コンプライアントシールおよびそのシステムおよび製造方法
【課題】回転機械(10)用のコンプライアントシールアセンブリ(38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)を提供する。
【解決手段】このシールアセンブリは、静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)、移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)および付勢部材を含む。静止部材は、機械に強固に固定されている。移動可能部分は、回転部材(12、39)に対してシールするように構成された第1のシール表面(48)、および前記第1のシール表面(48)を回転部材(12、39)とのシール位置に押しやるように、流体圧力に曝すことができる背表面(46)を有する。付勢部材は、移動可能部材を静止部材上に支持し、移動可能部材をシール位置から離して押しやるように構成される。
【解決手段】このシールアセンブリは、静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)、移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)および付勢部材を含む。静止部材は、機械に強固に固定されている。移動可能部分は、回転部材(12、39)に対してシールするように構成された第1のシール表面(48)、および前記第1のシール表面(48)を回転部材(12、39)とのシール位置に押しやるように、流体圧力に曝すことができる背表面(46)を有する。付勢部材は、移動可能部材を静止部材上に支持し、移動可能部材をシール位置から離して押しやるように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に回転機械の分野に関し、詳しくはタービンエンジンに関する。具体的には、本技術の実施形態は、そのような機械の回転および静止構成部品間のコンプライアントシールを提供する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途で、回転および静止構成部品間のシール装置が要求される。そのようなシールは、それらが機能する環境、それらがシールを形成する液体、それらが動作すると予想される温度範囲などの要因に応じて、構造が変化する可能性がある。例えばタービンおよび同様な用途では、シールは一般に、タービン翼などの回転構成部品の様々な段と、回転構成部品がその中で回転するハウジングまたはシュラウドなどの対応する静止構造体との間に設けられる。
【0003】
ガスおよび蒸気タービンの効率および性能は、回転翼と静止シュラウドの間の、ならびにノズル先端とロータとの間のクリアランスに影響される。ガスおよび蒸気タービンの設計では、回転翼の先端とそれを取り囲む静止シュラウドの間に精密公差を有することが望ましい。タービンエンジンでは、回転翼の先端と静止シュラウドの間のクリアランスを通過する差動流体の部分は、翼に対して何の働きもせず、エンジンの効率を下げることに繋がる。一般に、シュラウドまたは静止構成部品が回転翼の先端を近接して取り囲むほど、タービンエンジンの効率は高くなる。
【0004】
しかしながら、回転翼と静止シュラウドの間のクリアランス寸法は、タービンエンジンの動作中の異なる時間で変動する可能性がある。例えばこのクリアランスは、隣接する回転および静止構成部品間の異なる熱成長、不均一なまたは過渡的な動作に起因して大きく減少し、界表面が擦る原因となる。そのような擦りは、翼および静止シュラウドの迅速な磨耗につながり、タービンエンジンに強制振動を生じさせる可能性がある。
【0005】
シュラウドおよび回転翼の磨耗は、クリアランス寸法を増大させ効率のさらなる低下に繋がるので望ましくない。
【0006】
上記の問題を解決する従来技術の方法は、静止シュラウド表面にシールを使用することを含み、このシール材料は、それらに回転翼が擦ることに関して、磨耗可能または磨減可能に設計される。そのようなシステムでは、翼先端の静止シュラウドが擦りまたは接触すると、磨減可能なシュラウド材料がすり減りまたは薄片に剥がれることとなる。これは回転構成部品の損傷を防止し、かつ、回転および静止構成部品間の異なる熱成長などの過渡的な状態中の擦りを防止するために大きな冷間でのクリアランスを設けなければならない非磨減システムと比較して、減少するクリアランス、すなわちより良いシールをもたらす。しかしながら、この磨減可能システムは、シール材料の寿命低下という不都合を招く。また、焼結金属、金属ハニカムおよび多孔性セラミックなどの様々な材料がシュラウドのために提案されてきたが、以前の磨減可能なシールは望ましい適用性をもたらさなかった。さらに、過渡状態に起因する擦りまたは接触の後では、引き剥がし、摩滅およびスポーリングに起因し、擦りまたは接触によって生じた隙間または磨耗は干渉深さより大きくなる。
【特許文献1】米国特許6,786,487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、過渡期間中の擦りに起因する回転および静止構成部品に対する損傷を最小限にし、この損傷により生じるタービンエンジンの振動レベルを減少させるシール技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術は、そのようなニーズに応じて設計された新規なシール手法を提供する。一態様では、回転機械用のシールアセンブリが提供される。このシールアセンブリは、静止部材、移動可能部材および付勢部材を含む。静止部材は、その前方および後方端部で機械に強固に固定される。移動可能部分は、回転部材に対してシールするように構成された第1のシール表面、および第1のシール表面を回転部材とのシール位置に向かって押しやるため流体圧力に曝される可能性のある背表面を有する。静止および移動可能部材はさらに、静止および移動可能部材間のガスの漏れをシールするために、それらの前方、後方および端部面にシール表面を含む。付勢部材は、移動可能部材を静止部材上に支持し、回転部材が移動可能部材の第1のシール表面と接触中、回転部材上の力を低減することができるように、移動可能部材をシール位置から離して押しやるように構成される。
【0009】
別の態様では、回転機械用のシールを製造する方法が提供される。この方法によれば、移動可能部材は、静止部材上に取り付けられる。移動可能部材は、前方、後方および端部表面に沿って静止部材上に設けられたシール表面と整列する、シールアセンブリの前方、後方および端部表面に沿ったシール表面を有する。1つの開口部が静止部材上に設けられる。この開口部は、移動可能部材をシール位置に向かって押しやるように、移動可能部材を液体圧力に曝すように構成される。1つの付勢部材が、移動可能部材を静止部材上に支持し、シール位置での接触中、回転部材上の力を低減するため、移動可能部材をシール位置から離して押しやるように、移動可能部材上に配設される。
【0010】
さらに別の態様では、タービン内のガス通路をシールする方法が提供される。この方法によれば、静止部材上に取り付けられた移動可能部材は、移動可能部材の背表面に加えられるガス圧力によって、回転タービン翼の先端に向けて押しやられる。移動可能部材は、付勢部材によって静止部材上に支持される。付勢部材は、タービン翼が移動可能部材との接触中、タービン翼上の力を低減するために、移動可能部材をガス圧力から生じる力に抗してタービン翼から離して付勢するように与圧される。
【0011】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むとき、より良く理解されるであろう。図面を通して、同じ記号は同じ部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明は、回転機械の回転および静止構成部品間のシール用の新規な手法を示す。回転機械の一例は、いくつかにのみ言及すると、航空機エンジン、および工業用および海洋用動力発生システムに用途が見出されるタービンである。本技術のいくつかの実施形態によれば、タービンの回転翼を取り囲むシュラウドは、静止部分およびコンプライアント部分を含む。このコンプライアント部分は、翼との接触または擦り中、半径方向外側に移動可能であり、その結果、回転翼ならびに取り囲むシュラウドの磨耗を低減する。
【0013】
次に図1を参照すると、参照番号10によって全体的に指示された、タービンの例示的な一部分が示されている。タービン10は、ロータ(図示せず)に取り付けられた多数の翼12を含む。翼12は、ハンガー16の上に取り付けられた静止したハウジングまたはシュラウド14の内側を回転する。図示の実施形態によれば、シュラウドアセンブリ14は、静止シュラウドとも呼ばれ、ハンガー16に強固に固定されまたは留められている静止部材18、およびコンプライアントシュラウドとも呼ばれる、移動可能な部材20を含む。いくつかの実施形態では、このシュラウドアセンブリ14は、ハンガー16を改変または取り除くことを全くせずに、既存のタービンに改装可能である。以下の節で極めて詳しく説明するように、静止部材18および移動可能部材20は、翼12およびシュラウドアセンブリ14の間のガス通路22用のコンプライアントシールをもたらす。
【0014】
移動可能部材20は、図示の実施形態では移動可能部材の背表面28に冷却ガス26によって加えられる圧力である流体圧力によって、回転翼12の先端部24に向かって付勢される。この流体圧力は、背圧とも呼ばれる。図示の実施形態は裸の先端部24を有する翼12を示すが、別の実施形態は、取り囲むシュラウドの内側に延びるナイフエッジまたはレールとぴったり合う、外側に延びる連続的なナイフエッジまたはレールを有する覆われた(shrouded)先端部を有する翼を含むことができる。冷却ガス26は、ハンガー16に設けられた穴30を介してシュラウドアセンブリ14に入り、邪魔板32または孔(図示せず)を介して移動可能部材20に向かうことができる。冷却ガス26は次いで、シュラウドアセンブリ14の前方端部34に向かうことができる。これは、後方端部36より比較的に高温である前方端部34の冷却を助ける。この説明では、術語前方端部は、高温ガスまたは作動流体がそこから回転翼に流れる端部を言い、術語後方端部は、高温ガスが回転アセンブリに仕事をした後でそこへ流れる端部を言う。
【0015】
本技術は、高温ガスの流路22に増大する抵抗を設け、その結果前方および後方端部間に高温ガスのより高い圧力差を作り出すために、冷却ガス26の背圧を取り入れている。これによって、高温ガスによって回転翼12に行われる仕事が増大し、したがって、タービン効率が改善する。さらに、本技術によれば、静止部材18および移動可能部材20を含むコンプライアントシールアセンブリは、特定の過渡期間中の静止および回転構成部品の擦りまたは干渉中、翼12ならびにシュラウド14の反力を低減するように構成される。
【0016】
図2乃至図4を全体的に参照すると、コンプライアントシール機構が、翼などの回転部材39を有するタービンなどの回転機械を備えることができるシステム38について概略的に示されている。このシステム38は、スロット42を有する静止部材40を含む。移動可能部材44は、静止部材40に取り付けられる。この移動可能部材44は、背表面46、シール表面48、および静止部材40のスロット42を貫通して延びる延長部50を有する。移動可能部材44は、付勢部材52によって静止部材40に支持される。付勢部材の一例は、後で説明するように、板ばね、または片持ちばねなどのばねである。付勢部材は移動可能部材を回転部材39から離して押しやるように構成される。これは組み立て時に付勢部材52に与圧を加えることによって達成される。付勢部材40は、機械の定常運転中、移動可能部材44の機械的な安定を可能にするようになされることもできる。
【0017】
図2は、移動可能部材44の背表面46に加えられた、比較的小さな流体圧力があるときの、無負荷状態でのシステム38の配置を示す。そのような状態の一例は、回転機械の起動中である。そのような状態の下では、移動可能部材44のシール表面48と回転部材39の間にクリアランスC1が存在する。
【0018】
図3は、流体圧力Pが移動可能部材44の背表面46に加えられたときのシステム38の配置を示す。タービンの場合は、前に説明したように、全負荷での流体圧力は静止ハウジングの開口部を介した冷却ガスによって供給される。背表面46の流体圧力Pは、シール表面48を半径方向内側に、回転部材39とのシール位置に向かって押しやる。ハードストップ54を、移動可能部材44の半径方向内側に流体圧力によって作動された動作を制限するために設けることができる。そのような状態では、移動可能部材44のシール表面48と回転部材の間のクリアランスC2は、図2に示す無負荷でのクリアランスC1よりかなり少ない。したがって、流体圧力Pは、静止および回転構成部品間の作動流体の漏れを減少させ、その結果、作動流体によって行われる回転部材39上の有用な仕事が増大する。付勢部材52は、流体圧力によって加えられる力に抗して、移動可能部材44を回転部材39とのシール位置から離して、半径方向外側に押しやるように配置される。
【0019】
図4は、回転部材39が移動可能部材44と擦り、接触または干渉中の、システム38の配置を示す。そのような状態は、静止および回転構成部品間に異なる熱成長が存在する、熱的過渡期間中に起きる可能性がある。そのような状態の下では、回転部材39および移動可能部材44の接触力または反力は、移動可能部材44のシール表面48を回転部材39から離して押しやるように、移動可能部材44に半径方向外側の力を加える付勢部材52によってかなり低減される。これによって、擦りまたは接触の過酷さはより少なくなり、境界表面上の磨耗を低減し、その結果、回転機械の回転および静止構成部品の寿命を増大させる。接触力の低減によって、そのような機械の振動レベルも相当に低下する。
【0020】
図5および図6を全体的に参照すると、本技術の態様によるコンプライアントシールアセンブリ56の断面図が示されている。図5は、付勢部材の付勢効果が流体背圧より大きいときの、コンプライアントシールアセンブリ56の配置を示す。シールアセンブリ56の前方端部および後方端部が、数字58および60でそれぞれ全体的に示されている。シールアセンブリは、静止部材62および静止部材62の窓に似たスロット68を貫通して挿入された延長部66を有する移動可能部材64を含む。移動可能部材64は、図の平面に垂直なシールアセンブリの弧の長さに沿って、それぞれ前方および後方端部に沿って延びる、静止部分の対応する勾配付きの表面74および76に対応して整列する、勾配付きの表面70および72を含む。この分野の技術者に当然分かるように、図示の実施形態では勾配付きの表面が設けられているが、勿論他の形状のシール表面も予想することができる。
【0021】
上記の配置は、いくつかの点で有利である。勾配付きの表面70、74および72、76は、前方および後方端部で静止部材62と移動可能部材64の間の自然シールをもたらす。このシール表面は、コンプライアントシュラウドアセンブリの空洞をパージするのに十分な背圧を供給する。これは、高温ガスと冷却ガスの間に負の圧力差がある場合、冷却ガス中への高温ガスの吸い込みも減少させる。さらに、勾配付きの表面は、図6に示すように付勢部材の付勢効果が流体背圧より小さいとき、流体圧力によって起きる移動可能部材の半径方向内側への移動を制限する自然ハードストップをもたらす。これによって、付勢部材(図示せず)が破損した場合、移動可能部材および回転翼の損傷が防止される。当然分かるように、上記の配置はさらに移動可能部材64の機械的支持を形成し、それは移動可能部材64の振動を低減し、その結果、定常状態中の機械的安定性をもたらす。
【0022】
図7は、本技術の別の実施形態による、コンプライアントシールアセンブリ78の断面を示す。この場合は、静止部材80と移動可能部材82の間のシールは、スロット86で静止および移動可能部材間に係合するロープシール84によって行われる。このロープシール84は、スロット86の長さに沿って(図の平面と垂直な)円周方向に延び、コンプライアントシュラウドアセンブリの空洞をバージするのに十分な背圧を供給し、かつ、スロット86を通る冷却ガス中への高温ガスの吸い込みを防止する。コンプライアントシールアセンブリ87用の、さらに別の、前方および後方端部でのシール手法を図8に示す。ここでは、ロープシール88が、静止部材80および移動可能部材82のそれぞれの表面90および92の間と表面94および96の間に係合している。この場合も、図示のロープシールの代わりに、他の型式および形態のシールを使用することができる。
【0023】
これに先立って説明した、コンプライアントシールアセンブリの様々な実施形態は、完全な輪または1つの輪の1つのセグメントを形成することができる。しかしながら、タービンなどの回転機械は一般に、互に隣接して円周方向に配置されるコンプライアントシールアセンブリの多数のセグメントを備えることができる。各セグメントは、隣接するセグメントの対応する端部面と接合する2枚の端部表面を有する。この後で分かるように、本技術の態様は、コンプライアントシールアセンブリの端部面に静止シールを設け、2つの隣接するコンプライアントシールアセンブリセグメントの間の接合面での、回転翼の干渉を最小限にするためにも使用することができる。
【0024】
図9は、静止部材100および移動可能部材102を有するコンプライアントシールアセンブリ98の1つのセグメントを示す。この図は、シールアセンブリ98の前方端部から後方端部の方向に見た、移動可能部材102の切断部を示す。コンプライアントシールアセンブリ98の端部面が、参照番号104および106に示されている。移動可能部材は、突出構造またはリップ108および110を有しており、それらは静止部材100に設けられた対応するリップ112および114とそれぞれオーバーラップしている。これによって、静止部材100と移動可能部材102の間のシールが端部面で行われ、端部面を通る冷却流体の漏れが防止される。上記で説明した配置は、二重リップシール配置とも呼ばれる。さらに、一実施形態では、移動可能部材102をシール位置から押しやるための付勢部材(図示せず)を挿入するために、移動可能部材102内にスロット117を設けることもできる。
【0025】
図10は、端部面シールのための別の手法を示す。この実施形態では、シールアセンブリセグメント118は、1つのセグメントの面取り部が隣接するセグメントの突出部と接合し、その結果、隣接して配置されるコンプライアントシールセグメントの効果的なカスケードを可能にするように、端部面128に面取り部126を、端部面124に突出部122を有する静止部材119および移動可能部材120を備える。これによって、隣接セグメント間の接合部分での回転翼による干渉が低減される。接合シール130は、開口部131をパージするための適切な背圧をもたらすように、2つの端部面124および128で、移動可能部材120と静止部材119の間に係合される。この実施形態では、接合面シール130は、W字形の断面を有する。別の実施形態では、図11に示すように、W字形のシールの代わりにロープシール133を使用することができる。この場合も、これらの代わりに他のシール形状も使用することができる。
【0026】
本技術の態様は、コンプライアントシールの製造および組み立ても提供する。図12は、本技術の一実施形態によるコンプライアントシール134の製造および組み立てを示す。図示の実施形態では、コンプライアントシール134は、静止部材136と基台140およびリブまたは保持延長部142を有する移動可能部材138を備える。基台140は、勾配のついた表面144および146を有し、それらは静止部材136に設けられた勾配の付いた表面148および150と整列するようになされている。この実施形態では、基台140およびリブ142は別々に製造される。基台140は、基台140の勾配の付いた表面144および146が静止部材136の勾配の付いた表面148および150と整列するように、静止部材136の勾配の付いた表面148および150によって形成される静止部材の空洞部152内に端部面から挿入される。次いで、リブ142が、基台140に設けられたスロット154内に底部から挿入され、静止部材136のスロット156を通り、静止部材136を貫通して延びる。次いでリブ142は、基台140に固定して連結される。例示的な実施形態では、これはリブ142を基台140にろう付けすることによって行われる。勿論、これらの部品を一緒に固定する他の技術も使用することができる。図に示すように、リブ142の下側部分は、外向きに角度がついている。この形状は、移動可能部材138の回転翼との接触中、ろう付けされた連結部に都合よく圧縮力を生じさせ、その結果、ろう付けされた連結部に構造的な強度をもたらす。
【0027】
図13は、コンプライアントシール157の製造および組み立ての別の技術を示す。この実施形態では、リブ158は、静止部材162に設けられたスロット160を介して、移動可能部材168の基台166の空洞164内に、上から挿入される。前の実施形態と異なり、リブ158は基台166を貫通して延びない。したがって、この技術は、擦りまたは接触中、基台166の回転翼との連続的な接合表面を都合よくもたらし、その結果、干渉および振動を最小限にする。
【0028】
さらに別の実施形態では、移動可能部材は単一部片として製造される。すなわち、リブまたは保持延長部が移動可能部材と一体である。図14は、前方および後方端部が数字172および174でそれぞれ示される、コンプライアントシール170の一セグメントを示す。この実施形態では、移動可能部材176は、基台178およびリブまたは保持延長部180を有する単一ユニットとして製造される。移動可能部材176は、静止部材184の1つの端部面188に設けられた窓または開口部186を介して、静止部材184のスロット182内に挿入される。組み立て後、窓186は、不必要な漏れを防止するために、ろう付けまたはかしめによって栓をされ、次いでシールされる。別法として、図15でコンプライアントシール189として示すように、静止部材192の端部面190の高さの一部に沿って開口部を設ける代わりに、端部面190の全高さに沿って切欠部または開口部194を設けることができる。移動可能部材176は次いで、開口部194を通してスロット182内に摺動して入れられ、開口部は次いで、ろう付け、かしめ、または他の任意の適切な作業によって栓をされ、シールされる。
【0029】
本技術によれば、コンプライアントシールは、翼の移動可能部材との接触または擦り中、翼および移動可能部材上の力を低減させるため、移動可能部材を回転翼とのシール位置から離して付勢するように、組み立て時に一般に与圧される付勢部材を備える。しかしながら提案された配置は、シールをそれらのシール位置に押しやるのに、図示の実施形態で機械内に既に存在するガス圧力を使用する。したがって、シールアセンブリを横切る差圧によってシール位置が保持され、一方、移動可能部材の移動、および付勢部材の助けによって、シールアセンブリの回転構成部品との適応(compliance)が可能となる。
【0030】
図16は、静止部材202、移動可能部材204、および図示の実施形態ではコックルばね(cockle spring)とも称される板ばねである1つまたは複数の付勢部材206を有するコンプライアントシール200を示す。一実施形態では、板ばね206は、移動可能部材204に設けられたスロット208を貫通して挿入され、移動可能部材204を静止部材202上に支持するために、静止部材202に端部209で固定される。組み立て時、板ばねは、移動可能部材204に半径方向外向きの力を加えるように圧縮によって与圧され、これが翼との接触または擦り中、移動可能部材204の接触負荷を低減させる。図示の実施形態では、移動可能部材204の背表面210が、流体圧力への暴露のための比較的大きな表面を有しており、したがって、コンプライアントシールを回転翼に向かって効果的に押しやるので有利である。
【0031】
図17は、付勢部材として片持ちばねを使用する別の付勢技術を組み込んだ、コンプライアントシール211を示す。この実施形態では、図18に分離して示すように、ブロック212および214は移動可能部材216と一体で、かつ一緒に鋳造することができる。ブロック212および214は、移動可能部材216に端部218および220で一体で固定されており、ブロック212および214が曲げて得られる角度位置によって与圧されるように、組み立て時に静止部材224の内部表面222と端部226および228で接合する。これによって、ブロック212および214は、移動可能部材216を回転翼とのシール位置から離して半径方向外向きに付勢し、その結果、翼との接触または擦り中移動可能部材216の接触負荷を低減する、片持ち梁として機能するようになる。
【0032】
上記で述べたように、本技術は、新しい機械(すなわち、それらの当初の設計)に使用することができ、または既存の装置を改装することもできる。従来型のタービンは、シール用の何らかの種類のハンガー形状を通常含むので、コンプライアントシールアセンブリを、従来型のシールの代わりに、そのようなハンガーに嵌合し、接合するように設計することができる。したがって、機械の定期的なまたは特別な整備中などに、従来型シールを取り外し、本技術によって提供されるコンプライアント構造に交換することができる。
【0033】
したがって、上記で説明したシール技術は、前方および後方端部、ならびに端部面での高温ガスの漏れに対する効果的なシールをもたらし、一方、シールの改良された機械的強度および安定性ももたらす。これは、より高い作動効率とシールおよび回転翼の寿命延長に繋がる。本技術の重要な特徴は、ロータ翼が囲われているまたは囲われていない場合のあるタービン段に使用することができることである。さらに、上記で述べたように、本明細書で説明したコンプライアントシールの様々な実施形態は改装可能である、すなわち、それらは既存の機械に、既存の設計に対し最小限の変更と、最小限の新たな部品数で使用することができる。
【0034】
本明細書で本発明のいくつかの特徴のみ図示し、説明してきたが、多くの改変および変更がこの分野の技術者に見出されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨内にある全てのそのような改変および変更を包含するものとすることを理解されたい。なお、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本技術の態様によるコンプライアントシールアセンブリを組み込んだタービンエンジンの1部分の断面図である。
【図2】流体背圧がない、コンプライアントシールアセンブリを含むシステムの配置を示す断面概略図である。
【図3】流体背圧に曝された、コンプライアントシールアセンブリを含むシステムの配置を示す断面概略図である。
【図4】移動可能部材と回転部材の間の擦りまたは接触中の、流体背圧に曝された、コンプライアントシールアセンブリの配置を示す断面概略図である。
【図5】付勢部材の付勢効果が流体背圧より大きいときの、本技術の一態様による、前方および後方端部で勾配付きの縁部を有するコンプライアントシールアセンブリを示す断面図である。
【図6】付勢部材の付勢効果が流体背圧より小さいときの、本技術の一態様による、前方および後方端部で勾配付きの縁部を有するコンプライアントシールアセンブリを示す断面図である。
【図7】保持延長部と静止部材の間に係合されたロープシールを有するコンプライアントシールアセンブリの断面図である。
【図8】シールアセンブリの前方および後方端部で、コンプライアント部材と静止部材の間に係合されたロープシールを有する、コンプライアントシールアセンブリの断面図である。
【図9】コンプライアントシールアセンブリの端部面に、二重のリップシールを有するコンプライアントシールアセンブリの一部分に沿った、切断面を示す斜視図である。
【図10】シールアセンブリの端部面で、静止および移動可能部材間に係合されたWシールを有する、コンプライアントシールアセンブリの一部分に沿った、切断面を示す斜視図である。
【図11】シールアセンブリの端部面で、静止および移動可能部材間に係合されたロープを有する、コンプライアントシールアセンブリの一部分に沿った、切断面を示す斜視図である。
【図12】本技術の一実施形態により組み立てられた、コンプライアントシールの断面概略図である。
【図13】本技術の別の実施形態により組み立てられた、コンプライアントシールの断面概略図である。
【図14】本技術のさらに別の実施形態により組み立てられた、移動可能部材が端部面の窓を介して静止部材の開口部を貫通して静止部材に摺動可能に嵌合された、コンプライアントシールの斜視図である。
【図15】本技術のさらに別の実施形態により組み立てられた、移動可能部材が端部面の切断部を介して静止部材の開口部を貫通して静止部材に摺動可能に嵌合された、コンプライアントシールの斜視図である。
【図16】本技術の一実施形態による、付勢部材として板ばねを有する、コンプライアントシールアセンブリの斜視図である。
【図17】付勢部材として片持ちばねを有する、コンプライアントシールアセンブリの斜視図である。
【図18】移動可能部材と一体の片持ちブロックを有する、図17の移動可能部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 回転機械
12、39 翼、回転部材
14 シュラウド
16 ハンガー
18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、2
02、226 静止部材
20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、2
16 移動可能部材
22 高温ガス流路
24 先端部
26 冷却ガス
34、58、172 前方端部
36、60、174 後方端部
38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、21
1 コンプライアントシールアセンブリ
46 背表面
48、70、72、74、76、108、110 シール表面
52、206、212、214 付勢部材
104、106 端部面
108、110、112、114 リップ
140、166、178 基台
160、186、194 開口部
152、164 空洞
206 板ばね
214、216 片持ちばね
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に回転機械の分野に関し、詳しくはタービンエンジンに関する。具体的には、本技術の実施形態は、そのような機械の回転および静止構成部品間のコンプライアントシールを提供する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途で、回転および静止構成部品間のシール装置が要求される。そのようなシールは、それらが機能する環境、それらがシールを形成する液体、それらが動作すると予想される温度範囲などの要因に応じて、構造が変化する可能性がある。例えばタービンおよび同様な用途では、シールは一般に、タービン翼などの回転構成部品の様々な段と、回転構成部品がその中で回転するハウジングまたはシュラウドなどの対応する静止構造体との間に設けられる。
【0003】
ガスおよび蒸気タービンの効率および性能は、回転翼と静止シュラウドの間の、ならびにノズル先端とロータとの間のクリアランスに影響される。ガスおよび蒸気タービンの設計では、回転翼の先端とそれを取り囲む静止シュラウドの間に精密公差を有することが望ましい。タービンエンジンでは、回転翼の先端と静止シュラウドの間のクリアランスを通過する差動流体の部分は、翼に対して何の働きもせず、エンジンの効率を下げることに繋がる。一般に、シュラウドまたは静止構成部品が回転翼の先端を近接して取り囲むほど、タービンエンジンの効率は高くなる。
【0004】
しかしながら、回転翼と静止シュラウドの間のクリアランス寸法は、タービンエンジンの動作中の異なる時間で変動する可能性がある。例えばこのクリアランスは、隣接する回転および静止構成部品間の異なる熱成長、不均一なまたは過渡的な動作に起因して大きく減少し、界表面が擦る原因となる。そのような擦りは、翼および静止シュラウドの迅速な磨耗につながり、タービンエンジンに強制振動を生じさせる可能性がある。
【0005】
シュラウドおよび回転翼の磨耗は、クリアランス寸法を増大させ効率のさらなる低下に繋がるので望ましくない。
【0006】
上記の問題を解決する従来技術の方法は、静止シュラウド表面にシールを使用することを含み、このシール材料は、それらに回転翼が擦ることに関して、磨耗可能または磨減可能に設計される。そのようなシステムでは、翼先端の静止シュラウドが擦りまたは接触すると、磨減可能なシュラウド材料がすり減りまたは薄片に剥がれることとなる。これは回転構成部品の損傷を防止し、かつ、回転および静止構成部品間の異なる熱成長などの過渡的な状態中の擦りを防止するために大きな冷間でのクリアランスを設けなければならない非磨減システムと比較して、減少するクリアランス、すなわちより良いシールをもたらす。しかしながら、この磨減可能システムは、シール材料の寿命低下という不都合を招く。また、焼結金属、金属ハニカムおよび多孔性セラミックなどの様々な材料がシュラウドのために提案されてきたが、以前の磨減可能なシールは望ましい適用性をもたらさなかった。さらに、過渡状態に起因する擦りまたは接触の後では、引き剥がし、摩滅およびスポーリングに起因し、擦りまたは接触によって生じた隙間または磨耗は干渉深さより大きくなる。
【特許文献1】米国特許6,786,487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、過渡期間中の擦りに起因する回転および静止構成部品に対する損傷を最小限にし、この損傷により生じるタービンエンジンの振動レベルを減少させるシール技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術は、そのようなニーズに応じて設計された新規なシール手法を提供する。一態様では、回転機械用のシールアセンブリが提供される。このシールアセンブリは、静止部材、移動可能部材および付勢部材を含む。静止部材は、その前方および後方端部で機械に強固に固定される。移動可能部分は、回転部材に対してシールするように構成された第1のシール表面、および第1のシール表面を回転部材とのシール位置に向かって押しやるため流体圧力に曝される可能性のある背表面を有する。静止および移動可能部材はさらに、静止および移動可能部材間のガスの漏れをシールするために、それらの前方、後方および端部面にシール表面を含む。付勢部材は、移動可能部材を静止部材上に支持し、回転部材が移動可能部材の第1のシール表面と接触中、回転部材上の力を低減することができるように、移動可能部材をシール位置から離して押しやるように構成される。
【0009】
別の態様では、回転機械用のシールを製造する方法が提供される。この方法によれば、移動可能部材は、静止部材上に取り付けられる。移動可能部材は、前方、後方および端部表面に沿って静止部材上に設けられたシール表面と整列する、シールアセンブリの前方、後方および端部表面に沿ったシール表面を有する。1つの開口部が静止部材上に設けられる。この開口部は、移動可能部材をシール位置に向かって押しやるように、移動可能部材を液体圧力に曝すように構成される。1つの付勢部材が、移動可能部材を静止部材上に支持し、シール位置での接触中、回転部材上の力を低減するため、移動可能部材をシール位置から離して押しやるように、移動可能部材上に配設される。
【0010】
さらに別の態様では、タービン内のガス通路をシールする方法が提供される。この方法によれば、静止部材上に取り付けられた移動可能部材は、移動可能部材の背表面に加えられるガス圧力によって、回転タービン翼の先端に向けて押しやられる。移動可能部材は、付勢部材によって静止部材上に支持される。付勢部材は、タービン翼が移動可能部材との接触中、タービン翼上の力を低減するために、移動可能部材をガス圧力から生じる力に抗してタービン翼から離して付勢するように与圧される。
【0011】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むとき、より良く理解されるであろう。図面を通して、同じ記号は同じ部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明は、回転機械の回転および静止構成部品間のシール用の新規な手法を示す。回転機械の一例は、いくつかにのみ言及すると、航空機エンジン、および工業用および海洋用動力発生システムに用途が見出されるタービンである。本技術のいくつかの実施形態によれば、タービンの回転翼を取り囲むシュラウドは、静止部分およびコンプライアント部分を含む。このコンプライアント部分は、翼との接触または擦り中、半径方向外側に移動可能であり、その結果、回転翼ならびに取り囲むシュラウドの磨耗を低減する。
【0013】
次に図1を参照すると、参照番号10によって全体的に指示された、タービンの例示的な一部分が示されている。タービン10は、ロータ(図示せず)に取り付けられた多数の翼12を含む。翼12は、ハンガー16の上に取り付けられた静止したハウジングまたはシュラウド14の内側を回転する。図示の実施形態によれば、シュラウドアセンブリ14は、静止シュラウドとも呼ばれ、ハンガー16に強固に固定されまたは留められている静止部材18、およびコンプライアントシュラウドとも呼ばれる、移動可能な部材20を含む。いくつかの実施形態では、このシュラウドアセンブリ14は、ハンガー16を改変または取り除くことを全くせずに、既存のタービンに改装可能である。以下の節で極めて詳しく説明するように、静止部材18および移動可能部材20は、翼12およびシュラウドアセンブリ14の間のガス通路22用のコンプライアントシールをもたらす。
【0014】
移動可能部材20は、図示の実施形態では移動可能部材の背表面28に冷却ガス26によって加えられる圧力である流体圧力によって、回転翼12の先端部24に向かって付勢される。この流体圧力は、背圧とも呼ばれる。図示の実施形態は裸の先端部24を有する翼12を示すが、別の実施形態は、取り囲むシュラウドの内側に延びるナイフエッジまたはレールとぴったり合う、外側に延びる連続的なナイフエッジまたはレールを有する覆われた(shrouded)先端部を有する翼を含むことができる。冷却ガス26は、ハンガー16に設けられた穴30を介してシュラウドアセンブリ14に入り、邪魔板32または孔(図示せず)を介して移動可能部材20に向かうことができる。冷却ガス26は次いで、シュラウドアセンブリ14の前方端部34に向かうことができる。これは、後方端部36より比較的に高温である前方端部34の冷却を助ける。この説明では、術語前方端部は、高温ガスまたは作動流体がそこから回転翼に流れる端部を言い、術語後方端部は、高温ガスが回転アセンブリに仕事をした後でそこへ流れる端部を言う。
【0015】
本技術は、高温ガスの流路22に増大する抵抗を設け、その結果前方および後方端部間に高温ガスのより高い圧力差を作り出すために、冷却ガス26の背圧を取り入れている。これによって、高温ガスによって回転翼12に行われる仕事が増大し、したがって、タービン効率が改善する。さらに、本技術によれば、静止部材18および移動可能部材20を含むコンプライアントシールアセンブリは、特定の過渡期間中の静止および回転構成部品の擦りまたは干渉中、翼12ならびにシュラウド14の反力を低減するように構成される。
【0016】
図2乃至図4を全体的に参照すると、コンプライアントシール機構が、翼などの回転部材39を有するタービンなどの回転機械を備えることができるシステム38について概略的に示されている。このシステム38は、スロット42を有する静止部材40を含む。移動可能部材44は、静止部材40に取り付けられる。この移動可能部材44は、背表面46、シール表面48、および静止部材40のスロット42を貫通して延びる延長部50を有する。移動可能部材44は、付勢部材52によって静止部材40に支持される。付勢部材の一例は、後で説明するように、板ばね、または片持ちばねなどのばねである。付勢部材は移動可能部材を回転部材39から離して押しやるように構成される。これは組み立て時に付勢部材52に与圧を加えることによって達成される。付勢部材40は、機械の定常運転中、移動可能部材44の機械的な安定を可能にするようになされることもできる。
【0017】
図2は、移動可能部材44の背表面46に加えられた、比較的小さな流体圧力があるときの、無負荷状態でのシステム38の配置を示す。そのような状態の一例は、回転機械の起動中である。そのような状態の下では、移動可能部材44のシール表面48と回転部材39の間にクリアランスC1が存在する。
【0018】
図3は、流体圧力Pが移動可能部材44の背表面46に加えられたときのシステム38の配置を示す。タービンの場合は、前に説明したように、全負荷での流体圧力は静止ハウジングの開口部を介した冷却ガスによって供給される。背表面46の流体圧力Pは、シール表面48を半径方向内側に、回転部材39とのシール位置に向かって押しやる。ハードストップ54を、移動可能部材44の半径方向内側に流体圧力によって作動された動作を制限するために設けることができる。そのような状態では、移動可能部材44のシール表面48と回転部材の間のクリアランスC2は、図2に示す無負荷でのクリアランスC1よりかなり少ない。したがって、流体圧力Pは、静止および回転構成部品間の作動流体の漏れを減少させ、その結果、作動流体によって行われる回転部材39上の有用な仕事が増大する。付勢部材52は、流体圧力によって加えられる力に抗して、移動可能部材44を回転部材39とのシール位置から離して、半径方向外側に押しやるように配置される。
【0019】
図4は、回転部材39が移動可能部材44と擦り、接触または干渉中の、システム38の配置を示す。そのような状態は、静止および回転構成部品間に異なる熱成長が存在する、熱的過渡期間中に起きる可能性がある。そのような状態の下では、回転部材39および移動可能部材44の接触力または反力は、移動可能部材44のシール表面48を回転部材39から離して押しやるように、移動可能部材44に半径方向外側の力を加える付勢部材52によってかなり低減される。これによって、擦りまたは接触の過酷さはより少なくなり、境界表面上の磨耗を低減し、その結果、回転機械の回転および静止構成部品の寿命を増大させる。接触力の低減によって、そのような機械の振動レベルも相当に低下する。
【0020】
図5および図6を全体的に参照すると、本技術の態様によるコンプライアントシールアセンブリ56の断面図が示されている。図5は、付勢部材の付勢効果が流体背圧より大きいときの、コンプライアントシールアセンブリ56の配置を示す。シールアセンブリ56の前方端部および後方端部が、数字58および60でそれぞれ全体的に示されている。シールアセンブリは、静止部材62および静止部材62の窓に似たスロット68を貫通して挿入された延長部66を有する移動可能部材64を含む。移動可能部材64は、図の平面に垂直なシールアセンブリの弧の長さに沿って、それぞれ前方および後方端部に沿って延びる、静止部分の対応する勾配付きの表面74および76に対応して整列する、勾配付きの表面70および72を含む。この分野の技術者に当然分かるように、図示の実施形態では勾配付きの表面が設けられているが、勿論他の形状のシール表面も予想することができる。
【0021】
上記の配置は、いくつかの点で有利である。勾配付きの表面70、74および72、76は、前方および後方端部で静止部材62と移動可能部材64の間の自然シールをもたらす。このシール表面は、コンプライアントシュラウドアセンブリの空洞をパージするのに十分な背圧を供給する。これは、高温ガスと冷却ガスの間に負の圧力差がある場合、冷却ガス中への高温ガスの吸い込みも減少させる。さらに、勾配付きの表面は、図6に示すように付勢部材の付勢効果が流体背圧より小さいとき、流体圧力によって起きる移動可能部材の半径方向内側への移動を制限する自然ハードストップをもたらす。これによって、付勢部材(図示せず)が破損した場合、移動可能部材および回転翼の損傷が防止される。当然分かるように、上記の配置はさらに移動可能部材64の機械的支持を形成し、それは移動可能部材64の振動を低減し、その結果、定常状態中の機械的安定性をもたらす。
【0022】
図7は、本技術の別の実施形態による、コンプライアントシールアセンブリ78の断面を示す。この場合は、静止部材80と移動可能部材82の間のシールは、スロット86で静止および移動可能部材間に係合するロープシール84によって行われる。このロープシール84は、スロット86の長さに沿って(図の平面と垂直な)円周方向に延び、コンプライアントシュラウドアセンブリの空洞をバージするのに十分な背圧を供給し、かつ、スロット86を通る冷却ガス中への高温ガスの吸い込みを防止する。コンプライアントシールアセンブリ87用の、さらに別の、前方および後方端部でのシール手法を図8に示す。ここでは、ロープシール88が、静止部材80および移動可能部材82のそれぞれの表面90および92の間と表面94および96の間に係合している。この場合も、図示のロープシールの代わりに、他の型式および形態のシールを使用することができる。
【0023】
これに先立って説明した、コンプライアントシールアセンブリの様々な実施形態は、完全な輪または1つの輪の1つのセグメントを形成することができる。しかしながら、タービンなどの回転機械は一般に、互に隣接して円周方向に配置されるコンプライアントシールアセンブリの多数のセグメントを備えることができる。各セグメントは、隣接するセグメントの対応する端部面と接合する2枚の端部表面を有する。この後で分かるように、本技術の態様は、コンプライアントシールアセンブリの端部面に静止シールを設け、2つの隣接するコンプライアントシールアセンブリセグメントの間の接合面での、回転翼の干渉を最小限にするためにも使用することができる。
【0024】
図9は、静止部材100および移動可能部材102を有するコンプライアントシールアセンブリ98の1つのセグメントを示す。この図は、シールアセンブリ98の前方端部から後方端部の方向に見た、移動可能部材102の切断部を示す。コンプライアントシールアセンブリ98の端部面が、参照番号104および106に示されている。移動可能部材は、突出構造またはリップ108および110を有しており、それらは静止部材100に設けられた対応するリップ112および114とそれぞれオーバーラップしている。これによって、静止部材100と移動可能部材102の間のシールが端部面で行われ、端部面を通る冷却流体の漏れが防止される。上記で説明した配置は、二重リップシール配置とも呼ばれる。さらに、一実施形態では、移動可能部材102をシール位置から押しやるための付勢部材(図示せず)を挿入するために、移動可能部材102内にスロット117を設けることもできる。
【0025】
図10は、端部面シールのための別の手法を示す。この実施形態では、シールアセンブリセグメント118は、1つのセグメントの面取り部が隣接するセグメントの突出部と接合し、その結果、隣接して配置されるコンプライアントシールセグメントの効果的なカスケードを可能にするように、端部面128に面取り部126を、端部面124に突出部122を有する静止部材119および移動可能部材120を備える。これによって、隣接セグメント間の接合部分での回転翼による干渉が低減される。接合シール130は、開口部131をパージするための適切な背圧をもたらすように、2つの端部面124および128で、移動可能部材120と静止部材119の間に係合される。この実施形態では、接合面シール130は、W字形の断面を有する。別の実施形態では、図11に示すように、W字形のシールの代わりにロープシール133を使用することができる。この場合も、これらの代わりに他のシール形状も使用することができる。
【0026】
本技術の態様は、コンプライアントシールの製造および組み立ても提供する。図12は、本技術の一実施形態によるコンプライアントシール134の製造および組み立てを示す。図示の実施形態では、コンプライアントシール134は、静止部材136と基台140およびリブまたは保持延長部142を有する移動可能部材138を備える。基台140は、勾配のついた表面144および146を有し、それらは静止部材136に設けられた勾配の付いた表面148および150と整列するようになされている。この実施形態では、基台140およびリブ142は別々に製造される。基台140は、基台140の勾配の付いた表面144および146が静止部材136の勾配の付いた表面148および150と整列するように、静止部材136の勾配の付いた表面148および150によって形成される静止部材の空洞部152内に端部面から挿入される。次いで、リブ142が、基台140に設けられたスロット154内に底部から挿入され、静止部材136のスロット156を通り、静止部材136を貫通して延びる。次いでリブ142は、基台140に固定して連結される。例示的な実施形態では、これはリブ142を基台140にろう付けすることによって行われる。勿論、これらの部品を一緒に固定する他の技術も使用することができる。図に示すように、リブ142の下側部分は、外向きに角度がついている。この形状は、移動可能部材138の回転翼との接触中、ろう付けされた連結部に都合よく圧縮力を生じさせ、その結果、ろう付けされた連結部に構造的な強度をもたらす。
【0027】
図13は、コンプライアントシール157の製造および組み立ての別の技術を示す。この実施形態では、リブ158は、静止部材162に設けられたスロット160を介して、移動可能部材168の基台166の空洞164内に、上から挿入される。前の実施形態と異なり、リブ158は基台166を貫通して延びない。したがって、この技術は、擦りまたは接触中、基台166の回転翼との連続的な接合表面を都合よくもたらし、その結果、干渉および振動を最小限にする。
【0028】
さらに別の実施形態では、移動可能部材は単一部片として製造される。すなわち、リブまたは保持延長部が移動可能部材と一体である。図14は、前方および後方端部が数字172および174でそれぞれ示される、コンプライアントシール170の一セグメントを示す。この実施形態では、移動可能部材176は、基台178およびリブまたは保持延長部180を有する単一ユニットとして製造される。移動可能部材176は、静止部材184の1つの端部面188に設けられた窓または開口部186を介して、静止部材184のスロット182内に挿入される。組み立て後、窓186は、不必要な漏れを防止するために、ろう付けまたはかしめによって栓をされ、次いでシールされる。別法として、図15でコンプライアントシール189として示すように、静止部材192の端部面190の高さの一部に沿って開口部を設ける代わりに、端部面190の全高さに沿って切欠部または開口部194を設けることができる。移動可能部材176は次いで、開口部194を通してスロット182内に摺動して入れられ、開口部は次いで、ろう付け、かしめ、または他の任意の適切な作業によって栓をされ、シールされる。
【0029】
本技術によれば、コンプライアントシールは、翼の移動可能部材との接触または擦り中、翼および移動可能部材上の力を低減させるため、移動可能部材を回転翼とのシール位置から離して付勢するように、組み立て時に一般に与圧される付勢部材を備える。しかしながら提案された配置は、シールをそれらのシール位置に押しやるのに、図示の実施形態で機械内に既に存在するガス圧力を使用する。したがって、シールアセンブリを横切る差圧によってシール位置が保持され、一方、移動可能部材の移動、および付勢部材の助けによって、シールアセンブリの回転構成部品との適応(compliance)が可能となる。
【0030】
図16は、静止部材202、移動可能部材204、および図示の実施形態ではコックルばね(cockle spring)とも称される板ばねである1つまたは複数の付勢部材206を有するコンプライアントシール200を示す。一実施形態では、板ばね206は、移動可能部材204に設けられたスロット208を貫通して挿入され、移動可能部材204を静止部材202上に支持するために、静止部材202に端部209で固定される。組み立て時、板ばねは、移動可能部材204に半径方向外向きの力を加えるように圧縮によって与圧され、これが翼との接触または擦り中、移動可能部材204の接触負荷を低減させる。図示の実施形態では、移動可能部材204の背表面210が、流体圧力への暴露のための比較的大きな表面を有しており、したがって、コンプライアントシールを回転翼に向かって効果的に押しやるので有利である。
【0031】
図17は、付勢部材として片持ちばねを使用する別の付勢技術を組み込んだ、コンプライアントシール211を示す。この実施形態では、図18に分離して示すように、ブロック212および214は移動可能部材216と一体で、かつ一緒に鋳造することができる。ブロック212および214は、移動可能部材216に端部218および220で一体で固定されており、ブロック212および214が曲げて得られる角度位置によって与圧されるように、組み立て時に静止部材224の内部表面222と端部226および228で接合する。これによって、ブロック212および214は、移動可能部材216を回転翼とのシール位置から離して半径方向外向きに付勢し、その結果、翼との接触または擦り中移動可能部材216の接触負荷を低減する、片持ち梁として機能するようになる。
【0032】
上記で述べたように、本技術は、新しい機械(すなわち、それらの当初の設計)に使用することができ、または既存の装置を改装することもできる。従来型のタービンは、シール用の何らかの種類のハンガー形状を通常含むので、コンプライアントシールアセンブリを、従来型のシールの代わりに、そのようなハンガーに嵌合し、接合するように設計することができる。したがって、機械の定期的なまたは特別な整備中などに、従来型シールを取り外し、本技術によって提供されるコンプライアント構造に交換することができる。
【0033】
したがって、上記で説明したシール技術は、前方および後方端部、ならびに端部面での高温ガスの漏れに対する効果的なシールをもたらし、一方、シールの改良された機械的強度および安定性ももたらす。これは、より高い作動効率とシールおよび回転翼の寿命延長に繋がる。本技術の重要な特徴は、ロータ翼が囲われているまたは囲われていない場合のあるタービン段に使用することができることである。さらに、上記で述べたように、本明細書で説明したコンプライアントシールの様々な実施形態は改装可能である、すなわち、それらは既存の機械に、既存の設計に対し最小限の変更と、最小限の新たな部品数で使用することができる。
【0034】
本明細書で本発明のいくつかの特徴のみ図示し、説明してきたが、多くの改変および変更がこの分野の技術者に見出されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨内にある全てのそのような改変および変更を包含するものとすることを理解されたい。なお、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本技術の態様によるコンプライアントシールアセンブリを組み込んだタービンエンジンの1部分の断面図である。
【図2】流体背圧がない、コンプライアントシールアセンブリを含むシステムの配置を示す断面概略図である。
【図3】流体背圧に曝された、コンプライアントシールアセンブリを含むシステムの配置を示す断面概略図である。
【図4】移動可能部材と回転部材の間の擦りまたは接触中の、流体背圧に曝された、コンプライアントシールアセンブリの配置を示す断面概略図である。
【図5】付勢部材の付勢効果が流体背圧より大きいときの、本技術の一態様による、前方および後方端部で勾配付きの縁部を有するコンプライアントシールアセンブリを示す断面図である。
【図6】付勢部材の付勢効果が流体背圧より小さいときの、本技術の一態様による、前方および後方端部で勾配付きの縁部を有するコンプライアントシールアセンブリを示す断面図である。
【図7】保持延長部と静止部材の間に係合されたロープシールを有するコンプライアントシールアセンブリの断面図である。
【図8】シールアセンブリの前方および後方端部で、コンプライアント部材と静止部材の間に係合されたロープシールを有する、コンプライアントシールアセンブリの断面図である。
【図9】コンプライアントシールアセンブリの端部面に、二重のリップシールを有するコンプライアントシールアセンブリの一部分に沿った、切断面を示す斜視図である。
【図10】シールアセンブリの端部面で、静止および移動可能部材間に係合されたWシールを有する、コンプライアントシールアセンブリの一部分に沿った、切断面を示す斜視図である。
【図11】シールアセンブリの端部面で、静止および移動可能部材間に係合されたロープを有する、コンプライアントシールアセンブリの一部分に沿った、切断面を示す斜視図である。
【図12】本技術の一実施形態により組み立てられた、コンプライアントシールの断面概略図である。
【図13】本技術の別の実施形態により組み立てられた、コンプライアントシールの断面概略図である。
【図14】本技術のさらに別の実施形態により組み立てられた、移動可能部材が端部面の窓を介して静止部材の開口部を貫通して静止部材に摺動可能に嵌合された、コンプライアントシールの斜視図である。
【図15】本技術のさらに別の実施形態により組み立てられた、移動可能部材が端部面の切断部を介して静止部材の開口部を貫通して静止部材に摺動可能に嵌合された、コンプライアントシールの斜視図である。
【図16】本技術の一実施形態による、付勢部材として板ばねを有する、コンプライアントシールアセンブリの斜視図である。
【図17】付勢部材として片持ちばねを有する、コンプライアントシールアセンブリの斜視図である。
【図18】移動可能部材と一体の片持ちブロックを有する、図17の移動可能部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 回転機械
12、39 翼、回転部材
14 シュラウド
16 ハンガー
18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、2
02、226 静止部材
20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、2
16 移動可能部材
22 高温ガス流路
24 先端部
26 冷却ガス
34、58、172 前方端部
36、60、174 後方端部
38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、21
1 コンプライアントシールアセンブリ
46 背表面
48、70、72、74、76、108、110 シール表面
52、206、212、214 付勢部材
104、106 端部面
108、110、112、114 リップ
140、166、178 基台
160、186、194 開口部
152、164 空洞
206 板ばね
214、216 片持ちばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械(10)の前方端部(34、58、172)と後方端部(36、60、174)の間で、前記回転機械(10)に強固に固定するようになされた、静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に取り付けられる移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)であって、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)はさらに、
シール位置で回転部材(12、39)に対してシールするように構成されたシール表面(48)と、
前記第1のシール表面(48)を前記シール位置に向かって押しやるように、流体圧力に曝されるようになされた背表面(46)と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)および前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の前方、後方および端部面で前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)と前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の間をシールするために、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前方、後方および端部面に沿ったシール表面(74、76、112、114)と接合するようになされた、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の前方、後方および端部面に沿ったシール表面(70、72、108、110)と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)上に前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を支持し、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記シール位置から離して押しやるように構成された付勢部材(52、206、212、214)とをさらに備える前記移動可能部材とを備える、回転機械(10)用のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項2】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)のスロットを貫通して延びる保持延長部をさらに備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項3】
前記付勢部材が板ばね(206)を備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項4】
前記付勢部材が片持ちばね(214、216)を備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項5】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の前方、後方面に沿った前記シール表面が、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前方、後方面に沿った勾配のついた表面(74、76)と整列するようになされた勾配のついた表面(70、72)を備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項6】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の端部面(104、106)で、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)上に設けられたリップ(112、114)とオーバーラップするように構成されるリップ(108、110)を備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項7】
静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)上に移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を取り付ける段階と、
シールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)の前方端部(34、58、172)および後方端部(36、60、174)で、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の前方および後方シール表面(70、72)を、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前方および後方シール表面(74、76)と整列させる段階と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に少なくとも1つの開口部(42、68、156、160)を設ける段階であって、前記開口部(42、68、156、160)は、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)をシール位置向かって押しやるように、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)をガス圧に曝すように構成される段階と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)上に前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を支持し、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記シール位置から離して押しやるように、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)に付勢部材(52、206、212、214)を配設する段階とを含む、前記シールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)の製造方法。
【請求項8】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、前記前方および後方シール表面(70、72)を有する基台(140)および保持延長部(142、158)を備え、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に取り付ける段階が、
前記基台を前記シールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)の端部面から、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前記前方および後方シール表面(74、76)によって形成された空洞(152)内に挿入する段階と、
前記保持延長部(142)を前記基台(140)の開き口(154)内に挿入し、前記保持延長部(142)を開口部(156)を貫通して前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)内に延ばす段階と、
前記保持延長部(142)を前記基台(140、166)に連結する段階とをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、前記前方および後方シール表面(70、72)および保持延長部(158)を有する基台(166)を備え、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に取り付ける段階が、
前記基台(166)を前記シールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)の端部面から、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前記前方および後方シール表面(74、76)によって形成された空洞内に挿入する段階と、
前記保持延長部(158)を開口部(160)を貫通して、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)内に挿入し、前記保持延長部を前記移動可能部材に形成される空洞(164)内に配置する段階と、
前記保持延長部(158)を前記基台(166)に連結する段階とをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、互に一体に形成される基台(178)および保持延長部(180)を備え、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に取り付ける段階が、
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の端部面(188、190)に設けられた、開口部(186、194)を介して摺動的に挿入する段階と、
前記開口部(186、194)をシールするように栓をする段階とを含む、請求項7記載の方法。
【請求項1】
回転機械(10)の前方端部(34、58、172)と後方端部(36、60、174)の間で、前記回転機械(10)に強固に固定するようになされた、静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に取り付けられる移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)であって、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)はさらに、
シール位置で回転部材(12、39)に対してシールするように構成されたシール表面(48)と、
前記第1のシール表面(48)を前記シール位置に向かって押しやるように、流体圧力に曝されるようになされた背表面(46)と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)および前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の前方、後方および端部面で前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)と前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の間をシールするために、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前方、後方および端部面に沿ったシール表面(74、76、112、114)と接合するようになされた、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の前方、後方および端部面に沿ったシール表面(70、72、108、110)と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)上に前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を支持し、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記シール位置から離して押しやるように構成された付勢部材(52、206、212、214)とをさらに備える前記移動可能部材とを備える、回転機械(10)用のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項2】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)のスロットを貫通して延びる保持延長部をさらに備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項3】
前記付勢部材が板ばね(206)を備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項4】
前記付勢部材が片持ちばね(214、216)を備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項5】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の前方、後方面に沿った前記シール表面が、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前方、後方面に沿った勾配のついた表面(74、76)と整列するようになされた勾配のついた表面(70、72)を備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項6】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の端部面(104、106)で、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)上に設けられたリップ(112、114)とオーバーラップするように構成されるリップ(108、110)を備える、請求項1記載のシールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)。
【請求項7】
静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)上に移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を取り付ける段階と、
シールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)の前方端部(34、58、172)および後方端部(36、60、174)で、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)の前方および後方シール表面(70、72)を、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前方および後方シール表面(74、76)と整列させる段階と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に少なくとも1つの開口部(42、68、156、160)を設ける段階であって、前記開口部(42、68、156、160)は、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)をシール位置向かって押しやるように、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)をガス圧に曝すように構成される段階と、
前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)上に前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を支持し、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記シール位置から離して押しやるように、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)に付勢部材(52、206、212、214)を配設する段階とを含む、前記シールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)の製造方法。
【請求項8】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、前記前方および後方シール表面(70、72)を有する基台(140)および保持延長部(142、158)を備え、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に取り付ける段階が、
前記基台を前記シールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)の端部面から、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前記前方および後方シール表面(74、76)によって形成された空洞(152)内に挿入する段階と、
前記保持延長部(142)を前記基台(140)の開き口(154)内に挿入し、前記保持延長部(142)を開口部(156)を貫通して前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)内に延ばす段階と、
前記保持延長部(142)を前記基台(140、166)に連結する段階とをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、前記前方および後方シール表面(70、72)および保持延長部(158)を有する基台(166)を備え、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に取り付ける段階が、
前記基台(166)を前記シールアセンブリ(14、38、56、88、87、98、134、157、170、189、200、211)の端部面から、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の前記前方および後方シール表面(74、76)によって形成された空洞内に挿入する段階と、
前記保持延長部(158)を開口部(160)を貫通して、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)内に挿入し、前記保持延長部を前記移動可能部材に形成される空洞(164)内に配置する段階と、
前記保持延長部(158)を前記基台(166)に連結する段階とをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)が、互に一体に形成される基台(178)および保持延長部(180)を備え、前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)に取り付ける段階が、
前記移動可能部材(20、50、66、82、102、120、138、168、176、210、216)を、前記静止部材(18、40、62、80、100、119、136、162、184、192、202、226)の端部面(188、190)に設けられた、開口部(186、194)を介して摺動的に挿入する段階と、
前記開口部(186、194)をシールするように栓をする段階とを含む、請求項7記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−105393(P2006−105393A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283191(P2005−283191)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
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