説明

コンビネーションカード及びその製造方法

【課題】加工性に優れ歩留まりの高いコンビネーションカード及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アンテナ基材1上にアンテナを形成する工程と、アンテナの接続端子4上に印刷法により導電性材料印刷層5を形成する工程と、アンテナが形成されたアンテナ基材1をカード素材2、3でラミネートし、カード基材8を形成する工程と、カード基材8の所定領域に、ICモジュール7を収容するための第1の穴を形成する工程と、第1の穴のアンテナの接続端子4上の位置に、導電性材料印刷層5を露出させるための第2の穴を形成する工程と、第2の穴に導電性接着剤9を充填し、第1の穴にICモジュール7を収容し、接合する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの製造方法に関し、特に、外部機器とのデータのやりとりを接触・非接触の両方の方法で行うことのできるコンビネーションカード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビネーションカードを製造する際には、まず、非接触通信用のアンテナが形成されたアンテナ基板を複数枚のカード素材で挟んでラミネートしたカード基材を作成する。そして、作成したカード基材に接触通信端子付きICモジュールを埋め込むための穴をミリングして、アンテナ側の接点を露出し、ICモジュール側の接点と接触するように接触通信端子付きICモジュールを接着している。
しかし、アンテナを挟んでいるカード素材の厚さには製造誤差によるバラツキがあり、またミリングの際の加工誤差も避けることができない。そのため、コンビネーションカードの製造工程において、ミリングにより形成する穴の深さを一定にして生産すると、穴が浅くなる方向に誤差が生じた場合には、接点が露出されないか又は接触面積が不足して接続不良となり、逆に、穴が深くなる方向に誤差が生じた場合には、アンテナ端子を破損する可能性がある。
そこで、特許文献1に示すような従来技術においては、アンテナ形成後、カード素材でラミネートする前に、アンテナの端子部にポッティングにより銀ペーストなどの導電性材料を半球状に設ける方法が考えられた。これは、ミリング時にアンテナ端子まで到達しないよう、アンテナ端子上に設けられた該導電性材料部分まで切除することにより、アンテナ端子を傷つけずにICモジュールとの接続を確実にしようとする方法である。
【特許文献1】特開平11−149540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、接点部をポッティングにより導電性材料で半球状に形成すると、図6に示すように「山」形状になるため、接触面積を広げたい場合にはより深くまでミリングを行う必要があるが、導電性材料とアンテナ配線との界面近傍までミリングを行うとアンテナ配線を破損する可能性が高くなり、製造不良の原因となる。
【0004】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、カード素材の厚さにおける製造誤差及びミリングの際の加工誤差に関わらずアンテナ端子とICモジュールとを確実に接続し、加工性に優れ歩留まりの高いコンビネーションカード及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、接触通信手段を備えたICモジュールと非接触通信用アンテナとを備えたコンビネーションカードの製造方法であって、アンテナ基材上にアンテナを形成するアンテナ形成工程と、アンテナの接続端子上に印刷法により導電性材料印刷層を形成する導電性材料印刷層形成工程と、アンテナが形成されたアンテナ基材の片面若しくは両面をカード素材でラミネートし、少なくとも2層構造のカード基材を形成するカード基材形成工程と、カード基材の所定領域に、ICモジュールを収容するための第1の穴を形成する第1の穴あけ工程と、第1の穴のアンテナの接続端子上の位置に、導電性材料印刷層を露出するための第2の穴を形成する第2の穴あけ工程と、第2の穴に導電性接着剤を充填し、第1の穴にICモジュールを収容し、接合するICモジュール接合工程とを有することを特徴とするコンビネーションカードの製造方法を提供するものである。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、接触通信手段を備えたICモジュールと非接触通信用アンテナとを備えたコンビネーションカードの製造方法であって、アンテナ基材の片方の面に第1のアンテナを形成する第1のアンテナ形成工程と、第1のアンテナ上の所定の位置にアンテナ基材を貫通する穴を設けるスルーホール部形成工程と、アンテナ基材の反対側の面に第2のアンテナを形成すると同時又は形成後に、スルーホール部に導電性材料を充填する第2のアンテナ形成工程と、第1のアンテナの接続端子上に、印刷法により導電性材料印刷層を形成すると同時に、スルーホール部に導電性材料を充填し、第1のアンテナと第2のアンテナとを導通させる導電性材料印刷層形成工程と、第1及び第2のアンテナが形成されたアンテナ基材の片面若しくは両面をカード素材でラミネートし、少なくとも2層構造のカード基材を形成するカード基材形成工程と、カード基材の所定領域に、ICモジュールを収容するための第1の穴を形成する第1の穴あけ工程と、第1の穴の第1のアンテナの接続端子上の位置に、導電性材料印刷層を露出するための第2の穴を形成する第2の穴あけ工程と、第2の穴に導電性接着剤を充填し、第1の穴にICモジュールを収容し、接合するICモジュール接合工程とを有することを特徴とするコンビネーションカードの製造方法を提供するものである。
【0007】
本発明の第1の態様又は第2の態様においては、導電性材料印刷層形成工程は、導電性材料を、シルクメッシュを用いてスクリーン印刷することによって導電性材料印刷層を形成することが好ましい。又は、導電性材料印刷層形成工程は、導電性材料を、印刷部分にエッチングで穴あけ加工したステンレス板を用いて印刷することによって導電性材料印刷層を形成することが好ましい。
【0008】
本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれの方法においても、導電性材料印刷層を形成する導電性材料として、カード素材との密着性が、アンテナの機械的強度及びアンテナとアンテナ基材との密着性よりも弱い材料を用いることが好ましい。また、導電性材料印刷層を形成する導電性材料として、アンテナの接続端子との密着性が、アンテナの機械的強度及びアンテナとアンテナ基材との密着性よりも弱い材料を用いることが好ましい。また、導電性材料印刷層を形成する導電性材料は、導電性ペーストであることが好ましい。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、接触通信手段を備えたICモジュールと非接触通信用アンテナとを備えたコンビネーションカードであって、
少なくとも以下のA〜Fの工程を有する製造方法によって製造されたことを特徴とするコンビネーションカードを提供するものである。
A:アンテナ基材上にアンテナを形成するアンテナ形成工程。
B:アンテナの接続端子上に印刷法により導電性材料印刷層を形成する導電性材料印刷層形成工程。
C:アンテナが形成されたアンテナ基材の片面若しくは両面をカード素材でラミネートし、少なくとも2層構造のカード基材を形成するカード基材形成工程。
D:カード基材の所定領域に、ICモジュールを収容するための第1の穴を形成する第1の穴あけ工程。
E:第1の穴のアンテナの接続端子上の位置に、導電性材料印刷層を露出するための第2の穴を形成する第2の穴あけ工程。
F:第2の穴に導電性接着剤を充填し、第1の穴にICモジュールを収容し、接合するICモジュール接合工程。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第4の態様として、接触通信手段を備えたICモジュールと非接触通信用アンテナとを備えたコンビネーションカードであって、
少なくとも以下のA〜Hの工程を有する製造方法によって製造されたことを特徴とするコンビネーションカードを提供するものである。
A:アンテナ基材の片方の面に第1のアンテナを形成する第1のアンテナ形成工程。
B:第1のアンテナ上の所定の位置にアンテナ基材を貫通する穴を設けるスルーホール部形成工程。
C:アンテナ基材の反対側の面に第2のアンテナを形成すると同時又は形成後に、スルーホール部に導電性材料を充填する第2のアンテナ形成工程。
D:第1のアンテナの接続端子上に、印刷法により導電性材料印刷層を形成すると同時に、スルーホール部に導電性材料を充填し、第1のアンテナと第2のアンテナとを導通させる導電性材料印刷層形成工程。
E:第1のアンテナ及び第2のアンテナが形成されたアンテナ基材の片面若しくは両面をカード素材でラミネートし、少なくとも2層構造のカード基材を形成するカード基材形成工程。
F:カード基材の所定領域に、ICモジュールを収容するための第1の穴を形成する第1の穴あけ工程。
G:第1の穴の第1のアンテナの接続端子上の位置に、導電性材料印刷層を露出するための第2の穴を形成する第2の穴あけ工程。
H:第2の穴に導電性接着剤を充填し、第1の穴にICモジュールを収容し、接合するICモジュール接合工程。
【0011】
本発明の第3の態様又は第4の態様においては、導電性材料印刷層が、導電性材料を、シルクメッシュを用いてスクリーン印刷することによって形成されたことが好ましい。又は、導電性材料印刷層が、導電性材料を、印刷部分にエッチングで穴あけ加工したステンレス板を用いて印刷することによって形成されたことが好ましい。
【0012】
本発明の第3の態様又は第4の態様の上記のいずれの構成においても、導電性材料印刷層は、カード素材との密着性が、アンテナの機械的強度及びアンテナとアンテナ基材との密着性よりも弱い導電性材料で形成されていることが好ましい。また、導電性材料印刷層は、アンテナの接続端子との密着性が、アンテナの機械的強度及びアンテナとアンテナ基材との密着性よりも弱い導電性材料で形成されていることが好ましい。また、導電性材料印刷層が、導電性ペーストで形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加工性に優れ歩留まりの高いコンビネーションカード及びその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図1に、本実施形態にかかるコンビネーションカードの一構成例を示す。図1に示すコンビネーションカードは、カード基材8と接触通信端子付きICモジュール7とによって構成されている。カード基材8は、ループ形状をした非接触通信用アンテナが形成されたアンテナ基材1を複数枚のカード素材2、3で挟んでラミネートしたもので、該アンテナの端子部4には、端子部全体を均一の厚さで覆った導電性材料印刷層5が印刷技術により形成されている。
ICモジュール7は、カード基材側のアンテナ端子4と電気的に接続するための接続端子6を有する。本実施形態におけるコンビネーションカードは、カード基材8のICモジュール実装部分にICモジュール7の外形に対応した穴を形成する第1のミリング加工と、さらに導電性材料印刷層5が積層されたアンテナ端子部分を露出させるための第2のミリング加工を施し、第2のミリング加工により形成された穴に導電性接着剤を充填、第1のミリング加工により形成された穴にICモジュール7を挿入、接合することにより形成される。
【0015】
次に、本実施形態にかかるコンビネーションカードの製造方法について詳細に説明する。図2は、本実施形態にかかるコンビネーションカードの製造手順を示すフローチャートである。また、図3は、本実施形態にかかるコンビネーションカードの製造方法を示す工程説明図である。
【0016】
まず、所定のアンテナ基材1上にアンテナを形成する(ステップS1:図3(a))。アンテナの形成には、例えば以下のような方法が適用される。
a:アンテナ基材の表面に貼り付けた導体箔の一部をエッチングにより除去する方法
b:導電性材料を所定のパターンに印刷することにより形成する方法
c:細線ワイヤーをアンテナ基材上に配置する方法
d:予めパターン形状に成形された導体箔をアンテナ基材上に転写する方法
【0017】
次に、上記のようにして形成したアンテナ端子部4に、導電性材料を印刷することにより、導電性材料印刷層5を形成する(ステップS2:図3(b))。導電性材料印刷層5は、例えばシルクメッシュを用いたスクリーン印刷によって形成しても良いし、印刷部分にエッチングで穴あけ加工したステンレス板を用いて印刷することによって形成しても良いし、他の印刷技術を用いて形成しても良い。
印刷によって形成した導電性材料印刷層5は、導電性材料を従来のようなポッティングにより半球状に設けた場合(図6(a))と異なり、均一の厚さで広面積に導電性材料の層を設けることが可能である(図6(b))。
上記のようにしてアンテナの形成されたアンテナ基材1を、複数枚のカード素材2、3で挟んでラミネートしてカード基材8を形成し(ステップS3、S4:図3(c)、(d))、所定の寸法に切断する。また、アンテナ基材1を予め所定の寸法に切断した後にカード素材3上に配置し、その上にカード素材2を重ねてラミネートを行い、所定の寸法に切断しても良い。この場合、カード素材3上にアンテナ基材1を配置した後、アンテナ基材1の周囲にアンテナ基材1の厚さに合わせたスペーサを配置し、その上にカード素材2を重ねてラミネートを行っても良い。
カード素材2、3としては、PET−Gなど様々な公知の材料を用いることができ、またカード素材2、3は単層であっても複層であっても良い。
そして、上記で形成されたカード基材8のICモジュール実装部分に、ICモジュール7の外形に対応する形状かつICモジュール7の厚さ寸法に対応する深さの第1の穴をミリングにより形成する(ステップS5:図3(e))。ここでは逆凸状の穴を形成するものとする。
【0018】
さらに、アンテナの端子部4が埋設された領域に、導電性材料印刷層5が積層されたアンテナ端子部分が露出するように第2の穴あけ加工を行い(ステップS6:図3(f))、上記第2の穴に導電性接着剤9を充填(ステップS7:図3(g))、第1の穴にICモジュール7を挿入、接合する(ステップS8:図3(h))。これによりコンビネーションカードが形成される。
【0019】
印刷により形成した導電性材料印刷層5は、導電性材料を従来のようなポッティングにより半球状に設けた場合と異なり、均一の厚さで広面積に導電性材料の層を設けることが可能であるため、ICモジュール7との接続部分をミリングする際に、カード素材2、3の厚さにおける製造誤差及びミリングの際の加工誤差があっても、接点の面積を広くとることが可能となり、接点面積の不足に起因するICモジュール7とアンテナとの接続不良をふせぐことができる。
【0020】
また、アンテナ端子4上に導電性材料印刷層5を形成する導電性材料は、カード素材2に対する密着力が、アンテナの機械的強度、及びアンテナとアンテナ基材1との密着性に比べて弱いものであると好ましい。導電性材料とカード素材2との密着力が強いと、第2の穴あけ加工の際に、カード素材2と導電性材料印刷層5との界面付近を削る際、削られたカード素材2に付着して導電性材料印刷層5まで削られてしまうため、導電性材料印刷層5の下のアンテナを傷つける恐れがある。導電性材料印刷層5とカード素材2との剥離が良好であれば、導電性材料印刷層5の厚さが薄くても、ミリング加工の際にアンテナを傷つける恐れがない。
【0021】
また、アンテナ端子4上に導電性材料印刷層5を形成する導電性材料は、アンテナの接続端子に対する密着力が、アンテナの機械的強度、及びアンテナとアンテナ基材1との密着性に比べて弱いものであると好ましい。導電性材料とアンテナの接続端子との密着力が強いと、第2の穴あけ加工の際に、導電性材料印刷層5とアンテナとの界面付近を削る際、削られた導電性材料印刷層5に付着してアンテナまで削られてしまうため、導電性材料印刷層5の下のアンテナを傷つける恐れがある。導電性材料印刷層5とアンテナの接続端子との剥離が良好であれば、導電性材料印刷層5の厚さが薄くても、ミリング加工の際にアンテナを傷つける恐れがない。
【0022】
上記のような導電性材料として、例えばAgペーストがあるが、Agペースト以外の導電性の粉体を樹脂中に練り込んだ他のペースト状の材料も適用可能である。
本実施例では、アンテナの形成されたアンテナ基材を複数枚のカード素材で挟んでラミネートしカード基材を形成する例を示したが、アンテナ基材の上面のみにカード素材を積層してラミネートし、カード基材を形成しても良い。
【0023】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。本実施形態にかかるコンビネーションカードは、カード基材8と接触通信端子付きICモジュール7とによって構成される点、及び予めアンテナ端子4上に導電性材料印刷層5を設けてからカード素材2、3で挟んでラミネートし、第1及び第2のミリング加工を施してICモジュール7をカード基材8に実装する点は第1の実施形態と同様であるが、図4に示すように、アンテナ基材1の両面に第1のアンテナ10及び第2のアンテナ12を有するコンビネーションカードで、アンテナを形成する際、第1のアンテナ10上にアンテナ基材1を貫通する穴(スルーホール)11を設け、アンテナ端子部4に導電性材料印刷層5を設けるのと同一工程で、スルーホール11に導電性材料を充填することにより、両面のアンテナを導通させたアンテナ基材1を用いて形成されたコンビネーションカードである。
なお、各層の形成方法やアンテナ、スルーホール等の材料などについては第1の実施形態と同様のものを適用可能である。
【0024】
次に、本実施形態にかかるコンビネーションカードの製造方法について、詳細に説明する。図5は、本実施形態にかかるコンビネーションカードの製造方法を示す工程説明図(部分)である。
【0025】
まず、アンテナ基材1の片方の面(ICモジュールを実装する面)に、ループ形状の非接触通信用アンテナである第1のアンテナ10を形成する(こちらを表面とする)。アンテナの形成方法としては、例えば、アンテナ基材1の表面に貼り付けた導体箔の一部をエッチングにより除去する方法があるが、導電性材料を所定のパターンに印刷することにより形成する方法や、予めパターン形状に成形された導体箔をアンテナ基材上に転写する方法等の他の方法を用いてアンテナを形成することも可能である。
【0026】
次に、形成した第1のアンテナ10上にアンテナ基材1を貫通する穴をあける(図5(a))。これは、これから他方の面(裏面とする)に形成する第2のアンテナ12と導通するために導電性材料を充填するための穴であり、スルーホールと呼ぶ。スルーホールは、この段階ではまだ穴だけの状態である。
【0027】
次に、裏面の第2のアンテナ12を、導電性材料を所定のパターンに印刷する方法で形成する。この際、第2のアンテナ12を形成すると同時に、スルーホール11の穴の裏面から半分程度の深さまで、第2のアンテナ12の材料である導電性材料を充填する(図5(b))。
なお、裏面の第2のアンテナ12は、アンテナ基材の表面に貼り付けた導体箔の一部をエッチングによって除去する方法でも形成できるが、この場合はスルーホール11(穴の状態)を第2のアンテナ12形成後に、第1及び第2のアンテナの双方を貫通するように形成し、その後スルーホールの穴の裏面から半分定後の深さまで導電性材料を充填する。
【0028】
ここで、両面のアンテナを接続するために、表面からもスルーホール11の穴に導電性材料を充填する必要があるが、この際、スルーホール11の穴に導電性材料を充填するのと同時に、第1のアンテナ10のICモジュール7と接続するための端子部4に、第1の実施形態と同様の方法で、導電性材料を印刷することにより、導電性材料印刷層5を形成することができる。
【0029】
このようにすると、両面にアンテナを有するアンテナ基板を用いたコンビネーションカードについて、従来の製造工程から作業工数を増やすことなく、端子部に導電性材料印刷層を形成することができ、ICモジュール実装にあたって、アンテナを傷つけることなく確実にアンテナとの接続を行うことができる。
【0030】
このように、印刷によって導電性材料印刷層を形成する方法は、アンテナ基材の両面にアンテナを有し、アンテナ基材を貫通するスルーホールに、両面から導電性材料を充填することによって両面のアンテナを導通したアンテナ基板を用いるコンビネーションカードの製造工程においては、スルーホール部への導電性材料充填と同時に導電性材料印刷層を形成することができ、別工程で行う必要のある従来のポッティングによる導電性材料層の形成に比べ、作業工数を増やすことなく行うことができる点でも優れている。
【0031】
なお、裏面のアンテナ形成及び裏面からのスルーホール部への導電性材料充填と、表面の導電性材料印刷層形成及び表面からのスルーホール部への導電性材料充填とは、順序が逆であっても良い。
【0032】
また、この後のラミネート、ミリング及びICモジュールの実装等の工程については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
なお、第1の実施形態と同様に、アンテナ基材の一方の面のみにカード素材を積層してラミネートし、カード基材を形成しても良いことはいうまでもない。
【0033】
上記の実施形態は本発明の好適な実施の一例である。本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態にかかるコンビネーションカードの断面説明図である。
【図2】第1の実施形態にかかるコンビネーションカードの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態にかかるコンビネーションカードの製造方法を示す工程説明図である。
【図4】本発明を好適に実施した第2の実施形態にかかるコンビネーションカードの断面説明図である。
【図5】第2の実施形態にかかるコンビネーションカードに用いるアンテナ基板の状態を示す図である。
【図6】アンテナ端子上に形成した導電性材料層の断面形状を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 アンテナ基材
2、3 カード素材
4 アンテナ端子
5 導電性材料印刷層
6 ICモジュール側接点
7 接触通信端子付きICモジュール
8 カード基材
9 導電性接着剤
10 第1のアンテナ
11 スルーホール
12 第2のアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触通信手段を備えたICモジュールと非接触通信用アンテナとを備えたコンビネーションカードの製造方法であって、
アンテナ基材上にアンテナを形成するアンテナ形成工程と、
前記アンテナの接続端子上に印刷法により導電性材料印刷層を形成する導電性材料印刷層形成工程と、
前記アンテナが形成されたアンテナ基材の片面若しくは両面をカード素材でラミネートし、少なくとも2層構造のカード基材を形成するカード基材形成工程と、
前記カード基材の所定領域に、前記ICモジュールを収容するための第1の穴を形成する第1の穴あけ工程と、
前記第1の穴の前記アンテナの接続端子上の位置に、前記導電性材料印刷層を露出するための第2の穴を形成する第2の穴あけ工程と、
前記第2の穴に導電性接着剤を充填し、前記第1の穴に前記ICモジュールを収容し、接合するICモジュール接合工程とを有することを特徴とするコンビネーションカードの製造方法。
【請求項2】
接触通信手段を備えたICモジュールと非接触通信用アンテナとを備えたコンビネーションカードの製造方法であって、
アンテナ基材の片方の面に第1のアンテナを形成する第1のアンテナ形成工程と、
前記第1のアンテナ上の所定の位置に前記アンテナ基材を貫通する穴を設けるスルーホール部形成工程と、
前記アンテナ基材の反対側の面に第2のアンテナを形成すると同時又は形成後に、前記スルーホール部に導電性材料を充填する第2のアンテナ形成工程と、
前記第1のアンテナの接続端子上に、印刷法により導電性材料印刷層を形成すると同時に、前記スルーホール部に導電性材料を充填し、前記第1のアンテナと第2のアンテナとを導通させる導電性材料印刷層形成工程と、
前記第1及び第2のアンテナが形成されたアンテナ基材の片面若しくは両面をカード素材でラミネートし、少なくとも2層構造のカード基材を形成するカード基材形成工程と、
前記カード基材の所定領域に、前記ICモジュールを収容するための第1の穴を形成する第1の穴あけ工程と、
前記第1の穴の前記第1のアンテナの接続端子上の位置に、前記導電性材料印刷層を露出するための第2の穴を形成する第2の穴あけ工程と、
前記第2の穴に導電性接着剤を充填し、前記第1の穴に前記ICモジュールを収容し、接合するICモジュール接合工程とを有することを特徴とするコンビネーションカードの製造方法。
【請求項3】
前記導電性材料印刷層形成工程は、
導電性材料を、シルクメッシュを用いてスクリーン印刷することによって前記導電性材料印刷層を形成することを特徴とする請求項1又は2記載のコンビネーションカードの製造方法。
【請求項4】
前記導電性材料印刷層形成工程は、
導電性材料を、印刷部分にエッチングで穴あけ加工したステンレス板を用いて印刷することによって前記導電性材料印刷層を形成することを特徴とする請求項1又は2記載のコンビネーションカードの製造方法。
【請求項5】
前記導電性材料印刷層を形成する導電性材料として、
前記カード素材との密着性が、前記アンテナの機械的強度及び前記アンテナと前記アンテナ基材との密着性よりも弱い材料を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のコンビネーションカードの製造方法。
【請求項6】
前記導電性材料印刷層を形成する導電性材料として、
前記アンテナの接続端子との密着性が、前記アンテナの機械的強度及び前記アンテナと前記アンテナ基材との密着性よりも弱い材料を用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のコンビネーションカードの製造方法。
【請求項7】
前記導電性材料印刷層を形成する導電性材料は、
導電性ペーストであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のコンビネーションカードの製造方法。
【請求項8】
接触通信手段を備えたICモジュールと非接触通信用アンテナとを備えたコンビネーションカードであって、
少なくとも以下のA〜Fの工程を有する製造方法によって製造されたことを特徴とするコンビネーションカード。
A:アンテナ基材上にアンテナを形成するアンテナ形成工程。
B:前記アンテナの接続端子上に印刷法により導電性材料印刷層を形成する導電性材料印刷層形成工程。
C:前記アンテナが形成されたアンテナ基材の片面若しくは両面をカード素材でラミネートし、少なくとも2層構造のカード基材を形成するカード基材形成工程。
D:前記カード基材の所定領域に、前記ICモジュールを収容するための第1の穴を形成する第1の穴あけ工程。
E:前記第1の穴の前記アンテナの接続端子上の位置に、前記導電性材料印刷層を露出するための第2の穴を形成する第2の穴あけ工程。
F:前記第2の穴に導電性接着剤を充填し、前記第1の穴に前記ICモジュールを収容し、接合するICモジュール接合工程。
【請求項9】
接触通信手段を備えたICモジュールと非接触通信用アンテナとを備えたコンビネーションカードであって、
少なくとも以下のA〜Hの工程を有する製造方法によって製造されたことを特徴とするコンビネーションカード。
A:アンテナ基材の片方の面に第1のアンテナを形成する第1のアンテナ形成工程。
B:前記第1のアンテナ上の所定の位置に前記アンテナ基材を貫通する穴を設けるスルーホール部形成工程。
C:前記アンテナ基材の反対側の面に第2のアンテナを形成すると同時又は形成後に、前記スルーホール部に導電性材料を充填する第2のアンテナ形成工程。
D:前記第1のアンテナの接続端子上に、印刷法により導電性材料印刷層を形成すると同時に、前記スルーホール部に導電性材料を充填し、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとを導通させる導電性材料印刷層形成工程。
E:前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナが形成されたアンテナ基材の片面若しくは両面をカード素材でラミネートし、少なくとも2層構造のカード基材を形成するカード基材形成工程。
F:前記カード基材の所定領域に、前記IC モジュールを収容するための第1の穴を形成する第1の穴あけ工程。
G:前記第1の穴の前記第1のアンテナの接続端子上の位置に、前記導電性材料印刷層を露出するための第2の穴を形成する第2の穴あけ工程。
H:前記第2の穴に導電性接着剤を充填し、前記第1の穴に前記ICモジュールを収容し、接合するICモジュール接合工程。
【請求項10】
前記導電性材料印刷層が、
導電性材料を、シルクメッシュを用いてスクリーン印刷することによって形成されたことを特徴とする請求項8又は9記載のコンビネーションカード。
【請求項11】
前記導電性材料印刷層が、
導電性材料を、印刷部分にエッチングで穴あけ加工したステンレス板を用いて印刷することによって形成されたことを特徴とする請求項8又は9記載のコンビネーションカード。
【請求項12】
前記導電性材料印刷層は、
前記カード素材との密着性が、前記アンテナの機械的強度及び前記アンテナと前記アンテナ基材との密着性よりも弱い導電性材料で形成されていることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項記載のコンビネーションカード。
【請求項13】
前記導電性材料印刷層は、
前記アンテナの接続端子との密着性が、前記アンテナの機械的強度及び前記アンテナと前記アンテナ基材との密着性よりも弱い導電性材料で形成されていることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項記載のコンビネーションカード。
【請求項14】
前記導電性材料印刷層が、
導電性ペーストで形成されていることを特徴とする請求項8から13のいずれか1項記載のコンビネーションカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−249780(P2007−249780A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74553(P2006−74553)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】