設したコンクリートが硬化した後に上記一対の型枠を撤去し、次いで、コンクリート壁面から突出している杆部を適宜な工具によって挟着してその軸芯回りに回動させると、コーンが一体に回動してセパレータの先端螺子部に対して螺退しながら抜き取られ、その抜き跡によってコンクリート壁面に形成された穴内に上記コーンを螺合させていたセパレータの先端螺子部が突出するので、この穴にモルタルを充填すると、モルタルがセパレータの先端螺子部に付着して剥離抵抗を発揮し、脱落を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭61−166047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このコンクリート型枠の間隔保持具によれば、セパレータの先端に螺子部を突設して、この螺子部に截頭円錐形状に形成しているコーンの小径側端面中心部に設けている螺子穴を着脱自在に螺合させていると共にコーンの大径側端面の中心部に先端部に螺子部を形成している杆部を突設しているので、コーンの大径側端面の中心部から突設している杆部を適宜な工具によって回動させることにより、セパレータの端部を折り曲げることなく、コーンをセパレータの軸芯方向に移動させて抜き取ることができるが、セパレータとは別体に型枠に設けている孔に貫通させるための杆部を設ける必要があると共にこの杆部の基端をコーンの大径側端面の中心部にセパレータと同一軸芯上にして固着し、且つ、コーンの小径側端面の中心部に螺子孔を設けなければならず、構造が複雑で製作費用が高くつくといった問題点がある。
【0009】
さらに、セパレータの先端螺子部にコーンの小径側端面の中心部に設けている螺子穴を螺合させることによって固定されているので、型枠面に当接させる開口端の向きを型枠の面に応じて自由に傾斜可能に構成している上記従来のコーンとは異なって、型枠を受止するコーンの大径側端面の向きを変動させることができず、そのため、その大径側端面を型枠面に均等に当接させることができなくて、偏った支持状態となる場合が発生するばかりでなく、壁面が傾斜したコンクリート構造物を築造する場合の型枠の保持具として使用できないといった問題点がある。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、型枠内に打設したコンクリートの硬化後に、セパレータの端部に設けている折取り用溝からそのセパレータの端部を折り曲げて切除し、コーンと共に撤去可能に構成している公知のコンクリート型枠の間隔保持具の構造を採用して、簡単な構成によりコーンの撤去跡のコンクリート壁面に形成される穴に、切除された端部に連なるセパレータ端を突出させることができ、穴に充填するモルタルとの付着力を増大させることができるコンクリート型枠の間隔保持具を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明のコンクリート型枠の間隔保持具は、請求項1に記載したように、両端に螺子部を形成していると共にこの螺子部から内方に向かって一定の長さ間隔を存した部分に折取り用溝を形成し、且つ、この折取り用溝の外端にストッパを設けてなる棒状のセパレータと、内端から外端に向かって徐々に拡径した周壁を有し、且つ、この周壁の内端側にセパレータの端部に摺動自在に遊嵌して上記ストッパの外側の端面に係止する係止孔を形成していると共に外端を型枠の対向面保持用開口端縁部に形成したコーンとからなるコンクリート型枠の間隔保持具において、このコーンの内外端間の幅よりも幅広く且つコーンを被覆し得る大きさに形成している周壁を有し、この周壁の内端側に上記セパレータに設けているストッパよりも大径のセパレータ挿通孔を形成していると共に、外端をコーンの開口端の外周縁に固着した開口縁に形成しているコップ形状の被覆部材をセパレータにおける上記ストッパから内方側のセパレータ端部に上記孔を遊嵌させた状態にして配設していることを特徴とする。
【0012】
このように構成したコンクリート型枠の間隔保持具において、請求項2に係る発明は、セパレータの両端部側に被覆部材によって被覆されているコーンを配設していることを特徴とし、また、請求項3に係る発明は、セパレータの一端部側に被覆部材によって被覆されているコーンを配設する一方、他端部側に、この他端部側に設けているストッパに係止した平座金を配設していることを特徴とする。さらに、請求項4に係る発明は、上記折取り用溝を周溝から形成し、ストッパをセパレータよりも大径の鍔状に形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、セパレータの端部に設けているストッパに係止したコーンを該コーンの内外端間の幅、即ち、セパレータの長さ方向の幅よりも幅広いコップ形状に形成している被覆部材によって被覆してこの被覆部材の開口端部をコーンの開口端部に被嵌させた状態で固着していると共に、この被覆部材の底部に相当する内端部に上記ストッパよりも大径のセパレータ挿通孔を形成し、このセパレータ挿通孔をストッパから内方側のセパレータの部分に遊嵌させているので、この間隔保持具によってコンクリート型枠を一定の間隔を存して対向させた状態で固定し、型枠間にコンクリートを打設、硬化させたのち、型枠を撤去し、次いで、コーンの係止孔からコンクリート壁面に向かって突出しているセパレータの端部を折取り用溝から切除したのちコーンと共に被覆部材を除去すると、除去跡の穴内に被覆部材のセパレータ挿通孔から折取り用溝までのセパレータ端部を突出させた状態にすることができ、従って、この穴内にモルタルを充填して仕上げを行う際に、モルタルが穴内に突設しているセパレータ端部に付着して剥離、脱落を防止することができる。
【0014】
さらに、被覆部材によって被覆されているコーンの係止孔はセパレータの端部に遊嵌していてその係止孔とセパレータの外周面との間に隙間が存在していると共に、コーンの周壁は係止孔から開口端に向かって拡開しているので、上記セパレータの端部切除時においてはセパレータの端部をコーンの内面に当接させることなく、係止孔を係止させているストッパを支点として該コーンの空間部内で折り曲げながら切除することができ、従って、コンクリート壁面を欠損させることなく切除することができる。
【0015】
また、本発明のコンクリート型枠の間隔保持具は、従来の型枠間隔保持具にコップ形状に形成している上記被覆部材を設けることによって構成しているので、構造が簡単で多量生産に適し、安価に提供できると共に、コーンを被覆している被覆部材の内端部に設けているセパレータ挿通孔は、セパレータの端部に設けているストッパよりも大径であるからコーンと一体的にセパレータを中心として傾動させることができて、型枠面にコーンの開口端面を全面的に均等に押し付けた状態にして型枠を安定的に且つ強固に保持することができ、さらに、壁面が傾斜しているコンクリート構造物を構築する場合においても、傾斜した型枠に応じてコーンが被覆部材と一体的に傾動して構築することができる。
【0016】
なお、コンクリート構造物の両側の壁面が打放しのままでよい場合には、被覆部材によって被覆されているコーンを、請求項2に記載したように、セパレータの両端部に設けておくが、いずれか一方の壁面をモルタル塗り等による仕上げ面にする場合には、請求項3に記載したように、その壁面側の型枠を保持する部材としてはコーンに代えて平座金を使用する。
【0017】
また、セパレータに設けている上記折取り用溝としては、請求項4に記載したように、セパレータの周方向に連続した一定深さを有する周溝としておくことが好ましく、この折取り用溝の開口端縁における外側の端縁から突設しているストッパとしては、一定径を有する鍔形状に形成しておくことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明コンクリート型枠の間隔保持具の分解斜視図。
【図2】その正面図。
【図3】縦断正面図。
【図4】使用状態を示す縦断正面図。
【図5】型枠を撤去した状態のコーン部分の縦断正面図。
【図6】セパレータの端部を折取りしている状態の縦断面図。
【図7】折取り跡の穴にモルタルを充填した状態の縦断面図。
【図8】本発明の別な実施形態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明すると、コンクリート型枠の間隔保持具は図1〜図3に示すように、一定長さの鋼棒からなるセパレータ1と、このセパレータ1の両端部に配設されてその開口端を型枠11に当接させることにより、型枠11を一定の間隔を存した状態で受止する薄肉金属板からなる碗形状に形成されたコーン2、2と、このコーン2を全面的に被覆してその開口端部の内周面をコーン2の開口端の外周面にカシメることによって一体に固着している薄肉金属板からなるコップ形状に形成された被覆部材3とから構成されている。即ち、セパレータ1とコーン2、2とからなる公知のコンクリート型枠の間隔保持具において、コーン2に被覆部材3を装着した構造を有している。なお、コーン2の開口端部の外周面に被覆部材3の開口端部の内周面を一体に固着させる手段としては、カシメに限らず接着剤、或いは溶接による固着やその他の固着手段を採用してもよい。
【0020】
セパレータ1は、その両端に螺子部4、4を形成していると共に、これらの螺子部4から内方に向かって一定の長さ間隔を存した端部外周面に周溝からなる折取り用溝5、5をそれぞれ形成してあり、さらに、折取り用溝5における外方側(セパレータ1の端部側)の周縁部に外径がセパレータ1の径よりも大径の一定の突出幅を有する鍔状のストッパ6を突設している。
【0021】
上記碗形状に形成されたコーン2は、底面中央部に上記ストッパ6の外径よりも小径でこのストッパ6に係止する係止孔7を設けていると共に、周壁2aをこの係止孔7を設けている底部側から先端の開口端側に向かって徐々に拡径した截頭円錐形状の周壁に形成してあり、さらに、開口端部をセパレータ1の軸芯に対して直角に外径方向に向かって屈曲させて型枠11を受止する一定幅を有するフランジ形状の口縁部2bに形成している。また、上記係止孔7をセパレータ1における上記螺子部4とストッパ6との間の端部に摺動自在に遊嵌させて底部側をセパレータ1の内方側(中央部側)に向け、口縁部2bをセパレータ1の外方側(端部側)に向けた状態にしてセパレータ1の端部上に配設している。従って、このコーン2の上記周壁2aは係止孔7を設けている内端から口縁部2bを形成している外端に向かって徐々に拡径した状態でコーン2をセパレータ1の端部上に配設している。
【0022】
このコーン2を被覆してその開口端部をコーン2の開口端部の外周面にカシメ等によって一体に固着している上記コップ形状に形成された被覆部材3は、その底部3cの中央部に上記ストッパ6の外径よりも大径のセパレータ挿通孔8を設けていると共に、この底部3cと開口縁3b間の周壁3aの幅を上記コーン2の周壁2aの幅よりも幅広くしてあり、従って、コーン2と一体にこの被覆部材3をセパレータ1の端部上に設けてその底部側をセパレータ1の内方側に向け、開口縁をセパレータ1の外方側(端部側)に向けた状態においては、コーン2の底部に設けている上記係止孔7からセパレータ1の長さ方向の内方に向かって一定の間隔を存した位置に上記セパレータ挿通孔8が設けられている。
【0023】
さらに、被覆部材3の周壁3aは、その外周面を底部側である内端から開口縁側の外端に向かって徐々に拡径した傾斜面に形成していると共に開口縁をコーン2の開口周縁部2bの内面に当接させた状態にしてその内周面をコーン2の開口端部の外周面にカシメ等によって固着している。
【0024】
このように構成したコンクリート型枠11の間隔保持具は、図4に示すように、所定間隔を存して対設している型枠11、11間に介在させて、これらの型枠11、11の対向部に内外面間に亘って貫設している支持孔11a 、11a にそのセパレータ1の両端部を先端螺子部4、4から挿入し、型枠11、11の対向面をセパレータ1の両端部上に摺動自在に設けているコーン2、2の口縁部2b、2bにそれぞれ当接、受止させると共にこれらのコーン2、2の係止孔7、7をセパレータ1の両端部に突設している鍔状のストッパ6、6にそれぞれ係止させることにより、型枠11、11間を一定の間隔に保持する。この際、型枠11、11の対向面が平行ではなく傾斜していても、その傾斜面に応じてコーン2を被覆部材3と共にストッパ6を支点として傾動させることができる。
【0025】
次いで、型枠11、11から外部に突出しているセパレータ1の両端螺子部4、4に締付金具12を螺締することによって型枠11を固定し、さらに、型枠11の外面にバタ材13を水平状態に添接して締付金具12に被嵌した押さえ金具14を該バタ材13に当てがい、締付金具12に設けている縦孔(図示せず)に楔体15を打ち込んでセパレータ1により一定間隔を存して対向している全ての型枠11、11を強固に固定する。しかるのち、型枠11、11間にコンクリートを打設すると、型枠11、11間のセパレータ1とコーン2、2を被覆している被覆部材3、3とはコンクリートに埋設された状態となり、この状態でコンクリートが硬化して一定厚みのコンクリート壁16が形成される。
【0026】
上記打設したコンクリートが硬化した後、上記楔体15、押さえ金具14、バタ材13、締付金具12を取り外し、しかるのち、一対の型枠11、11をコンクリート壁面から剥離して撤去する。そうすると、コンクリート壁16に埋設している被覆部材3、3によって被覆されたコーン2、2は、その口縁部2bを壁面16a と面一にしてその開口端を外部に向かって開口させた状態になると共にこのコーン2の係止孔7から該コーン2の中空内部の中心部を通じてセパレータ1の端部1aが図5に示すように、コンクリート壁16の壁面外に向かって突出した状態となる。
【0027】
この状態にして図6に示すように、セパレータ1の端部折取り用棒状体17を使用して、この折取り用棒状体17の先端部における先端面から所定深さまで設けている折取り用孔17a をコンクリート壁面16a から突出する上記セパレータ1の端部1aに被せて該端部1aをこの孔17a 内に受け入れた状態にしたのち、この棒状体17を操作してセパレータ1の端部1aを折取り用溝5から折り曲げることにより、この折取り用溝5から先端までのセパレータ端部1aを切断する。
【0028】
この際、折取り用溝5から突出しているセパレータ1の端部1aは折取り用溝5を支点として屈折するが、このセパレータ端部1aを挿通させているコーン2の係止孔7はセパレータ1に遊嵌していてその係止孔7とセパレータ1の外周面との間に隙間が存在していると共に、コーン2の周壁2bは係止孔7から開口端に向かって拡開しているので、セパレータ1の端部はこのコーン2の内面に当接することなくコーン2の空間部内で折り曲げて切断することができ、従って、コーン2を介してコンクリート壁面16a にセパレータ1の端部折り曲げ時の力が殆ど伝達されることがなく、コンクリート壁面16a を欠損させることなく切断作業を行うことができる。
【0029】
なお、セパレータ1の端部1aを折り曲げた際に、コーン2の係止孔7の内周面に当接する場合が生じるが、コーン2は薄肉金属板からなり、且つセパレータ1の端部1aに対する折り曲げ力は、係止孔7を上下方向に拗れさせる力として作用してその作用力をコーン2の周壁2bの弾性変形によって被覆部材3内で吸収させることができるので、被覆部材3には殆ど上記作用力は伝達する虞れはない。
【0030】
こうして、折取り用溝5からセパレータ1の端部1aを切断したのち、この端部1aを適宜な工具によって掴持して長さ方向に引っ張ると、セパレータ1の端部1aには、切断された折取り用溝5の外端縁から突設しているストッパ6が残存しているので、上記引張力がこのストッパ6を介して該ストッパ6に係止孔7を係止させているコーン2を引抜く方向に作用し、コーン2の開口端部外周面に開口端部内周面を一体に固着している被覆部材3がコーン2と共にコンクリート壁16から引き抜かれる。
【0031】
この被覆部材3を除去すると、その除去跡にコンクリート壁面16a に向かって開口した穴18が形成されると共に、それまでコーン2の係止孔7と被覆部材3のセパレータ挿通孔8間の空間部に設けられていたセパレータ1の端部1bが、穴18の底面中央部から該穴18内に突出した状態となって現れる。そして、図7に示すように、この穴18内にモルタル19を充填して穴18をモルタル19によって埋めると、モルタル19が上記セパレータ1の端部1bに付着して強固に結合し、穴18からの剥離、脱落を防止することができる。
【0032】
なお、以上の実施例においては、セパレータ1の両端部に、被覆部材3によって被覆されているコーン2を配設しているが、図8に示すように、セパレータ1の一端部側に被覆部材3によって被覆されているコーン2を配設する一方、他端部側に平座金20を配設したコンクリート型枠間隔保持具であってもよい。平座金20はセパレータ1の他端部に設けている折取り用溝5の外方側(セパレータ1の端部側)の周縁部に突設している鍔状のストッパ6にその中心部に設けている係止孔(図示せず)を係止させている。その他の構造については上記実施例と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0033】
1 セパレータ
2 コーン
3 被覆部材
4 螺子部
5 折取り用溝
6 ストッパ
7 係止孔
8 セパレータ挿通孔
11 型枠
16 コンクリート壁
17 壁面
18 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に螺子部を形成していると共にこの螺子部から内方に向かって一定の長さ間隔を存した端部に折取り用溝を形成し、且つ、この折取り用溝の外端にストッパを設けてなる棒状のセパレータと、内端から外端に向かって徐々に拡径した周壁を有し、且つ、この周壁の内端をセパレータの端部に摺動自在に遊嵌して上記ストッパの外側の端面に係止する係止孔に形成していると共に外端を型枠の対向面保持用開口端縁部に形成したコーンとからなるコンクリート型枠の間隔保持具において、このコーンの内外端間の幅よりも幅広く且つコーンを被覆し得る大きさに形成している周壁を有し、この周壁の内端側に上記セパレータに設けているストッパよりも大径のセパレータ挿通孔を形成していると共に外端をコーンの開口端の外周縁に被嵌、固着した開口縁に形成しているコップ形状の被覆部材をセパレータにおける上記ストッパから内方側のセパレータ端部に上記孔を遊嵌させた状態にして配設していることを特徴とするコンクリート型枠の間隔保持具。
【請求項2】
セパレータの両端部側に被覆部材によって被覆されているコーンを配設していることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート型枠の間隔保持具。
【請求項3】
セパレータの一端部側に被覆部材によって被覆されているコーンを配設する一方、他端部側に、この他端部側に設けているストッパに係止した平座金を配設していることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート型枠の間隔保持具。
【請求項4】
折り取り用溝は周溝からなり、ストッパはセパレータよりも大径の鍔状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート型枠の間隔保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−46973(P2012−46973A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190611(P2010−190611)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(592248570)株式会社 和 周 (1)
【Fターム(参考)】