説明

コンベア動作制御装置、ワーク搬送装置およびコンベア動作制御方法

【課題】電力消費量を抑えたワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】コンベア動作制御装置110は、ワーク131のバルク130を、上流側の供給位置から下流側の排出位置へと一列に整列させつつ搬送する複数のコンベア101〜103の動作を制御するためのコンベア動作制御装置であって、複数のコンベア101〜103に含まれる第1コンベアにより搬送されるワーク131の最前部よりも前に、当該第1コンベアに対して下流側で隣接する第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことを検知すると、上記第1コンベアを起動させるコンベア起動手段111を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークのバルクを一列に整列させつつ搬送するためのコンベア動作制御装置、ワーク搬送装置およびコンベア動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生産設備において、梱包容器や原材料、中間生成物といった各種ワークのバルクを、単列化しつつ搬送するワーク搬送装置において、ジャミングを起こすことなくワークを単列化するための様々な技術が開発されている。
【0003】
たとえば、図5に示すようなワーク搬送装置500が存在する。図5は、一般的なワーク搬送装置の構成を示す模式図である。図5に示すように、ワーク搬送装置500は、ベルトコンベア501・502・503・504・505・506・507・508およびガイド部509を備える。
【0004】
ベルトコンベア501〜508は、上流から下流に向かってこの順番で並んでおり、また、ベルトコンベア502〜508は、下流のベルトコンベアほど高速度になるような速度設定で常時稼動している。
【0005】
また、ガイド部509は、ベルトコンベア502〜508の下流端部付近に備えられる板状の部材であり、各ベルトコンベアにより搬送されるワークを堰き止め、一段下流のベルトコンベアへと流すものである。
【0006】
次に、図6は、一般的なワーク搬送装置において、ワークのバルクを切り出す様子を模式的に示す図である。速度差を設けた複数のベルトコンベアを常時稼動させてワークのバルクを切り出す様子を、図6を用いて説明すると、以下のとおりである。
【0007】
図6に示すように、ベルトコンベア601へと供給されたバルク610は、ベルトコンベア601によりベルトコンベア602へと押し出され、ガイド部609に当接した後、下流側のベルトコンベア603〜608へと順番に流されていく。
【0008】
ここで、図6において矢印の長短によって示されているように、下流側のベルトコンベアほど高速度となるように速度設定がなされている。すると、ワーク611は、下流のベルトコンベアへと流される度に、上流のベルトコンベアに搬送されていたときよりも、ガイド部609に対してさらにばらけて当接しようとする。その結果、ベルトコンベア601から押し出されたワーク611は、下流へと流される間に徐々に整列されていき、ベルトコンベア608まで到達する頃には、ワーク611は一列となって搬送される。
【0009】
そのほかに、特許文献1には、コンベアの速度比を、それ以前の小さな速度比から大きな速度比へ変更することで、容器の方向が不揃いになることを防止する技術が開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、順列に加速される多列並行コンベア、及び当該コンベア上に搬送幅を狭めるようにカーブして設けられた片側案内板を設け、容器の単列流を円滑に形成させる技術が開示されている。
【0011】
また、特許文献3には、コンベアの速度およびガイド部の当該コンベアに対する傾斜角度の関係を規定することで、壜の移送をスムーズに行いつつ、壜がガイド部に衝突する際の転倒を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−334863号公開公報(平成11年12月7日公開)
【特許文献2】特開2009−220937号公開公報(平成21年10月1日公開)
【特許文献3】特許第4006285号公報(平成19年8月31日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記従来技術においては、全てのベルトコンベアが常時稼働しているため、電気消費量が増大してしまうという問題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、ワークのバルクを一列に整列させつつ搬送する複数のコンベアの電力消費量を低減可能な、コンベア動作制御装置、ワーク搬送装置、コンベア動作制御方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るコンベア動作制御装置は、上記の課題を解決するために、ワークのバルクを、上流側の供給位置から下流側の排出位置へと一列に整列させつつ搬送する複数のコンベアの動作を制御するためのコンベア動作制御装置であって、上記複数のコンベアに含まれる第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、当該第1コンベアに対して下流側で隣接する第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことを検知すると、上記第1コンベアを起動させるコンベア起動手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
本発明に係るコンベア動作制御方法は、ワークのバルクを、上流側の供給位置から下流側の排出位置へと一列に整列させつつ搬送する複数のコンベアの動作を制御するためのコンベア動作制御方法であって、上記複数のコンベアに含まれる第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、当該第1コンベアに対して下流側で隣接する第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことを検知すると、上記第1コンベアを起動させるコンベア起動ステップを備えていることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、当該第1コンベアに対して下流側で隣接する第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことを検知した後、コンベア起動手段およびコンベア起動ステップは、第1コンベアを起動する。
【0018】
よって、上記第1コンベアが起動するまでの間は、第1コンベアの駆動電力は不要となるため、電力消費量を抑えることが可能となる。
【0019】
また、上記第1コンベアにより搬送されているワークがなくなったことを検知すると、上記第1コンベアを停止させるコンベア停止手段を備えていることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、第1コンベアは、搬送すべきワークがなくなると停止され、次に起動されるまでの間は、駆動電力は不要となるため、より効果的に電力消費量を抑えることが可能となる。
【0021】
また、上記第1コンベアと、上記第2コンベアとを略同速度で運動させることが好ましい。
【0022】
下流側のコンベアほど搬送速度を速くすることで、多列に並んでいたワークを一列に整列することが一般的に行われている。また、各コンベアの前方には、ワークを堰き止め、一段下流のコンベアにワークを流す為のガイド部が設けられている。
【0023】
そして、従来のコンベアにおいては、コンベアにより搬送された複数のワークがガイド部に当接した際、コンベア間の速度差によって、当該複数のワークは、なるべくばらけてガイド部に当接しようとする。つまり、速度の速い下流側コンベア上のワークが、速度の遅い上流側コンベア上のワークに対して、どんどん下流に進行しようとする。したがって、当該ガイド部によりワークが流される方向と、速度の速いコンベアによるワークの搬送方向とがなす角度を、上記ガイド部によりワークが流される方向と、速度の遅いコンベアによりワークの搬送方向とがなす角度よりも大きくしておかなければ、速度の速い下流側コンベア上のワークがガイド部に当接した際の衝撃が大きくなってしまい、ワークの破損を招来する。そしてこのように角度の差を設けることは、コンベア長さの増大に繋がってしまう。
【0024】
しかしながら、第1コンベアと第2コンベアとを略同速度で運動させることにより、複数のワークがガイド部に当接した際に、均一な状態で複数のワークをガイド部に当接させることができる。つまり、第1コンベア上のワークがガイド部に当接する速度と、第2コンベア上のワークがガイド部に当接する速度が略等しいので、第1コンベア上のワークがガイド部に当接する状態と、第2コンベア上のワークがガイド部に当接する状態とは、それほど大きな差がない。したがって、当該ガイド部によりワークが流される方向と、第1コンベアおよび第2コンベアのそれぞれによるワークの搬送方向とがなす角度を略等しくすることができ、コンベアの長さの増大を防ぐことができる。そして、設備の省スペース化を実現することが可能となる。
【0025】
また、上記第2コンベアにより搬送されているワークのうち、上記第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に到達したワークの数が、上記第2コンベアにより搬送されているワークの個数に達したことを、上記第2コンベアを駆動するスプロケットの回転角を検出することで確認すると、上記第1コンベアを起動させることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、上記第2コンベアにより搬送されているワークのうち、上記第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に到達したワークの数は、上記第2コンベアを駆動するスプロケットの回転角を検出することにより確認される。
【0027】
よって、ワークに外的作用を及ぼすことなく上記ワークの数を計数することが可能となるので、ワークの変質を防止することができる。また、回転角の検出を行っているので、特別な対策を行うことなく、コンベア速度の変化に対応することが可能である。
【0028】
また、上記第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、上記第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことの検知は、上記最前部と上記最後部との間に隙間が生じたことを検知することで行われることが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、上記第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、上記第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことの検知は、上記最前部と上記最後部との間に隙間が生じたことを光電管によって検知することによって行われる。
【0030】
よって、上記最前部と最後部との間の隙間を検知したかどうかという基準のみによって起動タイミングを判断することができる。したがって、例えばバルクおよびワークの大きさなどのパラメータを入力する手間を省くことが可能となり、簡単に起動タイミングの判断を行うことができる。
【0031】
本発明にかかるワーク搬送装置は、上記コンベア動作制御装置を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るコンベア動作制御装置は、以上のように、上記の課題を解決するために、ワークのバルクを、上流側の供給位置から下流側の排出位置へと一列に整列させつつ搬送する複数のコンベアの動作を制御するためのコンベア動作制御装置であって、上記複数のコンベアに含まれる第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、当該第1コンベアに対して下流側で隣接する第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことを検知すると、上記第1コンベアを起動させるコンベア起動手段を備える構成である。
【0033】
それゆえ、上記第1コンベアが起動するまでの間は、第1コンベアの駆動電力は不要となるため、電力消費量を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は、本発明の実施の一形態にかかるワーク搬送装置を示す模式図であり、(b)は、上記ワーク搬送装置の変更例を示す模式図である。
【図2】(a)〜(d)は、本実施形態におけるバルクの切り出しの様子を示す模式図である。
【図3】図1および図6に示すベルトコンベアの速度の比較図である。
【図4】図1および図6に示すワーク搬送装置の電力消費量の比較図である。
【図5】一般的なワーク搬送装置の構成を示す模式図である。
【図6】一般的なワーク搬送装置において、ワークのバルクを切り出す様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0036】
〔ワーク搬送装置100の構成〕
まず、図1(a)を用いて、本発明の実施の一形態にかかるワーク搬送装置100の構成を説明する。図1(a)は、本発明の実施の一形態にかかるワーク搬送装置を示す模式図である。図1に示すように、ワーク搬送装置100は、ベルトコンベア(コンベア)101・102・103・104・105・106と、ガイド部109と、コンベア動作制御装置110と、起動停止タイミング判断部120とを備えている。
【0037】
また、ワーク搬送装置100は、当該搬送装置の外部から供給され、3列のベルトコンベア101・102・103にまたがった供給位置に積載されたワーク131のバルク130を、当該3列のベルトコンベアに時間差を設けて起動することで切り出し、上記ワーク131の整列を効率的に行うものである。なお、バルク130の切り出しに加担するベルトコンベアの数は3列に限定されるものではなく、2列以上であれば、何列でもかまわない。なお、バルク130の切り出しの具体的な手順については、後段の〔本実施形態におけるコンベア動作〕にて説明する。
【0038】
また、ベルトコンベア101〜104は、上流のベルトコンベア101から下流に向かってこの順番で平行に並ぶ、直線状のベルトコンベアである。なお、ベルトコンベア101〜104の幅の合計値はWである。
【0039】
また、ベルトコンベア104の下流には、ベルトコンベア105と、その下流にベルトコンベア106とが接続され、ベルトコンベア106は次工程の場所(排出位置)に向かって延伸している。
【0040】
そして、ベルトコンベア101〜103により切り出されたバルク130は、ベルトコンベア104〜106において下流側のベルトコンベアに乗り換えるうちに少ない列数に整列され、ベルトコンベア106上ではワーク131が一列となって搬送される。
【0041】
なお、ベルトコンベア101〜103は同じ幅を持ち、ベルトコンベア104およびベルトコンベア105は、いずれもその半分ほどの幅を持つ。そして、ベルトコンベア106はさらに幅が狭く、上述のように、1列に整列されたワーク131が搬送可能な幅となっている。
【0042】
ここで、図1(b)は、ワーク搬送装置100の変更例を示す模式図である。図1(b)において、図1(a)と共通であるベルトコンベア105、ベルトコンベア106、コンベア動作制御装置110、コンベア起動停止部111および起動停止タイミング判断部120は省略している。
【0043】
ワーク搬送装置100は、図1(b)に示すように、ベルトコンベア103の幅がベルトコンベア101および102の幅よりも狭くなるように構成されていてもよい。このような構成とすることで、ベルトコンベア103上に積載されるワーク131の数が少なくなるため、当該ワーク131がガイド部109に衝突する際に生じる抵抗を、少なくすることが可能となる。よって、ワーク131の破損の防止が可能となる。
【0044】
また、ベルトコンベア103の幅を狭くすれば、ベルトコンベア103上でガイド部109に当接しているワーク131の数は減少するため、ベルトコンベア103上に積載されている総てのワーク131の底部で生じる摩擦抵抗の総量が低減し、よって、消費電力を低減することが可能となる。
【0045】
ここで、ベルトコンベア103は、ベルトコンベア101および102よりも先に起動し、そして、最後に停止する。なお、各コンベアを起動および停止するタイミングの詳細は、後述の〔本実施形態におけるコンベア動作〕にて説明する。
【0046】
すなわち、ベルトコンベア103は、上記3列のベルトコンベアのうちで最も稼働時間が長いので、上述の、ワーク131の破損防止、消費電力の低減といった効果を、最も多く得ることができる。
【0047】
よって、ベルトコンベア103の幅を、ベルトコンベア101および102の幅よりも狭くすれば、ワーク131の破損の防止および消費電力の低減を効果的に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態において、上記ワークは、例えば、ガラスびん、スチール缶、アルミ缶、ペットボトル等の梱包容器である。
【0049】
ガイド部109は、ベルトコンベア101〜104の下流端部付近に備えられる板状の部材であり、各ベルトコンベアにより図中矢印の向きに搬送されるワークを堰き止め、一段下流のベルトコンベアへと流すものである。
【0050】
コンベア動作制御装置110は、コンベア起動停止部(コンベア起動手段・コンベア停止手段)111を備え、ベルトコンベア101〜103の起動および停止を制御するものである。また、起動停止タイミング判断部120は、ベルトコンベア101〜103を起動ないし停止させるための検知信号(詳細は後述する)をコンベア起動停止部111に送信するものである。
【0051】
そして、コンベア起動停止部111は、起動停止タイミング判断部120から検知信号を受信すると、受信した検知信号に応じて、ベルトコンベアを起動すべき旨を命令する信号である起動命令信号、あるいはベルトコンベアを停止すべき旨を命令する信号である停止命令信号を、ベルトコンベア101〜103のそれぞれへと送信する。
【0052】
なお、コンベア動作制御装置110による具体的なコンベア動作の制御方法については、後段の〔本実施形態におけるコンベア動作〕および〔ベルトコンベアの起動停止タイミング判断〕において詳細に説明する。
【0053】
コンベア動作制御装置110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ等で構成することができる。この場合、コンベア動作制御装置110は、図示しない記憶装置などに記憶されているベルトコンベアの起動/停止を制御するためのプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部に読み出して実行する。これにより、コンベア動作制御装置110は、ベルトコンベア101〜106の起動/停止、特にベルトコンベア101〜103の起動/停止を制御する。
【0054】
コンベア動作制御装置110による具体的なコンベア動作のベルトコンベア101〜103の起動/停止の制御方法については後述する。
【0055】
起動停止タイミング判断部120は、ベルトコンベア101〜103の起動および停止のタイミングを判断するものであり、ベルトコンベア101〜103を駆動するスプロケットの回転角を示す信号を検知信号として生成するセンサ、および各コンベア上に積載されたワーク131の有無を示す信号を検知信号として生成する光電管により実現される。起動停止タイミング判断部120は、当該検知信号をコンベア起動停止部111へ送信する。
【0056】
なお、ベルトコンベア101〜106は、一般的に用いられるベルトコンベアであり、モータによって駆動するベルトの上部にワークを積載し、一定方向に搬送するものである。なお、ベルトコンベアは、チェーンコンベア、ローラコンベア、およびスクリュコンベアなどの各種コンベアであってもよい。
【0057】
〔本実施形態におけるコンベア動作〕
次に、本実施形態におけるコンベア動作を、図2を用いて説明する。図2(a)〜図2(d)は、本実施形態におけるバルク220の切り出しの様子を示す模式図である。
【0058】
以下では、コンベア動作制御装置110によって制御される各ベルトコンベアが、下流側に隣接するベルトコンベアの状態から判断されるどのようなタイミングおよび速度にて、コンベア起動停止部111によって起動されるかを説明する。そして、ワークのバルクがどのように切り出されるかについて説明する。
【0059】
なお、以降で説明される内容は、ベルトコンベアの列数に関わらず、ほぼ同様の内容でバルクが切り出されていくことは、当業者なら容易に理解できることである。
【0060】
つまり、以降の説明においては、説明を分かりやすくするために、5列のベルトコンベアによりバルク220の切り分けを行うものとしている。しかしながら、図1に示したような3列のベルトコンベアがバルク130の切り出しを行うワーク搬送装置100についても、以降で説明する内容とほぼ同様にバルクが切り出されることは、当業者であれば容易に理解できる。
【0061】
まず、図2(a)〜図2(d)に示すように、ベルトコンベア201・202・203・204・205・206は、上流のベルトコンベア201からこの順番で平行に並んでいる。なお、ベルトコンベア201〜205はすべて略同速度であり、ベルトコンベア206はより高速度である。
【0062】
また、ガイド部209は、ガイド部109と同様に、ベルトコンベア201〜206の下流端部付近に備えられ、各ベルトコンベアにより図中矢印の向きに搬送されるワーク221を堰き止め、一段下流のベルトコンベアへと流すものである。
【0063】
なお、以下の説明においては、図中矢印により示されるベルトコンベアの進行方向を「前方」と定義するものとする。
【0064】
はじめに、バルク220が外部から供給され、ベルトコンベア201〜205にまたがって積載されると、ベルトコンベア(第2コンベアに相当)205が起動する。
【0065】
すると、図2(a)に示すように、ベルトコンベア205上に積載されたワーク221のみがベルトコンベア205によって搬送され、やがてガイド部209に当接し、ベルトコンベア206へと流される。
【0066】
そして、ベルトコンベア204(ベルトコンベア205を第2コンベアとみなした場合、第1コンベアに相当)は、下流側に隣接するベルトコンベア205上に積載されたワーク221の最後部αが、ベルトコンベア204上に積載されたワーク221の最前部βより前に到達した場合に起動する。よって、図2(a)に示すように、最後部αは、最前部βの上流側斜め後方を搬送される形となる。なお、上記起動停止タイミングを判断する方法の詳細については後に説明する。
【0067】
また仮に、最後部αが最前部βよりも前に到達しないうちにベルトコンベア204が起動すると、ベルトコンベア204上に積載されたワーク221が、その後ガイド部209に当接して下流へと流される際に、ベルトコンベア205上に積載されるワーク221と衝突を起こす。このように、ガイド部209に当接する箇所において、ワーク221同士の衝突が起こると、その結果、当該衝突が起きた場所でワーク221の列数が増大し、後にワークを一列に整列させることが困難となる。
【0068】
しかし、上述のように、最後部αは、最前部βの上流側斜め後方を搬送される。よって、ベルトコンベア204上に積載されるワーク221は、ガイド部209に当接する際に、ベルトコンベア205上に積載されたワーク221と衝突を起こすことがなく、図2(b)に示すように、ベルトコンベア205上に積載されていたワーク221の後ろに続いて流されていく。
【0069】
また、ベルトコンベア203(ベルトコンベア204を第2コンベアとみなした場合、第1コンベアに相当)も同様に、下流側に隣接するベルトコンベア204(ここでは第2コンベアに相当)に積載されたワークの最後部α´が、ベルトコンベア203上に積載されたワーク221の最前部β´より前に到達した場合に起動する。よって、最後部α´は、最前部β´の上流側斜め後方を搬送されるので、図2(c)に示すように、ベルトコンベア203上に積載されるワーク221はベルトコンベア204上に積載されていたワーク221の後ろに続いて下流へと流されていく。
【0070】
その後、ベルトコンベア202およびベルトコンベア201も同様のタイミングにて起動するため、図2(d)に示すように、ワーク221同士の衝突を起こすことなく搬送することが可能である。
【0071】
そして、ベルトコンベア201〜206は、ワーク221が全く積載されていない状態になると停止し、次にバルクが供給されるのを待つ。
【0072】
なお、図2(d)において、ベルトコンベア205からより高速度のベルトコンベア206に乗り移ったワーク221は、ベルトコンベア201〜205上に積載されているワーク221よりもばらけている。これは、高速度のベルトコンベア206上のワークが、低速度のベルトコンベア205上のワークに対して、どんどん下流に進行しようとするからである。
【0073】
そして、ベルトコンベア206上においてもそうなっているように、ガイド部209によりワークが流される方向と、当該ベルトコンベア206によるワークの搬送方向とがなす角度θを、ガイド部209によりワークが流される方向と、低速度のベルトコンベア205とがなす角度よりも大きくしておかなければ、高速度のベルトコンベア206上のワークがガイド部209に当接する際の衝撃が大きくなってしまい、ワークの破損を招来する。そして、このように角度の差を設けることは、コンベア長さの増大に繋がってしまう。
【0074】
しかしながら、ベルトコンベア201〜205を略同速度で運動させることにより、複数のワークがガイド部に当接した際に、均一な状態で複数のワークをガイド部に当接させることができる。たとえば、ベルトコンベア205上のワークがガイド部209に当接する速度と、ベルトコンベア204のワークがガイド部209に当接する速度とが略等しいので、ベルトコンベア205上のワークがガイド部に当接する状態と、ベルトコンベア204上のワークがガイド部に当接する状態とは、それほど大きな差がない。
【0075】
したがって、ガイド部209によりワークが流される方向と、ベルトコンベア204および205のそれぞれによるワークの搬送方向とがなす角度を略等しくすることができ、コンベアの長さの増大を防ぐことができる。よって、設備の省スペース化を実現することが可能となる。
【0076】
なお、同様に、本実施形態ではコンベア起動停止部111の制御によって、上記ベルトコンベア101〜ベルトコンベア103が略同速度で運動するが、ベルトコンベア101〜103が、制御を受けずとも、略同速度で運動するように初期設定されていてもよい。
【0077】
〔ベルトコンベアの起動停止タイミング判断〕
次に、〔本実施形態におけるコンベア動作〕欄にて説明したベルトコンベアの起動および停止について、そのタイミングの判断方法について説明する。
【0078】
まず、起動時の説明を行う。本実施形態において、起動停止タイミング判断部120は、上述のとおり、各ベルトコンベアのコンベアベルトを駆動するスプロケットの回転角を示す信号を検知信号として生成するセンサ(図示せず)を備える。そして、検知信号が示すスプロケットの回転角から、各コンベアにより一定時間内に搬送されたワーク131の数を把握することができる。
【0079】
ベルトコンベア102および103を例にとって具体的に説明すると以下の通りである。コンベア起動停止部111は、上記センサから受信した検知信号が示す、ベルトコンベア103を駆動するスプロケットの回転角と、そのスプロケットの歯数とから、ベルトコンベア103の移動量を算出する。さらに、当該移動量をワーク131の胴径によって除し、またさらにベルトコンベア103上に積載されるワーク131の列数を乗じる。すると、ベルトコンベア103上に積載されたワーク131のうち、ベルトコンベア102上に積載されたワーク131の最前部よりも前に到達したワーク131の数が得られる。そして、ベルトコンベア102上に積載されたワーク131の最前部よりも前に到達したワーク131の数が、ベルトコンベア103により搬送されているワークの個数に達した時に、コンベア起動停止部111は、当該上流側のベルトコンベアに起動命令信号を送信する。
【0080】
次に、停止時の説明を行う。起動停止タイミング判断部120は、上述のとおり、各コンベア上に積載されたワーク131の有無を示す信号を検知信号として生成する光電管(図示せず)を備える。
【0081】
そして、コンベア動作制御装置110は、いずれかのベルトコンベア上からワーク131が無くなったことを示す検知信号を、上記光電管から受信すると、当該ワーク131が無くなったベルトコンベアに停止命令信号を送信する。
【0082】
また、光電管は、ベルトコンベアの起動タイミングの判断に用いることも可能である。
【0083】
たとえば、上流側のベルトコンベア上に積載されたワークの最前部の前を、下流側のベルトコンベア上に積載されたワークが全て通過したことを、光電管によって上記最前部と上記最後部との間の隙間を検知する方法が考えられる。
【0084】
なお、起動停止タイミング判断部120は、各コンベア上の上記隙間の検知を、上記光電管のみならず、レーザなど他の構成によって行ってもよい。
【0085】
〔ベルトコンベアの速度設定〕
次に、ベルトコンベア101〜106の速度、およびベルトコンベア501〜508の速度設定について、図3を用いて説明する。
【0086】
図3はベルトコンベア101〜106およびベルトコンベア501〜508の速度の比較図である。
【0087】
図3において、上部のグラフは、左から順番に、ベルトコンベア101〜106の速度を表し、下部のグラフは、左から順番に、ベルトコンベア501〜508の速度を表す。
【0088】
図3に表すように、ベルトコンベア101〜103の速度は、一分あたりのワーク搬送数N(min−1)、ベルトコンベア101〜104の幅の合計値W(m)およびワーク胴径d(m)を用いて、3N・d/W(m/min)で表される。なお、図3中におけるNの単位「bpm」とは、「bottle per minutes」の略語であり、「min−1」と同じ次元である。
【0089】
また、ベルトコンベア501の速度は、上記N、dおよびベルトコンベア501の幅W´(m)を用いて、N・d/W´(m/min)で表される。また、〔背景技術〕の項で説明したとおり、ベルトコンベア502〜508は下流のベルトコンベアほど高速度になるような速度設定となっている。
【0090】
また、ベルトコンベア106および508の速度は、一分間に排出される数のワークを一列に連ねたときの全長であるといえるので、N・d(m/min)で表される。
【0091】
また、図3に示すように、ベルトコンベア502〜508は、下流のベルトコンベアほど高速度に設定されている。一般的なワーク搬送装置においては、このような速度設定とすることで、ワークを一列に整列させている。
【0092】
これに対し、ワーク搬送装置100においては、ベルトコンベア104〜106に関しては、下流のベルトコンベアほど高速度であるが、バルクの切り出しを行うベルトコンベア101〜103は略同速度に設定されている。ワーク搬送装置100の構成において説明したとおりである。
【0093】
〔電力消費量〕
次に、図4を用いてワーク搬送装置100の電力消費量について説明する。
【0094】
図4は、ワーク搬送装置100およびワーク搬送装置500の電力消費量の比較図である。
【0095】
図4に示すように、最初はベルトコンベア105およびベルトコンベア106の2列のみが稼動しており、その後、前項(本実施形態におけるコンベア動作)にて説明した起動タイミングで、ベルトコンベア104、ベルトコンベア103、ベルトコンベア102、ベルトコンベア101がこの順番で起動していき、最終的に6列のベルトコンベアが稼動する。そして、一段のバルクを処理し終えると、ベルトコンベア101〜104は停止する。
【0096】
このように、ベルトコンベア101〜104は、搬送するべきワークが無い時は停止するので、常時4列のコンベアが稼動している場合と同じ量の電力消費ですむ。これは、常時8列のベルトコンベアが稼動するワーク搬送装置500の出力消費量を100%とすると半分の50%であり、このことから、ワーク搬送装置100が少ない電力消費量でワークのバルクを整列・搬送することが言える。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、小規模の生産ライン内のワークのバルクの搬送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0098】
100 ワーク搬送装置
101〜106 ベルトコンベア(コンベア)
109 ガイド部
110 コンベア動作制御装置
111 コンベア起動停止部(コンベア起動手段・コンベア停止手段)
120 起動停止タイミング判断部
130、220 バルク
131、221 ワーク
α、α´ 最後部
β、β´ 最前部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークのバルクを、上流側の供給位置から下流側の排出位置へと一列に整列させつつ搬送する複数のコンベアの動作を制御するためのコンベア動作制御装置であって、
上記複数のコンベアに含まれる第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、当該第1コンベアに対して下流側で隣接する第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことを検知すると、上記第1コンベアを起動させるコンベア起動手段を備えていることを特徴とするコンベア動作制御装置。
【請求項2】
上記第1コンベアにより搬送されているワークがなくなったことを検知すると、上記第1コンベアを停止させるコンベア停止手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコンベア動作制御装置。
【請求項3】
上記第1コンベアと、上記第2コンベアとを略同速度で運動させることを特徴とする請求項1または2に記載のコンベア動作制御装置。
【請求項4】
上記第2コンベアにより搬送されているワークのうち、上記第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に到達したワークの数が、上記第2コンベアにより搬送されているワークの個数に達したことを、上記第2コンベアを駆動するスプロケットの回転角を検出することで確認すると、上記第1コンベアを起動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベア動作制御装置。
【請求項5】
上記第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、上記第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことの検知は、上記最前部と上記最後部との間に隙間が生じたことを検知することで行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベア動作制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のコンベア動作制御装置を有することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項7】
ワークのバルクを、上流側の供給位置から下流側の排出位置へと一列に整列させつつ搬送する複数のコンベアの動作を制御するためのコンベア動作制御方法であって、
上記複数のコンベアに含まれる第1コンベアにより搬送されるワークの最前部よりも前に、当該第1コンベアに対して下流側で隣接する第2コンベアにより搬送されているワークの最後部が到達したことを検知すると、上記第1コンベアを起動させるコンベア起動ステップを備えていることを特徴とするコンベア動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−190091(P2011−190091A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59609(P2010−59609)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】