説明

コンバイン等の無線遠隔連絡装置

【課題】遠隔操作装置を操作する作業補助者から、コンバイン等を操縦する運転操作者に対する連絡が容易に行えるよう改善を図る。
【解決手段】穀粒等を機外へ排出移送する作業を機外に設けた無線リモコン装置1により遠隔操作可能としたコンバイン等において、該無線リモコン装置1の特定のスイッチ2を操作したときは、本機3側に該操作に対応する表示手段として特定の表示ランプ4による点滅や、液晶等による表示装置5に文字による短文で表示させると共に、この短文の内容を選択可能とするか又は作成可能とすることを特徴とした無線遠隔連絡装置の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の無線遠隔連絡装置に関し、コンバイン等において一時貯留した穀粒等を機外へ排出移送させる作業を行うとき、本機外より無線リモコン装置により遠隔操作を行うもの等の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
収穫した穀粒等をグレンタンクから機外に排出するアンローダ(排穀オーガ)を装備したコンバインにおいて、このアンローダの操作を機外に設けた遠隔操作装置により遠隔操作を可能にすると共に、アンローダの排出先端部に設けた監視装置又は超音波等によるセンサにより、排出され堆積した穀粒の高さや拡散状態等を観察可能なモニタを本機側の運転席又は機外に設けているもの等が開示されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平6ー90611号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このように、コンバイン等においてグレンタンクから排穀オーガにより穀粒等を機外へ排出する際に、排出穀粒等の積込を行う運搬車等の近傍に位置する作業補助者により、積込状態を観察しながら遠隔操作装置の操作を行って運搬車等への穀粒等の積込を容易に且つ安全に実行することが可能ではあるが、これらの作業の際に、遠隔操作装置を操作する作業補助者からコンバイン等を操縦する運転操作者に対して、何等かの事由による用件や緊急事態等により連絡の必要が生じたときは、従来では、作業補助者が大声を出して呼んだり、携帯電話で呼び出したりしていたが、作業時は機械の騒音が大きく呼び出しに気付かないことが多く、駆け寄って行くことしか連絡手段がないため、作業上非常に不便であると共に、緊急連絡が阻害されるという難点があった。
【0004】
そこで、このような、遠隔操作装置を操作する作業補助者からコンバイン等を操縦する運転操作者に対する連絡が容易に行えるよう改善を図る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、穀粒等を機外へ排出移送する作業を機外に設けた無線リモコン装置(1)により遠隔操作可能としたコンバイン等において、該無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作したときは、本機(3)側に該操作に対応する表示を行なう表示手段を設けたことを特徴とする無線遠隔連絡装置の構成とする。
【0006】
このような構成により、コンバイン等における一時貯留した穀粒等の機外への排出移送作業を無線リモコン装置(1)により遠隔操作を行わせる際等に、何等かの事由による連絡用件や緊急事態等が発生したときは、作業補助者が無線リモコン装置(1)に設けている特定のスイッチ(2)を操作することにより、本機(3)側に設けている表示手段を用いて連絡事項を運転操作者に認識させることができる。
【0007】
請求項2の発明は、前記無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ2を操作したときは、本機(39側に設けている表示手段として特定の表示ランプ(4)を点滅させることを特徴とした請求項1記載の無線遠隔連絡装置の構成とする。
【0008】
このような構成により、コンバイン等における一時貯留した穀粒等の機外への排出移送作業を無線リモコン装置(1)により遠隔操作を行わせる際等に、何等かの事由による連絡用件や緊急事態等が発生したときは、作業補助者が無線リモコン装置(1)に設けている特定のスイッチ(2)を操作することにより、本機(3)側の運転操作部位に設けている特定の表示ランプ(4)を点滅させ、運転操作者に連絡事項を認識させることができる。
【0009】
請求項3の発明は、前記無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作したときは、本機(3)側に設けている表示手段として液晶等による表示装置(5)に文字による短文で表示させることを特徴とした請求項1記載の無線遠隔連絡装置の構成とする。
【0010】
このような構成により、コンバイン等における一時貯留した穀粒等の機外への排出移送作業を無線リモコン装置(1)により遠隔操作を行わせる際等に、何等かの事由による連絡用件や緊急事態等が発生したときは、作業補助者が無線リモコン装置(1)に設けている特定のスイッチ(2)を操作することにより、本機(3)側の運転操作部位に設けている液晶等による表示装置(5)に文字による短文で表示させ、運転操作者に連絡内容を認識させることができる。
【0011】
請求項4の発明は、前記表示装置(5)における文字による短文の内容を選択可能とするか又は作成可能とすることを特徴とした請求項3記載の無線遠隔連絡装置の構成とする。
【0012】
このような構成により、コンバイン等における一時貯留した穀粒等の機外への排出移送作業を無線リモコン装置(1)により遠隔操作を行わせる際等に、何等かの事由による連絡用件や緊急事態等が発生したときは、作業補助者が無線リモコン装置(1)に設けている特定のスイッチ(2)を操作することにより、本機(3)側の運転操作部位に設けている液晶等による表示装置(5)に、文字による短文で各種の異った内容を選択又は作成を行って表示させ、運転操作者に各種の連絡内容を認識させることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、上記作用の如く、作業補助者が無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作することにより、運転操作者が注視している表示手段によって呼び出しに直ぐ気付くことができ、運転操作者に対し連絡の容易徹底化を図り安定した作業を行わせることができるから、従来の如く、作業補助者と運転操作者との間における連絡上の不便さや緊急連絡を阻害されるという不具合を解消することができる。
【0014】
請求項2の発明では、上記作用の如く、作業補助者が無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作することにより、運転操作者が注視している特定の表示ランプ(4)の点滅によって呼び出しに直ぐ気付くことができ、運転操作者に対し連絡の容易徹底化を図り安定した作業を行わせることができるから、従来の如く、作業補助者と運転操作者との間における連絡上の不便さや緊急連絡を阻害されるという不具合を解消することができる。
【0015】
請求項3の発明では、上記作用の如く、作業補助者が無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作することにより、運転操作者が注視している表示装置(5)に短文を表示することによって、呼び出しに直ぐ気付くと共に内容の把握による対応も可能であり、運転操作者に対し連絡の容易徹底化を図り円滑且つ迅速に安定した作業を行わせることができるから、従来の如く、作業補助者と運転操作者との間における連絡上の不便さや緊急連絡を阻害されるという不具合を解消することができる。
【0016】
請求項4の発明では、上記作用の如く、作業補助者が無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作することにより、運転操作者が注視している表示装置(5)に選択又は作成した各種の異なる短文を表示することによって、各種の呼び出しの内容に直ぐ気付くと共に内容の把握による対応も可能であり、運転操作者に対し連絡の容易徹底化を図り円滑且つ迅速に安定した作業を行わせることができるから、従来の如く、作業補助者と運転操作者との間における連絡上の不便さや緊急連絡を阻害されるという不具合を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
穀粒等を機外へ排出移送する作業を、機外に設けた無線リモコン装置1により遠隔操作を可能としたコンバイン等において、該無線リモコン装置1の特定のスイッチ2を操作したときは、本機3側に該操作に対応する表示手段として、点滅する特定の表示ランプ4や短文表示を行う液晶等による表示装置5を設けて遠隔操作時における連絡の徹底を図る。
【0018】
以下に、この発明の実施例を普通型コンバインについて図面に基き説明する。
普通型コンバインは、図14に示す如く、本機3の車台6の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ7を有する走行装置8を設け、該車台6上には穀稈全稈の供給を受けて脱穀し、この脱穀された穀粒を選別回収する全稈投入形態の脱穀装置9を設けて構成させる。
【0019】
該脱穀装置9の前方に、前端側から植立穀稈を分草する分草体10と、この分草された穀稈を穂先側から掻き込む掻込リール11と、この穂先側から掻き込まれた穀稈を刈り取る刈刃12を前端部に位置させたオーガケース13と、このオーガケース13内にて刈刃12により刈り取られた穀稈全稈を取り込む取込オーガ14とからなる刈取装置15を設けて構成させる。
【0020】
該取込オーガ14によって取り込まれた穀稈全稈を脱穀装置9へ搬送する搬送コンベア16aを内装する穀稈フィーダ16を、該オーガケース13から脱穀装置9へ向け斜設すると共に、該フィーダ16の後端部を脱穀装置9の穀稈供給口へ接続して構成させる。
【0021】
該刈取装置15の穀稈フィーダ16の一側に運転操作者用の操縦キャビン17を配置すると共に、この操縦キャビン17の後方側に脱穀装置9の一側に沿って脱穀により選別回収された穀粒を一時貯留するグレンタンク18を配置し、このグレンタンク18の後端部に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ20を装備して構成させる。
【0022】
該排穀オーガ20は、グレンタンク18の後端部に近接して低部から穀粒を取り出す縦筒20aを鉛直方向に位置させ、この縦筒20aの上端部を支点として伸縮可能な横筒20bを上下昇降自在に支承し、縦筒20aを回動可能に軸承することにより横筒20bを左右旋回自在に作用させると共に、該縦筒20aの後部位置に、機外に設けた無線リモコン装置1からの信号を受信する遠隔操作用の受信アンテナ21及び受信装置21aを配設して構成させる。
【0023】
該無線リモコン装置1は、図1に示す如く、コンバインの本機3から離れている作業補助者が携帯可能な形状及び大きさとし、その表面の一端部位置に、前記排穀オーガ20の上・下昇降又は左・右旋回用の押釦式の作用スイッチ1aを配置し、中間部位置に、排穀オーガ20伸・縮用の押釦式の伸縮スイッチ1bと、排穀オーガ20の穀粒排出用の押釦式の排出スイッチ1cと、排穀オーガ20の張出・収納用の張収スイッチ1dとを配置させ、他端部位置に、呼出し用としての特定のスイッチ2を4個(2a,2b,2c,2d)配置して構成させる。
【0024】
コンバインの本機3の運転操作席22の一側に、図2に示す如く、運転操作者に対し点滅により呼び出しを表示する特定の表示ランプ4と、文字による短文で呼び出しを表示する液晶等による表示装置5とを配置して構成させる。
【0025】
コンバインの作業時における自動制御を行う電子回路として、図3に示す如く、CPUを主体的に配して自動回路の演算制御を行うコントローラ23を設け、このコントローラ23の入力側に入力インタフェース23aを介して、各センサ類24と各スイッチ類25を接続すると共に、前記無線リモコン装置1からの信号を受信可能に構成し、出力側に出力インタフェース23bを介して、各アクチュエータ類26、及び前記特定の表示ランプ4と液晶等による表示装置5を接続して構成させる。
【0026】
前記排穀オーガ20から穀粒を機外に排出させるときは、図4に示す如く、先ず、運転操作者がコンバインを圃場周辺に待機している運搬車27の荷台27a近傍位置まで移動させ、次に、作業補助者による無線リモコン装置1の張収スイッチ1dの操作により排穀オーガ20を荷台27aへ張り出しさせると共に、伸縮スイッチ1bの操作により荷台27aに位置決めし、更に、排出スイッチ1cを操作することにより、前記グレンタンク18に一時貯留している穀粒を荷台27aへ排出移送させる。
【0027】
このような作業補助者による無線リモコン装置1の操作時に、何等かの事由による連絡用件や緊急事態等が発生したときは、該リモコン装置1の特定のスイッチ2を単独又は組合せて適宜に操作することにより、前記表示ランプ4を点滅させるようにしてもよいし、或いは、前記液晶等による表示装置5に文字による各種の短文(例えば、直ぐに籾を排出してください)等を選択又は作成して表示させるようにしてもよく、これらの点滅や表示によって運転操作者が直ぐに呼び出しに気付き的確に連絡事項を伝えることができる。
【0028】
また、前記の如く、無線リモコン装置1により機外から排穀オーガ20の操作制御を行うものにおいて、図5に示す如く、前記コントローラ23からキースイッチ28及びリレー29aからスタータ29を経て、エンジン30を始動可能に接続構成させる。31はエンジン回転センサ,32はセンサチェックスイッチ,33はバッテリを示す。
【0029】
このような構成により、停止しているエンジン30を始動させるときに該無線リモコン装置1の特定のスイッチ2による適宜な選択組合せ等により操作しなければ、ロック装置が解除されずエンジン30の始動ができないよう規制することにより、作業補助者が該リモコン装置1の特定のスイッチ2を操作しないかぎり、エンジン30が始動することがないから機外における作業を安全に行うことができると共に、近年農機具の盗難が多いことに対するセキュリティについても向上を図ることができる。
【0030】
また、前記の如く、該無線リモコン装置1の特定のスイッチ2を適宜な組合せ等により操作しなければ、ロック装置が解除されずエンジンが始動できないよう規制するものにおいて、図5に示すセンサチェックスイッチ32をON状態としたきは、ロック装置解除用としての特定のスイッチ2の適宜な組合せ等を設定するパスワードを新しく書き替えることが可能となるよう構成することにより、セキュリティ対策について、より一層の向上を図ることができる。
【0031】
また、図6に示す如く、前記エンジン30から脱穀装置9を伝動する伝動経路の途中において方向を変更して取り出した動力により、前記グレンタンク18の底部に設けた機外への穀粒排出用としての排出螺旋34を伝動ベルト35により駆動させるが、この伝動ベルト35による駆動を入・切させるベルトテンション作用による穀粒排出用としての排出クラッチ36をモータ36aにより制御可能に配設させ、更に、該排出螺旋34を駆動した動力により前記排穀オーガ20の縦筒20a及び横筒20bを駆動可能に連動構成させる。
【0032】
なお、該排穀オーガ20の横筒20b先端部に排出穀粒の詰まりを検出する詰りセンサ37を配置して構成させる。
該グレンタンク18から排穀オーガ20による穀粒の機外への排出作用を行うものにおいて、、図7に示す如く、前記無線リモコン装置1の排出スイッチ1c及び運転操作席22の排出スイッチ22aの入り切りと、該排出クラッチ36の入り切りと、該詰りセンサ37の検出の有無とを入力する排穀制御用コントローラ38を設け、このコントローラ38では、デジタル信号の入力処理38aによる排出クラッチ36の制御手段38bにより、排出クラッチ36のモータ36aの出力処理38cを行い、このコントローラ38から排出クラッチ36の入り側と切り側の出力を各々行うよう構成させる。
【0033】
このような構成により、該詰りセンサ37による排穀オーガ20の穀粒詰りを検出したときは、排出クラッチ36を切り作用させて穀粒の詰りを防止させることができるから、従来の如く、穀粒の詰りを検出したときはその都度エンジン30を停止させる手段を用いるもののように、詰り発生の都度前記エンジン30を停止させるためにその後の操作が煩わしいということがなく、穀粒の詰り発生時における操作の容易省力化と安全の確保を行うことができる。
【0034】
また、前記の如き状態において、該詰りセンサ37の穀粒の詰り検出による排出クラッチ36の切り作用により、排穀オーガ20を停止させて詰りを解除した後、詰りセンサ37が再度所定時間以内に切りから入りに切り替わったときは、再び排出クラッチ36を入り作用させるべく制御出力を行わせることにより、運転操作者が詰りの解除作業を行った後、運転操作席22に戻らなくても排出作業を再開させることができるから、詰り発生時の工数と労力の省力化を可能にすることができる。
【0035】
また、前記の如く、該詰りセンサ37による排穀オーガ20の穀粒詰り検出により穀粒の排出を停止させる機能を有すると共に、エンジン回転数を自動的に調節制御する自動回転数制御機能を有するものにおいて、図8に示す如く、該自動回転数制御機能によるアクセル制御を行うアクセルスイッチ39と、詰りセンサ37と、アクセルレバー40と、前記エンジン回転センサ31とを入力するエンジン制御用コントローラ41を設けて構成させる。
【0036】
該コントローラ41では、デジタル信号,アナログ信号,パルス信号の各入力処理41aにるアクセル制御手段41bにより、アクセル制御用の出力処理41cを行い、このコントローラ41からアクセルレバー40の閉側と開側の出力を各々行うよう構成させる。
【0037】
このような構成により、該詰りセンサ37による排穀オーガ20の穀粒詰りを検出したときは、排出クラッチ36を切り作用させて穀粒の詰りを防止させることができると共に、アクセルレバー40を閉側に移行するよう出力を行いエンジン回転数を所定以下にすることができるから、従来の如く、穀粒の詰りを検出したときはその都度エンジン30を停止させる手段を用いるもののように、詰り発生の都度エンジン30を停止させるためにその後の操作が煩わしいということがなく、穀粒の詰り発生時における操作の容易省力化と安全の確保を行うことができる。
【0038】
また、前記の如き状態において、該詰りセンサ37の穀粒の詰り検出による排出クラッチ36の切り作用と共に、アクセルレバー40を閉側に移行してエンジン回転数を所定以下にすることができるものにおいて、該排穀オーガ20を停止させて詰りを解除した後、詰りセンサ37が再度所定時間以内に切りから入りに切り替わったときは、再びエンジン回転数を定格に戻すべくアクセルレバー40を開方向に制御出力を行わせることにより、運転操作者が詰りの解除作業を行った後、運転操作席22に戻らなくても排出作業を再開させることができるから、詰り発生時の工数と労力の省力化を可能にすることができる。
【0039】
また、従来の如く、詰り発生の都度該エンジン30を停止させるものにおいても、該詰りセンサ37の検出からエンジン30を停止させるまでに遅延時間(オンディレー)を設け、図9のフローチャートに示す如く、穀粒排出を運転操作席22の排出スイッチ22aから開始した場合は遅延時間を短く設定すると共に、無線リモコン装置1の排出スイッチ1cから開始した場合は遅延時間を長く設定することにより、該リモコン装置1からの操作時には作業補助者が排出側付近に位置していることが想定され、詰る直前に対応して詰りを回避できる可能性があるから、詰りセンサ37による検出の都度エンジン30を停止させて作業性を損なう無駄を省くことができる。
【0040】
また、前記の如く、該詰りセンサ37の検出からエンジン30を停止させるまでに遅延時間を設けているものにおいて、図10の線図及び図11のフローチャートに示す如く、詰りセンサ37の検出直前のエンジン回転数によって遅延時間を変化させることにより、高速排出時(エンジン回転数が高い)には遅延時間を短くしてエンジン30を停止させるが、低速排出時には遅延時間を長くして詰る直前に作業補助者による詰りの回避対応が可能となるよう、緊急度に応じて停止させるタイミングを可変に設定することにより、作業性を損なう頻度を低減させることができる。
【0041】
また、該エンジン30の自動回転数制御機能を有するものにおいて、図12に示す如く、CPUを主体的に配し自動回路の演算制御を行う走行制御用コントローラ43を設け、このコントローラ43の入力側に、入力インタフェース43aを介して、前記アクセルスイッチ39及びエンジン回転センサ31と、油圧式無段変速装置を制御するHSTポジションセンサ44と、パワステレバー45の位置を検出するパワステポジションセンサ46とを各々接続すると共に、その出力側に、出力インタフェース43bを介して、アクセル開側及び閉側の各リレー47を接続して構成させる。
【0042】
このような構成により、走行モードにおいてパワステレバー45を操作したときは、図13の線図に示す如く、パワステ操作量に応じてエンジン回転数を自動的に上昇させることが可能となるから、走行モードで緩やかに旋回する場合、従来の如く、エンジン回転数が低いため旋回力が低下し旋回半径が大きくなるという不具合がなく、旋回時のパワステ操作量が大きいことにより旋回力が上昇し半径の小さい的確な旋回作用を行わせることができる。
【0043】
また、前記の如く、自動回転数制御機能によるアクセル制御を行うエンジン30において、従来、前記アクセルレバー40を介してガバナを動かすメカ式のアクセル制御では、高速,中速,低速の全ての領域に対し中間回転数(最大トルク点より上の回転数、例えば2000rpm)まで落とすだけでは、騒音及び燃費に対し効果が少なく、また、全ての領域に対しアイドリング回転(1300rpm)まで落とすときは、走行速で急発進した場合、エンジン回転数が上昇しないという難点があった。
【0044】
このような難点の解消策として、負荷が大きい高速域では中間回転数までしか回転数を下げないことにより、急激な負荷の上昇に対し良好な回転数の立上りが確保され、低速,中速域ではアイドリングまで回転数を落としても、負荷の増大が少ないためアイドリング発進しても支障がなく騒音及び燃費の低下を図ることができる。
【0045】
また、前記の如く、自動回転数制御機能によるアクセル制御を行うエンジン30(ターボ付き)において、従来では、エンジン30始動後は2000rpmへ上昇(前記アクセルスイッチ39入り)するため、特に低温時の暖気運転が行えず耐久性に悪影響を及ぼすという難点があったが、このような難点に対し、エンジン30始動後、次の制御移行までアイドリング回転を保持させることにより、暖気運転を確実に行え耐久性の向上を図ることができる。
【0046】
また、図15に示す如き自脱型コンバインにおいて、脱穀装置48へ刈取った穀稈を搬送する刈取装置49の回転速度を、脱穀装置48側にシンクロさせる一定回転入力と、走行装置50側の車速に連動させる連動回転入力とにより合成させ、図16(a)の線図に示す如く、車速が遅いときは一定回転入力による駆動とし、所定の車速に達したときは連動回転入力によって駆動するものと、図16(b)の線図に示す如く、最初から連動回転入力により駆動するものとに、多用途に変更可能となるよう構成することにより、例えば、車速停止時に、刈取装置49の回転速度を脱穀装置48側からの一定回転入力により駆動することができるから枕扱ぎ等を容易に行わせることができる。
【0047】
また、従来から、作業を継続するためコンバイン等の農業機械を圃場に放置している場合が多く盗難に遭うケースもある。
このため、盗難防止装置の一環として農業機械等に、例えば、図15に示す如きコンバインの刈取装置49部等に遠隔操作可能なカメラ51を設け、このカメラ51から送信される画像を、必要に応じ携帯電話等の外部機器52に受信した画面により周辺の状況等が確認可能となるから、盗難等の事故を未然に防止することができる。
【0048】
また、前記の如く、盗難防止装置の一環として、コンバインの刈取装置49部等に遠隔操作可能なカメラ51を設けているものにおいて、このカメラ51により、同じく刈取装置49部等に設けた衝撃や振動等を検出するセンサ53によって自動的に撮影した画像を送信することにより、携帯電話等の外部機器52に受信した画面により周辺の状況を確認できるから、盗難等の事故を未然に防止することができると共に、機械の異常状態を検出して画像を送信するため盗難に対する安全性が向上する。
【0049】
また、近年では高齢者や婦女子が作業を行う場合が増えており、農業機械の運転操作に携わる機会が多いことから、図17に示す如く、CPUを主体的に配して演算制御を行う調整用コントローラ54を設け、その入力側に操作者情報設定部55を接続すると共に、出力側に各アクチュエータ56を接続して構成させものにおいて、図18の線図に示す如く、該コントローラ54に運転操作者の年齢による筋力等の身体情報を入力してアシスト量を算出することにより、ブレーキやステアリング等の操作力を調節して機械の操作性を向上させることができる。
【0050】
また、前記の如く、運転操作者の身体情報を入力してアシスト量を算出する調整用コントローラ54を設けているものにおいて、共同購入等により運転操作者が異なる場合においても、複数の運転操作者を作業時に任意設定可能とすることにより、この設定した運転操作者に応じた身体情報を入力してアシスト量を算出し操作力を調節可能とすることができるから、複数の運転操作者が自分専用の機械の如く良好な操作性により使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
トラクタやコンバイン及び運搬車両等を始め一般車両にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】無線リモコン装置において各スイッチ類を配置した全体構成を示す平面図。
【図2】運転操作席に設けた特定の表示ランプ及び液晶等の表示装置を示す平面図。
【図3】入力信号を演算して表示出力させる制御を行う電気回路を示すブロック図。
【図4】コンバインから運搬車の荷台へ穀粒を排出移送する状態を示す作業背面図。
【図5】エンジン始動時のロックを解除する制御を行う電気回路を示すブロック図。
【図6】穀粒排出用のクラッチをモータにより入切する伝動機構を示すブロック図。
【図7】穀粒排出用のクラッチを入切させる制御を行う電気回路を示すブロック図。
【図8】詰り検出時にエンジン回転を下げる制御を行う電気回路を示すブロック図。
【図9】エンジン停止の遅延時間を状況に応じ変更する手順を示すフローチャート。
【図10】エンジン停止の遅延時間を詰り検出時回転に応じた変更状態を示す線図。
【図11】エンジン停止の遅延時間を長短に変更する手順を示すフローチャート。
【図12】旋回作用時エンジン回転を上げる制御を行う電気回路を示すブロック図。
【図13】パワステ操作量に応じてエンジン回転を自動的に上げる状態を示す線図。
【図14】普通型コンバインにおける全体構成を示す側面図。
【図15】自脱型コンバインの全体構成とカメラ,センサの配置状態を示す側面図。
【図16】(a)刈取回転数を一定回転と連動回転による合成駆動状態を示す線図。
【0053】
(b)刈取回転数を最初から連動回転により駆動する状態を示す線図。
【図17】操作者情報によりアクチュエータを制御する電気回路を示すブロック図。
【図18】操作者情報により操作力を調節するアシスト量の増減状態を示す線図。
【符号の説明】
【0054】
1. 無線リモコン装置
2. 特定のスイッチ
3. 本機
4. 表示ランプ
5. 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒等を機外へ排出移送する作業を機外に設けた無線リモコン装置(1)により遠隔操作可能としたコンバイン等において、該無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作したときは、本機(3)側に該操作に対応する表示を行なう表示手段を設けたことを特徴とする無線遠隔連絡装置。
【請求項2】
前記無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作したときは、本機(3)側に設けている表示手段として特定の表示ランプ(4)を点滅させることを特徴とした請求項1記載の無線遠隔連絡装置。
【請求項3】
前記無線リモコン装置(1)の特定のスイッチ(2)を操作したときは、本機(3)側に設けている表示手段として液晶等による表示装置(5)に文字による短文で表示させることを特徴とした請求項1記載の無線遠隔連絡装置。
【請求項4】
前記表示装置(5)における文字による短文の内容を選択可能とするか又は作成可能とすることを特徴とした請求項3記載の無線遠隔連絡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−158357(P2006−158357A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358580(P2004−358580)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】