説明

コンソールパネル

【課題】車両廃棄時等に、コンソールパネルの前方側端部を折り返した状態を維持することができ、露出させた機能部品に対する作業性を向上させることができるコンソールパネルを提供すること。
【解決手段】コンソールパネル1は、車両の運転席と助手席との間において、車両の前後方向に延設されたコンソール部4の側方に取り付けるものである。コンソールパネル1は、その前方側端部11の裏面側において、上下方向又は斜め上下方向に横断する折曲用薄肉部2A、2Bを前後方向の2箇所に形成してなる。コンソールパネル1は、2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bに沿って前方側端部11を表面側101に折り返すことによって、前方側端部11が樹脂の反発力によって元の状態に戻らないようにして、コンソール部4の内部又は前方に設けた機能部品6を露出させるよう構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転席と助手席との間において、車両の前後方向に延設されたコンソール部の側方に取り付ける樹脂製のコンソールパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転席と助手席との間において、車両の前後方向に延設されたコンソール部においては、車両廃棄時において、コンソール部の側方に取り付けたコンソールパネルの前方側端部を折り曲げて、車両内部の機能部品を露出させている。具体的には、車両廃棄時にエアバックの一括展開処理作業を行う際に、コンソールパネルの前方側端部を折り曲げ、車両内部に配設されたエアバックインフレータの制御装置に展開制御装置を接続している。そして、エアバックインフレータを動作させて、エアバックを展開させた後、車両を廃棄している。
なお、特許文献1のコンソール取付構造においては、インストルメントパネルとコンソールとの接続部分をインストサイドパネルによって覆う構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−155655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記車両廃棄時に、コンソールパネルを折り曲げ易くするために、コンソールパネルの裏面側に折曲用の溝等を形成することが考えられる。しかし、かかる折曲用の溝等に沿ってコンソールパネルを折り曲げる際に、コンソールパネル自体による樹脂の反発力によって、折り曲げた部分が元の状態に戻ろうとする。そのため、作業性を向上させるためには更なる工夫が必要とされる。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、車両廃棄時等に、コンソールパネルの前方側端部を折り返した状態を維持することができ、露出させた機能部品に対する作業性を向上させることができるコンソールパネルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の運転席と助手席との間において、車両の前後方向に延設されたコンソール部の側方に取り付ける樹脂製のコンソールパネルであって、
該コンソールパネルは、その前方側端部の裏面側において、上下方向又は斜め上下方向に横断する折曲用薄肉部を前後方向の2箇所に形成してなり、
該2箇所の折曲用薄肉部に沿って上記前方側端部を表面側に折り返すことによって、該前方側端部が樹脂の反発力によって元の状態に戻らないようにして、上記コンソール部の内部又は前方に設けた機能部品を露出させるよう構成したことを特徴とするコンソールパネルにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコンソールパネルは、車両廃棄時等において、コンソール部の内部又は前方に設けた機能部品を露出させる際に、折り曲げ易くしたものである。
具体的には、本発明のコンソールパネルは、その前方側端部の裏面側において、上下方向又は斜め上下方向に横断する折曲用薄肉部を前後方向の2箇所に形成してなる。そして、2箇所の折曲用薄肉部に沿って前方側端部を表面側に折り曲げる際には、2箇所の折曲用薄肉部によって前方側端部を表面側に折り返すことができる。
【0008】
これにより、前方側端部が樹脂の反発力によって元の状態に戻らないようにすることができ、コンソール部の内部又は前方に設けた機能部品を露出させ易くすることができる。そのため、作業者がコンソールパネルの前方側端部を折り曲げた状態を片手で保持しなくても、この前方側端部が折り曲がった状態を維持することができる。
それ故、本発明のコンソールパネルによれば、車両廃棄時等に、コンソールパネルの前方側端部を折り返した状態を維持することができ、露出させた機能部品に対する作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例における、コンソールパネルを取り付けたコンソール部を示す斜視説明図。
【図2】実施例における、コンソールパネルを示す斜視説明図。
【図3】実施例における、コンソールパネルの裏面側に設けた折曲用薄肉部を示す説明図。
【図4】実施例における、他のコンソールパネルを取り付けたコンソール部を示す斜視説明図。
【図5】実施例における、他のコンソールパネルを示す斜視説明図。
【図6】実施例における、補強リブを設けたコンソールパネルの裏面側を示す斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述した本発明のコンソールパネルにおける好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記2箇所の折曲用薄肉部のうち前方側に位置する前方側折曲用薄肉部よりも先端側の折曲部分は、上記コンソール部の側方に係止されておらず、上記前方側折曲用薄肉部と他方の後方側折曲用薄肉部との間の中間部分と、上記後方側折曲用薄肉部よりも後方側において上記中間部分に隣接する部分とは、係止部によって上記コンソール部の側方に係止されており、上記中間部分よりも先に上記先端側の折曲部分が上記前方側折曲用薄肉部を起点にして折り曲がり易くすることが好ましい(請求項2)。
この場合には、中間部分が係止部によってコンソール部に係止されていることにより、先端側の折曲部分を前方側折曲用薄肉部を起点にして中間部分よりも先に容易に折り曲げることができ、その後、係止部の係止状態を解除しながら中間部分を後方側折曲用薄肉部を起点にして折り曲げることができる。そのため、コンソールパネルの前方側端部を、前方側折曲用薄肉部及び後方側折曲用薄肉部を起点にして表面側に折り返すことが容易になる。
【0011】
また、上記2箇所の折曲用薄肉部は、断面V形状の溝によって形成することが好ましい(請求項3)。
この場合には、断面V形状の溝により、2箇所の折曲用薄肉部を容易に形成することができ、かつ、2箇所の折曲用薄肉部を容易に折り曲がり易くすることができる。
また、2箇所の折曲用薄肉部は、コンソールパネルの厚みが厚肉部から薄肉部に変化する部分として形成することもできる。
【0012】
また、上記コンソールパネルの裏面側には補強リブが立設してあり、上記2箇所の折曲用薄肉部のうちの少なくとも一方は、上記補強リブを切り欠いた位置に対応して形成してあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、補強リブによるコンソールパネルの剛性を折曲用薄肉部において低下させて、先端側の折曲部分と中間部分とを折り曲げ易くすることができる。
【実施例】
【0013】
以下に、本発明のコンソールパネルにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例のコンソールパネル1は、図1、図2に示すごとく、樹脂から構成してあり、車両の運転席と助手席との間において、車両の前後方向に延設されたコンソール部4の側方に取り付けるものである。同図において、車両の前方側を矢印Fによって示す。コンソールパネル1は、その前方側端部11の裏面側102において、上下方向又は斜め上下方向に横断する折曲用薄肉部2A、2Bを前後方向の2箇所に形成してなる。そして、コンソールパネル1は、2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bに沿って前方側端部11を表面側101に折り返すことによって、前方側端部11が樹脂の反発力によって元の状態に戻らないようにして、コンソール部4の内部又は前方に設けた機能部品6を露出させるよう構成してある。同図において、コンソールパネル1を折り返す方向を矢印Vによって示す。
【0014】
以下に、本例のコンソールパネル1につき、図1〜図6を参照して詳説する。
図1に示すごとく、本例のコンソールパネル1は、車室内前方において、コンソール部4の運転席側の側方に取り付けるものである。コンソール部4に対する運転席側の前方先端部分には、機能部品6としてのエアバックインフレータ用制御装置(ECU)6が配設されている。
そして、本例のコンソールパネル1は、その前方側端部11を表面側101に折り返すことによって、エアバックインフレータ用制御装置6を露出させることができるものである。
【0015】
図2に示すごとく、本例のコンソールパネル1は、前端部15の上側部分151にインストルメントパネル5へ差し込んで固定する差込爪による係止部31を有し、上端部16にもコンソール部4へ係止する係止部31を有している。コンソールパネル1は、前端部15の下側部分152には、インストルメントパネル5へ差し込んでおく差込部32を有している。
2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bは、前方側に位置する前方側折曲用薄肉部2Aと、その後方側に位置する前方側折曲用薄肉部2Aとからなる。
【0016】
本例の前方側折曲用薄肉部2Aは、コンソールパネル1の下端部17から斜め前方の上方に向けて前端部15の上側部分151と下側部分152との間の位置まで形成してある。また、本例の後方側折曲用薄肉部2Bは、前方側折曲用薄肉部2Aの下端位置又はその近傍から略上方に向けて形成してある。
前方側折曲用薄肉部2Aよりも先端側には、先端側の折曲部分12が形成されており、この折曲部分12は、係止部31によってコンソール部4に固定されない部分として形成されている。この折曲部分12は、前方角部として略三角形状に形成されており、上記差込部32を有する前端部15の下側部分152を含む部分として形成されている。
また、前方側折曲用薄肉部2Aと後方側折曲用薄肉部2Bとの間には、略三角形状の中間部分13が形成されている。この中間部分13は、上記係止部31を有する前端部15の上側部分151を含む部分として形成されている。
【0017】
図3に示すごとく、本例の2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bは、断面V形状の溝21によって形成してある。そして、先端側の折曲部分12及び中間部分13を折り曲げる際には、断面V形状の溝21の先端底部に応力集中が作用し、折曲部分12及び中間部分13を容易に折り曲げることができる。
【0018】
また、コンソール部4へのコンソールパネル1の取り付け方は、次のようにすることができる。
図2に示すごとく、コンソールパネル1の裏面側102において、先端側の折曲部分12はコンソール部4の側方に係止しない一方、中間部分13と、後方側折曲用薄肉部2Bよりも後方側において中間部分13に隣接する部分とは、係止部33によってコンソール部4の側方に係止することができる。この係止部33は、コンソール部4に設けた穴に対して挿入して係止するクリップ、コンソール部4に設けた穴に対して差し込んで係止する差込爪等によって構成することができる。
【0019】
そして、コンソールパネル1の前方側端部11を折り曲げる際には、先端側の折曲部分12がコンソール部4に係止されていない一方、中間部分13が係止部33によってコンソール部4に係止されていることにより、先端側の折曲部分12を前方側折曲用薄肉部2Aを起点にして中間部分13よりも先に容易に折り曲げることができる。その後、係止部33の係止状態を解除しながら中間部分13を後方側折曲用薄肉部2Bを起点にして折り曲げることができる。そのため、コンソールパネル1の前方側端部11を、前方側折曲用薄肉部2A及び後方側折曲用薄肉部2Bを起点にして表面側101に折り返すことが容易になる。
【0020】
また、上記2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bは、車型の違いに応じて種々の箇所に形成することができる。例えば、図4、図5に示すような、インストルメントパネル5及びコンソール部4を有する車型においては、2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bは、コンソールパネル1の略上下方向に互いに略平行に横断する前方側折曲用薄肉部2Aと後方側折曲用薄肉部2Bとによって形成することができる。
【0021】
また、図5に示すごとく、コンソールパネル1の表面側101において、前方側折曲用薄肉部2Aに対応する部分には、前方側の折曲部分12を表面側101に折り曲げたときに、所定の角度折り曲げた位置で折曲を停止させるためのストッパー34を形成することができる。このストッパー34は、折曲部分12の表面側101において前方側折曲用薄肉部2Aに隣接する位置に設けたストッパー部分341と、中間部分13の表面側101において前方側折曲用薄肉部2Aに隣接する位置に設けたストッパー部分342と、各ストッパー部分341、342の間に前方側折曲用薄肉部2Aに対向して設けたV形状の切欠部343とによって構成することができる。そして、折曲部分12を折り曲げたときには、切欠部343における一対の側面同士が対面することによって、折曲部分12の折曲角度を規制することができる。
【0022】
また、図6に示すごとく、コンソールパネル1の裏面側102に補強リブ35が立設してある場合には、2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bの少なくとも一方は、補強リブ35を切り欠いた切欠部351の形成位置に対応して形成することもできる。補強リブ35を切り欠くことにより、折曲用薄肉部2A、2Bの形成箇所に対応してコンソールパネル1の剛性を低下させて、先端側の折曲部分12と中間部分13とを折り曲げ易くすることができる。
【0023】
本例のコンソールパネル1は、車両廃棄時等において、コンソール部4の内部又は前方に設けた機能部品6としてのエアバックインフレータ用制御装置6を露出させる際に、折り曲げ易くしたものである。
具体的には、本例のコンソールパネル1は、その前方側端部11の裏面側102において、上下方向又は斜め上下方向に横断する折曲用薄肉部2A、2Bを前後方向の2箇所に形成してなる。そして、2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bに沿って前方側端部11を表面側101に折り曲げる際には、2箇所の折曲用薄肉部2A、2Bによって前方側端部11を表面側101に折り返すことができる。
【0024】
これにより、前方側端部11が樹脂の反発力によって元の状態に戻らないようにすることができ、コンソール部4の前方先端部分に設けたエアバックインフレータ用制御装置6を露出させ易くすることができる。そのため、作業者がコンソールパネル1の前方側端部11を折り曲げた状態を片手で保持しなくても、この前方側端部11が折り曲がった状態を維持することができる。
そして、エアバックインフレータ用制御装置6に展開制御装置を接続し、エアバックインフレータを動作させて、エアバックを展開させた後、車両を廃棄することができる。
【0025】
それ故、本例のコンソールパネル1によれば、車両廃棄時等に、コンソールパネル1の前方側端部11を折り返した状態を維持することができ、露出させた機能部品6に対する作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 コンソールパネル
101 表面側
102 裏面側
11 前方側端部
12 先端側の折曲部分
13 中間部分
2A 前方側折曲用薄肉部
2B 後方側折曲用薄肉部
4 コンソール部
5 インストルメントパネル
6 機能部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席と助手席との間において、車両の前後方向に延設されたコンソール部の側方に取り付ける樹脂製のコンソールパネルであって、
該コンソールパネルは、その前方側端部の裏面側において、上下方向又は斜め上下方向に横断する折曲用薄肉部を前後方向の2箇所に形成してなり、
該2箇所の折曲用薄肉部に沿って上記前方側端部を表面側に折り返すことによって、該前方側端部が樹脂の反発力によって元の状態に戻らないようにして、上記コンソール部の内部又は前方に設けた機能部品を露出させるよう構成したことを特徴とするコンソールパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のコンソールパネルにおいて、上記2箇所の折曲用薄肉部のうち前方側に位置する前方側折曲用薄肉部よりも先端側の折曲部分は、上記コンソール部の側方に係止されておらず、
上記前方側折曲用薄肉部と他方の後方側折曲用薄肉部との間の中間部分と、上記後方側折曲用薄肉部よりも後方側において上記中間部分に隣接する部分とは、係止部によって上記コンソール部の側方に係止されており、
上記中間部分よりも先に上記先端側の折曲部分が上記前方側折曲用薄肉部を起点にして折り曲がり易くしたことを特徴とするコンソールパネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンソールパネルにおいて、上記2箇所の折曲用薄肉部は、断面V形状の溝によって形成してあることを特徴とするコンソールパネル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンソールパネルにおいて、上記コンソールパネルの裏面側には補強リブが立設してあり、
上記2箇所の折曲用薄肉部のうちの少なくとも一方は、上記補強リブを切り欠いた位置に対応して形成してあることを特徴とするコンソールパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−126418(P2011−126418A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286569(P2009−286569)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】