説明

コンポーネント組立システムおよびコンポーネント組立方法

【課題】高精度でフロントフロアコンポーネントを組み立てできるフロントフロアコンポーネントの組立システムを提供すること。
【解決手段】コンポーネント組立システム1は、セットステーション2と、組立ステーション3と、セットステーション2と組立ステーション3との間で移動する搬送台車30と、セットステーション2の周囲に設けられた3つの供給エリア4〜6と、セットステーション2の周囲に設けられて部品11〜13、21〜23をセットステーション2または組立ステーション3に搬送する搬送ロボット40A、40Bと、組立ステーション3の周囲に設けられて組立ステーション3に位置する部品11〜13、21〜23を加工する溶接ロボット50と、組立ステーション3の周囲に設けられて組立ステーション3に位置する組み立てたフロントフロアコンポーネント10、20を払い出す払出しロボット60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンポーネント組立システムおよびコンポーネント組立方法に関する。詳しくは、複数種類の部品を異なる手順で組み立てて複数種類のコンポーネントを形成するコンポーネントの組立システムおよびコンポーネント組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の製造工程では、自動車の複数種類の床部品を組み合わせて、フロントフロアコンポーネントを形成することが行われている。
例えば、このフロントフロアコンポーネントは、3種類の部品を組み合わせて形成される。具体的には、セダンのフロントフロアコンポーネントは、下フレーム、パネル、上フレームの順に下から積層されて構成される。一方、ミニバンのフロントフロアコンポーネントは、下フレーム、上フレーム、パネルの順に下から積層されて構成される。
【0003】
ところで、近年、1つの製造ラインで多車種少量生産を行うため、複数の車種のフロントフロアコンポーネントを、一つのフロントフロアコンポーネント組立システムで製造することが行われる。
このフロントフロアコンポーネント組立システムは、例えば、セットステーションと、組立ステーションと、セットステーションと組立ステーションとの間で移動する搬送台車と、セットステーションの周囲に設けられて部品が供給される第1、第2供給エリアと、セットステーションの周囲に設けられた搬送ロボットと、組立ステーションの周囲に設けられた第3供給エリアと、組立ステーションの周囲に設けられた溶接ロボットおよび払出しロボットと、を備える。
【0004】
搬送ロボットは、第1、第2供給エリアに供給された部品をセットステーションに位置する搬送台車上に搬送する。
払出しロボットは、組立ステーションに位置する搬送台車上の組み立てたフロントフロアコンポーネントを払い出すほか、第3供給エリアに供給された部品を組立ステーションに位置する搬送台車上に搬送する。
これら搬送ロボットおよび払出しロボットは、複数の把持部を備えており、これら複数の把持部により、複数種類の部品を把持する構造である(特許文献1参照)。
【0005】
以上の組立システムは、セダンのフロントフロアコンポーネントを製造する場合、以下のように動作する。まず、セットステーションにて、搬送ロボットにより搬送台車上に下フレームおよびパネルを搬送し、その後、搬送台車を組立ステーションに移動させる。この時点では、払出しロボットは、既に組み立てた前回のフロントフロアコンポーネントを払い出す作業を行っているため、搬送台車に上フレームを搬送する作業を行うことはできない。そこで、サイクルタイムを短縮するため、一旦、組立ステーションにて、溶接ロボットにより下フレームとパネルとを仮付けする。その後、払出しロボットにより、この仮付けしたパネルに上フレームを搬送して、溶接ロボットにより、この上フレームをパネルに仮付けする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−203340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上のように、上フレームをセットする前に下フレームとパネルと仮付けすると、パネルの溶接歪みにより上フレームを高精度でパネルに取り付けることができず、結果的に、フロントフロアコンポーネントの精度にばらつきが生じるという問題があった。
【0008】
本発明は、高精度でフロントフロアコンポーネントを組み立てできるフロントフロアコンポーネントの組立システムおよび組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンポーネント組立システム(例えば、後述のコンポーネント組立システム1)は、複数種類の部品を異なる手順で組み立てて複数種類のコンポーネント(例えば、後述のフロントフロアコンポーネント10、20)を形成するコンポーネント組立システムであって、セットステーション(例えば、後述のセットステーション2)と、組立ステーション(例えば、後述の組立ステーション3)と、前記セットステーションと前記組立ステーションとの間で移動する搬送台車(搬送台車30)と、前記セットステーションの周囲に設けられて、前記複数種類の部品がそれぞれ供給される複数の供給エリア(例えば、後述の第1供給エリア4、第2供給エリア5、および第3供給エリア6)と、前記セットステーションの周囲に設けられて、前記複数の供給エリアに供給された部品を前記セットステーションまたは前記組立ステーションに搬送する搬送装置(例えば、後述の搬送ロボット40A、40B)と、前記組立ステーションの周囲に設けられて前記組立ステーションに位置する部品を加工する加工装置(例えば、後述の溶接ロボット50)と、前記組立ステーションの周囲に設けられて前記組立ステーションに位置する組み立てたコンポーネントを払い出す払出し装置(例えば、後述の払出しロボット60)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、払出し装置に、部品を搬送する機能を持たせず、組み立てたコンポーネントを払い出す機能のみを持たせた。そして、セットステーションの周囲に、複数種類の部品がそれぞれ供給される供給エリアを設け、搬送装置により、これら供給エリアに供給された全ての部品をセットステーションまたは組立ステーションに搬送することとした。
よって、従来のように払出し装置により上フレームを搬送しないので、コンポーネントを払い出す最中であっても、搬送装置により部品を搬送できる。したがって、セダンのコンポーネントを製造する場合、一部の部品のみを加工装置で一旦加工する必要がなく、加工装置により、全ての部品すなわち下フレーム、パネル、および上フレームを一度に加工できるから、高精度でフロントフロアコンポーネントを組み立てできる。
【0011】
この場合、前記搬送装置は、前記セットステーションと前記組立ステーションとの間で移動可能であることが好ましい。
【0012】
従来では、ミニバンのフロントフロアコンポーネントを製造する場合、まず、セットステーションにて、搬送ロボットにより、搬送台車上に下フレームをセットし、その後、搬送台車を組立ステーションに移動させる。次に、組立ステーションにて、溶接ロボットにより下フレーム同士を仮付けする。次に、払出しロボットの近傍に人手でパネルをプリセットして、払出しロボットにより、仮付けした下フレームの上に、上フレームおよびパネルをセットする。その後、上フレームおよびパネルを下フレームに仮付けする。
【0013】
このように、従来では、組立ステーションにて下フレーム同士を一旦仮付けするため、組立ステーションにて、上フレームおよびパネルをセットする必要があった。しかしながら、第3供給エリアに上フレームおよびパネルの2種類の部品を投入できないため、パネルについては人手でプリセットする必要があった。よって、サイクルタイムが長期化するという問題があった。
【0014】
そこで、この発明によれば、搬送装置を、セットステーションと組立ステーションとの間で移動可能とした。
よって、搬送台車が組立ステーションに移動した後でも、搬送装置により、部品をセットステーションの周囲の供給エリアから組立ステーションに搬送できる。
したがって、ミニバンのコンポーネントを製造する場合、組立ステーションにて加工装置により一部の部品すなわち下フレーム同士を仮付けしても、この仮付けした部品の上に、搬送装置により残りの部品すなわち上フレームおよびパネルを搬送できるので、従来のように人手でパネルをプリセットする必要がなくなり、サイクルタイムを短縮できる。
また、セダンのコンポーネントを製造する場合でも、搬送台車の移動に同期して搬送装置を移動することで、サイクルタイムを短縮できる。
【0015】
本発明のコンポーネント組立方法は、複数種類の部品を異なる手順で組み立てて複数種類のコンポーネントを形成するコンポーネント組立方法であって、セットステーションに搬送台車を位置させて、搬送装置により、前記複数種類の部品の一部(例えば、後述のセダン用のフロントフロアコンポーネントでは下フレーム11、ミニバン用のフロントフロアコンポーネントでは下フレーム21)を前記セットステーションの周囲に設けられた供給エリアから前記搬送台車上に搬送する第1部品セット手順と、前記搬送台車を前記セットステーションから組立ステーションに移動させる移動手順と、前記搬送装置により、前記複数種類の部品の残り(例えば、後述のセダン用のフロントフロアコンポーネントでは、上フレーム13およびパネル12、ミニバン用のフロントフロアコンポーネントでは、パネル23および上フレーム22)を前記セットステーションの周囲に設けられた供給エリアから前記搬送台車上に搬送する第2部品セット手順と、前記移動手順と前記第2部品セット手順との間、および、前記第2部品セット手順の後のうち少なくとも一方のタイミング(例えば、後述のセダン用のフロントフロアコンポーネントでは、第2部品セット手順の後、ミニバン用のフロントフロアコンポーネントでは、移動手順と第2部品セット手順との間、および、第2部品セット手順の後)で、加工装置により、前記部品同士を加工する加工手順と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、移動手順と第2部品セット手順との間、および、第2部品セット手順の後のうち少なくとも一方のタイミングで、部品同士を加工する加工手順を設けた。
よって、セダンおよびミニバンの両方のフロントフロアコンポーネントを確実に形成できる。
【0017】
この場合、前記搬送装置は、前記セットステーションと前記組立ステーションとの間で移動可能であり、前記第2部品セット手順では、前記加工手順の前または後のタイミング(例えば、セダン用のフロントフロアコンポーネントの組み立てでは、加工手順の前、ミニバンのフロントフロアコンポーネントの組み立てでは、最初の加工手順の後)で、前記搬送装置を移動させて、前記部品の残りを前記供給エリアから前記搬送台車に搬送することが好ましい。
【0018】
この発明によれば、第2部品セット手順では、加工手順の前または後のタイミングで、搬送装置を移動させて、部品の残りを搬送台車にセットした。
よって、セダンおよびミニバンの両方のフロントフロアコンポーネントを確実に形成できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、払出し装置に、部品を搬送する機能を持たせず、組み立てた部品を払い出す機能のみを持たせた。そして、セットステーションの周囲に、複数種類の部品がそれぞれ供給される供給エリアを設け、搬送装置により、これら供給エリアに供給された全ての部品をセットステーションまたは組立ステーションに搬送することとした。よって、従来のように払出し装置により上フレームを搬送しないので、コンポーネントを払い出す最中であっても、搬送装置により部品を搬送できる。したがって、セダンのコンポーネントを製造する場合、一部の部品のみを加工装置で一旦加工する必要がなく、加工装置により、全ての部品すなわち下フレーム、パネル、および上フレームを一度に加工できるから、高精度でフロントフロアコンポーネントを組み立てできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンポーネント組立システムにより形成されるセダン用のフロントフロアコンポーネントの分解斜視図および斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るコンポーネント組立システムにより形成されるミニバン用のフロントフロアコンポーネントの分解斜視図および斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るコンポーネント組立システムの平面図である。
【図4】前記実施形態に係るコンポーネント組立システムによりセダン用のフロントフロアコンポーネントを組み立てる手順を説明するための平面図(その1)である。
【図5】前記実施形態に係るコンポーネント組立システムによりセダン用のフロントフロアコンポーネントを組み立てる手順を説明するための平面図(その2)である。
【図6】前記実施形態に係るコンポーネント組立システムによりセダン用のフロントフロアコンポーネントを組み立てる手順を説明するための側面図である。
【図7】前記実施形態に係るコンポーネント組立システムによりミニバン用のフロントフロアコンポーネントを組み立てる手順を説明するための平面図(その1)である。
【図8】前記実施形態に係るコンポーネント組立システムによりミニバン用のフロントフロアコンポーネントを組み立てる手順を説明するための平面図(その2)である。
【図9】前記実施形態に係るコンポーネント組立システムによりミニバン用のフロントフロアコンポーネントを組み立てる手順を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンポーネント組立システムにより形成されるセダン用のフロントフロアコンポーネント10の分解斜視図および斜視図である。図2は、ミニバン用のフロントフロアコンポーネント20の分解斜視図および斜視図である。
フロントフロアコンポーネント10、20は、それぞれ、3種類の部品を組み合わせて形成される。
すなわち、フロントフロアコンポーネント10は、セダンに用いられ、部品としての下フレーム11、部品としてのパネル12、部品としての上フレーム13の順に下から積層されて構成される。
フロントフロアコンポーネント20は、ミニバンに用いられ、部品としての下フレーム21、部品としての上フレーム22、部品としてのパネル23の順に下から積層されて構成される。
【0022】
図3は、コンポーネント組立システム1の平面図である。
コンポーネント組立システム1は、セットステーション2と、組立ステーション3と、セットステーション2から組立ステーション3に至る走行路31上を移動する搬送台車30と、セットステーション2の周囲に設けられて部品が供給される第1〜第3供給エリア4、5、6と、セットステーション2の周囲に設けられた2台の搬送装置としての搬送ロボット40A、40Bと、組立ステーション3の周囲に設けられた4台の加工装置としての溶接ロボット50および1台の払出し装置としての払出しロボット60と、を備える。
【0023】
第1供給エリア4には、パネル12またはパネル23が選択的に供給される。
第2供給エリア5には、上フレーム13または上フレーム22が選択的に供給される。
第3供給エリア6には、下フレーム11または下フレーム21が選択的に供給される。
【0024】
搬送ロボット40A、40Bは、1台の固定式搬送ロボット40Aと、1台の移動式搬送ロボット40Bと、からなる。
固定式搬送ロボット40Aは、セットステーション2と第2供給エリア5および第3供給エリア6との間で床に固定され、第3供給エリア6に供給された部品11、21を把持して、セットステーション2に搬送できる。
【0025】
移動式搬送ロボット40Bは、セットステーション2から組立ステーション3に至る走行路41上を移動可能であり、第1供給エリア4および第2供給エリア5に供給された部品12、13、22、23を把持して、セットステーション2から組立ステーション3までの範囲に搬送できる。
【0026】
溶接ロボット50は、組立ステーション3に位置する部品を溶接する。
払出しロボット60は、床に固定され、組立ステーション3に位置する組み立て済みのフロントフロアコンポーネント10、20を払い出す。
【0027】
次に、コンポーネント組立システム1により、セダン用のフロントフロアコンポーネント10を組み立てる手順を、図4〜図6を参照しながら説明する。
初期状態では、図4(a)に示すように、第1供給エリア4には、パネル12が供給されている。第2供給エリア5には、上フレーム13が供給されている。第3供給エリア6には、下フレーム11が供給されている。
また、搬送台車30は、セットステーション2に位置している。
【0028】
ステップS1では、図4(b)および図6(a)に示すように、固定式搬送ロボット40Aにより、第3供給エリア6に供給された下フレーム11を把持して、搬送台車30上にセットする。また、移動式搬送ロボット40Bにより、第2供給エリア5に供給された上フレーム13を把持して、この上フレーム13を第1供給エリア4に供給されたパネル12上に載置する。
【0029】
ステップS2では、図5(a)に示すように、搬送台車30を、組立ステーション3に移動するとともに、図5(b)に示すように、移動式搬送ロボット40Bにより、上フレーム13およびパネル12を把持して、この状態で走行路41上を移動させて、上フレーム13およびパネル12を搬送台車30上の下フレーム11に載置する。
すなわち、図6(b)に示すように、移動式搬送ロボット40Bは、搬送台車30に同期して移動する。これにより、図6(c)に示す状態となる。
なお、本実施形態では、移動式搬送ロボット40Bを、搬送台車30に同期して移動させたが、これに限らず、搬送台車30が組立ステーション3に移動した後に、移動式搬送ロボット40Bを移動させてもよい。
【0030】
ステップS3では、溶接ロボット50により、搬送台車30上の下フレーム11、パネル12、および上フレーム13を仮溶接してフロントフロアコンポーネント10とする。次に、払出しロボット60により、この仮溶接したフロントフロアコンポーネント10を払い出す。このとき、溶接ロボット50により、複数箇所の溶接(増し打ち)を行う。
【0031】
次に、コンポーネント組立システム1により、ミニバン用のフロントフロアコンポーネント20を組み立てる手順を、図7〜図9を参照しながら説明する。
初期状態では、図7(a)に示すように、第1供給エリア4には、パネル23が供給されている。第2供給エリア5には、上フレーム22が供給されている。第3供給エリア6には、下フレーム21が供給されている。
また、搬送台車30は、セットステーション2に位置している。
【0032】
ステップS1では、図7(b)および図9(a)に示すように、固定式搬送ロボット40Aにより、第3供給エリア6に供給された下フレーム21を把持して、搬送台車30上にセットする。また、移動式搬送ロボット40Bにより、第1供給エリア4に供給されたパネル23を把持して、このパネル23を、第2供給エリア5に供給された上フレーム22上に載置する。
ステップS2では、図8(a)および図9(b)に示すように、搬送台車30を、組立ステーション3に移動し、溶接ロボット50により、この組立ステーション3に位置する下フレーム21を溶接する。
【0033】
ステップS3では、図8(b)および図9(c)に示すように、移動式搬送ロボット40Bにより、パネル23および上フレーム22を把持して、この状態で、走行路41上を移動させて、パネル23および上フレーム22を搬送台車30上の下フレーム21に載置する。
【0034】
ステップS5では、溶接ロボット50により、搬送台車30上の下フレーム21、上フレーム22、およびパネル23を仮溶接してフロントフロアコンポーネント20とする。次に、払出しロボット60により、この仮溶接したフロントフロアコンポーネント20を払い出す。このとき、溶接ロボット50により、複数箇所の溶接(増し打ち)を行う。
【0035】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)払出しロボット60に、部品を搬送する機能を持たせず、組み立てたフロントフロアコンポーネント10、20を払い出す機能のみを持たせた。そして、セットステーション2の周囲に供給エリア4〜6を設け、搬送ロボット40A、40Bにより、これら供給エリア4〜6に供給された全ての部品11〜13、21〜23をセットステーション2から組立ステーション3までの範囲に搬送することとした。
よって、従来のように払出し装置により上フレームを搬送しないので、フロントフロアコンポーネント10を払い出す最中であっても、搬送ロボット40A、40Bにより部品11〜13を搬送できる。したがって、セダンのフロントフロアコンポーネント10を製造する場合、溶接ロボット50により、下フレーム11、パネル12、および上フレーム13の全てを一度に溶接できるので、高精度でフロントフロアコンポーネントを組み立てできる。
【0036】
(2)移動式搬送ロボット40Bをセットステーション2と組立ステーション3との間で移動可能とした。よって、搬送台車30が組立ステーション3に移動した後でも、移動式搬送ロボット40Bにより、部品をセットステーションの周囲の供給エリア4〜6から組立ステーションに搬送できる。
したがって、ミニバンのフロントフロアコンポーネント20を製造する場合、組立ステーション3にて溶接ロボット50により下フレーム11同士を仮付けしても、この仮付けした下フレーム11の上に移動式搬送ロボット40Bにより上フレーム22およびパネル23を搬送できるので、従来のように人手でパネルをプリセットする必要がなくなり、サイクルタイムを短縮できる。
また、セダンのフロントフロアコンポーネント10を製造する場合でも、搬送台車30の移動に同期して移動式搬送ロボット40Bを移動することで、サイクルタイムを短縮できる。
【0037】
(3)セダンのフロントフロアコンポーネント10を製造する場合には、下フレーム11、パネル12、および上フレーム13の全てを搬送台車30に搬送した後、溶接ロボットでこれら下フレーム11、パネル12、および上フレーム13を溶接した。
一方、ミニバンのフロントフロアコンポーネント20を製造する場合には、搬送台車30が組立ステーション3に移動する工程とパネル23および上フレーム22を搬送台車30に搬送する工程との間で、下フレーム21を溶接した。また、パネル23および上フレーム22を搬送台車30に搬送した後に、下フレーム21、上フレーム22、およびパネル23を溶接した。
よって、セダンおよびミニバンの両方のフロントフロアコンポーネント10、20を確実に形成できる。
【0038】
(4)セダンのフロントフロアコンポーネント10を製造する場合には、溶接ロボットで下フレーム11、パネル12、および上フレーム13を溶接する前に、移動式搬送ロボット40Bを移動させて、上フレーム13およびパネル12を搬送台車30に搬送した。
一方、ミニバンのフロントフロアコンポーネント20を製造する場合には、溶接ロボットで下フレーム21を溶接した後に、移動式搬送ロボット40Bを移動させて、上フレーム22およびパネル23を搬送台車30に搬送した。
よって、セダンおよびミニバンの両方のフロントフロアコンポーネント10、20を確実に形成できる。
【0039】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 コンポーネント組立システム
2 セットステーション
3 組立ステーション
4 第1供給エリア
5 第2供給エリア
6 第3供給エリア
10、20 フロントフロアコンポーネント
11 下フレーム(部品)
12 パネル(部品)
13 上フレーム(部品)
21 下フレーム(部品)
22 上フレーム(部品)
23 パネル(部品)
30 搬送台車
40A 固定式搬送ロボット(搬送装置)
40B 移動式搬送ロボット(搬送装置)
50 溶接ロボット(加工装置)
60 払出しロボット(払出し装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の部品を異なる手順で組み立てて複数種類のコンポーネントを形成するコンポーネント組立システムであって、
セットステーションと、
組立ステーションと、
前記セットステーションと前記組立ステーションとの間で移動する搬送台車と、
前記セットステーションの周囲に設けられて、前記複数種類の部品がそれぞれ供給される複数の供給エリアと、
前記セットステーションの周囲に設けられて、前記複数の供給エリアに供給された部品を前記セットステーションまたは前記組立ステーションに搬送する搬送装置と、
前記組立ステーションの周囲に設けられて前記組立ステーションに位置する部品を加工する加工装置と、
前記組立ステーションの周囲に設けられて前記組立ステーションに位置する組み立てたコンポーネントを払い出す払い出し装置と、
を備えることを特徴とするコンポーネント組立システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンポーネント組立システムにおいて、
前記搬送装置は、前記セットステーションと前記組立ステーションとの間で移動可能であることを特徴とするコンポーネント組立システム。
【請求項3】
複数種類の部品を異なる手順で組み立てて複数種類のコンポーネントを形成するコンポーネント組立方法であって、
セットステーションに搬送台車を位置させて、搬送装置により、前記複数種類の部品の一部を前記セットステーションの周囲に設けられた供給エリアから前記搬送台車上に搬送する第1部品セット手順と、
前記搬送台車を前記セットステーションから組立ステーションに移動させる移動手順と、
前記搬送装置により、前記複数種類の部品の残りを前記セットステーションの周囲に設けられた供給エリアから前記搬送台車上に搬送する第2部品セット手順と、
前記移動手順と前記第2部品セット手順との間、および、前記第2部品セット手順の後のうち少なくとも一方のタイミングで、加工装置により、前記部品同士を加工する加工手順と、を備えることを特徴とするコンポーネント組立方法。
【請求項4】
請求項3に記載の組立方法において、
前記搬送装置は、前記セットステーションと前記組立ステーションとの間で移動可能であり、
前記第2部品セット手順では、前記加工手順の前または後のタイミングで、前記搬送装置を移動させて、前記部品の残りを前記供給エリアから前記搬送台車に搬送することを特徴とするコンポーネント組立方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−36982(P2011−36982A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189037(P2009−189037)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】