説明

コンピュータ生成モデルを用いた親水性ポリマー及び親水性ポリマーを含む追加処理製品の製造方法

【課題】親水性ポリマーの製造において特別の仕様特性のための新しい製法を導入するに際して、実験室段階及び工業生産準備段階での複雑さを軽減すること。
【解決手段】全体として、親水性ポリマーの製造方法、予測方法、本発明の方法により製造された親水性ポリマーを含む衛生製品及びその他の化学製品、衛生製品及びその他の化学製品における本発明のポリマーの使用、異なる値を決定するためのコンピュータ生成モデルの使用、親水性ポリマーを含む追加処理製品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性ポリマーの製造方法、予測方法、本発明の方法により製造された親水性ポリマーを含む衛生製品及びその他の化学製品、衛生製品及びその他の化学製品への本発明のポリマーの使用、異なるパラメータを決定するためのコンピュータ生成モデルの使用、並びに親水性ポリマーを含む追加処理製品の製造方法に関する。詳細は以下に記載する。
【背景技術】
【0002】
神経回路網を塊状ポリマーの製造に用いることは、DE69801508T2に記載されている。ここでは、この種の回路網を反応器でのポリ塩化ビニル(PVC)の不連続重合の制御に用いている。この発明の特長は、温度管理にある。
【0003】
PVCは単純な構造の直鎖状ポリマーである。その物性は実質的に分子鎖長及び分子鎖長分布によって制御することができ、これは、「root−I−law」及びその改良法によれば重合開始剤及びモノマーの量に依存する(これは鎖状ポリマーに共通していえることである)(Principles of Polymerisation、Georg Odian、John Wiley and Sons、2nd Edition、1981、179ページ以下)。
【0004】
これらの比較的単純な鎖状ポリマーとは対照的に、架橋ポリマーはかなり複雑な体系となっている。遊離体(educt)、重合及び処理の条件と、物理的及び化学的特性の間の因果関係の予測は、単純な鎖状ポリマーに比べて極めて複雑である。
【0005】
繰返し単位が例えば荷電官能基などの官能基を更に含む架橋ポリマーは、一般に単純な架橋ポリマーよりも更に複雑である。
【0006】
上記物質が更に添加剤との反応や形態変化(例えばコアシェル構造化)等の処理がなされた場合、そのポリマーは更に複雑なものとなる場合がある。
【0007】
このような複雑なポリマーのうち、イオン交換樹脂以外で工業的に重要なものとなっているのが親水性ポリマーである。これは、とりわけ「Modern Superabsorbent Polymer Technology」FL Buchholz、GT Graham、Wiley−VCH、1998に記載されているように、超吸収体(superabsorber、SAP)とも呼ばれている。親水性ポリマーのうち好ましいのは、軽度に架橋させかつ一部を中性化したポリアクリル酸塩である。純粋なポリマーでなく、ポリマーと他の物質の組成物であって他の物質が組成物の物性に大きな影響を与えるものの場合、親水性ポリマーの複雑性は更に増加する。例えば、コアシェル構造は後架橋によって得ることができる。このように、ポリマーの複雑性は重合工程のみに依存することは少なく、処理、精製、及び加工工程も重要である。
【0008】
疎水性鎖状ポリマーとは対照的に、水とともにゲルを構成するこれらの架橋親水性ポリマーは、様々な用途で使用されている。そのためには、これらのポリマーは特別仕様の特性を備えていなければならない。遊離体、重合条件、精製条件、及び処理条件と、得られる親水性ポリマーの物性の間の因果関係の複雑性のため、実験室規模では所望の仕様特性を満たすポリマーを製造することができても、規模を拡大したり工業的生産を行う場合にはこのような製法をそのまま適用することは不可能である。さらに、一般に、ある製法により実験室規模で達成された特性を有する親水性ポリマーを工業的規模で生産することが可能となるまでは、いわゆる「規模拡大実験(up scale experiments)」に加えて更なる規模拡大実験や実験室規模の実験が必要となる。
【0009】
また、追加処理を行うことにより親水性ポリマーの複雑度を更に上げることが求められている。このように、親水性ポリマーの物性は追加処理それ自体と追加処理により製造される製品に多大な影響を与える。追加処理に用いる装置の例として、紡糸機、抄紙機、吸収層製造機、及びおむつ製造機が挙げられ、これらにより水や水溶液を吸収することのできる繊維又は繊維マトリックス、紙、吸収層(「コア(cores)」とも呼ばれる)及びおむつが作られる。複雑度は、これら親水性ポリマーと別の成分を組み合わせることにより更に上昇する。繊維及び繊維マトリックスの製造では、親水性ポリマーに更に繊維又は接着剤等を加えることができる。コアを構成する際には、親水性ポリマーに織物、捕捉シート等の追加層等を導入してもよく、これらは親水性ポリマーとともに液体制御の向上に寄与する。追加処理製品の液体制御を向上させるために、親水性ポリマーの物性は追加成分の物性及び追加処理装置での処理の影響を受ける。また、追加処理装置の種類及びこれに伴う追加処理形態は親水性ポリマー及び追加成分に対応したものとなる。繊維マトリックス又はコアは、湿式堆積機、湿式拭取機、又は空気堆積機を用いて全く異なる処理法によって得ることができる。コア製品では、親水性ポリマーの物性は綿毛状物の物性、例えば、綿毛状物の種類(軟材や硬材等)、繊維長、綿毛状物の湿気、綿毛状物の圧縮度等の影響を受ける。また、綿毛状物の製造・処理条件は綿毛状物の物性に影響を及ぼす。親水性ポリマーの影響を受けるコアの重要な物性は、このコアを含むおむつの物性やそのおむつの製造方法に影響を及ぼす。親水性ポリマーの影響を受ける典型的な重要物性として、例えば追加処理製品の再湿性及び漏出性が挙げられる。
【特許文献1】DE69801508T2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は一般に、親水性ポリマーの製造において先行技術の問題点を克服することを目的とする。
【0011】
また本発明は、親水性ポリマーの製造において特別の仕様特性のための新しい製法を導入するに際して、実験室段階及び工業生産準備段階での複雑さを軽減することを目的とする。
【0012】
本発明は更に、コア製造機、おむつ製造機、繊維製造機、紡糸機、及び抄紙機等の追加処理装置を調節する段階において、試験に要する時間を短縮し、初期段階の運転中断を少なくすることを目的とする。
【0013】
本発明は更に、より柔軟に、経済的に、かつ迅速にクライアントの要望に応じるため、親水性ポリマーの生産時にその仕様特性を大幅に調節することを目的とする。これにより、親水性ポリマーからなる衛生製品又はその他の製品をより適切に製造することが可能となる。
【0014】
本発明は更に、できるだけ瑕疵のある製品が作られる前に工程を正常化し又は自動の対策的制御を行うことができるようにするため、製造時の過誤や追加処理製品の不利な特性をかなり早期に認識できるようにすることを目的とする。
【0015】
本発明は更に、工業的規模で生産される追加処理製品の組成や構造を変更する際に必要となる試験の時間を短縮し費用を下げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的は、製造装置内で親水性ポリマーを製造するための方法であって、製造装置がコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網によって制御される方法によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
親水性ポリマーは、以下を構成成分とする吸水性ポリマーであることが好ましい。
(α1)0.1〜99.999重量%、好ましくは20〜98.99重量%、特に好ましくは30〜98.95重量%の酸性基含有重合性エチレン不飽和モノマー又はその塩、又はプロトン化した窒素又は四級窒素を含有する重合し得るエチレン系不飽和モノマー、又はこれらの混合物、特に好ましくは少なくとも酸性基含有エチレン不飽和モノマー、好ましくはアクリル酸を含む混合物、
(α2)0〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、特に好ましくは1〜40重量%の(α1)と共重合可能な重合性エチレン不飽和モノマー、
(α3)0.001〜10重合%、好ましくは0.01〜7重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%の1以上の架橋剤、
(α4)0〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは5〜10重量%の水溶性ポリマー、及び
(α5)0〜20重量%、好ましくは0.01〜7重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%の1以上の添加剤、
ただし、(α1)から(α5)の合計重量は100重量%である。
【0018】
酸性基含有モノエチレン不飽和モノマー(α1)は、部分的に又は完全に、好ましくは部分的に中性化されていてもよい。酸性基含有モノエチレン不飽和モノマーは、少なくとも25mol%、特に好ましくは少なくとも50mol%、更に好ましくは50〜90mol%中性化されることが好ましい。モノマー(α1)の中性化は重合の前後いずれの段階でも実施できる。さらに、中性化はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア並びに炭酸塩及び重炭酸塩によって実施してもよい。酸と水溶性の塩を形成するその他の塩基も考えられる。異なる塩基による中性化も考えられる。アンモニア又はアルカリ金属水酸化物による中性化が好ましく、水酸化ナトリウム又はアンモニアによる中性化が特に好ましく、水酸化ナトリウムによる中性化が更により好ましい。
【0019】
また、本発明の方法により製造される水溶性ポリマー製品は、遊離酸性基が多く存在し、pHが酸性の範囲となるポリマーである。この酸性の吸水性ポリマーは、遊離塩基性基、好ましくはアミン基を有するポリマーによって少なくとも部分的に中性化されていてもよい。この塩基性基含有ポリマーは、前記酸性ポリマーに比べて塩基性である。これらのポリマーは、文献では「混合床イオン交換吸収ポリマー(mixed−bed ion−exchange absorbent polymers、MBIEA polymers)」と呼ばれており、特にWO99/34843に開示されている。ここで、WO99/34843の開示内容はこの参照によって本願の開示内容の一部をなすものとする。一般に、MBIEAポリマーは、陰イオン交換が可能な塩基性ポリマーを含み、同時に陽イオン交換が可能な前記塩基性ポリマーに比べて酸性のポリマーを含む組成物を表す。前記塩基性ポリマーは、塩基性基を含有し、通常は塩基性基又は塩基性基に変換可能な基を有するモノマーを重合することによって得られる。これらのモノマーは、とりわけ、一級、二級、又は三級アミン又は対応するホスフィン又はこれら官能基の少なくとも2つを含むものである。このモノマーとしては特に、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシシクレン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルムアルダシン、メラニン等のほか、これらの二級又は三級アミン誘導体が挙げられる。
【0020】
特にモノマー(α1)及び(α2)並びに架橋剤(α3)に関しては、DE10223060A1の開示内容を参照し、本願の開示内容の一部をなすものとする。
【0021】
酸性基含有モノエチレン不飽和モノマー(α1)は、DE10223060A1において好ましいモノマー(α1)として引用されているものであることが好ましく、特にアクリル酸が好ましい。
【0022】
本発明においては、本発明の方法で製造される吸水性ポリマーはカルボン酸塩の基を含むモノマーを、乾燥重量で少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%含むことが好ましい。本発明においては、本発明の方法で製造される吸水性ポリマーは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%のアクリル酸からなることが特に好ましく、アクリル酸は少なくとも20mol%、特に好ましくは少なくとも50mol%中性化されていることが好ましい。
【0023】
(α1)と共重合可能なモノエチレン不飽和モノマー(α2)は、DE10223060A1で好ましいモノマー(α2)として引用されているモノマーであることが好ましく、特にアクリルアミドが好ましい。
【0024】
本発明において好ましい架橋剤(α3)は、1つの分子内に少なくとも2つのエチレン不飽和基を有する化合物(架橋剤類型I)、縮合反応でモノマー(α1)又は(α2)の官能基と反応可能な少なくとも2つの官能基を有する化合物(縮合架橋剤)、付加反応又は開環反応でモノマー(α1)又は(α2)の官能基と反応可能な少なくとも2つの官能基を有する化合物(架橋剤類型II)、少なくとも1つのエチレン不飽和基及び縮合反応、付加反応又は開環反応でモノマー(α1)又は(α2)の官能基と反応可能な少なくとも1つの官能基を含む化合物(架橋剤類型III)、又は多価金属陽イオン(架橋剤類型IV)である。架橋剤類型Iの化合物の場合、ポリマーの架橋は、架橋剤分子のエチレン不飽和基とモノエチレン不飽和モノマー(α1)又は(α2)のラジカル重合によってなされる。架橋剤類型IIの化合物及び架橋剤類型IVの多価金属陽イオンの場合、ポリマーの架橋はそれぞれ、官能基(架橋剤類型II)とモノマー(α1)又は(α2)の官能基との縮合反応又は多価金属陽イオン(架橋剤類型IV)とモノマー(α1)又は(α2)の官能基との静電相互作用によってなされる。架橋剤類型IIIの化合物の場合、ポリマーの架橋は同様に、エチレン不飽和基のラジカル重合及び架橋剤の官能基とモノマー(α1)又は(α2)の官能基の縮合反応によってなされる。
【0025】
好ましい架橋剤(α3)は、DE10223060A1において架橋剤類型I、II、III、IVの架橋剤(α3)として引用されている全ての化合物であるが、架橋剤類型Iの化合物としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、及び1molのアクリル酸に対して9molのエチレンオキシドを用いて製造されるアクリル酸アリルノナエチレングリコールが特に好ましく、架橋剤類型IVの化合物としては、Al(SO及びその水和物が特に好ましい。
【0026】
本発明の方法によって製造される好ましい吸水性ポリマーは、以下の架橋剤類型の架橋剤又はこれら架橋剤類型を以下のように組み合わせた架橋剤を用いて架橋されたポリマーである:I、II、III、IV、I II、I III、I IV、I II III、I II IV、I III IV、II III IV、II IV、又はIII IV。
【0027】
本発明の方法によって製造される更に好ましい吸水性ポリマーは、DE10223060A1で架橋剤類型Iの架橋剤として記載されている架橋剤のいずれかによって架橋されたポリマーであるが、架橋剤類型Iの架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、及び1molのアクリル酸に対して9molのエチレンオキシドを用いて製造されるアクリル酸アリルノナエチレングリコールが特に好ましい。
【0028】
吸収性ポリマーは、上記モノマーと架橋剤から様々な重合方法を用いて製造することができる。例えば、好ましくは押出機等の混練反応器の中で実施される塊状重合、ベルト重合、溶液重合、噴霧重合、逆エマルジョン重合、及び逆懸濁液重合が挙げられる。本発明においては、溶液重合は好ましくは溶媒として水を用いて実施される。溶液重合は、連続的又は不連続的に実施することができる。反応温度、重合開始剤及び反応溶液の種類及び量等については、先行技術から広い範囲のものが適用可能であることがわかる。下記の特許明細書に典型的な製法が記載されている:US4,286,082、DE2706135、US4,076,663、DE3503458、DE4020780、DE4244548、DE4323001、DE4333056、DE4418818。これらの開示内容はこの参照によって本願の開示内容の一部をなすものとする。
【0029】
重合開始剤としては、重合条件下でラジカルを発生する全ての開始剤が使用できる。これらは通常超吸収剤の製造で使用される。この中には、エネルギー照射によって作用する熱触媒、酸化還元触媒、及び光重合開始剤が含まれる。本発明では、重合開始剤は、モノマー溶液に溶解しても分散させてもよい。水溶性触媒を用いることが好ましい。
【0030】
熱触媒としては、熱の作用によって分解してラジカルを発生する当業者に公知のあらゆる化合物を用いることができる。特に、半減期が180℃より低い温度、更に好ましくは140℃より低い温度で10秒未満、更に好ましくは5秒未満の熱重合開始剤が好ましい。過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、及びアゾ化合物が特に好ましい熱重合開始剤である。様々な熱重合開始剤の混合物を用いるのがよい場合もある。このような混合物の例として、過酸化水素及びペルオキソ二硫酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸カリウムからなる混合物が好ましく、これらは任意の数量比で使用することができる。好適な有機過酸化物としては、過酸化アセチルアセトン、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化カプリル、ペルオキシ二炭酸イソプロピル、ペルオキシ二炭酸2−エチルヘキシル、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−アミルペルピバレート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルネオヘキソネート、イソ酪酸t−ブチル、ペル−2−エチルヘキセン酸t−ブチル、ペルイソノナン酸t−ブチル、ペルマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、3,5,5−トリメチルヘキサン酸t−ブチル及びペルネオデカン酸アミルが好ましい。さらに、以下の熱重合開始剤が好ましい:アゾ−ビス−イソブチロニトリル、アゾ−ビス−ジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、アゾ−ビス−アミジノプロパンジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス−(N,N−ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロリド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、及び4,4’−アゾビス−(4−シアノ−吉草酸)等のアゾ化合物。上記化合物は、従来の量で使用され、重合されるモノマーの量に応じて好ましくは0.01〜5、更に好ましくは0.1〜2mol%である。
【0031】
酸化還元触媒は、酸性成分として上記過酸化物の少なくとも1つを含み、還元成分として好ましくはアスコルビン酸、グルコース、ソルボース、マンノース、アンモニウム又はアルカリ金属の亜硫酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、次亜硫酸塩、又は硫化物、鉄IIイオン又は銀イオン等の金属塩、又はヒドロキシメチルスルホキシル酸ナトリウムを含む。酸化還元触媒の還元成分として、アスコルビン酸又は次亜硫酸ナトリウムが好ましく用いられる。酸化還元触媒においては、重合で使用されるモノマーの量を勘案して1×10−5〜1mol%の還元成分及び1×10−5〜5mol%の酸化成分が使用される。酸化還元触媒において酸化成分の代わりに又はその補助剤として、1又は2以上の、好ましくは水溶性のアゾ化合物を用いることができる。
【0032】
重合をエネルギー線の作用によって開始させる場合、いわゆる光開始剤が一般に開始剤として用いられる。これらは、いわゆるα−切断剤、水素引き抜き系、又はアジド等を含んでもよい。このような開始剤の例として、ミヒラー・ケトン等のベンゾフェノン誘導体、フェナントレン誘導体、フッ素誘導体、アントラキノン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベンゾインエーテル及びその誘導体、上記ラジカル形成体、置換ヘキサアリールビスイミダゾール、又は酸化アクリルホスフィン等のアゾ化合物が挙げられる。アジドの例として、4−アジド桂皮酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル−4−アジドナフチルケトン、4−アジド安息香酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、5−アジド−1−ナフチル−2’−(N,N−ジメチルアミノ)エチルスルホン、N−(4−スルホニルアジドフェニル)マレインイミド、N−アセチル−4−スルホニルアジドアニリン、4−スルホニルアジドアニリン、4−アジドアニリン、臭化4−アジドフェナシル、p−アジド安息香酸、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、及び2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノンが挙げられる。光開始剤は、重合されるモノマーの量に応じて、通常0.01〜5重量%の量で使用される。
【0033】
本発明において、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、及びアスコルビン酸を含む酸化還元系は、「触媒」又は「酸化還元開始剤」として使用することが好ましい。一般に、重合は30〜90℃の温度範囲で開始剤によって開始させる。
【0034】
重合反応は、1又は2以上の開始剤によって開始できる。重合は、最初に12以上の酸化還元開始剤を導入して実施できる。次に、熱開始剤又は光開始剤を導入する。光開始剤の場合は、重合反応はその後エネルギー照射の作用によって開始される。逆の順序、すなわち、まずエネルギー照射及び光開始剤によって反応を開始し、その後に1又は2以上の酸化還元開始剤により重合を行うこともできる。
【0035】
親水性ポリマー、好ましくは上記モノマーを基にした吸水性ポリマーを製造する本発明の方法としては、連続溶液重合が特に好ましい。この連続溶液重合においては、上記モノマーを含むモノマー溶液を連続的に重合領域に送り、モノマー溶液を重合領域で重合させ、ポリマーゲルを形成する。ポリマーゲルはその後適切なゲル細分器で連続的にゲル粒子とし、これらゲル粒子は好ましくはその後乾燥領域で乾燥する。乾燥したゲル粒子は必要に応じてその後粉砕して篩いにかけ、さらに得られたゲル粒子には必要に応じて表面処理、好ましくは後処理としての表面架橋(後架橋)を行う。
【0036】
後架橋等の表面処理においては、乾燥ゲル粒子は、後架橋剤を用いてポリマーのカルボキシル基によって好ましくは水溶液の形態にされる。この水溶液中のゲル粒子の量は、後架橋剤溶液を基準として0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜20重量%であり、乾燥ゲル粒子全体を基準として0.0001〜20重量%、好ましくは0.001〜10重量%である。後架橋剤としては、架橋剤類型III及びIVの化合物又はこれらの混合物が考えられ、炭酸エチレン又は硫酸アルミニウムが特に好ましい。この関係で、DE4020780C1を参照し、その開示内容は本願の開示内容の一部をなすものとする。これらの中で、Al化合物及びポリオール、好ましくはジオール、又はAl化合物及び炭酸エチレンが考えられる。この関係で、DE19909653A1及びDE19909838A1を参照し、それらの開示内容は本願の開示内容の一部をなすものとする。
【0037】
製造装置の制御は、少なくとも1つのプロセスパラメータを決定し、この少なくとも1つのプロセスパラメータに基づく少なくとも1つのプロセス値を用いて行うことが好ましい。
【0038】
プロセスパラメータとしては、原則として製造プロセスに関連した物理的に測定可能な状態値が考えられる。状態値としては、製造プロセス中の変化量となるものが好ましい。このようなプロセスパラメータを形成する状態値としては、例えば、温度、圧力、流量、濃度、湿度、電気流量、電気抵抗、回転及び移動の速度又は機械力、並びに密度が挙げられ、これらの中で温度、濃度、湿度、処理量、及び機械力が好ましく、温度及び機械力がさらに好ましい。
【0039】
測定値を表すプロセスパラメータとは対照的に、プロセス値は製造装置の制御範囲内で頻繁に調節される値である。この調節は間接的又は直接的に実施することができる。間接プロセス値は、例えば、特に電気的に生じる制御信号であってもよい。この制御信号は、例えば、弁を開き所定の物質の添加量を増加させるものであってもよい。増量された物質の追加によりプロセスパラメータ、この場合はその物質の濃度が影響を受ける。プロセス値の別の例として、熱量の増減能力が挙げられる。増減能力が変わることによりプロセスパラメータとしての温度が影響を受ける。プロセス値は、例えば、加熱又は冷却能力、添加量、輸送ベルト、輸送スクリュー、又は押出機の場合における輸送速度、細分器、特にミルの場合における粉砕速度である。
【0040】
このようにプロセスパラメータは、測定された値又は測定可能な値である。プロセスパラメータは、プロセス値に応じた調節によって決定される値である。
【0041】
本発明の方法に使用できる装置は、遊離体領域、これに付随する重合領域、及びその下流に位置する第一加工領域を含む。さらにその下流に後架橋領域を追加してもよい。後架橋領域は、必要に応じて別の加工領域を含んでよい。このように構成された製造装置の上記各領域において、少なくとも次の工程を順に実施することができる。
(a)遊離体工程
(b)重合工程
(c)第一加工工程
(d)任意の後架橋工程
(e)任意の追加加工工程
【0042】
これらの工程は更に細分化してもよい。親水性ポリマーとして、軽度に架橋させ部分的に中性化した50重量%以上のアクリル酸に由来するポリアクリル酸塩を製造する場合、まずアクリル酸を水酸化ナトリウムに接触させて部分的にアクリル酸を中性化することが特に好ましい。このようにして、アクリル酸の中性化度は30〜80、好ましくは50〜75、特に好ましくは60〜73mol%の範囲に設定される。この中性化においては、プロセスパラメータとしての温度を決定することが好ましく、この温度を超えた場合は追加量の調整又は冷却といった適切なプロセス値を用いて制御することが好ましい。この目的で、更に水、水酸化ナトリウム、及びアクリル酸の流量を別のプロセスパラメータとして決定するのが望ましい。アクリル酸の中性化度、架橋剤の濃度、又はコモノマーの濃度のプロセスパラメータは、これらの数量比を用いてこれらの使用量から逆算して求めることができる。また、解析により上記各種成分の比の確実な値を求めることもできる。製造工程の細分化された工程において、冷却工程における最適の重合温度が設定される。モノマー、コモノマー、及び架橋剤の混合物の温度は、ここではプロセスパラメータとなる。この混合物に作用する冷却能力又は加熱能力はプロセス値となる。一般に、重合前の遊離体混合物の温度は1〜20℃、好ましくは2〜15℃、特に好ましくは3〜7℃であることが好ましい。さらに、冷却の前でも後でも実施できる、好ましくは冷却の後に実施される製品性能向上工程中の一工程として、遊離体混合物の酸素量を減らす工程が挙げられる。この工程は「抜取り(stripping)」とも呼ばれるが、好ましくは重合の直前に遊離体混合物を発泡させる目的にも資することができる。重合により生成した親水性ポリマーは多孔構造又は発泡構造であり、これはEP0827753A1等に記載されている。この親水性ポリマーの体積は、ガス処理前の遊離体物の体積との比で1.01〜5倍であることが好ましい。ここで、遊離体混合物と界面活性物質を混合するのが望ましい場合がある。したがって、酸素の抜取り又は保護ガス、好ましくは窒素の置換において、遊離体混合物の密度及び界面活性剤の濃度をプロセスパラメータとして決定することが必要となる場合がある。これにより、酸素又は保護ガスの濃度の測定は特に重要である。抜取りとの関係で、保護ガスの追加量又は流量及び−発泡体を形成する場合は−界面活性剤の量−は、特に重要なプロセス値となる。
【0043】
重合工程は、採用する重合装置に対応したものでもよい様々な部分工程に分けることもできる。固定相や連続重合装置が考えられ、連続重合装置が好ましい。連続重合装置に係る重要なプロセスパラメータは、遊離体混合物の流量である。開始剤の他に別の触媒が用いられる場合は、特に酸化還元により開始される重合の場合と同様に、触媒の流量が重要である。これらのプロセスパラメータに係る別のプロセスパラメータとしては、重合装置内で少しずつ重合を行う場合の遊離体混合物の滞留時間がある。この場合プロセス値としては、輸送手段の輸送速度が考えられる。これら輸送手段は通常重合ベルトかスクリュー、又は輸送攪拌機である。重合ベルトの場合、ベルトの速度がプロセス値となる。スクリュー又は輸送攪拌機の場合は、スクリュー又は輸送攪拌機の回転速度がプロセス値となり、さらにスクリュー又は輸送攪拌機の羽根の角度が変動可能な場合は、この角度もプロセス値となる。
【0044】
また、重合添加剤を加えることも有利である。例えば、炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム等の膨張剤が挙げられる。この場合、水溶液中で処理することが好ましく、膨張剤の量としては膨張剤溶液に対して0.5〜50重量%、好ましくは1〜25重量%が好ましい。このように弁の設定により決定される膨張剤溶液の量はプロセス値となり、これは重合溶液の密度、親水性ポリマーの密度又は空隙率等の様々なプロセスパラメータの影響を受ける。
【0045】
第一加工領域での第一加工工程も、複数の部分工程に分けることができ、部分工程は好ましくは細分及び粉砕工程である。細分工程におけるプロセスパラメータとしては、特に重合輸送装置からの時間当たりのポリマー放出長さ及びポリマーの稠度が考えられる。ポリマーの稠度は、圧縮応力試験又は引張伸張試験等の機械試験によって直接的に、あるいは個々の細分手段の電気消費量を用いて間接的に求めることができる。また、細分工程後のポリマーの圧縮率も細分工程のプロセスパラメータとすることができる。重合装置での重合は一般に水性溶媒中の溶液重合であるため、親水性ポリマーは含水ヒドロゲルとして生成する。ヒドロゲルの形状のポリマーの水分量、細分率、及び温度は、圧縮率に影響を及ぼすことがある。細分工程における好ましいプロセス値は、混練機やその後の粉砕機(「Wolf」)等の細分装置の速度であり、細分されたヒドロゲルの均質化が意図されている場合は、均質化ドラムの速度である。さらに、細分工程の最後でのヒドロゲルの温度が大きな意義を持つ場合がある。このことは特に、ヒドロゲルの残余モノマー量を低減させる上で有効であるかもしれないところの後処理としての重合が意図されている場合に当てはまる。
【0046】
細分の後に乾燥を行う。これは異なる乾燥セルに分けることができる。乾燥におけるプロセスパラメータとしては、乾燥されるヒドロゲルの水分量や温度が好ましい。これは、乾燥全体についても個々のセルについても決定することができる。また、乾燥温度もプロセスパラメータとなり、複数のセルがある場合は少なくとも数個のセルの、好ましくは全てのセルの乾燥温度がプロセスパラメータとなる。乾燥領域の好ましいプロセス値として、輸送速度や乾燥セル加熱能力が挙げられ、乾燥セル加熱能力は乾燥温度又は各乾燥セルの温度と関連する。温風乾燥機を用いる場合、加熱能力とともに時間当たりの乾燥用空気の量が好ましいプロセス値となる。
【0047】
乾燥の後に、第一加工工程の一部分工程としての粉砕を実施する。粉砕における好ましいプロセスパラメータとして、実質的に水分を含まない親水性ポリマーの稠度が挙げられる。これは、剪断試験又は貫入試験等の機械負荷試験により直接決定することができる。稠度は、ミルの電気消費量によって間接的に決定することもできる。乾燥工程から粉砕工程へ移行する親水性ポリマーの温度のほかに、残存水分量も粉砕のプロセスパラメータとして決定できる。粉砕におけるプロセス値として、ミルの速度のほかに、ミルの設定の仕方、特に2つの粉砕媒体間の間隙が考えられる。また、ミルへの導入量を均一にする役目を果たす「ホッパー(hopper)」の稼働速度(一般には振動数)も、良好な粉砕結果を得るためにプロセス値として用いることができる。プロセス値であるホッパーの振動数は、1〜100Hzの範囲にある。2以上の粉砕工程を逐次実施する場合は、上記プロセスパラメータ及びプロセス値は、個々の粉砕工程について有効である。この場合、特に粉砕に供せられる親水性ポリマーの供給量がプロセス値となる。
【0048】
第一加工工程における親水性ポリマー粉末は、必要に応じて後架橋工程に供することができる。後架橋工程は更に多数の工程に細分化され、各工程を逐次実施する。親水性ポリマー粉末は、まず暫定的に半製品貯蔵庫に保存されることが多い。ここで、親水性ポリマー粉末の温度及び湿度がプロセスパラメータとして決定される。さらに、後架橋反応で使用される親水性ポリマー粉末及び後架橋剤の流量が後架橋工程のプロセスパラメータとなる。後架橋工程における好ましいプロセス値は、親水性ポリマー粉末の投与手段の制御、1又は2以上の後架橋剤、及び混合物の回転速度と関係する。後架橋工程における更に重要なプロセスパラメータは、混合物の温度である。混合物が様々の別々に制御された混合物部分を含む場合、少なくとも2つの、好ましくは全ての混合物部分の温度が好ましいプロセスパラメータとなる。温度と関係するプロセス値として、混合器又は混合器の個々の部分の加熱能力が挙げられる。加熱能力は、例えば、程度の差はあるが蒸気によって温度管理される混合器又は蒸気によって温度管理される各混合部分への強い蒸気の供給量によって決定することができる。また、混合器を通過した親水性ポリマーの温度もプロセスパラメータとなる。
【0049】
混合器を通過した後のプロセスパラメータとしては、親水性ポリマーの湿潤度も挙げられる。
【0050】
任意に行われる加工工程において、上記で得られた親水性ポリマーは更に別の物質により変形してもよい。変形されたものは、粉塵形成防止剤として使用することができ、粉塵低減用ポリエチレングリコールがこれに該当する。その他の典型的な添加剤又は加工剤として、吸収性能を設定するための水、着色又は臭気固定のための活性炭、スターチ、リグニン、Si化合物、特に酸化ケイ素、及び緑茶抽出物等の炭水化物が挙げられる。
【0051】
さらに、上述したようにして収集したプロセスパラメータに基づいて、少なくとも1つのプロセス値をコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網によって計算することが好ましい。計算は、少なくとも2個、好ましくは少なくとも5個、特に好ましくは少なくとも8個、更に好ましくは少なくとも10個のプロセスパラメータに基づくことが好ましい。また、1つのプロセス値のみならず、少なくとも2個、好ましくは少なくとも4個、特に好ましくは少なくとも10個のプロセス値を上述のように計算することが好ましい。
【0052】
人工神経回路網又はこれに関係するもののほか、本発明では文献で「ファジー論理(Fuzzy Logic)」と呼ばれるモデルを用いることができる。参考として以下が挙げられる:2000年6月19日に開催されたセミナー(座長:Karl Heinz Meisel博士)でのBabara and Olav SeyfarthのCooperative and Hybrid neuro−fuzzy systemsについての発表内容(http://privat.sefarth.de/oiav/neuro−fuzzy−systeme.htmlに公開されている)、Bern−Markus Pfeiffer et al.のErfolgreiche Anwendung von Fuzzylogic und Fuzzy controle (Teil 2)、Automatisierungstechnik 50、511ページ以下(2002)の記事、及びGerhard Reifの9.Neuronale Fuzzy Systemeの記事(http://www.iicm.edu/greif/nodel1.html)。
【0053】
本発明の方法の別の実施形態によれば、本発明の方法、特に重合工程、更に好ましくは重合工程及び第一加工工程は連続的に行うことが好ましい。ここで「連続的」とは、製造プロセスが部分量ごと又は投入量ごとに実施されるのではなく、途切れなく連続的に実施されることをいう。本発明の方法は、少なくとも2つの工程に分割することが好ましい。各工程において、少なくとも1つの工程パラメータをプロセスパラメータとして決定することが好ましい。また、少なくとも1つの工程パラメータが少なくとも1つのプロセス値に影響を与えることが好ましい。このプロセス値は、その工程パラメータが決定される工程とは別の工程にあることが好ましい。特に、少なくとも1つの工程パラメータが少なくとも2つのプロセス値に影響を与え、これら2つのプロセス値の少なくとも1つがその工程パラメータが決定される工程とは別の工程の1つにあることが好ましい。
【0054】
さらに、本発明の方法においては、少なくとも1つの経験パラメータと関係する経験記憶装置(store of experience)によって制御がなされることが好ましい。経験パラメータは、親水性ポリマーの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、更に好ましくは少なくとも3つの物理的又は化学的特性である。好ましくは、本発明の方法における経験パラメータは、以下の物性の少なくとも1つ、好ましくは全てによって特徴付けられる。
P1 水性液体の保持量(CRC)
P2 水性液体の吸収量
P3 圧力下での水性液体の吸収量
P4 水性液体の吸収率
P5 圧力下での水性液体の吸収率
P6 粒径分布
P7 残渣モノマー量
P8 EP0752892B1に準拠した生理食塩水流動能力(saline flow capacity:SFC)
P9 かさ密度
P10 pH値
P11 流動性
P12 色(Hunter−Colour Testに準拠)
【0055】
経験パラメータ、特に上記経験パラメータは、当業者に公知の方法によって決定することができる。特に、いわゆるERT法(EDANA Recommended Tests−EDANA:European Diaper And Nonwaven Association)によって決定することが好ましい。
【0056】
原理的には、上記の各物性は、個々に又は組み合わせにより実際に採用することのできる経験パラメータを表す。経験パラメータとしての物性の組合せの実施形態としては、次の組合せが特に好ましい:P1P2P3P4P5P6P7、P1P2、P1P3、好ましくはP1P3P4P5P6P7P8P9、特に好ましくはP1P3P4P5。
【0057】
経験記憶装置は、所定の時間をかけた学習過程によって作成される。学習過程においては、あるプロセスパラメータ及びプロセス値を適用して親水性ポリマーを製造することによって得られたプロセスパラメータ、プロセス値、経験パラメータが決定される。この一連の決定によりデータ収集が行われ、これを基にして、コンピュータ生成モデル又は各神経回路網が訓練によって形成される。学習段階が良好に終了した後、ある物理的又は化学的特性を有する親水性ポリマーが製造されたら、これらの物理的又は化学的特性は目標経験パラメータとなる。人工神経回路網を通じて、まずこの回路網に属する目標プロセスパラメータ及び目標プロセス値が決定される。これらを用いて、所定の親水性ポリマーの製造が開始される。実際のプロセスパラメータが決定されることにより、人工神経回路網を通じて製造開始時に与えられた目標プロセス値は必要に応じて変更され、実際のプロセス値はこれら目標プロセス値に近付けられる。目標プロセス値は、製造工程の最初の段階で得られる親水性ポリマーの実際のプロセスパラメータを決定し、これと目標プロセスパラメータを人工神経回路網を用いて比較することによって更に訂正することが可能となる。この比較は、一般にプロセス値にも影響を及ぼし、特に目標プロセス値に影響を及ぼす。このような人工神経回路網を用いた反復作業によって、所定の目標経験パラメータを比較的短時間で実現できるように製造装置を制御することが可能となる。
【0058】
本発明の方法においては、経験記憶装置はコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網によって明示されることが好ましい。この明示は、例えば、神経回路網の形式として典型的な適切なコンピュータ回路で行うことができる。さらに、本発明の方法では、情報記憶装置は学習過程で得られることが好ましい。
【0059】
このようにして、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは少なくとも7つの経験パラメータから始めて、親水性ポリマー製造装置の操作のための、好ましくは起動のためのプロセスパラメータ及びプロセス値、特に好ましくはプロセス値を予測することができる。また、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは少なくとも10個のプロセスパラメータから始めて、又は少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは少なくとも10個のプロセス値から始めて、又はこれら両方から始めて、ある親水性ポリマー製造装置のための親水性ポリマーの経験パラメータ及び物理的又は化学的特性が予測できる。
【0060】
さらに、本発明の方法は、少なくとも1つの人工ニューロン及びこの人工ニューロンと繋がる少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、特に好ましくは少なくとも4つの人工ニューロンを有する人工神経回路網を用いてなることが好ましい。ニューロンは、特に連結I=1、…Nを経由して他のニューロンと繋がっている。これらの連結を通じて、又は環境から、入力信号xがニューロンに到達できる。ニューロンは、このニューロンと他のニューロンの間の連結ごとに重みwを有し、例えば入力信号の重みによって加重されたその入力信号に応じてニューロンの出力信号を決定する少なくとも1つの活性化機能を有する。少なくとも1つの他のニューロンと繋がっている少なくとも2つのニューロンを有する神経回路網は、経験によって、例えば経験記憶装置によって学習すること、例えば「訓練」がなされることができる。
【0061】
この学習過程は、例えば少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの重みwの変化に反映されてもよい。詳細はhttp://www.iicm.edu/greif/nodel0.htmlの「8.neuronal nets」に掲載されている。
【0062】
さらに、本発明の方法においては、第一人工ニューロンにおいて入力が入力信号によって生じることが好ましい。この入力信号は、間接的又は直接的にプロセスパラメータであることが好ましい。また、本発明の方法においては、人工ニューロンから出力信号によって出力が生じることが好ましい。これは、間接的又は直接的にプロセス値として又はプロセス値に対して作用する電気信号であることが好ましい。少なくとも1つのプロセスパラメータが第一人工ニューロンの少なくとも1つの入力信号と相互作用することが好ましい。さらに、本発明においては、少なくとも1つのプロセス値が少なくとも1つの別の人工ニューロンの少なくとも1つの出力信号と相互作用することが好ましい。
【0063】
経験パラメータは、しばしばコンピュータ生成モデル内に形成される活性化機能の重み又は重みの合計と相互作用する。次の数値の少なくとも1つ、好ましくは全てを予測する予測方法も、本発明の課題の解決に資する。
G1:Gプロセスパラメータ
G2:Gプロセス値
G3:G経験パラメータ
【0064】
本発明の予測方法は、親水性ポリマー又はその製造又はこれら両方と関連して、次の工程を含む。
V1:親水性ポリマーの製造を行う工程
V2:次のV値の少なくとも1つを決定する工程
i)Vプロセスパラメータ
ii)Vプロセス値
iii)V経験パラメータ
V3:データ処理装置において少なくとも1つのV値を処理し、経験記憶装置をコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網の形態に形成する工程
V4:経験記憶装置に基づいて少なくとも1つのG値を与える工程
【0065】
親水性ポリマーの製造は、好ましくは予めG値が決定されている製造装置において実施される。これは特に、既存の製造装置、好ましくは新しい製造装置においてできるだけ少ない予備実験で又は予備実験を行わないでできるだけ確実な予測を得るという目的に資する。異なる複数のV値を決定するに際し、製造装置における製造は異なる条件の下で実施されることが好ましい。このようにして、変動が大きい場合でも確実な予測を可能にする人工神経回路網を生成するための多量のデータを得ることができる。
【0066】
工程V2において、いわゆるデータセット内に異なる値を決定することが好ましい。ここで、製造中に所定の親水性ポリマーのための値が時系列的に記録されることが好ましい。所定の親水性ポリマーのためのデータセットは、遊離体製造工程から得られる値及びその後の重合工程で得られるこの親水性ポリマーのために同様に記録された値、並びに第一加工工程及びその後の工程を経たこの親水性ポリマーに正確に対応した値を有する。このようにして、データセットは、製造プロセスにおける所定の製品の全ての値の合計と定義することができる。工程V2で少なくとも100、好ましくは少なくとも250、特に好ましくは300〜600のデータセットを収集することが好ましい。一般にコンピュータ生成モデルの品質はデータセットの量に応じて向上する。また、コンピュータ生成モデルは、データセットを加重して選択する(文献では一般に「代表値(typicals)」と呼ばれる)ことによって向上させることができる。
【0067】
決定された値を基にして、コンピュータ生成モデル、好ましくは神経回路網が、適切な連結を形成することによって適切なコンピュータ内に形成される。この工程は親水性ポリマーの製造中に繰り返し実施することができ、これにより、コンピュータ生成モデル又は人工神経回路網が更に不断に向上する。一般に、コンピュータ生成モデル又は人工神経回路網の予測能力は学習工程V1〜V3の長さ又は回数に応じて向上する。繰返し回数が増加するに従い、製造能力の増分は減少する。このようにして得られた経験記憶装置に基づき、好ましくは複数のG値のうちの1つが与えられ、それ以外のG値は人工神経回路網を用いて決定される。
【0068】
また、例えば親水性ポリマーの所定の仕様が特定のG経験パラメータによって与えられ、その後、Gプロセス値及びGプロセスパラメータが決定されてもよい。別の形態では、Gプロセス値が変化する場合のための予測が追求される。その後人工神経回路網は、このGプロセス値の変化がGプロセスパラメータ、特にG経験パラメータ及び親水性ポリマーの物性に対してどのような効果を与えるかに関する予測を伝える。また、所定の製造装置のための人工神経回路網を通じてGプロセスパラメータの変化がGプロセス値又はG経験パラメータ又はこれら両方に与える効果を予測することが可能となる。本発明の製造方法においては、少なくとも1つのG値が製造装置の制御に資することが好ましい。これは特に、製造装置の異なる領域における親水性ポリマー製造の開始段階及び安定した状態に達するまでの起動段階のための3つのプロセス値を決定するに際し、その決定までの時間を著しく短縮できるようにすることに資する場合がある。
【0069】
更に、本発明は、本発明の製造方法により得られる親水性ポリマーを含む、複合体、衛生製品、繊維、シート、発泡体、成型体、土壌改良剤、凝集化添加剤、紙添加剤、織物添加剤、水処理添加剤、又は皮革添加剤に関し、好ましくは衛生製品、特に乳児用おむつ、生理用ナプキン、タンポン、及び失禁用品、特に好ましくは乳児用おむつに関する。
【0070】
また、本発明は、本発明の製造方法により得られる親水性ポリマーの、複合体、衛生製品、繊維、シート、発泡体、成型体、土壌改良剤、凝集化添加剤、紙添加剤、織物添加剤、水処理添加剤、又は皮革添加剤、好ましくは衛生製品、特に乳児用おむつ、生理用ナプキン、タンポン、及び失禁用品、特に好ましくは乳児用おむつにおける使用に関する。
【0071】
さらに、本発明の別の態様として、追加処理装置内で親水性ポリマーを含む追加処理製品を製造する方法であって、
親水性ポリマー及び少なくとも1つの追加処理成分を供給する工程と、
親水性ポリマーと少なくとも1つの追加処理成分を接触させて追加処理製品を得る工程と、を含み、
追加処理装置がコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網によって制御される方法を提案する。
【0072】
特に、上記ポリマーは本発明の方法により得られる。追加処理製品は特に、吸収性複合体、おむつ、紙、衛生製品、生理用ナプキン、失禁用品等であってもよい。この中で、紙、特に拭取紙、キッチンペーパー、又はトイレットペーパー等の吸水紙又は水性液体吸収紙が好ましい。追加処理成分の例としては、親水性ポリマーとは異なる、特にセルロース繊維等の繊維、ポリマー、添加剤、水、溶剤等が挙げられる。
【0073】
親水性ポリマーが第一神経回路網によって制御されつつ製造され、追加処理装置が第二神経回路網によって制御される形態が特に好ましい。ここで、第一及び第二神経回路網は、有利な方法で1以上の点で相互に連結されていてもよい。特に、第一及び第二神経回路網は、共通の神経回路網に接続されていてもよい。
【0074】
親水性ポリマーを含む追加処理製品を得るために実施される、追加処理装置におけるポリマー、特に親水性ポリマーと追加処理成分との追加処理は、複数のプロセスパラメータ及び複数のプロセス値が関与することから、調節工程に係る複雑な操作となる。追加処理においては、これらは上記で導入されたプロセス値及びプロセスパラメータと区別するため、Wプロセスパラメータ及びWプロセス値として表される。Wプロセスパラメータ及び/又はWプロセス値は交換可能なように連結される。特に、複数の値が複雑に及び/又は非線形に連結される。これにより、ほぼ無秩序な振る舞いを示すようになる。これは、Wプロセス値及び/又はWプロセスパラメータの小さな変化によって追加処理製品の1以上の物性が大きく変化することを意味する。このことは、親水性ポリマーの製造において1つのプロセス値及び/又は1つのプロセスパラメータが変化する場合にも当てはまることがある。神経回路網に相当する形式、並びに個々のニューロン及びこれらの機能の連結によって、特に各ニューロン及び活性化機能に対しそれぞれに対応する加重を行うことによって、良好な制御が可能となる。これにより、例えば、神経回路網の連結の重量変化等の学習を通じて、上述したほぼ無秩序な状態になることを困難にするか、防止することが可能となる。このようにして、制御又は神経回路網は、少なくとも1つのプロセス値、Wプロセス値、1つのプロセスパラメータ及び/又はWプロセスパラメータのその後の変化に対応して反応することができ、これにより、ポリマー及び/又は追加処理製品の所望の物性が得られる。特に、入力信号として識別可能な値以外のものを処理できるニューロンを良好に考案することができる。コンピュータ生成モデルの基礎原理としては、「ファジー論理」の原理のみが使用されるか、他の原理と「ファジー論理」の原理を組み合わせたものが使用される。
【0075】
本発明の方法の有利な実施形態によれば、製造装置のコンピュータ生成モデルと追加処理装置のコンピュータ生成モデルは相互に作用し合う。
【0076】
追加処理装置の制御又は調節においては、それぞれ少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つのプロセス値が追加処理製品の物性へ与える影響を考慮するのが望ましいことがある。特に、両コンピュータ生成モデルは特定のインターフェースを介して相互に交信することができ、これにより、特に少なくとも1つのプロセスパラメータ、特に少なくとも1つのプロセスパラメータ、少なくとも1つのプロセス値、少なくとも1つのWプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つのWプロセス値を交換及び/又は調節することが可能となる。また、2つのコンピュータ生成モデルは互いに連結されていてもよい。コンピュータ生成モデルが神経回路網として形成されている場合は、両コンピュータ生成モデルは1以上の共通のニューロンを有することができる。
【0077】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、制御は、少なくとも1つのWプロセスパラメータを決定し、この少なくとも1つのWプロセスパラメータに基づいた少なくとも1つのWプロセス値を用いることによって行われる。これは、特に対応する調節工程の場合にも当てはまる。
【0078】
制御又は調節は、上記の代替工程として又は上記の追加工程として少なくとも1つのプロセスパラメータをこのプロセスパラメータに基づいた少なくとも1つのプロセス値を通じて決定することによって実施することができる。少なくとも1つのWプロセスパラメータ及び/又はプロセスパラメータの決定は、対応する測定器、例えば温度計、圧力計、湿度計、密度測定器、濃度測定器及び/又はpH測定器を用いて直接行うことができ、あるいは他の測定値を決定し、その後それぞれ所望のプロセスパラメータ及び/又はWプロセスパラメータに調整又は反調整することによって間接的に行うことができる。
【0079】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、コンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網は、少なくとも1つのWプロセス値を計算する。
【0080】
コンピュータ生成モデルは、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つのWプロセスパラメータに基づいてWプロセス値を計算することが特に好ましい。好ましくは、2以上のWプロセス値を、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つのWプロセスパラメータから計算することができる。プロセスパラメータ及び/又はWプロセスパラメータは、1又は2以上のプロセス値及び/又はWプロセス値に影響を及ぼすことができる。
【0081】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、この過程は連続的に実施される。
【0082】
特に、プロセス値及び/又はWプロセス値を連続的に計算することにより、並びに追加処理製品の少なくとも1つの物理的及び/又は化学的特性を連続的に監視することにより、例えば、追加処理製品の物性の比較的大きな変化、特にばねのような変化を効果的に阻止するという制御及び/又は調節を有利に実施することができ、また、例えば、追加処理製品の物性を極めて正確に設定・監視して、この物性のぶれ幅を小さくして製造することを可能にする制御及び/又は調節を有利に実施することができる。特に、連続プロセスにより、追加処理製品が帯電して製造されることなく及び/又は単位時間当たりの追加処理製品の製造量が実質的に一定になると解される。
【0083】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、少なくとも2つの工程の各工程において、少なくとも1つのW工程パラメータをWプロセスパラメータとして決定する。例えば綿毛の種類、綿毛の湿度及び/又は(非繊維化用の)ミルの種類が、W工程パラメータに該当する。
【0084】
また、少なくとも1つのW工程パラメータが少なくとも1つのWプロセス値に影響を及ぼすことが好ましい。このWプロセス値は、W工程パラメータが決定される工程とは別の他の工程に存在することが好ましい。少なくとも1つのW工程パラメータが少なくとも2つのWプロセス値に影響を及ぼし、これら2つのWプロセス値の少なくとも1つが前記W工程パラメータが決定される工程とは別の1つの工程に存在することが特に好ましい。これらの測定を通じて、2以上の工程のパラメータ及び値は相互に作用し合い比較され合うことができるとともに、これらは全ての追加処理装置の制御又は調節にも影響を与えることができる。Wプロセス値は、例えば、綿毛又は繊維の供給量、可変性の非繊維化間隙、輸送速度、(ハンマーミルの)篩いの目の大きさ、ハンマーの種類(素材、硬度、又は形状)、通気速度、又は空気体積流量及び/又は空気流量である。
【0085】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、制御は、少なくとも1つのW経験パラメータと関連するW経験記憶装置によって行われる。調節も同様に行うことができる。
【0086】
W経験パラメータは、追加処理製品、好ましくはおむつの少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、更に好ましくは少なくとも3つの物理的及び/又は化学的特性である。
【0087】
本発明の方法におけるW経験パラメータは、次の特性の少なくとも1つ、好ましくは全てによって特徴付けられることが好ましい。
W1:再湿潤
W2:漏出
W3:吸上
W4:吸収速度
W5:液体拡散(拡散方向及び表面での「拡散」)
W6:乾燥状態及び湿潤状態の完全性
【0088】
特性W1〜W6は、単独で又は考えられる組合せとしてW経験パラメータを表す。W経験パラメータの組合せとしては次の組み合わせが挙げられる:W1W2W3W4W5;W2W3W4W5W6;W1W3W4W5W6;W1W2W4W5W6;W1W2W3W5W6;W1W2W3W4W6;W1W2;W1W3;W1W4;W1W5;W2W3;W1W4;W1W5;W1W6;W3W4;W3W5;W3W6;W3W4W5;W4W5W6;W1W5W6;W1W3W5。
【0089】
これらのパラメータは、文献で公知の方法によって決定される。当業者は、追加処理製品に応じて文献上の方法の中から適切なものを選択する。例えば、血液含有体液を用いる方法は尿を用いる方法とは異なる。幾つかの試験方法の概要が次の文献に掲載されている:Walter Beckerの「Are expensive diapers always the best?」(Insight 96 Absorbent Products Conferenceでの発表に基づく)及びEdgar Herrmann博士のEDANA 1997 NORDIC NONWOVENS SYMPOSIUMへの寄稿、標題「Premanufactured Airlaid Composites Containing Superabsorbents」。また、W値は、ドイツのRatingenにあるEkotec GmbH等の適切な実験室においても決定される。例えば、コア及びおむつの分野では、個々のW値は次の方法において詳細に記載されている:再湿潤:US6,359,192、漏出:US6,580,014、吸上:US6,359,192、吸収速度:US5,147,345及びUS6,085,579、液体拡散(拡散方向及び表面での「拡散」):Ekotesterのためのマニュアル(Ekotec GmbH Ratingen、1991)、並びに乾燥状態及び湿潤状態の完全性:US5,833,678。
【0090】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、W経験記憶装置はコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網によって明示される。
【0091】
W経験記憶装置及び/又は経験記憶装置は、神経回路網の個々の連結の連結重量にそれぞれの記憶装置自体を明示する。特に、W経験記憶装置の調節は、対応する連結重量の変化によって行われる。
【0092】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、W経験記憶装置は、学習過程によって得られる。これは、親水性ポリマーに係る経験記憶装置のための学習過程によって形成されることができる。
【0093】
ポリマー及び/又は追加処理製品の少なくとも1つの物理的及び/又は化学的特性の監視並びにこの少なくとも1つの物性とプロセスパラメータ、プロセス値、Wプロセスパラメータ及び/又はWプロセス値の相関分析の監視を通じて、これらの値が少なくとも1つの物性に与える影響を解析することができ、W経験記憶装置及び/又は経験記憶装置がその影響に応じて適用することができる。
【0094】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、人工神経回路網は少なくとも1つの第一人工ニューロン及び第一人工ニューロンに繋がる少なくとも1つの別の人工ニューロンを含む。8.Neuronale Netze(http://www.iicm.edu/greif/node10.html)に詳細が記載されている。
【0095】
また、本発明の方法では、第一人工ニューロンにおいて入力が入力信号によって行われることが好ましい。入力信号は、好ましくは間接的又は直接的にプロセスパラメータとなる。
【0096】
さらに、本発明の方法では、別のニューロンからの出力は出力信号によって行われることが好ましい。出力信号は好ましくは電気信号であり、これは間接又は直接にプロセス値として作用し又はプロセス値に作用する。少なくとも1つのプロセスパラメータは、第一人工ニューロンの少なくとも1つの入力信号と相互作用することが好ましい。また、本発明では、少なくとも1つのプロセス値は、少なくとも1つの別の人工ニューロンの少なくとも1つの出力信号と相互作用することが好ましい。
【0097】
経験パラメータは、しばしばコンピュータ生成モデル内に形成された活性化機能の重量又は重量合計と相互作用を行う。
【0098】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、追加処理装置は繊維紡糸機、繊維マトリックス製造機、抄紙機、コア製造機、包帯製造機又はおむつ製造機である。
【0099】
追加処理製品は、親水性ポリマー及び少なくとも1つの追加処理成分、好ましくは2以上の追加処理成分から製造する。これらの追加処理製品の物性は、特にポリマーの物理的及び/又は化学的特性に依存する。ここで、ポリマーの物性の僅かな変化により、追加処理製品の物性が大きく変化することがある。この場合、少なくとも1つの神経回路網を用いて制御又は調節が有利に行われる。
【0100】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、追加処理製品は繊維、繊維マトリックス、紙、コア、包帯又はおむつである。
【0101】
本発明の概念の更なる態様によれば、親水性ポリマー及び/又は追加処理製品又はその製造又はこれら両方と関連して、次のWG値の少なくとも1つを予測する予測方法を提案する。
WG1:Wプロセスパラメータ又はプロセスパラメータ、
WG2:Wプロセス値又はプロセス値、
WG3:W経験パラメータ又は経験パラメータ。この予測方法は、特に次の工程を含む。
V1:追加処理製品の製造を操作する工程
V2:少なくとも1つのWV値を決定する工程
i.WVプロセスパラメータ
ii.WVプロセス値
iii.WV経験パラメータ
V3:データ処理装置において少なくとも1つのWV値を処理し、経験記憶装置をコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網の形態に形成する工程
V4:この経験記憶装置に基づいて少なくとも1つのWG値を得る工程
【0102】
本発明の予測方法を用いることによって、特にWプロセスパラメータ、プロセスパラメータ、Wプロセス値、プロセス値、並びにW経験値及び経験値を予測することが可能となる。W経験値は、特に追加処理製品の物理的及び/又は化学的特性を含む。これらは、特に上記パラメータ及びW経験パラメータを含む。追加処理製品の予測された物性を用いることにより、Wプロセスパラメータ、プロセスパラメータ、Wプロセス値及び/又はプロセス値を予測することができる。これにより、実験の負担が軽減され、追加処理製品の製造速度が著しく向上される。
【0103】
本発明の更なる態様によれば、親水性ポリマー及び/又は追加処理製品又はその製造又はこれら両方と関連して、次のWG値の少なくとも1つを予測する予測方法を提案する。
WG1:Wプロセスパラメータ又はプロセスパラメータ、
WG2:Wプロセス値又はプロセス値、
WG3:W経験パラメータ又は経験パラメータ。ここで、利用可能な経験記憶装置に基づいた少なくとも1つのWG値が得られる。
【0104】
利用可能な経験記憶装置は、コンピュータ生成モデル、特に人工神経回路網の経験に基づく。この経験は、WG値が判明する前に得られる。これらの利用可能な経験は、上記予測方法又は以下に記載する製造方法のうちの1つによっても得ることができる。
【0105】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0106】
図1において、製造装置1は、好ましくは製造装置のプロセス制御センター内に設けられたコンピュータ2を有する。コンピュータ2は、少なくとも1つのプロセスパラメータライン8及び少なくとも1つのプロセス値ライン9を経由して、製造装置1の複数の領域、例えば遊離体領域3、重合領域4、第一加工領域5、後架橋領域6、追加加工領域7と接続されている。個々の領域及びそれらの副構造物(任意)は、プロセスパラメータライン8及びプロセス値ライン9を介してコンピュータ2と接続されていることが好ましい。
【0107】
図2の遊離体領域3において、水道管調節器10によって制御された水道管、水酸化ナトリウム導管調節器11によって制御された水酸化ナトリウム導管、アクリル酸導管調節器12によって制御されたアクリル酸導管、架橋剤導管調節器13によって制御された架橋剤導管、及びコモノマー導管調節器14によって制御されたコモノマー導管は、遊離体混合器15へと導かれる。調節器10、11、12、13、14によって、水、水酸化ナトリウム、アクリル酸、架橋剤、及び必要に応じて導入されたコモノマーの各量はプロセス値として調節されてもよい。調節器10、11、12、13、14において、又は遊離体混合器15において、又はこれら両方において、1又は2以上の探測装置16が設置されてもよい。この装置により、状態値、特に温度を、遊離体混合器15に導かれる個々の遊離体部分のプロセスパラメータとして決定することができる。温度以外に、単位時間当たりの遊離体混合器15に輸送される遊離体流量が、遊離体混合器15内に設けられた遊離体部分流量計17により、又は各調節器10、11、12、13、14内に設けられた遊離体部分流量計17により決定されてもよい。このようにして、遊離体混合器15及び遊離体混合物内の濃度比が決定される。遊離体混合器15には遊離体冷却器18が設けられる。また、遊離体センサー16が設けられ、遊離体冷却器18へ流れる遊離体混合物の温度がプロセスパラメータとして決定されてもよい。また、遊離体冷却器18には冷却剤導入口19及び冷却剤排出口20が設けられている。プロセス値としての時間当たりの冷却剤の量及び冷却剤の温度は、遊離体冷却器18の冷却能力を制御する。遊離体冷却器18には、遊離体センサー16を有するガス交換器21が取り付けられている。遊離体センサー16により、ガス交換器21内の遊離体混合物の温度がプロセスパラメータとして決定されてもよい。遊離体混合物内のガスの量、特に酸素の量が、遊離体センサー16によってプロセスパラメータとして決定されてもよい。同様に、ガス処理された遊離体混合物の密度及び遊離体センサー16を用いて気泡の量が決定され、同様にプロセスパラメータとすることができる。保護ガス調節器22を用いて、ガス交換器21に導入される保護ガスの量をプロセス値として調節してもよい。また、保護ガス調節器22によって、特にガス排出口の調節によって、遊離体混合物内の発泡の形成を調節することができる。
【0108】
図3Aに、遊離体領域3に後続する溝ベルト重合装置の形態で重合領域4を示す。ガス交換器21からの遊離体混合物は、遊離体流量計26によって監視されながら遊離体導入口23を通じて重合空間24へと導かれる。ベルトによって形成された溝状の重合空間24において、触媒流量計27によって監視されつつ、重合開始触媒及び添加剤がそれぞれ触媒又は添加剤導入口25を通じて遊離体混合物に導入される。重合空間24において重合反応が行われ、ポリマー28が形成される。ポリマー28は、重合空間24を形成する重合ベルト31が動くことによって、及び生成したポリマー28を輸送するポリマー輸送機29によって、重合空間24から運び出される。
【0109】
重合空間24の上部に配置された1又は2以上の重合センサー30によって、重合のプロセスパラメータ、特に温度及び処理量が決定される。単位時間当たりの遊離体混合物の量及び添加された触媒又は添加剤の量の他に、移動方向35へと移動する重合ベルト31の速度が重合工程における重要なプロセス値となる。重合ベルト31の速度は、駆動機32及びベルトローラー34によって調節される。ベルトローラー34はギア33によって駆動され、重合ベルト31の下面に接する。ポリマー輸送機29、重合ベルト31、駆動機32、ギア33、ベルトローラー34は、ケース36の中に設置される。ベルト重合を用いた重合領域4の形態及び実施の詳細は、とりわけDE3544770A1に記載されており、その開示内容はこの参照によって本願の開示内容の一部をなすものとする。
【0110】
図3B及び図3Cは、混練反応器の形態を有する重合領域4の実施形態を示す。ここで、筐体39に設けられた遊離体導入口23において、遊離体流量計26によって監視されつつ、遊離体混合物が筐体39で仕切られた重合空間24に導入される。同様に、触媒又は添加剤も、触媒流量計27によって監視されつつ、添加剤導入口25を通じて重合空間24に導入される。筐体39は、反応空間24内に攪拌機37を有する。また、反応空間24と接する筐体下部には冷却器38が設けられている。攪拌機37の下には、ポリマー28を排出するスクリュー状のポリマー輸送機29が設置してある。混練反応器状に形成された重合装置のプロセスパラメータに関連した状態値は、重合空間24の上に又は中に設置された1以上の重合センサーによって決定される。混練反応器状に形成された重合領域4の詳細はUS4,625,001及びEP0508810A1に記載されており、これらの開示内容はこの参照によって本願の開示内容の一部をなすものとする。
【0111】
図3Dは、多重スクリュー押出機状に形成された重合領域4を示す。この反応器の中で、遊離体混合物及び触媒又は添加剤が図3A、図3B、図3Cと同様に導入される。詳細はこれらの図の説明の中で記載したとおりである。筐体39内に2以上のスクリュー40が設置されている。これらは筐体の縦軸方向に伸びており、駆動機42によって動く。筐体の横断方向に沿った断面において、筐体39内にスクリュー40が固定して設置される。スクリュー40は、スクリュー羽根41を含む。スクリュー羽根41は互いに接近し合って、混練及び遊離体導入口23からの輸送を行う。筐体の遊離体導入口とは逆の末端には、ポリマー28を排出するためのスクリュー状のポリマー輸送機29が設置されている。この多重スクリュー反応器により、親水性ポリマーの連続製造が可能となる。ここで、(α)水溶性モノエチレン不飽和モノマー、(β)モノマー(α1)に対して0.001〜5mol%の架橋剤としての少なくとも2つのエチレン不飽和二重結合含有モノマー、(γ)好ましくは20〜80重量%の水溶液の状態にある、モノマー(α)に対して0〜20mol%の水に不溶のモノエチレン不飽和モノマーを、開始剤の存在下で0〜140℃の温度範囲で重合させることができる。モノマー水溶液は、開始剤及び任意の不活性ガスとともに、少なくとも2つの平行な回転軸を持つ混練機に連続的に送られる。回転軸には2つ以上の混練及び輸送素子が設置され、これにより混練機の入口に送られた物質が軸方向に沿って混合器の出口へと輸送される。水の蒸発によって反応混合物から除去される熱は反応熱の少なくとも5%であり、製品の排出によって除去される熱は反応熱の少なくとも25%である。これら以外に、反応器壁の冷却によって熱が除去される。
【0112】
熱損失は、重合空間24の中に又はその末端に設置される1又は2以上の重合センサー30によって決定することができる。これらの重合センサー30によって適切なプロセスパラメータを決定することができる。熱損失は、例えば温度測定によって決定することができる。プロセス値としては、駆動機42により調節することのできるスクリュー速度のほか、スクリュー羽根41の位置が考えられる。混練及び輸送の能力はこれらのプロセス値に依存する。多重スクリュー反応器の形態の詳細は、DE19955861A1等に記載されており、その開示内容は本願の開示内容の一部をなすものとする。また、適切な多重スクリュー押出機は、スイスのList AG社から商業的に入手可能である。
【0113】
図4に、ポリマー導入口43を介して重合領域4に付随する第一加工領域5が示されている。第一加工領域は複数の副領域を有し、これらの副領域は、少なくとも1つの細分領域44、細分領域に後続する乾燥領域45、乾燥領域に後続する粉砕領域46である。細分領域44は、ポリマー28を切断する少なくとも1つの切断機47、切断機に後続する裁断されたポリマーを粉砕するための粉砕機(「Wolf」)48、及び必要に応じて、粉砕機から送られる複数のヒドロゲル切片を均質化するための、好ましくはドラム状の均質化機49を有する。また、細分領域44は少なくとも1つの細分センサーを有する。このセンサーにより、細分領域のプロセスパラメータ、特に細分領域内の親水性ポリマーのヒドロゲルの温度、水分量、及び必要に応じて細分度、又は細分領域を通過したヒドロゲルのこれらパラメータが決定される。細分領域44のプロセス値として、特に切断機47及び研削機48によってヒドロゲルに伝えられるエネルギーが考えられる。切断能力及び研削能力は、ドラムの回転速度とともに細分工程のプロセス値となることが好ましい。細分機の更なる詳細は、例えばEP0827443A1に記載されており、その開示内容は本願の開示内容の一部をなすものとする。細分領域44に後続する乾燥領域45は、複数のセル52を有する送風乾燥空間とすることが好ましい。この乾燥機において、細分領域から送られてきた親水性ポリマーのヒドロゲルは、輸送ベルト51によって個々の乾燥セルに送られる。輸送ベルトは、輸送方向35の方向に進み、乾燥によって実質的に水分を有しない。乾燥機において、少なくとも2つ、好ましくは全てのセル52に乾燥機センサー76を設置することができることが好ましい。乾燥工程のプロセス値として、特に乾燥機の加熱能力及び輸送ベルト51のベルトの速度が挙げられる。特に好適な乾燥機は、「Modern Superabsorbent Polymer Technology」FL Buchholz、AT Graham、Wiley−VCH、1998、87ページ以下に記載されている。乾燥領域45の後には、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのミル、好ましくは、それぞれ粉砕媒体55を有する粗粉砕ミル53と微粉砕ミル54を有する粉砕領域46が続く。ここで、2つの粉砕媒体55の間には常に粉砕間隙56が形成される。粗粉砕ミル53の粉砕間隙56は、微粉砕ミル54のそれよりも大きい。粉砕領域46は更に、プロセスパラメータを決定するための少なくとも1つの粉砕センサー57を有する。粉砕工程のプロセスパラメータとしては、特に、粉砕領域で粉砕される乾燥された親水性ポリマー製品の水分量、温度、粒子又は塊の大きさが挙げられる。さらに、プロセスパラメータは、粉砕領域で粉砕された製品の物性によっても形成される。粉砕領域46の好ましいプロセス値として、特に、粉砕媒体55の速度及び個々のミルの粉砕間隙56が挙げられる。粉砕工程についての更に詳しい情報は、「Modern Superabsorbent Polymer Technology」FL Buchholz、AT Graham、Wiley−VCH、1998、93ページ以下に記載されている。粉砕製品出口58を通って粉砕領域46を通過した粉砕製品は、粉砕製品入口59を通って後架橋領域6に送られる。
【0114】
図5は、後架橋領域6と、必要に応じて設けられた後続する追加加工領域7とを示す。粉砕製品入口59により、粉末状の親水性ポリマー微粒子は、まず暫定的に貯蔵器60に貯蔵される。貯蔵器60は、好ましくは貯蔵器60内の親水性ポリマーの水分量、温度、及び必要に応じて粒径を決定することができる貯蔵器センサー61を有する。親水性ポリマーは、プロセス値として調節される出口調節器62によって、貯蔵器60から添加剤混合器65に導入される。添加剤混合器65には、プロセス値が調節された添加剤出口調節器64を通じて、添加剤タンク63内の添加剤、一般には後架橋剤又は2以上の後架橋剤の混合物も導入される。添加剤混合器65は、混合器のプロセスパラメータを決定するための少なくとも1つの添加剤混合器センサー66も有する。このようなプロセスパラメータは、添加剤混合器65内の親水性ポリマー及び添加剤の温度及び混合比であることが好ましい。添加剤混合器65には、少なくとも1つの乾燥機センサー68を有する乾燥機67が取り付けられている。乾燥機の機能については、乾燥領域45の箇所で詳述した。
【0115】
後架橋領域6に付随する追加加工領域7には、親水性ポリマーが導入される添加剤混合器71及びこれに後続する熟成器73が設けられている。添加剤混合器71には、添加剤タンク69から、プロセス値を用いて添加剤出口調節器によって調節されつつ、少なくとも1つ、好ましくは3以上の添加剤が導入される。これらの添加剤は、親水性ポリマーと混合されない。添加剤混合器センサー72によって、添加剤混合器及びその中にある添加剤と親水性ポリマーの混合物のプロセスパラメータが決定される。このプロセスパラメータとしては、特にこの混合物の水分量及び温度が挙げられる。添加剤混合器のプロセス値としては、特に混合器内の攪拌機の混合速度又は攪拌速度が挙げられ、これらは例えばいわゆるFroud数によって表されることができる。添加剤混合器71で得られた混合物は、好ましくは混合器又は乾燥機であってよい熟成器73において熟成工程に供される。この熟成工程は、対応するプロセスパラメータ、特に水分量及び温度を用いて少なくとも1つの熟成器センサー74によって監視されることができる。熟成器73のプロセス値としては、混合器の場合、凝集体の混合速度が好ましい。熟成器73が乾燥機の場合は、乾燥機について上記で詳述したものが有効である。添加剤混合器71と熟成器73の両方が混合凝集体を含む場合は、好ましいプロセス値としては、添加剤混合器71と熟成器73それぞれの攪拌機の混合速度の比又はそれぞれの混合凝集体の量の比が挙げられる。追加加工領域を通過した後、製造された親水性ポリマーは製品排出口75を通じて排出され、貯蔵庫又は容器又は大きな袋等の容器に充填され、その後輸送される。追加加工領域の更なる詳細、特に熟成に関する更なる詳細についてはWO2004/037900A1に記載があり、その開示内容は本願の開示内容の一部をなすものとする。
【0116】
実施例1
重合領域としてベルト重合領域を有する上記製造装置に相当する試験工場設備において、3ヶ月間をかけ、試験工場設備の個々の領域の処理量に係るそれぞれの一連の時刻記録からなる450のデータセットを収集した。その後、以下に詳述する測定項目の個々の値及びこれに基づいて決定された親水性ポリマーの物理的及び化学的特性を収集し、人工神経回路網の訓練を行った。訓練については、Adlan−Tec社のコンピュータプログラムNeuro Model 2.0を用いた。訓練方法としては自動ガイドを選択した。予測の確度は、初期変数としての経験パラメータの数値領域を基にして、訓練の後では10%未満であった。このようにして得られた人工神経回路網のモデルは、例えば経験パラメータとしての親水性ポリマーの遠心分離器残率(centrifuge retention、CRC)を計算するに際して十分正確なものであった。このモデルは、試験工場規模の上記製造装置の中央制御装置と組み合わせられる。10分遅れて、プロセスパラメータ及びプロセス値が工程制御システムから自動的にコンピュータに送られた。このコンピュータは、人工神経回路網を有するとともに、この人工神経回路網を用いて計算したCRCについて36.6g/gと想定される経験パラメータを有する。上記製造装置を用いて上記方法により製造された親水性ポリマーのCRCについて分析的確認を行うことにより、36.2g/gの値を得た。
【0117】
人工神経回路網による計算により、この事例では、人工神経回路網を用いない製造に比べて分析的調査に要する費用を30%低減することができた。同時に、製造工程におけるプロセス値の変更の頻度としての製造中断率は少なくとも20%低減された。このように、操業者が行う工程上の指標の補正回数を著しく低減することができた。
【0118】
実施例2
本実施例は、工場の変更のシミュレーション用の人工神経回路網を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。目的は、33.5g/gのCRCから始めて、製造装置の過制御及び微制御を行うことなくCRCを可能な限り36g/gに設定することであった。まず、神経回路網が製造された超吸収体について36.0g/gのCRCを算出するまでの間、架橋剤処理量の変更を神経回路網に入力した。このようにして模擬的に得られた36.0g/gのCRCと結び付けられた架橋剤の添加を、製造装置及び製造された超吸収体内で行った。架橋剤量の変更の効果が発揮された後における超吸収体の分析的確認により、36.2g/gのCRCが示された。このようにして、過制御及び微制御を行うことなく、所望の値を迅速に設定することが可能となった。
【0119】
ポリマー製造の個々の入力測定項目を以下に詳細に示す。
1 冷却器中性化等級1における温度差
2 冷却器中性化等級2における温度差
3 水の流量
4 30%NaOH水溶液の流量
5 中性化率1のアクリル酸の流量
6 中性化等級2のアクリル酸の流量
7 架橋剤(ジアクリル酸ポリエチレングリコール)の流量
8 コモノマー(EMPEG−750−メタクリル酸エステル)の流量
9 モノマータンクの温度
10 重合ベルトに供される前のモノマーの温度
11 重合ベルトに供給されるNの流量
12 重合ベルトに導入されるモノマーの量
13 重合ベルトに導入される触媒(酸化還元開始剤)の量
19 重合ベルトに導入される添加剤(炭酸ナトリウム)の量
20 重合ベルト入口の温度
21 重合ベルトの速度
22 重合ベルト出口の温度
23 混練機、研削機、ドラムの電気消費量
24 ベルト乾燥機のベルトの速度
25 乾燥機から送られる空気のための集塵機の圧力(低圧)
26 集塵機入口の温度
27 供給される空気の温度
28 乾燥機のセル2の温度
29 乾燥機のセル5の温度
30 乾燥機のセル7の温度
31 乾燥機のセル11の温度
32 粗粉砕ミルの電気消費量
33 微粉砕ミルの電気消費量
34 微粉砕ミルの粉砕間隙
35 微粉砕ミル(振動機)から排出された製品の制御変数
36 貯蔵庫の中間製品充填率
37 中間製品の温度
38 中間製品の水分量
39 中間製品の処理量
40 添加剤(炭酸エチレン)Iの処理量
41 混合器の回転速度
42 羽根式乾燥機部分1〜4の温度
43 羽根式乾燥機部分5〜8の温度
44 羽根式乾燥機部分1〜4に導入される蒸気の温度
45 羽根式乾燥機部分1〜8に導入される蒸気の温度
46 羽根式乾燥機部分1〜4に導入される蒸気の圧力
47 羽根式乾燥機部分1〜8に導入される蒸気の圧力
48 後架橋後の製品の温度
49 混合器の添加剤(ポリエチレングリコール300)処理量
50 混合器の電気消費量
【0120】
図6は、追加処理装置、すなわちコア製造機77の実施形態を概略的に示す。この装置を用いて、例えば乳児用おむつ又は生理用ナプキン用の「コア」、すなわち吸収層を製造する。このようなコア製造機77は、湿式堆積機、乾燥堆積機、紡糸堆積機、溶融噴射(melt blown)機、又は空気堆積機であってもよい(参考:Edgar Herrmann博士のEDANA 1997 NORDIC NONWOVENS SYMPOSIUMへの寄稿、標題「Premanufactured Airlaid Composites Containing Superabsorbents」)。コア製造機77は、コンピュータ2上で実行されるコンピュータ生成モデルによって制御される。特に、制御はコンピュータ2上でプログラムされた対応する神経回路網によって行われる。コア製造機77は、特にFamiccanica、Gdm、Diatec社の乳児用おむつ製造機の一部であってもよい。このようなおむつ製造機については、図8を参照して以下に詳述する。この乳児用おむつ製造機は、好ましくはコンピュータ2上で実行される、コア製造機77と同様なコンピュータ生成モデルによって制御される。製造装置1に関係するプロセスパラメータは、特に親水性ポリマーの製造との関係で上述したプロセスパラメータである。製造装置1に関係するプロセス値は、特に親水性ポリマーの製造との関係で上述したプロセス値である。
【0121】
好ましい実施形態では、コア製造機77は、親水性ポリマーのための製造装置1を含む。製造装置1は、特に同じコンピュータ2において実行されるコンピュータ生成モデルによって、特に好ましくは同じコンピュータ生成モデルによって制御することができる。本発明では、製造装置1に対して従来の制御を行ってもよい。別の実施形態においては、おむつ製造機88の一部としてのコア製造機77に対して従来の制御及び/又は調節を行いつつ、製造装置1をコンピュータ生成モデルによって制御してもよい。コア製造機77は繊維供給機78も有する。これにより、繊維、特にセルロース繊維が供給される。これらの繊維は、巻輪から解離したり、すりはがしてもよい。また、これらの繊維は、巻軸上に圧縮された形態であってもよく、巻軸から解離してハンマーミルで非繊維化してもよい。用いられる技術は、とりわけ綿毛の種類によって決定される。綿毛の種類は、Wプロセスパラメータとなる。綿毛の種類は、用いられる型及びその製造方法に依存する。綿毛の種類は、セルロース産業において一般的な測定工程によって決定される。この繊維は、本発明で定義された第一追加処理成分を表す。繊維はミル79に送られ、ミル79で粉砕される。ミル79は、従来型のミル、特にハンマーミルであってもよい。ハンマーミルの場合は非繊維化間隙を有し、間隙幅は、ハンマーの種類(素材、硬度、及び/又は形状)、篩いの目の大きさ、規模とともにWプロセス値となる。これらのWプロセス値は、繊維のWプロセスパラメータに影響を及ぼす。ミル79に関係するWプロセスパラメータには、特にミル79によって製造された繊維の長さ分布、繊維長、塊状製品の場合のかさ密度、水分量、繊維形状(伸張糸又は縒り糸)、並びに/又はミル79の充填率又はミル79内の繊維の充填率、復元力、トルク、及び粉砕工程におけるミル79に影響を及ぼす及び/又はミル79に関係するこれらに類似する値が含まれる。繊維78の調製に関係するWプロセスパラメータには、特に水分量、形態、かさ密度及び/又は繊維の繊維長分布が含まれる。
【0122】
粉砕した繊維は、第一供給ライン80によって混合器81に導入する。混合器81には、第二供給ライン82によって親水性ポリマーも導入される。混合器81内で、ポリマーは繊維と結合する。混合器81に関係するWプロセスパラメータとしては、特に混合器81内の空気の速度及び/又は乱れ、繊維及び/又はポリマーの導入比、混合器81内の水分量、誘電率、並びに/又は混合物の接着能力又は固定化能力が挙げられる。また、Wプロセス値としては、特に混合頻度、ポリマー及び/又は繊維の導入の増減量、第一供給ライン80及び/又は第二供給ライン82内のポリマー及び/又は繊維の輸送速度等が挙げられる。
【0123】
混合物は、混合器81から輸送ライン83を介してコア形成器84に送る。コア形成器は形成ドラム85を有する。形成ドラム85は、図7に詳細を示すように一対の凹み86を有し、これにより例えばおむつ用コアが形成される。形成ドラム85を回転することにより、例えば遠心力の作用又は減圧の適用により凹み86にコアが形成される。コア形成器84は、特に低圧、好ましくは500mbar未満、特に好ましくは100mbar未満、特に25mbar未満で稼働させる。この圧力はWプロセスパラメータとなる。コア形成器84は、減圧ポンプを用いてWプロセス値としての減圧によって設定される。
【0124】
形成ドラム85の駆動能力、減圧ポンプのコア形成器84に対する減圧能力、及び/又は輸送ライン83を通じて混合を実施するための駆動能力等は、Wプロセス値となる。コアは、コア形成器出口ライン87を通ってコア形成器84から出る。図6中の構成要素1、78、79、81、85は、コンピュータ2上で実施されるコンピュータ生成モデルによって制御される。この目的で、コンピュータ生成モデルは、少なくとも1つの神経回路網、プロセスパラメータ、及び/又はWプロセスパラメータを考慮に入れ、経験記憶装置を用いてプロセス値及び/又はWプロセス値を求めることが好ましい。使用されるデータにより、経験記憶装置はその後の制御及び調節工程に適応するように変更される。プロセスパラメータ及びWプロセスパラメータは、対応するように形成された探測装置(図示されない)によって監視されてよい。個々の構成要素1、78、79、81、85は、信号及び制御供給装置91を通じてコンピュータ2と繋がっている。信号及び制御供給装置91によって、例えば構成要素1、78、79、81、85の中にあるプロセスパラメータ又はWプロセスパラメータを生成する探測装置からのデータがコンピュータに輸送されてもよい。これらのデータは、例えば神経回路網の入力信号としての役割を果たすことができる。また、例えば、構成要素1、78、79、81、85においてプロセス値及び/又はWプロセス値の変更を引き起こす制御信号は、コンピュータ2から構成要素1、78、79、81、85に送られる。多数の信号及び制御供給装置91は、各構成要素1、78、79、81、85に対して特定のバスアドレスを割り当てたバスシステムとして形成されてもよい。さらに、信号及び制御供給装置91は、少なくともその一部を、必要に応じてバスシステムと接続した無線回路網(無線LAN)の形態にしてもよい。
【0125】
図8は、追加処理装置、すなわちコア製造機77を有するおむつ製造機88を概略的に示している。コア製造機77で製造されたコアは、コア形成器出口ライン87を通ってコア製造機77から出る。網体適用機89によって、コアに網体があてがわれる。すなわち、コアは薄い網体(例えば不織素材)で覆われる。これらの網体は、網体がコアを覆うように、特にコアが実質的に覆いの中に閉じこめられるように、互いに及び/又はコアと繋がっていてもよく、特に融接や接着によって完全に結合していてもよい。これらの薄い網体は、一般に、尿などの水性体液の吸収及び輸送のための捕捉層並びに、好ましくは着用者のおむつの横側に水性体液を均一に分配するための分配層を形成する素材である。個々の層とコアの間の移動は、おむつや女性用衛生製品(生理用ナプキン)の液体管理に多大な影響を及ぼす。この関係で、とりわけ層(捕捉シート及びこれに付随する分配シート)とコアの間の距離及び接着剤等の結合剤に注目する必要がある。また、例えば層とコアからなる構造体の厚さ、構造体の単位面積当たりの質量、及び/又は空気透過性も考慮されてよい。巻軸圧力及び/又は接着剤の量はこのことに影響を及ぼす。網体が付与されたコアは、更におむつ形成機90によっておむつに加工する。おむつ形成機90において、特におむつの外側にプラスチックの覆いを形成し、コアはこの形状に合うように変形させる。さらに、柔軟性ヒップバンド、ファスナー及び/又は柔軟性レッグバンド等の様々な追加的部材をおむつに設ける。構造体及びおむつ製造機の機能についての更なる詳細は、Edgar Herrmann博士のEDANA 1997 NORDIC NONWOVENS SYMPOSIUMへの寄稿、標題「Premanufactured Airlaid Composites Containing Superabsorbents」等に記載されている。
【0126】
コア製造機77、網体適用機89、おむつ形成機90は、信号及び制御供給装置91によってコンピュータ2と接続されている。構成要素77、89、90の制御及び調節は、コンピュータ2上で実行されるコンピュータ生成モデル、特に神経回路網によってなされる。このようにして、関係するWプロセスパラメータ、プロセスパラメータ、Wプロセス値及び/又はプロセス値が得られ、必要に応じて神経回路網によって変更される。網体適用機89に関係するプロセスパラメータとしては、特に網体の供給速度、接着剤の量、粘度、温度、組立条件等が挙げられる。おむつ形成機90に関係するプロセスパラメータとしては、例えば接着剤の量、粘度、及び温度等が挙げられる。
【0127】
図9は、ヘッドボックス93及びヘッドボックスに後続する水分除去及び乾燥領域94を有する抄紙機92の概略を示す。ヘッドボックス93において、通常はセルロース素材、水、凝集剤等の適切な接着剤から紙パルプを製造する。これらは、本発明で定義した追加処理成分である。ヘッドボックス93の混合領域において、親水性ポリマーを添加する。親水性ポリマーは、特に製造装置1によって製造することができる。抄紙機92を用いて製造されたポリマー含有紙の用途としては、特にトイレットペーパー、キッチンペーパー及び/又は介護用の紙、更にはハンカチが挙げられる。
【0128】
別の実施形態では、親水性ポリマーの添加は、既に水分除去用の平板があてがわれた紙パルプの中で行ってもよい。抄紙に関係するWプロセスパラメータとしては、特にセルロース繊維の長さ及び/又は長さの分布、紙パルプの水分量、紙パルプの粘度及び/又は温度、pH値、ポリマー粒子(ポリマー粒子及び/又はポリマー繊維)の大きさ及び/又は形状、ポリマー粒子の粒径分布、ポリマー粒子の膨潤及び/又は吸収速度が挙げられる。抄紙に関係するWプロセス値としては、特に凝集剤、酸化剤又は塩基等の添加剤の添加(量及び速度)、特に水分除去及び乾燥領域における水分除去速度、加熱能力及び/又は圧力比、ポリマー添加の時刻及び速度、特にポリマー、繊維、水及び/又は添加剤の濃度及び割合等の調整可能な濃度比が挙げられる。通常、親水性ポリマー含有紙の製造での親水性ポリマーの導入におけるWプロセス値及びWプロセスパラメータは、製造中にポリマーができるだけ水を吸収しないように、すなわち製造後のポリマー含有紙ができるだけ均一になり、吸収及び保持能力が大きくなるように設定すべきである。
【0129】
抄紙機92及び/又は製造装置1は、コンピュータ生成モデル、特に対応する神経回路網によって制御及び/又は調節がなされる。抄紙機92及び/又は製造装置1と、少なくとも1つのコンピュータ生成モデルが実行されるコンピュータの接続は、信号導線91を介してなされる。
【0130】
図10は、WO03/012182A1に記載された、親水性ポリマーを含むセルロース繊維を製造するための繊維製造機95を概略的に示す。紡糸調製機96において、例えばセルロース中間製品、例えば置換セルロース、特にカルボキシメチル化されたセルロースを温浸し(塩基及び二硫化炭素による処理)、紡糸溶液とする(例えばDE2809312A1と比較)。この紡糸溶液に、特に製造装置1によって製造することができる親水性ポリマーを導入する。このようにして得られた紡糸溶液は、紡糸装置97で紡糸し、繊維化する。この繊維に対して、繊維後処理装置98において後処理、特に洗浄及び/又は乾燥がなされる。セルロース中間製品並びに温浸剤、溶解剤及び/又は添加剤は、本発明で定義した追加処理成分である。繊維製造機95は、コンピュータ2上で実行されるコンピュータ生成モデルによって制御又は調節されることが好ましい。紡糸調製機96、紡糸装置97、及び繊維後処理装置98に関係するWプロセスパラメータとしては、特にセルロースの置換の程度、紡糸溶液のpH値、温浸、硫黄分又は紡糸溶液中の別の成分の濃度等の濃度比及び/又は粘度、ポリマー粒子(ポリマー粒子及び/又はポリマー繊維)の大きさ及び/又は形状、ポリマー粒子の粒径分布、ポリマー粒子の膨潤及び/又は吸収速度、紡糸ノズルでの又は紡糸ノズルを通る際の処理速度、質量流量及び/又は剪断力、繊維の伸張度及び/又は番手が挙げられる。紡糸調製機96、紡糸装置97、及び繊維後処理装置98に関係するWプロセス値としては、特に紡糸溶液の塩基化度及び硫化度、紡糸圧力、紡糸速度、繊維がノズルから放出される際の速度、加熱能力、洗浄剤の使用量、混合頻度、混合器の形態、特に親水性ポリマーの紡糸溶液への導入時間等の混合時間が挙げられる。Wプロセス値は、特に均一な紡糸工程が実施されるように、特に、紡糸ノズルが詰まらないように、また親水性ポリマー粒子がセルロース繊維中にできるだけ均一に行き渡るように設定される。
【0131】
図9に示した、かつ上述した抄紙機92によって製造された紙及び/又は図10に示した、かつ上述した繊維製造機95によって製造された繊維又はこの繊維を含む製品は、特にコア及び/又はおむつの製造においては、本発明で定義した追加処理成分として位置付けてもよく、コア製造機77及び/又はおむつ製造機88において用いられてもよい。この場合、図9又は10の追加処理装置の少なくとも1つの神経回路網は、おむつ製造機88又はコア製造機77を制御する神経回路網と繋がっており、特に一定の伝達手段、好ましくは少なくとも1つの相互的ニューロンが存在することが好ましく、また、上記追加処理装置77、88、92、95、及び/又は製造装置1の少なくとも2つ並びに/又はこれらの一部を制御し又は調節する共通の神経回路網が存在することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の製造装置の概略図。
【図2】遊離体領域の概略図。
【図3A】重合領域の概略図。
【図3B】重合領域の概略図。
【図3C】重合領域の概略図。
【図3D】重合領域の概略図。
【図4】第一加工領域の概略図。
【図5】後架橋領域及び追加加工領域の概略図。
【図6】本発明の方法によって制御される追加処理装置の概略図。
【図7】図6の追加処理装置の詳細の概略図。
【図8】本発明の方法によって制御されるおむつ製造機の実施形態の概略図。
【図9】本発明の方法によって制御される抄紙機の実施形態の概略図。
【図10】本発明の方法によって制御される紡糸機の実施形態の概略図。
【符号の説明】
【0133】
1 製造装置
2 コンピュータ
3 遊離体領域
4 重合領域
5 第一加工領域
6 後架橋領域
7 追加加工領域
8 プロセスパラメータライン
9 プロセス値ライン
10 水導入調節器
11 水酸化ナトリウム導入調節器
12 アクリル酸導入調節器
13 架橋剤導入調節器
14 コモノマー導入調節器
15 遊離体混合器
16 遊離体探測装置
17 遊離体部分流量計
18 遊離体冷却器
19 冷却剤取入口
20 冷却剤排出口
21 ガス交換器
22 保護ガス調節器
23 遊離体取入口
24 重合空間
25 触媒又は添加剤導入口
26 遊離体流量計
27 触媒流量計
28 ポリマー
29 ポリマー輸送機
30 重合センサー
31 重合ベルト
32 駆動機
33 ギア
34 ベルトローラー
35 移動方向
36 ケース
37 攪拌機
38 冷却器
39 筐体
40 スクリュー
41 スクリュー羽根
42 駆動機
43 ポリマー導入口
44 細分領域
45 乾燥領域
46 粉砕領域
47 切断機
48 粉砕機(「Wolf」)
49 均質化機
50 細分センサー
51 輸送ベルト
52 乾燥区画
53 粗粉砕ミル
54 微粉砕ミル
55 ミル
56 粉砕間隙
57 粉砕センサー
58 粉砕製品出口
59 粉砕製品入口
60 貯蔵器
61 貯蔵器センサー
62 出口調節器
63 添加剤タンク
64 添加剤出口調節器
65 添加剤混合器
66 添加剤混合器センサー
67 乾燥機
68 乾燥機センサー
69 添加剤タンク
70 添加剤出口調節器
71 添加剤混合器
72 添加剤混合器センサー
73 熟成器
74 熟成器センサー
75 製品排出口
76 乾燥機センサー
77 コア製造機
78 繊維供給機
79 ミル
80 第一供給ライン
81 混合器
82 第二供給ライン
83 輸送ライン
84 コア形成器
85 形成ドラム
86 凹み
87 コア形成器出口ライン
88 おむつ製造機
89 網体適用機
90 おむつ形成機
91 信号及び制御供給装置
92 抄紙機
93 ヘッドボックス
94 水分除去及び乾燥領域
95 繊維製造機
96 紡糸調製機
97 紡糸装置
98 繊維後処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置内で親水性ポリマーを製造するための方法であって、前記製造装置がコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網によって制御される方法。
【請求項2】
前記制御が、少なくとも1つのプロセスパラメータを決定し、前記少なくとも1つのプロセスパラメータに基づく少なくとも1つのプロセス値を用いることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータ生成モデル、好ましくは前記人工神経回路網が前記少なくとも1つのプロセス値を算出する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が連続的に行われる、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が少なくとも2つの工程に分割されている、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの工程のそれぞれにおいて少なくとも1つの工程パラメータをプロセスパラメータとして決定する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの工程パラメータが前記少なくとも1つのプロセス値に影響を与える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)遊離体調製工程、
(b)重合工程、
(c)第一加工工程、
(d)任意の後架橋工程、
(e)任意の追加加工工程、
を少なくとも含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記制御が少なくとも1つの経験パラメータに割り当てられた経験記憶装置を用いて行われる、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの経験パラメータが親水性ポリマーの少なくとも1つの物理的又は化学的特性である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記経験パラメータが次の特性、
P1 水性液体の保持量、
P2 水性液体の吸収量、
P3 圧力下での水性液体の吸収量、
P4 水性液体の吸収率、
P5 圧力下での水性液体の吸収率、
P6 粒径分布、
P7 残渣モノマー量、
P8 生理食塩水流動能力、
P9 かさ密度、
P10 pH値、
P11 流動性、
P12 色、
の少なくとも1つを表す、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記経験記憶装置が前記コンピュータ生成モデル、好ましくは前記人工神経回路網によって明示される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記経験記憶装置が学習過程によって得られる、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記人工神経回路網が、少なくとも1つの第一人工ニューロン及び前記第一人工ニューロンに繋がる少なくとも1つの別の人工ニューロンを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第一人工ニューロンにおいて入力が入力信号によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記別の人工ニューロンから出力信号によって出力が行われる、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセスパラメータが前記第一人工ニューロンの少なくとも1つの入力信号と相関する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセス値が前記少なくとも1つの別の人工ニューロンの少なくとも1つの出力信号と相関する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
親水性ポリマー又はその製造又はこれらの両方と関連して次のG値、
G1 Gプロセスパラメータ、
G2 Gプロセス値、
G3 G経験パラメータ、
の少なくとも1つを予測する予測方法であって、
V1 親水性ポリマーの製造を行う工程と、
V2 次のV値の少なくとも1つを決定する工程と、
i.Vプロセスパラメータ、
ii.Vプロセス値、
iii.V経験パラメータ、
V3 データ処理装置において前記少なくとも1つのV値を処理して、経験記憶装置をコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網の形態に形成する工程と、
V4 前記経験記憶装置に基づいて少なくとも1つのG値を与える工程と、
を含む方法。
【請求項20】
少なくとも1つのG値が前記製造装置の前記制御に寄与する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜18又は20のいずれか1項に記載の方法によって得られる親水性ポリマーを含む複合体、衛生製品、繊維、シート、発泡体、成型体、土壌改良剤、凝集化添加剤、紙添加剤、織物添加剤、水処理添加剤、又は皮革添加剤。
【請求項22】
請求項1〜18又は20のいずれか1項に記載の方法によって得られる親水性ポリマーの、複合体、衛生製品、繊維、シート、発泡体、成型体、土壌改良剤、凝集化添加剤、紙添加剤、織物添加剤、水処理添加剤、又は皮革添加剤における使用。
【請求項23】
親水性ポリマーの物理的特性又は親水性ポリマー及びこれとは異なる少なくとも1つの成分を含む吸収体組成物の物理的特性を用いたプロセス値の決定における人工神経回路網の使用。
【請求項24】
追加処理装置において親水性ポリマーを含む追加処理製品を製造する方法であって、
親水性ポリマー及び少なくとも1つの追加処理成分を供給する工程と、
前記親水性ポリマーと前記少なくとも1つの追加処理成分を接触させて追加処理製品を得る工程と、
を含み、
前記追加処理装置がコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網によって制御される方法。
【請求項25】
前記親水性ポリマーが請求項1〜18又は20のいずれか1項に記載の方法によって得られる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記製造装置の前記コンピュータ生成モデルと前記追加処理装置の前記コンピュータ生成モデルとが互いに作用し合う、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記制御が、少なくとも1つのWプロセスパラメータを決定し、前記少なくとも1つのWプロセスパラメータに基づく少なくとも1つのWプロセス値を用いることによって行われる、請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記コンピュータ生成モデル、好ましくは前記人工神経回路網が前記少なくとも1つのWプロセス値を算出する、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が連続的に行われる、請求項24〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも2つの工程のそれぞれにおいて少なくとも1つのW工程パラメータをWプロセスパラメータとして決定する、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのW工程パラメータが前記少なくとも1つのWプロセス値に影響を与える、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記制御が少なくとも1つのW経験パラメータに割り当てられたW経験記憶装置によって行われる、請求項24〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのW経験パラメータが前記追加処理製品の少なくとも1つの物理的又は化学的特性である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記経験パラメータが次の特性、
W1 再湿潤、
W2 漏出、
W3 吸上、
W4 吸収速度、
W5 液体拡散(拡散方向及び領域での「拡散」)、
W6 乾燥状態及び湿潤状態の完全性、
の少なくとも1つを表す、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記W経験記憶装置が前記コンピュータ生成モデル、好ましくは前記人工神経回路網によって明示される、請求項32〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記W経験記憶装置が学習過程によって得られる、請求項32〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記人工神経回路網が、少なくとも1つの第一人工ニューロン及び前記第一人工ニューロンに繋がる少なくとも1つの別の人工ニューロンを含む、請求項24〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第一人工ニューロンにおいて入力が入力信号によって行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記別の人工ニューロンから出力信号によって出力が行われる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つのWプロセスパラメータが前記第一人工ニューロンの少なくとも1つの入力信号と相互作用する、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つのWプロセス値が前記少なくとも1つの別の人工ニューロンの少なくとも1つの出力信号と相互作用する、請求項37〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
親水性ポリマー及び/又は追加処理製品又はその製造又はこれら両方と関連して、次のWG値、
WG1 Wプロセスパラメータ又はプロセスパラメータ、
WG2 Wプロセス値又はプロセス値、
WG3 W経験パラメータ又は経験パラメータ、
の少なくとも1つを予測する予測方法であって、
V1 追加処理製品の製造を行う工程と、
V2 次のWV値の少なくとも1つを決定する工程と、
i.WVプロセスパラメータ、
ii.WVプロセス値、
iii.WV経験パラメータ、
V3 データ処理装置において前記少なくとも1つのWV値を処理し、経験記憶装置をコンピュータ生成モデル、好ましくは人工神経回路網の形態に形成する工程と、
V4 前記経験記憶装置に基づいて少なくとも1つのWG値を与える工程と、
を含む方法。
【請求項43】
親水性ポリマー及び/又は追加処理製品又はその製造又はこれら両方と関連して、次のWG値、
WG1 Wプロセスパラメータ又はプロセスパラメータ、
WG2 Wプロセス値又はプロセス値、
WG3 W経験パラメータ又は経験パラメータ、
の少なくとも1つを予測する予測方法であって、
利用可能な経験記憶装置に基づく少なくとも1つのWG値を得る方法。
【請求項44】
前記追加処理装置が繊維紡糸機、繊維マトリックス製造機、抄紙機、コア製造機、包帯製造機、又はおむつ製造機である、請求項24〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記追加処理製品が繊維、繊維マトリックス、紙、コア、包帯、又はおむつである、請求項24〜41又は44のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−501837(P2008−501837A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526307(P2007−526307)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006214
【国際公開番号】WO2005/122075
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504341139)ストックハウゼン ゲーエムベーハー (35)
【Fターム(参考)】