説明

コンデンサモジュール

【課題】セラミックコンデンサを利用することで、ACラインのノイズ吸収フィルタ等を構成する複数のコンデンサと抵抗との異なる種類の電子部品を一体化することができ、耐熱性が良好で、サイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができるコンデンサモジュールを提供する。
【解決手段】セラミック基板12内に形成され、一端が第1入出力端子14aに接続された2つの第1Xコンデンサ電極16aと、セラミック基板12内に形成され、一端が第2入出力端子14bに接続され、且つ、それぞれ第1Xコンデンサ電極16aに対向する2つの第2Xコンデンサ電極16bと、セラミック基板12の上面12uに形成され、第1入出力端子14aと第2入出力端子14b間に接続された1つの抵抗体18とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばACラインのノイズ吸収フィルタのXコンデンサ及びYコンデンサ並びに平滑コンデンサ等を有するコンデンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インバータ、電源回路等におけるACラインのノイズ吸収フィルタは、ノーマルモードに関するノイズ吸収用のXコンデンサ、コモンモードに関するノイズ吸収用のYコンデンサ並びにコモンモードチョークコイルとの組み合わせで構成される(特許文献1参照)。さらに、平滑コンデンサとそれに付随する放電抵抗が接続される場合がある。
【0003】
平滑コンデンサ等は主に電解コンデンサやフィルムコンデンサが用いられており、これらのコンデンサはサイズが大きく、しかも、耐熱性に問題がある。そこで、特許文献2では、平滑コンデンサをセラミックコンデンサで構成することで、耐熱性を良好にした例が記載されている。また、特許文献3には、平滑コンデンサとして、ヒューズを付加したセラミックコンデンサが記載されている。さらに、特許文献4には、電解コンデンサからなる平滑コンデンサがスイッチングモジュールの上方に配置された例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−107571号公報
【特許文献2】特開2009−60691号公報
【特許文献3】特開2005−123516号公報
【特許文献4】特開平9−308265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インバータにおいても小型化が求められており、例えば電気自動車用インバータ等では、設置面積の低減を図る構造が求められている。例えば上述した特許文献4では、電解コンデンサからなる平滑コンデンサをスイッチングモジュールの上方に配置して、設置面積の低減を図るようにしているが、電解コンデンサがインバータの体積の大部分を占めるため、本質的な小型化には限界がある。
【0006】
また、従来においては、ACラインのノイズ吸収フィルタを構成する上述したコンデンサ、抵抗等を各々単一の電子部品として組み合わせて回路を構成するようにしており、ノイズ吸収フィルタの構造の小型化、コストの低廉化に限界がある。実装スペースも大きいという問題がある。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、セラミックコンデンサを利用することで、ACラインのノイズ吸収フィルタ等を構成する複数のコンデンサと抵抗との異なる種類の電子部品を一体化することができ、耐熱性が良好で、サイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができるコンデンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 本発明に係るコンデンサモジュールは、1以上のコンデンサと1以上の抵抗とを少なくとも有するコンデンサモジュールであって、セラミック基板と、前記セラミック基板の互いに対向する第1側面及び第2側面にそれぞれ形成された第1入出力端子及び第2入出力端子と、前記セラミック基板内に形成された2以上のコンデンサ電極と、前記セラミック基板の上面に形成され、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された1以上の抵抗体とを有し、前記2以上のコンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記1以上のコンデンサが構成され、前記抵抗体にて前記抵抗が構成され、前記コンデンサと前記抵抗が前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0009】
[2] 本発明において、前記コンデンサは、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続されたアクロス・ザ・ライン・コンデンサ(Xコンデンサ)を含み、前記抵抗は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された放電抵抗を含み、前記コンデンサ電極は、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続され、且つ、前記第1コンデンサ電極に対向する1以上の第2コンデンサ電極とを有し、前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記Xコンデンサが構成され、前記抵抗体にて前記放電抵抗が構成され、前記Xコンデンサと前記放電抵抗が前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0010】
[3] 本発明において、前記コンデンサは、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された平滑コンデンサを含み、前記抵抗は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された放電抵抗を含み、前記コンデンサ電極は、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続され、且つ、前記第1コンデンサ電極に対向する1以上の第2コンデンサ電極とを有し、前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記平滑コンデンサが構成され、前記抵抗体にて前記放電抵抗が構成され、前記平滑コンデンサと前記放電抵抗が前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0011】
[4] 本発明において、前記コンデンサは、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に並列接続された平滑コンデンサ及びアクロス・ザ・ライン・コンデンサ(Xコンデンサ)を含み、前記抵抗は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された放電抵抗を含み、前記コンデンサ電極は、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続され、且つ、前記第1コンデンサ電極に対向する1以上の第2コンデンサ電極とを有し、前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記平滑コンデンサ及び前記Xコンデンサが構成され、前記抵抗体にて前記放電抵抗が構成され、前記平滑コンデンサと前記放電抵抗が前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0012】
[5] 本発明において、前記コンデンサは、前記第1入出力端子及び前記第2入出力端子と接地端子間に接続されたラインバイパスコンデンサ(Yコンデンサ)を含み、前記抵抗は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された放電抵抗を含み、さらに、前記セラミック基板の前記第1側面及び前記第2側面と異なる第3側面に形成された接地端子を有し、前記コンデンサ電極は、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続された1以上の第2コンデンサ電極と、一端が前記接地端子に接続され、且つ、前記第1コンデンサ電極及び前記第2コンデンサ電極に対向する第3コンデンサ電極とを有し、前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、前記第3コンデンサ電極と、これら各電極間の誘電体とで前記Yコンデンサが構成され、前記抵抗体にて前記放電抵抗が構成され、前記Yコンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0013】
[6] 本発明において、前記コンデンサは、さらに、前記Yコンデンサに加えて前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続されたアクロス・ザ・ライン・コンデンサ(Xコンデンサ)を含み、少なくとも2以上の前記第1コンデンサ電極を有し、前記第3コンデンサ電極は、一方の前記第1コンデンサ電極と前記第2コンデンサ電極とで挟まれ、前記第2コンデンサ電極は、他方の前記第1コンデンサ電極と前記第3コンデンサ電極とで挟まれ、一方の前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、前記第3コンデンサ電極と、これら各電極間の誘電体とで前記Yコンデンサが構成され、他方の前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記Xコンデンサが構成され、前記Yコンデンサと前記Xコンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0014】
[7] 本発明において、前記コンデンサは、さらに、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された平滑コンデンサを含み、少なくとも2以上の前記第2コンデンサ電極を有し、前記第3コンデンサ電極は、一方の前記第1コンデンサ電極と一方の前記第2コンデンサ電極とで挟まれ、一方の前記第2コンデンサ電極は、他方の前記第1コンデンサ電極と前記第3コンデンサ電極とで挟まれ、他方の前記第1コンデンサ電極は、一方の前記第2コンデンサ電極と他方の前記第2コンデンサ電極とで挟まれ、一方の前記第1コンデンサ電極と、前記第3コンデンサ電極と、一方の前記第2コンデンサ電極と、これら電極間の誘電体とで前記Yコンデンサが構成され、他方の前記第1コンデンサ電極と、一方の前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記Xコンデンサが構成され、他方の前記第1コンデンサ電極と、他方の前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記平滑コンデンサが構成され、前記Yコンデンサと前記Xコンデンサと前記平滑コンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0015】
[8] 本発明において、前記抵抗は、さらに、前記Yコンデンサの一方のコンデンサと前記第1入出力端子間に接続された第1抵抗と、前記Yコンデンサの他方のコンデンサと前記第2入出力端子間に接続された第2抵抗とを含み、さらに、前記セラミック基板の前記第1側面及び前記第2側面と異なる側面に形成された接地端子、第1接続端子及び第2接続端子を有し、前記コンデンサ電極は、さらに、一端が前記接地端子に接続された第3コンデンサ電極を有し、前記抵抗は、さらに、前記セラミック基板の上面に形成され、前記第1入出力端子と前記第1接続端子間に接続された第1抵抗体と、前記セラミック基板の上面に形成され、前記第2入出力端子と前記第2接続端子間に接続された第2抵抗体とを有し、前記第1コンデンサ電極の一端は、前記第1接続端子及び前記第1抵抗体を介して前記第1入出力端子に接続され、前記第2コンデンサ電極の一端は、前記第2接続端子及び前記第2抵抗体を介して前記第2入出力端子に接続され、前記第1抵抗体にて前記第1抵抗が構成され、前記第2抵抗体にて前記第2抵抗が構成され、前記Yコンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0016】
[9] 本発明において、前記コンデンサは、さらに、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された平滑コンデンサを含み、前記コンデンサ電極は、さらに、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第4コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続され、且つ、前記第4コンデンサ電極に対向する1以上の第5コンデンサ電極とを有し、前記第4コンデンサ電極と、前記第5コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記平滑コンデンサが構成され、前記平滑コンデンサと前記Yコンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0017】
[10] 本発明において、前記セラミック基板は、1000℃以下の温度で焼結するチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物にて構成され、前記コンデンサが構成される部分がチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物にて構成され、その他の部分が前記チタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物又は該チタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物よりも低い誘電率の誘電体磁器組成物にて構成されていることを特徴とする。
【0018】
[11] 本発明において、前記平滑コンデンサが構成される部分がチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物にて構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係るコンデンサモジュールによれば、セラミックコンデンサを利用することで、ACラインのノイズ吸収フィルタ等を構成する複数のコンデンサと抵抗との異なる種類の電子部品を一体化することができ、耐熱性が良好で、サイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に係るコンデンサモジュールが適用されるインバータを示す回路図である。
【図2】図2Aは第1の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第1コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、図2Bは第1コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【図3】図3Aは第1コンデンサモジュールを示す縦断面図であり、図3Bは第1コンデンサモジュールを示す透視斜視図である。
【図4】図4Aは第2の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第2コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、図4Bは第2コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【図5】図5Aは第2コンデンサモジュールを示す縦断面図であり、図5Bは第2コンデンサモジュールを示す透視斜視図である。
【図6】図6Aは第3の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第3コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、図6Bは第3コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【図7】図7Aは第3コンデンサモジュールを示す縦断面図であり、図7Bは第3コンデンサモジュールを示す透視斜視図である。
【図8】図8Aは第4の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第4コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、図8Bは第4コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【図9】図9Aは第4コンデンサモジュールを示す縦断面図であり、図9Bは第4コンデンサモジュールを示す透視斜視図である。
【図10】図10Aは第5の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第5コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、図10Bは第5コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【図11】図11Aは第5コンデンサモジュールを示す縦断面図であり、図11Bは第5コンデンサモジュールを示す透視斜視図である。
【図12】図12Aは第6の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第6コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、図12Bは第6コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【図13】図13Aは第6コンデンサモジュールを示す縦断面図であり、図13Bは第6コンデンサモジュールを示す透視斜視図である。
【図14】図14Aは第7の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第7コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、図14Bは第7コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【図15】図15Aは第7コンデンサモジュールを示す縦断面図であり、図15Bは第7コンデンサモジュールを示す透視斜視図である。
【図16】図16Aは第8の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第8コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、図16Bは第8コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【図17】図17Aは第8コンデンサモジュールを示す縦断面図であり、図17Bは第8コンデンサモジュールを示す透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るコンデンサモジュールの実施の形態例を図1〜図17Bを参照しながら説明する。
【0022】
先ず、本実施の形態に係るコンデンサモジュールが適用される例えばインバータ100について図1を参照しながら簡単に説明すると、このインバータ100は、バッテリ102とモータ104間に、アクロス・ザ・ライン・コンデンサ(Xコンデンサ)及びラインバイパスコンデンサ(Yコンデンサ)等を有するEMIフィルタ106と、例えば2個のスイッチング素子等を有する整流回路108と、放電用の抵抗(放電抵抗)と平滑コンデンサとが並列に接続された平滑フィルタ部110と、例えば6個のスイッチング素子を有する三相出力のインバータ回路112とを有する。
【0023】
第1の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第1コンデンサモジュール10Aと記す)は、図2Aに示すように、複数の誘電体層を積層して構成されたセラミック基板12と、セラミック基板12の互いに対向する第1側面12a及び第2側面12b(図3A参照)にそれぞれ形成された第1入出力端子14a及び第2入出力端子14bと、図3A及び図3Bに示すように、セラミック基板12内に形成され、一端が第1入出力端子14aに接続された2つの第1Xコンデンサ電極16aと、セラミック基板12内に形成され、一端が第2入出力端子14bに接続され、且つ、それぞれ第1Xコンデンサ電極16aに対向する2つの第2Xコンデンサ電極16bと、セラミック基板12の上面12uに形成され、第1入出力端子14aと第2入出力端子14b間に接続された1つの抵抗体18とを有する。
【0024】
そして、第1Xコンデンサ電極16aと第2Xコンデンサ電極16bとこれら各電極間の誘電体にて図2Bに示すXコンデンサCxが構成され、抵抗体18にて放電抵抗R1が構成されている。
【0025】
つまり、第1コンデンサモジュール10Aは、図2Bに示すように、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1とEMIフィルタ106におけるXコンデンサCxとが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0026】
ここで、各種電極及び抵抗体18の構成材料及びセラミック基板12の構成材料について説明する。
【0027】
先ず、この第1コンデンサモジュール10Aでは、一主面に第1Xコンデンサ電極16aを形成した複数の誘電体層と、一主面に第2Xコンデンサ電極16bを形成した複数の誘電体層と、一主面に抵抗体18を形成した1つの誘電体層と、一主面に電極等を形成しない複数の誘電体層とを積層して1つの積層体を構成し、この積層体を焼結して1つの第1コンデンサモジュール10Aとする。
【0028】
そして、各種電極の構成材料として銀(Ag)を用いる場合は、第1誘電体層〜第4誘電体層の構成材料として、1000℃以下の温度で焼結する例えばチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物を使用することが好ましい(特開2007−290940号公報参照)。これにより、抵抗体18の構成材料として実績のある酸化ルテニウム系(RnO)を用いることができる。
【0029】
このようなチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物を誘電体層の構成材料として使用することで、積層体を1000℃以下の温度で焼結が可能である。しかも、この誘電体磁器組成物は、鉛のような、環境に過度の負担を与えるような成分を含有させる必要がない上、焼結温度の低下のためのガラス成分を添加する必要もない。
【0030】
チタン酸バリウム系誘電体は、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体を指す。具体的には、原料段階では、チタン酸バリウムの仮焼物であってよく、あるいは、焼結後にチタン酸バリウムを生成する酸化チタンと酸化バリウムとの混合物であってよい。
【0031】
このように、第1コンデンサモジュール10Aにおいては、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1とEMIフィルタ106におけるXコンデンサCxとをセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0032】
次に、第2の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第2コンデンサモジュール10Bと記す)について図4A〜図5Bを参照しながら説明する。
【0033】
この第2コンデンサモジュール10Bは、図4Aに示すように、上述した第1コンデンサモジュール10Aとほぼ同様の構成を有するが、図5A及び図5Bに示すように、セラミック基板12内に形成され、一端が第1入出力端子14aに接続された2つの第1平滑コンデンサ電極20aと、セラミック基板12内に形成され、一端が第2入出力端子14bに接続され、且つ、それぞれ第1平滑コンデンサ電極20aに対向する2つの第2平滑コンデンサ電極20bを有する点で異なる。
【0034】
そして、第1平滑コンデンサ電極20aと第2平滑コンデンサ電極20bとこれら各電極間の誘電体にて図4Bに示す平滑コンデンサC1が構成され、抵抗体18にて放電抵抗R1が構成されている。
【0035】
つまり、第2コンデンサモジュール10Bは、図4Bに示すように、平滑コンデンサC1と放電抵抗R1とが並列に接続された平滑フィルタ部110が1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0036】
各種電極及び抵抗体18の構成材料並びにセラミック基板12の構成材料については、第1コンデンサモジュール10Aと同様の構成材料を用いることができる。
【0037】
この第2コンデンサモジュール10Bにおいては、平滑コンデンサC1と放電抵抗R1とが並列に接続された平滑フィルタ部110が1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0038】
次に、第3の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第3コンデンサモジュール10Cと記す)について図6A〜図7Bを参照しながら説明する。
【0039】
この第3コンデンサモジュール10Cは、図6Aに示すように、上述した第1コンデンサモジュール10Aとほぼ同様の構成を有するが、図7A及び図7Bに示すように、セラミック基板12内に、第1Xコンデンサ電極16a及び第2Xコンデンサ電極16bに加えて、一端が第1入出力端子14aに接続され、且つ、第2Xコンデンサ電極16bの一方の面(第1Xコンデンサ電極16aと対向する面とは反対の面)と対向する1つの平滑コンデンサ電極20を有する点で異なる。
【0040】
そして、第1Xコンデンサ電極16aと第2Xコンデンサ電極16bとその間の誘電体とで図6Bに示すXコンデンサCxが構成され、第2Xコンデンサ電極16bと平滑コンデンサ電極20とその間の誘電体とで平滑コンデンサC1が構成され、抵抗体18にて放電抵抗R1が構成されている。
【0041】
つまり、第3コンデンサモジュール10Cは、図6Bに示すように、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1及び平滑コンデンサC1と、EMIフィルタ106におけるXコンデンサCxとが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0042】
各種電極及び抵抗体18の構成材料並びにセラミック基板12の構成材料については、第1コンデンサモジュール10Aと同様の構成材料を用いることができる。
【0043】
この第3コンデンサモジュール10Cにおいては、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1及び平滑コンデンサC1と、EMIフィルタ106におけるXコンデンサCxとをセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0044】
次に、第4の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第4コンデンサモジュール10Dと記す)について図8A〜図9Bを参照しながら説明する。
【0045】
この第4コンデンサモジュール10Dは、上述した第1コンデンサモジュール10Aとほぼ同様の構成を有するが、図8Aに示すように、セラミック基板12の第3側面12cに形成された接地端子22と、図9A及び図9Bに示すように、セラミック基板12内に形成され、一端が接地端子20に接続された1つの接地電極24と、セラミック基板12内に形成され、一端が第1入出力端子14aに接続され、且つ、接地電極24の一方の面に対向する1つの第1Yコンデンサ電極26aと、セラミック基板12内に形成され、一端が第2入出力端子14bに接続され、且つ、接地電極24の他方の面に対向する1つの第2Yコンデンサ電極26bとを有する点で異なる。
【0046】
そして、第1Yコンデンサ電極26aと接地電極24とその間の誘電体とで図8Bに示すYコンデンサCyの一方のコンデンサCy1が構成され、第2Yコンデンサ電極26bと接地電極24とその間の誘電体とでYコンデンサCyの他方のコンデンサCy2が構成され、抵抗体18にて放電抵抗R1が構成されている。
【0047】
つまり、第4コンデンサモジュール10Dは、図8Bに示すように、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1とEMIフィルタ106におけるYコンデンサCyとがセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0048】
各種電極及び抵抗体18の構成材料並びにセラミック基板12の構成材料については、第1コンデンサモジュール10Aと同様の構成材料を用いることができる。
【0049】
この第4コンデンサモジュール10Dにおいては、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1とEMIフィルタ106におけるYコンデンサCyとをセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0050】
次に、第5の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第5コンデンサモジュール10Eと記す)について図10A〜図11Bを参照しながら説明する。
【0051】
この第5コンデンサモジュール10Eは、図10Aに示すように、上述した第4コンデンサモジュール10Dとほぼ同様の構成を有するが、図11A及び図11Bに示すように、セラミック基板12内に、接地電極24、第1Yコンデンサ電極26a及び第2Yコンデンサ電極26bに加えて、一端が第1入出力端子14aに接続され、且つ、第2Yコンデンサ電極26bの一方の面(接地電極24と対向する面とは反対の面)と対向する1つのXコンデンサ電極16を有する点で異なる。
【0052】
そして、第1Yコンデンサ電極26aと接地電極24とその間の誘電体とで図10Bに示すYコンデンサCyの一方のコンデンサCy1が構成され、第2Yコンデンサ電極26bと接地電極24とその間の誘電体とでYコンデンサCyの他方のコンデンサCy2が構成され、抵抗体18にて放電抵抗R1が構成され、Xコンデンサ電極16と第2Yコンデンサ電極26bとその間の誘電体とでXコンデンサCxが構成されている。
【0053】
つまり、第5コンデンサモジュール10Eは、図10Bに示すように、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1とEMIフィルタ106におけるXコンデンサCxとYコンデンサCyとが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0054】
各種電極及び抵抗体18の構成材料並びにセラミック基板12の構成材料については、第1コンデンサモジュール10Aと同様の構成材料を用いることができる。
【0055】
この第5コンデンサモジュール10Eにおいては、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1とEMIフィルタ106におけるXコンデンサCx及びYコンデンサCyとをセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0056】
次に、第6の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第6コンデンサモジュール10Fと記す)について図12A〜図13Bを参照しながら説明する。
【0057】
この第6コンデンサモジュール10Fは、図12Aに示すように、上述した第5コンデンサモジュール10Eとほぼ同様の構成を有するが、図13A及び図13Bに示すように、セラミック基板12内に、接地電極24、第1Yコンデンサ電極26a、第2Yコンデンサ電極26b及びXコンデンサ電極16に加えて、一端が第2入出力端子14bに接続され、且つ、Xコンデンサ電極16の一方の面(第2Yコンデンサ電極26bと対向する面とは反対の面)と対向する平滑コンデンサ電極20を有する点で異なる。
【0058】
そして、第1Yコンデンサ電極26aと接地電極24とその間の誘電体とで図12Bに示すYコンデンサCyの一方のコンデンサCy1が構成され、第2Yコンデンサ電極26bと接地電極24とその間の誘電体とでYコンデンサCyの他方のコンデンサCy2が構成され、抵抗体18にて放電抵抗R1が構成され、Xコンデンサ電極16と第2Yコンデンサ電極26bとその間の誘電体とでXコンデンサCxが構成され、Xコンデンサ電極16と平滑コンデンサ電極20とその間の誘電体とで平滑コンデンサC1が構成されている。
【0059】
つまり、第6コンデンサモジュール10Fは、図12Bに示すように、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1及び平滑コンデンサC1と、EMIフィルタ106におけるXコンデンサCx及びYコンデンサCyとが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0060】
ここで、セラミック基板12の構成材料について以下に説明する。
【0061】
先ず、この第6コンデンサモジュール10Fでは、一主面に平滑コンデンサ電極20を形成した1つの誘電体層と、一主面にXコンデンサ電極16を形成した1つの誘電体層と、一主面に第1Yコンデンサ電極26aを形成した1つの誘電体層と、一主面に第2Yコンデンサ電極26bを形成した1つの誘電体層と、一主面に接地電極24を形成した1つの誘電体層と、一主面に抵抗体18を形成した1つの誘電体層と、一主面に電極等を形成しない複数の誘電体層とを積層して1つの積層体を構成し、この積層体を焼結して1つの第6コンデンサモジュール10Fとする。
【0062】
ところで、平滑フィルタ部110における平滑コンデンサC1の容量値は、EMIフィルタ106におけるXコンデンサCx及びYコンデンサCyの容量値の通常2桁以上大きく設定される。セラミック基板12のサイズの小型化を図るには、平滑コンデンサC1を構成する誘電体の誘電率を、XコンデンサCx及びYコンデンサCyを構成する誘電体の誘電率よりも高くすることが望ましい。
【0063】
そこで、セラミック基板12としては、低誘電率層と高誘電率層との共焼結によって得られるセラミック基板であることが好ましい(特開2009−88089号公報参照)。この第6コンデンサモジュール10Fでは、少なくとも平滑コンデンサ電極20とXコンデンサ電極16で挟まれた1以上の誘電体層を高誘電率層にて構成し、その他の複数の誘電体層を低誘電率層にて構成する。本実施の形態では、セラミック基板12を構成する複数の誘電体層のうち、Xコンデンサ電極16よりも上方に位置する複数の誘電体層をそれぞれ高誘電率層にて構成し、その他の複数の誘電体層をそれぞれ低誘電率層にて構成している。しかも、各種電極の構成材料として銀(Ag)を用いる場合、低誘電率層及び高誘電率層の構成材料として、1000°以下の温度で焼結する誘電体磁器組成物を使用することが好ましい。これにより、抵抗体18の構成材料として実績のある酸化ルテニウム系(RnO)を用いることができる。
【0064】
積層体からセラミック基板12とする焼結は、900〜1000℃で行うことが好ましく、980℃以下がさらに好ましい。また、電極等としてAg(銀)等を使うときは、焼結温度を950℃以下とすることが好ましい。
【0065】
Pb(鉛)の酸化物は、チタン酸バリウム系誘電体中に実質的に含有していないことが好ましい。ただし微量の不可避的不純物は除く。チタン酸バリウム系誘電体中には実質的にガラス成分は含有されていない。また、各金属成分の原料としては、各金属の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩を例示することができる。
【0066】
低誘電率層は、低誘電率セラミック成分、及びこの低誘電率セラミック成分に添加されている酸化ホウ素含有ガラス成分からなる。ここで、低誘電率層とは、比誘電率が30以下の層を意味する。
【0067】
セラミック基板12を製造する際には、好ましくは、所望の組成となるように各酸化物粉末を秤量し、湿式混合して、チタン酸バリウム系誘電体及び低誘電率誘電体の双方について、各混合粉末を得る。その後、低誘電率材は900℃〜1300℃の範囲(好ましくは1050℃以上)及び高誘電率材は900〜1200℃の範囲(好ましくは1000〜1100℃)で仮焼する。仮焼体を粉砕し、各セラミック粉末を得る。そして、好ましくは、各セラミック粉末と有機バインダ、可塑剤、分散剤及び有機溶剤とを混合し、ドクターブレード法によってシート成形し、これを積層して積層体を得る。この積層体を900〜1000℃で焼成し、セラミック基板12を得る。
【0068】
このように、第6コンデンサモジュール10Fにおいては、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1及び平滑コンデンサC1と、EMIフィルタ106におけるXコンデンサCx及びYコンデンサCyとをセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0069】
次に、第7の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第7コンデンサモジュール10Gと記す)について図14A〜図15Bを参照しながら説明する。
【0070】
この第7コンデンサモジュール10Gは、上述した第4コンデンサモジュール10Dとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0071】
すなわち、この第7コンデンサモジュール10Gは、図14Aに示すように、セラミック基板12の第3側面12cに形成された接地端子22及び第1接続端子28aと、セラミック基板12の第4側面12d(第3側面12cと対向する側面)に形成された第2接続端子28bとを有する。
【0072】
また、この第7コンデンサモジュール10Gは、図15A及び図15Bに示すように、セラミック基板12内に形成され、一端が接地端子22に接続された1つの接地電極24と、セラミック基板12内に形成され、一端が第1接続端子28aに接続され、且つ、接地電極24の一方の面に対向する1つの第1Yコンデンサ電極26aと、セラミック基板12内に形成され、一端が第2接続端子28bに接続され、且つ、接地電極24の他方の面に対向する1つの第2Yコンデンサ電極26bとを有する点で異なる。
【0073】
この第7コンデンサモジュール10Gは、さらに、図14A及び図15Bに示すように、セラミック基板12の上面12uに形成され、且つ、第1入出力端子14aと第1接続端子28a間に接続された第1抵抗体30aと、セラミック基板12の上面12uに形成され、第2入出力端子14bと第2接続端子28b間に接続された第2抵抗体30bとを有する。
【0074】
そして、第1Yコンデンサ電極26aと接地電極24とその間の誘電体とで図10Bに示すYコンデンサCyの一方のコンデンサCy1が構成され、第2Yコンデンサ電極26bと接地電極24とその間の誘電体とでYコンデンサCyの他方のコンデンサCy2が構成され、第1抵抗体30aにて一方のコンデンサCy1と直列接続された第1抵抗Raが構成され、第2抵抗体30bにて他方のコンデンサCy2と直列接続された第2抵抗Rbが構成され、抵抗体18にて放電抵抗R1が構成されている。
【0075】
各種電極及び各種抵抗体の構成材料並びにセラミック基板12の構成材料については、第1コンデンサモジュール10Aと同様の構成材料を用いることができる。
【0076】
このように、第7コンデンサモジュール10Gにおいては、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1と、EMIフィルタ106におけるYコンデンサCyと、YコンデンサCyに直列に接続され、EMIノイズ低減特性を向上させるための第1抵抗Ra及び第2抵抗Rbとを1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0077】
次に、第8の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第8コンデンサモジュール10Hと記す)について図16A〜図17Bを参照しながら説明する。
【0078】
この第8コンデンサモジュール10Hは、図16Aに示すように、上述した第7コンデンサモジュール10Gとほぼ同様の構成を有するが、図17A及び図17Bに示すように、セラミック基板12内に、接地電極24、第1Yコンデンサ電極26a及び第2Yコンデンサ電極26bに加えて、一端が第1入出力端子14aに接続され、且つ、第2Yコンデンサ電極26bの一方の面(接地電極24と対向する面とは反対の面)と対向する1つの第1平滑コンデンサ電極20aと、一端が第2入出力端子14bに接続され、且つ、第1平滑コンデンサ電極20aと対向する第2平滑コンデンサ電極20bとを有する点で異なる。
【0079】
そして、図16Aに示すように、YコンデンサCyと放電抵抗R1に加えて、第1平滑コンデンサ電極16aと第2平滑コンデンサ電極16bとその間の誘電体とで平滑コンデンサC1が構成されている。
【0080】
セラミック基板12の構成材料については、上述した第6コンデンサモジュール10Fと同様の構成材料を用いることができる。この場合、例えばセラミック基板12を構成する複数の誘電体層のうち、第1平滑コンデンサ電極20aよりも上方に位置する複数の誘電体層をそれぞれ高誘電率層にて構成し、その他の複数の誘電体層をそれぞれ低誘電率層にて構成する。
【0081】
このように、第8コンデンサモジュール10Hにおいては、平滑フィルタ部110における放電抵抗R1及び平滑コンデンサC1と、EMIフィルタ106におけるYコンデンサCyと、YコンデンサCyに直列に接続され、EMIノイズ低減特性を向上させるための第1抵抗Ra及び第2抵抗Rbとを1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0082】
なお、上述した各実施の形態において、抵抗体の表面に保護用のオーバーコートガラスを形成するようにしてもよい。また、抵抗体の抵抗値の精度向上のために、レーザートリミングを行うようにしてもよい。
【0083】
本発明に係るコンデンサモジュールは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0084】
10A〜10H…第1コンデンサモジュール〜第8コンデンサモジュール
12…セラミック基板 14a…第1入出力端子
14b…第2入出力端子 16…平滑コンデンサ電極
16a…第1平滑コンデンサ電極 16b…第2平滑コンデンサ電極
18…抵抗体 20…接地端子
22…接地電極 24a…第1Yコンデンサ電極
24b…第2Yコンデンサ電極 26…Xコンデンサ電極
28a…第1接続端子 28b…第2接続端子
30a…第1抵抗体 30b…第2抵抗体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のコンデンサと1以上の抵抗とを少なくとも有するコンデンサモジュールであって、
セラミック基板と、
前記セラミック基板の互いに対向する第1側面及び第2側面にそれぞれ形成された第1入出力端子及び第2入出力端子と、
前記セラミック基板内に形成された2以上のコンデンサ電極と、
前記セラミック基板の上面に形成され、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された1以上の抵抗体とを有し、
前記2以上のコンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記1以上のコンデンサが構成され、
前記抵抗体にて前記抵抗が構成され、
前記コンデンサと前記抵抗が前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項2】
請求項1記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記コンデンサは、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続されたアクロス・ザ・ライン・コンデンサ(Xコンデンサ)を含み、
前記抵抗は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された放電抵抗を含み、
前記コンデンサ電極は、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続され、且つ、前記第1コンデンサ電極に対向する1以上の第2コンデンサ電極とを有し、
前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記Xコンデンサが構成され、
前記抵抗体にて前記放電抵抗が構成され、
前記Xコンデンサと前記放電抵抗が前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項3】
請求項1記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記コンデンサは、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された平滑コンデンサを含み、
前記抵抗は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された放電抵抗を含み、
前記コンデンサ電極は、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続され、且つ、前記第1コンデンサ電極に対向する1以上の第2コンデンサ電極とを有し、
前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記平滑コンデンサが構成され、
前記抵抗体にて前記放電抵抗が構成され、
前記平滑コンデンサと前記放電抵抗が前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項4】
請求項1記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記コンデンサは、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に並列接続された平滑コンデンサ及びアクロス・ザ・ライン・コンデンサ(Xコンデンサ)を含み、
前記抵抗は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された放電抵抗を含み、
前記コンデンサ電極は、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続され、且つ、前記第1コンデンサ電極に対向する1以上の第2コンデンサ電極とを有し、
前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記平滑コンデンサ及び前記Xコンデンサが構成され、
前記抵抗体にて前記放電抵抗が構成され、
前記平滑コンデンサと前記放電抵抗が前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項5】
請求項1記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記コンデンサは、前記第1入出力端子及び前記第2入出力端子と接地端子間に接続されたラインバイパスコンデンサ(Yコンデンサ)を含み、
前記抵抗は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された放電抵抗を含み、
さらに、前記セラミック基板の前記第1側面及び前記第2側面と異なる第3側面に形成された接地端子を有し、
前記コンデンサ電極は、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続された1以上の第2コンデンサ電極と、一端が前記接地端子に接続され、且つ、前記第1コンデンサ電極及び前記第2コンデンサ電極に対向する第3コンデンサ電極とを有し、
前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、前記第3コンデンサ電極と、これら各電極間の誘電体とで前記Yコンデンサが構成され、
前記抵抗体にて前記放電抵抗が構成され、
前記Yコンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項6】
請求項5記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記コンデンサは、さらに、前記Yコンデンサに加えて前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続されたアクロス・ザ・ライン・コンデンサ(Xコンデンサ)を含み、
少なくとも2以上の前記第1コンデンサ電極を有し、
前記第3コンデンサ電極は、一方の前記第1コンデンサ電極と前記第2コンデンサ電極とで挟まれ、
前記第2コンデンサ電極は、他方の前記第1コンデンサ電極と前記第3コンデンサ電極とで挟まれ、
一方の前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、前記第3コンデンサ電極と、これら各電極間の誘電体とで前記Yコンデンサが構成され、
他方の前記第1コンデンサ電極と、前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記Xコンデンサが構成され、
前記Yコンデンサと前記Xコンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項7】
請求項6記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記コンデンサは、さらに、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された平滑コンデンサを含み、
少なくとも2以上の前記第2コンデンサ電極を有し、
前記第3コンデンサ電極は、一方の前記第1コンデンサ電極と一方の前記第2コンデンサ電極とで挟まれ、
一方の前記第2コンデンサ電極は、他方の前記第1コンデンサ電極と前記第3コンデンサ電極とで挟まれ、
他方の前記第1コンデンサ電極は、一方の前記第2コンデンサ電極と他方の前記第2コンデンサ電極とで挟まれ、
一方の前記第1コンデンサ電極と、前記第3コンデンサ電極と、一方の前記第2コンデンサ電極と、これら電極間の誘電体とで前記Yコンデンサが構成され、
他方の前記第1コンデンサ電極と、一方の前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記Xコンデンサが構成され、
他方の前記第1コンデンサ電極と、他方の前記第2コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記平滑コンデンサが構成され、
前記Yコンデンサと前記Xコンデンサと前記平滑コンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項8】
請求項5記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記抵抗は、さらに、前記Yコンデンサの一方のコンデンサと前記第1入出力端子間に接続された第1抵抗と、前記Yコンデンサの他方のコンデンサと前記第2入出力端子間に接続された第2抵抗とを含み、
さらに、前記セラミック基板の前記第1側面及び前記第2側面と異なる側面に形成された接地端子、第1接続端子及び第2接続端子を有し、
前記コンデンサ電極は、さらに、一端が前記接地端子に接続された第3コンデンサ電極を有し、
前記抵抗は、さらに、前記セラミック基板の上面に形成され、前記第1入出力端子と前記第1接続端子間に接続された第1抵抗体と、前記セラミック基板の上面に形成され、前記第2入出力端子と前記第2接続端子間に接続された第2抵抗体とを有し、
前記第1コンデンサ電極の一端は、前記第1接続端子及び前記第1抵抗体を介して前記第1入出力端子に接続され、
前記第2コンデンサ電極の一端は、前記第2接続端子及び前記第2抵抗体を介して前記第2入出力端子に接続され、
前記第1抵抗体にて前記第1抵抗が構成され、
前記第2抵抗体にて前記第2抵抗が構成され、
前記Yコンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項9】
請求項8記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記コンデンサは、さらに、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子間に接続された平滑コンデンサを含み、
前記コンデンサ電極は、さらに、一端が前記第1入出力端子に接続された1以上の第4コンデンサ電極と、一端が前記第2入出力端子に接続され、且つ、前記第4コンデンサ電極に対向する1以上の第5コンデンサ電極とを有し、
前記第4コンデンサ電極と、前記第5コンデンサ電極と、その間の誘電体とで前記平滑コンデンサが構成され、
前記平滑コンデンサと前記Yコンデンサと前記放電抵抗とが前記セラミック基板に一体化されて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記セラミック基板は、
1000°以下の温度で焼結するチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物にて構成され、前記コンデンサが構成される部分がチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物にて構成され、その他の部分が前記チタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物又は該チタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物よりも低い誘電率の誘電体磁器組成物にて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項11】
請求項10記載のコンデンサモジュールにおいて、
前記平滑コンデンサが構成される部分がチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物にて構成されていることを特徴とするコンデンサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−21170(P2013−21170A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153932(P2011−153932)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000201777)双信電機株式会社 (54)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】