説明

コンテンツ送信システム及びコンテンツ送信方法

【課題】顧客はコンテンツのダウンロードが完了しないうちに第1の無線通信装置の通信範囲から出ても、コンテンツの配信を受けられるシステムを提供する。
【解決手段】通信範囲内に存在するゲーム機器9と無線通信を行うカウンタ通信装置1は、ゲーム機器9に所定のアクセス情報を送信する。少なくともカウンタ通信装置の通信範囲外の範囲を含む通信範囲を有し、当該通信範囲内に存在するゲーム機器9と無線通信を行う店内通信装置2は、ゲーム機器9がアクセス情報を記憶しているか否かを判定する。店内通信装置2は、ゲーム機器9がアクセス情報を記憶していると判定した場合に、当該ゲーム機器9にコンテンツを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う無線通信端末に所定のコンテンツを送信するコンテンツ送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗を訪れた顧客に対して販売促進やアンケートの収集を行う方法として、店舗に設けられた無線通信装置を介して、店舗内の顧客のゲーム機器に対してゲームコンテンツ等を配信し、当該ゲームコンテンツを介して販売促進やアンケートの収集を行う方法が用いられている(非特許文献1を参照)。
【0003】
なお、非特許文献1に記載の方法のほかにも、特許文献1などに、ゲームコンテンツを用いて販売促進を行う方法が示されている。また、非特許文献1に記載の方法のほかにも、特許文献2になどに、店舗内の顧客に対してコンテンツを提供する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−213539号公報
【特許文献2】特開2009−265717号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“遊び方 | マックでDS | McDonald´s Japan”、[online]、日本マクドナルド株式会社、[2011年7月21日検索]、インターネット〈URL: http://www.mcdonalds.co.jp/ds/how_to_play/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載の方法を用いた場合、無線通信装置の通信範囲内に存在するゲーム機器にコンテンツが送信されることとなる。つまり、顧客は、店舗にて商品を購入したか否かに関わらずコンテンツを利用することができる。そのため、商品を購入した顧客に対して、商品を購入していない顧客より優れた特典を与えるなど、商品の購入の有無によって配信するコンテンツを制御することができなかった。
【0007】
また、無線通信装置の通信範囲を決済カウンタの近傍に限定することで商品を購入した顧客にのみコンテンツを提供する方法も考えられるが、コンテンツのデータ量が大きい場合、通信に時間がかかり、決済処理の間にコンテンツのダウンロードが終了しないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、無線通信を行う無線通信端末に所定のコンテンツを送信するコンテンツ送信システムであって、通信範囲内に存在する前記無線通信端末と無線通信を行う第1の無線通信装置と、少なくとも前記第1の無線通信装置の通信範囲外の範囲を含む通信範囲を有し、当該通信範囲内に存在する前記無線通信端末と無線通信を行う第2の無線通信装置とを備え、前記第1の無線通信装置は、前記無線通信端末に所定のアクセス情報を送信するアクセス情報送信部を備え、前記第2の無線通信装置は、前記無線通信端末が前記アクセス情報を記憶しているか否かを判定するアクセス情報判定部と、前記アクセス情報判定部によって前記無線通信端末が前記アクセス情報を記憶していると判定された場合に、前記無線通信端末に前記コンテンツを送信するコンテンツ送信部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明においては、前記第1の無線通信装置は、前記無線通信端末から当該無線通信装置の種別を示す種別情報を受信する種別情報受信部を備え、前記アクセス情報送信部は、前記種別情報受信部が受信した種別情報が所定の種別を示す場合に、前記無線通信端末に前記アクセス情報を送信することが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記第1の無線通信装置及び前記第2の無線通信装置は、店舗内に設けられ、前記第1の無線通信装置の通信範囲は前記店舗の決済カウンタ近傍の範囲を含み、前記第2の無線通信装置の通信範囲は前記店舗の飲食スペース近傍の範囲を含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記第1の無線通信装置は、前記アクセス情報の送信開始指示を受け付ける指示受け付け部を備え、前記アクセス情報送信部は、前記指示受け付け部が前記送信開始指示を受け付けた場合に、前記アクセス情報を送信することが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記アクセス情報送信部は、前記アクセス情報として、前記無線通信端末を前記第2の無線通信装置と通信する通信装置として機能させるための通信プログラムを送信し、前記アクセス情報判定部は、前記無線通信端末が前記通信プログラムの実行により前記第2の無線通信装置と通信した場合に、前記無線通信装置が前記アクセス情報である前記通信プログラムを記憶していると判定することが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、前記アクセス情報送信部は、前記アクセス情報である通信プログラムに加えて、前記無線通信端末が前記コンテンツを受信できる期間を示す受信期間情報を前記無線通信端末に送信し、前記通信プログラムは、前記無線通信端末を、前記第2の無線通信装置と通信し、前記受信期間情報が示す受信期間の間のみ前記第2の無線通信装置から前記コンテンツを受信する通信装置として機能させることが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、前記第1の無線通信装置は、前記第1の無線通信装置に接続された所定の機器から所定の制御データの供給を受け、当該制御データに応じて前記受信期間を示す受信期間情報を生成する受信期間設定部を備え、前記受信期間情報送信部は、前記受信期間設定部が生成した受信期間情報を送信することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、無線通信を行う無線通信端末に所定のコンテンツを送信するコンテンツ送信システムを用いたコンテンツ送信方法であって、通信範囲内に存在する前記無線通信端末と無線通信を行う第1の無線通信装置が、前記無線通信端末に所定のアクセス情報を送信するステップと、少なくとも前記第1の無線通信装置の通信範囲外の範囲を含む通信範囲を有し、当該通信範囲内に存在する前記無線通信端末と無線通信を行う第2の無線通信装置が、前記無線通信端末が前記アクセス情報を記憶しているか否かを判定するステップと、前記第2の無線通信装置が、前記無線通信端末が前記アクセス情報を記憶していると判定した場合に、前記無線通信端末に前記コンテンツを送信するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1の無線通信装置から受信したアクセス情報を記憶している無線通信端末が、第2の無線通信装置の通信範囲内に入ることで、コンテンツの配信が行われる。つまり、第1の無線通信装置の通信範囲を、決済カウンタの近傍など、顧客がコンテンツの配信を受ける条件を満たしうる範囲に限定し、その後第2の無線通信装置からコンテンツを受信することで、決済などの条件を満たした後に、第2の無線通信装置からコンテンツの配信を受けることができる。第2の無線通信装置からコンテンツの配信を受けるため、コンテンツのデータ量が大きくても、顧客はコンテンツのダウンロードが完了しないうちに第1の無線通信装置の通信範囲から出ても、引き続きコンテンツの配信を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態によるコンテンツ送信システムの配置を示す概略図である。
【図2】第1の実施形態によるコンテンツ送信システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるカウンタ通信装置とゲーム機器との通信動作を示すシーケンス図である。
【図4】第1の実施形態においてゲーム機器が通信プログラムを実行した際における店内通信装置との通信動作を示すシーケンス図である。
【図5】第2の実施形態によるコンテンツ送信システムの配置を示す概略図である。
【図6】第2の実施形態によるコンテンツ送信システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図7】第2の実施形態におけるカウンタ通信装置とゲーム機器との通信動作を示すシーケンス図である。
【図8】第2の実施形態においてゲーム機器が通信プログラムを実行した際における店内通信装置との通信動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態によるコンテンツ送信システム(商標:マックでDS)の配置を示す概略図である。
コンテンツ送信システムは、顧客が所持するゲーム機器9との通信を行う無線通信装置であるカウンタ通信装置1(第1の無線通信装置)と店内通信装置2(第2の無線通信装置)とを備え、所定の条件を満たすゲーム機器9にコンテンツ(商標:DS マック アドベンチャー)を送信するシステムである。
カウンタ通信装置1は、店舗内の決済カウンタ下に設置され、決済カウンタの近傍を通信範囲とする。つまり、ゲーム機器9を所持する顧客が決済カウンタにて商品の決済を行っているときに、ゲーム機器9はカウンタ通信装置1の通信範囲内に存在することとなる。
店内通信装置2は、店舗内に設置され、少なくとも飲食スペースを含む店舗内の範囲を通信範囲とする。つまり、ゲーム機器9を所持する顧客が少なくとも飲食スペースに存在するときに、ゲーム機器9は店内通信装置2の通信範囲内に存在することとなる。
【0019】
図2は、第1の実施形態によるコンテンツ送信システムの構成を示す概略ブロック図である。
ゲーム機器9は、無線通信部91、受信情報記憶部92、プログラム実行部93を備える。
無線通信部91は、無線LAN(Local Area Network)を介してカウンタ通信装置1及び店内通信装置2との通信を行い、通信により受信した情報を受信情報記憶部92に記録する。
受信情報記憶部92は、無線通信部91が受信した情報を記憶する。なお、無線通信部91が受信した情報には、プログラム等も含まれる。
プログラム実行部93は、受信情報記憶部92が記憶するプログラムを実行する。
【0020】
カウンタ通信装置1は、種別情報受信部11、種別情報判定部12、アクセス情報記憶部13、アクセス情報送信部14を備える。
種別情報受信部11は、通信範囲内に存在するゲーム機器9からハードウェアの種別を示す種別情報を受信する。
種別情報判定部12は、種別情報受信部11が受信した種別情報が所定のハードウェア(例えばニンテンドーDS(登録商標))を示すか否かを判定する。
アクセス情報記憶部13は、店内通信装置2からコンテンツを受信するためのアクセス情報を記憶する。なお、アクセス情報記憶部13が記憶するアクセス情報は、ゲーム機器9を店内通信装置2と通信する通信装置として機能させるための通信プログラムである。
アクセス情報送信部14は、種別情報判定部12が、種別情報が所定のハードウェア種別を示すと判定した場合に、当該ゲーム機器9にアクセス情報記憶部13が記憶するアクセス情報を送信する。
【0021】
店内通信装置2は、コンテンツ要求受信部21、アクセス情報判定部22、コンテンツ記憶部23、コンテンツ送信部24を備える。
コンテンツ要求受信部21は、通信範囲内に存在するゲーム機器9からコンテンツの配信を要求するコンテンツ要求を受信する。
アクセス情報判定部22は、コンテンツ要求の発信元のゲーム機器9がアクセス情報を記憶しているか否かを判定する。
コンテンツ記憶部23は、ゲーム機器9で利用可能なコンテンツを記憶する。
コンテンツ送信部24は、アクセス情報判定部22が、ゲーム機器9がアクセス情報を記憶していると判定した場合に、当該ゲーム機器9にコンテンツ記憶部23が記憶するコンテンツを送信する。
【0022】
次に、第1の実施形態によるコンテンツ送信システムの動作について説明する。
まず、カウンタ通信装置1とゲーム機器9との通信動作について説明する。
図3は、第1の実施形態におけるカウンタ通信装置1とゲーム機器9との通信動作を示すシーケンス図である。
ゲーム機器9がカウンタ通信装置1の通信範囲内に進入すると、ゲーム機器9の無線通信部91は、カウンタ通信装置1を探索し、通信を開始する(ステップS1)。次に、無線通信部91は、カウンタ通信装置1に対して自装置の種別情報を送信する(ステップS2)。
【0023】
ゲーム機器9が種別情報を送信すると、カウンタ通信装置1の種別情報受信部11は、ゲーム機器9から種別情報を受信する(ステップS3)。次に、種別情報判定部12は、種別情報受信部11が受信した種別情報が所定のハードウェア種別を示すか否かを判定する(ステップS4)。種別情報判定部12が、種別情報が所定のハードウェア種別でない種別を示すと判定した場合(ステップS4:NO)、アクセス情報の送信を行わずに、ゲーム機器9との通信を終了する。
他方、種別情報判定部12が、種別情報が所定のハードウェア種別を示すと判定した場合(ステップS4:YES)、アクセス情報送信部14は、アクセス情報記憶部13が記憶するアクセス情報である通信プログラムを、ゲーム機器9に送信する(ステップS5)。
【0024】
カウンタ通信装置1が通信プログラムを送信すると、ゲーム機器9の無線通信部91は、カウンタ通信装置1から通信プログラムを受信する(ステップS6)。次に、無線通信部91は、受信した通信プログラムを受信情報記憶部92に記録する(ステップS7)。これにより、ゲーム機器9は、店内通信装置2からコンテンツを受信するためのアクセス情報を記憶する。
【0025】
次に、ゲーム機器9が通信プログラムを実行した際における店内通信装置2との通信動作について説明する。
図4は、第1の実施形態においてゲーム機器9が通信プログラムを実行した際における店内通信装置2との通信動作を示すシーケンス図である。
ゲーム機器9のプログラム実行部93は、ゲーム機器9の所有者である顧客の操作により、受信情報記憶部92が記憶する通信プログラムを実行する(ステップS11)。プログラム実行部93は、通信プログラムを実行することで、店内通信装置2と通信する通信処理部として動作する。次に、プログラム実行部93は、無線通信部91を介して店内通信装置2を探索し、店内通信装置2の存在の有無を判定する(ステップS12)。なお、ゲーム機器9が店内通信装置2の通信範囲内に存在する場合、プログラム実行部93は、店内通信装置2を検出することができ、ゲーム機器9が店内通信装置2の通信範囲外に存在する場合、プログラム実行部93は、店内通信装置2を検出することができない。
【0026】
プログラム実行部93は、店内通信装置2が存在しないと判定した場合(ステップS12:NO)、通信エラーであることを画面に表示して通信プログラムの実行を終了する。
他方、プログラム実行部93は、店内通信装置2が存在すると判定した場合(ステップS12:YES)、無線通信部91を介して店内通信装置2にコンテンツの配信を要求するコンテンツ要求を送信する(ステップS13)。
【0027】
ゲーム機器9がコンテンツ要求を送信すると、店内通信装置2のコンテンツ要求受信部21は、ゲーム機器9からコンテンツ要求を受信する(ステップS14)。次に、アクセス情報判定部22は、当該コンテンツ要求が、アクセス情報である通信プログラムの実行によって送信されたものであるか否かを判定する(ステップS15)。これは、例えばコンテンツ要求に含まれる情報が通信プログラムに固有の情報であるか否かを判定することなどによって実現される。
【0028】
アクセス情報判定部22は、コンテンツ要求が、通信プログラムの実行により送信されたものでないと判定した場合(ステップS15:NO)、コンテンツの送信を行わずに、ゲーム機器9との通信を終了する。これにより、コンテンツ送信システムによれば、カウンタ通信装置1との通信を行っていないゲーム機器9にコンテンツの送信を行わないように制御することができる。つまり、商品の決済を行っていない顧客が所有するゲーム機器9が、コンテンツを受信しないようにすることができる。
他方、アクセス情報判定部22が、コンテンツ要求が、通信プログラムの実行により送信されたものであると判定した場合(ステップS15:YES)、コンテンツ送信部24は、コンテンツ記憶部23が記憶するコンテンツをゲーム機器9に送信する(ステップS16)。
【0029】
店内通信装置2がコンテンツを送信すると、ゲーム機器9の無線通信部91は、店内通信装置2からコンテンツを受信する(ステップS17)。次に、無線通信部91は、受信したコンテンツを受信情報記憶部92に記録する(ステップS18)。これにより、コンテンツ送信システムによれば、カウンタ通信装置1との通信を行ったゲーム機器9にコンテンツの送信を行うことができる。つまり、商品の決済を行った顧客が所有するゲーム機器9に、コンテンツを受信させることができる。
【0030】
受信情報記憶部92が記憶するコンテンツは、ゲーム機器9のプログラム実行部93によって利用される。本実施形態では、コンテンツはゲームプログラムである「DS マック アドベンチャー」であるため、プログラム実行部93が「DS マック アドベンチャー」のプログラムを実行する。これにより、商品の決済を行った顧客は、受信したコンテンツを利用することができる。
また、ゲームプログラム以外のコンテンツの例としては、文書情報、音楽、動画像、静止画像などが挙げられる。つまり、コンテンツが文書情報、動画像、静止画像であった場合、プログラム実行部93は、当該コンテンツを画面に表示させる。また、コンテンツが音楽であった場合、プログラム実行部93は、当該音楽をスピーカから再生させる。これにより、商品の決済を行った顧客は、受信したコンテンツを利用することができる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、カウンタ通信装置1は、ゲーム機器9に所定のアクセス情報を送信し、店内通信装置2は、ゲーム機器9がアクセス情報を記憶している場合に、当該ゲーム機器9にコンテンツを送信する。これにより店内通信装置2は、カウンタ通信装置1の通信領域内に一度進入したゲーム機器9にのみ、コンテンツを送信することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、カウンタ通信装置1は、ゲーム機器9から当該ゲーム機器9の種別を示す種別情報を受信し、当該種別情報が所定の種別を示す場合に、ゲーム機器9にアクセス情報を送信する。これにより、店内通信装置2は、所定の種別のゲーム機器9に対して、当該ゲーム機器9に対応するコンテンツを送信することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、カウンタ通信装置1及び店舗通信装置は、店舗内に設けられ、カウンタ通信装置1の通信範囲は店舗の決済カウンタ近傍の範囲を含み、店内通信装置2の通信範囲は店舗の飲食スペース近傍の範囲を含む。これにより、店内通信装置2は、店舗の飲食スペースに存在するゲーム機器9のうち、商品の決済をしたであろう顧客のゲーム機器9に対して、コンテンツを送信することができる。
【0034】
《第2の実施形態》
次に、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
図5は、第2の実施形態によるコンテンツ送信システムの配置を示す概略図である。
第2の実施形態によるコンテンツ送信システムは、カウンタ通信装置1がPOSレジ3(Point Of Sale)と接続されている。POSレジ3は、店員によって商品の決済を開始する操作がなされた場合に、アクセス情報の送信指示をカウンタ通信装置1に出力する。
【0035】
図6は、第2の実施形態によるコンテンツ送信システムの構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態によるコンテンツ送信システムのカウンタ通信装置1は、第1の実施形態によるコンテンツ送信システムのカウンタ通信装置1に加え、さらに指示受け付け部15と受信期間設定部16とを備える。また、アクセス情報送信部14の動作が第1の実施形態と異なる。
指示受け付け部15は、POSレジ3からアクセス情報の送信指示を受け付ける。
受信期間設定部16は、指示受け付け部15が送信指示を受け付けたときに、現在時刻に基づいてコンテンツの受信期間を算出する。
アクセス情報送信部14は、種別情報判定部12が、種別情報が所定のハードウェア種別を示すと判定した場合において、受信期間設定部16がコンテンツの受信期間を算出したときに、アクセス情報記憶部13が記憶するアクセス情報である通信プログラムと受信期間設定部16が算出した受信期間を示す受信機間情報とをゲーム機器9に送信する。
【0036】
なお、アクセス情報記憶部13が記憶する通信プログラムは、ゲーム機器9を、受信期間の間だけコンテンツ要求を送信することができる通信装置として動作させる。つまり、ゲーム機器9を所有する顧客が、カウンタ通信装置1から受信した受信期間情報が示す期間の間にゲーム機器9に通信プログラムを実行させた場合、ゲーム機器9は、店内通信装置2にコンテンツ要求を送信する。他方、受信期間が経過した後にゲーム機器9に通信プログラムを実行させた場合、ゲーム機器9は、店内通信装置2にコンテンツ要求を送信しない。
【0037】
次に、第2の実施形態によるコンテンツ送信システムの動作について説明する。
図7は、第2の実施形態におけるカウンタ通信装置1とゲーム機器9との通信動作を示すシーケンス図である。なお、第1の実施形態と同じ動作をする部分については、第1の実施形態と同じ符号を用いて説明する。
ゲーム機器9がカウンタ通信装置1の通信範囲内に進入すると、ゲーム機器9の無線通信部91は、カウンタ通信装置1を探索し、通信を開始する(ステップS1)。次に、無線通信部91は、カウンタ通信装置1に対して自装置の種別情報を送信する(ステップS2)。
【0038】
ゲーム機器9が種別情報を送信すると、カウンタ通信装置1の種別情報受信部11は、ゲーム機器9から種別情報を受信する(ステップS3)。次に、種別情報判定部12は、種別情報受信部11が受信した種別情報が所定のハードウェア種別を示すか否かを判定する(ステップS4)。種別情報判定部12が、種別情報が所定のハードウェア種別でない種別を示すと判定した場合(ステップS4:NO)、アクセス情報の送信を行わずに、ゲーム機器9との通信を終了する。
他方、種別情報判定部12が、種別情報が所定のハードウェア種別を示すと判定した場合(ステップS4:YES)、指示受け付け部15は、POSレジ3から通信プログラムの送信指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS105)。指示受け付け部15は、送信指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS105:NO)、ステップS5に戻り、送信指示の受け付けを待機する。
【0039】
他方、指示受け付け部15が、送信指示を受け付けたと判定した場合(ステップS105:YES)、受信期間設定部16は、現在時刻を読み出し、現在時刻に基づいて受信期間を算出する(ステップS106)。例えば、受信期間設定部16は、所定の時間(例えば1時間)を加算した時刻を受信期間の満了時とする。
【0040】
次に、アクセス情報送信部14は、アクセス情報記憶部13が記憶するアクセス情報である通信プログラムと、受信期間設定部16が算出した受信期間を示す受信期間情報とを、ゲーム機器9に送信する(ステップS107)。
【0041】
カウンタ通信装置1が通信プログラム及び受信期間情報を送信すると、ゲーム機器9の無線通信部91は、カウンタ通信装置1から通信プログラム及び受信期間情報を受信する(ステップS108)。次に、無線通信部91は、受信した通信プログラム及び受信期間情報を受信情報記憶部92に記録する(ステップS109)。これにより、ゲーム機器9は、店内通信装置2からコンテンツを受信するためのアクセス情報及び受信期間情報を記憶する。
【0042】
次に、ゲーム機器9が通信プログラムを実行した際における店内通信装置2との通信動作について説明する。
図8は、第2の実施形態においてゲーム機器9が通信プログラムを実行した際における店内通信装置2との通信動作を示すシーケンス図である。なお、第1の実施形態と同じ動作をする部分については、第1の実施形態と同じ符号を用いて説明する。
ゲーム機器9のプログラム実行部93は、ゲーム機器9の所有者である顧客の操作により、受信情報記憶部92が記憶する通信プログラムを実行する(ステップS11)。プログラム実行部93は、通信プログラムを実行することで、受信期間の間だけコンテンツ要求を送信することができる通信処理部として動作する。
【0043】
次に、プログラム実行部93は、現在時刻を参照し、受信情報記憶部92が記憶する受信期間情報が示す受信期間が満了したか否かを判定する(ステップS111)。プログラム実行部93は、受信期間が満了していると判定した場合(ステップS111:YES)、コンテンツ要求を送信せずに処理を終了する。他方、プログラム実行部93は、受信期間が満了していないと判定した場合(ステップS111:NO)、無線通信部91を介して店内通信装置2を探索し、店内通信装置2の存在の有無を判定する(ステップS12)。
【0044】
プログラム実行部93は、店内通信装置2が存在しないと判定した場合(ステップS12:NO)、通信エラーであることを画面に表示して通信プログラムの実行を終了する。
他方、プログラム実行部93は、店内通信装置2が存在すると判定した場合(ステップS12:YES)、無線通信部91を介して店内通信装置2にコンテンツの配信を要求するコンテンツ要求を送信する(ステップS13)。
【0045】
ゲーム機器9がコンテンツ要求を送信すると、店内通信装置2のコンテンツ要求受信部21は、ゲーム機器9からコンテンツ要求を受信する(ステップS14)。次に、アクセス情報判定部22は、当該コンテンツ要求が、アクセス情報である通信プログラムの実行によって送信されたものであるか否かを判定する(ステップS15)。
【0046】
アクセス情報判定部22は、コンテンツ要求が、通信プログラムの実行により送信されたものでないと判定した場合(ステップS15:NO)、コンテンツの送信を行わずに、ゲーム機器9との通信を終了する。
他方、アクセス情報判定部22が、コンテンツ要求が、通信プログラムの実行により送信されたものであると判定した場合(ステップS15:YES)、コンテンツ送信部24は、コンテンツ記憶部23が記憶するコンテンツをゲーム機器9に送信する(ステップS16)。
【0047】
店内通信装置2がコンテンツを送信すると、ゲーム機器9の無線通信部91は、店内通信装置2からコンテンツを受信する(ステップS17)。次に、無線通信部91は、受信したコンテンツを受信情報記憶部92に記録する(ステップS18)。
【0048】
このように、本実施形態によれば、カウンタ通信装置1は、POSレジ3から送信指示を受け付けた場合に限り、ゲーム機器9に所定のアクセス情報を送信する。これにより店内通信装置2は、商品の決済を行った時にカウンタ通信装置1の通信範囲内に存在していたゲーム機器9にのみ、コンテンツを送信することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ゲーム機器9のプログラム実行部93が所定の受信期間が満了するまでに通信プログラムを実行した場合に限り、コンテンツを受信することができる。これにより、商品の決済を行った店舗以外の店舗においてコンテンツの受信がなされることを防ぐことができる。これにより、店舗内に顧客が留まることが期待でき、店舗への集客効果を上げることができる。
【0050】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、アクセス情報として通信プログラムをゲーム機器9に送信し、ゲーム機器9が当該通信プログラムを実行することで、店内通信装置2からコンテンツが送信される場合を説明したが、これに限られない。例えば、アクセス情報として所定の値を有するデータをゲーム機器9に送信し、ゲーム機器9が当該データを含むコンテンツ要求を送信することで、店内通信装置2からコンテンツが送信されるようにしても良い。
【0051】
また、上述した第2の実施形態では、通信プログラムを実行したゲーム機器9が、現在時刻を参照して受信期間が満了していると判定した場合にコンテンツ要求を送信しないことで、受信期間の満了後にコンテンツを受信しない場合を説明したが、これに限られない。例えば、ゲーム機器9が受信期間を含むコンテンツ要求を送信し、店内通信装置2のアクセス情報判定部22が受信期間が満了しているか否かを判定することで、受信期間の満了後にゲーム機器9がコンテンツを受信しないようにしても良い。
【0052】
また、上述した実施形態では、ゲーム装置がアクセス情報を有する場合にのみ、コンテンツを送信する場合について説明したが、これに限られず、アクセス情報を有するか否かに応じて異なるコンテンツを送信するようにしても良い。
【0053】
上述のカウンタ通信装置1及び店舗通信装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0054】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
1…カウンタ通信装置 11…種別情報受信部 12…種別情報判定部 13…アクセス情報記憶部 14…アクセス情報送信部 15…指示受け付け部 16…受信期間設定部 2…店内通信装置 21…コンテンツ要求受信部 22…アクセス情報判定部 23…コンテンツ記憶部 24…コンテンツ送信部 9…ゲーム機器 91…無線通信部 92…受信情報記憶部 93…プログラム実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う無線通信端末に所定のコンテンツを送信するコンテンツ送信システムであって、
通信範囲内に存在する前記無線通信端末と無線通信を行う第1の無線通信装置と、
少なくとも前記第1の無線通信装置の通信範囲外の範囲を含む通信範囲を有し、当該通信範囲内に存在する前記無線通信端末と無線通信を行う第2の無線通信装置と
を備え、
前記第1の無線通信装置は、
前記無線通信端末に所定のアクセス情報を送信するアクセス情報送信部
を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記無線通信端末が前記アクセス情報を記憶しているか否かを判定するアクセス情報判定部と、
前記アクセス情報判定部によって前記無線通信端末が前記アクセス情報を記憶していると判定された場合に、前記無線通信端末に前記コンテンツを送信するコンテンツ送信部と
を備えることを特徴とするコンテンツ送信システム。
【請求項2】
前記第1の無線通信装置は、前記無線通信端末から当該無線通信装置の種別を示す種別情報を受信する種別情報受信部を備え、
前記アクセス情報送信部は、前記種別情報受信部が受信した種別情報が所定の種別を示す場合に、前記無線通信端末に前記アクセス情報を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ送信システム。
【請求項3】
前記第1の無線通信装置及び前記第2の無線通信装置は、店舗内に設けられ、
前記第1の無線通信装置の通信範囲は前記店舗の決済カウンタ近傍の範囲を含み、
前記第2の無線通信装置の通信範囲は前記店舗の飲食スペース近傍の範囲を含む
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンテンツ送信システム。
【請求項4】
前記第1の無線通信装置は、前記アクセス情報の送信開始指示を受け付ける指示受け付け部を備え、
前記アクセス情報送信部は、前記指示受け付け部が前記送信開始指示を受け付けた場合に、前記アクセス情報を送信する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のコンテンツ送信システム。
【請求項5】
前記アクセス情報送信部は、前記アクセス情報として、前記無線通信端末を前記第2の無線通信装置と通信する通信装置として機能させるための通信プログラムを送信し、
前記アクセス情報判定部は、前記無線通信端末が前記通信プログラムの実行により前記第2の無線通信装置と通信した場合に、前記無線通信装置が前記アクセス情報である前記通信プログラムを記憶していると判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のコンテンツ送信システム。
【請求項6】
前記アクセス情報送信部は、
前記アクセス情報である通信プログラムに加えて、前記無線通信端末が前記コンテンツを受信できる期間を示す受信期間情報を前記無線通信端末に送信し、
前記通信プログラムは、前記無線通信端末を、前記第2の無線通信装置と通信し、前記受信期間情報が示す受信期間の間のみ前記第2の無線通信装置から前記コンテンツを受信する通信装置として機能させる
ことを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ送信システム。
【請求項7】
前記第1の無線通信装置は、前記第1の無線通信装置に接続された所定の機器から所定の制御データの供給を受け、当該制御データに応じて前記受信期間を示す受信期間情報を生成する受信期間設定部を備え、
前記アクセス情報送信部は、前記受信期間設定部が生成した受信期間情報を送信する
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のコンテンツ送信システム。
【請求項8】
無線通信を行う無線通信端末に所定のコンテンツを送信するコンテンツ送信システムを用いたコンテンツ送信方法であって、
通信範囲内に存在する前記無線通信端末と無線通信を行う第1の無線通信装置が、前記無線通信端末に所定のアクセス情報を送信するステップと、
少なくとも前記第1の無線通信装置の通信範囲外の範囲を含む通信範囲を有し、当該通信範囲内に存在する前記無線通信端末と無線通信を行う第2の無線通信装置が、前記無線通信端末が前記アクセス情報を記憶しているか否かを判定するステップと、
前記第2の無線通信装置が、前記無線通信端末が前記アクセス情報を記憶していると判定した場合に、前記無線通信端末に前記コンテンツを送信するステップと
を有することを特徴とするコンテンツ送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−30901(P2013−30901A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164341(P2011−164341)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(593143898)日本マクドナルド株式会社 (2)
【Fターム(参考)】