コンテキスト情報管理システム
【課題】 ユーザ情報の秘匿性を保ちつつコンテキスト情報の管理を可能にする。
【解決手段】 ユーザがアカウントを所有するドメインのリストを管理するユーザドメイン管理サーバと、
ユーザのアカウントに対して一時的に発行したワンタイムアカウントを管理するワンタイムアカウント管理サーバを備え、クライアントからのアカウント情報通知要求に対し、ユーザIDに対応したアカウントグループIDと、アカウントグループIDに対して発行されたワンタイムアカウントをクライアントに通知することで、ユーザIDを隠蔽したままユーザのアカウント、コンテキスト情報の管理を可能にする。
【解決手段】 ユーザがアカウントを所有するドメインのリストを管理するユーザドメイン管理サーバと、
ユーザのアカウントに対して一時的に発行したワンタイムアカウントを管理するワンタイムアカウント管理サーバを備え、クライアントからのアカウント情報通知要求に対し、ユーザIDに対応したアカウントグループIDと、アカウントグループIDに対して発行されたワンタイムアカウントをクライアントに通知することで、ユーザIDを隠蔽したままユーザのアカウント、コンテキスト情報の管理を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのコンテキスト情報を管理するシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートパソコンの普及に見られるように、ユーザが所有する端末は小型化の一途をたどっている。ユーザは端末を肌身離さず持ち歩くようになり、他人とのコミュニケーションにおいて時間・場所を選ぶ必要性は薄れつつある。このように、他人へアクセスする手段は多様化したが、実際の環境においては、相手とコミュニケーションをとる時に相手の状況を考慮する必要がある。
【0003】
この問題を解決する技術に、コンテキスト情報管理システムがある。コンテキストとは、人間の周辺状況に関する情報であり、ユーザの所有する端末の稼動情報から、現在位置、作業状況など、幅広い内容を含む。コンテキスト情報管理システムでは、ユーザはこれらのコンテキスト情報を、手動あるいは自動でコンテキスト管理サーバに登録する。コンテキスト管理サーバは、登録されたコンテキスト情報を、最新のコンテキスト情報を要求している他のユーザに通知する。コンテキスト情報は更新されるごとにユーザに通知されるので、ユーザは常に最新のコンテキスト情報を取得することが可能となる。
【0004】
コンテキスト情報の応用例の一つに、着信端末の選択がある。これは、複数の端末を所有するユーザに対して、他のユーザがコミュニケーションをとるために、電話の発信、メール送信などの行動を起こした場合に、ユーザの状況や嗜好に応じて、最適な端末へと着信させる機能である。このようなシステムの例としては、予め着信者が最適な通信方法、端末の種類を登録するシステム(例えば、特許文献1)や、これに発信者側の指定した優先度を反映させるシステム(例えば、特許文献2)がある。
【0005】
【特許文献1】特開平10−336319号
【0006】
【特許文献2】特開2005−208725号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来例では、ユーザが所有する全端末の情報をコンテキスト管理サーバが有することが必要になる。しかしながら、一般にはユーザは複数のドメインに複数のアカウントを所有し、端末の通信媒体も携帯電話網、IP網など多岐にわたるのに対し、コンテキスト管理サーバは単一のドメインにおいてコンテキスト情報を管理することが多い。これを解決するためには、複数のドメインを管理対象としたコンテキスト管理サーバを用いる方法が考えられるが、ドメインをまたがってユーザのアカウントや端末の情報を収集する必要がある。アカウント情報や端末情報は機密性の高い情報であり、異なるドメイン、異なる事業者が発行したアカウント情報を他ドメインの管理者が入手することは困難である。また、仮にユーザの同意を得てユーザの全アカウントに関する情報を収集できたとしても、ユーザの個人情報を一括して管理するサーバをシステム内に備えることになり、情報漏洩の危険性が高まるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するために、本発明のコンテキスト情報管理システムは、ユーザIDと、ユーザが端末と端末に対応したアカウントを所有するドメイン名を管理し、一時的なワンタイムアカウントの発行をユーザアカウントの属する各ドメインのコンテキスト管理サーバに対して要求するユーザドメイン管理サーバと、発行されたワンタイムアカウントの組をグループ化して管理するワンタイムアカウント管理サーバを備える。ユーザドメイン管理サーバは、アカウント情報通知要求を受信すると、ワンタイムアカウント管理サーバに対して、全ユーザアカウントに対応したワンタイムアカウントを、アカウント情報の要求元へ通知するよう依頼する。同時に、要求されたユーザのアカウントが属する全てのドメインのコンテキスト管理サーバに対して、ワンタイムアカウントの発行を依頼する。各ドメインのコンテキスト管理サーバは、ワンタイムアカウントを発行して、ワンタイムアカウント管理サーバに登録する。ワンタイムアカウント管理サーバが、このワンタイムアカウントの組をアカウント情報の要求元へ通知することで、アカウント情報要求元は、ワンタイムアカウントによってユーザの全ての端末へアクセスすることが可能になり、かつワンタイムアカウントは一時的なものであるため、万一漏洩してもユーザの個人情報が漏洩することはない。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明は、複数のアカウントを所有するユーザに対して、コンテキスト情報を活用した着信端末の選択を行う場合、特にユーザがアカウントを複数のドメインにまたがって所有する場合に、ワンタイムアカウントによって複数のアカウントのコンテキスト情報を管理するので、個人情報の機密性を保持しつつ、ユーザが所有するアカウントに関する情報を一括して管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用するシステムの一例を示し、複数のドメインから成るネットワークにおけるコンテキスト情報管理システムの構成図である。 コンテキスト管理システムは、ユーザIDとユーザアカウントの属するドメイン名の組を管理するユーザドメイン管理サーバ1、ユーザドメイン管理サーバからの要求に応じて、各ドメインのユーザアカウントに対するワンタイムアカウントを管理するワンタイムアカウント管理サーバ2、各ドメインにおいてユーザのコンテキスト情報を管理するコンテキスト管理サーバ5−1〜5−M、ユーザクライアント6A−1〜6A−M、6Bで構成される。これらのシステム構成要素は複数のドメイン1〜N(4−1〜4−N)にわたって存在し、各ドメインはネットワーク3を通して互いに接続される。
【0011】
ユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザIDとユーザアカウントの所属ドメインの組を管理する。図1において、ユーザAはドメイン1(4−1)〜ドメインM(4−M)にクライアント1〜M(6A−1〜6A−M)を所有するので、ユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザAに対してIDとコンテキスト管理サーバ1〜M(5−1〜5−M)を関連付けてデータベースで管理する。また、ユーザアカウントに対応したワンタイムアカウントの発行を、コンテキストサーバに依頼する機能を有する。
ワンタイムアカウント管理サーバ2は、ユーザドメイン管理サーバ1からの要求に応じて、指定されたドメインの集合に対応するワンタイムアカウントの組を要求する。コンテキスト管理サーバ5−1〜5−Mによって発行されたワンタイムアカウントは、グループ化したアカウント群として扱われ、ワンタイムアカウント情報データベースで管理される。
【0012】
コンテキスト管理サーバ5−1〜5−Mは、1つのドメインにおけるユーザのコンテキスト情報を管理する。例えば図1においては、コンテキスト管理サーバ1はユーザAクライアント1(6A−1)のコンテキスト情報を管理する。ユーザクライアント6A−1〜6A−M、6Bは、ユーザの所有する端末を表し、ユーザにIP電話やインスタントメッセージなどのコミュニケーション手段や、コンテキスト情報を閲覧する機能を提供する。
【0013】
次に、各装置の詳細な構成を示す。図2はユーザドメイン管理サーバ1の機能ブロック図である。ユーザドメイン管理サーバ1はネットワークインターフェース10、CPU12、ハードディスク14、メモリ16、バス18という基本ハードウェア構成を備え、ネットワークインターフェース10上のパケット送受信部101を介してネットワーク3と通信を行う。メモリ16上にはユーザのIDとドメインの対応を管理する、ユーザドメイン管理プログラム161を搭載している。ユーザドメイン管理プログラム161は、ワンタイムアカウントの通知、発行要求、登録などの制御を行うユーザアカウント制御プロトコル1611、通信状況を監視し、必要に応じてタイムアウト処理を行うための通信監視タイマ1613により構成される。ハードディスク14には、ユーザIDと、ユーザが所有するアカウントが属するドメインのコンテキスト管理サーバの組を管理するユーザドメイン情報テーブル141−Aを含んだユーザドメイン情報DB141が格納され、メモリ16上にロードされたユーザドメイン管理プログラム161により読み書きが行われる。ユーザドメイン情報DB141は、データ量に応じてメモリ16上に格納される場合もある。
【0014】
図3はワンタイムアカウント管理サーバ2の機能ブロック図である。ワンタイムアカウント管理サーバ2はネットワークインターフェース20、CPU22、ハードディスク24、メモリ26、バス28という基本ハードウェア構成を備え、ネットワークインターフェース20上のパケット送受信部201を介してネットワーク3と通信を行う。メモリ26上には、ユーザアカウントに対して発行されたワンタイムアカウントを管理する、ワンタイムアカウント管理プログラム261を搭載している。ワンタイムアカウント管理プログラム261は、ワンタイムアカウントの通知、発行要求、登録などの制御を行うユーザアカウント制御プロトコル2611、コンテキスト情報の収集、通知を行うコンテキスト情報制御プロトコル2613、通信状況を監視し、必要に応じてタイムアウト処理を行うための通信監視タイマ2615により構成される。ハードディスク24には、ワンタイムアカウントのグループを識別するアカウントグループID、ワンタイムアカウントの通知先アドレスと、ワンタイムアカウントとそれを発行したコンテキスト管理サーバの対を管理する、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aを含んだ、ワンタイムアカウント情報DB241が格納され、メモリ26上にロードされたワンタイムアカウント管理プログラム261により読み書きが行われる。ワンタイムアカウント情報DB241は、データ量に応じてメモリ26上に格納される場合もある。
【0015】
図4はコンテキスト管理サーバ5の機能ブロック図である。コンテキスト管理サーバ5はネットワークインターフェース50、CPU52、ハードディスク54、メモリ56、バス58という基本ハードウェア構成を備え、ネットワークインターフェース50上のパケット送受信部501を介してネットワーク3と通信を行う。メモリ56上には、ユーザのコンテキスト情報を管理するコンテキスト管理プログラム561を搭載している。コンテキスト管理プログラム561は、コンテキスト情報の収集、通知を行うコンテキスト情報制御プロトコル5611、ワンタイムアカウントの通知、発行要求、登録などの制御を行うユーザアカウント制御プロトコル5613、ワンタイムアカウントを発行するワンタイムアカウント生成モジュール5615、通信状況を監視し、必要に応じてタイムアウト処理を行うための通信監視タイマ5617により構成される。ハードディスク54には、ユーザのコンテキスト情報としてユーザID、ワンタイムアカウント、実アカウントとコンテキスト情報の組を管理する、コンテキスト情報テーブル541−Aを含んだコンテキスト情報DB541、及びユーザIDと実アカウントの組を管理するアカウント情報テーブル542−Aを含んだアカウント情報DB542が格納され、メモリ56上にロードされたコンテキスト管理プログラム561により読み書きが行われる。コンテキスト情報DB541、アカウント情報DB542は、データ量に応じてメモリ56上に格納される場合もある。
【0016】
図5はクライアント6の機能ブロック図である。クライアント6はネットワークインターフェース60、CPU62、ハードディスク64、メモリ66、バス68という基本ハードウェア構成を備え、ネットワークインターフェース60上のパケット送受信部601を介してネットワーク3と通信を行う。メモリ66上には、ユーザのコンテキスト情報を管理するコンテキスト管理プログラム661を搭載している。コンテキスト管理プログラム661は、コンテキスト情報の収集、通知を行うコンテキスト情報制御プロトコル6611、ワンタイムアカウントの通知、発行要求、登録などの制御を行うユーザアカウント制御プロトコル6613、通信状況を監視し、必要に応じてタイムアウト処理を行うための通信監視タイマ5615により構成される。ハードディスク54には、ユーザのコンテキスト情報としてユーザID、アカウントとコンテキスト情報の組を管理する、コンテキスト情報テーブル641−Aを含んだコンテキスト情報DB641が格納され、メモリ66上にロードされたコンテキスト管理プログラム661により読み書きが行われる。コンテキスト情報DB641は、データ量に応じてメモリ66上に格納される場合もある。
【0017】
次に、ワンタイムアカウントによるユーザアカウント情報管理の様子を示す。図6はドメインN(4−N)のユーザBクライアント6Bが、ユーザAのアカウントに関する情報を取得する場合の模式図である。例えばユーザBがユーザAへアクセスするために、ユーザAが所有する全アカウントの情報を取得する場合にこの処理が実行される。
【0018】
ユーザアカウント情報の取得処理は、ユーザBクライアント6Bがユーザドメイン管理サーバ1に、アカウント情報通知要求を送信する(NF1−01)ことから始まる。アカウント情報通知要求を受信したユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザドメイン情報DB141から、要求されたユーザのアカウントが属するドメインを取得し、ワンタイムアカウント管理サーバ2にワンタイムアカウント通知要求を送信する(NF1−03)。ユーザAはクライアントをドメイン1〜Mに所有するので、ワンタイムアカウントの通知対象はドメイン1〜Mになる。
【0019】
ワンタイムアカウント通知要求NF1−03は、ワンタイムアカウントの通知先と、ワンタイムアカウントを登録するドメインに属するコンテキスト管理サーバのリストを情報として含む。ワンタイムアカウント管理サーバ2は、リストに含まれているドメインのコンテキスト管理サーバからのワンタイムアカウント登録を待ち受ける。
【0020】
ワンタイムアカウント管理サーバ2へワンタイムアカウント通知要求を送信した後、ユーザドメイン管理サーバ1は、各ドメイン(1〜M)のコンテキスト管理サーバにワンタイムアカウントを登録するよう要求する(NF1−05)。ワンタイムアカウント登録要求NF1−05を受信した各コンテキスト管理サーバは、ワンタイムアカウントを発行して、ワンタイムアカウント管理サーバ2に登録する(NF1−07)。ここで発行されるワンタイムアカウントは一定期間内でのみ有効であり、期間が過ぎれば失効する。ワンタイムアカウント管理サーバ2は、ワンタイムアカウント通知要求NF1−03で指定された全てのコンテキスト管理サーバがワンタイムアカウントを登録したことを確認した後に、ユーザAに対して発行されたワンタイムアカウントの組を、ユーザBクライアント6Bへ通知する(NF1−09)。以上の処理を経て、ユーザBはユーザAの所有する全アカウントの情報を取得する。
【0021】
ユーザのアカウント情報を取得するのはクライアントに限定されない。図7はドメイン1(4−1)のコンテキスト管理サーバ5−1が、ユーザAのドメイン1以外に属するアカウントの情報を取得する場合の模式図である。例えばユーザAクライアント1(6A−1)に着信があり、これをコンテキスト管理サーバ1(5−1)が、ユーザAの他の端末へ転送するために、ユーザAが所有する他のアカウントの情報を取得する場合にこの処理が実行される。
【0022】
ユーザアカウント情報の取得処理は、コンテキスト管理サーバ1(5−1)がユーザドメイン管理サーバ1に、アカウント情報通知要求を送信する(NF2−01)ことから始まる。アカウント情報通知要求を受信したユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザドメイン情報DB141から、要求されたユーザのアカウントが属するドメインを取得し、ワンタイムアカウント管理サーバ2にワンタイムアカウント通知要求を送信する(NF1−03)。ユーザAはクライアントをドメイン1〜Mに所有するので、ワンタイムアカウントの通知対象はドメイン1〜Mであるが、アカウント情報の要求元がユーザドメイン情報DB141に含まれるコンテキスト管理サーバの中の一つである場合、コンテキスト管理サーバが属するドメインに関してはアカウント情報を取得する必要はない。したがって、ユーザドメイン管理サーバ1がワンタイムアカウント管理サーバ2に送信するワンタイムアカウント通知要求NF2−03には、ドメイン2〜Mが指定される。これ以降の処理は、図6と同様である。
【0023】
図8は登録済みのワンタイムアカウントから、実アカウントのコンテキスト情報を取得する処理の模式図である。図6または図7の処理により、コンテキスト情報の要求元は、対象となるユーザのワンタイムアカウントを取得済みであるとする。図8ではユーザBクライアント6BがユーザAクライアント2(6A−2)のコンテキスト情報を取得する。最初にユーザBクライアント6Bは、コンテキスト情報通知要求をワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する(NF3−01)。コンテキスト情報の通知に際しては、取得済みのワンタイムアカウントを指定する。
コンテキスト情報通知要求を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、ワンタイムアカウント情報DB241を参照して、ワンタイムアカウントを登録したコンテキスト管理サーバ2(5−2)を抽出し、コンテキスト情報通知要求を転送する(NF3−03)。コンテキスト情報通知要求を受信したコンテキスト管理サーバ2は、要求されたコンテキスト情報をワンタイムアカウント管理サーバ2へ送信する(NF3−05)。最後にワンタイムアカウント管理サーバ2が、コンテキスト情報をユーザBクライアント6Bに転送して、コンテキスト情報の取得処理は完了する。
【0024】
次に、アカウント情報管理の様子を、通信シーケンスを用いて詳細に説明する。図9は図6を詳細に説明したもので、ユーザBクライアント6BがユーザAのアカウント情報を取得する処理を表している。最初にユーザBクライアント6Bは、アカウント情報通知要求S1−01をユーザドメイン管理サーバ1に送信する。アカウント情報通知要求の内容を図16に示す。アカウント情報通知要求PF−01は、パケット種別(アカウント情報通知要求)、アカウント情報要求元アドレス、ユーザID、アカウントグループIDを要素として含む。ここではアカウント情報要求元はユーザBクライアント6Bとなる。ユーザIDは誰のアカウント情報を通知するか示すものであり、この例ではユーザAを指定する。アカウントグループIDは、アカウント情報を受信する際に、通知されたアカウント情報の対象ユーザを識別するために用いる識別子であり、アカウント情報の要求元がランダムに一意な値を発行して、ユーザドメイン管理サーバ1に渡す。
【0025】
アカウント情報通知要求S1−01を受信したユーザドメイン管理サーバは、ユーザBがユーザAのアカウント情報を要求していることを知り、ユーザドメイン情報テーブル141−Aから、ユーザAがアカウントを持っているドメインのコンテキスト管理サーバのリストを取得する。その後、ワンタイムアカウント通知要求S1−04を、ワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する。ワンタイムアカウント通知要求の内容を図16に示す。ワンタイムアカウント通知要求PF−02は、パケット種別(ワンタイムアカウント通知要求)、アカウント情報通知先アドレス、アカウントグループID、コンテキスト管理サーバリストを含む。今アカウント情報を要求しているのはユーザBであるため、アカウント情報通知先アドレスにはユーザBクライアント6Bのアドレスが指定される。ワンタイムアカウントの通知を要求する際には、そのワンタイムアカウントがどのユーザのために登録されるものであるかをワンタイムアカウント管理サーバ2に指定しなければならない。ここでユーザBが要求しているのはユーザAのアカウント情報であるが、ユーザIDを直接指定すると、ワンタイムアカウント管理サーバに一時的にユーザAのアカウント情報が集約されることになり、情報の秘匿性が保たれない。そこで、ユーザの指定には、ユーザBクライアント6Bがユーザドメイン管理サーバ1に通知した、アカウントグループIDを用いる。アカウントグループIDとユーザIDの対応を知っているのは、この時点ではユーザBクライアント6Bとユーザドメイン管理だけであり、ワンタイムアカウント管理サーバから情報が漏洩しても、それがどのユーザの情報であるかを特定することはできず、情報の秘匿性が保たれる。
【0026】
ワンタイムアカウント通知要求S1−04を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、メッセージに含まれている情報から、アカウントグループIDで指定されたあるユーザに対するアカウント情報を、ユーザBクライアント6Bが要求していること、アカウントの所有者は、コンテキスト管理サーバリストで指定されたサーバにアカウントを有していることを知る。そして、それぞれのコンテキスト管理サーバがワンタイムアカウントを登録するのを待ち受ける。
【0027】
ワンタイムアカウント管理サーバ2へアカウント情報の通知を要求したユーザドメイン管理サーバ1は、次の処理として、ユーザAに対応した全てのコンテキスト管理サーバに対してワンタイムアカウント登録要求を送信する(S1−07、10)。ワンタイムアカウント登録要求の内容を図16に示す。ワンタイムアカウント登録要求PF−03は、パケット種別(ワンタイムアカウント登録要求)、ユーザID、アカウントグループIDを含む。ユーザIDはどのユーザに対するワンタイムアカウントを登録するかを指定する要素であり、ここではユーザAが該当する。ユーザIDとアカウントグループIDは、ワンタイムアカウント管理サーバ2にワンタイムアカウントを登録する際に、ユーザの個人情報を隠蔽するためにコンテキスト管理サーバが使用する。
【0028】
ワンタイムアカウント登録要求を受信した各コンテキスト管理サーバ5−1〜5−Mは、指定されたユーザIDに対してワンタイムアカウントを発行する。発行したワンタイムアカウントは、ユーザID、ワンタイムアカウント、実アカウントとコンテキスト情報の組として、コンテキスト情報テーブル541−Aに格納される。その後、発行したワンタイムアカウントをワンタイムアカウント管理サーバに登録する(S1−13、16)。ワンタイムアカウントの登録に際しては、コンテキスト管理サーバはユーザの情報を隠蔽するために、ワンタイムアカウント登録要求S1−7、10で指定されたアカウントグループIDを用いて、登録するワンタイムアカウントが対象とするユーザを指定する。ワンタイムアカウント登録の内容を図16に示す。ワンタイムアカウント登録PF−04はパケット種別(ワンタイムアカウント登録)、アカウントグループID、アカウント登録元アドレスとワンタイムアカウントを含む。アカウント登録元アドレスには、コンテキスト管理サーバ自身のアドレスを含める。
【0029】
ワンタイムアカウント登録S1−13、16を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、ワンタイムアカウント登録メッセージのアカウントグループIDとアカウント登録元アドレスを調べ、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aの該当するテーブルにワンタイムアカウントを登録する。次に、指定されたアカウントグループIDに対して、全てのコンテキスト管理サーバからのワンタイムアカウント登録が完了したかどうか判定する。アカウント登録が全て完了した時点で、ワンタイムアカウント管理サーバ2は、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aのワンタイムアカウント通知先アドレス(ユーザBクライアント6B)にアカウント情報通知を送信する(S1−19)。アカウント情報登録の内容を図16に示す。アカウント情報登録PF−05はパケット種別(アカウント情報通知)、アカウントグループIDとワンタイムアカウントのリストを含む。アカウント情報通知S1−19にはアカウントグループIDは含まれているが、ユーザIDは含まれていない。しかしアカウント情報の要求元であるユーザBクライアント6Bは、ユーザIDとアカウントグループIDの対を管理しているため、通知されたアカウントがどのユーザに対するものかを知ることができる。また、通知されたアカウントはワンタイムアカウントであり、これらが漏洩してもユーザの実アカウント情報が漏洩することはない。
【0030】
次に、コンテキスト管理サーバがユーザアカウント情報を要求する処理について詳述する。図10は図7を詳細に説明したもので、コンテキスト管理サーバ1(5−1)がユーザAのアカウント情報を取得する処理を表している。最初にコンテキスト管理サーバ1(5−1)は、アカウント情報通知要求S2−01をユーザドメイン管理サーバ1に送信する。アカウント情報通知要求S2−01を受信したユーザドメイン管理サーバは、コンテキスト管理サーバ1(5−1)がユーザAのドメイン1(4−1)以外のアカウント情報を要求していることを知り、ユーザドメイン情報テーブル141−Aから、ユーザAがアカウントを持っているドメインのコンテキスト管理サーバのリストを取得する。ここで、アカウント情報の要求元が、コンテキスト管理サーバリストに含まれているので、ワンタイムアカウント通知要求S1−04をワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する際には、リストからコンテキスト管理サーバ1(5−1)を除外し、コンテキスト管理サーバ2〜M(5−2〜5−M)を指定する。同様に、コンテキスト管理サーバにワンタイムアカウント登録要求を送信する時にも、コンテキスト管理サーバ2〜M(5−2〜5−M)が対象となる(S2−07、10)。以降の処理S2−13〜S2−19は、S1−13〜S1−19と同様の処理を行う。
【0031】
図11は図8を詳細に説明したもので、ユーザBクライアント6B、又はコンテキスト管理サーバ1(5−1)が、ドメイン2(4−2)に属するユーザAのアカウントに対してコンテキスト情報を取得する処理を示す。以下、例としてコンテキスト情報の要求元がユーザBクライアント6Bであり、ワンタイムアカウントはワンタイムアカウント管理サーバのドメインに属するものとする。
【0032】
最初にユーザBクライアント6Bは、コンテキスト情報通知要求S3−01をワンタイムアカウント管理サーバに送信する。コンテキスト情報通知要求の内容を図16に示す。コンテキスト情報通知要求PF−06はパケット種別(コンテキスト情報通知要求)、コンテキスト情報要求元アドレスとユーザアカウントを含む。ユーザBクライアント6Bが取得しているアカウント情報はコンテキスト管理サーバ2(5−2)がワンタイムアカウント管理サーバ2に登録したワンタイムアカウント2(241−2)であるため、これをユーザアカウントとして指定する。
【0033】
コンテキスト情報通知要求S3−01を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、ユーザアカウントをキーとしてワンタイムアカウント情報テーブル241−Aを検索する。検索の結果、ワンタイムアカウント2(241−4)を登録したコンテキスト管理サーバ2(5−2)が得られるので、コンテキスト情報通知要求をコンテキスト管理サーバ2(5−2)に転送する(S3−04)。コンテキスト情報通知要求を受信したコンテキスト管理サーバ2(5−2)は、指定されたユーザアカウントをキーとしてコンテキスト情報テーブル541−Aを検索し、要求されたコンテキスト情報を取得する。このコンテキスト情報をコンテキスト情報要求元へ通知するために、コンテキスト管理サーバ2(5−2)はコンテキスト情報通知S3−07をワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する。コンテキスト情報通知の内容を図16に示す。コンテキスト情報通知PF−07はパケット種別(コンテキスト情報通知)、コンテキスト情報通知先アドレス、ユーザアカウントとコンテキスト情報を含む。コンテキスト情報通知S3−07を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、コンテキスト情報の通知先へメッセージを転送する(S3−10)。以上の処理を経て、ユーザBクライアント6Bは目的のコンテキスト情報を取得することができる。
【0034】
図17はコンテキスト情報を呼制御に応用する場合のシーケンスである。本発明によれば、ユーザBがユーザAに通話を行う場合に、ユーザAが所有するクライアントのアドレスではなく、ユーザAのユーザIDだけを指定すれば通話が可能である。ユーザBは最初に、発信要求を自身が所属するドメインのコンテキスト管理サーバN(5−N)に送信する(S4−01)。この発信要求は、例えばSIP(Session Initiation Protocol)のINVITEメッセージなどで実現される。ユーザBは宛先としてユーザAのユーザIDを指定する。発信要求を受信したコンテキスト管理サーバN(5−N)は、指定されたユーザのアカウント情報を取得するために、アカウント情報通知要求をユーザドメイン管理サーバ1に送信する(S4−04)。以後、アカウント情報通知をコンテキスト管理サーバNが受信する(S4−22)までの処理は、図9におけるアカウント情報通知要求送信(S1−01)からアカウント情報通知受信(S1−19)と同様の手順を踏む。ユーザAのアカウント情報を取得したコンテキスト管理サーバNは、取得した全てのアカウントのコンテキスト情報を取得するために、コンテキスト情報通知要求をコンテキスト管理サーバに送信する(S4−25、28)。コンテキスト情報通知要求の宛先は、ワンタイムアカウントの所属するドメインに存在するコンテキスト管理サーバである。コンテキスト情報通知要求を受信した各コンテキスト管理サーバは、コンテキスト情報通知をコンテキスト管理サーバN(5−N)へ返信する(S4−31、34)。全てのコンテキスト情報を取得したコンテキスト管理サーバN(5−N)は、どのワンタイムアカウントに発信要求を送信すべきかを判断する。判断にはコンテキスト情報の内容(在席、オフライン、不在)や、クライアントの優先度などが用いられる。最適なメッセージ送信先を決定した後、コンテキスト管理サーバN(5−N)は発信要求をコンテキスト管理サーバに転送する(S4−37)。図17ではコンテキスト管理サーバ1(5−1)に発信要求を転送する様子が示されている。発信要求を受信したコンテキスト管理サーバ1(5−1)は、宛先が自身がS4−16で発行したワンタイムアカウントであることを把握し、発信要求をユーザAクライアント1(6A−1)に転送する。以上の処理により、ユーザIDのみを指定した発信処理が可能になる。
【0035】
次に、コンテキスト情報管理システムにおける各装置の処理フローチャートを示す。図12はユーザドメイン管理サーバ1のフローチャートである。ユーザドメイン管理サーバ1は起動時に初期化処理を行い、メッセージ受信ループを開始させる(F1−01、04)。メッセージ受信ループにおいてアカウント情報通知要求を受信した場合(F1−07)、ユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザIDをキーとしてユーザドメイン情報テーブル141−Aを検索し、コンテキスト管理サーバのリストを取得する(F1−16)。次に、アカウント情報の要求元が、取得したコンテキスト管理サーバのリストに含まれているかどうかを判定する(F1−19)。含まれていない場合は、ワンタイムアカウント管理サーバ2に対して、リスト中の全てのコンテキスト管理サーバを指定したワンタイムアカウント通知要求を送信し(F1−22)、リスト中の全てのコンテキスト管理サーバに対してワンタイムアカウント登録要求を送信する(F1−25)。アカウント情報の要求元がコンテキスト管理サーバのリストに含まれていた場合は、ワンタイムアカウント管理サーバ2に対して、リスト中でアカウント情報の要求元以外のコンテキストサーバを指定したワンタイムアカウント通知要求を送信し(F1−28)、アカウント情報の要求元以外の全てのコンテキストサーバにワンタイムアカウント登録要求を送信する(F1−31)。メッセージ受信ループはユーザドメイン管理サーバ1のシャットダウン時に終了し(F1−10)、メッセージ受信ループを停止させた後にユーザドメイン管理サーバ1は機能を停止する(F1−13)。
【0036】
図13はワンタイムアカウント管理サーバ2のフローチャートである。ワンタイムアカウント管理サーバ2は起動時に初期化処理を行い、メッセージ受信ループを開始させる(F2−01、04)。メッセージ受信ループにおいてワンタイムアカウント情報通知要求を受信した場合(F2−07)、ワンタイムアカウント管理サーバはメッセージで指定されたアカウントグループID、情報通知先アドレス、コンテキスト管理サーバリストを、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aに登録する(F2−25)。ワンタイムアカウント登録を受信した場合、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aの該当するレコードに、ワンタイムアカウントを格納する(F2−28)。次に、通知されたワンタイムアカウントのアカウントグループIDに対して、未登録のワンタイムアカウントがあるか否かを判定する(F2−31)。未登録のワンタイムアカウントがない場合は、ワンタイムアカウントの登録処理が完了したことを意味するので、ワンタイムアカウント管理サーバ2はアカウント情報通知を、アカウント情報通知先アドレスへ送信する(F2−34)。コンテキスト情報通知要求を受信した場合(F2−13)、ワンタイムアカウント情報テーブル241−1から宛先となるコンテキスト管理サーバのアドレスを決定し、メッセージを転送する(F2−37)。コンテキスト情報通知を受信した場合(F2−16)、メッセージで指定されたコンテキスト情報通知先アドレスへメッセージを転送する(F2−40)。メッセージ受信ループはワンタイムアカウント管理サーバ2のシャットダウン時に終了し(F2−19)、メッセージ受信ループを停止させた後にワンタイムアカウント管理サーバ2は機能を停止する(F2−22)。
【0037】
図14はコンテキスト管理サーバ5のフローチャートである。コンテキスト管理サーバ5は起動時に初期化処理を行い、メッセージ受信ループを開始させる(F3−01、04)。メッセージ受信ループにおいてワンタイムアカウント登録要求を受信した場合(F3−07)、コンテキスト管理サーバ5はワンタイムアカウントを生成して、コンテキスト情報テーブル541−Aにワンタイムアカウントと実アカウント、コンテキスト情報の組を登録し(F3−19)、生成したワンタイムアカウントをワンタイムアカウント管理サーバに送信する(F3−22)。コンテキスト情報通知要求を受信した場合(F3−10)は、要求されたアカウントに対するコンテキスト情報を通知するために、ワンタイムアカウント管理サーバにコンテキスト情報通知を送信する(F3−25)。発信要求を受信した場合(F3−28)、コンテキスト管理サーバは宛先アドレスが自身の管理するドメインに所属しているかどうかを判定する(F3−37)。宛先が自ドメインのクライアントである場合、発信要求を当該クライアントに転送する(F3−55)。そうでない場合は、発信要求は新規呼に該当する。この時コンテキスト管理サーバは、発信要求の転送先を決定するために必要な情報を収集する目的で、宛先ユーザのユーザIDを設定したアカウント情報通知要求をユーザドメイン管理サーバに送信する(F3−40)。コンテキスト管理サーバがアカウント情報通知を受信した場合(F3−31)、最初に、発信要求を処理中かどうか判定する(F3−43)。発信要求の処理中である場合は、アカウント情報はメッセージの転送先を決定するための準備に相当するため、次の処理としてコンテキスト管理サーバは、取得したワンタイムアカウントを指定したコンテキスト情報通知要求を、対象となる全コンテキスト管理サーバに送信する(F3−46)。コンテキスト情報通知を受信した場合(F3−34)、コンテキスト管理サーバは、対象となるユーザのコンテキスト情報を全て取得したかどうかを判定する(F3−49)。未取得のコンテキスト情報がある場合、全てのコンテキスト情報を取得するまで待機する。発信要求で指定されたユーザの全コンテキスト情報を取得済みの場合は、コンテキスト情報から最適なメッセージの転送先を決定し、発信要求を転送する(F3−52)。メッセージ受信ループはコンテキスト管理サーバ5のシャットダウン時に終了し(F3−13)、メッセージ受信ループを停止させた後にコンテキスト管理サーバ5は機能を停止する(F3−16)。
【0038】
図15はクライアント6のフローチャートである。クライアント6は起動時に初期化処理を行い、イベント受信ループを開始させる(F4−01、04)。イベントループはユーザの操作やネットワーク経由のメッセージ着信を待ち受ける役割を果たす。ユーザがアカウント情報通知要求ボタンを押下した場合(F4−07)、クライアント6はアカウント情報を取得するために、アカウント情報通知要求をユーザドメイン管理サーバ1に送信する(F4−19)。ユーザがコンテキスト情報通知要求ボタンを押下した場合(F4−10)は、コンテキスト情報通知要求をワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する(F4−22)。イベント受信ループはクライアント6のシャットダウン時に終了し(F4−13)、イベント受信ループを停止させた後にクライアント6は機能を停止する(F4−16)。
【0039】
上記の発明により、ユーザが異なるドメインに複数のアカウントを所有する状態において、他のユーザが該ユーザに対してコミュニケーションを取る際に,該ユーザの全てのアカウントに対応するコンテキスト情報を知りえない場合においても、ユーザIDを用いてユーザドメイン管理サーバに、該ユーザのアカウント情報を要求し、これを受けてワンタイムアカウント管理サーバが該ユーザに対して発行された、一時的なワンタイムアカウントを上記他のユーザに通知することで、上記他のユーザはワンタイムアカウントにより該ユーザの全てのアカウントに対応するコンテキスト情報を取得し、適切な手段を用いて該ユーザとコミュニケーションを取ることが可能となる。発行されたワンタイムアカウントは一時的なものであり、これにより該ユーザの真のアカウントに関する情報が漏曳することはない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明に係るコンテキスト情報管理システムでは、ユーザドメイン管理サーバとワンタイムアカウント管理サーバにより、秘匿性を保ちつつユーザのアカウント情報、コンテキスト情報を管理することができるので、1ユーザが複数のアカウント。及びこれに対応したコミュニケーション端末を複数のドメインにわたって所有する、マルチモーダルコミュニケーションシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態を示すコンテキスト情報管理システムのネットワーク構成図。
【図2】ユーザドメイン管理サーバの機能ブロック図。
【図3】ワンタイムアカウント管理サーバの機能ブロック図。
【図4】コンテキスト管理サーバの機能ブロック図。
【図5】クライアントの機能ブロック図。
【図6】ユーザクライアント主導のアカウント情報取得処理を説明するネットワーク構成図。
【図7】コンテキスト管理サーバ主導のアカウント情報取得処理を説明するネットワーク構成図。
【図8】コンテキスト情報取得処理を説明するネットワーク構成図。
【図9】ユーザクライアント主導のアカウント情報取得処理を説明するシーケンス図。
【図10】コンテキスト管理サーバ主導のアカウント情報取得処理を説明するシーケンス図。
【図11】コンテキスト情報取得処理を説明するシーケンス図。
【図12】ユーザドメイン管理サーバのフローチャート。
【図13】ワンタイムアカウント管理サーバのフローチャート。
【図14】コンテキスト管理サーバのフローチャート。
【図15】クライアントのフローチャート。
【図16】パケットフォーマットの一覧。
【図17】発信要求処理を説明するシーケンス図。
【符号の説明】
【0042】
1 ユーザドメイン管理サーバ
2 ワンタイムアカウント管理サーバ
3 ネットワーク
4−1〜4−N ネットワークドメイン
5−1〜5−M コンテキスト管理サーバ
6−1〜6−M、6B クライアント。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのコンテキスト情報を管理するシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートパソコンの普及に見られるように、ユーザが所有する端末は小型化の一途をたどっている。ユーザは端末を肌身離さず持ち歩くようになり、他人とのコミュニケーションにおいて時間・場所を選ぶ必要性は薄れつつある。このように、他人へアクセスする手段は多様化したが、実際の環境においては、相手とコミュニケーションをとる時に相手の状況を考慮する必要がある。
【0003】
この問題を解決する技術に、コンテキスト情報管理システムがある。コンテキストとは、人間の周辺状況に関する情報であり、ユーザの所有する端末の稼動情報から、現在位置、作業状況など、幅広い内容を含む。コンテキスト情報管理システムでは、ユーザはこれらのコンテキスト情報を、手動あるいは自動でコンテキスト管理サーバに登録する。コンテキスト管理サーバは、登録されたコンテキスト情報を、最新のコンテキスト情報を要求している他のユーザに通知する。コンテキスト情報は更新されるごとにユーザに通知されるので、ユーザは常に最新のコンテキスト情報を取得することが可能となる。
【0004】
コンテキスト情報の応用例の一つに、着信端末の選択がある。これは、複数の端末を所有するユーザに対して、他のユーザがコミュニケーションをとるために、電話の発信、メール送信などの行動を起こした場合に、ユーザの状況や嗜好に応じて、最適な端末へと着信させる機能である。このようなシステムの例としては、予め着信者が最適な通信方法、端末の種類を登録するシステム(例えば、特許文献1)や、これに発信者側の指定した優先度を反映させるシステム(例えば、特許文献2)がある。
【0005】
【特許文献1】特開平10−336319号
【0006】
【特許文献2】特開2005−208725号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来例では、ユーザが所有する全端末の情報をコンテキスト管理サーバが有することが必要になる。しかしながら、一般にはユーザは複数のドメインに複数のアカウントを所有し、端末の通信媒体も携帯電話網、IP網など多岐にわたるのに対し、コンテキスト管理サーバは単一のドメインにおいてコンテキスト情報を管理することが多い。これを解決するためには、複数のドメインを管理対象としたコンテキスト管理サーバを用いる方法が考えられるが、ドメインをまたがってユーザのアカウントや端末の情報を収集する必要がある。アカウント情報や端末情報は機密性の高い情報であり、異なるドメイン、異なる事業者が発行したアカウント情報を他ドメインの管理者が入手することは困難である。また、仮にユーザの同意を得てユーザの全アカウントに関する情報を収集できたとしても、ユーザの個人情報を一括して管理するサーバをシステム内に備えることになり、情報漏洩の危険性が高まるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するために、本発明のコンテキスト情報管理システムは、ユーザIDと、ユーザが端末と端末に対応したアカウントを所有するドメイン名を管理し、一時的なワンタイムアカウントの発行をユーザアカウントの属する各ドメインのコンテキスト管理サーバに対して要求するユーザドメイン管理サーバと、発行されたワンタイムアカウントの組をグループ化して管理するワンタイムアカウント管理サーバを備える。ユーザドメイン管理サーバは、アカウント情報通知要求を受信すると、ワンタイムアカウント管理サーバに対して、全ユーザアカウントに対応したワンタイムアカウントを、アカウント情報の要求元へ通知するよう依頼する。同時に、要求されたユーザのアカウントが属する全てのドメインのコンテキスト管理サーバに対して、ワンタイムアカウントの発行を依頼する。各ドメインのコンテキスト管理サーバは、ワンタイムアカウントを発行して、ワンタイムアカウント管理サーバに登録する。ワンタイムアカウント管理サーバが、このワンタイムアカウントの組をアカウント情報の要求元へ通知することで、アカウント情報要求元は、ワンタイムアカウントによってユーザの全ての端末へアクセスすることが可能になり、かつワンタイムアカウントは一時的なものであるため、万一漏洩してもユーザの個人情報が漏洩することはない。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明は、複数のアカウントを所有するユーザに対して、コンテキスト情報を活用した着信端末の選択を行う場合、特にユーザがアカウントを複数のドメインにまたがって所有する場合に、ワンタイムアカウントによって複数のアカウントのコンテキスト情報を管理するので、個人情報の機密性を保持しつつ、ユーザが所有するアカウントに関する情報を一括して管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用するシステムの一例を示し、複数のドメインから成るネットワークにおけるコンテキスト情報管理システムの構成図である。 コンテキスト管理システムは、ユーザIDとユーザアカウントの属するドメイン名の組を管理するユーザドメイン管理サーバ1、ユーザドメイン管理サーバからの要求に応じて、各ドメインのユーザアカウントに対するワンタイムアカウントを管理するワンタイムアカウント管理サーバ2、各ドメインにおいてユーザのコンテキスト情報を管理するコンテキスト管理サーバ5−1〜5−M、ユーザクライアント6A−1〜6A−M、6Bで構成される。これらのシステム構成要素は複数のドメイン1〜N(4−1〜4−N)にわたって存在し、各ドメインはネットワーク3を通して互いに接続される。
【0011】
ユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザIDとユーザアカウントの所属ドメインの組を管理する。図1において、ユーザAはドメイン1(4−1)〜ドメインM(4−M)にクライアント1〜M(6A−1〜6A−M)を所有するので、ユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザAに対してIDとコンテキスト管理サーバ1〜M(5−1〜5−M)を関連付けてデータベースで管理する。また、ユーザアカウントに対応したワンタイムアカウントの発行を、コンテキストサーバに依頼する機能を有する。
ワンタイムアカウント管理サーバ2は、ユーザドメイン管理サーバ1からの要求に応じて、指定されたドメインの集合に対応するワンタイムアカウントの組を要求する。コンテキスト管理サーバ5−1〜5−Mによって発行されたワンタイムアカウントは、グループ化したアカウント群として扱われ、ワンタイムアカウント情報データベースで管理される。
【0012】
コンテキスト管理サーバ5−1〜5−Mは、1つのドメインにおけるユーザのコンテキスト情報を管理する。例えば図1においては、コンテキスト管理サーバ1はユーザAクライアント1(6A−1)のコンテキスト情報を管理する。ユーザクライアント6A−1〜6A−M、6Bは、ユーザの所有する端末を表し、ユーザにIP電話やインスタントメッセージなどのコミュニケーション手段や、コンテキスト情報を閲覧する機能を提供する。
【0013】
次に、各装置の詳細な構成を示す。図2はユーザドメイン管理サーバ1の機能ブロック図である。ユーザドメイン管理サーバ1はネットワークインターフェース10、CPU12、ハードディスク14、メモリ16、バス18という基本ハードウェア構成を備え、ネットワークインターフェース10上のパケット送受信部101を介してネットワーク3と通信を行う。メモリ16上にはユーザのIDとドメインの対応を管理する、ユーザドメイン管理プログラム161を搭載している。ユーザドメイン管理プログラム161は、ワンタイムアカウントの通知、発行要求、登録などの制御を行うユーザアカウント制御プロトコル1611、通信状況を監視し、必要に応じてタイムアウト処理を行うための通信監視タイマ1613により構成される。ハードディスク14には、ユーザIDと、ユーザが所有するアカウントが属するドメインのコンテキスト管理サーバの組を管理するユーザドメイン情報テーブル141−Aを含んだユーザドメイン情報DB141が格納され、メモリ16上にロードされたユーザドメイン管理プログラム161により読み書きが行われる。ユーザドメイン情報DB141は、データ量に応じてメモリ16上に格納される場合もある。
【0014】
図3はワンタイムアカウント管理サーバ2の機能ブロック図である。ワンタイムアカウント管理サーバ2はネットワークインターフェース20、CPU22、ハードディスク24、メモリ26、バス28という基本ハードウェア構成を備え、ネットワークインターフェース20上のパケット送受信部201を介してネットワーク3と通信を行う。メモリ26上には、ユーザアカウントに対して発行されたワンタイムアカウントを管理する、ワンタイムアカウント管理プログラム261を搭載している。ワンタイムアカウント管理プログラム261は、ワンタイムアカウントの通知、発行要求、登録などの制御を行うユーザアカウント制御プロトコル2611、コンテキスト情報の収集、通知を行うコンテキスト情報制御プロトコル2613、通信状況を監視し、必要に応じてタイムアウト処理を行うための通信監視タイマ2615により構成される。ハードディスク24には、ワンタイムアカウントのグループを識別するアカウントグループID、ワンタイムアカウントの通知先アドレスと、ワンタイムアカウントとそれを発行したコンテキスト管理サーバの対を管理する、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aを含んだ、ワンタイムアカウント情報DB241が格納され、メモリ26上にロードされたワンタイムアカウント管理プログラム261により読み書きが行われる。ワンタイムアカウント情報DB241は、データ量に応じてメモリ26上に格納される場合もある。
【0015】
図4はコンテキスト管理サーバ5の機能ブロック図である。コンテキスト管理サーバ5はネットワークインターフェース50、CPU52、ハードディスク54、メモリ56、バス58という基本ハードウェア構成を備え、ネットワークインターフェース50上のパケット送受信部501を介してネットワーク3と通信を行う。メモリ56上には、ユーザのコンテキスト情報を管理するコンテキスト管理プログラム561を搭載している。コンテキスト管理プログラム561は、コンテキスト情報の収集、通知を行うコンテキスト情報制御プロトコル5611、ワンタイムアカウントの通知、発行要求、登録などの制御を行うユーザアカウント制御プロトコル5613、ワンタイムアカウントを発行するワンタイムアカウント生成モジュール5615、通信状況を監視し、必要に応じてタイムアウト処理を行うための通信監視タイマ5617により構成される。ハードディスク54には、ユーザのコンテキスト情報としてユーザID、ワンタイムアカウント、実アカウントとコンテキスト情報の組を管理する、コンテキスト情報テーブル541−Aを含んだコンテキスト情報DB541、及びユーザIDと実アカウントの組を管理するアカウント情報テーブル542−Aを含んだアカウント情報DB542が格納され、メモリ56上にロードされたコンテキスト管理プログラム561により読み書きが行われる。コンテキスト情報DB541、アカウント情報DB542は、データ量に応じてメモリ56上に格納される場合もある。
【0016】
図5はクライアント6の機能ブロック図である。クライアント6はネットワークインターフェース60、CPU62、ハードディスク64、メモリ66、バス68という基本ハードウェア構成を備え、ネットワークインターフェース60上のパケット送受信部601を介してネットワーク3と通信を行う。メモリ66上には、ユーザのコンテキスト情報を管理するコンテキスト管理プログラム661を搭載している。コンテキスト管理プログラム661は、コンテキスト情報の収集、通知を行うコンテキスト情報制御プロトコル6611、ワンタイムアカウントの通知、発行要求、登録などの制御を行うユーザアカウント制御プロトコル6613、通信状況を監視し、必要に応じてタイムアウト処理を行うための通信監視タイマ5615により構成される。ハードディスク54には、ユーザのコンテキスト情報としてユーザID、アカウントとコンテキスト情報の組を管理する、コンテキスト情報テーブル641−Aを含んだコンテキスト情報DB641が格納され、メモリ66上にロードされたコンテキスト管理プログラム661により読み書きが行われる。コンテキスト情報DB641は、データ量に応じてメモリ66上に格納される場合もある。
【0017】
次に、ワンタイムアカウントによるユーザアカウント情報管理の様子を示す。図6はドメインN(4−N)のユーザBクライアント6Bが、ユーザAのアカウントに関する情報を取得する場合の模式図である。例えばユーザBがユーザAへアクセスするために、ユーザAが所有する全アカウントの情報を取得する場合にこの処理が実行される。
【0018】
ユーザアカウント情報の取得処理は、ユーザBクライアント6Bがユーザドメイン管理サーバ1に、アカウント情報通知要求を送信する(NF1−01)ことから始まる。アカウント情報通知要求を受信したユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザドメイン情報DB141から、要求されたユーザのアカウントが属するドメインを取得し、ワンタイムアカウント管理サーバ2にワンタイムアカウント通知要求を送信する(NF1−03)。ユーザAはクライアントをドメイン1〜Mに所有するので、ワンタイムアカウントの通知対象はドメイン1〜Mになる。
【0019】
ワンタイムアカウント通知要求NF1−03は、ワンタイムアカウントの通知先と、ワンタイムアカウントを登録するドメインに属するコンテキスト管理サーバのリストを情報として含む。ワンタイムアカウント管理サーバ2は、リストに含まれているドメインのコンテキスト管理サーバからのワンタイムアカウント登録を待ち受ける。
【0020】
ワンタイムアカウント管理サーバ2へワンタイムアカウント通知要求を送信した後、ユーザドメイン管理サーバ1は、各ドメイン(1〜M)のコンテキスト管理サーバにワンタイムアカウントを登録するよう要求する(NF1−05)。ワンタイムアカウント登録要求NF1−05を受信した各コンテキスト管理サーバは、ワンタイムアカウントを発行して、ワンタイムアカウント管理サーバ2に登録する(NF1−07)。ここで発行されるワンタイムアカウントは一定期間内でのみ有効であり、期間が過ぎれば失効する。ワンタイムアカウント管理サーバ2は、ワンタイムアカウント通知要求NF1−03で指定された全てのコンテキスト管理サーバがワンタイムアカウントを登録したことを確認した後に、ユーザAに対して発行されたワンタイムアカウントの組を、ユーザBクライアント6Bへ通知する(NF1−09)。以上の処理を経て、ユーザBはユーザAの所有する全アカウントの情報を取得する。
【0021】
ユーザのアカウント情報を取得するのはクライアントに限定されない。図7はドメイン1(4−1)のコンテキスト管理サーバ5−1が、ユーザAのドメイン1以外に属するアカウントの情報を取得する場合の模式図である。例えばユーザAクライアント1(6A−1)に着信があり、これをコンテキスト管理サーバ1(5−1)が、ユーザAの他の端末へ転送するために、ユーザAが所有する他のアカウントの情報を取得する場合にこの処理が実行される。
【0022】
ユーザアカウント情報の取得処理は、コンテキスト管理サーバ1(5−1)がユーザドメイン管理サーバ1に、アカウント情報通知要求を送信する(NF2−01)ことから始まる。アカウント情報通知要求を受信したユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザドメイン情報DB141から、要求されたユーザのアカウントが属するドメインを取得し、ワンタイムアカウント管理サーバ2にワンタイムアカウント通知要求を送信する(NF1−03)。ユーザAはクライアントをドメイン1〜Mに所有するので、ワンタイムアカウントの通知対象はドメイン1〜Mであるが、アカウント情報の要求元がユーザドメイン情報DB141に含まれるコンテキスト管理サーバの中の一つである場合、コンテキスト管理サーバが属するドメインに関してはアカウント情報を取得する必要はない。したがって、ユーザドメイン管理サーバ1がワンタイムアカウント管理サーバ2に送信するワンタイムアカウント通知要求NF2−03には、ドメイン2〜Mが指定される。これ以降の処理は、図6と同様である。
【0023】
図8は登録済みのワンタイムアカウントから、実アカウントのコンテキスト情報を取得する処理の模式図である。図6または図7の処理により、コンテキスト情報の要求元は、対象となるユーザのワンタイムアカウントを取得済みであるとする。図8ではユーザBクライアント6BがユーザAクライアント2(6A−2)のコンテキスト情報を取得する。最初にユーザBクライアント6Bは、コンテキスト情報通知要求をワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する(NF3−01)。コンテキスト情報の通知に際しては、取得済みのワンタイムアカウントを指定する。
コンテキスト情報通知要求を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、ワンタイムアカウント情報DB241を参照して、ワンタイムアカウントを登録したコンテキスト管理サーバ2(5−2)を抽出し、コンテキスト情報通知要求を転送する(NF3−03)。コンテキスト情報通知要求を受信したコンテキスト管理サーバ2は、要求されたコンテキスト情報をワンタイムアカウント管理サーバ2へ送信する(NF3−05)。最後にワンタイムアカウント管理サーバ2が、コンテキスト情報をユーザBクライアント6Bに転送して、コンテキスト情報の取得処理は完了する。
【0024】
次に、アカウント情報管理の様子を、通信シーケンスを用いて詳細に説明する。図9は図6を詳細に説明したもので、ユーザBクライアント6BがユーザAのアカウント情報を取得する処理を表している。最初にユーザBクライアント6Bは、アカウント情報通知要求S1−01をユーザドメイン管理サーバ1に送信する。アカウント情報通知要求の内容を図16に示す。アカウント情報通知要求PF−01は、パケット種別(アカウント情報通知要求)、アカウント情報要求元アドレス、ユーザID、アカウントグループIDを要素として含む。ここではアカウント情報要求元はユーザBクライアント6Bとなる。ユーザIDは誰のアカウント情報を通知するか示すものであり、この例ではユーザAを指定する。アカウントグループIDは、アカウント情報を受信する際に、通知されたアカウント情報の対象ユーザを識別するために用いる識別子であり、アカウント情報の要求元がランダムに一意な値を発行して、ユーザドメイン管理サーバ1に渡す。
【0025】
アカウント情報通知要求S1−01を受信したユーザドメイン管理サーバは、ユーザBがユーザAのアカウント情報を要求していることを知り、ユーザドメイン情報テーブル141−Aから、ユーザAがアカウントを持っているドメインのコンテキスト管理サーバのリストを取得する。その後、ワンタイムアカウント通知要求S1−04を、ワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する。ワンタイムアカウント通知要求の内容を図16に示す。ワンタイムアカウント通知要求PF−02は、パケット種別(ワンタイムアカウント通知要求)、アカウント情報通知先アドレス、アカウントグループID、コンテキスト管理サーバリストを含む。今アカウント情報を要求しているのはユーザBであるため、アカウント情報通知先アドレスにはユーザBクライアント6Bのアドレスが指定される。ワンタイムアカウントの通知を要求する際には、そのワンタイムアカウントがどのユーザのために登録されるものであるかをワンタイムアカウント管理サーバ2に指定しなければならない。ここでユーザBが要求しているのはユーザAのアカウント情報であるが、ユーザIDを直接指定すると、ワンタイムアカウント管理サーバに一時的にユーザAのアカウント情報が集約されることになり、情報の秘匿性が保たれない。そこで、ユーザの指定には、ユーザBクライアント6Bがユーザドメイン管理サーバ1に通知した、アカウントグループIDを用いる。アカウントグループIDとユーザIDの対応を知っているのは、この時点ではユーザBクライアント6Bとユーザドメイン管理だけであり、ワンタイムアカウント管理サーバから情報が漏洩しても、それがどのユーザの情報であるかを特定することはできず、情報の秘匿性が保たれる。
【0026】
ワンタイムアカウント通知要求S1−04を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、メッセージに含まれている情報から、アカウントグループIDで指定されたあるユーザに対するアカウント情報を、ユーザBクライアント6Bが要求していること、アカウントの所有者は、コンテキスト管理サーバリストで指定されたサーバにアカウントを有していることを知る。そして、それぞれのコンテキスト管理サーバがワンタイムアカウントを登録するのを待ち受ける。
【0027】
ワンタイムアカウント管理サーバ2へアカウント情報の通知を要求したユーザドメイン管理サーバ1は、次の処理として、ユーザAに対応した全てのコンテキスト管理サーバに対してワンタイムアカウント登録要求を送信する(S1−07、10)。ワンタイムアカウント登録要求の内容を図16に示す。ワンタイムアカウント登録要求PF−03は、パケット種別(ワンタイムアカウント登録要求)、ユーザID、アカウントグループIDを含む。ユーザIDはどのユーザに対するワンタイムアカウントを登録するかを指定する要素であり、ここではユーザAが該当する。ユーザIDとアカウントグループIDは、ワンタイムアカウント管理サーバ2にワンタイムアカウントを登録する際に、ユーザの個人情報を隠蔽するためにコンテキスト管理サーバが使用する。
【0028】
ワンタイムアカウント登録要求を受信した各コンテキスト管理サーバ5−1〜5−Mは、指定されたユーザIDに対してワンタイムアカウントを発行する。発行したワンタイムアカウントは、ユーザID、ワンタイムアカウント、実アカウントとコンテキスト情報の組として、コンテキスト情報テーブル541−Aに格納される。その後、発行したワンタイムアカウントをワンタイムアカウント管理サーバに登録する(S1−13、16)。ワンタイムアカウントの登録に際しては、コンテキスト管理サーバはユーザの情報を隠蔽するために、ワンタイムアカウント登録要求S1−7、10で指定されたアカウントグループIDを用いて、登録するワンタイムアカウントが対象とするユーザを指定する。ワンタイムアカウント登録の内容を図16に示す。ワンタイムアカウント登録PF−04はパケット種別(ワンタイムアカウント登録)、アカウントグループID、アカウント登録元アドレスとワンタイムアカウントを含む。アカウント登録元アドレスには、コンテキスト管理サーバ自身のアドレスを含める。
【0029】
ワンタイムアカウント登録S1−13、16を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、ワンタイムアカウント登録メッセージのアカウントグループIDとアカウント登録元アドレスを調べ、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aの該当するテーブルにワンタイムアカウントを登録する。次に、指定されたアカウントグループIDに対して、全てのコンテキスト管理サーバからのワンタイムアカウント登録が完了したかどうか判定する。アカウント登録が全て完了した時点で、ワンタイムアカウント管理サーバ2は、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aのワンタイムアカウント通知先アドレス(ユーザBクライアント6B)にアカウント情報通知を送信する(S1−19)。アカウント情報登録の内容を図16に示す。アカウント情報登録PF−05はパケット種別(アカウント情報通知)、アカウントグループIDとワンタイムアカウントのリストを含む。アカウント情報通知S1−19にはアカウントグループIDは含まれているが、ユーザIDは含まれていない。しかしアカウント情報の要求元であるユーザBクライアント6Bは、ユーザIDとアカウントグループIDの対を管理しているため、通知されたアカウントがどのユーザに対するものかを知ることができる。また、通知されたアカウントはワンタイムアカウントであり、これらが漏洩してもユーザの実アカウント情報が漏洩することはない。
【0030】
次に、コンテキスト管理サーバがユーザアカウント情報を要求する処理について詳述する。図10は図7を詳細に説明したもので、コンテキスト管理サーバ1(5−1)がユーザAのアカウント情報を取得する処理を表している。最初にコンテキスト管理サーバ1(5−1)は、アカウント情報通知要求S2−01をユーザドメイン管理サーバ1に送信する。アカウント情報通知要求S2−01を受信したユーザドメイン管理サーバは、コンテキスト管理サーバ1(5−1)がユーザAのドメイン1(4−1)以外のアカウント情報を要求していることを知り、ユーザドメイン情報テーブル141−Aから、ユーザAがアカウントを持っているドメインのコンテキスト管理サーバのリストを取得する。ここで、アカウント情報の要求元が、コンテキスト管理サーバリストに含まれているので、ワンタイムアカウント通知要求S1−04をワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する際には、リストからコンテキスト管理サーバ1(5−1)を除外し、コンテキスト管理サーバ2〜M(5−2〜5−M)を指定する。同様に、コンテキスト管理サーバにワンタイムアカウント登録要求を送信する時にも、コンテキスト管理サーバ2〜M(5−2〜5−M)が対象となる(S2−07、10)。以降の処理S2−13〜S2−19は、S1−13〜S1−19と同様の処理を行う。
【0031】
図11は図8を詳細に説明したもので、ユーザBクライアント6B、又はコンテキスト管理サーバ1(5−1)が、ドメイン2(4−2)に属するユーザAのアカウントに対してコンテキスト情報を取得する処理を示す。以下、例としてコンテキスト情報の要求元がユーザBクライアント6Bであり、ワンタイムアカウントはワンタイムアカウント管理サーバのドメインに属するものとする。
【0032】
最初にユーザBクライアント6Bは、コンテキスト情報通知要求S3−01をワンタイムアカウント管理サーバに送信する。コンテキスト情報通知要求の内容を図16に示す。コンテキスト情報通知要求PF−06はパケット種別(コンテキスト情報通知要求)、コンテキスト情報要求元アドレスとユーザアカウントを含む。ユーザBクライアント6Bが取得しているアカウント情報はコンテキスト管理サーバ2(5−2)がワンタイムアカウント管理サーバ2に登録したワンタイムアカウント2(241−2)であるため、これをユーザアカウントとして指定する。
【0033】
コンテキスト情報通知要求S3−01を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、ユーザアカウントをキーとしてワンタイムアカウント情報テーブル241−Aを検索する。検索の結果、ワンタイムアカウント2(241−4)を登録したコンテキスト管理サーバ2(5−2)が得られるので、コンテキスト情報通知要求をコンテキスト管理サーバ2(5−2)に転送する(S3−04)。コンテキスト情報通知要求を受信したコンテキスト管理サーバ2(5−2)は、指定されたユーザアカウントをキーとしてコンテキスト情報テーブル541−Aを検索し、要求されたコンテキスト情報を取得する。このコンテキスト情報をコンテキスト情報要求元へ通知するために、コンテキスト管理サーバ2(5−2)はコンテキスト情報通知S3−07をワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する。コンテキスト情報通知の内容を図16に示す。コンテキスト情報通知PF−07はパケット種別(コンテキスト情報通知)、コンテキスト情報通知先アドレス、ユーザアカウントとコンテキスト情報を含む。コンテキスト情報通知S3−07を受信したワンタイムアカウント管理サーバ2は、コンテキスト情報の通知先へメッセージを転送する(S3−10)。以上の処理を経て、ユーザBクライアント6Bは目的のコンテキスト情報を取得することができる。
【0034】
図17はコンテキスト情報を呼制御に応用する場合のシーケンスである。本発明によれば、ユーザBがユーザAに通話を行う場合に、ユーザAが所有するクライアントのアドレスではなく、ユーザAのユーザIDだけを指定すれば通話が可能である。ユーザBは最初に、発信要求を自身が所属するドメインのコンテキスト管理サーバN(5−N)に送信する(S4−01)。この発信要求は、例えばSIP(Session Initiation Protocol)のINVITEメッセージなどで実現される。ユーザBは宛先としてユーザAのユーザIDを指定する。発信要求を受信したコンテキスト管理サーバN(5−N)は、指定されたユーザのアカウント情報を取得するために、アカウント情報通知要求をユーザドメイン管理サーバ1に送信する(S4−04)。以後、アカウント情報通知をコンテキスト管理サーバNが受信する(S4−22)までの処理は、図9におけるアカウント情報通知要求送信(S1−01)からアカウント情報通知受信(S1−19)と同様の手順を踏む。ユーザAのアカウント情報を取得したコンテキスト管理サーバNは、取得した全てのアカウントのコンテキスト情報を取得するために、コンテキスト情報通知要求をコンテキスト管理サーバに送信する(S4−25、28)。コンテキスト情報通知要求の宛先は、ワンタイムアカウントの所属するドメインに存在するコンテキスト管理サーバである。コンテキスト情報通知要求を受信した各コンテキスト管理サーバは、コンテキスト情報通知をコンテキスト管理サーバN(5−N)へ返信する(S4−31、34)。全てのコンテキスト情報を取得したコンテキスト管理サーバN(5−N)は、どのワンタイムアカウントに発信要求を送信すべきかを判断する。判断にはコンテキスト情報の内容(在席、オフライン、不在)や、クライアントの優先度などが用いられる。最適なメッセージ送信先を決定した後、コンテキスト管理サーバN(5−N)は発信要求をコンテキスト管理サーバに転送する(S4−37)。図17ではコンテキスト管理サーバ1(5−1)に発信要求を転送する様子が示されている。発信要求を受信したコンテキスト管理サーバ1(5−1)は、宛先が自身がS4−16で発行したワンタイムアカウントであることを把握し、発信要求をユーザAクライアント1(6A−1)に転送する。以上の処理により、ユーザIDのみを指定した発信処理が可能になる。
【0035】
次に、コンテキスト情報管理システムにおける各装置の処理フローチャートを示す。図12はユーザドメイン管理サーバ1のフローチャートである。ユーザドメイン管理サーバ1は起動時に初期化処理を行い、メッセージ受信ループを開始させる(F1−01、04)。メッセージ受信ループにおいてアカウント情報通知要求を受信した場合(F1−07)、ユーザドメイン管理サーバ1は、ユーザIDをキーとしてユーザドメイン情報テーブル141−Aを検索し、コンテキスト管理サーバのリストを取得する(F1−16)。次に、アカウント情報の要求元が、取得したコンテキスト管理サーバのリストに含まれているかどうかを判定する(F1−19)。含まれていない場合は、ワンタイムアカウント管理サーバ2に対して、リスト中の全てのコンテキスト管理サーバを指定したワンタイムアカウント通知要求を送信し(F1−22)、リスト中の全てのコンテキスト管理サーバに対してワンタイムアカウント登録要求を送信する(F1−25)。アカウント情報の要求元がコンテキスト管理サーバのリストに含まれていた場合は、ワンタイムアカウント管理サーバ2に対して、リスト中でアカウント情報の要求元以外のコンテキストサーバを指定したワンタイムアカウント通知要求を送信し(F1−28)、アカウント情報の要求元以外の全てのコンテキストサーバにワンタイムアカウント登録要求を送信する(F1−31)。メッセージ受信ループはユーザドメイン管理サーバ1のシャットダウン時に終了し(F1−10)、メッセージ受信ループを停止させた後にユーザドメイン管理サーバ1は機能を停止する(F1−13)。
【0036】
図13はワンタイムアカウント管理サーバ2のフローチャートである。ワンタイムアカウント管理サーバ2は起動時に初期化処理を行い、メッセージ受信ループを開始させる(F2−01、04)。メッセージ受信ループにおいてワンタイムアカウント情報通知要求を受信した場合(F2−07)、ワンタイムアカウント管理サーバはメッセージで指定されたアカウントグループID、情報通知先アドレス、コンテキスト管理サーバリストを、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aに登録する(F2−25)。ワンタイムアカウント登録を受信した場合、ワンタイムアカウント情報テーブル241−Aの該当するレコードに、ワンタイムアカウントを格納する(F2−28)。次に、通知されたワンタイムアカウントのアカウントグループIDに対して、未登録のワンタイムアカウントがあるか否かを判定する(F2−31)。未登録のワンタイムアカウントがない場合は、ワンタイムアカウントの登録処理が完了したことを意味するので、ワンタイムアカウント管理サーバ2はアカウント情報通知を、アカウント情報通知先アドレスへ送信する(F2−34)。コンテキスト情報通知要求を受信した場合(F2−13)、ワンタイムアカウント情報テーブル241−1から宛先となるコンテキスト管理サーバのアドレスを決定し、メッセージを転送する(F2−37)。コンテキスト情報通知を受信した場合(F2−16)、メッセージで指定されたコンテキスト情報通知先アドレスへメッセージを転送する(F2−40)。メッセージ受信ループはワンタイムアカウント管理サーバ2のシャットダウン時に終了し(F2−19)、メッセージ受信ループを停止させた後にワンタイムアカウント管理サーバ2は機能を停止する(F2−22)。
【0037】
図14はコンテキスト管理サーバ5のフローチャートである。コンテキスト管理サーバ5は起動時に初期化処理を行い、メッセージ受信ループを開始させる(F3−01、04)。メッセージ受信ループにおいてワンタイムアカウント登録要求を受信した場合(F3−07)、コンテキスト管理サーバ5はワンタイムアカウントを生成して、コンテキスト情報テーブル541−Aにワンタイムアカウントと実アカウント、コンテキスト情報の組を登録し(F3−19)、生成したワンタイムアカウントをワンタイムアカウント管理サーバに送信する(F3−22)。コンテキスト情報通知要求を受信した場合(F3−10)は、要求されたアカウントに対するコンテキスト情報を通知するために、ワンタイムアカウント管理サーバにコンテキスト情報通知を送信する(F3−25)。発信要求を受信した場合(F3−28)、コンテキスト管理サーバは宛先アドレスが自身の管理するドメインに所属しているかどうかを判定する(F3−37)。宛先が自ドメインのクライアントである場合、発信要求を当該クライアントに転送する(F3−55)。そうでない場合は、発信要求は新規呼に該当する。この時コンテキスト管理サーバは、発信要求の転送先を決定するために必要な情報を収集する目的で、宛先ユーザのユーザIDを設定したアカウント情報通知要求をユーザドメイン管理サーバに送信する(F3−40)。コンテキスト管理サーバがアカウント情報通知を受信した場合(F3−31)、最初に、発信要求を処理中かどうか判定する(F3−43)。発信要求の処理中である場合は、アカウント情報はメッセージの転送先を決定するための準備に相当するため、次の処理としてコンテキスト管理サーバは、取得したワンタイムアカウントを指定したコンテキスト情報通知要求を、対象となる全コンテキスト管理サーバに送信する(F3−46)。コンテキスト情報通知を受信した場合(F3−34)、コンテキスト管理サーバは、対象となるユーザのコンテキスト情報を全て取得したかどうかを判定する(F3−49)。未取得のコンテキスト情報がある場合、全てのコンテキスト情報を取得するまで待機する。発信要求で指定されたユーザの全コンテキスト情報を取得済みの場合は、コンテキスト情報から最適なメッセージの転送先を決定し、発信要求を転送する(F3−52)。メッセージ受信ループはコンテキスト管理サーバ5のシャットダウン時に終了し(F3−13)、メッセージ受信ループを停止させた後にコンテキスト管理サーバ5は機能を停止する(F3−16)。
【0038】
図15はクライアント6のフローチャートである。クライアント6は起動時に初期化処理を行い、イベント受信ループを開始させる(F4−01、04)。イベントループはユーザの操作やネットワーク経由のメッセージ着信を待ち受ける役割を果たす。ユーザがアカウント情報通知要求ボタンを押下した場合(F4−07)、クライアント6はアカウント情報を取得するために、アカウント情報通知要求をユーザドメイン管理サーバ1に送信する(F4−19)。ユーザがコンテキスト情報通知要求ボタンを押下した場合(F4−10)は、コンテキスト情報通知要求をワンタイムアカウント管理サーバ2に送信する(F4−22)。イベント受信ループはクライアント6のシャットダウン時に終了し(F4−13)、イベント受信ループを停止させた後にクライアント6は機能を停止する(F4−16)。
【0039】
上記の発明により、ユーザが異なるドメインに複数のアカウントを所有する状態において、他のユーザが該ユーザに対してコミュニケーションを取る際に,該ユーザの全てのアカウントに対応するコンテキスト情報を知りえない場合においても、ユーザIDを用いてユーザドメイン管理サーバに、該ユーザのアカウント情報を要求し、これを受けてワンタイムアカウント管理サーバが該ユーザに対して発行された、一時的なワンタイムアカウントを上記他のユーザに通知することで、上記他のユーザはワンタイムアカウントにより該ユーザの全てのアカウントに対応するコンテキスト情報を取得し、適切な手段を用いて該ユーザとコミュニケーションを取ることが可能となる。発行されたワンタイムアカウントは一時的なものであり、これにより該ユーザの真のアカウントに関する情報が漏曳することはない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明に係るコンテキスト情報管理システムでは、ユーザドメイン管理サーバとワンタイムアカウント管理サーバにより、秘匿性を保ちつつユーザのアカウント情報、コンテキスト情報を管理することができるので、1ユーザが複数のアカウント。及びこれに対応したコミュニケーション端末を複数のドメインにわたって所有する、マルチモーダルコミュニケーションシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態を示すコンテキスト情報管理システムのネットワーク構成図。
【図2】ユーザドメイン管理サーバの機能ブロック図。
【図3】ワンタイムアカウント管理サーバの機能ブロック図。
【図4】コンテキスト管理サーバの機能ブロック図。
【図5】クライアントの機能ブロック図。
【図6】ユーザクライアント主導のアカウント情報取得処理を説明するネットワーク構成図。
【図7】コンテキスト管理サーバ主導のアカウント情報取得処理を説明するネットワーク構成図。
【図8】コンテキスト情報取得処理を説明するネットワーク構成図。
【図9】ユーザクライアント主導のアカウント情報取得処理を説明するシーケンス図。
【図10】コンテキスト管理サーバ主導のアカウント情報取得処理を説明するシーケンス図。
【図11】コンテキスト情報取得処理を説明するシーケンス図。
【図12】ユーザドメイン管理サーバのフローチャート。
【図13】ワンタイムアカウント管理サーバのフローチャート。
【図14】コンテキスト管理サーバのフローチャート。
【図15】クライアントのフローチャート。
【図16】パケットフォーマットの一覧。
【図17】発信要求処理を説明するシーケンス図。
【符号の説明】
【0042】
1 ユーザドメイン管理サーバ
2 ワンタイムアカウント管理サーバ
3 ネットワーク
4−1〜4−N ネットワークドメイン
5−1〜5−M コンテキスト管理サーバ
6−1〜6−M、6B クライアント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドメインのそれぞれごとにアカウントを所有するユーザのコンテキスト情報を管理するシステムであって、
該ユーザがアカウントを所有するドメインのリストを保持するユーザドメイン管理サーバと、
前記ユーザドメイン管理サーバからの要求を受け、一時的なワンタイムアカウントを管理するワンタイムアカウント管理サーバと、
該ユーザの上記各アカウントに対するコンテキスト情報を管理するコンテキスト管理サーバと、
他のユーザに対して上記コンテキスト情報を提供するクライアントを備え、
前記ユーザドメイン管理サーバは、上記他のユーザの要求に基づいて、前記ワンタイムアカウント管理サーバにワンタイムアカウント通知要求を送信し、
前記ワンタイムアカウント管理サーバは、前記コンテキスト管理サーバのワンタイムアカウント登録に基づいて、前記他のユーザにアカウント情報を通知する機能を有し、
前記コンテキスト管理サーバは、前記ユーザドメイン管理サーバからの要求に基づいて、ワンタイムアカウントの発行を行うことを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記ユーザドメイン管理サーバは、上記ユーザがアカウントを所有するドメインのリストを格納するユーザドメイン情報テーブルを備え、上記他のユーザの要求に基づいて、上記リストに属する前記コンテキスト管理サーバに対して上記ワンタイムアカウント管理サーバへのワンタイムアカウント登録を要求することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項3】
請求項2記載のコンテキスト管理システムであって、
前記ワンタイムアカウント管理サーバは、上記ユーザの識別子であるユーザIDと、該ユーザの所有するアカウント全体の識別子であるアカウントグループIDと、上記ワンタイムアカウントを関連付けて管理し、上記他のユーザからの上記ワンタイムアカウントに対するコンテキスト情報通知要求を、該ワンタイムアカウントを登録した前記コンテキスト管理サーバに転送し、前記コンテキスト管理サーバのコンテキスト情報通知を、適切な前記クライアントへと転送することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項4】
請求項3記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記コンテキスト管理サーバは、前記ユーザドメイン管理サーバからの要求に基づき、前記ユーザドメイン管理サーバが指定したユーザIDに対して一時的なワンタイムアカウントを発行し、前記ユーザドメイン管理サーバが指定したアカウントグループIDと発行したワンタイムアカウントの組を、前記ワンタイムアカウント管理サーバに登録することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項5】
請求項4記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記コンテキスト管理サーバは、前記ワンタイムアカウント管理サーバからのワンタイムアカウントに対するコンテキスト情報通知要求に基づき、前記ワンタイムアカウント管理サーバへコンテキスト情報を送信することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項6】
請求項5記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記コンテキスト管理サーバは、前記クライアントからの要求に基づいて、ユーザIDだけを指定した発信要求に対し、該ユーザIDのアカウント情報、及びコンテキスト情報を収集し、コンテキスト情報の内容から着信クライアントを決定することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項7】
請求項6記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記クライアントは、上記他のユーザからの要求に基づいて、前記ユーザドメイン管理サーバにアカウント情報通知要求を送信することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項1】
複数のドメインのそれぞれごとにアカウントを所有するユーザのコンテキスト情報を管理するシステムであって、
該ユーザがアカウントを所有するドメインのリストを保持するユーザドメイン管理サーバと、
前記ユーザドメイン管理サーバからの要求を受け、一時的なワンタイムアカウントを管理するワンタイムアカウント管理サーバと、
該ユーザの上記各アカウントに対するコンテキスト情報を管理するコンテキスト管理サーバと、
他のユーザに対して上記コンテキスト情報を提供するクライアントを備え、
前記ユーザドメイン管理サーバは、上記他のユーザの要求に基づいて、前記ワンタイムアカウント管理サーバにワンタイムアカウント通知要求を送信し、
前記ワンタイムアカウント管理サーバは、前記コンテキスト管理サーバのワンタイムアカウント登録に基づいて、前記他のユーザにアカウント情報を通知する機能を有し、
前記コンテキスト管理サーバは、前記ユーザドメイン管理サーバからの要求に基づいて、ワンタイムアカウントの発行を行うことを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記ユーザドメイン管理サーバは、上記ユーザがアカウントを所有するドメインのリストを格納するユーザドメイン情報テーブルを備え、上記他のユーザの要求に基づいて、上記リストに属する前記コンテキスト管理サーバに対して上記ワンタイムアカウント管理サーバへのワンタイムアカウント登録を要求することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項3】
請求項2記載のコンテキスト管理システムであって、
前記ワンタイムアカウント管理サーバは、上記ユーザの識別子であるユーザIDと、該ユーザの所有するアカウント全体の識別子であるアカウントグループIDと、上記ワンタイムアカウントを関連付けて管理し、上記他のユーザからの上記ワンタイムアカウントに対するコンテキスト情報通知要求を、該ワンタイムアカウントを登録した前記コンテキスト管理サーバに転送し、前記コンテキスト管理サーバのコンテキスト情報通知を、適切な前記クライアントへと転送することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項4】
請求項3記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記コンテキスト管理サーバは、前記ユーザドメイン管理サーバからの要求に基づき、前記ユーザドメイン管理サーバが指定したユーザIDに対して一時的なワンタイムアカウントを発行し、前記ユーザドメイン管理サーバが指定したアカウントグループIDと発行したワンタイムアカウントの組を、前記ワンタイムアカウント管理サーバに登録することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項5】
請求項4記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記コンテキスト管理サーバは、前記ワンタイムアカウント管理サーバからのワンタイムアカウントに対するコンテキスト情報通知要求に基づき、前記ワンタイムアカウント管理サーバへコンテキスト情報を送信することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項6】
請求項5記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記コンテキスト管理サーバは、前記クライアントからの要求に基づいて、ユーザIDだけを指定した発信要求に対し、該ユーザIDのアカウント情報、及びコンテキスト情報を収集し、コンテキスト情報の内容から着信クライアントを決定することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【請求項7】
請求項6記載のコンテキスト情報管理システムであって、
前記クライアントは、上記他のユーザからの要求に基づいて、前記ユーザドメイン管理サーバにアカウント情報通知要求を送信することを特徴とするコンテキスト情報管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図4】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−206989(P2007−206989A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25209(P2006−25209)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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