説明

コンバイン

【課題】アクチュエータを介して穀粒排出オーガを旋回作動させるオーガ旋回操作具の操作方向と、穀粒排出オーガの旋回方向とを一致させることによって、オペレータによる直感的な該穀粒排出オーガの旋回操作を可能にする。
【解決手段】オーガ制御手段31により、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作方向と、穀粒排出オーガ13の旋回作動方向とが一致するように穀粒排出オーガ13を旋回作動させるアクチュエータ17の動作を制御すると共に、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作量に応じて穀粒排出オーガ13の旋回速度を変更すべく前記アクチュエータ17の動作を制御するように構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータを介して穀粒排出オーガを旋回作動させるオーガ旋回操作具と、前記アクチュエータの動作を制御するオーガ制御手段を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの穀粒タンク内に一時的に貯留された穀粒は、起伏且つ旋回動作可能な穀粒排出オーガを介して機外に排出されるようになっており、この穀粒排出オーガの操作部を、穀粒排出オーガの旋回位置を格納位置から旋回全範囲にわたって位置決めする選択ボリュームと、該選択ボリュームで設定した位置に穀粒排出オーガを作動させる起動スイッチと、穀粒排出オーガの起伏(昇降)及び旋回作動を手動操作によって任意に単独で行なうことができる手動操作レバーとで構成し、前記選択ボリューム、起動スイッチ、及び手動操作レバーを運転席の後方に設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−103831号公報(第3−4頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した穀粒排出オーガの旋回作動は、一定の旋回速度でなされるようになっており、該旋回速度を調節することができないので、例えば穀粒タンク内に一時的に貯留されている穀粒を、穀粒排出オーガを介してトラック等の運搬車に備える貯留タンクに排出するにあたり、当該穀粒排出オーガ先端の穀粒排出口を運搬車の貯留タンクの所望位置に位置合わせしようとすると、慣性によるオーバーランを起こし易く的確な位置合わせに手間が掛かっていた。また、手動操作レバーによって穀粒排出オーガを任意位置に旋回作動させる際は、手動操作レバーの操作方向と穀粒排出オーガの旋回方向が必ずしも一致しない範囲があり、オペレータが直感的に手動操作レバーを操作することができないといった欠点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、アクチュエータを介して穀粒排出オーガを旋回作動させるダイヤル式オーガ旋回操作具と、前記アクチュエータの動作を制御するオーガ制御手段を備えたコンバインにおいて、前記オーガ制御手段により、ダイヤル式オーガ旋回操作具の回動操作方向と穀粒排出オーガの旋回作動方向とが一致するようにアクチュエータの動作を制御すると共に、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具の回動操作量に応じて穀粒排出オーガの旋回速度を変更すべくアクチュエータの動作を制御することを第一の特徴としている。
そして、前記ダイヤル式オーガ旋回操作具の回動中心から正面視で右側に変位させた位置に、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具の回動操作中立範囲を設定したことを第二の特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、オーガ制御手段により、ダイヤル式オーガ旋回操作具の回動操作方向と穀粒排出オーガの旋回作動方向とが一致するように穀粒排出オーガを旋回作動させるアクチュエータの動作を制御することによって、オペレータが穀粒排出オーガを旋回させたい方向にダイヤル式オーガ旋回操作具を直感的に回動操作すれば、当該穀粒排出オーガを所望方向に容易に旋回させることができると共に、前記ダイヤル式オーガ旋回操作具の回動操作量に応じて穀粒排出オーガの旋回速度を変更すべくアクチュエータの動作を制御するので、例えば穀粒タンク内に一時的に貯留されている穀粒を、穀粒排出オーガを介してトラック等の運搬車に備える貯留タンクに排出するにあたり、穀粒排出オーガの大まかな位置合わせを行なう際は、ダイヤル式オーガ旋回操作具を高速域に回動して穀粒排出オーガを高速で旋回させる一方、穀粒排出オーガ先端の穀粒排出口を運搬車の貯留タンクの所望位置に位置合わせする際は、ダイヤル式オーガ旋回操作具を低速域に回動して穀粒排出オーガの旋回速度を低速に調整することによって、穀粒排出オーガの慣性によるオーバーランを防止して的確且つ迅速な位置合わせが行なえるようになる。
そして、請求項2の発明によれば、前記ダイヤル式オーガ旋回操作具の回動中心から正面視で右側に変位させた位置に、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具の回動操作中立範囲を設定したので、右利きのオペレータにとって不得手な右手手首を支点とする反時計回り方向へのダイヤル式オーガ旋回操作具の回動操作、即ち穀粒排出オーガの左旋回操作が無理なくスムーズに行えるようになる。更に、オペレータが左手で操作することができる起伏操作レバーをダイヤル式オーガ旋回操作具の左側に併設する場合は、この起伏操作レバーとダイヤル式オーガ旋回操作具を操作するオペレータの右手とが干渉しない位置まで起伏操作レバーを接近させることにより、両操作具を簡潔に配置することができると共に、オペレータは右手でダイヤル式オーガ旋回操作具を操作する一方、左手で穀粒排出オーガの起伏操作レバーを操作できるようになり作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、コンバイン1の側面図と平面図であって、コンバイン1は、穀稈を刈取る前処理部2と、該前処理部2で刈取った穀稈から穀粒を脱穀し、且つ、この穀粒を選別する脱穀部3と、該脱穀部3で
選別した穀粒を一時的に貯留する穀粒タンク4と、脱穀された後の排藁を切断処理するカッタ装置5と、走行部である左右のクローラ走行装置6と、運転席7及びマルチステアリングレバー8等の各種操作具やメータ類を設けた操縦部9を備えている。
【0007】
そして、穀粒タンク4に一時的に貯留された穀粒は、穀粒タンク4の後側下部に固設した固定パイプ11と、この固定パイプ11に回動自在に連結した縦パイプ12と、該縦パイプ12の上端に固設して縦パイプ12と一体に回動(旋回)すると共に、上下方向に起伏自在(上下昇降可能)に設けた穀粒排出オーガ13を経由して機外に排出される。即ち、穀粒タンク4の底部には、前後方向を向く第一螺旋搬送体14を配設してあり、この第一螺旋搬送体14によって固定パイプ11まで搬送した穀粒を、上述の縦パイプ12及び穀粒排出オーガ13に内装されている第二螺旋搬送体15と図示しない第三螺旋搬送体に引き継いで機外に排出できるように構成している。
【0008】
穀粒排出オーガ13は、この穀粒排出オーガ13と縦パイプ12との間に介設した油圧アクチュエータであるオーガ昇降シリンダ16の伸縮に応じて昇降(起伏)作動すると共に、縦パイプ12を回動させる電動アクチュエータであるオーガ旋回モータ17の正逆転駆動に応じて旋回作動する。
【0009】
そして、図3に示すように、コンバイン1の操縦部9に搭乗したオペレータMMを基準にすると、穀粒排出オーガ13の格納位置Aからの左旋回動作は、
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左リミット位置Lで機械的に規制され、一方格納位置Aからの右旋回動作は、右リミット位置Rで機械的に規制されるようになっている。
【0010】
また、左リミット位置Lと右リミット位置Mとの間、即ち穀粒排出オーガ13の旋回領域θには、穀粒排出オーガ13を格納する格納位置A、運転席7の直上位置である運転席位置B、機体の進行方向に対して右直角方向に穀粒排出オーガ13を延出させる右方向排出位置C、及び機体後方に穀粒排出オーガ13を延出させる後方向排出位置D等の基準位置を設定してあり、上述した穀粒排出オーガ13の格納位置Aと右方向排出位置Cとの間においては、穀粒排出オーガ13が穀粒タンク4やオペレータMと接触することを回避すべく、当該穀粒排出オーガ13の下降禁止範囲を設定している。
【0011】
そして、図4に示すように、運転席7の後側には、穀粒排出オーガ13を旋回作動及び起伏作動させるオーガ操作パネル21を設けている。このオーガ操作パネル21には、穀粒排出オーガ13を手動で所望方向に旋回作動させるダイヤル式オーガ旋回操作具22と、穀粒排出オーガ13を手動で任意の位置に起伏(昇降)作動させる起伏(昇降)操作レバー23、穀粒排出オーガ13を排出位置から所定の格納位置Aへ自動的に旋回復帰させる自動格納スイッチ24、穀粒排出オーガ13の自動旋回停止位置を設定する旋回位置設定ダイヤル25、該旋回位置設定ダイヤル25により設定した穀粒排出オーガ13の自動旋回停止位置に自動旋回させる自動旋回スイッチ26、緊急停止スイッチ27、穀粒タンク4内の穀粒をトラック等の運搬車の貯留タンクに排出するための穀粒排出スイッチ28を配設してある。
【0012】
また、コンバイン1は、穀粒排出オーガ13の昇降(起伏)作動及び旋回作動を制御するオーガ制御手段として、図5に示すようなマイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される制御部31を設けている。制御部31の入力側には、穀粒排出オーガ13の上昇限界位置を検出する上限スイッチ32、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作位置、即ち当該ダイヤル式オーガ旋回操作具22が図7及び図9に示すように、中立範囲N、左旋回低速範囲LL、左旋回高速範囲LH、右旋回低速範囲RL、または右旋回高速範囲RHにあるか否かを検出する旋回操作位置検出ポテンショメータ33、起伏(昇降)操作レバー23の上昇操作を検出する上昇スイッチ34、起伏(昇降)操作レバー23の下降操作を検出する下降スイッチ35、穀粒排出オーガ13の旋回位置を検出するオーガ旋回位置検出センサ(ポテンショメータ)36、自動格納スイッチ24、旋回位置設定ダイヤル25、自動旋回スイッチ26、緊急停止スイッチ27、穀粒排出スイッチ28、穀粒排出オーガ13の左旋回動作における左リミット位置Lを検出する左リミットスイッチ37、及び穀粒排出オーガ13の右旋回動作における右リミット位置Rを検出する右リミットスイッチ38等を所定の入力インタフェース回路を介して接続する一方、制御部31の出力側には、上述したオーガ旋回モータ17の他に、該オーガ旋回モータ17の出力軸にブレーキ制動を掛ける電磁ブレーキ41、オーガ昇降シリンダ用電磁バルブ42の上昇ソレノイドバルブ42aと下降ソレノイドバルブ42b、及び警報ブザー43等を所定の出力インタフェース回路を介して接続している。
【0013】
そして、制御部31は、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作位置に応じて穀粒排出オーガ13の旋回動作を制御する旋回制御プログラム、起伏(昇降)操作レバー23の操作に応じて穀粒排出オーガ13の昇降動作を制御する昇降制御プログラム、穀粒排出オーガ13が穀粒タンク4やオペレータMに接触することを回避するための動作規制、即ち旋回規制領域内への穀粒排出オーガ13の侵入を禁止するオーガ旋回(侵入)禁止制御プログラム、及びオーガ旋回禁止制御を解除するオーガ旋回規制解除制御プログラム等を備えており、以下、本発明の要旨であるオーガ旋回制御について説明する。
【0014】
図6は、オーガ旋回制御を示すフローチャートであって、先ずステップS1では、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の操作位置を、該ダイヤル式オーガ旋回操作具22の基部に近接して設けた旋回操作位置検出ポテンショメータ33によって確認する。そして、ダイヤル式オーガ旋回操作具22がステップS2の回動操作中立範囲Nにあれば、ステップS3に進んでオーガ旋回モータ17を停止させる一方、ダイヤル式オーガ旋回操作具22が回動操作中立範囲N以外にある場合は、ステップS4〜ステップS7に進む。
【0015】
即ち、ステップS4〜ステップS7は、図7に示すように、ダイヤル式オーガ旋回操作具22が左旋回低速範囲LL、左旋回高速範囲LH、右旋回低速範囲RL、及び右旋回高速範囲RHの何れかの操作範囲にある場合であり、これらステップS4〜ステップS7では、上述の四つの操作範囲LL,LH,RL,RHに対応するように、オーガ旋回モータ17の正逆転と低高速回転とを組み合わせた各設定条件の基でステップS8に進んでオーガ旋回モータ17に出力するといった一連のオーガ旋回制御を実行する。尚、上述した左旋回低速範囲LLと左旋回高速範囲LHは、LL<LHに設定してあり、また右旋回低速範囲RLと右旋回高速範囲RHもRL<RHに設定してあるので、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作中立範囲Nからの左右の旋回高速範囲LH,RHへの回動操作を迅速に行うことができる。
【0016】
更に詳しく説明すると、例えば図3にF矢印で示すように、格納位置Aにある穀粒排出オーガ13を右方向排出位置Cの近傍まで右方向に旋回させたい場合は、先ずダイヤル式オーガ旋回操作具22を回動操作中立範囲Nから右旋回高速範囲RHまで大きく右に回動して、穀粒排出オーガ13を高速で旋回させて大まかな位置合わせを行なう。しかる後にダイヤル式オーガ旋回操作具22を右旋回低速範囲RL、または左旋回低速範囲LLに回動して穀粒排出オーガを低速で旋回させることにより、的確且つ迅速な穀粒排出オーガ13の位置合わせが行なえるようになる。
【0017】
この時、ダイヤル式オーガ旋回操作具22は、図7に示すように、その回動中心Pから正面視で右側に変位させた位置に、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作中立範囲Nを設定してあるので、右利きのオペレータMにとって不得手な右手手首を支点とする反時計回り方向へのダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作、即ち穀粒排出オーガ13の左旋回操作が無理なくスムーズに行えるようになる。尚、ダイヤル式オーガ旋回操作具22には、図示しないリターンスプリングが内装してあり、上述したダイヤル式オーガ旋回操作具22の四つの操作範囲LL,LH,RL,RHのうち、オペレータMが何れかの操作範囲にダイヤル式オーガ旋回操作具22を回動操作した後に手を離すと、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具22は、その位置から回動操作中立範囲Nに自動復帰する。また、図中符号22aは、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の操作指標である。
【0018】
更に、図4に示すように、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の左側にオペレータMが左手で操作することができる穀粒排出オーガ13の起伏(昇降)操作レバー23を併設する場合は、この起伏操作レバー23とダイヤル式オーガ旋回操作具22を操作するオペレータMの右手とが干渉しない位置まで起伏操作レバー13を接近させることにより、両操作具22,23を簡潔に配置することができると共に、オペレータMは右手でダイヤル式オーガ旋回操作具22を操作する一方、左手で穀粒排出オーガの起伏操作レバー23を操作できるようになり作業性が向上する。
【0019】
また、図8は、オーガ旋回制御の他例を示すフローチャートであって、このものでは、リターンスプリングを内装しないダイヤル式オーガ旋回操作具22を採用しており、このダイヤル式オーガ旋回操作具22をオペレータMが所望の位置に回動操作して手を離すと、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具22は、回動操作中立範囲Nに自動復帰することなく回動操作した位置に保持されるようになっている。そして、このフローチャートでは、先ずステップS1で、ダイヤル式オーガ旋回操作具22に一体的に形成されている図示しないダイヤル押しボタンスイッチ(S/W)が入り状態にあるか切り状態にある否かを判断し、ダイヤル押しボタンスイッチが入り状態にあればステップS2に進み、ダイヤル押しボタンスイッチが切り状態にあればステップS3に進んでオーガ旋回モータ17を停止させる。
【0020】
ステップS2では、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の操作位置を、該ダイヤル式オーガ旋回操作具22の基部に近接して設けた旋回操作位置検出ポテンショメータ33によって確認する。そして、ダイヤル式オーガ旋回操作具22がステップS2の回動操作中立範囲Nにあれば、ステップS4に進んでオーガ旋回モータ17を停止させる一方、ダイヤル式オーガ旋回操作具22が回動操作中立範囲N以外にある場合は、ステップS5〜ステップS8に進む。
【0021】
即ち、ステップS5〜ステップS8は、図7に示すように、ダイヤル式オーガ旋回操作具22が左旋回低速範囲LL、左旋回高速範囲LH、右旋回低速範囲RL、及び右旋回高速範囲RHの何れかの操作範囲にある場合であり、これらステップS4〜ステップS7では、上述の四つの操作範囲に対応するように、オーガ旋回モータ17の正逆転と低高速回転とを組み合わせた各設定条件の基でステップS9に進んでオーガ旋回モータ17に出力するといった一連のオーガ旋回制御を実行する。そして、この実施例では、上述したダイヤル式オーガ旋回操作具22の四つの操作範囲LL,LH,RL,RHのうち、オペレータMが何れかの操作範囲にダイヤル式オーガ旋回操作具22を操作した後、該ダイヤル式オーガ旋回操作具22に一体的に形成されているダイヤル押しボタンスイッチを入り操作することによって、所望のオーガ旋回制御が実行されるようになっている。
【0022】
以上説明したオーガ旋回制御の実施例によれば、オーガ制御手段である制御部31により、ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作方向と穀粒排出オーガ13の旋回作動方向とが一致するように穀粒排出オーガ13を旋回作動させるアクチュエータ(オーガ旋回モータ)17の動作を制御することによって、オペレータMが穀粒排出オーガ13を旋回させたい方向にダイヤル式オーガ旋回操作具22を直感的に回動操作すれば、当該穀粒排出オーガ13を所望方向に容易に旋回させることができると共に、前記ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作量に応じて穀粒排出オーガ13の旋回速度を変更すべくアクチュエータ17の動作を制御するので、例えば穀粒タンク4内に一時的に貯留されている穀粒を、穀粒排出オーガ13を介してトラック等の運搬車に備える貯留タンクに排出するにあたり、穀粒排出オーガ13の大まかな位置合わせを行なう際は、ダイヤル式オーガ旋回操作具22を高速域(左右の旋回高速範囲LH,RH)に回動操作して穀粒排出オーガ13を高速で旋回させる一方、穀粒排出オーガ13先端の穀粒排出口13aを運搬車の貯留タンクの所望位置に位置合わせする際は、ダイヤル式オーガ旋回操作具22を低速域(左右の旋回低速範囲LL,RL)に回動操作して穀粒排出オーガ13の旋回速度を低速に調整することによって、穀粒排出オーガ13の慣性によるオーバーランを防止して的確且つ迅速な位置合わせが行なえるようになる。
【0023】
そして、図7に示す如くダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動中心Pから正面視で右側に変位させた位置に、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作中立範囲Nを設定しあるので、右利きのオペレータMにとって不得手な右手手首を支点とする反時計回り方向へのダイヤル式オーガ旋回操作具22の回動操作、即ち穀粒排出オーガ13の左旋回操作が無理なくスムーズに行えるようになる。更に、オペレータMが左手で操作することができる起伏操作レバー23をダイヤル式オーガ旋回操作具22の左側に併設する場合は、この起伏操作レバー23とダイヤル式オーガ旋回操作具22を操作するオペレータの右手とが干渉しない位置まで起伏操作レバー23を接近させることにより、両操作具22,23を簡潔に配置することができると共に、オペレータMは右手でダイヤル式オーガ旋回操作具22を操作する一方、左手で穀粒排出オーガ13の起伏操作レバー23を操作できるようになり作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】穀粒排出オーガの旋回範囲を示す平面図。
【図4】オーガ操作パネルの斜視図。
【図5】制御部のブロック図。
【図6】オーガ旋回制御を示すフローチャート。
【図7】ダイヤル式オーガ旋回操作具の操作形態を示す平面図。
【図8】オーガ旋回制御の他例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0025】
13 穀粒排出オーガ
17 アクチュエータ
22 ダイヤル式オーガ旋回操作具
31 オーガ制御手段
P 回動中心
N 回動操作中立範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(17)を介して穀粒排出オーガ(13)を旋回作動させるダイヤル式オーガ旋回操作具(22)と、前記アクチュエータ(17)の動作を制御するオーガ制御手段(31)を備えたコンバインにおいて、前記オーガ制御手段(31)により、ダイヤル式オーガ旋回操作具(22)の回動操作方向と穀粒排出オーガ(13)の旋回作動方向とが一致するようにアクチュエータ(17)の動作を制御すると共に、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具(22)の回動操作量に応じて穀粒排出オーガ(13)の旋回速度を変更すべくアクチュエータ(17)の動作を制御することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記ダイヤル式オーガ旋回操作具(22)の回動中心(P)から正面視で右側に変位させた位置に、当該ダイヤル式オーガ旋回操作具(22)の回動操作中立範囲(N)を設定した請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−22303(P2010−22303A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189244(P2008−189244)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】