説明

コンテンツ配信システムおよびその方法ならびにそのためのプログラム

【課題】 リソースの有効利用ができないことによりサービス提供効率が上がらないという問題と、サービス要求を拒否するかあるいは通信品質の劣化が生じた状態でのサービス提供によりサービスの満足度が上がらないという問題の解決。
【解決手段】 コンテンツ配信サーバ4のリソース、コンテンツ配信回線上の提供可能なリソースの測定をリアルタイムに行うリソース監視サーバ5と、測定結果とコンテンツ配信価格の割引率との対応表から割引率の変動チャートを作成更新する手段(サービス受付サーバ3あるいは課金サーバ6)と、変動チャートで示される割引率がユーザ端末1が指定する割引率以上になった時にユーザ端末1にコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバ4と、コンテンツ配信価格に対して前記割引率に相当する価格を割引がない場合の前記コンテンツ配信価格から差し引いた価格をユーザ端末1に課金する課金サーバ6を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツ配信技術に係り、特に、サービスの利用状況をリアルタイムに測定し、サービス要求のアクセスが少ない時間帯に割引したサービス利用料金を適用し、ユーザが指定する割引率の時間帯に自動的にサービス提供を行うことによって、コンテンツ配信システムのサービス提供効率向上と、割引料金によるユーザ満足度向上を可能にしたコンテンツ配信システムおよびその方法ならびにそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツ配信サービスに関する制御技術においては、ユーザ端末からコンテンツ配信システムへのアクセス数を監視し、アクセス数がある数を上回るときはサービスを提供するためのリソースが不足するため、ユーザ端末からのアクセスを拒否する制御が行われていた。
【0003】
このようなシステムにおけるサービスの提供は、ユーザ端末からのアクセスが集中しサービスを提供するためのシステムリソースが不足しているような時間帯を避けて行うことが望ましい。
【0004】
最近のコンテンツ配信システムにおいては、システムへのアクセス数、接続ネットワーク上のトラヒック量が日増しに増大してきており、特に、特定の時間帯にそのアクセス数やトラヒックが集中して発生する傾向があるため、サービス管理者がそれらのネットワークリソース、サーバリソースの利用状況を常時監視し、前記リソースが不足する状況になった場合には、サービス要求のアクセスを拒否する受付制御を行うようにしている。
【0005】
また、コンテンツ配信システムにおけるコンテンツ配信サーバを複数台用意し、そのサーバ間でサービス要求のアクセスを分散させる負荷分散制御によって、前記トラヒック集中による視聴中の通信品質の劣化、システムダウン、サービス中断を防ぎ、前記トラヒック集中に耐えうるリソース増強を考慮しながらサービスの提供を行っている。
【0006】
このようなコンテンツ配信の場合も含めた全体のeビジネスのサポートシステムにおけるリソース監視の提案や、通信品質とサービス料金との関係を検討したサービス価値評価法の提案がされている。これらの技術については、例えば、下記非特許文献1〜4を参照されたい。
【0007】
【非特許文献1】間瀬憲一、“インターネットにおけるスケーラブルなアドミッションコントロール方式,” 電子情報通信学会誌 Vol. 85, No.9, pp. 655-661, 2002年9月
【非特許文献2】J Stream ホームページ,http://www.stream.co.jp/network/monitoring.html 「総合監視システム」平成16年6月28日 検索
【非特許文献3】徳永裕史,“e ビジネスサポート機能の提案,”電子情報通信学会論文誌B,Vol. J85-B, No. 7, pp. 1078-1085, 2002年7月
【非特許文献4】林孝典他,“映像配信サービスに対する品質と料金を考慮したサービス価値評価法,” 電子情報通信学会論文誌B,Vol. J86-B, pp. 1078-1085, 2002年7月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した受付制御,負荷分散制御,リソース監視システムの提案,サービス価値評価法に対する提案を採用したとしても、依然としてサービス要求のアクセスが集中する時間帯では前記リソースが不足し、逆に、サービス要求の少ない時間帯では前記リソースが過剰となるため、サービス提供事業者の所有するリソースの有効利用ができず、サービス提供効率が上がらないという問題があった。
【0009】
また、サービスを要求するユーザに対して、前記サービス要求の集中する時間帯では、上記従来手段ではサービス要求を拒否するか、あるいは、リソース不足による通信品質の劣化が生じた状態でサービス提供することになるだけではなく、通信品質の劣化が生じた状態でのサービスに対しても定額料金を要求することになるため、サービス満足度が上がらないという問題があった。
【0010】
本発明は、上述した従来のコンテンツ配信サービスが持つ問題、すなわち、サービス提供事業者の所有するリソースの有効利用ができないことにより、サービス提供効率が上がらないという問題と、サービス要求を拒否するかあるいは通信品質の劣化が生じた状態でのサービス提供により、サービスの満足度が上がらないという問題を解決することが可能なコンテンツ配信システムおよびその方法ならびにそのためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、リソース監視サーバ、サービス受付サーバ、コンテンツ配信サーバおよび課金サーバを具備するコンテンツ配信システムに関する。
【0012】
本コンテンツ配信システムにおいて、前記リソース監視サーバは、前記コンテンツ配信サーバの有するリソースの統計情報、あるいはコンテンツ配信回線接続装置の回線リソースの統計情報をリアルタイムに取得し、提供可能なリソースの計算を行う。
【0013】
また、この提供可能なリソースの計算においては、試験パケットを前記コンテンツ配信回線に送信し、前記試験パケットの遅延情報からも、前記コンテンツ配信回線において提供可能な帯域の計算を行う。
【0014】
前記サービス受付サーバは、前記リソースのリアルタイムな計算結果に対して、前記リソースが少ないときにはコンテンツ配信価格の割引率を小さく、反対に前記リソースが多いときには前記コンテンツ配信価格の割引率を大きくした対応表から、割引率の変動チャートをリアルタイムに作成、更新する(この機能は課金サーバに持たせてもよい)。
【0015】
アクセスしたユーザ端末が希望する割引率(希望割引率と呼ぶ)を指定した場合、前記変動チャート上の割引率とユーザが指定した希望割引率を常時比較し、前記変動チャート上の割引率が前記ユーザ端末の指定する希望割引率以上になった場合に前記コンテンツ配信サーバに配信開始を指示する。
【0016】
前記コンテンツ配信サーバは、前記サービス受付サーバの指示によりユーザ端末にコンテンツを配信し、ユーザ端末がコンテンツを受信していることを確認し、コンテンツの送受信を開始したことを前記サービス受付サーバに通知する。
【0017】
前記サービス受付サーバは、前記ユーザ端末情報と、送受信を開始したコンテンツ情報と、前記ユーザ端末が指定した希望割引率を課金サーバに通知する。
【0018】
前記課金サーバは、前記ユーザ端末情報ごとに、前記送受信を開始したコンテンツのコンテンツ配信価格に前記希望割引率に相当する価格を割引がない場合の前記コンテンツ配信価格から差し引いた価格を課金する。
【0019】
本発明の第2の態様は、リソース監視サーバ、サービス受付サーバ、コンテンツ配信サーバおよび課金サーバを用いたコンテンツ配信方法に関するものである。
【0020】
本コンテンツ配信方法において、前記リソース監視サーバが、前記コンテンツ配信サーバの有するリソースの統計情報、あるいはコンテンツ配信回線接続装置の回線リソースの統計情報をリアルタイムに取得し、利用可能なリソースの計算を行うステップを有する。
【0021】
この提供可能なリソースの計算を行うステップにおいては、試験パケットを前記コンテンツ配信回線に送信し、前記試験パケットの遅延情報から、前記コンテンツ配信回線において利用可能な帯域の計算を行う。
【0022】
また、前記サービス受付サーバが、前記リソースのリアルタイムな計算結果に対して、前記リソースが少ないときにはコンテンツ配信価格の割引率を小さく、反対に前記リソースが多いときには前記コンテンツ配信価格の割引率を大きくした対応表から、割引率の変動チャートをリアルタイムに作成、更新するステップを有する(このステップは課金サーバに行わせるようにしてもよい)。
【0023】
また、アクセスしたユーザ端末が希望する割引率(希望割引率と呼ぶ)を指定した場合、前記変動チャート上の割引率とユーザが指定した希望割引率を常時比較し、前記変動チャート上の割引率が前記ユーザ端末の指定する希望割引率以上になった場合に前記コンテンツ配信サーバに配信開始を指示するステップを有する。
【0024】
また、前記コンテンツ配信サーバが、前記サービス受付サーバの指示によりユーザ端末にコンテンツを配信し、ユーザ端末がコンテンツを受信していることを確認し、コンテンツの送受信を開始したことを前記サービス受付サーバに通知するステップを有する。
【0025】
さらに、前記サービス受付サーバが、前記ユーザ端末情報と、送受信を開始したコンテンツ情報と、前記ユーザ端末が指定した希望割引率を課金サーバに通知するステップを有する。
【0026】
また、前記課金サーバが、前記ユーザ端末情報ごとに、前記送受信を開始したコンテンツの予め定められたコンテンツ配信価格に前記希望割引率に相当する価格を割引がない場合の前記コンテンツ配信価格から差し引いた価格を課金するステップを有する。
【0027】
本発明の第3の態様は、、コンピュータを、本コンテンツ配信システムにおける各手段として機能させるコンテンツ配信用プログラムである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のように、サービス提供事業者の所有するリソースのリアルタイムな計算結果に対して、前記リソースが少ない状況ではコンテンツ配信価格に小さい割引率を対応させ、前記リソースが多い状況ではコンテンツ配信価格に大きい割引率対応させた対応表から作成した割引率の変動チャート上の割引率と、ユーザ端末が指定した希望割引率を常時比較し、前記変動チャート上の割引率が前記ユーザ端末の指定する希望割引率以上になった場合にコンテンツ配信サービスを提供することによって、提供可能なリソースが不足する時間帯では、コンテンツ配信価格に小さい割引率が対応し、割引率の変動が前記ユーザ端末の指定する希望割引率以上になる確率が小さくなるため、サービス提供が制限され、一方、提供可能なリソースが十分にある時間帯では、コンテンツ配信価格に大きい割引率が対応し、割引率の変動が前記ユーザ端末の指定する希望割引率以上になる確率が大きくなるため、より多くのサービス提供をすることになる。
【0029】
したがって、サービス提供事業者の所有するリソースの使用効率を高めることになり、サービス提供事業者の所有するリソースの有効利用ができないことによりサービス提供効率が上がらないという問題を解決することが可能となる。
【0030】
さらに、前記ユーザ端末に対しては、サービス要求を拒否する確率が小さくなり、あるいはリソース不足による通信品質の劣化が生じる確率が小さくなり、かつ希望割引率が適用されたコンテンツ配信価格による低料金のサービス提供を受けることになる。
【0031】
したがって、サービス要求を拒否するか、あるいは通信品質の劣化が生じた状態でのサービス提供により、サービス満足度が上がらないという問題を解決することが可能となる。
【0032】
また、本発明の処理をプログラムコード化したプログラムは、CD−ROM,DVD,FDなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配布したり、インターネットなどのネットワークを介して利用者に配布することにより、市場に広く流通させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、添付の図面を用いて本発明の構成と動作を説明する。以下の説明は、本発明の理解を助けるものであって、本発明の請求範囲を制限するものではない。また、以下の図面では本発明を実現する上で同じ機能を持つ構成要素には同じ番号を付与する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例1の構成を説明する図である。同図において、1はユーザ端末、2はネットワーク、3はサービス受付サーバ、4はコンテンツ配信サーバ、41はサーバCPU、42はメモリ、43は回線制御部、5はリソース監視サーバ、6は課金サーバ、7はコンテンツ配信回線接続装置、81,82はコンテンツ配信回線である。
【0035】
図1において、ユーザ端末1は、ネットワーク2を介してサービス受付サーバ3と接続され、またネットワーク2,コンテンツ配信回線82,コンテンツ配信回線接続装置7、コンテンツ配信回線81を介してコンテンツ配信サーバ4と接続されている。
【0036】
また、リソース監視サーバ5は、コンテンツ配信回線接続装置7、コンテンツ配信サーバ4、および、サービス受付サーバ3と接続され、課金サーバ6はサービス受付サーバ3と接続されている。
【0037】
リソース監視サーバ5は、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて定期的にコンテンツ配信サーバ4がリソースとして持つサーバCPU41、メモリ42、回線制御部43の使用量、コンテンツ配信回線接続装置7におけるコンテンツ配信回線81,82の使用量をリアルタイムに取得し、該当リソースに対するリソース利用可能量の計算を行い、そのリアルタイムな計算結果をサービス受付サーバ3に通知する。
【0038】
サービス受付サーバ3は、リソース監視サーバ5から通知されたリソースのリアルタイムな計算結果に対して、リソースが少ないときにはコンテンツ配信価格の割引率を小さく、反対にリソースが多いときにはコンテンツ配信価格の割引率を大きくした対応表から、割引率の変動するチャートを作成、更新し、ユーザ端末1に割引率の変動チャートを提示し、さらに希望割引率を指定させ、その後変動チャートの割引率とユーザ端末1が指定した希望割引率を常時比較し、変動チャート上の割引率がユーザ端末1が指定する希望割引率以上になったときに、コンテンツ配信サーバ4にコンテンツ送信の指示を行う。
【0039】
コンテンツ配信サーバ4は、サービス受付サーバ3の指示によりユーザ端末1にコンテンツの配信を行い、ユーザ端末1がコンテンツを受信していることを確認し、コンテンツの送受信を開始したことをサービス受付サーバ3に通知する。
【0040】
サービス受付サーバ3は、ユーザ端末1の情報と送受信を開始したコンテンツ情報とユーザ端末1が指定している希望割引率を課金サーバ6に通知する。
【0041】
課金サーバ6は、ユーザ端末1の情報ごとに、送受信を開始したコンテンツのコンテンツ配信価格に希望割引率に相当する価格を割引がない場合のコンテンツ配信価格から差し引いた価格を課金する。
【0042】
図2は、本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例1の動作を説明する図であって、ステップS1〜ステップS10は本システムの有する動作ステップである。ステップステップS1〜ステップS10は以下の通りである。
【0043】
図2に示すように、リソース監視サーバ5は、SNMPを用いて定期的にコンテンツ配信サーバ4がリソースとして持つサーバCPU41、メモリ42、回線制御部43の使用量、およびコンテンツ配信回線接続装置7におけるコンテンツ配信回線8の使用量をリアルタイムに取得し(ステップS1)、該当リソースに対するリソースの利用可能量の計算を行い、その計算結果をサービス受付サーバ3に通知する(ステップS2)。
【0044】
サービス受付サーバ3は、通知されたリソースのリアルタイムな計算結果に対して、リソースが少ない時にはコンテンツ配信価格の割引率を小さく、反対にリソースが多いときにはコンテンツ配信価格の割引率を大きくした対応表から、割引率が変動するチャートを作成、更新し、ユーザ端末1に割引率の変動チャートを提示する(ステップS3)。
【0045】
ユーザ端末1により、希望する割引率を指定すると(ステップS4)、サービス受付サーバ3は、その後変動チャートの割引率とユーザ端末1が指定した希望割引率を常時比較し、変動チャート上の割引率がユーザ端末1が指定する希望割引率以上になったときに、コンテンツ配信サーバ4にコンテンツ配信の指示を行う(ステップS5)。
【0046】
コンテンツ配信サーバ4は、サービス受付サーバ3の指示によりユーザ端末1にネットワーク2を介してコンテンツの配信を行う(ステップS6)。
【0047】
ユーザ端末1は、コンテンツの受信応答をコンテンツ配信サーバ4に通知する(ステップS7)。
【0048】
コンテンツ配信サーバ4は、ユーザ端末1がコンテンツを受信していることを確認し、コンテンツの送受信を開始したことをサービス受付サーバ3に通知する(ステップS8)。
【0049】
サービス受付サーバ3は、ユーザ端末1の情報と送受信を開始したコンテンツ情報とユーザ端末1が指定している希望割引率を課金サーバ6に通知する(ステップS9)。
【0050】
課金サーバ6は、ユーザ端末1の情報ごとに、送受信を開始したコンテンツのコンテンツ配信価格に希望割引率に相当する価格を割引がない場合のコンテンツ配信価格から差し引いた価格を課金する(ステップS10)。
【0051】
以上の効果としては、サービス提供事業者の所有するリソースの有効利用ができないためサービス提供効率が上がらないという問題を解決することが可能となる。
【0052】
また、サービス要求を拒否するかあるいは通信品質の劣化が生じた状態でのサービス提供のためサービス満足度が上がらないという問題も解決することが可能となる。
【実施例2】
【0053】
図3は、本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例2の構成を説明する図である。
【0054】
同図において、1はユーザ端末、2はネットワーク、3はサービス受付サーバ、4はコンテンツ配信サーバ、41はサーバCPU、42はメモリ、43は回線制御部、5はリソース監視サーバ、6は課金サーバ、7はコンテンツ配信回線接続装置、81,82はコンテンツ配信回線である。
【0055】
図3において、ユーザ端末1は、ネットワーク2を介してサービス受付サーバ3と接続され、またネットワーク2,コンテンツ配信回線82,コンテンツ配信回線接続装置7,コンテンツ配信回線81を介してコンテンツ配信サーバ4と接続される。
【0056】
さらに、リソース監視サーバ5は、コンテンツ配信回線接続装置7を介して、ネットワーク2、ユーザ端末1と接続され、課金サーバ6はサービス受付サーバ3と接続される。
【0057】
この接続構成において、リソース監視サーバ5は、コンテンツ配信回線接続装置7、コンテンツ配信回線82を介して、ユーザ端末1またはネットワーク2に対してICMP(Internet Control Message Protocol)パケットを試験パケットとして送出することにより、ICMP返答パケットの遅延特性と、ICMPパケットのデータサイズから、コンテンツ配信回線82を介するユーザ端末1またはネットワーク2までの利用可能帯域を計算して、該当リソースに対するリソース利用可能量の計算を行い、その計算結果をサービス受付サーバ3に通知する。
【0058】
サービス受付サーバ3は、通知されたリソースのリアルタイムな計算結果に対して、リソースが少ないときにはコンテンツ配信価格の割引率を小さく、反対にリソースが多いときにはコンテンツ配信価格の割引率を大きくした対応表から、割引率の変動するチャートを作成、更新する。
【0059】
そして、該作成、更新した割引率の変動チャートをユーザ端末1に提示し、さらにユーザ端末1に希望割引率を指定させ、その後変動チャートの割引率とユーザ端末1が指定した希望割引率を常時比較する。
【0060】
比較の結果、変動チャート上の割引率がユーザ端末1が指定する希望割引率以上になったときに、コンテンツ配信サーバ4にコンテンツ送信の指示を行う。
【0061】
コンテンツ配信サーバ4は、サービス受付サーバ3の指示によりユーザ端末1にコンテンツの配信を行い、ユーザ端末1がコンテンツを受信していることを確認し、コンテンツの送受信を開始したことをサービス受付サーバ3に通知する。
【0062】
サービス受付サーバ3は、ユーザ端末1の情報と送受信を開始したコンテンツ情報とユーザ端末1が指定している希望割引率を課金サーバ6に通知する。
【0063】
課金サーバ6は、ユーザ端末1の情報ごとに、送受信を開始したコンテンツのコンテンツ配信価格に希望割引率に相当する価格を割引がない場合のコンテンツ配信価格から差し引いた価格を課金する。
【0064】
図4は、本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例2の動作を説明する図であって、ステップS1〜ステップS10は本システムの有する動作ステップである。ステップS11〜S20は以下の通りである。
【0065】
リソース監視サーバ5は、コンテンツ配信回線接続装置7、コンテンツ配信回線82を介して、ユーザ端末1またはネットワーク2に対してICMPパケットを試験パケットとして送出することにより、ICMP返答パケットの遅延特性と、ICMPパケットのデータサイズから、コンテンツ配信回線82を介するユーザ端末1またはネットワーク2までの利用可能帯域を計算して、該当リソースに対するリソースの利用可能量の計算を行い(ステップS11)、その計算結果をサービス受付サーバ3に通知する(ステップS12)。
【0066】
サービス受付サーバ3は、通知されたリソースのリアルタイムな計算結果に対して、リソースが少ない時にはコンテンツ配信価格の割引率を小さく、反対にリソースが多いときにはコンテンツ配信価格の割引率を大きくした対応表から、割引率が変動するチャートを作成、更新し、ユーザ端末1に割引率の変動チャートを提示する(ステップS13)。
【0067】
ユーザ端末1により、希望する割引率を指定すると(ステップS14)、サービス受付サーバ3は、その後変動チャートの割引率とユーザ端末1が指定した希望割引率を常時比較し、ユーザ端末1が指定する希望割引率に変動チャート上の割引率が同じになったときに、コンテンツ配信サーバ4にコンテンツ配信の指示を行う(ステップS15)。
【0068】
コンテンツ配信サーバ4は、サービス受付サーバ3の指示によりユーザ端末1にネットワーク2を介してコンテンツの配信を行う(ステップS16)。
【0069】
ユーザ端末1は、コンテンツの受信応答をコンテンツ配信サーバ4に通知する(ステップS17)。
【0070】
コンテンツ配信サーバ4は、ユーザ端末1がコンテンツを受信していることを確認し、コンテンツの送受信を開始したことをサービス受付サーバ3に通知する(ステップS8)。
【0071】
サービス受付サーバ3は、ユーザ端末1の情報と送受信を開始したコンテンツ情報とユーザ端末1が指定している希望割引率を課金サーバ6に通知する(ステップS19)。
【0072】
課金サーバ6は、ユーザ端末1の情報ごとに、送受信を開始したコンテンツのコンテンツ配信価格に希望割引率に相当する価格を割引がない場合のコンテンツ配信価格から差し引いた価格を課金する(ステップS20)。
【0073】
以上の効果としては、サービス提供事業者の所有するリソースの有効利用ができないためサービス提供効率が上がらないという問題を解決することが可能となる。
【0074】
また、サービス要求を拒否するかあるいは通信品質の劣化が生じた状態でのサービス提供のためサービス満足度が上がらないという問題も解決することが可能となる。
【0075】
なお、上記実施例1,2では、サービス受付サーバ3において、リソースのリアルタイムな計算結果に対して、リソースが少ないときにはコンテンツ配信価格の割引率を小さく、反対にリソースが多いときにはコンテンツ配信価格の割引率を大きくした対応表から、割引率の変動するチャートを作成、更新するようにしているが、この処理は課金サーバ6が行うようにしてもよい。
【0076】
当然のことながら、その場合は、リソース監視サーバ5が計算した該当リソースに対するリソース利用可能量の結果は課金サーバ6に通知される。
【実施例3】
【0077】
図5は、本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例1と実施例2において、サービス受付サーバ3が作成する利用可能帯域の計算結果とサービス配信価格の割引率との対応による割引率の変動チャートの1実施例である。
【0078】
図5中のRは、例えば、コンテンツ配信サーバ4の有するリソース、あるいはコンテンツ配信回線8の利用可能な帯域、Pはユーザ端末1のコンテンツ配信要求時の配信価格の割引率、Tは時間である。
【0079】
サービス受付サーバ3は、コンテンツ配信要求時に、例えば図5(a)に示す提供可能なリソースとしての帯域R0(0−10Mbps)、R1(10−30Mbps)およびR2(30−50Mbps)とサービス配信価格の割引率P0(0%)、P1(5%)およびP2(10%)との対応表から、図5(b)に示す提供可能なリソースのリアルタイム測定結果を、図5(c)に示す割引率の変動チャートに変換し、これをユーザ端末1に提示する。但し、上記括弧内の数値は、単に一例を示したものであり、他の数値でもよいことはいうまでもない。
【0080】
なお、コンピュータを、上記リソース監視サーバ、サービス受付サーバ、コンテンツ配信サーバおよび課金サーバで構成されるコンテンツ配信システムにおける上述した各処理を実現する手段として機能させるプログラムは、CD−ROM,FD,DVDなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して頒布したり、インターネットなどのネットワークを介してユーザのコンピュータに配布することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例1の構成を説明する図である。
【図2】本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例1の動作を説明する図である。
【図3】本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例2の構成を説明する図である。
【図4】本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例2の動作を説明する図である。
【図5】本発明によるコンテンツ配信システムおよび方法の実施例1と実施例2において、サービス受付サーバ(課金サーバでもよい)が作成する利用可能帯域の計算結果とサービス配信価格の割引率との対応による割引率の変動チャートの一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0082】
1:ユーザ端末
2:ネットワーク
3:サービス受付サーバ
4:コンテンツ配信サーバ
41:サーバCPU
42:メモリ
43:回線制御部
5:リソース監視サーバ
6:課金サーバ
7:コンテンツ配信回線接続装置
81,82:コンテンツ配信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソース監視サーバ、サービス受付サーバ、コンテンツ配信サーバおよび課金サーバで構成されるコンテンツ配信システムであって、
前記コンテンツ配信サーバの有するリソース、あるいはコンテンツ配信回線上の提供可能なリソースの測定をリアルタイムに行う手段と、
前記リソースのリアルタイムな測定結果とコンテンツ配信事業者が予め定めるコンテンツ配信価格の割引率との対応から、割引率の変動チャートを作成しかつリアルタイムに更新する手段と、
前記変動チャートにより示される割引率が、ユーザ端末が前記サービス受付サーバを通じて予め指定している割引率以上になった時に、前記ユーザ端末にコンテンツを配信する手段と、
前記ユーザ端末がコンテンツの受信を開始すると、コンテンツ配信価格に対して前記割引率に相当する価格を割引がない場合の前記コンテンツ配信価格から差し引いた価格を前記ユーザ端末に課金する手段を
有することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
リソース監視サーバ、サービス受付サーバ、コンテンツ配信サーバおよび課金サーバで構成されるコンテンツ配信システムからユーザ端末にコンテンツを配信する方法において、
前記コンテンツ配信サーバあるいはコンテンツ配信回線上の提供可能なリソースの測定をリアルタイムに行うステップと、
前記リソースのリアルタイムな測定結果とコンテンツ配信価格の割引率との対応から割引率の変動チャートをリアルタイムに作成し、更新するステップと、
前記変動チャートにより示される割引率が、ユーザ端末が前記サービス受付サーバを通じて予め指定している割引率以上になったときに、ユーザ端末にコンテンツを配信するステップと、
前記ユーザ端末がコンテンツの受信を開始すると、コンテンツ配信価格に対して前記割引率に相当する価格を割引がない場合の前記コンテンツ配信価格から差し引いた価格を前記ユーザ端末に課金するステップ
を有することを特徴とするコンテンツ配信方法。
【請求項3】
コンピュータを、請求項1記載のコンテンツ配信システムにおける各手段として機能させるためのコンテンツ配信用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−18626(P2006−18626A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196358(P2004−196358)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】