説明

コンクリート構造体構築方法

【課題】作業の安全性の確保、作業時間、作業員の負担及びコストの軽減、資材量の増加防止を可能とするコンクリート構造体構築方法の提供。
【解決手段】第一工程で、作業員が、ロット3Aの内壁12上に、作業床用受け具32Bを設置し、第二工程で、作業床用受け具32B上に作業床34をクレーンで吊り降ろして支承させ、第三工程で、型枠の盛り替えとコンクリート打設を行って新たなロット3Bを形成し、第四工程で、作業床34上の作業員が、ロット3Bの内壁12上に、作業床用受け具32Cを設置し、第五工程で、作業床34をクレーンで傾斜させて吊り、作業床用受け具32Cをかわしながら上方へ吊り上げてから、作業床用受け具32Cの上に作業床34を降ろして支承させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の高さの複数のロットに分け、下から順番にロットごとに型枠を盛り替えてコンクリートを打設し、目的の高さのコンクリート構造体を構築するコンクリート構造体構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型のコンクリート構築物を構築するに当たっては、適切な高さの複数のロットに分け、下から順番にロットごとに型枠を盛り替えてコンクリートを打設し、目的の高さのコンクリート構造体を構築している。
ケーソンのような大型のコンクリート構造物の構築方法の一例を図10を参照しつつ説明する。
【0003】
ケーソン1は、内部に複数の内桝10を有しており、内桝10の内側の壁面を形成する内壁12と、ケーソン1の外側の壁面を形成する外壁14とを有している。ケーソン1を構築する際、外壁14及び内壁12を形成するための型枠18が必要である。このため、複数の型枠18を適宜組み合わせて、対向する型枠18同士の間に形成されるスペースにコンクリートを打設する。
【0004】
外壁14を形成するための型枠18は、多数のメタルフォームを組み合わせて平面を作り、この平面を縦ばた材と横ばた材で押さえたものである。内壁12を形成するための型枠18は、多数のメタルフォームを組み合わせて平面を作り、この平面を縦ばた材と横ばた材で押さえ、内面間にサポート30を突っ張って形を整えたものであり、予め地上で組み立てられる。
【0005】
既設ロットの内壁12上に、次ロットの内壁12を形成するための型枠18を支承する型枠用受け具36を設置し、この型枠用受け具36の上に、内壁12を形成するための型枠18を支承させる。
対向する型枠18同士は、それぞれの下部で既設ロットのコンクリート壁を挟んだ状態で、セパレータにより連結されており、コンクリート打設時の側圧に耐えるように構成されている。セパレータにはPコンが装着されており、Pコンによって対向する型枠18同士の間隔が所定の距離に保たれている。
【0006】
対向する型枠18同士の間に形成されるスペースに対し1ロットのコンクリート打設が終わると、或る時間を経てコンクリートが或る強度に達した後、サポート30を縮め、内壁12を形成するための型枠18を縮小し、脱枠する。なお、脱枠までに次の鉄筋を継ぎ足しておき、その後、内壁12を形成するための型枠18を次ロットの位置まで上昇させる。
【0007】
以上の操作を繰り返して行うことにより、目的の高さのケーソン1を構築する。
型枠用受け具36を既設ロットの内壁12上に設置する方法としては、以下の方法が考えられる(特許文献1参照)。
すなわち、図11に示すように、内壁12を形成するための型枠18の下部に、吊り足場44を取り付け、この状態で型枠18を上部四隅にてワイヤロープ38を介してクレーン40で吊り、そのまま所定の位置まで運搬する。次に、作業員が、クレーン40で吊られた型枠18の吊り足場44に乗って身を乗り出し、既設ロットの内壁12上に型枠用受け具36を設置する。
【0008】
しかし、ケーソン1の構築において、作業員をクレーンで吊って作業させることは、クレーン等安全規則第73条第1項の「やむを得ない場合等」には該当せず、認められない行為である。
そこで、上記の方法を用いる代わりに、既設のケーソン1の内桝10の内部に枠組足場を組み立て、作業員が枠組足場に登り、既設ロットの内壁12上に型枠用受け具36を設置することになる。また、作業員が、この枠組足場に登ってセパレータからPコンを撤去し、Pコンを撤去した後に残される穴を埋める。なお、Pコンを撤去した後に残される穴のことを単に「Pコンの穴」ということとする。
【特許文献1】特開平10−61177号公報(段落[0008]〜[0009])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ケーソン1の内桝10内は狭く、このような内桝10内での枠組足場の組み立て作業には時間がかかるとともに、作業員にかかる精神的及び肉体的負担が非常に大きくなる。また、ケーソン1は複数の内桝10を有しているため、必要な枠組足場の総数が多くなってしまう。さらに、各内桝10において、足場をロットごとに確保する必要があり、必要となる足場の総面積が非常に広くなってしまう。したがって、枠組足場に必要な資材の量が多くなり、コストも大きく嵩んでしまう。
【0010】
また、ケーソン1のサイズによっては、枠組足場に必要な資材の総重量が非常に重くなる。しかし、ケーソン1をフローティングドックの甲板上において構築する場合、フローティングドックの積載能力の観点から足場に必要な資材の総重量が制限されてしまう。このため、必要な資材の総重量に応じて大きな積載能力を有するフローティングドックを使用しなければならなくなり、作業コストが嵩む原因となる。また、枠組足場に必要な資材の総重量を減らすため、同じ資材を異なる内桝10で順番に使いまわす等することとすれば、作業時間が非常に長くなってしまう。
【0011】
本発明は、上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、作業の安全性を確保でき、作業時間、作業員の負担及びコストの軽減が可能となり、必要な資材量の増加を防止可能なコンクリート構造体構築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、その課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、所定の高さの複数のロットに分け、下から順番にロットごとに型枠を盛り替えてコンクリートを打設し、目的の高さのコンクリート構造体を構築するコンクリート構造体構築方法であって、既に形成されている既設ロット内に入った作業員が、当該既設ロットの内壁に、作業床を支承可能な作業床用受け具を設置する第一工程と、第一工程で設置した作業床用受け具の上に、前記作業床をクレーンで吊り降ろして支承させる第二工程と、第二工程後に、前記既設ロットの上に型枠を立て込み、コンクリートを打設し、型枠を脱枠し、前記既設ロットの上に新たなロットを形成する第三工程と、前記作業床の上に乗った作業員が、第三工程で新たに形成された既設ロットの内壁に、前記作業床を支承可能な作業床用受け具を新たに設置する第四工程と、第四工程後に、第一工程で設置した作業床用受け具の上に支承されている前記作業床を、クレーンで傾斜させて吊り、そのまま、第四工程で設置した作業床用受け具をかわしながら上方へ吊り上げた後、第四工程で設置した作業床用受け具の上に、クレーンで吊られた前記作業床を降ろして支承させる第五工程と、を有する。
【0013】
第一工程及び第四工程において、作業員が、作業床用受け具を既に形成されている既設ロットの内壁上に設置する。この作業床用受け具の上に支承される作業床は、既設ロットの内壁上に支承されることになり、作業員を上に乗せるために十分な安定性と安全性を有する。作業員は、作業床用受け具の上に安定して支承された作業床の上に乗って必要な作業を安全に行うことができる。
【0014】
第五工程において、第一工程で設置した作業床用受け具の上に支承されている作業床を、クレーンで傾斜させて吊る。作業床を傾斜させたまま上方へ吊り上げれば、第四工程で設置した作業床用受け具をかわすことができる。したがって、作業床が第四工程で設置した作業床用受け具に引っかかることを避けながら、この作業床を第四工程で設置した作業床用受け具よりも高い位置まで吊り上げることができる。作業床を第四工程で設置した作業床用受け具よりも高い位置まで吊り上げたら、この吊り上げた作業床を第四工程で設置した作業床用受け具の上に降ろす。
【0015】
同一の作業床を、第一工程で設置した作業床用受け具の高さ位置から、第四工程で設置した作業床用受け具の高さ位置まで、上昇させていくので、ロットごとに別々の作業床を準備して設置する必要がなくなり、必要な資材量が増加することを防止できる。
また、作業員は、作業床の上に乗って作業床用受け具の設置を行うことができる。したがって、作業床用受け具の設置を行うために枠組足場を組み立てる必要がなく、作業時間、コスト、作業員の負担、資材量が軽減される。
なお、第四工程において、第三工程で新たに形成された既設ロットの内壁上に、作業床用受け具を新たに設置している。ここでいう「第三工程で新たに形成された既設ロット」とは、第三工程でコンクリートを打設して新たに形成したロットのことである。
【0016】
請求項2の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項1に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記第一工程で作業床用受け具を設置した既設ロットと、前記第二工程で前記作業床用受け具の上に支承させた前記作業床と、を連結手段によって接続解放自在に連結し、前記第四工程で作業床用受け具を設置した既設ロットと、前記第五工程で前記作業床用受け具の上に支承させた前記作業床と、を連結手段によって接続解放自在に連結する。
【0017】
万一、作業床用受け具の上に支承されている作業床が、作業床用受け具から外れるような事態が生じたとしても、作業床は連結手段を介して既設ロットによって支承されており、作業床が落下することはない。したがって、作業床用受け具の上に支承された作業床は、作業員をのせるために、より一層高い安定性と安全性を有することとなる。
なお、作業床をクレーンで吊り上げる際には、連結手段を解放する。
連結手段として、例えば、ワイヤロープやチェーンを挙げることができる。
【0018】
請求項3の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項2に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記連結手段を、前記既設ロットの内壁に埋設されたセパレータ又はアンカーに接続する。
既設ロットの内壁にアンカーを埋設することは容易である。また、既設ロットの内壁には、多数のセパレータが埋設されている。既設ロットの内壁の埋設されたセパレータ又はアンカーに連結手段を接続することは容易である。したがって、作業床と既設ロットとの連結が簡単かつ迅速に行われる。
セパレータ又はアンカーと連結手段との接続は、例えば、ボルトやナット等の締結手段を用いて行うことができる。また、シャックルやフック等を用いて接続することもできる。
【0019】
請求項4の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項2に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記連結手段を、前記既設ロットから突出する鉄筋に係止して接続する。
既設ロットから鉄筋が突出している。この鉄筋に連結手段を係止して接続することは容易であり、作業床と既設ロットとの連結が簡単かつ迅速に行われる。
既設ロットから突出する鉄筋と連結手段との係止は、例えば、シャックルやフック等を用いて行うことができる。
【0020】
請求項5の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記第三工程において、前記作業床用受け具の上に支承されている前記作業床と、前記型枠とを、連結手段によって接続解放自在に連結する。
第三工程において、既設ロットの上に立て込まれる型枠は、既設ロットの上に載置されて高い安定性を有している。この型枠と作業床とを、連結手段によって接続解放自在に連結する。万一、作業床用受け具の上に支承されている作業床が、作業床用受け具から外れるような事態が生じたとしても、作業床は連結手段を介して型枠によって支承されており、作業床が落下することはない。したがって、作業床用受け具の上に支承された作業床は、作業員をのせるために、より一層高い安定性と安全性を有することとなる。
なお、型枠を脱枠する際には、連結手段を解放する。
連結手段として、例えば、ワイヤロープやチェーンを挙げることができる。
【0021】
請求項6の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項1から請求項5のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記第一工程及び前記第四工程において、作業員が、前記作業床用受け具を設置する際に、前記既設ロットの内壁からPコンを撤去した後に残される穴を埋める。
第一工程及び第四工程において、作業員が作業床用受け具を設置する際に、既設ロットの内壁上に存在するPコンの穴を一緒に埋めてしまうので、作業効率が向上する。なお、Pコンの穴埋め作業を行う前に、セパレータからPコンを撤去しておく。
セパレータからのPコンの撤去作業やPコンの穴埋め作業を行うために、枠組足場を組み立てる必要がないので、作業時間、コスト、作業員の負担、資材量が軽減される。
【0022】
請求項7の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記第一工程及び前記第四工程において、作業員が、前記作業床用受け具を設置する際に、型枠を支承可能な型枠用受け具を、前記既設ロットの内壁に設置する。
第一工程及び第四工程において、作業員が作業床用受け具を設置する際に、型枠用受け具を設置するので、作業効率が向上する。型枠用受け具を設置するために、枠組足場を組み立てる必要がないので、作業時間、コスト、作業員の負担、資材量が軽減される。
【0023】
請求項8の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記第二工程及び前記第五工程において、前記作業床を前記作業床用受け具の上に支承させてから、この作業床に乗った作業員が、型枠を支承可能な型枠用受け具を、前記既設ロットの内壁に設置する。
【0024】
作業員は、第二工程においてクレーンで吊り降ろされた作業床の上に乗れば、第一工程において脚立などに登らなければ手が届かない高い位置に、容易に手が届く。したがって、作業員は、型枠用受け具を安全かつ迅速に設置できる。同様に、作業員は、第五工程においてクレーンで吊り降ろされた作業床の上に乗れば、第四工程において脚立などに登らなければ手が届かない高い位置にも、容易に手が届く。したがって、作業員は、型枠用受け具を安全かつ迅速に設置できる。
また、第二工程において、作業床を作業床用受け具の上に支承させた後に、型枠用受け具を設置する。すなわち、第二工程で作業床を作業床用受け具の上に支承させる際には、型枠用受け具が未だ設置されてはおらず、作業床が型枠用受け具に引っかかる等することがなく、作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0025】
第五工程においては、作業床を上方へ吊り上げ、作業床を作業床用受け具の上に支承させた後に、型枠用受け具を設置する。すなわち、第五工程で作業床を上方へ吊り上げたり、作業床を作業床用受け具の上に支承させる際には、型枠用受け具が未だ設置されてはおらず、作業床が型枠用受け具に引っかかる等することがなく、作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
なお、第二工程及び前記第五工程において、型枠用受け具を設置する際、既設ロットの内壁の上方部分に位置するセパレータのPコンの撤去とPコンの穴埋めを行うこともできる。
【0026】
請求項9の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項7又は請求項8に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記第三工程において、型枠を脱枠した後、この脱枠した型枠を支承していた前記型枠用受け具を前記既設ロットの内壁から撤去する。
型枠を支承していた型枠用受け具を撤去するので、コンクリート構造体を構築した後、ロットの内壁上に型枠用受け具がとり残されることはない。撤去した型枠用受け具を他の場所で繰り返し使用することができる。
【0027】
請求項10の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項7又は請求項8に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記第四工程において、前記第三工程で脱枠した型枠を支承していた前記型枠用受け具を前記既設ロットの内壁から撤去する。
型枠を支承していた型枠用受け具を撤去するので、コンクリート構造体を構築した後、ロットの内壁上に型枠用受け具がとり残されることはない。撤去した型枠用受け具を他の場所で繰り返し使用することができる。
【0028】
請求項11の発明に係るコンクリート構造体構築方法は、請求項1から請求項9のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法であって、前記第一工程及び前記第四工程において、作業員が前記既設ロットの内壁の表面を仕上げる。
第一工程及び第四工程において、作業員が作業床用受け具を設置する際に、既設ロットの内壁の表面を清掃等し、適宜、必要な仕上げ作業を既設ロットの内壁の表面に施すことができるので、作業効率が向上する。また、既設ロットの内壁の表面を仕上るために、枠組足場を組み立てる必要がなく、作業時間、コスト、作業員の負担、資材量が軽減される。
【発明の効果】
【0029】
上記のようなコンクリート構造体構築方法であるので、作業の安全性を確保でき、作業時間、作業員の負担及びコストの軽減が可能となり、必要な資材量の増加を防止可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施するための最良の形態を図1から図8を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係るコンクリート構造体構築方法を適用して構築するケーソンの上面図、図2は立て込まれた型枠間のスペースの説明図、図3は作業床用受け具及び型枠用受け具の斜視図、図4は本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第一工程の作業手順説明図、図5は本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第二工程における作業手順説明図であり、図5(i)は第二工程前半の作業手順説明図、図5(ii)は第二工程後半の作業手順説明図、図6は本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第三工程から第四工程にかけての作業手順説明図であり、図6(i)は第三工程の作業手順説明図、図6(ii)は第四工程の作業手順説明図、図7は本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第五工程の作業手順説明図であり、図7(i)は第五工程の前半の作業手順説明図、図7(ii)は第五工程の後半の作業手順説明図、図8は本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第五工程の次の工程の作業手順説明図である。
【0031】
本発明に係るコンクリート構造体構築方法は、図1に示すケーソン1の構築に適用される。このケーソン1はフローティングドックの甲板上で構築される。
ケーソン1は、内部に複数の内桝10を有しており、内桝10の内側の壁面を形成する内壁12と、ケーソン1の外側の壁面を形成する外壁14とを有している。一つの内桝10の内壁12は、一組の互いに対向する内壁12Sと一組の互いに対向する内壁12Lとからなる。内壁12Sの横幅は内壁12Lの横幅よりも短い。内壁12S、12Lに囲まれた内桝10は、上方から見ると長方形をなしている。
【0032】
図2、図6(i)、図8に示すように、ケーソン1を構築する際、外壁14を形成するための型枠18と、内壁12を形成するための型枠18が必要である。型枠18を適宜組み合わせて、型枠18同士の間に形成されるスペースにコンクリートを打設する。
外壁14を形成するための型枠18は、多数のメタルフォームを組み合わせて平面を作り、この平面を縦ばた材と横ばた材で押さえたものである。内壁12を形成するための型枠18は、多数のメタルフォームを組み合わせて平面を作り、この平面を縦ばた材と横ばた材で押さえ、内面間にサポートを突っ張って形を整えたものであり、予めフローティングドックの甲板上で組み立てられている。
【0033】
以下、ケーソン1の構築手順を順番に説明する。ケーソン1は、最下層のロット3Aから、上方に向かって、ロットごとに順番に構築される。
最初に、図4に示す最下層のロット3Aを構築しなければならない。
まず、ロット3Aの鉄筋20Aを配筋し、鉄筋20Aを囲むようにして、外壁14を形成するための型枠18と、内壁12を形成するための型枠18とを立て込む。型枠18同士の間には、コンクリートを打設するためのスペース22が形成されており、このスペース22内に鉄筋20Aが位置している。
【0034】
図2に示すように、対向して配置された型枠18同士は、互いにセパレータ24によって連結されており、コンクリート打設時の側圧に耐えるように構成されている。セパレータ24には一対のPコン26が装着されている。また、各Pコン26を介してフォームタイ27がセパレータ24の両端に連結されている。Pコン26は、対向する型枠18同士の間のスペース22内に位置しており、対向する型枠18同士はPコン26によって一定の間隔に保たれている。フォームタイ27が、型枠18のメタルフォームとばた材とを固定している。
【0035】
鉄筋20Aの間には、複数のアンカー28が配置されており、型枠18を脱枠した後の内壁12上の様々な位置にアンカー28の頭が露出する構成となっている。アンカー28は、ボルトを螺入するためのボルト穴を有し、このボルト穴がアンカー28の頭に開口している。
型枠18の立て込みが終わったら、型枠18同士の間のスペース22に対し、ロット3Aのコンクリートを打設する。コンクリートを打設したら、ロット3Aの鉄筋20Aの上にロット3Bの鉄筋20Bを組み立てて継ぎ足す。ロット3Bの鉄筋20Bの間に、Pコン26を装着した複数のセパレータ24や必要な数のアンカー28を配置する。
【0036】
コンクリート打設後、或る時間を経てコンクリートが或る強度に達したらば、内壁12を形成するための型枠18のサポートを縮めるとともに、フォームタイ27をセパレータ24との連結から解放する。そして、内壁12を形成するための型枠18を縮小し、クレーンで吊り上げ、脱枠する。内壁12を形成するための型枠18を脱枠すると、ロット3Aの内壁12が露出し、露出したロット3Aの内壁12上に、セパレータ24のPコン26の頭とアンカー28の頭が見えている。
【0037】
内壁12を形成するための型枠18を脱枠したら、第一工程に進む(図4を参照)。
第一工程では、まず、作業員が形成されたロット3Aの内桝10内に入り、底面16の上に立って内壁12上のPコン26を撤去し、Pコン26の穴を埋める。内壁12の上方に位置するPコン26の撤去作業や、Pコン26の穴埋め作業には、脚立42などを用いる。
Pコン26の撤去作業やPコン26の穴埋め作業と同時に、作業員は、内壁12L上の所定の高さ位置のアンカー28に、図3に示す作業床用受け具32Bをボルト止めして設置する。
【0038】
作業床用受け具32Bは、所定の長さに切断して防錆処理を施したL型鋼33からなり、L型鋼33は山形に隣接する2枚の面33A、33Bを有する。L型鋼33の面33Aは、ボルト穴33Cを有しており、アンカー28のボルト穴にボルト止め可能に構成されている。L型鋼33の長手方向端部には、鋼製の三角プレート33Dが溶接されている。三角プレート33Dは直角三角形をなしており、L型鋼33の長手方向端部において、三角プレート33Dの直角をなす頂点が、L型鋼の2枚の面33A、33Bの間に挟まれている。そして、このL型鋼33の長手方向端部において、面33Aの裾側先端と面33Bの裾側先端とが、三角プレート33Dの斜辺33Eによってつながっている。
【0039】
各内壁12Lには、2個の作業床用受け具32Bが、ほぼ左右対称設置される。2個の作業床用受け具32B同士の間隔は、内壁12Lの横幅のほぼ半分か、あるいは、内壁12Lの横幅の半分よりやや長い距離である。
また、各作業床用受け具32Bは、面33Bを上側に向けて設置される。
作業員は、Pコン26の撤去作業、Pコン26の穴埋め作業、及び、作業床用受け具32の設置作業を、底面16上、又は、底面16上に置いた脚立42の上で行う。したがって、作業員の足元が安定しており、作業員は、安定した状態の下、安全に作業を行うことができる。
【0040】
作業床用受け具32Bを設置したら、第一工程が完了する。次いで、第二工程に進む(図5(i)及び(ii)を参照)。
第二工程では、まず、フローティングドックの甲板上に作業床34を準備する。作業床34は長方形をなす。作業床34がなす長方形は、上方から見た内桝10がなす長方形より僅かに小さい。作業床34はその四隅に吊り手を有している。作業床34は、その上に作業員が必要な資材とともに乗ることができる十分な強度を有する。
作業床34の一方の長辺側の2個の吊り手にワイヤロープ38Sの一端をそれぞれかけ、他方の長辺側の2個の吊り手にワイヤロープ38Lの一端をそれぞれかけ、ワイヤロープ38S、38Lの各他端をクレーン40のフックにかける。ワイヤロープ38Sの長さはワイヤロープ38Lの長さよりも短い。
【0041】
図5(i)に示すように、クレーン40で作業床34を吊り上げると、作業床34は傾斜した状態となる。作業床34を傾けたままクレーン40で内桝10の上方へ運ぶ。内桝10の上方へ作業床34を運んだら、作業床34を下降させる。まず、ワイヤロープ38L側の作業床34の長辺を、一方の内壁12Lに設置された作業床用受け具32Bの面33B上に載せる。そして、そのまま、クレーン40で作業床34を下降させ、ワイヤロープ38S側の作業床34の長辺を、他方の内壁12Lに設置された作業床用受け具32Bの面33B上に載せる。作業床34が作業床用受け具32Bの上に降ろされて支承されたら、ワイヤロープ38S、38Lを作業床34の吊り手からはずす。作業床34は、作業床用受け具32Bを介してロット3Aの内壁12に支承されることとなり、作業員を上に乗せるために十分な安定性と安全性を有する。
【0042】
図5(ii)に示すように、作業床34を作業床用受け具32Bに支承させたら、作業員が、作業床34の各吊り手と、ロット3Aの内壁12のアンカー28とを、連結手段であるワイヤロープ38Cを介して接続解放自在に連結する。万一、作業床34が作業床用受け具32Bから外れるような事態が生じたとしても、作業床34はワイヤロープ38Cを介してロット3Aの内壁12によって支承されており、作業床34が落下することはない。したがって、作業床用受け具32Bの上に支承された作業床34は、作業員をのせるために、より一層高い安定性と安全性を有することとなる。
【0043】
作業床34の各吊り手と、ロット3Aの内壁12のアンカー28とを、連結したら、作業員は作業床34の上に乗り、ロット3Aの各内壁12S、12Lの上縁近傍のアンカー28に、型枠用受け具36Bをボルト止めして設置する。型枠用受け具36Bは、図3に示すように、所定の長さに切断して防錆処理を施したL型鋼33からなり、L型鋼33は山形に隣接する2枚の面33A、33Bを有する。L型鋼33の面33Aは、ボルト穴33Cを有しており、アンカー28のボルト穴にボルト止め可能に構成されている。
【0044】
型枠用受け具36Bを作業床用受け具32Bと同様に面33Bを上側に向けて設置したら、第二工程が完了する。次いで、第三工程に進む(図6(i)を参照)。
第三工程では、まず、ロット3Bの鉄筋20Bを囲むようにして、外壁14を形成するための型枠18と、内壁12を形成するための型枠18とを立て込む。対向して配置された型枠18同士は、互いにセパレータ24によって連結される(図2を参照)。セパレータ24のPコン26とフォームタイ27によって、対向する型枠18同士は一定の間隔に保たれている。
【0045】
型枠18の立て込みが終わったら、型枠18同士の間のスペース22に対し、ロット3Bのコンクリートを打設する。コンクリートを打設したら、ロット3Bの鉄筋20Bの上にロット3Cの鉄筋20Cを組み立てて継ぎ足す。なお、鉄筋20Cは図6(ii)中に図示する。ロット3Cの鉄筋20Cの間には、Pコン26を装着した複数のセパレータ24や必要な数のアンカー28を配置する。
【0046】
コンクリート打設後、或る時間を経てコンクリートが或る強度に達したらば、内壁12を形成するための型枠18のサポートを縮めるとともに、フォームタイ27をセパレータ24との連結から解放する。そして、内壁12を形成するための型枠18を縮小し、クレーンで吊り上げ、脱枠する。内壁12を形成するための型枠18を脱枠すると、ロット3Bの内壁12が露出し、露出したロット3Bの内壁12上に、セパレータ24のPコン26の頭とアンカー28の頭が見えている。
【0047】
内壁12を形成するための型枠18を脱枠したら、作業員は作業床34の上に乗り、ロット3Aの各内壁12S、12Lから型枠用受け具36Bを取り外して撤去する。型枠用受け具36Bを撤去したら第三工程が完了する。次いで、第四工程に進む(図6(ii)を参照)。
第四工程では、まず、作業員が、作業床用受け具32Bの上に支承された作業床34の上に乗り、新たに形成されたロット3Bの内壁12上のPコン26を撤去し、Pコン26の穴を埋める。内壁12の上方のPコン26の撤去作業や、Pコン26の穴埋め作業には、脚立42などを用いる。
【0048】
Pコン26の撤去作業やPコン26の穴埋め作業と同時に、作業床用受け具32Bと同様にして、ロット3Bの内壁12L上の所定の高さ位置のアンカー28に、作業床用受け具32Cをボルト止めして設置する。図3に示すように、作業床用受け具32Cは作業床用受け具32Bと同じ構成を有しており、作業床用受け具32Cの設置位置は、第一工程における作業床用受け具32Bの設置位置と同様であり、作業床用受け具32Cの面33Bが上側を向いている。
【0049】
作業員は、Pコン26の撤去作業、Pコン26の穴埋め作業、及び、作業床用受け具32Cの設置作業を、作業床34の上、又は、作業床34上に置いた脚立42の上で、安定した状態の下、安全に行うことができる。
作業床用受け具32Cを設置したら、第四工程が完了する。次いで、第五工程に進む(図7(i)及び(ii)を参照)。
【0050】
図7(i)に示すように、第五工程では、まず、作業員が、作業床用受け具32Bの上に支承された作業床34の吊り手にワイヤロープ38S、38Lの一端をかけ、ワイヤロープ38S、38Lの他端をクレーン40のフックにかける。ワイヤロープ38S、38Lをかける作業床34の吊り手の位置は、第二工程でワイヤロープ38S、38Lをかけた場合と同様である。
【0051】
クレーン40で作業床34を吊り上げると、まず、ワイヤロープ38S側の作業床34の長辺が、作業床用受け具32Bから浮き上がり、次いで、ワイヤロープ38L側の作業床34の長辺が、作業床用受け具32Bから浮き上がり、作業床34は、傾斜して宙吊りの状態となる。そのまま、クレーン40で作業床34を上方へ吊り上げ、一旦、第四工程で設置した作業床用受け具32Cよりも高い位置まで上昇させる。作業床34は傾斜した状態となっているので、作業床用受け具32Cをかわすことができ、作業床34が作業床用受け具32Cに引っかかることを避けることができる。
【0052】
また、クレーン40で作業床34を上方へ吊り上げる際、作業床34の縁が下方から作業床用受け具32Cに触れることがあっても、作業床34の縁は作業床用受け具32Cの三角プレート33Dの斜辺33Eと接触するだけである。斜辺33Eと接触した作業床34の縁は、滑るようにして斜辺33Eに沿って動く。したがって、作業床34の縁が作業床用受け具32Cに引っかかることはなく、作業床34は作業床用受け具32Cよりも高い位置まで上昇する。
【0053】
次いで、クレーン40作業床34を下降させ、ワイヤロープ38L側の作業床34の長辺を、一方の内壁12Lに設置された作業床用受け具32Cの面33B上に載せる。そして、そのまま、クレーン40で作業床34を下降させ、ワイヤロープ38S側の作業床34の長辺を、他方の内壁12Lに設置された作業床用受け具32Cの面33B上に載せる。作業床34が作業床用受け具32Cの上に降りて支承されたら、ワイヤロープ38S、38Lを作業床34の吊り手からはずす。作業床34は、作業床用受け具32Cを介してロット3Bの内壁12に支承されることとなり、作業員を上に乗せるために十分な安定性と安全性を有する。
【0054】
次いで、図7(ii)に示すように、作業床34を作業床用受け具32Cに支承させたら、作業員が、作業床34の各吊り手と、ロット3Bの内壁12のアンカー28とを、連結手段であるワイヤロープ38Cを介して接続解放自在に連結する。万一、作業床34が作業床用受け具32Bから外れるような事態が生じたとしても、作業床34はワイヤロープ38Cを介してロット3Bの内壁12によって支承されており、作業床34が落下することはない。したがって、作業床用受け具32Cの上に支承された作業床34は、作業員をのせるために、より一層高い安定性と安全性を有することとなる。
【0055】
作業床34の各吊り手と、ロット3Bの内壁12のアンカー28とを、連結したら、作業員は作業床34の上に乗り、ロット3Bの各内壁12S、12Lの上縁近傍のアンカー28に、型枠用受け具36Cをボルト止めして設置する。図3に示すように、型枠用受け具36Cは型枠用受け具36Bと同じ構成を有している。
型枠用受け具36Cを設置したら、第五工程が完了する。第五工程が完了したら、図8に示すように、第三工程と同様の作業手順によって、型枠18の立て込み、コンクリート打設、型枠18の脱枠を行う。型枠18を脱枠したら、作業員は作業床34の上に乗り、ロット3Bの各内壁12S、12Lから型枠用受け具36Cを取り外して撤去する。
【0056】
以上述べた手順を繰り返すことによって、作業床34を順次上昇させながら、ロットごとにコンクリートを順次打設していくことができ、目的とする高さと大きさのケーソン1を構築できる。
作業員は、Pコン26の撤去作業、Pコン26の穴埋め作業、作業床用受け具32B、32Cの設置作業、型枠用受け具36B、36Cの設置作業を、作業床34の上で行うことができるので、内枠10内に枠組足場を組み立てる必要がなくなり、作業時間、コスト、作業員の負担、資材量が軽減される。また、同じ作業床34を順次上昇させていくので、必要な資材量の軽減が可能であり、積載能力の観点から足場に必要な資材の総重量が制限されるフローティングドックにおいては特に好ましい。
【0057】
本実施の形態では、ケーソン1をフローティングドックの甲板上で構築しているが、通常のドック内や岸壁等の場所においてケーソン1を構築可能であることは勿論である。
本実施の形態では、上方から見た内枡10の形状が長方形をなしているが、上方から見た内枡10の形状が長方形に限定されるものではないことは勿論である。例えば、正方形、台形、三角形等の形状であってもよい。また、本実施の形態では、内枡10において、内壁12Sの横幅は内壁12Lの横幅よりも短い。しかし、内壁12Lの横幅は内壁12Sの横幅よりも短くてもよいことは勿論である。
【0058】
本実施の形態では、内壁12を形成するための型枠18において、内面間にサポートを突っ張って形を整えている。しかし、内面間をワイヤロープやチェーン等によって引っ張って形を整えてもよい。また、内壁12を形成するための型枠18をフローティングドックの甲板上で組み立てているが、隣接するヤード等において組み立ててもよい。
【0059】
本実施の形態では、1つの内壁12Lに設置する作業床用受け具32B、32Cの数は2個である。しかし、作業床用受け具32B、32Cの数が2個に限定されるものではないことは勿論である。作業床34の自重や作業床34に積載しなければならない資材等の重量を考慮して、その数と設置位置を決定する。型枠用受け具36B、36Cの数と位置についても同様であり、型枠18の重量等を考慮して、その数と設置位置を決定する。
【0060】
本実施の形態では、第一工程において、ロット3Aの内壁12上のPコン26の撤去作業と、Pコン26の穴埋め作業とを行っている。しかし、ロット3Aの内壁12の上方の高所に位置するPコン26の撤去作業と、Pコン26の穴埋め作業とを、作業床用受け具32Bに支承された作業床34の上に乗って行うことも可能である。
同様に、本実施の形態では、第四工程において、ロット3Bの内壁12上のPコン26の撤去作業と、Pコン26の穴埋め作業とを行っている。しかし、ロット3Bの内壁12の上方の高所に位置するPコン26の撤去作業と、Pコン26の穴埋め作業とを、作業床用受け具32Cの上に支承された作業床34の上に乗って行うことも可能である。
【0061】
本実施の形態では、第二工程の後半において、作業床34の各吊り手と、ロット3Aの内壁12のアンカー28とを、ワイヤロープ38Cを介して連結している。この代わりに、図9(i)及び(ii)の変形例に示すような作業手順としてもよい。すなわち、図9(i)に示すように、第二工程の後半において、作業床34の各吊り手と、ロット3Aの上方に突出するロットBの鉄筋20Bとを、ワイヤロープ38Cを介して連結する。そして、図9(ii)に示すように、第三工程で型枠18を立て込む前に、鉄筋20Bとワイヤロープ38Cとの連結を解放し、型枠用受け具36Bに支承された型枠18とワイヤロープ38Cとを連結する。
本実施の形態において、型枠用受け具36B、36Cを使用する代わりに、作業床用受け具32B又は32Cを型枠用受け具として使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るコンクリート構造体構築方法を適用して構築するケーソンの上面図である。
【図2】立て込まれた型枠間のスペースの説明図である。
【図3】作業床用受け具及び型枠用受け具の斜視図である。
【図4】本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第一工程の作業手順説明図である。
【図5】本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第二工程における作業手順説明図であり、(i)は第二工程前半の作業手順説明図、(ii)は第二工程後半の作業手順説明図である。
【図6】本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第三工程から第四工程にかけての作業手順説明図であり、(i)は第三工程の作業手順説明図、(ii)は第四工程の作業手順説明図である。
【図7】本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第五工程の作業手順説明図であり、(i)は第五工程の前半の作業手順説明図、(ii)は第五工程の後半の作業手順説明図である。
【図8】本発明に係るコンクリート構造体構築方法における第五工程の次の工程の作業手順説明図である。
【図9】変形例に係るコンクリート構造体構築方法の第三工程の作業手順説明図であり、(i)は第二工程の後半の作業手順説明図、(ii)は第三工程の作業手順説明図である。
【図10】従来のケーソンの構築方法の説明図である。
【図11】吊り足場を取り付けた型枠の説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ケーソン
3A、3B、3C ロット
10 内桝
12、12S、12L 内壁
14 外壁
16 底面
18 型枠
20A、20B、20C 鉄筋
22 スペース
24 セパレータ
26 Pコン
27 フォームタイ
28 アンカー
30 サポート
32B、32C 作業床用受け具
33 L型鋼
33A、33B L型鋼の面
33C ボルト穴
33D 三角プレート
33E 三角プレートの斜辺
34 作業床
36、36B、36C 型枠用受け具
38、38S、38L、38C ワイヤロープ
40 クレーン
42 脚立
44 吊り足場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さの複数のロットに分け、下から順番にロットごとに型枠を盛り替えてコンクリートを打設し、目的の高さのコンクリート構造体を構築するコンクリート構造体構築方法であって、
既に形成されている既設ロット内に入った作業員が、当該既設ロットの内壁に、作業床を支承可能な作業床用受け具を設置する第一工程と、
第一工程で設置した作業床用受け具の上に、前記作業床をクレーンで吊り降ろして支承させる第二工程と、
第二工程後に、前記既設ロットの上に型枠を立て込み、コンクリートを打設し、型枠を脱枠し、前記既設ロットの上に新たなロットを形成する第三工程と、
前記作業床の上に乗った作業員が、第三工程で新たに形成された既設ロットの内壁に、前記作業床を支承可能な作業床用受け具を新たに設置する第四工程と、
第四工程後に、第一工程で設置した作業床用受け具の上に支承されている前記作業床を、クレーンで傾斜させて吊り、そのまま、第四工程で設置した作業床用受け具をかわしながら上方へ吊り上げた後、第四工程で設置した作業床用受け具の上に、クレーンで吊られた前記作業床を降ろして支承させる第五工程と、を有することを特徴とするコンクリート構造体構築方法。
【請求項2】
前記第一工程で作業床用受け具を設置した既設ロットと、前記第二工程で前記作業床用受け具の上に支承させた前記作業床と、を連結手段によって接続解放自在に連結し、
前記第四工程で作業床用受け具を設置した既設ロットと、前記第五工程で前記作業床用受け具の上に支承させた前記作業床と、を連結手段によって接続解放自在に連結することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項3】
前記連結手段を、前記既設ロットの内壁に埋設されたセパレータ又はアンカーに接続することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項4】
前記連結手段を、前記既設ロットから突出する鉄筋に係止して接続することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項5】
前記第三工程において、前記作業床用受け具の上に支承されている前記作業床と、前記型枠とを、連結手段によって接続解放自在に連結することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項6】
前記第一工程及び前記第四工程において、作業員が、前記作業床用受け具を設置する際に、前記既設ロットの内壁からPコンを撤去した後に残される穴を埋めることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項7】
前記第一工程及び前記第四工程において、作業員が、前記作業床用受け具を設置する際に、型枠を支承可能な型枠用受け具を、前記既設ロットの内壁に設置することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項8】
前記第二工程及び前記第五工程において、前記作業床を前記作業床用受け具の上に支承させてから、この作業床に乗った作業員が、型枠を支承可能な型枠用受け具を、前記既設ロットの内壁に設置することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項9】
前記第三工程において、型枠を脱枠した後、この脱枠した型枠を支承していた前記型枠用受け具を前記既設ロットの内壁から撤去することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項10】
前記第四工程において、前記第三工程で脱枠した型枠を支承していた前記型枠用受け具を前記既設ロットの内壁から撤去することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のコンクリート構造体構築方法。
【請求項11】
前記第一工程及び前記第四工程において、作業員が前記既設ロットの内壁の表面を仕上げることを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれかの請求項に記載のコンクリート構造体構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−191962(P2007−191962A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12453(P2006−12453)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(506022647)株式会社渡辺組 (1)
【Fターム(参考)】