説明

コンパクトな油圧装着部を備えた油膜軸受

【課題】コンパクトな油圧装着部を備えた油膜軸受を提供する。
【解決手段】油膜軸受10において、シリンダ38が、ピストン32によって内側が第1のチャンバ42および第2のチャンバ44に分割されており、スリーブリング46が、スリーブ12の端部に当接し、環状スラスト構成要素48が、スリーブリング46およびシリンダ38における隣接する部分の間に挟まれ、これらと部分的に重なるように配置されている。ここで、第1のチャンバ42を加圧すると、シリンダ38は、軸方向に前進させられ、スラスト構成要素48およびスリーブリング46を介してスリーブ12がその座位置となるように促され、第2のチャンバ44を加圧すると、シリンダ38は、軸方向に後退させられ、チョックアセンブリ26,28,30およびブッシング24を介してスリーブ12がその座位置から引き抜かれる方向へ動かされることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2005年7月18日に出願された米国仮特許出願第60/700,290号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、外側がテーパー形状となったネックを有するロールのための圧延機用油膜軸受に関し、特に、一体化された軸方向にコンパクトな油圧装着係止アセンブリを備えた油膜軸受に関する。
【背景技術】
【0003】
フラットな圧延機におけるテーパー形状ネック補強ロールのための軸受は、これらの軸受をロールネックに装着し係止するアセンブリを必要とする。軸受のなかに組み込まれた油圧ユニットがユーザにとって最も使い易いタイプの装着係止部(mount and lock)であるということはよく知られている。欠点としては、従来の油圧装着部では、軸受/ロールアセンブリの軸方向の長さが極めて長くなるということがある。このように長さが増すことは、軸受/ロールアセンブリが長くなることで、より重いロールと、より長いロールグラインダと、より幅広の圧延機基部とを必要とすることから不都合である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、軸受/ロールアセンブリを短くし、それによって、圧延機全体のシステムコストを低減することを可能にする、よりコンパクトな油圧装着部が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、油膜軸受が、ロールにおけるテーパー形状のネックに接して座位置に収容された、内側がテーパー形状となったスリーブを含む。このスリーブは、チョック端部プレートおよび外側端部プレートによって軸方向に延在させられた外側チョック内に固定されたブッシングのなかで回転するようにジャーナル支持されている。チョック、チョック端部プレート、および外側端部プレートは、以下、「チョックアセンブリ」と総称する。管状ピストンが、前記ロールにおける前記端部部分に接して収容されており、これを基準として固定されている。シリンダが、前記ピストンによって内側が第1のチャンバおよび第2のチャンバに分割されており、スリーブリングが、前記スリーブの端部に当接するように配置されている。環状スラスト構成要素が、前記スリーブリングおよび前記シリンダにおける隣接する端部の間に挟まれ、これらと部分的に重なるように配置されている。
【0006】
前記第1のチャンバを加圧すると、前記シリンダは、軸方向に前進させられ、前記スラスト構成要素および前記スリーブリングを介して作用して、前記スリーブがその座位置となるように促すことになる。前記第2のチャンバを加圧すると、前記シリンダは、軸方向に後退させられ、前記チョックアセンブリおよび前記ブッシングを介して作用して、前記スリーブがその座位置から引き抜かれる方向へ動かされることになる。
【0007】
望ましくは、前記環状スラスト構成要素は、前記スリーブリングおよび前記シリンダの間に配置された内レースと、前記チョックの軸方向延在部分における向かい合う部材の間に配置された外レースと、を有するローラースラスト軸受である。
【0008】
代替的に、前記環状スラスト構成要素が円筒形リングを含んでもよく、これは、望ましくは、前記円筒形リングおよび前記軸方向チョック延在部分の内側円筒形表面の間の間隙をつなぐ、突出する放射状フランジを有することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、添付の図面を参照して、本発明のこれらおよびその他の特徴および付随する利点について、さらに詳細に説明する。
【0010】
まず、図1を参照すると、本発明の1つの実施の形態による油膜軸受10が概括的に示されている。この軸受10は、圧延機ロール16における外側がテーパー形状となったネック14に接して座位置(seated position)に軸方向に収容された、内側がテーパー形状となったスリーブ12を有する。テーパー形状のロールネック14は、階段状の減少させられた直径の端部部分18,20につながり、スリーブ12は、ロールネックにキー22によって回転可能に固定されている。
【0011】
スリーブ12は、チョック端部プレート28および外側端部プレート30によって軸方向に延在させられた外側チョック26内に固定されたブッシング24のなかで回転可能にジャーナル支持(journaled)されている。
【0012】
管状ピストン32が、ロールの減少させられた直径の端部部分20に接して収容されており、これを基準として固定されている。ピストンは、溝34において軸方向に噛み合わされた関係となるように差込み接続部を介して挿入され、キー36によって回転可能に固定されている。
【0013】
シリンダ38は、内側閉端部と、端部キャップ40によって閉じられた外側開端部と、有する。このシリンダ38は、ピストン32を取り囲み、これによって内側が第1のチャンバ42および第2のチャンバ44に分割されている。スリーブリング46がスリーブ12に当接する。スリーブリング46およびシリンダ38には、概括的に示した環状スラスト構成要素48が部分的に重なる、軸方向に位置合わせされた円筒形ノーズ46a,38aがそれぞれ設けられている。
【0014】
図1の実施の形態において、環状スラスト構成要素48は、スリーブリング46およびシリンダ38上の向かい合うショルダの間に配置された内レース50と、チョック端部プレート28に接するフランジ54および外側端部プレート30の間に配置された外レース52と、を有するローラースラスト軸受を含む。
【0015】
通路56,58によって、シリンダチャンバ42,44の一方または他方を択一的に加圧する手段が提供される。加圧された流体、例えば、油が、第1のチャンバ42に導入された場合に、シリンダ38は、固定されたピストン32を基準として軸方向に前進させられ、スラスト構成要素48およびスリーブリング46を介して作用して、スリーブ12がその座位置となるように促す。代替的に、第2のチャンバ44を加圧すると、シリンダは、固定されたピストンを基準として軸方向に後退させられ、チョック26と、端部プレート28と、外側端部プレート30とを含むチョックアセンブリおよびブッシング24を介して作用して、スリーブがその座位置から引き抜かれる方向へ移動させられることになる。
【0016】
図2を参照すると、図中、同様の符号によって、同様の構成要素が示されており、反スラスト側軸受が図示されている。ここで、スラスト構成要素48Aは、スリーブリング46およびシリンダ38の間に配置された円筒形リング60を含む。このリングは、スリーブリングおよびシリンダの円筒形ノーズ46a,38aと部分的に重なる。望ましくは、リング60は、リングおよびチョック端部プレート28の内側円筒形表面64の間の間隙をつなぐ放射状フランジ62を有する。
【0017】
このように、スラスト構成要素48,48Aを、スリーブリング46およびシリンダ38における隣接する部分に対して部分的に重なる関係に配置することによって、軸方向に短くなった有益にコンパクトなアセンブリが提供されるということが理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるスラスト側油膜軸受を示す断面図である。
【図2】本発明による反スラスト側軸受を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
10 油膜軸受、12 スリーブ、14 ネック、16 圧延機ロール、18,20 端部部分、22 キー、24 ブッシング、26 外側チョック、28 チョック端部プレート、30 外側端部プレート、32 管状ピストン、34 溝、36 キー、38 シリンダ、38a 円筒形ノーズ、40 端部キャップ、42 第1のチャンバ、44 第2のチャンバ、46 スリーブリング、46a 円筒形ノーズ、48,48A 環状スラスト構成要素、50 内レース、52 外レース、54 フランジ、56,58 通路、60 円筒形リング、62 放射状フランジ、64 内側円筒形表面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減少させられた直径の端部部分につながるテーパー形状となったネックを有する圧延機ロールのための油膜軸受であって、
テーパー形状の前記ネックに接して座位置に収容された、内側がテーパー形状となったスリーブであって、チョックアセンブリ内に固定されたブッシングのなかで回転するようにジャーナル支持されているスリーブと、
前記端部部分に接して収容されており、これを基準として固定されている管状のピストンと、
前記ピストンによって内側が第1のチャンバおよび第2のチャンバに分割されているシリンダと、
前記スリーブの端部に当接するスリーブリングと、
前記スリーブリングおよび前記シリンダにおける隣接する部分の間に挟まれ、これらと部分的に重なるように配置された環状のスラスト構成要素と、
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのうちの一方または他方を択一的に加圧する手段と、を備え、
前記第1のチャンバを加圧すると、前記シリンダは、軸方向に前進させられ、前記スラスト構成要素および前記スリーブリングを介して作用して、前記スリーブがその座位置となるように促すことになり、前記第2のチャンバを加圧すると、前記シリンダは、軸方向に後退させられ、前記チョックアセンブリおよび前記ブッシングを介して作用して、前記スリーブがその座位置から引き抜かれることになる油膜軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の油膜軸受であって、前記スラスト構成要素がローラースラスト軸受である油膜軸受。
【請求項3】
請求項2に記載の油膜軸受であって、前記ローラースラスト軸受が、前記スリーブリングおよび前記シリンダの間に配置された内レースと、前記チョックアセンブリにおける向かい合う部材の間に配置された外レースと、を有する油膜軸受。
【請求項4】
請求項1に記載の油膜軸受であって、前記スラスト構成要素が、前記スリーブリングおよび前記シリンダの間に配置された円筒形リングを含む油膜軸受。
【請求項5】
請求項4に記載の油膜軸受であって、前記円筒形リングから放射状に突出し、前記円筒形リングおよび前記チョックアセンブリの内側円筒形表面の間の間隙をつなぐフランジをさらに備える油膜軸受。
【請求項6】
請求項1に記載の油膜軸受であって、前記スリーブリングおよび前記シリンダは、前記スラスト構成要素が部分的に重なる、軸方向に隣接する円筒形ノーズを有する油膜軸受。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−24310(P2007−24310A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183155(P2006−183155)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(599014530)モーガン コンストラクション カンパニー (23)
【Fターム(参考)】