説明

コンテナクレーン

【課題】コンテナクレーンのブームを立ち上げて休止している時(ブームアップ時)の車輪の浮き上がりを防止する。
【解決手段】コンテナクレーン1の走行装置11,12にアンカー17を設け、該アンカー17が、前記走行装置11,12に昇降可能に設けた棒状体18と、該棒状体18に設けられ、かつ、コンテナヤードFに設けた縦穴21の上端開口部22に設けた張出部23と係合する係止部19とから形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナクレーン、更に詳しくは、コンテナクレーンのブームを立ち上げて休止している時に地震に遭遇しても車輪の浮き上がりを防止することができるコンテナクレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンテナクレーン1は、図9に示すように、海脚2と陸脚3より成るクレーン本体4に、ガーダ5とブーム6より成る主桁7をクレーン本体4の走行方向yと交差するように横行方向(以下、海陸方向と称する。)Xに向けて設けている。そして、主桁7上をトロリー8が横行すると共に、トロリー8から吊るした吊り具(スプレッダ)9によって船上又は搬送車上のコンテナ10を荷役するようになっている。また、海脚2に設けた走行装置11と陸脚3に設けた走行装置12は、コンテナヤードFに敷設したレール(図示せず)上を走行方向yに向かって移動できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記コンテナクレーン1は、荷役作業休止時に、二点鎖線で示すように、ブーム6を立ち上げて休止しているが、その時に地震に遭遇すると、走行装置11,12の車輪、特に、海脚側の走行装置11の車輪が浮き上がり、脱輪やクレーン本体4が損傷する虞れがある。
【0004】
一方、コンテナクレーンは、荷役作業休止時に、コンテナヤードに設けた溝に逸走防止金具(アンカー)を差し込んで走行方向yに走行しないようにしているが、車輪の浮き上がりを防止する機能はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−58973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、荷役作業休止時、すなわち、コンテナクレーンのブームを立ち上げて休止している時(ブームアップ時)の車輪の浮き上がりを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係るコンテナクレーンは、海脚と陸脚より成るクレーン本体に、該クレーン本体の走行方向と交差する方向にブームとガーダより成る主桁を設け、該主桁上を横行するトロリーから吊るした吊り具によって船上又は搬送車上のコンテナを荷役し、かつ、海脚と陸脚に設けた走行装置がコンテナヤードに敷設したレール上を移動するコンテナクレーンにおいて、前記走行装置にアンカーを設け、該アンカーが前記走行装置に昇降可能に設けた棒状体と、該棒状体に設けられ、かつ、コンテナヤードに設けた縦穴の上端開口部に設けた張出部と係合する係止部とから成ることを特徴とするものである。
【0008】
本願の請求項2に係るコンテナクレーンは、海脚と陸脚より成るクレーン本体に、該クレーン本体の走行方向と交差する方向にブームとガーダより成る主桁を設け、該主桁上を横行するトロリーから吊るした吊り具によって船上又は搬送車上のコンテナを荷役し、かつ、海脚と陸脚に設けた走行装置がコンテナヤードに敷設したレール上を移動するコンテナクレーンにおいて、前記走行装置にアンカーを設け、該アンカーが前記走行装置に昇降可能に設けた棒状体と、該棒状体に着脱自在に設けられ、かつ、コンテナヤードに設けた縦穴の上端開口部に設けた張出部と係合する係止部とから成ることを特徴とするものである。
【0009】
本願の請求項3に係るコンテナクレーンは、海脚と陸脚より成るクレーン本体に、該クレーン本体の走行方向と交差する方向にブームとガーダより成る主桁を設け、該主桁上を横行するトロリーから吊るした吊り具によって船上又は搬送車上のコンテナを荷役し、かつ、海脚と陸脚に設けた走行装置がコンテナヤードに敷設したレール上を移動するコンテナクレーンにおいて、前記走行装置にアンカーを設け、該アンカーが前記走行装置に昇降及び90度回動自在に設けた棒状体と、該棒状体に設けられ、かつ、コンテナヤードに設けた縦穴の上端開口部に設けた張出部と係合する係止部とから成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本願の発明によれば、荷役作業休止時、すなわち、コンテナクレーンのブームを立ち上げて休止している時(ブームアップ時)に地震に遭遇しても棒状体に設けた係止部が、コンテナヤードに設けた縦穴の上端開口部に設けた張出部と係合するため、走行装置の車輪の浮き上がりを防止することができる。その結果、脱輪やクレーン本体の損傷などを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るコンテナクレーンの要部拡大側面図である。
【図2】アンカー先端部分の拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】コンテナヤードに設けた縦穴の変形例を示す平面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】係止部の変形例を示す側面図である。
【図7】アンカーの変形例を示す一部断面を含む側面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】従来のコンテナクレーンの面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図9に示すように、コンテナクレーン1は、海脚2と陸脚3より成るクレーン本体4に、ガーダ5とブーム6より成る主桁7をクレーン本体4の走行方向yと交差するように横行方向(以下、海陸方向と称する。)Xに向けて設けている。そして、主桁7上をトロリー8が横行すると共に、トロリー8から吊るした吊り具(スプレッダ)9によって船上又は搬送車上のコンテナ10を荷役するようになっている。また、海脚2に設けた走行装置11と陸脚3に設けた走行装置12は、コンテナヤードFに敷設したレール(図示せず)上を走行方向yに向かって移動できるようになっている。
【0013】
上記コンテナクレーン1は、荷役作業休止時に、二点鎖線で示すように、ブーム6を立ち上げて休止しているが、その時に地震に遭遇すると、走行装置11,12の車輪、特に、海脚側の走行装置11の車輪が浮き上がり易く、脱輪やクレーン本体4の損傷の原因になる。
【0014】
従って、車輪の浮き上がりを防止する対策が必要になる。図1に示すように、走行装置11,12は、それぞれ、1基の主イコライザ15と、2基の中間イコライザ15aと、4基のボギー16より構成されているが、4基のボギー16は、主イコライザ15の走行方向yに対して前後となるように設けられている。
【0015】
走行装置11,12は、その側面部にそれぞれ槌型又はT字型のアンカー17を設けている。アンカー17は、図2に示すように、走行装置11,12に昇降自在に設けた棒状体18と、棒状体18の先端部(下端部)に設けた係止部19から形成されている。その上、図3に示すように、係止部19の上面中央部に棒状体18の下端部が結合されている。
【0016】
係止部19の形状としては、長方形、正方形、多角形、円板形、棒状体などを挙げることができるが、後述する縦穴21の上端開口部22に設けた張出部23と係合できる形状であれば差し支えがない。なお、図3の視点からの係止部19の面積は、棒状体18の横断面積よりも大きいことは言うまでもない。また、棒状体18の形状としては、角棒状、角筒状、円柱状、円筒状などを挙げることができる。
【0017】
また、棒状体18の昇降手段としては、油圧シリンダー方式、ラックピニオン方式などを挙げることができるが、これの方式に限らず、棒状体を昇降できる方式であれば差し支えがない。
【0018】
他方、コンテナヤードFは、走行装置11,12が乗っているレール(図示せず)の近傍にアンカー17の係止部19を挿入するための縦穴21を設けている。この縦穴21は、上端開口部22の両端部、すなわち、レール上を移動するクレーン本体4の走行方向yに対して相前後する両端部に庇状の張出部23,23を設けている。
【0019】
図2に示すように、コンテナクレーン1は、荷役作業休止時、縦穴21の中に槌型のアンカー17の先端に設けられている係止部19を挿入している。地震が発生してコンテナクレーン1が揺動し、走行装置11,12が浮き上がろうとすると、アンカー17の先端部に設けられている係止部19が縦穴21の上端開口部に設けられている何れか一方の張出部23と係合して走行装置11,12の車輪の浮き上がりが防止される。
【0020】
以上の説明では、縦穴21の前後両端部に張出部23,23を設けた場合について説明したが、これに限らず、例えば、図4に示すように、縦穴21の上端開口部22の四隅に張出部23を設けても同様の効果を得ることができる。その際、図4及び図5に示すように、隣接する一対の張出部23,23間にカバー24をスライド可能に設けて係止部19の抜け止めを行うことが望ましい。
【0021】
また、槌型のアンカー17は、係止部19を棒状体18に固定しているが、分離できるようにすることもできる。例えば、図6に示すように、係止部19の上面に設けた一対のブラケット25,25の間に棒状体17の先端部を差し込んだ後、ブラケット25,25と棒状体18の先端部に設けた孔(図示せず)にピン26を差し込むのである。
【0022】
更に、図7及び図8に示すように、槌型のアンカー17を90度回動させることによって係止部19を縦穴21の張出部23と係合させることもできる。この場合は、張出部23は、クレーン本体4の走行方向yと交差する海陸方向Xに設けるのが好ましい。なお、アンカー17の90度回動は、レバー方式を採用すると便利である。
【符号の説明】
【0023】
1 コンテナクレーン
11,12 走行装置
17 アンカー
18 棒状体
19 係止部
21 縦穴
22 上端開口部
23 張出部
F コンテナヤード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海脚と陸脚より成るクレーン本体に、該クレーン本体の走行方向と交差する方向にブームとガーダより成る主桁を設け、該主桁上を横行するトロリーから吊るした吊り具によって船上又は搬送車上のコンテナを荷役し、かつ、海脚と陸脚に設けた走行装置がコンテナヤードに敷設したレール上を移動するコンテナクレーンにおいて、前記走行装置にアンカーを設け、該アンカーが前記走行装置に昇降可能に設けた棒状体と、該棒状体に設けられ、かつ、コンテナヤードに設けた縦穴の上端開口部に設けた張出部と係合する係止部とから成ることを特徴とするコンテナクレーン。
【請求項2】
海脚と陸脚より成るクレーン本体に、該クレーン本体の走行方向と交差する方向にブームとガーダより成る主桁を設け、該主桁上を横行するトロリーから吊るした吊り具によって船上又は搬送車上のコンテナを荷役し、かつ、海脚と陸脚に設けた走行装置がコンテナヤードに敷設したレール上を移動するコンテナクレーンにおいて、前記走行装置にアンカーを設け、該アンカーが前記走行装置に昇降可能に設けた棒状体と、該棒状体に着脱自在に設けられ、かつ、コンテナヤードに設けた縦穴の上端開口部に設けた張出部と係合する係止部とから成ることを特徴とするコンテナクレーン。
【請求項3】
海脚と陸脚より成るクレーン本体に、該クレーン本体の走行方向と交差する方向にブームとガーダより成る主桁を設け、該主桁上を横行するトロリーから吊るした吊り具によって船上又は搬送車上のコンテナを荷役し、かつ、海脚と陸脚に設けた走行装置がコンテナヤードに敷設したレール上を移動するコンテナクレーンにおいて、前記走行装置にアンカーを設け、該アンカーが前記走行装置に昇降及び90度回動自在に設けた棒状体と、該棒状体に設けられ、かつ、コンテナヤードに設けた縦穴の上端開口部に設けた張出部と係合する係止部とから成ることを特徴とするコンテナクレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−206849(P2012−206849A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75611(P2011−75611)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】