コンデンサ及び電力変換装置
【課題】発熱体の近くに存在するコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子の寿命低下を防止できるコンデンサを提供する。
【解決手段】両端に一対の電極面35を有する複数個のコンデンサ素子3が、該電極面35が同一方向を向くように収納ケース2内に収納されている。また、電極面35に、複数個のコンデンサ素子3を並列接続する接続部4a,4bが一対に配置されている。複数個のコンデンサ素子3のうち、該コンデンサ素子3以外の発熱体5に最も近いコンデンサ素子30は、他のコンデンサ素子3よりも電極面35間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子30である。
【解決手段】両端に一対の電極面35を有する複数個のコンデンサ素子3が、該電極面35が同一方向を向くように収納ケース2内に収納されている。また、電極面35に、複数個のコンデンサ素子3を並列接続する接続部4a,4bが一対に配置されている。複数個のコンデンサ素子3のうち、該コンデンサ素子3以外の発熱体5に最も近いコンデンサ素子30は、他のコンデンサ素子3よりも電極面35間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子30である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のコンデンサ素子を有するコンデンサと、該コンデンサを用いた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力変換装置等に用いるためのコンデンサが知られている(下記特許文献1参照)。図15、図16に、従来のコンデンサ90の分解斜視図及び断面図を示す。同図に示すごとく、このコンデンサ90は、収納ケース92に複数個のコンデンサ素子91を収納し、樹脂95によってコンデンサ素子91を封止したものである。個々のコンデンサ素子91は両端に一対の電極面96を備えており、この電極面96に金属製のバスバー93,94が接続されている。バスバー93,94によって、複数個のコンデンサ素子91が並列接続されている。
【0003】
図15、図16に示すごとく、バスバー93,94は、他の電子部品に接続するための接続端子93a,94aを備える。この接続端子93a,94aは、バスバー93,94から収納ケース92の開口部97に向かって立設し、樹脂95の表面から突出している。
【0004】
一方、図16に示すごとく、コンデンサ90の近辺には、リアクトル99等の発熱体が配置されている。このリアクトル99と、コンデンサ90と、図示しない半導体モジュール等とによって、上記電力変換装置が構成されている。
電力変換装置の使用時には、コンデンサ90の各コンデンサ素子91に電流が流れ、各コンデンサ素子91は、その抵抗熱によって温度が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3864938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが従来のコンデンサ90は、使用すると接続端子94aにも、そこに流れる電流によって抵抗熱が発生し、この接続端子94aに近接するコンデンサ素子91aは、上述した自身の発熱に加えて、接続端子94aの熱をも受けることになり、特に温度が上昇しやすいという問題がある。コンデンサ素子91は、使用時の温度が高くなりすぎると寿命が短くなる。そのため、複数個のコンデンサ素子91のうち、接続端子94aに近接するコンデンサ素子91aの寿命が特に短くなりやすい。
それ故、従来のコンデンサ90は、他のコンデンサ素子91が正常であるにもかかわらず、一部のコンデンサ素子91aのために、コンデンサ90全体としての寿命が短くなりやすくなる問題があった。これを防止するため、従来のコンデンサ1は、コンデンサ素子91aの寿命が尽き、故障した後でも全体として正常に稼動できるように、コンデンサ素子を余分に搭載する必要があった。
【0007】
また、図16に示すごとく、リアクトル99に近接するコンデンサ素子91bも、このリアクトル99から発生する熱を受けて温度が上昇し、寿命が短くなりやすい。
【0008】
さらに、コンデンサ90を車両に搭載した場合には、車両のエンジンから発生する熱を受けて、一部のコンデンサ素子91のみが特に温度が上昇し、寿命が短くなるという問題がある。
そのため、エンジンやリアクトル、または上記接続端子等の発熱体の近くに存在するコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子の寿命低下を防止できるコンデンサが望まれている。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、発熱体の近くに存在するコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子の寿命低下を防止できるコンデンサと、該コンデンサを備えた電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、収納ケースと、
両端に一対の電極面を有し、該電極面が同一方向を向くように上記収納ケース内に収納された複数個のコンデンサ素子と、
該コンデンサ素子の上記電極面に一対に配置され、複数個の上記コンデンサ素子を並列接続する接続部とを備え、
複数個の上記コンデンサ素子のうち、該コンデンサ素子以外の発熱体に最も近い上記コンデンサ素子は、他の上記コンデンサ素子よりも上記電極面間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子であることを特徴とするコンデンサにある(請求項1)。
【0011】
また、第2の発明は、電力変換回路を構成する半導体チップを内蔵する半導体モジュールと、リアクトルと、コンデンサとを有する電力変換装置であって、
上記コンデンサは、
収納ケースと、
両端に一対の電極面を有し、該電極面が同一方向を向くように上記収納ケース内に収納された複数個のコンデンサ素子と、
該コンデンサ素子の上記電極面に一対に配置され、複数個の上記コンデンサ素子を並列接続する接続部とを備え、
複数個のコンデンサ素子のうち、上記電力変換回路内の発熱体に最も近い上記コンデンサ素子は、他の上記コンデンサ素子よりも上記電極面間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子であることを特徴とする電力変換装置にある(請求項8)。
【発明の効果】
【0012】
次に、第1の発明の作用効果について説明する。
本発明では、複数個のコンデンサ素子のうち、発熱体に最も近いコンデンサ素子は、他のコンデンサ素子よりも電極面の間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子とされている。
このようにすると、発熱体に近いコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子の寿命低下を防止することができる。すなわち、上述したように、コンデンサは複数個のコンデンサ素子を備えており、使用時に流れる電流によって、個々のコンデンサ素子が発熱する。本発明では、複数個のコンデンサ素子のうち、発熱体に最も近いコンデンサ素子を高抵抗コンデンサ素子としたため、この高抵抗コンデンサ素子に流れる電流を少なくすることができ、発生する抵抗熱を少なくすることができる。
【0013】
そのため高抵抗コンデンサ素子は、発熱体から熱を受けたとしても、自身が発生する抵抗熱が少ないため、他のコンデンサ素子と比較して、温度が特に高くなる問題が生じにくい。これにより、複数個のコンデンサ素子の温度を均一化でき、発熱体に近いコンデンサ素子のみ温度が高くなって寿命が低下する不具合を防止することができる。
それ故、本発明では、コンデンサ素子全体としての寿命を長くすることができる。また、発熱体に近いコンデンサ素子が故障した後でも正常に稼動できるように、コンデンサ素子を余分に搭載しておく等の必要もない。
【0014】
次に、第2の発明の作用効果について説明する。本発明は、半導体モジュールと、コンデンサと、リアクトルとを備える電力変換装置において、コンデンサが有する複数個のコンデンサ素子のうち、電力変換回路内の発熱体に最も近いコンデンサ素子を高抵抗コンデンサ素子にした。
このようにすると、発熱体に最も近いコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子の寿命低下を防止できる電力変換装置を提供することができる。
すなわち、電力変換装置は、リアクトルや放電抵抗等の発熱体と、コンデンサとが1つのケース内に収納され、近接しているため、上記コンデンサ素子が発熱体の熱を受けやすい。また、電力変換装置を車両に搭載した場合には、近接するエンジンの熱をコンデンサ素子が受けやすい。
しかし本発明では、複数個のコンデンサ素子のうち、発熱体に最も近いコンデンサ素子を高抵抗コンデンサ素子にしたため、この高抵抗コンデンサ素子に流れる電流を少なくでき、発生する抵抗熱を少なくすることができる。これにより、発熱体に近いコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子の寿命低下を防止することができる。
【0015】
以上のごとく、本発明によれば、発熱体の近くに存在するコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子の寿命低下を防止できるコンデンサと、該コンデンサを備えた電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における、コンデンサの断面図であって、図3のB−B断面図。
【図2】実施例1における、コンデンサの断面図であって、図3のC−C断面図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】実施例1における、コンデンサの分解斜視図。
【図5】実施例1における、巻回型フィルムコンデンサ素子の分解斜視図。
【図6】実施例1における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の断面図。
【図7】実施例1における、積層型フィルムコンデンサ素子の分解斜視図。
【図8】実施例2における、電力変換装置の回路図。
【図9】実施例2における、コンデンサの断面図。
【図10】実施例3における、コンデンサの断面図であって、高抵抗コンデンサ素子の電気抵抗を段階的に変化させたもの。
【図11】実施例4における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の斜視図。
【図12】実施例5における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の断面図。
【図13】実施例6における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の斜視図。
【図14】実施例7における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の、金属化フィルムの拡大表面図。
【図15】従来例における、コンデンサの分解斜視図。
【図16】従来例における、コンデンサの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記コンデンサ素子は、上記発熱体に近づくほど上記電気抵抗が段階的に高くなるように配置されていることが好ましい(請求項2)。
このようにすると、複数個のコンデンサ素子の温度を均等化しやすくなる。すなわち、発熱体に近く、熱を受けやすいコンデンサ素子ほど電気抵抗を大きくすることにより、その発熱を抑制する。これにより、複数個のコンデンサ素子の温度を均等化することができる。
【0018】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記誘電体フィルムの厚さを他の上記コンデンサ素子よりも厚くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項3)。
フィルムコンデンサ素子は、温度上昇により特性が変化したり、寿命が低下したりしやすい。そのため、フィルムコンデンサ素子を使ったコンデンサに本発明を適用する場合には、特に顕著な効果を得ることができる。
また、厚い誘電体フィルムの方が薄い誘電体フィルムよりも安価であるため、上記構成にすることにより、高抵抗コンデンサ素子の製造コストを低くすることができる。
【0019】
なお、誘電体フィルムの厚さを厚くすると電気抵抗が高くなる理由は、以下のとおりである。例えば金属化フィルムを巻回してコンデンサ素子を構成する場合、コンデンサ素子の大きさが同じであれば、厚い誘電体フィルムを巻回した方が薄い誘電体フィルムを巻回した方よりも巻数が少なくなる。そのため、電流の流れる方向に直交する方向における、金属被膜の長さが短くなり、電気抵抗が高くなる。
また、金属化フィルムを積層してコンデンサ素子を構成する場合、コンデンサ素子の大きさが同じであれば、厚い誘電体フィルムを積層した方が薄い誘電体フィルムを積層した方よりも積層数が少なくなる。そのため、電流が流れる金属被膜の積層数が減り、電気抵抗が高くなる。
【0020】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記電極面間の上記金属化フィルムの長さを他の上記コンデンサ素子よりも長くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項4)。
このようにすると、金属化フィルムの電極面間の長さを長くするだけでコンデンサ素子の電気抵抗を高くすることができる。すなわち、フィルムコンデンサ素子は、電極面間の金属化フィルムの長さを長くすると、電流が流れる方向における金属被膜の長さが長くなり、電気抵抗が高くなるのである。
上記構成にすると、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子とで金属化フィルムの材質を変更する必要がない。すなわち、金属化フィルムを構成する誘電体フィルムおよび金属被膜の厚さや材質等を変更せず、長さを変更するだけで電気抵抗を変えられるので、高抵抗コンデンサ素子を容易に製造することが可能になる。
【0021】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記金属被膜の厚さを他の上記コンデンサ素子よりも薄くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項5)。
このようにすると、高抵抗コンデンサ素子と、他のコンデンサ素子の大きさ及び巻数又は積層数を略同じにすることができる。すなわち、誘電体フィルムの厚さは数μm程度であり、金属被膜の厚さは数Å程度なので、金属被膜の厚さを変更しても、金属化フィルム全体の厚さは殆ど変化しない。したがって、例えば金属化フィルムを巻回してコンデンサ素子を構成する場合、金属被膜が薄い金属化フィルムと、金属被膜が厚い金属化フィルムとを同じ巻数だけ巻回し、高抵抗コンデンサ素子及び他のコンデンサ素子を形成すると、巻回後の大きさが殆ど同じになる。
同様に、金属化フィルムを積層してコンデンサ素子を構成する場合も、金属被膜が薄い金属化フィルムと、金属被膜が厚い金属化フィルムとを同じ数だけ積層して、高抵抗コンデンサ素子及び他のコンデンサ素子を形成すると、積層後の大きさが殆ど同じになる。
このように、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子との大きさを同じにできると、これらを収納ケース内に収納した際に、組み立てやすくなる。
【0022】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子と他の上記コンデンサ素子とは同一の上記金属化フィルムを用いており、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記金属化フィルムの巻数又は積層数を他の上記コンデンサ素子よりも少なくすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項6)。
このようにすると、同一の金属化フィルムを用いて高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子を製造することが可能になる。すなわち、金属化フィルムの材質や長さ等を変更しなくても、巻数又は積層数を変更するだけで、コンデンサ素子の電気抵抗を変更することができる。これにより、高抵抗コンデンサ素子を容易に製造することが可能になる。
【0023】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、該金属化フィルムには、予め定められた値よりも高い電流が流れた場合に溶断するヒューズが上記金属被膜のパターニングにより形成されており、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記電流が流れる方向に直交する方向における上記ヒューズの幅を他の上記コンデンサ素子よりも狭くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項7)。
このようにすると、誘電体フィルム及び金属被膜の膜厚や種類が同じ金属化フィルムを用いて、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子とを製造することができ、かつ、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子の大きさを同一にすることができる。そのため、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子の製造や特性管理が容易であるとともに、これらを収納ケース内に収納した際に、組み立てやすくなる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるコンデンサ及び電力変換装置につき、図1〜図6を用いて説明する。
図1〜図4に示すごとく、本例のコンデンサ1は、収納ケース2を備える。また、両端に一対の電極面35を有する複数個のコンデンサ素子3が、該電極面35が同一方向を向くように収納ケース2内に収納されている。電極面35に、複数個のコンデンサ素子3を並列接続する接続部4a,4bが一対に配置されている。
複数個のコンデンサ素子3のうち、該コンデンサ素子3以外の発熱体5に最も近いコンデンサ素子30は、他のコンデンサ素子3よりも電極面35間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子30である。
以下、詳説する。
【0025】
図5に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回してなるフィルムコンデンサ素子3である。また、図6(A),図6(B)に示すごとく、高抵抗コンデンサ素子30は、誘電体フィルム60の厚さを他のコンデンサ素子3よりも厚くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
誘電体フィルム60を厚くすると電気抵抗が高くなる理由は、以下のとおりである。すなわち、厚い金属化フィルム6を巻回して製造した高抵抗コンデンサ素子30と、薄い金属化フィルム6を巻回して製造したコンデンサ素子3とを比較すると、巻回後の大きさを同じにする場合、高抵抗コンデンサ素子30の方が巻数が少なくなる。その結果、電流が流れる方向に直交する方向における、金属被膜61の長さが短くなる。そのため、電流が流れる方向に直交する方向における、金属被膜61の断面積が小さくなり、電極面35間の電気抵抗が高くなる。
【0026】
一方、コンデンサ素子30は、その巻回軸方向の両端に、一対の電極面35が形成されている。そして図1〜図4に示すごとく、複数個のコンデンサ素子3は、上記巻回軸方向を上下方向(ケース底面に直交する方向)にして収納ケース2内に並んでいる。コンデンサ素子3は、収納ケース2内において、樹脂12に埋設されている。コンデンサ素子3は、略楕円柱形状をしている。
【0027】
また、本例の接続部4は、銅板からなるバスバー4a,4bである。このバスバー4a,4bは、樹脂12に埋設されている。バスバー4a,4bは、他の電子部品と接続するための接続端子50a,50bを有する。この接続端子50a,50bは、図3に示すごとく、バスバー4a,4bの側部から収納ケース2の開口側へ立設し、樹脂12の表面から突出している。コンデンサ1を使用すると、電流によって接続端子50a,50bが発熱する。本例では、この接続端子50a,50bが発熱体5となっている。
【0028】
なお、本例のコンデンサ素子3は、図7に示すごとく、金属化フィルム6を積層して構成してもよい。この場合、高抵抗コンデンサ素子30は、誘電体フィルム60の厚さを他のコンデンサ素子3よりも厚くすることにより、電気抵抗が高くなるようにすることができる。
誘電体フィルム60を厚くすると電気抵抗が高くなる理由は、以下のとおりである。すなわち、コンデンサ素子3の大きさが同じであれば、厚い誘電体フィルム60を積層した方が薄い誘電体フィルム60を積層した方よりも積層数が少なくなる。そのため、電流が流れる金属被膜61の積層数が減り、電気抵抗が高くなる。
【0029】
本例の作用効果について説明する。
本例のコンデンサ1は、図1、図4に示すごとく、複数個のコンデンサ素子3のうち、発熱体5に最も近いコンデンサ素子30は、他のコンデンサ素子3よりも電極面35の間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子30とされている。
このようにすると、発熱体5に近いコンデンサ素子30の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子30の寿命低下を防止することができる。すなわち、上述したように、コンデンサ1は複数個のコンデンサ素子3を備えており、使用時に流れる電流によって、個々のコンデンサ素子3が発熱する。本発明では、複数個のコンデンサ素子3のうち、発熱体5に最も近いコンデンサ素子30を高抵抗コンデンサ素子30としたため、この高抵抗コンデンサ素子30に流れる電流を少なくすることができ、発生する抵抗熱を少なくすることができる。
【0030】
そのため高抵抗コンデンサ素子30は、発熱体5から熱を受けたとしても、自身が発生する抵抗熱が少ないため、他のコンデンサ素子3と比較して、温度が特に高くなる問題が生じにくい。これにより、複数個のコンデンサ素子3の温度を均一化でき、発熱体5に近いコンデンサ素子30のみ温度が高くなって寿命が低下する不具合を防止することができる。
それ故、本例では、コンデンサ素子3全体としての寿命を長くすることができる。また、発熱体5に近いコンデンサ素子30が故障した後でも正常に稼動できるように、コンデンサ素子3を余分に搭載しておく等の必要もない。
【0031】
また、図5〜図7に示すごとく、コンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子3であり、高抵抗コンデンサ素子30は、誘電体フィルム60の厚さを他のコンデンサ素子3よりも厚くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
フィルムコンデンサ素子3は、温度上昇により特性が変化したり、寿命が低下したりしやすい。そのため、フィルムコンデンサ素子3を使ったコンデンサ1に本発明を適用する場合には、特に顕著な効果を得ることができる。
また、厚い誘電体フィルム60の方が薄い誘電体フィルム60よりも安価であるため、上記構成にすることにより、高抵抗コンデンサ素子30の製造コストを低くすることができる。
【0032】
以上のごとく、本例によれば、発熱体5の近くに存在するコンデンサ素子3の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子3の寿命低下を防止できるコンデンサ1を提供することができる。
【0033】
(実施例2)
本例は、コンデンサ1を用いて電力変換装置10を構成した例である。図8に示すごとく、本例の電力変換装置10は、電力変換回路を構成する半導体チップを内蔵する半導体モジュール11と、リアクトル51と、放電抵抗52と、コンデンサ1とを備える。
【0034】
本例の電力変換装置10は、ハイブリッドカーや電気自動車等の車両に搭載される。この電力変換装置10は、図8に示すごとく、昇圧部10aとインバータ部10bとを備える。昇圧部10aで直流電源14の電圧を昇圧し、インバータ部10bによって、昇圧した直流電力を交流電力に変換する。そして、交流電力を使って三相交流モータ15を駆動し、車両を走行させる。上記コンデンサ1は、昇圧部10aで昇圧した電圧を平滑化するための平滑用コンデンサ1aとして用いられる。
【0035】
一方、三相交流モータ15が停止して、コンデンサ1に電荷が溜まったままの状態になると、この電荷が感電事故の原因となるおそれがあるため、これを防止するために、電荷消去用の放電抵抗52が、コンデンサ1と並列接続された状態で設けられている。
【0036】
なお、昇圧部10aには昇圧用コンデンサ16が設けられている。この昇圧用コンデンサ16を構成するコンデンサ素子と、上述した平滑用コンデンサ1aを構成するコンデンサ素子3とを1個の収納ケース2内に収納しても良い。
【0037】
本例の電力変換装置10に用いるコンデンサ1の断面図を図9に示す。斜視図は、図4と略同じなので、省略する。図9に示すごとく、コンデンサ1は収納ケース2を備え、両端に一対の電極面35を有する複数個のコンデンサ素子3が、該電極面35が同一方向を向くように収納ケース2に収納されている。また、電極面35に、複数個のコンデンサ素子3を並列接続する接続部4a,4bが一対に配置されている。
複数個のコンデンサ素子3のうち、電力変換回路内の発熱体5に最も近いコンデンサ素子3は、他のコンデンサ素子3よりも電極面35間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子30である。
【0038】
本例では、放電抵抗52に比べて接続端子50a,50bの発熱は無視できるほど小さいので、放電抵抗52に近接するコンデンサ素子3のみ高抵抗コンデンサ素子30にした。すなわち、本例における発熱体5は放電抵抗52のみであり、接続端子50a,50bは発熱体5に含まれない。
【0039】
次に、本例の作用効果について説明する。図8、図9に示すごとく、本例の電力変換装置10は、半導体モジュール11と、コンデンサ1と、リアクトル50と、放電抵抗52とを備え、コンデンサ1が有する複数個のコンデンサ素子3のうち、電力変換回路内の発熱体5に最も近いコンデンサ素子30を高抵抗コンデンサ素子30にした。
このようにすると、発熱体5に最も近いコンデンサ素子3の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子3の寿命低下を防止できる電力変換装置10を提供することができる。
すなわち、電力変換装置10は、リアクトル50や放電抵抗52等の発熱体5と、コンデンサ1とが1つのケース内に収納され、近接しているため、コンデンサ素子3が発熱体5の熱を受けやすい。また、電力変換装置10を車両に搭載した場合には、近接するエンジンの熱をコンデンサ素子3が受けやすい。
【0040】
しかし本例では、複数個のコンデンサ素子3のうち、発熱体5に最も近いコンデンサ素子3を高抵抗コンデンサ素子30にしたため、この高抵抗コンデンサ素子30に流れる電流を少なくでき、発生する抵抗熱を少なくすることができる。これにより、発熱体5に近いコンデンサ素子3の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子3の寿命低下を防止することができる。
【0041】
以上のごとく、本例によれば、発熱体5の近くに存在するコンデンサ素子3の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子3の寿命低下を防止できる電力変換装置を提供することができる。
【0042】
(実施例3)
本例は、コンデンサ素子3の抵抗値を変更した例である。図10に示すごとく、本例では、コンデンサ素子3は、発熱体5に近づくほど電気抵抗が段階的に高くなるように配置されている。
すなわち、本例では、発熱体5の熱を一番受けやすいコンデンサ3aの電気抵抗が一番高く、その次に発熱体5の熱を受けやすいコンデンサ3bの電気抵抗が2番目に高く、コンデンサ3cの電気抵抗が最も低い。
【0043】
なお、本例では、放電抵抗52やリアクトル51に比べて接続端子50a,50bの発熱は無視できるほど小さいので、コンデンサ素子への熱的影響を主に与える放電抵抗52とリアクトル51とに近接するコンデンサ素子3のみ高抵抗コンデンサ素子30にした。すなわち、本例における発熱体5は放電抵抗52とリアクトル51のみであり、接続端子50a,50bは発熱体5に含まれない。
その他、実施例1と同様の構成を有する。
【0044】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、複数個のコンデンサ素子3の温度を均等化しやすくなる。すなわち、図10に示すごとく、発熱体5に近く、熱を受けやすいコンデンサ素子3ほど電気抵抗を大きくすることにより、その発熱を抑制する。これにより、複数個のコンデンサ素子3の温度を均等化することができる。
【0045】
(実施例4)
本例は、コンデンサ素子3の構成を変更した例である。図11(A)、図11(B)に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回してなるフィルムコンデンサ素子3であり、高抵抗コンデンサ素子30は、電極面35間の金属化フィルム6の長さL2を他のコンデンサ素子3の長さL1よりも長くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
金属化フィルム6の巻回軸方向の長さLを長くすると、電流が流れる方向における金属被膜61の長さが長くなり、電気抵抗が高くなる。
【0046】
また、金属化フィルム6を積層してフィルムコンデンサ素子3,30を構成することもできる(図7参照)。この場合、高抵抗コンデンサ素子30の電極面35間の金属化フィルム6の長さを、他のコンデンサ素子3の長さよりも長くすることにより、高抵抗コンデンサ素子30の電気抵抗を高くすることができる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0047】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、金属化フィルム6の電極面35間の長さLを長くするだけでコンデンサ素子3の電気抵抗を高くすることができ、金属化フィルム6の材質を変更する必要がない。すなわち、金属化フィルム6を構成する誘電体フィルム60および金属被膜61の厚さや材質等を変更せず、長さLを変更するだけで電気抵抗を変えられるので、高抵抗コンデンサ素子30を容易に製造することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0048】
(実施例5)
本例は、コンデンサ素子3の構成を変更した例である。図12(A),図12(B)に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子3であり、高抵抗コンデンサ素子30は、金属被膜61の厚さを他のコンデンサ素子3よりも薄くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
金属被膜61を薄くすると、金属被膜61の抵抗が高くなるため、高抵抗コンデンサ素子30の電極面35間の電気抵抗が高くなる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0049】
このようにすると、高抵抗コンデンサ素子30と、他のコンデンサ素子3の大きさ及び巻数又は積層数を略同じにすることができる。すなわち、誘電体フィルム60の厚さは数μm程度であり、金属被膜61の厚さは数Å程度なので、金属被膜61の厚さを変更しても、金属化フィルム6全体の厚さは殆ど変化しない。したがって、例えば金属化フィルム6を巻回してコンデンサ素子3を構成する場合、金属被膜61が薄い金属化フィルム6と、金属被膜61が厚い金属化フィルムとを同じ巻数だけ巻回し、高抵抗コンデンサ素子30及び他のコンデンサ素子3を形成すると、巻回後の大きさが殆ど同じになる。
同様に、金属化フィルム6を積層してコンデンサ素子3を構成する場合も、金属被膜61が薄い金属化フィルム6と、金属被膜61が厚い金属化フィルム6とを同じ数だけ積層して、高抵抗コンデンサ素子30及び他のコンデンサ素子3を形成すると、積層後の大きさが殆ど同じになる。
このように、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3との大きさを同じにできると、これらを収納ケース2内に収納した際に、組み立てやすくなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0050】
(実施例6)
本例は、コンデンサ素子3の構成を変更した例である。図13(A),図13(B)に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回してなるフィルムコンデンサ素子3であり、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3とは同一の金属化フィルム6を用いており、高抵抗コンデンサ素子30は、金属化フィルム6の巻数を他のコンデンサ素子3よりも少なくすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
なお、同様にして、金属化フィルム6を積層してフィルムコンデンサ素子3を構成することができる(図7参照)。この場合、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3とに同一の金属化フィルム6を用い、金属化フィルム6の積層数を他のコンデンサ素子3よりも少なくすることにより、高抵抗コンデンサ素子30の電気抵抗が高くなるよう構成することができる。
【0051】
本例の高抵抗コンデンサ素子30は、金属化フィルム6の巻数が少ないため、他のコンデンサ素子3と比較して、電極面35の面積が小さくなっている。金属化フィルム6の巻数が少ないと、電流が流れる方向に直交する方向における金属化フィルム6の長さが短くなり、その結果、電極面35間の電気抵抗が高くなる。
また、金属化フィルム6を積層してコンデンサ素子3を構成する場合は、積層数を少なくすると、金属被膜61の積層数が少なくなるため、電極面35間の電気抵抗が高くなる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0052】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、同一の金属化フィルム6を用いて高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3を製造することが可能になる。すなわち、金属化フィルム6の材質や長さ等を変更しなくても、巻数又は積層数を変更するだけで、コンデンサ素子3の電気抵抗を変更することができる。これにより、高抵抗コンデンサ素子30を容易に製造することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0053】
(実施例7)
本例は、コンデンサ素子3の構成を変更した例である。図14(A),図14(B)に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子3であり、金属化フィルム6には、予め定められた値よりも高い電流が流れた場合に溶断するヒューズ62が金属被膜61のパターニングにより形成されている。
すなわち、金属化フィルム6には、金属被膜61にT字状スリット63が誘電体フィルム60に複数個形成されている。そして、隣接する2個のT字状スリット63の間が、ヒューズ62とされている。
高抵抗コンデンサ素子30は、電流が流れる方向に直交する方向におけるヒューズ62の幅W2を、他のコンデンサ素子3のヒューズ62の幅W1よりも狭くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0054】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、誘電体フィルム60及び金属被膜61の膜厚や種類が同じ金属化フィルム6を用いて、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3とを製造することができ、かつ、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3の大きさを同一にすることができる。そのため、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3の製造や特性管理が容易であるとともに、これらを収納ケース2内に収納した際に、組み立てやすくなる。
【符号の説明】
【0055】
1 コンデンサ
10 電力変換装置
2 収納ケース
3 コンデンサ素子
30 高抵抗コンデンサ素子
4 接続部
5 発熱体
6 金属化フィルム
60 誘電体フィルム
61 金属被膜
62 ヒューズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のコンデンサ素子を有するコンデンサと、該コンデンサを用いた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力変換装置等に用いるためのコンデンサが知られている(下記特許文献1参照)。図15、図16に、従来のコンデンサ90の分解斜視図及び断面図を示す。同図に示すごとく、このコンデンサ90は、収納ケース92に複数個のコンデンサ素子91を収納し、樹脂95によってコンデンサ素子91を封止したものである。個々のコンデンサ素子91は両端に一対の電極面96を備えており、この電極面96に金属製のバスバー93,94が接続されている。バスバー93,94によって、複数個のコンデンサ素子91が並列接続されている。
【0003】
図15、図16に示すごとく、バスバー93,94は、他の電子部品に接続するための接続端子93a,94aを備える。この接続端子93a,94aは、バスバー93,94から収納ケース92の開口部97に向かって立設し、樹脂95の表面から突出している。
【0004】
一方、図16に示すごとく、コンデンサ90の近辺には、リアクトル99等の発熱体が配置されている。このリアクトル99と、コンデンサ90と、図示しない半導体モジュール等とによって、上記電力変換装置が構成されている。
電力変換装置の使用時には、コンデンサ90の各コンデンサ素子91に電流が流れ、各コンデンサ素子91は、その抵抗熱によって温度が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3864938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが従来のコンデンサ90は、使用すると接続端子94aにも、そこに流れる電流によって抵抗熱が発生し、この接続端子94aに近接するコンデンサ素子91aは、上述した自身の発熱に加えて、接続端子94aの熱をも受けることになり、特に温度が上昇しやすいという問題がある。コンデンサ素子91は、使用時の温度が高くなりすぎると寿命が短くなる。そのため、複数個のコンデンサ素子91のうち、接続端子94aに近接するコンデンサ素子91aの寿命が特に短くなりやすい。
それ故、従来のコンデンサ90は、他のコンデンサ素子91が正常であるにもかかわらず、一部のコンデンサ素子91aのために、コンデンサ90全体としての寿命が短くなりやすくなる問題があった。これを防止するため、従来のコンデンサ1は、コンデンサ素子91aの寿命が尽き、故障した後でも全体として正常に稼動できるように、コンデンサ素子を余分に搭載する必要があった。
【0007】
また、図16に示すごとく、リアクトル99に近接するコンデンサ素子91bも、このリアクトル99から発生する熱を受けて温度が上昇し、寿命が短くなりやすい。
【0008】
さらに、コンデンサ90を車両に搭載した場合には、車両のエンジンから発生する熱を受けて、一部のコンデンサ素子91のみが特に温度が上昇し、寿命が短くなるという問題がある。
そのため、エンジンやリアクトル、または上記接続端子等の発熱体の近くに存在するコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子の寿命低下を防止できるコンデンサが望まれている。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、発熱体の近くに存在するコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子の寿命低下を防止できるコンデンサと、該コンデンサを備えた電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、収納ケースと、
両端に一対の電極面を有し、該電極面が同一方向を向くように上記収納ケース内に収納された複数個のコンデンサ素子と、
該コンデンサ素子の上記電極面に一対に配置され、複数個の上記コンデンサ素子を並列接続する接続部とを備え、
複数個の上記コンデンサ素子のうち、該コンデンサ素子以外の発熱体に最も近い上記コンデンサ素子は、他の上記コンデンサ素子よりも上記電極面間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子であることを特徴とするコンデンサにある(請求項1)。
【0011】
また、第2の発明は、電力変換回路を構成する半導体チップを内蔵する半導体モジュールと、リアクトルと、コンデンサとを有する電力変換装置であって、
上記コンデンサは、
収納ケースと、
両端に一対の電極面を有し、該電極面が同一方向を向くように上記収納ケース内に収納された複数個のコンデンサ素子と、
該コンデンサ素子の上記電極面に一対に配置され、複数個の上記コンデンサ素子を並列接続する接続部とを備え、
複数個のコンデンサ素子のうち、上記電力変換回路内の発熱体に最も近い上記コンデンサ素子は、他の上記コンデンサ素子よりも上記電極面間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子であることを特徴とする電力変換装置にある(請求項8)。
【発明の効果】
【0012】
次に、第1の発明の作用効果について説明する。
本発明では、複数個のコンデンサ素子のうち、発熱体に最も近いコンデンサ素子は、他のコンデンサ素子よりも電極面の間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子とされている。
このようにすると、発熱体に近いコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子の寿命低下を防止することができる。すなわち、上述したように、コンデンサは複数個のコンデンサ素子を備えており、使用時に流れる電流によって、個々のコンデンサ素子が発熱する。本発明では、複数個のコンデンサ素子のうち、発熱体に最も近いコンデンサ素子を高抵抗コンデンサ素子としたため、この高抵抗コンデンサ素子に流れる電流を少なくすることができ、発生する抵抗熱を少なくすることができる。
【0013】
そのため高抵抗コンデンサ素子は、発熱体から熱を受けたとしても、自身が発生する抵抗熱が少ないため、他のコンデンサ素子と比較して、温度が特に高くなる問題が生じにくい。これにより、複数個のコンデンサ素子の温度を均一化でき、発熱体に近いコンデンサ素子のみ温度が高くなって寿命が低下する不具合を防止することができる。
それ故、本発明では、コンデンサ素子全体としての寿命を長くすることができる。また、発熱体に近いコンデンサ素子が故障した後でも正常に稼動できるように、コンデンサ素子を余分に搭載しておく等の必要もない。
【0014】
次に、第2の発明の作用効果について説明する。本発明は、半導体モジュールと、コンデンサと、リアクトルとを備える電力変換装置において、コンデンサが有する複数個のコンデンサ素子のうち、電力変換回路内の発熱体に最も近いコンデンサ素子を高抵抗コンデンサ素子にした。
このようにすると、発熱体に最も近いコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子の寿命低下を防止できる電力変換装置を提供することができる。
すなわち、電力変換装置は、リアクトルや放電抵抗等の発熱体と、コンデンサとが1つのケース内に収納され、近接しているため、上記コンデンサ素子が発熱体の熱を受けやすい。また、電力変換装置を車両に搭載した場合には、近接するエンジンの熱をコンデンサ素子が受けやすい。
しかし本発明では、複数個のコンデンサ素子のうち、発熱体に最も近いコンデンサ素子を高抵抗コンデンサ素子にしたため、この高抵抗コンデンサ素子に流れる電流を少なくでき、発生する抵抗熱を少なくすることができる。これにより、発熱体に近いコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子の寿命低下を防止することができる。
【0015】
以上のごとく、本発明によれば、発熱体の近くに存在するコンデンサ素子の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子の寿命低下を防止できるコンデンサと、該コンデンサを備えた電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における、コンデンサの断面図であって、図3のB−B断面図。
【図2】実施例1における、コンデンサの断面図であって、図3のC−C断面図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】実施例1における、コンデンサの分解斜視図。
【図5】実施例1における、巻回型フィルムコンデンサ素子の分解斜視図。
【図6】実施例1における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の断面図。
【図7】実施例1における、積層型フィルムコンデンサ素子の分解斜視図。
【図8】実施例2における、電力変換装置の回路図。
【図9】実施例2における、コンデンサの断面図。
【図10】実施例3における、コンデンサの断面図であって、高抵抗コンデンサ素子の電気抵抗を段階的に変化させたもの。
【図11】実施例4における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の斜視図。
【図12】実施例5における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の断面図。
【図13】実施例6における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の斜視図。
【図14】実施例7における、(A)電気抵抗が低いコンデンサ素子(B)電気抵抗が高いコンデンサ素子の、金属化フィルムの拡大表面図。
【図15】従来例における、コンデンサの分解斜視図。
【図16】従来例における、コンデンサの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記コンデンサ素子は、上記発熱体に近づくほど上記電気抵抗が段階的に高くなるように配置されていることが好ましい(請求項2)。
このようにすると、複数個のコンデンサ素子の温度を均等化しやすくなる。すなわち、発熱体に近く、熱を受けやすいコンデンサ素子ほど電気抵抗を大きくすることにより、その発熱を抑制する。これにより、複数個のコンデンサ素子の温度を均等化することができる。
【0018】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記誘電体フィルムの厚さを他の上記コンデンサ素子よりも厚くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項3)。
フィルムコンデンサ素子は、温度上昇により特性が変化したり、寿命が低下したりしやすい。そのため、フィルムコンデンサ素子を使ったコンデンサに本発明を適用する場合には、特に顕著な効果を得ることができる。
また、厚い誘電体フィルムの方が薄い誘電体フィルムよりも安価であるため、上記構成にすることにより、高抵抗コンデンサ素子の製造コストを低くすることができる。
【0019】
なお、誘電体フィルムの厚さを厚くすると電気抵抗が高くなる理由は、以下のとおりである。例えば金属化フィルムを巻回してコンデンサ素子を構成する場合、コンデンサ素子の大きさが同じであれば、厚い誘電体フィルムを巻回した方が薄い誘電体フィルムを巻回した方よりも巻数が少なくなる。そのため、電流の流れる方向に直交する方向における、金属被膜の長さが短くなり、電気抵抗が高くなる。
また、金属化フィルムを積層してコンデンサ素子を構成する場合、コンデンサ素子の大きさが同じであれば、厚い誘電体フィルムを積層した方が薄い誘電体フィルムを積層した方よりも積層数が少なくなる。そのため、電流が流れる金属被膜の積層数が減り、電気抵抗が高くなる。
【0020】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記電極面間の上記金属化フィルムの長さを他の上記コンデンサ素子よりも長くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項4)。
このようにすると、金属化フィルムの電極面間の長さを長くするだけでコンデンサ素子の電気抵抗を高くすることができる。すなわち、フィルムコンデンサ素子は、電極面間の金属化フィルムの長さを長くすると、電流が流れる方向における金属被膜の長さが長くなり、電気抵抗が高くなるのである。
上記構成にすると、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子とで金属化フィルムの材質を変更する必要がない。すなわち、金属化フィルムを構成する誘電体フィルムおよび金属被膜の厚さや材質等を変更せず、長さを変更するだけで電気抵抗を変えられるので、高抵抗コンデンサ素子を容易に製造することが可能になる。
【0021】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記金属被膜の厚さを他の上記コンデンサ素子よりも薄くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項5)。
このようにすると、高抵抗コンデンサ素子と、他のコンデンサ素子の大きさ及び巻数又は積層数を略同じにすることができる。すなわち、誘電体フィルムの厚さは数μm程度であり、金属被膜の厚さは数Å程度なので、金属被膜の厚さを変更しても、金属化フィルム全体の厚さは殆ど変化しない。したがって、例えば金属化フィルムを巻回してコンデンサ素子を構成する場合、金属被膜が薄い金属化フィルムと、金属被膜が厚い金属化フィルムとを同じ巻数だけ巻回し、高抵抗コンデンサ素子及び他のコンデンサ素子を形成すると、巻回後の大きさが殆ど同じになる。
同様に、金属化フィルムを積層してコンデンサ素子を構成する場合も、金属被膜が薄い金属化フィルムと、金属被膜が厚い金属化フィルムとを同じ数だけ積層して、高抵抗コンデンサ素子及び他のコンデンサ素子を形成すると、積層後の大きさが殆ど同じになる。
このように、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子との大きさを同じにできると、これらを収納ケース内に収納した際に、組み立てやすくなる。
【0022】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子と他の上記コンデンサ素子とは同一の上記金属化フィルムを用いており、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記金属化フィルムの巻数又は積層数を他の上記コンデンサ素子よりも少なくすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項6)。
このようにすると、同一の金属化フィルムを用いて高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子を製造することが可能になる。すなわち、金属化フィルムの材質や長さ等を変更しなくても、巻数又は積層数を変更するだけで、コンデンサ素子の電気抵抗を変更することができる。これにより、高抵抗コンデンサ素子を容易に製造することが可能になる。
【0023】
また、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、該金属化フィルムには、予め定められた値よりも高い電流が流れた場合に溶断するヒューズが上記金属被膜のパターニングにより形成されており、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記電流が流れる方向に直交する方向における上記ヒューズの幅を他の上記コンデンサ素子よりも狭くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることが好ましい(請求項7)。
このようにすると、誘電体フィルム及び金属被膜の膜厚や種類が同じ金属化フィルムを用いて、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子とを製造することができ、かつ、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子の大きさを同一にすることができる。そのため、高抵抗コンデンサ素子と他のコンデンサ素子の製造や特性管理が容易であるとともに、これらを収納ケース内に収納した際に、組み立てやすくなる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるコンデンサ及び電力変換装置につき、図1〜図6を用いて説明する。
図1〜図4に示すごとく、本例のコンデンサ1は、収納ケース2を備える。また、両端に一対の電極面35を有する複数個のコンデンサ素子3が、該電極面35が同一方向を向くように収納ケース2内に収納されている。電極面35に、複数個のコンデンサ素子3を並列接続する接続部4a,4bが一対に配置されている。
複数個のコンデンサ素子3のうち、該コンデンサ素子3以外の発熱体5に最も近いコンデンサ素子30は、他のコンデンサ素子3よりも電極面35間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子30である。
以下、詳説する。
【0025】
図5に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回してなるフィルムコンデンサ素子3である。また、図6(A),図6(B)に示すごとく、高抵抗コンデンサ素子30は、誘電体フィルム60の厚さを他のコンデンサ素子3よりも厚くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
誘電体フィルム60を厚くすると電気抵抗が高くなる理由は、以下のとおりである。すなわち、厚い金属化フィルム6を巻回して製造した高抵抗コンデンサ素子30と、薄い金属化フィルム6を巻回して製造したコンデンサ素子3とを比較すると、巻回後の大きさを同じにする場合、高抵抗コンデンサ素子30の方が巻数が少なくなる。その結果、電流が流れる方向に直交する方向における、金属被膜61の長さが短くなる。そのため、電流が流れる方向に直交する方向における、金属被膜61の断面積が小さくなり、電極面35間の電気抵抗が高くなる。
【0026】
一方、コンデンサ素子30は、その巻回軸方向の両端に、一対の電極面35が形成されている。そして図1〜図4に示すごとく、複数個のコンデンサ素子3は、上記巻回軸方向を上下方向(ケース底面に直交する方向)にして収納ケース2内に並んでいる。コンデンサ素子3は、収納ケース2内において、樹脂12に埋設されている。コンデンサ素子3は、略楕円柱形状をしている。
【0027】
また、本例の接続部4は、銅板からなるバスバー4a,4bである。このバスバー4a,4bは、樹脂12に埋設されている。バスバー4a,4bは、他の電子部品と接続するための接続端子50a,50bを有する。この接続端子50a,50bは、図3に示すごとく、バスバー4a,4bの側部から収納ケース2の開口側へ立設し、樹脂12の表面から突出している。コンデンサ1を使用すると、電流によって接続端子50a,50bが発熱する。本例では、この接続端子50a,50bが発熱体5となっている。
【0028】
なお、本例のコンデンサ素子3は、図7に示すごとく、金属化フィルム6を積層して構成してもよい。この場合、高抵抗コンデンサ素子30は、誘電体フィルム60の厚さを他のコンデンサ素子3よりも厚くすることにより、電気抵抗が高くなるようにすることができる。
誘電体フィルム60を厚くすると電気抵抗が高くなる理由は、以下のとおりである。すなわち、コンデンサ素子3の大きさが同じであれば、厚い誘電体フィルム60を積層した方が薄い誘電体フィルム60を積層した方よりも積層数が少なくなる。そのため、電流が流れる金属被膜61の積層数が減り、電気抵抗が高くなる。
【0029】
本例の作用効果について説明する。
本例のコンデンサ1は、図1、図4に示すごとく、複数個のコンデンサ素子3のうち、発熱体5に最も近いコンデンサ素子30は、他のコンデンサ素子3よりも電極面35の間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子30とされている。
このようにすると、発熱体5に近いコンデンサ素子30の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子30の寿命低下を防止することができる。すなわち、上述したように、コンデンサ1は複数個のコンデンサ素子3を備えており、使用時に流れる電流によって、個々のコンデンサ素子3が発熱する。本発明では、複数個のコンデンサ素子3のうち、発熱体5に最も近いコンデンサ素子30を高抵抗コンデンサ素子30としたため、この高抵抗コンデンサ素子30に流れる電流を少なくすることができ、発生する抵抗熱を少なくすることができる。
【0030】
そのため高抵抗コンデンサ素子30は、発熱体5から熱を受けたとしても、自身が発生する抵抗熱が少ないため、他のコンデンサ素子3と比較して、温度が特に高くなる問題が生じにくい。これにより、複数個のコンデンサ素子3の温度を均一化でき、発熱体5に近いコンデンサ素子30のみ温度が高くなって寿命が低下する不具合を防止することができる。
それ故、本例では、コンデンサ素子3全体としての寿命を長くすることができる。また、発熱体5に近いコンデンサ素子30が故障した後でも正常に稼動できるように、コンデンサ素子3を余分に搭載しておく等の必要もない。
【0031】
また、図5〜図7に示すごとく、コンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子3であり、高抵抗コンデンサ素子30は、誘電体フィルム60の厚さを他のコンデンサ素子3よりも厚くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
フィルムコンデンサ素子3は、温度上昇により特性が変化したり、寿命が低下したりしやすい。そのため、フィルムコンデンサ素子3を使ったコンデンサ1に本発明を適用する場合には、特に顕著な効果を得ることができる。
また、厚い誘電体フィルム60の方が薄い誘電体フィルム60よりも安価であるため、上記構成にすることにより、高抵抗コンデンサ素子30の製造コストを低くすることができる。
【0032】
以上のごとく、本例によれば、発熱体5の近くに存在するコンデンサ素子3の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子3の寿命低下を防止できるコンデンサ1を提供することができる。
【0033】
(実施例2)
本例は、コンデンサ1を用いて電力変換装置10を構成した例である。図8に示すごとく、本例の電力変換装置10は、電力変換回路を構成する半導体チップを内蔵する半導体モジュール11と、リアクトル51と、放電抵抗52と、コンデンサ1とを備える。
【0034】
本例の電力変換装置10は、ハイブリッドカーや電気自動車等の車両に搭載される。この電力変換装置10は、図8に示すごとく、昇圧部10aとインバータ部10bとを備える。昇圧部10aで直流電源14の電圧を昇圧し、インバータ部10bによって、昇圧した直流電力を交流電力に変換する。そして、交流電力を使って三相交流モータ15を駆動し、車両を走行させる。上記コンデンサ1は、昇圧部10aで昇圧した電圧を平滑化するための平滑用コンデンサ1aとして用いられる。
【0035】
一方、三相交流モータ15が停止して、コンデンサ1に電荷が溜まったままの状態になると、この電荷が感電事故の原因となるおそれがあるため、これを防止するために、電荷消去用の放電抵抗52が、コンデンサ1と並列接続された状態で設けられている。
【0036】
なお、昇圧部10aには昇圧用コンデンサ16が設けられている。この昇圧用コンデンサ16を構成するコンデンサ素子と、上述した平滑用コンデンサ1aを構成するコンデンサ素子3とを1個の収納ケース2内に収納しても良い。
【0037】
本例の電力変換装置10に用いるコンデンサ1の断面図を図9に示す。斜視図は、図4と略同じなので、省略する。図9に示すごとく、コンデンサ1は収納ケース2を備え、両端に一対の電極面35を有する複数個のコンデンサ素子3が、該電極面35が同一方向を向くように収納ケース2に収納されている。また、電極面35に、複数個のコンデンサ素子3を並列接続する接続部4a,4bが一対に配置されている。
複数個のコンデンサ素子3のうち、電力変換回路内の発熱体5に最も近いコンデンサ素子3は、他のコンデンサ素子3よりも電極面35間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子30である。
【0038】
本例では、放電抵抗52に比べて接続端子50a,50bの発熱は無視できるほど小さいので、放電抵抗52に近接するコンデンサ素子3のみ高抵抗コンデンサ素子30にした。すなわち、本例における発熱体5は放電抵抗52のみであり、接続端子50a,50bは発熱体5に含まれない。
【0039】
次に、本例の作用効果について説明する。図8、図9に示すごとく、本例の電力変換装置10は、半導体モジュール11と、コンデンサ1と、リアクトル50と、放電抵抗52とを備え、コンデンサ1が有する複数個のコンデンサ素子3のうち、電力変換回路内の発熱体5に最も近いコンデンサ素子30を高抵抗コンデンサ素子30にした。
このようにすると、発熱体5に最も近いコンデンサ素子3の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子3の寿命低下を防止できる電力変換装置10を提供することができる。
すなわち、電力変換装置10は、リアクトル50や放電抵抗52等の発熱体5と、コンデンサ1とが1つのケース内に収納され、近接しているため、コンデンサ素子3が発熱体5の熱を受けやすい。また、電力変換装置10を車両に搭載した場合には、近接するエンジンの熱をコンデンサ素子3が受けやすい。
【0040】
しかし本例では、複数個のコンデンサ素子3のうち、発熱体5に最も近いコンデンサ素子3を高抵抗コンデンサ素子30にしたため、この高抵抗コンデンサ素子30に流れる電流を少なくでき、発生する抵抗熱を少なくすることができる。これにより、発熱体5に近いコンデンサ素子3の温度上昇を抑制でき、このコンデンサ素子3の寿命低下を防止することができる。
【0041】
以上のごとく、本例によれば、発熱体5の近くに存在するコンデンサ素子3の温度上昇を抑制でき、そのコンデンサ素子3の寿命低下を防止できる電力変換装置を提供することができる。
【0042】
(実施例3)
本例は、コンデンサ素子3の抵抗値を変更した例である。図10に示すごとく、本例では、コンデンサ素子3は、発熱体5に近づくほど電気抵抗が段階的に高くなるように配置されている。
すなわち、本例では、発熱体5の熱を一番受けやすいコンデンサ3aの電気抵抗が一番高く、その次に発熱体5の熱を受けやすいコンデンサ3bの電気抵抗が2番目に高く、コンデンサ3cの電気抵抗が最も低い。
【0043】
なお、本例では、放電抵抗52やリアクトル51に比べて接続端子50a,50bの発熱は無視できるほど小さいので、コンデンサ素子への熱的影響を主に与える放電抵抗52とリアクトル51とに近接するコンデンサ素子3のみ高抵抗コンデンサ素子30にした。すなわち、本例における発熱体5は放電抵抗52とリアクトル51のみであり、接続端子50a,50bは発熱体5に含まれない。
その他、実施例1と同様の構成を有する。
【0044】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、複数個のコンデンサ素子3の温度を均等化しやすくなる。すなわち、図10に示すごとく、発熱体5に近く、熱を受けやすいコンデンサ素子3ほど電気抵抗を大きくすることにより、その発熱を抑制する。これにより、複数個のコンデンサ素子3の温度を均等化することができる。
【0045】
(実施例4)
本例は、コンデンサ素子3の構成を変更した例である。図11(A)、図11(B)に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回してなるフィルムコンデンサ素子3であり、高抵抗コンデンサ素子30は、電極面35間の金属化フィルム6の長さL2を他のコンデンサ素子3の長さL1よりも長くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
金属化フィルム6の巻回軸方向の長さLを長くすると、電流が流れる方向における金属被膜61の長さが長くなり、電気抵抗が高くなる。
【0046】
また、金属化フィルム6を積層してフィルムコンデンサ素子3,30を構成することもできる(図7参照)。この場合、高抵抗コンデンサ素子30の電極面35間の金属化フィルム6の長さを、他のコンデンサ素子3の長さよりも長くすることにより、高抵抗コンデンサ素子30の電気抵抗を高くすることができる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0047】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、金属化フィルム6の電極面35間の長さLを長くするだけでコンデンサ素子3の電気抵抗を高くすることができ、金属化フィルム6の材質を変更する必要がない。すなわち、金属化フィルム6を構成する誘電体フィルム60および金属被膜61の厚さや材質等を変更せず、長さLを変更するだけで電気抵抗を変えられるので、高抵抗コンデンサ素子30を容易に製造することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0048】
(実施例5)
本例は、コンデンサ素子3の構成を変更した例である。図12(A),図12(B)に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子3であり、高抵抗コンデンサ素子30は、金属被膜61の厚さを他のコンデンサ素子3よりも薄くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
金属被膜61を薄くすると、金属被膜61の抵抗が高くなるため、高抵抗コンデンサ素子30の電極面35間の電気抵抗が高くなる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0049】
このようにすると、高抵抗コンデンサ素子30と、他のコンデンサ素子3の大きさ及び巻数又は積層数を略同じにすることができる。すなわち、誘電体フィルム60の厚さは数μm程度であり、金属被膜61の厚さは数Å程度なので、金属被膜61の厚さを変更しても、金属化フィルム6全体の厚さは殆ど変化しない。したがって、例えば金属化フィルム6を巻回してコンデンサ素子3を構成する場合、金属被膜61が薄い金属化フィルム6と、金属被膜61が厚い金属化フィルムとを同じ巻数だけ巻回し、高抵抗コンデンサ素子30及び他のコンデンサ素子3を形成すると、巻回後の大きさが殆ど同じになる。
同様に、金属化フィルム6を積層してコンデンサ素子3を構成する場合も、金属被膜61が薄い金属化フィルム6と、金属被膜61が厚い金属化フィルム6とを同じ数だけ積層して、高抵抗コンデンサ素子30及び他のコンデンサ素子3を形成すると、積層後の大きさが殆ど同じになる。
このように、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3との大きさを同じにできると、これらを収納ケース2内に収納した際に、組み立てやすくなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0050】
(実施例6)
本例は、コンデンサ素子3の構成を変更した例である。図13(A),図13(B)に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回してなるフィルムコンデンサ素子3であり、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3とは同一の金属化フィルム6を用いており、高抵抗コンデンサ素子30は、金属化フィルム6の巻数を他のコンデンサ素子3よりも少なくすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
なお、同様にして、金属化フィルム6を積層してフィルムコンデンサ素子3を構成することができる(図7参照)。この場合、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3とに同一の金属化フィルム6を用い、金属化フィルム6の積層数を他のコンデンサ素子3よりも少なくすることにより、高抵抗コンデンサ素子30の電気抵抗が高くなるよう構成することができる。
【0051】
本例の高抵抗コンデンサ素子30は、金属化フィルム6の巻数が少ないため、他のコンデンサ素子3と比較して、電極面35の面積が小さくなっている。金属化フィルム6の巻数が少ないと、電流が流れる方向に直交する方向における金属化フィルム6の長さが短くなり、その結果、電極面35間の電気抵抗が高くなる。
また、金属化フィルム6を積層してコンデンサ素子3を構成する場合は、積層数を少なくすると、金属被膜61の積層数が少なくなるため、電極面35間の電気抵抗が高くなる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0052】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、同一の金属化フィルム6を用いて高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3を製造することが可能になる。すなわち、金属化フィルム6の材質や長さ等を変更しなくても、巻数又は積層数を変更するだけで、コンデンサ素子3の電気抵抗を変更することができる。これにより、高抵抗コンデンサ素子30を容易に製造することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0053】
(実施例7)
本例は、コンデンサ素子3の構成を変更した例である。図14(A),図14(B)に示すごとく、本例のコンデンサ素子3は、誘電体フィルム60の表面に金属被膜61を形成した金属化フィルム6を巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子3であり、金属化フィルム6には、予め定められた値よりも高い電流が流れた場合に溶断するヒューズ62が金属被膜61のパターニングにより形成されている。
すなわち、金属化フィルム6には、金属被膜61にT字状スリット63が誘電体フィルム60に複数個形成されている。そして、隣接する2個のT字状スリット63の間が、ヒューズ62とされている。
高抵抗コンデンサ素子30は、電流が流れる方向に直交する方向におけるヒューズ62の幅W2を、他のコンデンサ素子3のヒューズ62の幅W1よりも狭くすることにより、電気抵抗が高くなるよう構成されている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0054】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、誘電体フィルム60及び金属被膜61の膜厚や種類が同じ金属化フィルム6を用いて、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3とを製造することができ、かつ、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3の大きさを同一にすることができる。そのため、高抵抗コンデンサ素子30と他のコンデンサ素子3の製造や特性管理が容易であるとともに、これらを収納ケース2内に収納した際に、組み立てやすくなる。
【符号の説明】
【0055】
1 コンデンサ
10 電力変換装置
2 収納ケース
3 コンデンサ素子
30 高抵抗コンデンサ素子
4 接続部
5 発熱体
6 金属化フィルム
60 誘電体フィルム
61 金属被膜
62 ヒューズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ケースと、
両端に一対の電極面を有し、該電極面が同一方向を向くように上記収納ケース内に収納された複数個のコンデンサ素子と、
該コンデンサ素子の上記電極面に一対に配置され、複数個の上記コンデンサ素子を並列接続する接続部とを備え、
複数個の上記コンデンサ素子のうち、該コンデンサ素子以外の発熱体に最も近い上記コンデンサ素子は、他の上記コンデンサ素子よりも上記電極面間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
請求項1において、上記コンデンサ素子は、上記発熱体に近づくほど上記電気抵抗が段階的に高くなるように配置されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記誘電体フィルムの厚さを他の上記コンデンサ素子よりも厚くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記電極面間の上記金属化フィルムの長さを他の上記コンデンサ素子よりも長くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記金属被膜の厚さを他の上記コンデンサ素子よりも薄くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項6】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子と他の上記コンデンサ素子とは同一の上記金属化フィルムを用いており、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記金属化フィルムの巻数又は積層数を他の上記コンデンサ素子よりも少なくすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項7】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、該金属化フィルムには、予め定められた値よりも高い電流が流れた場合に溶断するヒューズが上記金属被膜のパターニングにより形成されており、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記電流が流れる方向に直交する方向における上記ヒューズの幅を他の上記コンデンサ素子よりも狭くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項8】
電力変換回路を構成する半導体チップを内蔵する半導体モジュールと、リアクトルと、コンデンサとを有する電力変換装置であって、
上記コンデンサは、
収納ケースと、
両端に一対の電極面を有し、該電極面が同一方向を向くように上記収納ケース内に収納された複数個のコンデンサ素子と、
該コンデンサ素子の上記電極面に一対に配置され、複数個の上記コンデンサ素子を並列接続する接続部とを備え、
複数個のコンデンサ素子のうち、上記電力変換回路内の発熱体に最も近い上記コンデンサ素子は、他の上記コンデンサ素子よりも上記電極面間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項1】
収納ケースと、
両端に一対の電極面を有し、該電極面が同一方向を向くように上記収納ケース内に収納された複数個のコンデンサ素子と、
該コンデンサ素子の上記電極面に一対に配置され、複数個の上記コンデンサ素子を並列接続する接続部とを備え、
複数個の上記コンデンサ素子のうち、該コンデンサ素子以外の発熱体に最も近い上記コンデンサ素子は、他の上記コンデンサ素子よりも上記電極面間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
請求項1において、上記コンデンサ素子は、上記発熱体に近づくほど上記電気抵抗が段階的に高くなるように配置されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記誘電体フィルムの厚さを他の上記コンデンサ素子よりも厚くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記電極面間の上記金属化フィルムの長さを他の上記コンデンサ素子よりも長くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記金属被膜の厚さを他の上記コンデンサ素子よりも薄くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項6】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、上記高抵抗コンデンサ素子と他の上記コンデンサ素子とは同一の上記金属化フィルムを用いており、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記金属化フィルムの巻数又は積層数を他の上記コンデンサ素子よりも少なくすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項7】
請求項1または請求項2において、上記コンデンサ素子は、誘電体フィルムの表面に金属被膜を形成した金属化フィルムを巻回又は積層してなるフィルムコンデンサ素子であり、該金属化フィルムには、予め定められた値よりも高い電流が流れた場合に溶断するヒューズが上記金属被膜のパターニングにより形成されており、上記高抵抗コンデンサ素子は、上記電流が流れる方向に直交する方向における上記ヒューズの幅を他の上記コンデンサ素子よりも狭くすることにより、上記電気抵抗が高くなるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項8】
電力変換回路を構成する半導体チップを内蔵する半導体モジュールと、リアクトルと、コンデンサとを有する電力変換装置であって、
上記コンデンサは、
収納ケースと、
両端に一対の電極面を有し、該電極面が同一方向を向くように上記収納ケース内に収納された複数個のコンデンサ素子と、
該コンデンサ素子の上記電極面に一対に配置され、複数個の上記コンデンサ素子を並列接続する接続部とを備え、
複数個のコンデンサ素子のうち、上記電力変換回路内の発熱体に最も近い上記コンデンサ素子は、他の上記コンデンサ素子よりも上記電極面間の電気抵抗が高い高抵抗コンデンサ素子であることを特徴とする電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−96916(P2011−96916A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250745(P2009−250745)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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