説明

コンソールの製造方法

【課題】少量生産の車両、特に車両の仕様により部品の構成が異なるものでも、安価で製造が容易なコンソールの製造方法を提供する。
【解決手段】ジャバラ部44を有するコンソール40のブロー成形による製造方法であって、パリソン16をブロー成形金型18内で膨張させることにより、一対のコンソール40の本体部42及びジャバラ部44を成形し、成形された一対のコンソール40を中央部分の分離溝36で2分割することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転席と助手席間に取付けられるコンソールの製造方法に関し、少量生産の車両であっても、安価で容易なコンソールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンソールは、車両の運転席と助手席間に設けられる意匠部品として、その意匠性を考慮して、コンソール本体は、射出成形により成形されていた。また、コンソールは収納部と側壁や、下部に空間を有しているため、この空間を利用して、後部座席の空調ダクトを設けるものもある。このダクトは通常中空体となるため、ブロー成形により形成し取付ける構成となっている。(特許文献1参照)
また、コンソールには、サイドブレーキやシフトレバー用の可撓性のあるジャバラ部有する部材を別体として取付ける場合もあった。このように、コンソールには、色々な部品が取付けられるため、製造にコストがかかっていた。
【0003】
しかし、近年車両の軽量化や低価格化のニーズにより、少量生産の車両であっても安価で容易に製造できるコンソールボックスの製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−127783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明が解決しようとする課題は、少量生産の車両、特に車両の仕様により部品の構成が異なるものでも、安価で製造が容易なコンソールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のコンソールの製造方法では、ジャバラ部を有するコンソールの製造方法であって、パリソンをブロー成形金型内で膨張させることにより、一対のコンソールの本体部及びジャバラ部を成形し、成形された前記一対のコンソールを中央部分で2分割することを特徴とする。
【0007】
本発明のコンソールの製造方法は、ブロー成形により一対のコンソールの本体部及びジャバラ部を成形し、2つに分離することにより製造するため、製造が容易で安価に造ることができる。
【0008】
請求項2に記載のコンソールの製造方法では、前記ジャバラ部はコンソール本体より突出した形状であることを特徴とする。
【0009】
上記構成では、コンソールの本体部より突出した形状でジャバラ部を一体的に形成するため、本体部よりジャバラ部の壁厚を薄くすることができ、ジャバラ部の機能でである変形しやすさ(柔軟性)を得やすく、安価に製造することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンソールの製造方法は、ブロー成形により一対のコンソールを成形し製品仕様に応じ、2つに分離することにより製造するため、製造が容易で安価に造ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例におけるブロー成形の一工程で、開状態のブロー成形金型間に押出されたパリソンが位置する状態の断面説明図である。
【図2】本発明の実施例におけるブロー成形の一工程で、閉状態のブロー成形金型間に押出されたパリソンが、一部膨張されて金型面押圧された状態の断面説明図である。
【図3】本発明の実施例におけるブロー成形の一工程で、閉状態のブロー成形金型間に押出されたパリソンが、完全に膨張されて金型面押圧された状態の断面説明図である。
【図4】本発明の実施例におけるコンソールの製造方法で製造され、ブロー成形金型内から取出された状態の、一対のコンソールの斜視図である。
【図5】本発明の実施例におけるコンソールの製造方法で製造され、ブロー成形金型内から取出された状態の、一対のコンソールで、図4のA−A断面図である。
【図6】本発明の実施例におけるコンソールの製造方法で製造され、中央部分で2分割された、コンソールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明のコンソールの製造方法を適用し、製造を行ったジャバラ部を有するコンソールの製造方法の一実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例におけるブロー成形の一工程で、開状態のブロー成形金型間に押出されたパリソンが位置する状態の断面説明図である。
この工程は、押出ヘッド10より押出し出されたパリソン16がブロー成形金型18間に位置している状態を示す。このパリソン16の材料は、ポリエチレン樹脂であるが、ポリプロピレン樹脂でも良い。
【0014】
このブロー成形金型18のキャビティ20は左右対称の形状に形成されている。キャビティ20の一部には、コンソールの一般面22より突出した略円錐状のジャバラ形成部24が形成されている。それぞれの金型のキャビティ20の開放側には、分離溝36(図4参照)を形成するための突出部26が設けられている。この突出部26は、キャビティ20の後述する取付座52(図5参照)の部分を除く略全周に連続して設けられている。
【0015】
図2は、本発明の実施例におけるブロー成形の一工程で、閉状態のブロー成形金型間に押出されたパリソンが、一部膨張されて金型面押圧された状態の断面説明図である。
この工程は、ブロー成形金型18が閉じられた状態で、吹込ノズルより圧縮空気が若干吹込まれ、パリソン16がキャビティ20の一般面22まで膨張した状態を示す。
【0016】
図3は、本発明の実施例におけるブロー成形の一工程で、閉状態のブロー成形金型間に押出されたパリソンが、完全に膨張されて金型面押圧された状態の断面説明図である。
これは、図2状態からさらに圧縮空気が吹込ノズル12よりさらに吹込まれた状態を示し、金型のジャバラ形成部24までパリソン16が膨張し、コンソール形状が完成した状態を示す。このように、パリソン16は一般面22まで膨張した後、さらにジャバラ形成部24の形状(円錐状)応じ膨張するため、一般面22の壁厚が1.5mm程度に対し、ジャバラ形成部24の壁厚は1mm程度となり、一般面22よりジャバラ形成部の壁厚がうすくなる。従って、このブロー成形によりされたコンソール40(図4参照)のジャバラ部44は変形しやすくなり、ジャバラ部44の機能性が向上する。
【0017】
図4は、本発明の実施例におけるコンソールの製造方法で製造され、ブロー成形金型内から取出された状態の、一対のコンソールの斜視図である。図5は、本発明の実施例におけるコンソールの製造方法で製造され、ブロー成形金型内から取出された状態の、一対のコンソールで、図4のA−A断面図である。
この成形品は、2個の製品が開口側で接続された状態であり、略中央にブロー成形金型18の突出部26により形成された、2本の分離溝36a、36bがある。基本的にこの分離溝36a、36b(後述する取付座52(図6参照)を除く)により、コンソール40a、40b及び中央捨部38に分離される。(図5のカットライン62の位置でカットされる。)但し、取付座52の部分は、取付座カットライン64の位置でカットされ、取付座52が部分的に形成される。さらに、ジャバラ部44a、44bの先端部側のジャバラ捨部34さらに分離される。(図5のカットライン60の位置でカットされる。)また、AT仕様のコンソール40の場合は、カットライン66でジャバラ部44bが全てカットされ、AT仕様のガーニッシュ等が別途取付けられる。これらの分離は、既存の刃によるカットで行われるが熱刃、レーザー、又はウォータージェットでも良い。
【0018】
図6は、本発明の実施例におけるコンソールの製造方法で製造され、中央部分で2分割された、コンソールの斜視図である。
このコンソール40は、既存のコンソールと同様に、コンソール40の本体部42の前側に設けられた、ジャバラ部44aにはサイドブレーキ56が設けられ、サイドブレーキ56の動きの応じ変形する。また、コンソール40の本体部42の後側に設けられたジャバラ部44bには、シフトレバー58が設けられている。本体部42の下部には、分離時に形成された、取付座52が設けられている。
【符号の説明】
【0019】
10 押出ヘッド
12 吹込ノズル
16 パリソン
18 ブロー成形金型
20 キャビティ
22 一般面
24 ジャバラ形成部
26 突出部
34 ジャバラ捨部
36、36a、36b 分離溝
38 中央捨部
40、40a、40b コンソール
42 本体部
44、44a、44b ジャバラ部
52 取付座
56 サイドブレーキ
58 シフトレバー
60、62、66 カットライン
64 取付座カット位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャバラ部を有するコンソールの製造方法であって、
パリソンをブロー成形金型内で膨張させることにより、一対のコンソールの本体部及びジャバラ部を成形し、
成形された前記一対のコンソールを中央部分で2分割する
ことを特徴とするコンソールの製造方法。
【請求項2】
前記ジャバラ部はコンソール本体より突出した形状であることを特徴とする請求項1に記載のコンソールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131673(P2011−131673A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291769(P2009−291769)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】