説明

コンテナを検査する方法及びシステム

【課題】コンテナの内容物の画像を再構築して、分割する方法及びシステムが提供される。
【解決手段】実際の走査データを前記コンテナの走査から受信することと、実際のデータを再構築して、再構築された画像を取得することと、再構築された画像を分割して、分割された画像を取得するステップと、分割された画像に対応するシミュレートされた走査データを導出することと、シミュレートされた走査データと実際の走査データとの間の差異に基づいて、エラー項を導出することと、基準が満足されるか否かを判定することと、基準が満足されない場合には、エラー項を用いて修正済みの再構築された画像を生成し、前記再構築された画像と置き換えられた修正済みの再構築された画像を用いて、前段階を繰り返すことと、基準が満足される場合には、分割された画像から情報を出力することを含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、概して、コンテナの検査に関し、より詳細には、複数のコンテナの内容物の画像を再構築して、分割し、コンテナ内部に秘匿される物体の検査を容易にすることに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも幾つかの既知の検出システムには、コンテナの画像を構築し、画像を分析して、コンテナ内部にある爆発物、薬物、武器及び/又はその他の禁輸品を検出するものがある。少なくとも一つの既知のコンテナ内部にある物体を検出する方法は、エックス線を用いてコンテナを走査して、コンテナの画像を再構築する第一のステップと、再構築された画像を検査して、問題となる物体を検出する第二のステップとを含む。
【0003】
第一のステップは、コンピュータ断層撮影(CT)画像などのコンテナ内部の画像を再構築することを含む。再構築された画像のピクセルの各々は、概して、該ピクセルの位置に対応するコンテナ内容物によるエックス線の相対的減衰を表す。画像を再構築する既知の方法は、例えば、フィルタ処理された背面投影(FBP)及び反復再構成(IR)を含む。これらの方法の既知の実施携帯は、様々な画像の品質の測定基準に基づいて、性能を最適化するように試みている。そのような既知の画像再構築アルゴリズムは、典型的には、医療分野において用いられることによって、発展してきた。したがって、これらのアルゴリズムの実施は、病気を診断する目的のために、人間に合わせた画像解釈の下で最適化されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
少なくとも幾つかの既知の検出システムは、そのような最終的な再構築された画像を入力として受理し、様々な検査アルゴリズムを適用して、画像内において問題となる物体を識別する。そのような検査アルゴリズムは、画像データの要素を典型的には、画像データの要素を、コンテナ内部の特定の物体若しくは物体の一部に対応するものとなる、同様の値を持つものの集団にグループ分けすることからなる、画像“分割”及び/又は“ラベリング”と呼ばれることが多い手順によって開始される。そのような既知の画像分割手順は、典型的には、再構築アルゴリズムから受信される画像データ内に何らかの不均質性がある場合に、測定されたエックス線データ内にある不一致、ノイズ、誤差のために再構築されたデータから導出された人工的なものであると推定する。その結果として、既知の画像再構築及び検査アルゴリズムを用いる検出システムでは、検査ステップにおいて、複雑な経験則に基づいた訂正方法を利用して、画像再構築ステップを通過したエラーを補償しなければならない。従って、画像再構築及び画像分割を二つの独立したステップに分割することによって、既知の検出システムの正確性を減少させ、既知のシステムによる検査に要求される時間及び費用を増加させることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、コンテナの内容物の画像を再構築し、分割する方法が提供される。この方法は、コンテナを走査することによって実際の走査データを受信すること、該実際の走査データを再構築して、再構築した画像を得ること、及び、該再構築した画像を分割して、分割した画像を得ることを含む。この方法は又、該分割したデータに対応するシミュレートされた走査データを導出すること、このシミュレートした走査データと実際の走査データとの違いに基づいて、エラー項を計算すること、及び、基準を満足しているか否かを判定することを含む。この方法は、さらに、エラー項を用いて、修正済みの再構築された画像を生成すること、基準が満足されない場合には、再構築された画像に代えて、修正済みの再構築された画像を用いて、上述のステップを繰り返すこと、及び、基準が満足される場合には、分割した画像から情報を出力することを含む。
【0006】
別の態様においては、コンテナ内の物体を検出する検査システムが、提供される。このシステムは、コンテナの走査による実際の走査データを受信し、該実際の走査データを再構築して再構築された画像を取得し、該再構築された画像を分割して、分割した画像を取得するように構成されたプロセッサを含む。このプロセッサは又、該分割した画像に対応するシミュレートされた走査データを導出し、該シミュレートされた走査データと実際の走査データとの違いに基づいてエラー項を計算し、基準が満たされるか否かを判定するように構成される。このプロセッサは、さらに、エラー項を用いて、修正済みの再構築された画像を生成し、基準が満足されない場合には、再構築された画像に代えて修正済みの再構築された画像を用いて、上述のステップを繰り返し、基準が満足される場合には、分割した画像から情報を出力するように構成される。
【0007】
さらに別の態様においては、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納されるコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、コンテナの走査による実際の走査データを受信し、該実際の走査データを再構築して再構築された画像を取得し、該再構築された画像を分割して、分割した画像を取得するようにプロセッサを構成するコードセグメントを含む。このコードセグメントは又、該分割した画像に対応するシミュレートされた走査データを導出し、該シミュレートされた走査データと実際の走査データとの違いに基づいてエラー項を計算し、基準が満たされるか否かを判定するようにプロセッサを設定する。このコードセグメントは、さらに、エラー項を用いて、修正済みの再構築された画像を生成し、基準が満足されない場合には、再構築された画像に代えて修正済み再構築された画像を用いて、上述のステップを繰り返し、基準が満足される場合には、分割した画像から情報を出力するようにプロセッサを設定する。
【0008】
図1−4は、本明細書に記載されるシステム及び方法の例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的な検査システムのブロック図である。
【0010】
【図2】図1に示されるシステムに使用される、画像を再構築し、分割する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【0011】
【図3】図2に示される方法に使用される、分割操作の例示的な実施形態のフローチャートである。
【0012】
【図4】図2に示される方法に使用される、分割操作の別の例示的な実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の少なくとも一つの実施形態が、荷物を検査するシステムを関連して、以下に記載される。しかしながら、ここに提示された教示による導きを受けた当業者にとって、本発明の実施形態は、水上、地上及び/又は空中において運ばれる木箱、箱、ドラム、コンテナ、荷物及びスーツケース、並びに、その他のコンテナ及び/又は物体を含む貨物コンテナを走査するのに適切な、どのようなシステムにも制限なく同様に適用できることが明らかである。
【0014】
さらに、本発明の実施形態は、荷物を検査するためのエックス線コンピュータ断層撮影(CT)システムを含むシステムに関連して以下に記載されるが、ここに提示された教示による導きを受けた当業者にとって、中性子線若しくはガンマ線を含む適切な走査放射線源のいずれも、別の実施形態において制限なく使用できることが、明らかである。さらに、ここに提示された教示による導きを受けた当業者にとって、本明細書に記載される検査システムの機能を可能にするのに十分な数の画像要素を生成するものであれば、どのような走査システムも利用できることも、明らかである。“画像要素”という用語は、ピクセル及び/又はボクセルといった画像データ内の要素を指す。本発明の実施形態は、ボクセルをもつ三次元画像に関連して、若しくは、代替として、ピクセルをもつ二次元画像に関連して、或いは、代替として、適切な組み合わせ及び/又は種類のいずれかにより構成される画像要素を含む適切な次元の画像に関連して用いることができる。
【0015】
図1は、貨物コンテナ、箱、小包、荷物若しくはスーツケースといったコンテナ12を走査し、コンテナ12内に含まれる内容物を識別する、及び/又は、材料の種類を判定する例示的な検査システム10のブロック図である。本明細書で用いられる“内容物”という用語は、コンテナ12内に含まれるいずれかの物体及び/又は材料を指し、禁輸品を含む。
【0016】
例示的な実施形態において、検査システム10は、コンテナ12を介して、放射線の少なくとも一つの主要ビーム15を放出するように構成される少なくとも一つのエックス線源14を含む。別の実施形態において、検査システム10は、異なるエネルギー分布の放射線を放出するように構成される複数のエックス線源14を含む。代替として、エックス線源14の各々が、異なる時間に放出されるようにすることができる、任意のエネルギー分布を持つ放射線を放出するように構成される。特定の実施形態において、検査システム10は、複数のエネルギー走査を利用して、コンテナ12に関する減衰地図を取得する。CT画像の作成に加えて、複数のエネルギー走査は、物体の内容物の密度地図及び原子番号を作成できるようにする。一実施形態においては、コンテナ12の二度エネルギー走査が、低エネルギーでコンテナ12を走査し、次いで、高エネルギーでコンテナ12を走査することを含む。データは、低エネルギー走査及び高エネルギー走査において集められ、コンテナ12の密度画像及び/又は原子番号画像を、CT画像と同様に、再構築し、さらに、コンテナ12内の材料の種類を識別することを容易にする。
【0017】
例示的な実施形態において、検査システム10は又、エックス線源14から放出され、コンテナ12を通って伝わる放射線を検出するように構成される少なくとも一つのエックス線検出器16を含む。エックス線検出器16は、表示領域の全体、若しくは、表示領域の一部のみを対象にするように構成される。ある実施形態においては、エックス線検出器16は、一次元若しくは二次元行列の配置で並べられる複数のエックス線検出器の要素を含む。透過された放射線を検出すると、エックス線の検出器16は、透過した放射線を示す信号を生成する。
【0018】
検査システム10の例示的な実施形態において、データ収集システム18は、エックス線検出器16に機能的に接続され、該エックス線検出器16と信号通信する。データ収集システム18は、エックス線検出器16によって生成され、透過された信号を受信するように構成される。プロセッサ20は、データ収集システム18に機能的に接続される。プロセッサ20は、コンテナ12及びその内容物の一又はそれ以上の画像を生成し、生成された画像を処理して、コンテナ12の内容物の検査を容易にするように構成される。本明細書で用いられる“プロセッサ”という用語は、当該技術分野でプロセッサと呼ばれる集積回路のみに制限されるものではなく、幅広く、コンピュータ、マイクロ制御器、マイクロコンピュータ、プログラム可能な論理制御器、アプリケーション特定集積回路及び/又はいずれかの他のプログラム可能な回路を意味する。特定の実施形態において、プロセッサ20は、統合的に動作するか、若しくは、互いに独立して動作する複数の個別のプロセッサを指す。ある実施形態においては、プロセッサ20は、リアルタイム、ほぼリアルタイム若しくは遅延した時間でコンテナ12のCT画像を再構築する。例示的な実施形態においては、そのようなCT画像が、生成され、検査されて、コンテナ12内にある物体28及び物体30といった物体の存在及び形状を推定する。
【0019】
例示的な実施形態においては、検査システム10は又、データ収集システム18及び/又はプロセッサ20に機能的に結合される表示デバイス22、メモリデバイス24及び/又は入力デバイス26を含む。表示デバイス22は、これに制限されるものではないが、モニター、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、及び/又は、システム10を本明細書に記載されるように機能させる別の適切な出力デバイスであってもよい。メモリデバイス24は、これに制限されるものではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、磁気若しくは光学ドライブ(図示なし)、及び/又は、システム10を本明細書に記載されるように機能させる別の適切な格納デバイスであってもよい。入力デバイス26は、これに制限されるものではないが、マウス、キーボード、及び/又は、本明細書に記載されるようにシステム10を機能させる別の適切な入力デバイスであってもよい。
【0020】
例示的な実施形態においては、メモリデバイス24は、検査システム10のモデル40を格納する。プロセッサ20は、モデル40を画像に適用し、該画像に対応するシミュレートした走査データを作成することができる。より具体的には、いずれかの画像に対して、モデル40は、プロセッサ20がシステム10に取得されるはずであった走査データをシミュレートできるようにして、そのような画像を検査システム10に再構築させる。モデル40は、これに制限されるものではないが、検査システム10の前方投影モデルであってもよい。
【0021】
図2は、コンテナ内部にある物体を識別するための方法100を説明するフローチャートを示す。例示的な実施形態おいては、この方法100は、検査システム10において実施される。しかしながら、方法100は、検査システム10において実施されることに制限されるわけではなく、むしろ方法100は、検査のためのいずれかの適切な画像を受信する分離したシステムなどのいずれかの適切なシステムに組み入れることができる。さらに、方法100は、コンピュータプログラムとしてコンピュータ読み取り可能な媒体に組み入れられ、及び/又は、いずれかの別の適切な手段によって実施され及び/又は組み入れられるようにしてもよい。該コンピュータプログラムは、このコンピュータプログラムが、プロセッサによって実行されたときに、該プロセッサが一又はそれ以上の方法100の機能を実行するように設定するコードセグメントを含むことができる。
【0022】
方法100の例示的な実施形態において、プロセッサ20は、(図1に示す)システム10によるコンテナ12の走査から得られた走査データ45、例えば、CTデータを受信する110。プロセッサ20は、これに制限されるものではないが、フィルタされた背面投影アルゴリズムといった適切な再構築方法のいずれかを用いることによって、受信された走査データ45から再構築された画像50を再構築する120。次に、プロセッサ20は、これに制限されものではないが、シード領域成長、非シード領域成長、クラスタリング、エッジ検出、及び/又は、ヒストグラムに基づくアルゴリズムといった、いずれかの適切な方法を用いることによって、再構築された画像50を分割する130。そのような方法は、コンテナ12が(図1に示す)物体28及び物体30といった、各々が同種である多数の分離した物体を含み、コンテナ12の内部の画像が、簡単に分割されることを、黙示的に仮定している。分割ステップ130は、再構築された画像50内の、例えば、背景物体、ごみくず若しくは人工物を減少させる閾値ステップを含むことができる。
【0023】
例えば、図3に示されるような分割ステップ130を実行する方法200の例示的な実施形態において、プロセッサ20は、再構築された画像50の複数の有意な画像要素75を識別する202。有意な画像要素75は、(図1に示す)コンテナ12内にある有意な物体に属するものとして推定される画像要素である。例えば、これに制限されるものではないが、有意な画像要素75は、閾値を超えるCT値を持つものとして、識別されるようにすることができる。プロセッサ20は、次いで、複数の有意な画像要素75を複数の関連した領域80にグループ化する204。例えば、プロセッサ20は、関連要素分析(CCA)といった、特定の特性を持つ有意な画像要素75を一緒にグループ化する204適切なクラスタリングアルゴリズムを適用する。さらに、プロセッサ20は、少なくとも第一関連領域80にグループ化された有意な画像要素75の各々を、第一関連領域のラベル付けされた画像要素85としてグループ化する206。さらに、例示的な実施形態において、プロセッサ20は、第一関連領域80のラベル付けされた画像要素85の平均CT値である代表値90を計算する208。別の実施形態において、代表値90は、これに制限されるものではないが、例えば、第一関連領域80のラベル付けされた画像要素85のCT値の最頻値、若しくは、別の適切な統計値である。プロセッサ20は、次いで、例えば、CT値のようなラベル付けされた画像要素85の各々の値を対応する代表値90に置換することによって、再構築された画像50から分割された画像55を作成する210。
【0024】
特定の状況において、分割ステップ130の例示的な実施形態200は、強い非線形な形で機能することができる。図4に示す、分割ステップ130の代替的な例示的な実施形態300において、非線形性を減少させる分割ステップ130に含まれる代替的若しくは追加的なステップを説明する。プロセッサ20は、最初に、いずれかの適切な方法を用いることによって、再構築された画像50を分割し302、少なくとも一つの画像セグメント92を取得する。用いられる方法が、クラスタリングアルゴリズムの場合には、例えば、少なくとも一つの画像セグメント92は、(図3に示す)少なくとも第一関連領域80と同種である。プロセッサ20は、次いで、例えば、少なくとも一つの画像セグメント92に関する、平均CT番号のような代表値90を計算する304。少なくとも一つのセグメント92に含まれる複数の画像要素の各々の画像要素に対して、プロセッサ20は、さらに、画像要素に関連する元の値を、該元の値と少なくとも一つのセグメント92に関する代表値90との間の値に置き換える306。プロセッサ20は、置換された値を持つ複数の画像要素を再構築した画像50と結合して308、分割された画像55を取得する。
【0025】
図2に戻ると、プロセッサ20は、さらに、システム10によって取得されるはずであった走査データに対応するシミュレートされた走査データ60を導出し140、分割された画像55を再構築ステップ120の出力として取得する。例えば、プロセッサ20は、モデル40を含む前面投影アルゴリズムを用いて、分割された画像55からシミュレートされた走査データ60を導出する140ことができる。
【0026】
さらに、例示的な実施形態において、プロセッサ20は、シミュレートされた走査データ60と実際の走査データ45との間の差異に基づいてエラー項65を計算する150。計算150は、シミュレートされた走査データ60と実際の走査データ45との間の変動を定量化する適切な方法のいずれであってもよい。例示的な実施形態において、エラー項65は、シノグラムの形式、すなわち、同じ次元を持つものであり、実際の走査データ45と同じ単位を持つものとすることができる。例えば、エラー項65は、いくらかの重み付けを適用して、実際の走査データ45内の各値とシミュレートされた走査データ60内の対応する値との間の差を表す一連の値とすることができる。特定の実施形態において、そのような重み付けは、実際の走査データ45内にある特定の方法の信頼性に対する統計的な推量に基づいて、選択することができる。例えば、(図1に示す)エックス線検出器16の要素による、非常に低い強度を示す減衰の測定結果は、より高い強度を示す測定結果よりも信頼性が低いものであると考えられる。そのような場合には、そのような低強度値に対する実際の走査データ45とシミュレートされた走査データ60との間の差は、エラー項65に対して、より小さく寄与するように重み付けがなされる。代替的な実施形態において、エラー項65は、シミュレートされた走査データ60の各々の値と実際の走査データ45の対応する値との比に基づいて、一連の値として、計算される。別の機能を、値ごとにエラー項65に適用することができる。
【0027】
プロセッサ20は、次いで、基準を満足しているか否かを判断する。例えば、これに制限されるものではないが、該基準は、エラー項65の値の二乗和に対する最大の許容値といった、エラー項65の値に基づく関数に拠るものとすることができる。追加的に、若しくは、代替的に、基準は、予め定められた最大の回数で反復して行ってもよい。
【0028】
基準が満たされているとプロセッサ20が判断する160場合には、例えば、エラー項65の値に基づく関数が、最大の許容値を下回る場合、若しくは、予め決められた回数の反復がなされた場合には、プロセッサ20は、分割された画像55から情報を出力する170。例えば、これに制限されるものではないが、プロセッサ20は、ディスプレイ22の操作者に対して分割された画像55を表示、及び/又は、それをコンピュータ読み取り可能なメモリ24に格納することによって、分割された画像55自身を出力する。
【0029】
一方で、基準が満たされていないとプロセッサ20が判断する160場合には、プロセッサ20は、例えば、適切なフィルタされた後方投影アルゴリズムを適用することによって、エラー項65を使用して180、修正済みの再構築された画像70を生成する。次いで、分割130、シミュレートされた走査データの導出140及びエラー項65の計算150が、再構築された画像50の代わりとして修正済みの再構築された画像70に対して、繰り返して行われる。例示的な実施形態において、この繰り返しのステップは、プロセッサ20が分割された画像55の結果からの情報を出力する170ステップ160の基準を満たすまで継続する。
【0030】
上述のコンテナを検査するシステム及び方法は、コンテナ内にある禁輸品を含む物体の検出の正確性を向上させ、物体の検出に要求される時間及び費用を減少させることを助ける。より具体的には、本明細書に記載される実施形態は、画像再構築及び画像セグメント一つの機能に組み入れ、また、コンテナが離散的な数の同質の物体を含むという予測を画像再構築に含む。本明細書に記載される実施形態の技術的な効果は、再構築され、及び/又は、分割された画像の数を減少することである。本明細書に記載される実施形態の別の技術的な効果は、検査アルゴリズムの必要性を減少させ、検査段階において、複雑な経験による訂正を適用し、画像再構築ステップを通過したエラーを補償する。
【0031】
コンテナを検査するための方法及びシステムの例示的な実施形態が、上に詳細に説明されている。当該方法及びシステムは、本明細書に記載される特定の実施形態に制限されることなく、むしろ、システムの要素及び/又は方法のステップを、本明細書に記載された別の要素及び/又はステップから、独立に分離して利用することができる。例えば、当該方法は、別の画像化システム及び方法と組み合わせて使用することもでき、本明細書に記載されるような検査システムのみに実施が制限されることはない。むしろ、例示的な実施形態が、多くの別の検査及び/検出アプリケーションに関連して実施され、利用されるようにすることができる。
【0032】
本明細書に記載された事項は、実施例を用いる最良の形態を含む発明を開示しており、本技術分野における当業者が、いずれかの装置若しくはシステムを製造すること及び利用すること、並びに、いずれかの組み入れられた方法を実行することを含む本発明の実施をすることを可能にする。本発明の特許となり得る範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、本発明の技術分野の当業者が思いつく別の例を含むことができる。そのような別の例が、特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を持つ場合、若しくは、特許と本質的でない部分で異なる均等な構成要素を含む場合には、そのような別の例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0033】
10 検査システム
12 コンテナ
14 エックス線源
15 ビーム
16 エックス線検出器
18 データ収集システム
20 プロセッサ
22 表示デバイス
24 メモリデバイス
26 入力デバイス
28 物体
30 物体
40 モデル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの内容物の画像を再構築及び分割する方法であって、
(i) 実際の走査データをコンテナの走査から受信するステップと、
(ii) 前記実際のデータを再構築して、再構築された画像を取得するステップと、
(iii) 前記再構築された画像を分割して、分割された画像を取得するステップと、
(iv) 前記分割された画像に対応するシミュレートされた走査データを導出するステップと、
(v) 前記シミュレートされた走査データと前記実際の走査データとの間の差に基づいてエラー項を計算するステップと、
(vi) 基準が満足されているか否かを判定するステップと、
(vii) 前記基準が満足されない場合には、前記エラー項を使用して修正済みの再構築された画像を生成し、ステップ(ii)において、取得された前記再構築された画像と置き換えられた前記修正済みの再構築された画像を用いて、ステップ(iii)から(vii)を繰り返すステップと、
(viii)前記基準が満足される場合には、前記分割された画像から情報を出力するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記再構築された画像を分割する前記ステップ(iii)は、シード領域成長アルゴリズム、非シード領域成長アルゴリズム、クラスタリングアルゴリズム、縁認識アルゴリズム、及び、ヒストグラムに基づくアルゴリズムの内の少なくとも一つを含むアルゴリズムを前記再構築された画像に適用するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
再構築された画像を分割して、分割された画像を取得する分割する前記ステップ(iii)は、
前記再構築された画像内にある複数の有意な画像要素を識別するステップと、
前記複数の有意な画像要素を複数の結合した領域にグループ分けするステップと、
前記複数の結合した領域の内の少なくとも第一の結合した領域にグループ分けされた前記複数の有意な画像要素の内の各々の有意な画像要素を前記第一の結合した領域のラベル付けされた画像要素として、ラベル付けするステップと、
前記第一の結合した領域に対して代表値を計算するステップと、
前記第一の結合した領域の各々のラベル付けされた画像要素の値を代表値に置換することによって、前記再構築された画像から前記分割された画像を生成するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記再構築された画像を分割する前記ステップ(iii)は、
前記再構築された画像を分割して、少なくとも一つの画像部分を取得するステップと、
前記少なくとも一つの画像部分に対して代表的な画像要素の値を計算するステップと、
前記少なくとも一つの画像部分内にある複数の画像要素の各々の画像要素に関連する元の値を前記元の値と前記代表的な画像要素の値との間の値に置換するステップと、
前記複数の画像要素を前記再構築された画像の残りの部分と結合して、前記分割された画像を取得するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記実際の走査データを再構築して、再構築された画像を取得する前記再構築する前記ステップ(ii)は、フィルタされた背面投影アルゴリズムを前記実際の走査データに適用するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分割された画像に対応するシミュレートされた走査データを導出する前記ステップ(iv)は、前面投影アルゴリズムを前記分割された画像に適用するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エラー項を使用して修正済みの再構築された画像を生成する前記ステップ(vii)は、前記エラー項を用いることによって、フィルタされた背面投影アルゴリズムを適用するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コンテナ内部にある物体を検出する検査システムであって、
前記検査システムは、
(i) 実際の走査データをコンテナの走査から受信し、
(ii) 前記実際のデータを再構築して、再構築された画像を取得し、
(iii) 前記再構築された画像を分割して、分割された画像を取得し、
(iv) 前記分割された画像に対応するシミュレートされた走査データを導出し、
(v) 前記シミュレートされた走査データと前記実際の走査データとの間の差異に基づいて、エラー項を計算するステップと、
(vi) 基準が満足されるか否かを判定し、
(vii) 前記基準が満足されない場合には、前記エラー項を使用して修正済みの再構築された画像を生成し、ステップ(ii)において取得された前記再構築された画像と置き換えられる前記修正済みの再構築された画像を用いて、ステップ(iii)から(vii)を繰り返し、
(viii)前記基準が満足される場合には、前記分割された画像から情報を出力する、
ように構成されるプロセッサを備えることを特徴とする検査システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、シード領域成長アルゴリズム、非シード領域成長アルゴリズム、クラスタリングアルゴリズム、縁認識アルゴリズム、及び、ヒストグラムに基づくアルゴリズムの内の少なくとも一つを含むアルゴリズムを前記再構築された画像に適用するようにさらに構成されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記再構築された画像内にある複数の有意な画像要素を識別し、
前記複数の有意な画像要素を複数の結合した領域にグループ分けし、
前記複数の結合した領域の内の少なくとも第一の結合した領域にグループ分けされた前記複数の有意な画像要素の内の各々の有意な画像要素を前記第一の結合した領域のラベル付けされた画像要素として、ラベル付けしと、
前記第一の連結した領域に対して代表値を計算し、
前記第一の関連領域の各々のラベル付けされた画像要素の値を代表値に置換することによって、前記再構築された画像から前記分割された画像を生成する
ようにさらに構成されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記再構築された画像を分割して、少なくとも一つの画像部分を取得し、
前記少なくとも一つの画像部分に対して代表的な画像要素の値を計算し、
前記少なくとも一つの画像部分内にある複数の画像要素の各々の画像要素に関連する元の値を前記元の値と前記代表的な画像要素の値との間の値に置換し、
前記複数の画像要素を前記再構築された画像の残りの部分と結合して、前記分割された画像を取得する、
ようにさらに構成されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、フィルタされた背面投影アルゴリズムを前記実際の走査データに適用して、前記再構築された画像を取得するようにさらに構成されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前面投影アルゴリズムを前記分割された画像に適用して、前記分割された画像に対応するシミュレートされた走査データを導出するようにさらに構成されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記エラー項を使用することによって、フィルタされた背面投影アルゴリズムを適用して、前記修正済みの再構築された画像を生成するようにさらに構成されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項15】
コンピュータ読み取り可能な媒体に組み入れられるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、
(i) 検査システムによって、実際の走査データをコンテナの走査から受信し、
(ii) 前記実際のデータを再構築して、再構築された画像を取得し、
(iii) 前記再構築された画像を分割して、分割された画像を取得し、
(iv) 前記分割された画像に対応するシミュレートされた走査データを導出し、
(v) 前記シミュレートされた走査データと前記実際の走査データとの間の差異に基づいて、エラー項を計算するステップと、
(vi) 基準が満足されるか否かを判定し、
(vii) 前記基準が満足されない場合には、前記エラー項を使用して修正済みの再構築された画像を生成し、ステップ(ii)において取得された前記再構築された画像と置き換えられる前記修正済みの再構築された画像を用いて、ステップ(iii)から(vii)を繰り返し、
(viii)前記基準が満足される場合には、前記分割された画像から情報を出力する、
ようにプロセッサを設定するコードセグメントを備えることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記コードセグメントは、
シード領域成長アルゴリズム、非シード領域成長アルゴリズム、クラスタリングアルゴリズム、縁認識アルゴリズム、及び、ヒストグラムに基づくアルゴリズムの内の少なくとも一つを含むアルゴリズムを前記再構築された画像に適用するようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記コードセグメントは、
前記再構築された画像内にある複数の有意な画像要素を識別し、
前記複数の有意な画像要素を複数の結合した領域にグループ分けし、
前記複数の結合した領域の内の少なくとも第一の結合した領域にグループ分けされた前記複数の有意な画像要素の内の各々の有意な画像要素を前記第一の前記した領域のラベル付けされた画像要素として、ラベル付けしと、
前記第一の結合した領域に対して代表値を計算し、
前記第一の結合した領域の各々のラベル付けされた画像要素の値を代表値に置換することによって、前記再構築された画像から前記分割された画像を生成する、
ようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記コードセグメントは、
前記再構築された画像を分割して、少なくとも一つの画像部分を取得し、
前記少なくとも一つの画像部分に対して代表的な画像要素の値を計算し、
前記少なくとも一つの画像部分内にある複数の画像要素の各々の画像要素に関連する元の値を前記元の値と前記代表的な画像要素の値との間の値に置換し、
前記複数の画像要素を前記再構築された画像の残りの部分と結合して、前記分割された画像を取得する、
ようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記コードは、前面投影アルゴリズムを前記分割された画像に適用して、前記分割された画像に対応するシミュレートされた走査データを導出するようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記コードは、前記エラー項を用いることによって、フィルタされた背面投影アルゴリズムを適用して、前記修正済みの再構築された画像を生成するようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−223963(P2010−223963A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−89821(P2010−89821)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(510067212)モルフォ ディテクション インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】