説明

コーティングされた有機または無機粒子を合成する方法

本発明は、加圧CO2環境下でのコーティングされた粒子の「その場(in situ)」製造のための方法に関する。製造方法は、粒子を合成するステップおよびそれらの粒子をコーティングするステップが、少なくともコーティングするまで合成された粒子が加圧CO2環境内での分散を維持するように連結されることを特徴とする。デバイスは、加圧CO2環境下で粒子を合成するための反応器と;コーティング材料およびその前駆体を前記反応器内に射出する手段と;前記反応器に加圧CO2環境を供給する手段とを備え、前記コーティング材料またはその前駆体を射出する手段は、コーティング材料またはその前駆体の前記反応器内への射出が前記反応器内での加圧CO2環境内の粒子の分散を抑制しないように、合成反応器に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧、例えば超臨界CO2媒体中でのコーティングされた有機または無機粒子の「その場(in situ)」合成のための方法に関する。
【0002】
本発明によれば、単一プロセスを用いて、単一デバイス中で、コーティングしようとする粒子が合成された後コーティングされるため、「その場(in situ)」と表現される。換言すれば、粒子の合成およびコーティングを単一動作で行うことができる。
【0003】
本発明の方法は、コーティングされた粒子を連続的、半連続的、またはバッチ式で生成することを可能とする。コーティングしようとする粒子は、一般に粉末の形態である。
【0004】
本発明は、例えば、イオン伝導体、触媒、セラミック、コーティング、化粧品、医薬品等の製造において、非常に多くの産業上の用途がある。これらの用途を、以下により詳細に説明する。
【0005】
例として、本発明の方法により、ナノ相の酸化物の合成および様々なコーティング剤による該酸化物のコーティングが可能となる。
【0006】
本明細書において、角括弧の間の参照番号([.])は、実施例の後にある参考文献を参照する。
【背景技術】
【0007】
1990年代から、加圧、特に超臨界媒体中での材料合成技術に対する研究が全盛となった。これらの技術により、ポリマー材料等の有機材料、または金属もしくはセラミック材料等の無機材料といった様々な種類の材料を合成することができる。超臨界アルコール、超臨界水、および超臨界CO2等、様々な合成媒体が研究されてきており、現在も研究されている。
【0008】
超臨界CO2媒体中で酸化物粒子を合成するための半連続式および連続式プロセスは、すでに文献に記載されている。これらのプロセスは、前駆体のゾル-ゲル反応および熱分解という2種類の反応に基づいている。
【0009】
同様に、超臨界媒体中でのコーティングのプロセスは、多くの出版物で取り上げられている。超臨界製剤プロセスは、多くの場合、活性成分(コーティングしようとする粒子)の配合とそのカプセル化を組み合わせている。
【0010】
以下、例として、まず酸化物粒子の合成、次いで粒子のコーティングに関し、文献をいくつか参照する。
【0011】
セラミック粒子の場合、現在使用されているセラミック酸化物の合成のための主なプロセスの1つは、ゾル-ゲルプロセスである。例えば、Subramanianらは、2001年[1]に、ゾル-ゲルプロセスによる酸化イットリウムの合成について説明している。また、例えば、Znaidiら[2]は、ゾル-ゲルプロセスによる酸化マグネシウム粉末の合成のための半連続的プロセスについて説明している。
【0012】
Adshiriら[3]は、超臨界水中での金属酸化物粒子の急速連続合成のための水熱結晶化プロセスについて説明している。これは、水熱プロセスを使用した連続合成プロセスである。さらに、新たな反応および新たな化合物の形成をもたらすために、気体または添加物(例えばO2、H2、H2O2)を導入することにより均質な酸化または還元雰囲気を形成することができる[4]。水熱合成のいくつかの最近の例として、2000年に説明された、La2CuO4合成のための超臨界水中での連続反応[5]、またはKolen'koらにより2002年に説明された、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンのナノ結晶粒子の合成[6]を挙げることができる。2002年には、Viswanathanらが、超臨界水媒体中での酢酸亜鉛の酸化による、管状反応器における酸化亜鉛ナノ粒子の連続形成について説明した[7]。酸化剤として、過酸化水素の予熱水溶液が使用された。
【0013】
有機金属前駆体としてのアルコキシドの熱分解と、超臨界溶媒の使用を組み合わせた試験が1990年代に行われ、これらの試験中に使用された超臨界溶媒は、エタノールまたはメタノール等の超臨界アルコールであった。この方法において使用されたメカニズムは、一般に加水分解、重縮合、および熱分解反応が関与する複雑なメカニズムである[8]。特に、TiO2[9]またはMgAl2O4[8,10]およびMgO[11]粉末が、超臨界アルコール単体において、または超臨界CO2中の混合物として得られている。
【0014】
超臨界溶媒、特にアルコールおよびCO2が、第1に、反応後の残留溶媒を排除するために、ゲル乾燥ステップの時にゾル-ゲルプロセスに使用された。ナノメートル金属酸化物粉末(酸化クロム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム)の合成のために、半連続的プロセスが開発された。そのようなプロセスによる二酸化チタンナノ粉末の合成が、2001年にZnaidiら[12]により説明されている。
【0015】
続いて超臨界溶媒は、ゾル-ゲルプロセスと同様のプロセスにおいて、反応溶媒として直接使用された。これは、例えば、ゾル-ゲル反応に近い[8]ものとして考えることができる上述のアルコキシドの熱分解を含む。
【0016】
1997年、アルコキシシランのゾル-ゲル重合のための溶媒として超臨界CO2を使用したエアロゲル調製プロセスが、Loyら[13]により説明された。ゾル-ゲル型のプロセスと組み合わされた超臨界CO2は、単一酸化物粒子、特にSiO2およびTiO2粒子、または混合酸化物粒子の合成に関連した、1998年の特許出願[14]の主題であった。後にこれらの研究は、2つの論文の過程で発展していった。第1の論文は、2000年にS. Papet[15]により発表され支持された。これは、接線濾過における膜用途のための、有機金属前駆体、チタンテトライソプロポキシドの加水分解による酸化チタン粒子の合成に関するものであった。第2の論文は、2003年にO. Robbe[16]により発表され支持された。これは、特に固体電解質型燃料電池(SOFC)における電解質としての用途のための、イオン伝導性混合酸化物粒子(ドープセリア、ドープランタンおよび没食子酸塩酸化物、ドープ酸化ジルコニウム)の合成に関するものであった。
【0017】
2002年、Reverchonら[17]は、超臨界CO2媒体中でのチタンテトライソプロポキシドの加水分解反応を使用した水酸化チタン粒子の連続的合成のためのシステムを提案した。
【0018】
粒子のコーティングについては、コーティングプロセスが数々の調査研究および出版物で取り上げられている。これらのプロセスは、一般に、従来の化学的経路を介したコーティングプロセスまたは超臨界媒体中でのコーティングプロセスに基づいている。
【0019】
化学的経路を介したプロセスのうち、例として、ポリマーをコーティングするために一般に使用される化学プロセスに含まれる、界面重縮合プロセス、エマルジョン重合、および分散媒体中での重合を挙げることができる。二酸化チタン粒子のコーティングのための、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液中のメチルメタクリレート(MMA)のエマルジョン重合は、特にCarisら[18]により説明されている。同様に、懸濁重合による酸化亜鉛/ポリ(メチルメタクリレート)複合ミクロスフェアの合成が、2002年にShimら[19]により説明された。
【0020】
超臨界CO2媒体中でのコーティングプロセスのうち、例として、J. Richardら[20]およびJungら[21]により説明されたプロセスを挙げることができる。また、例えば、J-H. Kimら[22]により説明された超臨界溶液の急速膨張(RESS)によるプロセス、またはY. Wangら[23]により説明されたもの等の派生的方法;RESS-Nプロセス(非溶媒でのRESS)[24、25];流動層中でのRESSプロセス[26、27];ガス貧溶媒化(GAS)プロセスまたは超臨界貧溶媒化プロセス(SAS、「Supercritical AntiSolvent」または「Supercritical Fluid AntiSolvent」の略)[28、29];相分離プロセス(バッチ反応器で使用)[30];および分散媒体中での重合[31]が挙げられる。
【0021】
RESSプロセスによるコーティングは、コーティング剤およびコーティングしようとする粒子を含有する超臨界溶液の急速膨張に基づく。このプロセスは、特に、ナプロキセンのマイクロカプセル化のためにKimら[22]により使用されている。他のプロセスは、コーティング剤(CO2中に溶解している)を粒子上に噴霧するためにRESSプロセスを使用する。このプロセスは、例えば、多孔質材料のパーフルオロエーテルコーティングの形成(公共インフラストラクチャおよびモニュメントにおける用途)のためにChernyakら[32]により使用され、また、ポリ塩化ビニル-コ-酢酸ビニル(PVCVA)およびヒドロキシプロピルセルロース(HPC)によるガラスビーズのコーティングのためにWangら[23]により使用されている。
【0022】
非溶媒によるRESSプロセスは、修正型RESSプロセスであり、超臨界CO2に若干溶ける粒子を、超臨界CO2に不溶性のコーティング剤でカプセル化することができる。コーティング剤をCO2/有機溶媒混合物に可溶化し、コーティングしようとする粒子をこの媒体中に分散させる。この分散物を減圧すると、粒子上にコーティング剤が沈着する。このプロセスは、薬のマイクロカプセルの形成[24]、タンパク質粒子のマイクロカプセル化[25]、ならびにポリマーによる酸化物粒子(TiO2およびSiO2)のコーティング[33、34]に使用されている。
【0023】
RESSプロセスおよび流動層の連結もまた開発されており、コーティングしようとする粒子は、超臨界流体またはガスにより流動化され、超臨界CO2により可溶化されたコーティング剤が、流動化された粒子の表面に沈着する[26、27、35]。
【0024】
粒子のコーティング[21]に適用された貧溶媒化プロセスでは、粒子およびコーティング剤は有機溶媒中に溶解または懸濁され、一緒にまたは別個に、超臨界CO2からなる貧溶媒中に噴霧される。特にASESプロセスおよびSEDSプロセスでは、様々な構成成分の噴霧を可能とするために多経路ノズルが使用される。
【0025】
Juppoら[36]は、超臨界貧溶媒化プロセスを使用した、マトリクス(コーティング剤)への活性物質(コーティングしようとする粒子)の組み込みを説明している。Elvassoreら[28]は、タンパク質充填ポリマーマイクロカプセルの生成に半連続的SASプロセスを使用している。活性成分を含有する微小粒子の調製に使用されたASESプロセスが、Bleichら[29]により説明されている。
【0026】
急速膨張する前の超臨界CO2を使用して、コーティング剤中の粒子の溶液を飽和させることにより、PGSSプロセスを介してミクロスフェアを形成することが可能である。このプロセスの利点は、粒子およびコーティング剤が超臨界CO2中に可溶である必要はないということである[21]。ShineおよびGelbは、マイクロカプセルの形成のための超臨界溶媒化を使用したポリマーの液状化を説明している[37]。
【0027】
相分離コーティング技術は、バッチ様式で動作している装置に非常に適している[30]。このプロセスは、タンパク質をポリマーでコーティングする目的で、2002年にRibeiros Dos Santosら[30]により説明された。金属粒子のコーティングのために、やや異なるプロセスが2001年にGlebovら[38]により使用された。2つのユニットが使用され、1つ目はコーティング剤(超臨界CO2中への可溶化を可能にする)を含有し、2つ目は金属粒子を含有する。2つのユニットは、可溶化されたコーティング剤の移送を可能とするために弁により互いに接続されている。
【0028】
分散媒体中での重合によるプロセスは、超臨界CO2媒体中、コーティングしようとする粒子の表面上で重合を行うことである。原理は、従来の重合によるコーティングと同じである。このプロセスでは、コーティングしようとする粒子の分散および粒子表面へのポリマーの付着を可能とするために、超臨界CO2に適した界面活性剤の使用が不可欠である。このプロセスによるコーティングの記述が、文献に見られるようになった。Yueら[31]は、そのようにしてマイクロメートル有機粒子をPMMAおよびPVPでコーティングした。同チーム[39]は、2004年4月アナハイムでの第227回アメリカ化学会年会(national ACS meeting)のポスター発表において、超臨界媒体中で合成されたシリカ粒子のPMMAコーティングについて説明した。
【0029】
一般に製剤分野において、超臨界プロセスは、コーティングしようとする粒子の形態での活性成分の配合とそのカプセル化を組み合わせている。これらのプロセスは、粒子の形態での活性成分およびコーティング剤の可溶化、ならびにそれに続くRESSまたはSASプロセスを用いた超臨界媒体中でのそれらの沈着に基づいている。
【0030】
しかし、バッチプロセスまたは半連続的もしくは連続的プロセスにより、加圧CO2媒体、例えば超臨界媒体中で、酸化物粒子の合成直後に該粒子をコーティングすることに関する出版物はない。
【0031】
したがって、これらの様々な従来技術のプロセスでは、「その場(in situ)」でコーティングされた酸化物粒子の合成が可能とはならない。
【0032】
現在、加圧CO2媒体中での酸化物ナノ粉末の標準化された生産のための方法は存在しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】R. Subramanian, P. Shankar, S. Kavithaa, S. S. Ramakrishnan, P. C. Angelo,. H. Venkataraman, ‘‘Synthesis of Nanocrystalline Yttria by Sol-Gel Method.’’, Materials Letters, 2001, 48: p.342-346.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明は、「その場(in situ)」でコーティングされた酸化物粒子を合成するための方法を提供する。
【0035】
本発明は、標準化された生産に従った粒子の合成およびコーティングを可能とし、それによりその産業化を促進する。
【0036】
本発明はまた、従来技術のプロセスと比較して、ナノメートル粉末の取扱い、保存を目的とした該粉末の安定化、ならびに、例えば分散、圧縮およびその後の焼結等によるその可能な配合の観点からの、真の改善を可能とする。
【0037】
本発明はまた、粉末の特性とは異なる特有の特性を有することができるそのコーティングの性質により、機能化された粉末を得ることを可能とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明の、コーティング材料でコーティングされた粒子を製造するための方法は、
(a)加圧CO2媒体中で粒子を合成するステップと、
(b)加圧CO2媒体中で、前記合成された粒子および前記コーティング材料または前記材料の前駆体を接触させるステップと、
(c)前記コーティング材料を直接使用して、または前記コーティング材料の前記前駆体の前記コーティング材料への転換後に、前記合成された粒子を前記コーティング材料でコーティングするステップと、
(d)前記コーティングされた粒子を回収するステップと
を含み、ステップ(a)および(b)は、ステップ(a)において合成された前記粒子が、少なくともステップ(c)まで加圧CO2媒体中での分散を維持するように連結される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】超臨界CO2媒体中でのコーティングされたセラミック酸化物の半連続的合成を目的として、第1の実施形態による本発明の方法を実行するために使用可能な、本発明によるデバイスのスキームである。
【図2】図1に示されるもの等の本発明によるデバイスにおいて使用可能な、反応器と射出システムとの間の接続のスキームである。
【図3】第2の反応器としてノズルまたは管状反応器(st2)を備える本発明によるデバイスのスキームであり、該デバイスは、加圧CO2媒体中でのコーティングされた酸化物粒子の連続的合成を目的として、第2の実施形態による本発明の方法を実行するために使用され得る。
【図4】第1および第2の管状反応器を備える本発明によるデバイスのスキームであり、該デバイスは、酸化物粒子の合成と、それに続く化学反応によるそのコーティングを目的として、第2の実施形態による本発明の方法を実行するために使用され得る。
【図5】添付の図3に示されるデバイスにおける第2の反応器として使用可能なノズルのスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
この方法は、例えば後述するデバイスを用いて行うことができる。
【0041】
実験においては、本発明の方法が確実で急速であり、合成後のコーティングされた粒子の質および量を制御することを可能とすることが示されている。
【0042】
本発明によれば、「ステップ(a)および(b)は連結される」という表現は、ステップ(a)の後に加圧CO2媒体のいかなる中断もなくステップ(b)が行われることを意味するよう意図している。すなわち、合成された粒子は、それらをコーティングするためにコーティング材料またはその前駆体と接触させられるまで、加圧CO2媒体中に残る。この連結の結果、特に、粒子と空気中の湿気とが接触することなく、合成およびコーティングステップが互いに続いて生じることとなる。
【0043】
従来技術のプロセスと本発明の方法との間の差異は、特にこの連結にある。この連結は、行われる方法のそれぞれの特異性、コーティングされた粒子の所望の質、および加圧媒体を鑑みると、容易に実行できるものではなかった。本発明の出願人は、コーティングされた粒子の製造のために有効でかつ非常に良好な定量的および定性的な結果をもたらすそのような連結を行った第一人者である。
【0044】
本発明の方法はまた、後述の実施例により示されるように、コーティングされた粒子のバッチ式、半連続的、または連続的な製造を可能とするという利点を有する。
【0045】
本発明において、「コーティングされた粒子」という用語は、粒子を構成する材料とは異なる材料の層で表面がコーティングされた任意の化学的粒子を意味するよう意図している。これらのコーティングされた粒子は、任意選択で、懸濁していても沈積物を形成(例えば、薄膜また含浸物の形態)してもよい粉末を構成してもよい。それらは様々な用途に使用することができる。例えば、イオン伝導体;触媒;セラミック;腐食保護用等の表面コーティング、磨耗保護用コーティング、減摩コーティング;化粧品;医薬品等に見られる。
【0046】
「加圧CO2媒体」という用語は、例えば2バールから74バールの圧力範囲の、大気圧を超える圧力下に置かれた気体状CO2媒体(CO2は気体の形態である)を意味するよう意図している。この加圧CO2媒体は、圧力が74バールを超え、温度が31℃を超える場合、有利に超臨界CO2媒体となることができる。
【0047】
有利には、本発明によると、粒子を合成するステップ(a)は、加圧CO2媒体中でこれらの粒子を製造するための、当業者に知られたいかなるプロセスによっても行うことができる。ステップ(a)による「合成」という用語は、従来的に、例えば、一次核生成、二次核生成、成長、熟成、熱処理等、この現象を構成する様々なステップのいずれをも意味するよう意図している。例えば、添付の参考文献の文献[8]、[9]、[10]、[11]、[12]、[13]、[14]、[15]、[16]およ[17]に記載の合成プロトコルの1つを使用することができる。粒子、および粒子の製造に使用される材料は、例えば、これらの文献で引用されているものであってもよい。
【0048】
限定されない例として、本発明に従いコーティングすることができる粒子は、金属粒子;金属酸化物粒子;セラミック粒子;触媒粒子もしくは混合触媒粒子;化粧品粒子もしくは混合化粧品粒子;または医薬品粒子もしくは混合医薬品粒子から選択することができる。限定されない例として、粒子は、二酸化チタン粒子、シリカ粒子、ドープもしくは非ドープ酸化ジルコニウム粒子、ドープもしくは非ドープセリア粒子、アルミナ粒子、ドープもしくは非ドープ酸化ランタン粒子、または酸化マグネシウム粒子から選択することができる。
【0049】
本発明によれば、コーティングしようとする粒子は、あらゆるサイズのものであってもよい。それらは、同一もしくは異なるサイズ、および/または同一もしくは異なる化学的性質の粒子の混合物であってもよい。粒子のサイズは、それらを製造するための方法に本質的に依存する。例として、上述のプロセスに関して、粒子は30nmから3μmの範囲の直径を有してもよい。これらの粒子は凝集していてもよく、また数ミクロンのクラスタを形成してもよい。
【0050】
本発明によれば、合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)は、加圧CO2媒体中に分散した合成された粒子に対し行われる。
【0051】
本発明の方法の第1の実施形態によれば、粒子を合成するステップ(a)および前記粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)は、同じ反応器(以降「合成および接触反応器」と呼ばれる)内で行われる。この実施形態は、半連続的またはバッチ式製造に適している。
【0052】
本発明の方法の第2の実施形態によれば、粒子を合成するステップ(a)は第1の反応器内で行われ、合成された粒子は、加圧CO2媒体中で、第2の反応器内に移送され、前記合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)は、前記第2の反応器内で行われる。この移送は、例えば、連続的または半連続的に行うことができる。
【0053】
有利には、本発明によれば、粒子を合成するステップ(a)の後、前記粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)を行う前に、合成された粒子を加圧CO2で一掃するステップが続いてもよい。この一掃するステップにより、前記粒子の製造に関与した化学物質の可能な過剰分および誘導体を粒子から除去することが可能となる。この一掃により、本発明の方法に従い得られるコーティングされた粒子の質をさらに改善することが可能となる。本発明によれば、実施形態とは無関係に、合成された粒子を一掃するこのステップは、それらが合成された反応器内で行われてもよい。このステップはまた、第2の実施形態において、第1の反応器から第2の反応器への合成された粒子の移送中に行われても、第2の反応器内で行われてもよい。
【0054】
選ばれた実施形態によれば、接触させるステップ(b)は、好ましくは、コーティング材料またはその前駆体を、加圧CO2媒体中で、合成された粒子を含有する反応器内に射出するか、あるいは、加圧CO2媒体中で、合成された粒子を含有する第2の反応器内に射出するステップである。好ましくは、コーティング材料またはその前駆体は、射出されるときに加圧CO2媒体中にある。しかし、それらは、以下に示すように有機媒体または無機媒体中にあってもよい。
【0055】
本発明の出願人は、本発明の方法の第2の実施形態の2つの変形例も提供する。「変形例」という用語は、この第2の実施形態の実行の異なる例を意味するよう意図する。
【0056】
これらの2つの変形例の第1の例によると、前記合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)は、前記第2の反応器内で行われ、該第2の反応器が、第1および第2の射出入口および出口を備えるノズルであり;
前記合成された粒子を前記コーティング材料またはその前駆体に接触させるステップが、前記ノズル内で行われるように、加圧CO2媒体中で、前記合成された粒子が前記ノズルの前記第1の入口を介して射出され、前記粒子と同時に、前記コーティング材料またはその前駆体が前記第2の入口を介して射出され;
コーティングされた粒子、または粒子およびコーティング材料もしくは前記材料の前駆体の混合物が、前記出口を介して回収される。
【0057】
この第1の変形例は、例えば、文献[28、29]に記載のSASプロトコルまたは文献[22]から[27]に記載のRESSプロトコル等の、SASまたはRESSコーティングプロトコルを使用して本発明の方法を実行するために使用することができる。
【0058】
上述の2つの変形例の第2の例によれば、前記合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)は、前記第2の反応器内で行われ、該第2の反応器は、入口を備える第1の端部および出口を備える第2の端部を備える管状反応器であり;
前記合成された粒子を前記コーティング材料またはその前駆体に接触させるステップが、前記第2の反応器内で行われるように、一方では、加圧CO2媒体中で、前記第1の反応器内で合成された粒子が、他方では、前記粒子と同時に、前記コーティング材料またはその前駆体が、前記入口を介して前記第2の反応器内に射出され;
コーティングされた粒子、または粒子およびコーティング材料もしくは前記材料の前駆体の混合物が、前記出口を介して回収される。
【0059】
有利には、上述の管状反応器は、コイルを変更し、それにより直径および長さの調節が可能な反応器の利益を得、またそれにより、この反応器中の反応物の滞留時間を変化させることができるように、取り外し可能な反応器である。
【0060】
本発明の第2の実施形態は、連続的または半連続的製造に有利なプロセスに対応する。これは、粒子の合成専用の第1のシステムと、合成された粒子のコーティング専用の第2のシステムの、2つの連結されたシステムを使用する。
【0061】
本発明によれば、上述の実施形態とは無関係に、コーティング材料は、当業者には既知のいずれのコーティング材料であってもよい。該コーティング材料は、例えば、焼結助剤、摩擦剤、耐磨耗剤、可塑剤、分散剤、架橋剤、金属化剤、金属バインダ、防食剤、耐摩滅剤、医薬品用コーティング、および化粧品用コーティングから選択される材料であってもよい。
【0062】
文献[22]から[39]は、本発明の方法を実行するために使用可能なコーティング材料の例を記載している。限定されない例として、コーティング材料は、有機ポリマー、糖、多糖類、金属、金属合金、および金属酸化物から選択されてもよい。
【0063】
限定されない例として、コーティング材料は、ポリ(メチルメタクリレート)およびポリエチレングリコールから選択されるポリマー;銅、パラジウム、および白金から選択される金属;または、酸化マグネシウム、アルミナ、ドープもしくは非ドープ酸化ジルコニウム、およびドープもしくは非ドープセリアから選択される金属酸化物であってもよい。
【0064】
本発明によれば、「コーティング材料の前駆体」は、一般に、コーティング材料を得ることを可能とする化学物質からなる。例えば、コーティング材料がポリマーである場合、その前駆体は、前記ポリマーのモノマー、プレポリマー、またはモノマー/プレポリマー混合物であってもよい。例えば、前駆体はまた、モノマー、プレポリマー、アセテート、アルコキシド、およびこれらの物質に加えて、界面活性剤、重合開始剤、反応触媒または酸等の添加物であってもよい。文献[22]から[39]は、コーティング材料の前駆体であり、また本発明に使用可能である材料を記載している。
【0065】
本発明の方法はまた、接触させるステップ(b)の前に、コーティング材料またはその前駆体を調製するステップ(x)をさらに含むことができる。この文章において、「コーティング材料またはその前駆体を調製する」という表現は、コーティング材料またはその前駆体の合成、またはその他、コーティング材料またはその前駆体の可溶化を意味するよう意図している。合成が関与する場合、ステップ(x)は、例えば、ゾル-ゲルプロセス、重合プロセス、プレ重合プロセス、熱分解プロセス、および有機または無機合成プロセスから選択することができる。可溶化が関与する場合、ステップ(x)は、コーティング材料を、有機溶媒もしくは無機溶媒(例えば貧溶媒化(SAS)プロセスが使用される場合)であってもよい溶媒中、または超臨界CO2媒体(例えばRESSプロセスが使用される場合)等の加圧CO2媒体中に可溶化するステップである。参考文献で参照される文献[22]から[39]は、このステップ(x)に使用可能なコーティング材料および適した溶媒の調製プロセスを記載している。
【0066】
本発明によれば、コーティングステップ(c)における粒子のコーティングは、例えば、コーティング材料の前記粒子上への沈着のプロセスを用いて、または、コーティングしようとする粒子の存在下での前記前駆体の前記コーティング材料への化学変換のプロセスを用いて行うことができる。
【0067】
文献[22]から[39]は、本発明の方法のステップ(c)に使用可能なコーティングプロセスを記載している。
【0068】
例として、沈着プロセスである場合、それは貧溶媒化プロセス、超臨界媒体中での微粒化プロセス、および相分離プロセスから選択されるプロセスであってもよい。
【0069】
例として、コーティング材料前駆体のコーティング材料への化学変換のプロセスである場合、そのプロセスは、コーティング材料前駆体がコーティング材料のモノマーおよび/またはプレポリマーである、添加物(表面活性剤および重合開始剤等)の存在下での重合;ゾル-ゲル合成;熱分解プロセス、ならびに無機合成プロセスから選択されてもよい。化学変換は、コーティング材料前駆体を、上述のように粒子と接触させることにより開始することができる。したがって、本発明によれば、加圧CO2媒体中で粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップの後に、コーティングするステップ(c)が第2の反応器内で行われてもよい。
【0070】
例として、本発明の方法の第2の実施形態によれば、粒子をコーティングするステップ(c)はまた、前記第2の反応器の出口で行われてもよい。これは例えば、特に第2の反応器がノズルであるときに、コーティングがRESSによる沈着により行われる場合である。ノズルの出口で減圧が生じ、粒子上にコーティング剤が沈着することになる。実験的な例示的実施形態を以下に記載する。
【0071】
あるいは、本発明によれば、粒子およびコーティング材料またはその前駆体の混合物を、第2の反応器の出口で回収することができ、コーティングするステップ(c)が、前記第2の反応器の出口に接続された、該混合物を回収するための反応器内で行われることが可能である。
【0072】
本発明によれば、コーティングは単純なコーティング、すなわち単一材料の単一層であってもよく、もしくは、多重コーティング、すなわち単一材料もしくはいくつかの異なる材料のいくつかの層(「多層」コーティング)、または少なくとも2つの異なる材料の交互の層であってもよい。各層は、いくつかの材料の混合物から調製される複合材料からなってもよい。コーティング材料のいくつかの層を得るために、本発明の方法のステップ(b)および(c)は、連続して複数回適用されてもよく、各適用において、同一または異なるコーティング材料を選ぶことができる。この場合、当然ながら、本発明によれば、コーティングされた粒子は、コーティング材料の全ての層が沈積するまで加圧CO2媒体中に残る。コーティングされた粒子の清浄化のために、それぞれの新たなステップ(b)および(c)の前に、例えば加圧CO2を用いてコーティングされた粒子の一掃を行うことができる。したがって、本発明の方法は、所望のコーティングされた粒子の全ての可能な構成に有利に適合することができる。
【0073】
本発明によれば、粒子のコーティングは、所望のコーティングされた粒子を得るために必要ないかなる厚さのものであってもよい。一般に、コーティング材料の厚さは、マイクロメートルまでの範囲であってもよいが、一般には0.1nmから5nmの範囲である。
【0074】
コーティングされた粒子は、続いて本発明の方法のステップ(d)に従い回収される。本発明によれば、この回収ステップは、コーティングされた粒子を加圧CO2で一掃するステップを含んでもよい。これは、そのような一掃により、得られたコーティングされた粒子から、過剰または未反応の物質および溶媒を除去することが可能となるためである。したがって、得られたコーティングされた粒子は「清浄」である。コーティングされた粒子のこの一掃は、粒子が回収される反応器内に純粋な加圧CO2を単に射出することにより行うことができる。
【0075】
一掃の有無とは無関係に、コーティングされた粒子を回収するステップ(d)は、加圧CO2の膨張を含んでもよい。これは、例えば、コーティングが加圧CO2媒体中で行われた場合である。この膨張は、ある場合には、上述のように粒子のコーティングをもたらすことができる。
【0076】
本発明によれば、コーティングされた粒子は、溶媒中または界面活性剤溶液中で回収することができる。これは、例えば、表面の焼結またはコーティング等の後のプロセスにおけるその使用を鑑み、コーティングされた粒子同士の凝集が望ましくない場合である。使用される溶媒または界面活性剤溶液は、コーティングされた粒子の化学的性質、さらにこれらの粒子の使用に依存する。溶媒は有機でも無機でもよい。これは、例えば、アルコール(エタノール、メタノール、またはイソプロパノール等)、アセトン、水、およびアルカン(ペンタン、ヘキサン)から選択することができる。界面活性剤溶液は、例えば、デキストランおよびトリトンXから選択される界面活性剤の溶液であってもよい。このように懸濁したこれらの粒子は、コーティングを構成するために、後に、例えば金属、ガラス、またはセラミック担体等の担体上に噴霧されてもよい。
【0077】
本発明の方法の第1の実施形態の実行のために、以降「第1のデバイス」と称されるデバイスを使用することが可能であり、該デバイスは、
-粒子を合成し、加圧CO2媒体中で粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるための反応器と、
-前記反応器に粒子前駆体を供給する手段と、
-コーティング材料またはその前駆体を前記反応器内に射出する手段と、
-前記反応器に加圧CO2媒体を提供する手段と、
-前記反応器と、供給、射出、および提供手段との間に設置された弁と、
を備え、前記コーティング材料またはその前駆体を射出する手段は、コーティング材料またはその前駆体の前記反応器内への射出が、粒子の合成後に反応器内に存在する加圧CO2媒体を排除しないように、前記反応器に連結される。
【0078】
合成反応器は、加圧媒体中で合成を行うための、当業者に知られた反応器のいずれであってもよい。該反応器は、撹拌器の心棒、および任意選択で邪魔板を備えていてもよい。これらの邪魔板は、機械的撹拌器により生成された渦を乱し、粒子の合成および/または粒子のコーティングのための反応媒体の均質化を改善する。
【0079】
したがって、コーティング材料を射出する手段は、特に、コーティング材料またはその前駆体の反応器内への導入の間に、合成された粒子と空気との間の接触を回避することを可能とする。本発明によれば、射出手段は、好ましくは温度調整(熱調整)され、好ましくはさらに圧力調整されるが、これは特に、射出中に反応器内の加圧CO2媒体を制御および維持するためのすべてのパラメータを利用可能とすることを目的とした場合である。想定され得る温度および圧力の範囲は、それぞれ、100℃から700℃および10バールから500バールとなり得る。
【0080】
コーティング材料を射出する手段は、加圧CO2媒体を提供する手段に接続されてもよい。したがって、加圧CO2を用いて、射出手段において媒体の加圧を保持することが可能であり、また任意選択的に射出手段を清浄化または洗浄することが可能である。この提供手段により、例えば、本発明のデバイスにおいてRESSプロセスを行うことが可能となる。
【0081】
この第1のデバイスにおいて、コーティング材料またはその前駆体を射出する手段は、コーティング材料またはその前駆体を調製するための反応器を備えてもよく、前記調製反応器は前記射出手段に接続されている。例えば、コーティング材料を調製するための反応器と、粒子を合成し接触させるための反応器とを、漏出しない様式で管が接続してもよい。ポンプが射出を可能にしてもよい。
【0082】
合成および接触反応器において粒子を合成するステップの後に射出管のいかなる詰まりをも防止し、またシステムの中間的清浄化を促進するために、1つは粒子を合成するための物質(例えば水、加圧CO2および合成される粒子の前駆体である物質)を反応器内に射出するためのもの、もう1つはコーティング材料またはその前駆体を射出するためのものである、2つの射出管が使用されてもよい。添付の図2は、「実施例」で議論される、2つの射出管を有するデバイスを示す。
【0083】
本発明の方法の第2の実施形態の実行のために、以降「第2のデバイス」と称される第2のデバイスを使用することが可能であり、該デバイスは、
-加圧CO2媒体中で粒子を合成するための第1の反応器と、
-合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるための第2の反応器と、
-第1の反応器から第2の反応器に合成された粒子を移送する手段と、
-コーティング材料または該材料の前駆体を前記第2の反応器内に射出する手段と、
-デバイス、特に第1および第2の反応器に、加圧CO2媒体を提供する手段と、
-前記反応器と前記手段との間に設置された弁と、
を備え、前記合成された粒子を移送する手段は、第1の反応器から第2の反応器への移送中に、合成された粒子が加圧CO2媒体中に分散した状態を保持することを可能にし、
前記コーティング材料を射出する手段は、コーティング材料またはその前駆体の前記第2の反応器内への射出が、前記第2の反応器内の加圧CO2媒体中の粒子の分散を損なわないように、前記第2の反応器に連結される。
【0084】
第2のデバイスにおいて、出願人は、加圧CO2媒体中での合成のための反応器を、コーティング材料の射出を可能とする加圧CO2媒体中でのコーティングのための反応器と有利に連結し、それにより合成された粒子と空気中の湿気との間のいかなる接触をも防止し、したがって粒子の凝集を防止する。実際、この凝集により、粉末がCO2中に再懸濁されたとしても、個々の粒子のコーティングは困難となるか、さらには不可能となる。
【0085】
この第2のデバイスの反応器は、超臨界媒体中で合成を行うための、当業者に知られた反応器のいずれからも独立して選択することができる。
【0086】
各反応器は、撹拌器の心棒、および任意選択で邪魔板を備えていてもよい。心棒および邪魔板の役割は上で説明した通りである。
【0087】
有利には、第1および第2の反応器のうちの少なくとも1つ、一般には両方の反応器が熱調整される。熱調整手段は当業者に既知のものであってよく、特に加圧媒体中での合成のためのデバイスにおいて通常使用されるものであってよい。
【0088】
この第2のデバイスは、一般に、前記第1の反応器内での粒子の合成を可能とするために、加圧CO2、水または有機溶媒、および前記粒子の前駆体物質(純粋かもしくは溶液中)を前記第1の反応器に提供するための手段を備えている。これらの手段は、上述の第1のデバイスの特徴と同じ特徴を備えてもよい。
【0089】
この第2のデバイスの第1および第2の反応器のうちの少なくとも1つは、端部の一方に入口を、他方の端部に出口を備える管状反応器であってもよい。したがって、粒子の前駆体および加圧CO2を第1の端部を介して射出し、また加圧CO2媒体中で、合成された粒子を第2の端部を介して連続的に抽出することにより、前記粒子を連続的に合成することができる。
【0090】
コーティングされた粒子を連続的に製造するための方法の実行のために、第1および第2の反応器は、好ましくは管状反応器である。特に有利な一実施形態によれば、特にコーティングされた粒子の連続的製造のためには、第1および第2の反応器は管状反応器であり、第1の反応器から第2の反応器に粒子を移送する手段を介して、第1の反応器の出口が第2の反応器の入口に接続されるように、直列的に組み付けられる。
【0091】
管状反応器は、好ましくは取り外し可能である。有利には、これにより、例えば、反応器内の反応物の滞留時間を変え、したがって反応の進行速度ならびに/または合成および/もしくはコーティングしようとする粒子のサイズを調節することを目的として、その直径、形状、もしくは長さを選択するために反応器を交換することが可能となる。一般に、管状反応器は円筒形状であるが、粒子とコーティング材料またはその前駆体との間の接触を促進するいかなる細長い形状も適している。管状反応器は、例えば、直線状であってもコイル状であってもよい。長さは、所望の滞留時間に従い選択される。
【0092】
第2の反応器はまた、粒子をコーティング材料またはその前駆体と接触させることができるノズル、好ましくは同軸ノズルの形態であってもよく、該ノズルは、第1および第2の射出入口および出口を備え、
前記第1の射出入口は、加圧CO2媒体中で、移送された粒子を前記ノズル内に射出することができるように、粒子を移送する手段に接続され、
前記第2の射出入口は、コーティング材料またはその前駆体を前記ノズル内に射出することができるように、コーティング材料またはその前駆体を射出する手段に接続される。
【0093】
この第2のデバイスにおいて使用可能なノズルは、粒子およびコーティング材料またはその前駆体が混合され、任意選択で粒子がコーティングされる、ベンチュリシステムであると定義することができる。以下に記載する実施例は、この第2の変形例を示している。一般に、本発明のデバイスにおいてノズルが使用される場合、ノズル直径は、好ましくは、プロセスを実行している間の粒子およびコーティング材料による閉塞が回避されるように選択される。この直径は、ノズルを通過する材料の量、および粒子のサイズに従い選択される。例として、数百ミクロンから数ナノメートルの範囲となり得る内径を有するノズルが選択される。また、例として、数センチメートルから数十センチメートルの長さを有するノズルが、本発明の方法を実行するためには十分である。粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させる機能、また必要に応じて、粒子をコーティングするための反応器としての機能を果たす限り、ノズルはいかなる形状のものであってもよい。例えば、円筒形状、円錐柱形状、または裁頭円錐形状であってもよい。
【0094】
有利には、二通路型同軸ノズルを使用することができる。例えば、第1の通路は加圧CO2およびコーティングしようとする粒子を導入させ、第2の通路は、コーティング材料を、単独で、溶液として、または加圧CO2とともに射出するために使用されてもよい。
【0095】
第2の反応器は、接触させるため、コーティングするため、およびコーティングされた粒子を回収するための反応器であってもよい。しかし、好ましくは、本発明のデバイスは、コーティングされた粒子を回収するための1つまたは複数の反応器を備える。
【0096】
したがって、この第2のデバイスはまた、コーティングされた粒子を回収することができるように、前記第2の反応器に接続された少なくとも1つの回収反応器を備えてもよい。例えば、回収反応器は、それが管状か、ノズル形態か、または他のいかなる形状かにかかわらず、コーティングされた粒子、または粒子およびコーティング材料もしくはその前駆体の混合物を回収することができるように、第2の反応器の出口に接続されてもよい。例えば、ノズル形態の反応器が関与する場合、前記回収反応器は前記ノズルの出口に接続される。
【0097】
有利には、本発明の第2のデバイスは、回収反応器のそれぞれにおいて交互に、または連続して、コーティングされた粒子、または粒子およびコーティング材料もしくはその前駆体の混合物を回収することができるように、前記第2の反応器(例えばノズル)に接続された少なくとも2つの回収反応器を備えることができる。したがって、第1の回収反応器がいっぱいである場合は、コーティングされた粒子の回収は、例えば弁を用いて第2の回収反応器に切り替えられる。この切替は、回収反応器に設置され、第2の反応器と回収反応器との間に設置された弁制御部に接続された、(光学的または機械的)レベル検出器を用いて自動的に制御されてもよい。また、いくつかの回収反応器を備えるデバイスは、例えば、プロセスの開始時または終了時にデバイスを洗浄して回収反応器に流し、また洗浄に使用されているもの以外の1つまたは複数の回収反応器内でコーティングされた粒子を回収することも可能とする。いくつかの回収反応器の使用は、コーティングされた粒子の製造のための連続的プロセスの実行に特に適している。
【0098】
使用される第1および第2の反応器の種類が何であっても、第2のデバイスはまた、コーティング材料またはその前駆体の調製のための反応器である第3の反応器であって、該第3の反応器から前記第2の反応器にコーティング材料またはその前駆体を移送する手段を介して、射出手段に接続された第3の反応器を備えてもよい。この手段は、上述のように管またはポンプを備えてもよい。この第3の反応器により、本発明の方法の上述のステップ(x)を行うことが可能となる。該反応器は、例えば、コーティング材料を溶媒中に可溶化するため、またはコーティング材料を合成するための反応器であってもよい。
【0099】
この第3の反応器は、例えば、該反応器に溶媒を提供するための手段と、該反応器にコーティング材料またはその前駆体を提供するための手段とを備えてもよい。これらの手段は、例えば溶媒を反応器内に導入するための単純な開口であってもよく、または、例えば加圧媒体を射出するための射出デバイスであってもよい。これらの手段は、当業者には既知の手段である。それらは、有利に、反応器、および全体としてのデバイスの内容物の閉じ込めを保つことを可能とする。この第3の反応器は、例えば、コーティング材料またはその前駆体を、溶媒中、例えば加圧CO2中に可溶化するための従来の反応器であってもよく、このとき該反応器に溶媒を提供するための手段は、加圧CO2を提供する手段である。この場合、前記第3の反応器から前記第2の反応器へコーティング材料またはその前駆体を移送する手段は、好ましくは、その移送および前記第2の反応器への射出中、加圧CO2へのコーティング材料の可溶化を保持することを可能とする。この第3の反応器はまた、例えば、コーティング材料またはその前駆体を射出前に調製(合成)するための、従来の反応器であってもよい。その場合、該反応器は、例えば該反応器にコーティング材料前駆体を提供するための手段を備える。
【0100】
この第3の反応器は、本発明のデバイスにおけるその機能を果たすことができる限り、当業者には既知のいかなる形態の反応器であってもよい。コーティングされた粒子の連続的製造のためには、例えば上述したような管状反応器の形態の第3の反応器が好ましい。
【0101】
本発明の方法を実行するためのデバイスが何であっても、デバイスは、1つまたは複数の分離器と、任意選択で1つまたは複数の活性炭フィルタとを備えた減圧ラインを備えるか、またはそれに接続されていてもよい。これにより、揮発性物質およびガスが雰囲気中に放出されないように、またそれらが分離器により回収されないようにすることができる。膨張ラインは、反応器内が大気圧に戻ることを可能とする。実施例において見られるように、いくつかの反応器を備えるデバイスには、単一の膨張ラインおよび分離器が十分となり得る。それは一般に、反応器、例えばコーティングされた粒子の回収のための反応器に接続される。
【0102】
デバイスの形態が何であっても、デバイスはまた、圧力センサと、圧力調整器およびプログラマとに連結された、少なくとも1つの自動膨張弁を備えることができる。好ましくは、デバイスはいくつかの該膨張弁を備える。この膨張弁、センサおよび調整器により、本発明の方法を実行するために使用されるときのデバイスの安全性を保証し管理することが可能となる。これらの弁、センサ、および調整器は、加圧媒体中でプロセスを実行するためのデバイスにおいて通常使用されるものであってもよい。
【0103】
デバイスでは、その形態が何であっても、合成反応器はまた、温度調整器およびプログラマに接続された少なくとも1つの温度センサと、圧力調整器およびプログラマに接続された自動膨張弁および圧力センサとを備えてもよい。好ましくは、例えば各反応器のレベルでそれらのいくつかを備える。これらのセンサおよび調整器は、超臨界媒体等の加圧媒体中でプロセスを実行するためのデバイスにおいて通常使用されるものであってもよい。
【0104】
デバイスを構成する様々な要素の元の組合せは、すぐに使用できるコーティングされた無機または有機粉末を生成することができるシステムを形成する。好ましい実施形態において、このシステムは、好ましくは以下の要素のうちの1つまたは複数、好ましくは全てを備える。
-コーティングのための前駆体および/または材料の急速導入のための流速可変または調節可能射出システム(例えば、半連続的または連続的プロセスを実行するため);
-無機または有機粒子を生成するための熱調整された取り外し可能な管状反応器(例えば、連続的または半連続的プロセスのため);
-コーティング材料および粒子を射出する2つの別個の手段(例えばSASおよび/またはRESSプロセスを、連続的または半連続的に実行するため);
-粉末の乾式または湿式回収のためのシステム(例えば、適した水性媒体またはアルコール媒体等の有機媒体中の溶液または分散液の形態での粉末の回収);
-直列的に反応器を追加することによって、合成(重合または無機合成)により直接コーティングを行う可能性(例えば、連続的または半連続的プロセス)。
【0105】
上述の要素のうちの1つまたは複数、好ましくは全てを組み合わせた本発明は、標準化されたプロトコルに従った粒子の合成およびコーティングを可能にする。このプロトコルは、コーティングされた粒子の均質なサイズおよび分布を得ることを目的とするように定められる。合成には、無機または有機粒子が関与し得る。同様に、これらの粒子のコーティングを可能とするコーティング材料も、事実上無機または有機となり得る。
【0106】
これは、以下に示す例から選択することができるコーティング材料(コーティング剤とも称される)であってもよい。例えば、
-焼結の間関与する相変態を活性化または削減するための、例えばAl2O3、Y2O3、SiC、FeO、MgO等から選択される焼結助剤。
-例えばAl2O3、SiO2等から選択される、摩擦剤または耐磨耗剤。
-キャストにより生成された粗セラミックバンドの結合のための、例えばポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等から選択される可塑剤。
-静電反発力または立体安定化に作用する、有機解膠高分子電解質またはポリマー等の分散剤。
-様々なカチオンの挿入のための三次元ネットワーク中に架橋されたポリアクリルアミドゲルを得るための、例えばN,N'-メチレンビスアクリルアミド、N,N'-ビスアクリリルシスタミン、N,N'-ジアリルタルトラジアミドから選択される架橋剤。
-電気伝導性のために使用される、例えばAg、Pd、Pt等から選択される金属化剤。
-防食性および耐摩滅性のための、例えばニッケル、クロム、チタン等から選択される金属バインダとして使用される薬剤。
【0107】
上述の例に加え、本発明のコーティングプロセスは、例えば、Ti/Pd、Ti/Pt等の触媒の生成、さらに貴金属、例えばPdまたはPtによるTiO2型金属のコーティングを可能とする。
【0108】
また、例として、本発明は特に、ポリ(メチルメタクリレート)でコーティングされたイットリウムドープ酸化ジルコニウム粒子、PdまたはPtでコーティングされた酸化Ti等の貴金属でコーティングされた金属酸化物触媒粒子、およびポリマーでコーティングされた二酸化チタンから選択される、コーティングされた粒子の製造を可能とする。
【0109】
本発明は、超臨界CO2媒体等の加圧CO2媒体中での、例えば上述のようなセラミック酸化物等の粒子の合成、およびそれらのその場(in-situ)コーティングを可能とする。
【0110】
本発明は、コーティングされた粒子の工業規模の製造を行うことを可能とする。本発明は、大量のコーティングされた酸化物粉末、特に少なくとも1種の酸化物のナノ相粉末の合成を可能とする。
【0111】
以下の図面および実施例は、本発明を実行する様々な実施形態を例示する。
【実施例】
【0112】
(実施例1)
本発明の方法によるコーティングされた粒子の半連続的製造に使用可能な、本発明によるデバイス
本実施例において示されるデバイスにより、上で開示された第1の実施形態による本発明の方法を実行することが可能となる。
【0113】
このデバイスは、添付の図1に概略的に示されている。これは、液体CO2ストック(CO2)、濃縮器(cd)、ポンプ(po)、および、反応器内に射出されるCO2を加熱する手段(ch)を備える超臨界CO2を提供する手段に接続された、従来の超臨界CO2媒体中での合成のための反応器(R)に基づく。
【0114】
この反応器(R)は、超臨界CO2媒体中での粒子合成のための反応器として、また合成された粒子のコーティングのための反応器として機能する。反応器は、撹拌器の心棒(ma)および邪魔板(pf)を備える。また、反応器内に存在する反応物を加熱し温度調整する手段(図示せず)を備えてもよい。
【0115】
反応器はまた、行われるプロセスに依存して、粒子の前駆体である材料を反応器内に射出するため、および/またはコーティング材料もしくは該材料の前駆体を射出するために使用可能な射出システム(I)に接続されている。射出システムは熱調整されている。また、射出システム自体は、調整弁(Vr)(例えばRESSプロセスを使用する用途に有用)を備えるライン(L')により上述のCO2ストックに接続されている。射出システム(I)は、コーティング材料前駆体(pr)またはコーティング材料、および、この前に、任意選択で粒子前駆体材料を含有または射出することを目的とした圧力マルチプライヤ(mp)および反応器(r)を備える。この射出システムはまた、洗浄弁(Vp)を備える。定量ポンプまたはシリンジポンプ等の他の種類の射出システムを使用することもできる。
【0116】
このデバイスはまた、分離器(S)および圧力センサ(P)を備える膨張ライン(L)、さらに圧力調整器およびプログラマ(RPP)を備える。
【0117】
超臨界流体の循環を可能とする1組の漏出防止パイプ(t)が、この図に示されたデバイスの様々な要素を接続している。これらのパイプに設置された1組の調整弁(vr)、自動膨張弁(vda)および弁(v)により、このデバイス内での流体の循環を制御することが可能となり、また、プロセスの最後に、コーティングされた粒子の回収のために反応器を減圧することが可能となる。
【0118】
添付の図2は、粒子を合成するステップの後の射出管の詰まりの問題を克服し、システムの中間的清浄化を促進することを可能とする、反応器(R)と射出システム(I)との間の接続のスキーム(上方からの断面図)を示す。反応器(R)内への射出のために2つの射出管が設けられ、第1の管(t1)は、粒子を合成するための材料の射出に使用される。第2の管(t2)は、コーティング材料またはその前駆体の射出に使用される。上述のような射出システム(I)が提供される。膨張弁(v)および調整弁(Vr)がある。この接続により、2つの射出管を使用して、システムの中間的清浄化を促進することが可能となる。したがって、例えば、粒子の合成中に第1の管が詰まった場合には、第2の管を使用してコーティングステップを行うことが可能である。
【0119】
本デバイスの動作
動作の例として、本デバイスで行うことができる本発明による2種類の合成プロセスを挙げる。
【0120】
第1の種類のプロセスは、合成される粒子の前駆体(sp)の溶液で反応器(R)を事前に満たし、次いで、該反応器内での粒子の合成に選択される動作条件に到達するようにシステム内の温度およびCO2圧力を上げることである。
【0121】
第2の種類の合成プロセスは、合成温度および合成圧力のCO2であらかじめ充填された反応器内に、射出システム(I)を用いて前駆体(sp)の溶液を射出することである。この第2の種類の合成プロセスが使用される場合、コーティングは、射出システム(I)の導入ラインの清浄化の後に行われる。
【0122】
射出後に反応器(R)がコーティングに有利な条件下(温度、圧力等)にあるためには、粒子の合成ステップとコーティングステップとの間に重要なステップが存在する。
【0123】
後述の実施例4および5は、コーティングされた粒子の製造のための、本実施例で説明されたデバイスの使用例である。
【0124】
(実施例2)
本発明の方法によるコーティングされた粒子の連続的製造に使用可能な、本発明によるデバイス
本実施例で示されるデバイスは、コーティングされた粒子の連続的合成に使用することができる。このデバイスは、添付の図3に概略的に示されている。このデバイスは、4つの部分として以下に説明される。
【0125】
このデバイスの第1の部分(I)は、酸化物粒子の粉末を合成するために使用される。これは、その構成(異なるサイズのコイル)を変更し滞留時間を調節することができるために取り外し可能な熱調整された管状反応器(rt1)からなる。この管状反応器は、液体CO2ストック(CO2)、貯蔵容器の形態の前駆体溶液(sp)のストック(re)(任意選択で機械的または磁気的撹拌手段(ma)を備える)、および、図中「H2O」と参照される反応物ストック(水、アルコール、ガス等)に接続されている。ポンプ(po)は、CO2、前駆体溶液、および反応物を反応器(rt1)に連続的に提供することを可能とする。
【0126】
これらの様々な要素を管(t)が接続する。流速調整弁(vr)および開閉弁(vo)はそれぞれ、デバイス内の材料の流れの調整およびデバイスの減圧を可能とする。
【0127】
第2の部分(2)は、コーティング専用である(コーティングゾーン)。これは、合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるための第2の反応器(rt2)を備える。この第2の反応器は、図5に示されるもののような、合成された粒子のための入口(eps)と、コーティング材料またはその前駆体のための入口(eme)と、コーティングされた粒子、または粒子およびコーティング材料もしくはその前駆体の混合物のための出口(so)とを備えるノズル(B)である。このノズルにより、例えば、粒子のコーティングのためにRESSまたはSASプロセスを実行することが可能となる。
【0128】
デバイスの第3の部分(3)は、コーティング材料またはその前駆体の調製を可能とする。示されたデバイスには、2つの調製手段(sr1)および(sr2)(それぞれ「第3の反応器」を構成する)が組み付けられている。最適な手段は、コーティングされた粒子を製造するために使用されるプロセスに従い選択される。使用されない手段(sr1)または(sr2)は、当然ながら、デバイスから削除され得る。
【0129】
手段「sr1」は、コーティング材料またはその前駆体を連続的に調製するための管状反応器を備える。手段「sr2」は、コーティング材料またはその前駆体を沈着または可溶化するための従来の反応器を備える。これらの手段により、RESSおよびSASという2つの異なる種類のプロセスを実行することが可能となる。RESSプロセスでは、CO2中にコーティング剤を可溶化するための管状反応器(rt3)の形態での抽出ユニットが使用される(sr1)。この抽出ユニットは、液体CO2ストック(CO2)に接続される。SASプロセスでは、コーティング剤またはその前駆体を可溶化するための有機または無機溶液を含有することができる従来の反応器(rc)が使用される。この従来の反応器(rc)は、機械的または磁気的撹拌手段(ma)を備えてもよい。可溶化されたコーティング剤またはその前駆体は、第2の反応器(rt2)内に射出されるためにポンプ(po)により運搬される(sr2)。管(t)、開閉弁(vo)、調整弁(vr)および弁(v)が提供される。
【0130】
示されたデバイスの第4の部分(4)は、コーティングされた粉末の回収専用である。この部分は、3つの回収容器「pr」、「PR1」および「PR2」からなる。容器「pr」、「PR1」および「PR2」は、例えば第1の容器「PR1」がいっぱいである場合に第2の容器「PR2」に切り替える等、それらの間で切替が可能となるように並列的に装備されている。第1の容器「pr」は、合成開始から公称の動作体制が得られるまでの間に得られた第1の粒子を回収し隔離することを可能とする。次に、容器「PR1」および「PR2」内で、連続して、または交互に回収が行われる。「PR1」および「PR2」は、分散液の形態で製造された粉末およびコーティングされた粒子を回収することができるために、溶媒または溶液を含有することができるようなものである。
【0131】
このデバイスはまた、自動流量弁(vda)と、分離器(S)および圧力センサ(P)を備える膨張ライン(L)と、さらに圧力調整器およびプログラマ(RPP)とを備える。超臨界CO2を提供する手段は、液体CO2ストック(CO2)、濃縮器(cd)、ポンプ(po)、および、反応器内に射出されるCO2を加熱する手段(ch)を備える。
【0132】
このアセンブリは多価的である。例えば、化学反応により酸化物粒子を合成するため、RESSまたはSASプロセスを介して様々な材料を配合するため、およびコーティングされた酸化物粒子をRESSまたはSAS反応等により合成するために、独立して使用可能である。
【0133】
本デバイスの動作
第1の反応器(rt1)内で連続的に製造された酸化物粒子は、第3の反応器((rt3)または(rc))内で調製されるコーティング材料またはその前駆体と同時に、第2の反応器(rt2)内に連続的に射出される。コーティングされた粒子は、回収容器(PR1)および(PR2)内で交互に、連続的に回収される。
【0134】
後述の実施例6および7は、コーティングされた粒子の製造のための、本実施例で説明されたデバイスの使用例である。
【0135】
(実施例3)
本発明の方法によるコーティングされた粒子の連続的製造に使用可能な、本発明によるデバイス
本実施例で説明されるデバイスは、実施例2のデバイスから派生する。このデバイスは、図4に概略的に示されている。この図に示されている様々な要素は、実施例1および2ならびに図1および3ですでに参照されている。
【0136】
このデバイスにおいて、第1および第2の反応器(rt1およびrt2)は管状反応器であり、超臨界媒体中で第1の反応器から第2の反応器へ合成された酸化物粒子を運搬するための移送手段(この場合では管(t))を介して、第1の反応器(rt1)の出口が第2の反応器(rt2)の入口に接続されるように、直列的に装備されている。
【0137】
各反応器は、それに反応物を供給するための貯蔵容器(re1)(および任意選択で(re'1))ならびに(re2)(および任意選択で(re'2))にそれぞれ接続されている。第1の反応器(rt1)では、反応物は、酸化物粒子の製造に使用されるものである。第2の反応器(rt2)では、反応物は、コーティング材料またはその前駆体を構成するものである。
【0138】
簡潔のために、1つの回収容器(PR)のみが示されている。しかし、このデバイスはまた、図3に示されるデバイスのように、いくつかの回収容器を備えてもよい。
【0139】
本デバイスの動作
第1の反応器(rt1)内で連続的に製造された酸化物粒子は、コーティング材料またはその前駆体と同時に、第2の反応器(rt2)内に連続的に射出される。コーティングされた粒子は、第2の反応器(rt2)から、回収容器内で交互に連続的に回収される。
【0140】
後述の実施例8は、コーティングされた粒子の製造のためのこのデバイスの使用例である。
【0141】
(実施例4)
実施例1で説明されたデバイスを使用した、本発明の方法によるコーティングされた粒子の第1製造例
本実施例において製造されるコーティングされた粒子は、ポリ(メチルメタクリレート)でコーティングされたイットリウム化酸化ジルコニウム粒子である。
【0142】
イットリウム化酸化ジルコニウム粒子の前駆体は、ジルコニウムヒドロキシアセテート(0.7mol/L)および酢酸イットリウム(0.05mol/Lから0.2mol/L)である。硝酸(溶媒の総容積に対し5%から20%)の存在下でこれらを有機溶媒(アルコール、アセトン、またはアルカン)中に可溶化する。溶媒の選択は、合成プロセスおよび合成温度を条件付ける。ペンタンおよびイソプロパノールの2種類の溶媒を検討した。
【0143】
ペンタンに関しては、結晶化温度は300バールのCO2において200〜250℃である。CO2での処理の前、20分間のエージング後に溶液中でゲルが形成し、それにより前駆体溶液の射出が不可能となる。この種の溶液に対してはバッチプロセス(溶液が温度および圧力増加段階を経た後、15分から4時間の間結晶化温度で保持する)のみが想定される。
【0144】
イソプロパノールに関しては、結晶化温度は300バールのCO2において350℃である。得られる溶液は透明で流動性がある。2つのプロセス(バッチまたは射出)が想定され得る。
【0145】
ポリ(メチルメタクリレート)によるコーティングでは、使用される前駆体は、モノマー(メチルメタクリレート)および該モノマーの重量に対し3重量%から15重量%の含有量の表面活性剤(Pluronic)、該モノマーの重量に対して1重量%から10重量%の含有量の開始剤(AiBN)、ならびに、前駆体の可溶化およびその射出を促進する溶媒イソプロパノールである。合成温度は、60℃から150℃の間であり、圧力は100バールから300バールの間である。反応には、合成温度を3時間から5時間保持する必要がある。
【0146】
合成とコーティングとの間の中間的ステップの様々な段階は、15分間のCO2での一掃、次いで反応器の熱調整の中断、続いてコーティングに必要な条件に到達するための圧力の再調整を含む。
【0147】
粒子の特性は、使用する溶媒に依存する。
【0148】
ペンタンでは、微結晶のサイズは15nmから35nmの範囲であり、粒子のサイズは30nmから300nmの範囲であり、比表面積は10m2/gから100m2/gの範囲である。バッチプロセスでのイソプロプロパノールでは、微結晶のサイズは4nmから8nmの範囲であり、粒子のサイズは100nmから3μmの範囲であり、比表面積は150m2/gから250m2/gの範囲である。射出によるプロセスでのイソプロプロパノールでは、微結晶のサイズは4nmから8nmの範囲であり、粒子のサイズは40nmから200nmの範囲であり、比表面積は150m2/gから250m2/gの範囲である。
【0149】
ポリマーコーティングの厚さは、前駆体の量および反応時間に依存する。
【0150】
計算によると、0.1nm(不均一コーティング)と5nmの間の値が得られる。
【0151】
(実施例5)
実施例1で説明されたデバイスを使用した、本発明の方法によるコーティングされた粒子の第2製造例
本実施例において製造されるコーティングされた粒子は、ポリ(メチルメタクリレート)または他のポリマー(ポリエチレングリコール(PEG)等)でコーティングされた二酸化チタンの粒子である。
【0152】
二酸化チタンの調製に使用した合成前駆体は、チタンテトライソプロポキシドである。この前駆体は、比較的CO2に可溶なアルコキシドである。純物質として、またはイソプロパノール溶液として使用可能であり、反応器内に直接置かれても、または射出されてもよい。続いて、前駆体の加水分解を生じさせるために、合成温度(>250℃)で反応器内に水が射出される。反応は水なしでも行うことができ、その場合二酸化チタンは前駆体の熱分解により得られる。
【0153】
50nmから600nmの範囲の粒子および10nmから30nmの範囲の微結晶サイズを得ることができる。アナターゼ相に結晶化した二酸化チタン粉末(合成温度=250℃)に対し得られた比表面積は、約120m2/gである。
【0154】
コーティングステップは、同じポリマーまたはポリエチレングリコールについて実施例4で説明されたものと同じである。
【0155】
他のコーティング技術は、二酸化炭素中に可溶化されたポリマー(例えば、フッ素ポリマー、ポリシロキサン、ポリエチレングリコール)を、二酸化炭素が充填された反応器内に射出し(ポリマーが可溶化するために十分高い温度および圧力で)、次いで、ポリマーが粒子上に沈着するまで反応器の温度および圧力を下げることである。
【0156】
最後のコーティング技術(RESS)は、二酸化炭素中に可溶化されたポリマー(例えば、フッ素ポリマー、ポリシロキサン、ポリエチレングリコール)を、二酸化炭素が若干充填された反応器内に射出する(ポリマーが沈着するために十分低い温度および圧力で)ことである。
【0157】
(実施例6)
第2の反応器がノズルである実施例2で説明されたデバイスを使用した、本発明の方法によるコーティングされた粒子の第1製造例
本実施例で製造されるコーティングされた粒子は、RESSプロセスを用いてコーティングされたセラミック酸化物粒子である。このプロセスは、連続的製造を得るために行われる。
【0158】
粒子は、例えば、ガドリニウムドープセリアまたはイットリウムドープ酸化ジルコニウムであってもよい(実施例4で説明された射出による合成)。例えば、イソプロパノールおよび硝酸中の酢酸セリウムおよび酢酸ガドリニウムから調製された溶液を、二酸化炭素と同時に、第1の反応器内に射出する。結晶化粉末を得るために、反応器1は150℃を超える温度に自動温度調節されなけばならない。粉末はノズルrt2に移送される。
【0159】
これらの粉末に関し得ることができる特性についていくつかの所見を得るために、様々な溶媒を用いてバッチ様式でガドリニウムドープセリアを合成した。プレートレット、ロッド、繊維、多孔質球といった様々な形態が得られた。100m2/gを超える比表面積を測定することができた。これらの粉末の射出による合成は行わなかった。ドープ酸化ジルコニウムについて得られた結果についての適合性から、この射出によるプロセスの適した動作条件を使用することにより、ナノメートルサイズ(30nmから300nm)の球状単分散粒子を得ることが可能となるはずである。
【0160】
CO2に可溶なコーティング剤を使用する必要がある。それは例えばパラフィンである。可溶化は、反応器rt3内で行われる。コーティング剤を充填したCO2がノズルrt2に運搬される。
【0161】
回収容器は大気圧および周囲温度下(または低CO2圧力および低温)にあり、したがって、ノズルの出口では、コーティング剤(周囲条件下では固体)が粒子上に沈着する。
【0162】
(実施例7)
第2の反応器(rt2)が管状反応器である実施例2で説明されたデバイスを使用した、本発明の方法によるコーティングされた粒子の第2製造例
本実施例で製造されるコーティングされた粒子は、SASプロセスを用いてコーティングされたセラミック酸化物粒子である。このプロセスは、連続的製造を得るために行われる。
【0163】
粒子は、例えば、二酸化チタンTiO2の粒子であってもよい。酸化物の前駆体、チタンテトライソプロポキシドは、CO2および水と同時に第1の反応器内に射出される(3入口)。結晶化粉末を得るために、反応器1は250℃を超える温度に自動温度調節されなけばならない。粉末はノズルrt2に移送される。得られるチタン粉末の特性は、実施例5の特性と同一である。
【0164】
CO2に不溶なコーティング剤を使用する必要がある。前駆体の溶液を調製する必要がある。これは、例えば、適した有機溶媒中に可溶化されたポリマーであってもよい。コーティング剤の溶液は(rc)にあり、次いでノズル(rt2)に運搬される。
【0165】
ノズル(rc)により、コーティング剤はCO2と接触することが可能となり、粒子上にコーティング剤が沈着する。
【0166】
(実施例8)
実施例3で説明されたデバイスを使用した、本発明の方法によるコーティングされた粒子の製造例
実施例7で上述した合成と同じ様式でシリカの合成を行う。合成された粒子は、第2の管状合成反応器rt2に移送される。このプロセスを用いて得られたシリカ粉末の特性は不明であるが、100℃でのバッチプロセスを用いて非晶質シリカ粉末を得た。得られた粒子は、サブミクロンサイズで多孔質であり、粉末は高い比表面積(>700m2/g)を有する。
【0167】
事前に前駆体溶液を調製するが(図4のre2)、これは実施例4のような重合前駆体溶液(モノマー、表面活性剤、開始剤、溶媒)、合成用の酸化物前駆体溶液(イソプロパノール中の酢酸セリウム)、または貴金属前駆体溶液(水中の白金前駆体)であってもよい。溶液は、粒子と同時にrt2内に射出される。
【0168】
コーティング剤前駆体の反応は、rt2において、rt1で合成された粒子の周りで生じる。この反応は、重合反応(60℃から150℃)、ゾル-ゲル反応もしくは沈着(150℃から500℃)、または熱分解(150℃から500℃)であってもよい。
【0169】
したがってコーティングはrt2で行われ、次いでこの第2の反応器の出口でコーティングされた粒子の回収が行われる。
【0170】
(実施例9)
本実施例は、粒子合成反応器における射出および撹拌速度の、該粒子のサイズ、サイズ分布、および結晶構造に対する影響を例示する。
【0171】
調製された粒子は、イットリウム化酸化ジルコニウム粒子である。
【0172】
前駆体の溶液(ZrO2に対し3mol%のY2O3の最終濃度が得られるような比率でのジルコニウムヒドロキシアセテートおよび酢酸イットリウム)を、CO2圧力230バール、温度350℃において400rpmで撹拌された図1の反応器内に、低速(0.19m/s)で射出する。射出後の反応器内の圧力は300バールである。反応器の減圧と周囲温度への冷却の前に、超臨界媒体中での処理を1時間維持した。X線回折分析は、この粉末が立方晶系として結晶化した(2θ=35°で単一ピークが観察された)ことを示しており、一方従来用いられてきた前駆体の濃度では二次粉末が得られる結果となる。この結果は、0.27m/sの射出速度でも再現することができた。0.5m/sより速い射出速度で行った試験では、二次相の結晶化粉末が合成される結果となる。
【0173】
合成された後は、これらの粉末は、本発明の方法に従いコーティングすることができる。
(参考文献)






【符号の説明】
【0174】
CO2…液体CO2ストック、
cd…濃縮器、
po…ポンプ、
ch…反応器内に射出されるCO2を加熱する手段、
R…反応器、
ma…撹拌器の心棒、
pf…邪魔板、
I…射出システム、
Vr…調整弁、
L'…ライン、
pr…コーティング材料前駆体、
mp…圧力マルチプライヤ、
r…反応器、
Vp…洗浄弁、
S…分離器、
P…圧力センサ、
L…膨張ライン、
RPP…プログラマ、
t…漏出防止パイプ、
vr…調整弁、
vda…自動膨張弁、
v…弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング材料でコーティングされた粒子を製造するための方法であって、
(a)加圧CO2媒体中で粒子を合成するステップと、
(b)加圧CO2媒体中で、前記合成された粒子および前記コーティング材料または前記材料の前駆体を接触させるステップと、
(c)前記コーティング材料を直接使用して、または前記コーティング材料の前記前駆体の前記コーティング材料への転換後に、前記合成された粒子を前記コーティング材料でコーティングするステップと、
(d)前記コーティングされた粒子を回収するステップと
を含み、ステップ(a)および(b)は、ステップ(a)において合成された前記粒子が、少なくともステップ(c)まで加圧CO2媒体中での分散を維持するように連結される方法。
【請求項2】
バッチ式、半連続的、または連続的方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粒子を合成するステップ(a)の後、前記粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)を行う前に、合成された粒子を加圧CO2で一掃するステップが続く、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
接触させるステップ(b)の前に、前記コーティング材料を調製するステップ(x)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コーティング材料を調製するステップ(x)が、ゾル-ゲルプロセス、重合プロセス、プレ重合プロセス、熱分解プロセス、または有機もしくは無機合成プロセスから選択されるプロセスを使用するコーティング材料の合成;あるいは溶媒または加圧CO2媒体中への前記コーティング材料の可溶化である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
粒子を合成するステップ(a)および前記粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)が、同じ反応器内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
接触させるステップ(b)が、コーティング材料またはその前駆体を、加圧CO2媒体中で合成された粒子を含有する前記反応器内に射出するステップである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
粒子を合成するステップ(a)が、第1の反応器内で行われ、合成された粒子は、加圧CO2媒体中で第2の反応器内に移送され、前記合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)は、前記第2の反応器内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
粒子が、連続的または半連続的に第2の反応器内に移送される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
接触させるステップ(b)が、コーティング材料またはその前駆体を、加圧CO2媒体中で、合成された粒子を含有する前記第2の反応器内に射出するステップである、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
コーティング材料またはその前駆体が、前記反応器内に射出されるときに加圧CO2媒体中にある、請求項8または10に記載の方法。
【請求項12】
コーティング材料またはその前駆体が、前記反応器内に射出されるときに無機媒体中にある、請求項8または11に記載の方法。
【請求項13】
前記合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)が、前記第2の反応器内で行われ、該第2の反応器が、第1および第2の射出入口および出口を備えるノズルであり;
合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップが、前記ノズル内で行われるように、加圧CO2媒体中で、合成された粒子がノズルの第1の入口を介して射出され、前記粒子と同時に、コーティング材料またはその前駆体が第2の入口を介して射出され;
コーティングされた粒子、または粒子およびコーティング材料もしくは前記材料の前駆体の混合物が、前記出口を介して回収される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップ(b)が、前記第2の反応器内で行われ、該第2の反応器が、入口を備える第1の端部と、出口を備える第2の端部とを備える管状反応器であり;
合成された粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップが、前記第2の反応器内で行われるように、一方では、加圧CO2媒体中で、第1の反応器内で合成された粒子が、他方では、前記粒子と同時に、コーティング材料またはその前駆体が、入口を介して前記第2の反応器内に射出され;
コーティングされた粒子、または粒子およびコーティング材料もしくは前記材料の前駆体の混合物が、前記出口を介して回収される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
加圧CO2媒体中で、粒子をコーティング材料またはその前駆体に接触させるステップの後に、粒子をコーティングするステップ(c)が前記第2の反応器内で行われる、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
粒子をコーティングするステップ(c)が、前記第2の反応器の出口で行われる、請求項13または14に記載の方法。
【請求項17】
粒子およびコーティング材料またはその前駆体の混合物が、前記第2の反応器の出口で回収され、コーティングするステップ(c)が、前記ノズルの出口に接続された、該混合物を回収するための反応器内で行われる、請求項13または14に記載の方法。
【請求項18】
コーティングされた粒子が、前記第2の反応器の出口に接続された少なくとも1つの回収反応器内で回収される、請求項8、13または14に記載の方法。
【請求項19】
コーティングされた粒子が、前記第2の反応器の出口に接続された少なくとも2つの回収反応器内で回収され、前記回収反応器が交互または連続して使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コーティングステップ(c)における粒子のコーティングが、コーティング材料を前記粒子上に沈着させるプロセスを使用して行われる、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
沈着プロセスが、貧溶媒化プロセス、超臨界媒体中での微粒化プロセス、および相分離プロセスから選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
コーティングステップ(c)における粒子のコーティングが、コーティングしようとする粒子の存在下での前記前駆体の前記コーティング材料への化学変換により行われる、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
化学変換が、コーティング材料の前駆体がコーティング材料のモノマーおよび/またはプレポリマーである重合;ゾル-ゲル合成;熱分解プロセス;および無機合成プロセスから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
コーティングされた粒子を回収するステップ(d)が、コーティングされた粒子を加圧CO2で一掃するステップを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
コーティングされた粒子を回収するステップ(d)が、加圧CO2の膨張を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
コーティングされた粒子が、溶媒中または界面活性剤溶液中で回収される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
粒子が、金属粒子;金属酸化物粒子;セラミック粒子;触媒粒子または混合触媒粒子;化粧品粒子または混合化粧品粒子;および医薬品粒子または混合医薬品粒子から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子が、二酸化チタン粒子、シリカ粒子、ドープもしくは非ドープ酸化ジルコニウム粒子、ドープもしくは非ドープセリア粒子、アルミナ粒子、ドープもしくは非ドープ酸化ランタン粒子、または酸化マグネシウム粒子から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
コーティング材料が、焼結助剤、摩擦剤、耐磨耗剤、可塑剤、分散剤、架橋剤、金属化剤、金属バインダ、防食剤、および耐摩滅剤から選択される材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
コーティング材料が、有機ポリマー、糖、多糖類、金属、金属合金、および金属酸化物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
コーティング材料が、ポリ(メチルメタクリレート)およびポリエチレングリコールから選択されるポリマー;銅、パラジウム、および白金から選択される金属;または酸化マグネシウムおよびアルミナから選択される金属酸化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記コーティング材料がポリマーであるために、その前駆体が、前記ポリマーのモノマーまたはプレポリマーである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記コーティングされた粒子が、ポリ(メチルメタクリレート)でコーティングされたイットリウムドープ酸化ジルコニウム粒子、PdまたはPtでコーティングされた酸化Ti粒子等の貴金属でコーティングされた金属酸化物触媒粒子、およびポリマーでコーティングされた二酸化チタン粒子から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
回収されたコーティングされた粒子が、少なくとも1種の酸化物のナノ相粉末を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記加圧CO2媒体が、超臨界CO2媒体である、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−537301(P2009−537301A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510440(P2009−510440)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054648
【国際公開番号】WO2007/131990
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】