説明

コーティング組成物

【課題】 本願発明は、金属製基板に対する耐腐食性コーティングを提供する。
【解決手段】 本願発明に係るコーティングは、硬化性コーティング組成物を具備する基板のためのコーティングであって、前記硬化性コーティング組成物は:i)5〜99重量%のバインダ(A)と、ii)0.01〜75重量%の粒子(B)とを具備し、前記粒子(B)が、無機、有機若しくは有機金属粒子を具備し、さらに少なくとも1つの合金、金属、金属及び/若しくは半金属の酸化物、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化物、又は、異なる合金、金属、金属及び/若しくは半金属の酸化物、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化物の混合物若しくは化合物、又は、無機塩若しくは腐食防止剤若しくはそれらの化合物からなること;前記粒子(B)が約1〜500nmの範囲内の直径を有すること;前記粒子(B)の表面が、少なくとも1つの表面改質基で処理されていること;前記基板が、金属製であること;及び前記硬化性コーティング組成物が、前記基板に直接的若しくは間接的に接触するように適合されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、金属製基板のための腐食抑制若しくは腐食防止する硬化性コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
隙間腐食は、環境から作動流体の接近を制限するための隙間において生じる腐食である。これらの隙間は、一般的に隙間と呼ばれる。隙間の例としては、ガスケット若しくはシールの下で、ひび割れ及び継ぎ目の内側における部品間の隙間及び接触領域であり、沈殿物で満たされ、スラッジの堆積物下の隙間である。
【0003】
孔食、若しくは点食は、金属における小さな孔の生成を導く極端に局部的な腐食である。孔食の原動力は、小さい領域の周りの酸素の欠如である。この領域は、陽極となると同時に、過度の酸素を有する領域が陰極となり、大変局部的な電解腐食を生じる。この腐食は、イオンの拡散律速によって金属塊を貫通し、さらに酸素の局部的な欠乏を生じさせる。
【0004】
粒間腐食(IGC)、また一般にいわれる粒間攻撃(IGA)は、物質の結晶の境界が、それらの内側よりも腐食に対してより腐食の影響を受けやすい腐食の形をしている。この状態は、粒界がいくつかのメカニズムによって腐食抑制化合物から激減するときに、別の耐腐食性合金において生じる可能性がある。
【0005】
高温腐食は、高温条件下で材料(典型的には金属)の化学的劣化である。この非電解形の腐食は、金属が酸素、硫黄又は関係した物質を酸化すること(又は酸化を手助けすること)ができる他の化合物を含む高温環境にさらされている時に生じる。例えば、航空宇宙、発電において、自動車エンジンにおいてですら使用される材料が、燃焼の潜在的に高い腐食生成物を含む環境にさらされる状態において高温で持続時間を耐える必要がある。
【0006】
海水腐食は、海水に晒された金属の腐食である。代表的なものは、金属が船舶(船又はボート)の構成成分であり、又は、海岸、沖合、若しくは水中のいずれかに固定された構造物である場合である。これらの場合、海水腐食は、数ヶ月から数年の時間尺度で作用する。腐食は、より高い塩分濃度で速くなり、より少ない程度の高温で速くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE 10 2008 021005 A1
【特許文献2】DE 10 2008 021006 A1
【特許文献3】EP 1204701 B1
【特許文献4】US 2006/0204528 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要なものは、金属製基板に対する耐腐食性コーティングである。
【0009】
われわれは、先分散粒子、若しくは(約500nm以下の平均粒子径を有する)ナノ粒子が、樹脂を具備する基板(金属製基板)のための溶剤型コーティング、水性コーティング、非溶媒コーティング、放射線硬化性コーティング及び粉末コーティングの耐腐食性(塩水噴霧試験による測定のように)を向上させることができることを見出した。所定の具体例において、これらのナノ粒子は、5nm〜80nmの平均サイズを有するものである。そのようなナノ粒子の例として、Al2O3、Al(O)OH、CeO2、SiO2、TiO2、ZnO及びZrO2を含むが、これに限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
i)5〜99重量%バインダ(A)及びii)0.01重量%粒子(B)を具備する硬化性コーティング組成物を具備する基板用コーティングにおいて、前記粒子(B)が、無機、有機若しくは有機金属粒子からなり、さらに少なくとも1つの合金、金属、金属酸化物及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化物、又は、異なる合金、金属、金属、金属酸化物及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化物の混合物若しくは組成物、又は無機塩、又は代表的な腐食防止剤若しくはその組成物からなること、前記粒子(B)が、1〜500nmの間の径を有すること、粒子(B)の表面が、少なくとも1つの表面改質基で付加的に処理されていること、前記基板が金属製であること、且つ、前記硬化性コーティング組成物が、前記基板に直接又は間接的な接触で適合されていることを特徴とする基板用コーティングを提供するものである。
【0011】
所定の実施形態では、前記硬化性コーティング組成物は、i)10〜95重量%、特に20〜90重量%のバインダ(A)及びii)0.1〜60重量%、特に0.5〜40重量%の粒子(B)を具備するものである。また、別の実施形態では、前記硬化性コーティング組成物は、i)約2重量%〜約10重量%の粒子(B)を具備する。また、ナノ粒子含有量は、樹脂の固形成分含有量に基づいて、0.2重量%の固形ナノ粒子含有量から4.5重量%の固形ナノ粒子含有量の間であることが望ましい。
【0012】
また、前記粒子(B)の径は、200nm以下であり、特に100nm以下であり、さらには60nm以下で実施されることが望ましい。さらに、前記粒子(B)の径は、5nmより大きく、特に10nmより大きく、さらには20nmより大きいものである。
【0013】
さらに前記粒子(B)の表面は、(1)ポリジアルキルシロキサン、(2)極性ポリジアルキルシロキサン、(3)重合調整剤、(4)オリガノシラン、(5)湿潤及び/若しくは分散添加剤、(6)上述した(1)〜(5)の物質の1つ若しくは複数の混合物によって改質されることが望ましい。いくつかの実施形態では、前記コーティングは、前記粒子(B)の改質剤ではない表面活性化剤を含んでもよいものである。
【0014】
さらに前記粒子(B)の表面は、少なくとも1つの化学的若しくは非化学的接着、さらには共有結合、非共有結合又は物理的接着によって、前記粒子の表面に付着する表面改質基によって改質されるものであり、前記改質基は、粒子表面と反応せず、且つ前記コーティングに対して不活性であるスペーサ成分を具備するものである。前記接着は、共有結合であり、又は物理吸着性相互作用であり、化学吸着性相互作用であり、静電相互作用であり、酸塩基相互作用であり、ファンデルワース相互作用であり、水素結合であることが望ましい。
【0015】
所定の実施形態では、前記硬化性コーティング組成物は、ここで記載された構成要素を含まないコーティング材料と比較して10%、特に20%、さらには20%以上減少する弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、前記硬化性コーティング組成物は、透明である。
【0016】
本願発明に係るコーティングは、コーティングが直接的又は間接的に塗布される基板、特に金属製基板の耐腐食性を向上させるために使用されるものである。ある実施形態によれば、硬化性コーティング組成物と基板の間に埋め込まれたものは、所定の色素及び/若しくは充填剤を付加的に含む1つ又は複数のコーティング層である。この実施形態によれば、前記硬化性コーティング組成物は、金属製基板に直接的に接合されるものであり、また代わりに深さ5〜30μmの陰極防食コーティングが、金属製基板と前記硬化性コーティング組成物の間に直接的に埋め込まれるものである。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記硬化性コーティング組成物は、15〜900μmの深さを有し、別の実施形態では、15〜30μmの間の深さを有する。
【0018】
前記コーティングバインダ(A)は、架橋性若しくは非架橋性樹脂、特にアクリル系、アミノプラスト、ウレタン、カルバメイト、カーボネイト、ポリエステル、エポキシ、シリコン、又はポリアミドからなるクラスの少なくとも1つを具備することが望ましく、前記樹脂が、前記クラスの1つ以上の特徴を示す官能基を具備することが望ましい。前記バインダは、1液形ポリウレタン、2液型ポリウレタン、アクリル系、変性油ウレタン、長油性アルキド、ポリウレタン分散系、アクリルエマルジョン、エポキシ系、若しくは水希釈性アルキドの少なくとも1つを具備することが望ましい。
【0019】
腐食を抑制し若しくは防止するためにコートされる金属製基板は、酸化、孔食、さび、隙間腐食等のような腐食手段を被るかもしれない金属、金属混合物、金属組成物若しくは合金を含むが、これに限定されるものではない。示されるがこれに限定されない例としては、鉄、鋼、アルミニウム、ダイキャストアルミニウム、ダイキャスト合金、マグネシウム−アルミニウム合金等である。基板は、またプラスチック又はガラスであることが望ましい。
【0020】
ナノ粒子のような適切な粒子(B)は、無機、有機又は有機金属で有ることが望ましい。それらの物理的性質は、結晶構造であり、半結晶構造であり、若しくは非結晶質である。適切なナノ粒子の例としては、少なくとも1つの金属酸化物及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化物、又は、異なる金属酸化物及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化物の混合物若しくは組成物からなるか又は具備することが望ましいものである。例えば、ナノ粒子は、混合された金属酸化物及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物又は水酸化物からなることが望ましい。適切なナノ粒子の説明に役立つ例は、ZnO2、CeO2、Al2O3、SiO2、Al(O)OH、TiO2、及びZrO2を含むが、これに限定されるものではない。
【0021】
また、適切なナノ粒子は、リン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シアナミド、ヒドロキシホスファイト、リンモリブデン酸塩、ホウ酸塩、ホウリン酸塩等を含むものであるが、これに限定されるものではない。さらにこのようなナノ粒子は、官能基化されるか、ドープされうることが望ましい。
【0022】
適切なナノ粒子は、文献から公知であり且つ/又は市販されている代表的な腐食防止剤からなるか、それらを具備しても良いものである。このような腐食防止剤の例は、言及することによってここで具現化される1993、米国、ニュージャージー、パークリッジ、ノイエ出版、第2版、アーネストダブリュフリックによる「腐食防止剤:工業ガイド」(ISBN 0-8155-1330-5)及びボードームエラー他による「コーティング製剤:及び国際教科書コーティング概論」ビンセンツネットワークゲーエムベーハーウントコーカーゲー、2006(ISBN3878701772)において開示される。
【0023】
市販の腐食防止剤の例としては、BARIUM CHROMATE M20(SNCZ ソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック)、HEUCOPHOS(登録商標)CAPP(ホーバッッハゲーエムベーハー、ポリリン酸カルシウム水和物、ポリリン酸アルミニウム水和物)、HEUCOPHOS(登録商標)SAPP(ホーバッッハゲーエムベーハー、ポリリン酸ストロンチウム水和物 ポリリン酸アルミニウム水和物)、HEUCOPHOS(登録商標)SRPP(ホーバッッハゲーエムベーハー、制御され、調整され、改質されたポリリン酸ストロンチウム水和物、ポリリン酸アルミニウム水和物)、HEUCOPHOS(登録商標)ZAM-PLUS(ホーバッッハゲーエムベーハー、有機改質されたオルトリン酸亜鉛水和物、オルトリン酸アルミニウム水和物、オルトリン酸モリブデン水和物)、HEUCOPHOS(登録商標)ZAPP(ホーバッッハゲーエムベーハー、改質された電気化学活性を有するポリリン酸亜鉛水和物 ポリリン酸アルミニウム水和物)、HEUCOPHOS(登録商標)ZCP-PLUS(ホーバッッハゲーエムベーハー、オルトリン酸亜鉛水和物 オルトリン酸カルシウム水和物 オルトリン酸ストロンチウム水和物 オルトリン酸アルミニウム水和物)、HEUCOPHOS(登録商標)ZPA(ホーバッッハゲーエムベーハー、オルトリン酸亜鉛水和物、オルトリン酸アルミニウム水和物)、HEUCOPHOS(登録商標)ZPO(ホーバッッハゲーエムベーハー、有機改質塩基性オルトリン酸亜鉛水和物)、HEUCORIN(登録商標)FR(ホーバッハゲーエムベーハー、ブタン酸亜鉛)、HEUCOSH,CTF(ホーバッハゲーエムベーハー、カルシウム改質シリカゲルに基づく顔料)、NOVINOX(登録商標)ACE20(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、改質リン酸亜鉛)、NOVINOX(登録商標)PAM(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、ポリリン酸マグネシウム及びポリリン酸アルミニウム水和物)、NOVINOX(登録商標)PAS(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、ポリリン酸マグネシウム及びポリリン酸アルミニウム水和物)、NOVINOX(登録商標)PAST15(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、アルカリ土類リン酸塩)、NOVINOX(登録商標)PAST30(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、アルカリ土類リン酸塩)、NOVINOX(登録商標)PAZ(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、ポリリン酸亜鉛水和物 ポリリン酸アルミニウム水和物)、NOVINOX(登録商標)PPS10(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、ホスホケイ酸亜鉛 ホスホケイ酸カルシウム ホスホケイ酸ストロンチウム)、NOVINOX(登録商標)PZ02(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、有機的改質塩基性オルトリン酸亜鉛)、NOVINOX(登録商標)XCA02(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、石英系防食顔料)、NUBIROX102(ヌビオラ無機顔料、有機親和性リン酸−モリブデン酸亜鉛)、NUBIROX106(ヌビオラ無機顔料、有機親和性リン酸−モリブデン酸亜鉛)、NUBIROX213(ヌビオラ無機顔料 リン酸鉄及びリン酸亜鉛水和物に基づく多相顔料)、NUBIROX215(ヌビオラ無機顔料、塩基性リン酸鉄及びリン酸亜鉛水和物に基づく多相顔料)、NUBIROX301(ヌビオラ無機顔料、亜鉛フリー防食顔料)、NUBIROX302(ヌビオラ無機顔料、亜鉛フリー防食顔料)、NUBIROX N2(ヌビオラ無機顔料、リン酸亜鉛)、NUBIROX SP(ヌビオラ無機顔料、リン酸亜鉛)、PHOSPHINAL PZ04(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、亜鉛水和物及びオルトリン酸アルミニウム)、PHOSPHINAL PZ06(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、塩基性オルトリン酸亜鉛四水和物)、STRONTIUM CHROMATE 1,203E (SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、低粉塵黄色微細ミクロ化粉末)、ZINC CHROMATE CZ20(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、塩化亜鉛及び塩化カリウム)、ZINC PHOSPHATE PZ20(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、酸化亜鉛フリーオルトリン酸亜鉛四水和物)、ZINC PHOSPHATE PZW2(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、酸化亜鉛フリーオルトリン酸亜鉛四水和物)、及びZINC TETRAOXYCHROMATE TC20(SNCZソシエテ ヌーベル デス クルール ジンシック、亜鉛四水和物)である。
【0024】
このような市販の腐食防止剤は、直接使用することもできるし、本願発明に係るナノ粒子の特性に適合する典型的な手段によって改質されても良いものである。改質は、沈殿、再結晶化、粉砕、水和、乾燥、脱水又は焼成を含むが、これに限定されるものではない。
【0025】
別の腐食防止剤は、ヘキサミン、フェニレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、亜硝酸ナトリウム、桂皮アルデヒド、アルデヒド及びアミン(イミン)の縮合生成物、ヒドラジン、アスコルビン酸、タンニン酸由来の化合物、ジノニルナフタレンスルホン酸、及びポリアニリン又はポリチオフェンのような伝導性ポリマーである。
【0026】
陽極防止剤の例としては、クロム酸塩、亜硝酸塩、及び過テクネチウム酸塩である。陰極防止剤の例としては、酸化亜鉛であることが好ましい。
【0027】
さらに、1つ以上の上述したナノ粒子及び腐食防止剤は、一次粒子、凝集体、集合体、若しくはコアシェル粒子の形で使用されることが望ましい。それらは、有機部と、無機部とを有することが望ましい。DE102008021005A1及びDE102008021006A1に記載された粒子は、開示された目的のためも適している。
【0028】
ナノ粒子及び/若しくは腐食防止剤によって提供される腐食防止の種類は、物理的防止、化学的防止、電気化学的防止、機械的防止、陽極武士、陰極防止、疎水性の上昇、表面極性、接着性の改良、バリア層の形成であることが望ましい。
【0029】
このような粒子の性質は、EP1204701B1に記載されているように、参照することによって本願に組み込まれるコーティングにおいて、前記基板に対する表面若しくは接合面に配置されるコーティングにおける粒子の強化を生じることが望ましい。
【0030】
しかしながら、所定の実施形態において、使用される粒子若しくはナノ粒子は、合金、金属、ZnO、CeO2、Al2O3、Al(O)OH、SiO2、TiO2のような金属及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物、水酸化物、リン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、ケイ酸塩、クロム酸塩、亜硝酸塩、及び硫酸塩を改質若しくは非改質することが望ましい。
【0031】
使用される粒子、特に無機粒子、さらには、ナノ粒子の製造方法は、例えば、イオン交換法、プラズマ法、ゾル/ゲル法、沈殿、結晶化、粉砕(例えば、製粉による)、又は火炎加水分解等のような種々の方法によって実行される。それは、粒子を製造する方法とは無関係である。上述した種類の粒子若しくはナノ粒子は、表面改質が行われることが望ましい。さらに、前記粒子若しくはナノ粒子は、粉末形状において若しくは分散として使用される。
【0032】
前記ナノ粒子は、約1nmから約500nmの範囲内の平均サイズを有する粒子である。所定の実施形態では、前記ナノ粒子は、5nm以上の平均粒子サイズを有することが好ましく、他の実施形態では、約10nm以上の平均粒子サイズを有することが好ましく、さらに別の実施形態では、約20nm以上の平均粒子サイズを有することが好ましい。また、所定の実施形態では、前記ナノ粒子は、約200nmより小さい平均粒子サイズを有し、それらを含むコーティングは、実質的に透明であることが好ましく、他の実施形態では、前記ナノ粒子は、100nmより小さい平均粒子サイズを有し、それらを含むコーティングが透明であることが好ましく、さらに別の実施例では、前記ナノ粒子は、約60nmより小さい平均粒子サイズを有し、それらを含むコーティングは、高い透明性を有することが望ましい。
【0033】
無機粒子又はナノ粒子の粒子サイズの測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって実行される。テストされるナノ粒子分散は、通常希釈され、(600メッシュカーボンフィルムのような)カーボングリッドに移動され、乾燥される。分析は、例えばLEO912透過型電子顕微鏡によってそれぞれの場合に実行される。TEM画像の評価は、例えば会社、アナリシスソフトイメージングシステムゲーエムベーハーのソフトウェアでデジタル的に実行されることが好ましい。前記粒子径は、一般的に、粒子若しくはナノ粒子の測定領域が同一領域の円と相関のある少なくとも1000粒子についてそれぞれの場合において演算される。最後にその結果から平均値が求められる。
【0034】
有機粒子の粒子サイズ分布が、例えば、ポストノバから提供されるAF4分析システムによって測定される。この方法は、光回折による分子サイズ分析で、異なる粒子サイズの分離を結合する。静的及び動的レーザ光散乱(SLS/DLS)と結合した非対称流の流動場分離法(AF4)が、有機ナノ粒子のサイズを特徴づけるために使用されることが望ましい。分離は、ポストノバAF4-10.000システム、PN3000SLS/DLS光散乱検出器、及び可変波長4チャンネルUV/Vis検出器を使用することによって実行される。未加工データから始めて、サンプルのサイズ分布は、ポストノバの「3-column-strategy」を使用することによって測定される。これは、ラテックスサンプルの粒子サイズを算出する3つの独立した方法によって構成される。第1の方法は、FFFの考案者であるギディングス教授によって開発されたFFF理論に基づくものである。データを処理するために、ソフトウェアパッケージ−NovaFFF分析−が使用される。第2の方法は、ナノ粒子スタンダード及びキャリブレーションカーブを用いたサイズ測定に基づくものである。第3の方法は、粒子サイズ分布を算出するためにDLS未加工データを直接的に用いるものであり、分離時間に依存するものではない。
【0035】
当該粒子若しくはナノ粒子は、表面処理されたものであることが好ましい。このような表面処理は、下記するものに基づいていることが好ましい。
(1) ポリジアルキルシロキサン、
(2) 極性ポリジアルキルシロキサン、
(3) 重合調整剤、
(4) オルガノシラン、
(5) 湿潤及び/若しくは分散添加剤、
(6) 上述した物質の1つ又は複数の混合物
【0036】
前記粒子又はナノ粒子の生成は、粒子状、特にナノ粒子状の粉末に、又は、液体媒体内のナノ粒子分散に、調整剤を混合することによって簡単に実行することができるので、共有結合、非共有結合のような調整剤の化学的結合又は非化学的結合、又はナノ粒子表面への調整剤の物理的結合が実行されるものである。この生成のための条件は、お互いに反応する官能基の反応性によって導かれ、当業者によって容易に測定できるものである。いくつかの実施形態において、もし反応が室温でまだ実行されないならば、調整剤の化学的結合若しくは非化学的結合、特に調整剤の共有結合若しくは非共有結合、又は、調整剤の物理的結合が、ナノ粒子状粉末の混合物若しくはナノ粒子分散及び調整剤を、約80℃で約1時間加熱することによって達成することができるものである。
【0037】
(1) ポリジアルキルシロキサン
当該ナノ粒子の表面は、少なくとも1種類の改質基で少なくとも部分的に覆われる。改質基の構造は、下記に説明される。
【0038】
改質基が、粒子表面に、共有結合によって付着されることが好ましい。粒子表面に、それぞれの場合で少なくとも1つの共有結合接着を構築することができる1−10を所有することができるものである。さらに、前記改質基は、粒子方面と反応せず、前記マトリクス(別のコーティング構成物質、プラスチック構成物質)に対して不活性であるスペーサ成分を構成することができる。改質基のスペーサ成分が、300〜5000ダルトンの範囲内の数平均分子質量を有するポリマーから形成されることが望ましい。いくつかの実施形態におけるスペーサラジカルの構造は、線形である。
【0039】
前記調整剤は、粒子表面に対して反応する少なくとも1つ、又は複数のアンカー基から構成され、且つポリジアルキルシロキサンから構成されるものである。架橋構造を有する前記アンカー基は、ポリジアルキルシロキサンの端部に組み込まれることが好ましく、またポリジアルキルシロキサンの側基として存在することも好ましいものである。下記する化学式は、調整剤の考えられる構造を示したものである。
【0040】
【化1】

【0041】
尚、化学式1における指標の定義は、下記のものである。
a=0〜1;
b=0〜1;
c=0〜10;
a+b+c≧1
1つの実施形態における調整剤の構造は、上記化学式1によって示すことも可能である。この場合、指標は、a=1及びb=c=0である。調整時のこの構造は、応用において良好な活性化を有する。この場合、前記ナノ粒子は、前記調整剤が一般的な実験公式
R1XR23-XSi-R3-R4
で示されるポリシロキサンであることを特徴とするものである。この公式において、R4は、1〜8個の炭素原子を有するシリコン原子上に、300〜5000ダルトンの数平均分子質量のアルキル置換基を有するポリジアルキルシロキサンからなる一価の有機ラジカルである。これは、下記のように示される。
【0042】
【化2】

【0043】
言い換えると、前記調整剤は、粒子負う面に対して反応する頭部基、結合中間ブロック(R3)、ポリジアルキルシロキサン(R4)末端基によって構成される。前記調整剤の線形分子構造は、分岐構造も使用されるが、特に利点がある。R1は、1〜18個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を有する一価の有機ラジカルである。R2は、1〜6個の炭素原子を有し、特に1〜2個の炭素原子を有する線形若しくは分岐若しくは環状のアルコキシル基、1〜4個の炭素原子、特に2個の炭素原子を有するハロゲン原子、特に塩素原子、又はカルボン酸ラジカルからなる水酸基若しくは加水分解基を具備することが望ましい。
【0044】
この実施形態の場合、前記改質基は、少なくとも1つの共有結合を介して別の実施形態では、2つ以上の共有結合を介して、さらに別の実施形態では、3つの共有結合を介して粒子表面に付着することが好ましい。前記改質基は、粒子表面と反応が起こらず、またマトリクス(他のコーティング構成要素)に対して不活性であるスペーサ成分から構成される。前記改質基のスペーサ成分は、300〜5000ダルトンの数平均分子質量を有するポリマーから形成されることが望ましい。このスペーサラジカルの構造は、線形であることが好ましい。
【0045】
適当なポリシロキサンがUS2006/0204528A1に開示され、これを参照することにより、本願発明に援用される。
【0046】
(2) 極性改質ポリジアルキルシロキサン
前記改質基のコウゾは、下記するような例によって概略的に説明される。それによって、図示される例において、3つの異なる極性置換基若しくは改質基(G)がこの化学式においてラジカルR4(=ポリジアルキルシロキサン)について選択されるものである。
【0047】
【化3】



【0048】
指標aは、アンカー基の数を示すものであり、指標b,c,d…は、ポリジアルキルシロキサン(R4)の側基における極性置換基若しくは改質基(G)の数を示すものである。それによって、a≧1及びb+c+d+……≧1である。
【0049】
前記粒子の表面改質は、一般的に少なくとも1つの化学的結合、特に共有結合を介して粒子表面に結合されるシランで実行され、利益的に、1つ以上のスペーサ成分を有することが好ましい。
【0050】
前記改質剤の生成は、当業者にはよく知られたものであり、例えば下記のように達成することができる。
【0051】
市販されている開鎖及び環状のポリジメチルシロキサン及びSi-H-官能ポリジメチルシロキサンから開始し、Si-H-官能ポリジメチルシロキサンが、さらなる段階において使用される調整剤試薬に変質される平衡反応によって生成される(例えば、ノル「シリコンの化学技術」、Wilcy/VCH ヴァインハイム1984に記載されているように)。Si-H-官能ポリジメチルシロキサンのSi-H基の数は、少なくとも2つであり、アンカー基(R1XR23-XSiR3)yの付着に少なくとも1つのSi-H基を提供し、極性改質の付着のために少なくとも1つのSi-H基を提供する。
【0052】
例えば、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン及び1−オクタデセンのような不飽和化合物は、例えば、ヘキサクロロ白金酸、スペイヤーの触媒、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体のような適当な触媒を使用し、又は支持体に装着された白金化合物の存在において公知の方向によってSi-H基を有するポリシロキサンに付着されるものである。このヒドロシリル化状態は一般的に知られており、ヒドロシリル化温度は、室温から200℃の範囲内であり、いくつかの実施形態においては、使用される触媒によって50℃〜150℃の範囲内である。
【0053】
アルケンの付着に類似する点において、不飽和基を有する別の化合物が、ヒドロシリル化の意味する範囲内において、その代わりに、Si-H基に付加されるものである。例えば、ポリアルキルエネグリコールアリルアルキルエーテル(例えば、ポリグリコールAM型、クラリアントゲーエムベーハー)又はトリアルコキシビニルシラン(例えば、ダイナシランVTMO若しくはダイナシランVTEO、デグーサアーゲー)がSi-H基に付加されるものである。
【0054】
例えば、アリルアルコール、ヘキセノール、アリルグリコール若しくはビニルヒドロキシブチルエーテルのようなエチレン不飽和アルコールへのε−カプロラクトン及び/若しくはδ−ヴァレロラクトンのようなラクトンの付加化合物が、Si-H基に付加される。例えば、これらの化合物がアルキル化され、又はアシル化されるものである。
【0055】
Si-H基へのエチレン不飽和化合物の付加の可能性に加えて、縮合反応においてSi-H官能ポリジメチルシロキサンに、ヒドロキシル官能化合物を結合させることもできる。例えば、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、ブチルポリエチレングリコール)が、公知の方法において水素ガスの裂開で、Si-H基で縮合されるものである。例えば、亜鉛アセチルアセトネートが、この反応における触媒として使用される。似た方法において、別の置換基が、ポリジメチルシロキサン、例えばエステル基を有する基に挿入されるものである。
【0056】
ヒドロキシル化及び縮合反応は、Si-H官能ポリジメチルシロキサンを改質するために実行することもできる。結合される方法が、調整剤を調製するために使用されることも可能である。
【0057】
ヒドロキシル化(Si-C結合の形成)と対照的に、Si-O結合は、縮合反応において形成される。
【0058】
この方法において、ラジカルR4は、例えば下記の(i)〜(iv)に列挙されるような極性基(G)を介して改質される:
(i) 少なくとも1つのアルキレンオキシドに基づくポリエーテル基を含む基(G1)、
(ii) ポリエステル基を有する基(G2)、
(iii) アリルアルキル基を有する基(G3)、
(IV) 全フッ素置換されたアルキル基を有する基(G4)。
【0059】
(3) 重合調整剤
付加的に別の調整剤は、シラノール基を形成するために水と反応することができるオルガノシランを含む少なくとも1つ又は複数の二重結合から製造される共重合生成物である。例えば:
ビニルトリメソキシシラン
ビニルトリエソキシシラン
ビニルトリアセトキシラン
ビニルトリイソプロピルシラン
ビニルトリス(2−メソキシエソキシ)シラン
メチルビニルジメソキシシラン
ビニルジメチルエソキシシラン
アリルトリメソキシシラン
アリルトリエソキシシラン
アリルオキシウンデシルトリメソキシシラン
ブテニルトリエソキシシラン
ヘキセニルトリメソキシシラン
オクテニルトリメソキシシラン
3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)−プロピルトリメソキシシラン
3−(メス)アクリルオキシプロピルトリメソキシシラン
3−(メス)アクリルオキシポロピルトリエソキシシラン
3−(メス)アクリルオキシメチルトリメソキシシラン
3−(メス)アクリルオキシメチルトリエソキシシラン
3−(メス)アクリルオキシプロピルメチルジエソキシシラン
3−(メス)アクリルオキシプロピルメチルジメソキシシラン
であって、下記するモノマーを1つ又は複数有するもの。
【0060】
・1〜22個の炭素原子を有する線形若しくは分岐若しくは脂環式アルコールから生成されるアルキル(メス)アクリレートであって、例えば、メチル(メス)アクリレート、エチル(メス)アクリレート、n−ブチル(メス)アクリレート、i−ブチル(メス)アクリレート、t−ブチル(メス)アクリレート、ラウリル(メス)アクリレート、2−エチルヘキシル(メス)アクリレート、ステアリル(メス)アクリレート、トリデシル(メス)アクリレート、シクロヘキシル(メス)アクリレート、イソボルニル(メス)アクリレート、アリル(メス)アクリレート、及びt−ブチル(メス)アクリレート;
・アリル(メス)アクリレートであって、例えば、ベンジル(メス)アクリレート若しくはフェニル(メス)アクリレートであり、非置換及び置換アクリル基、例えば4−ニトロフェニルメタクリレートを有するもの;
・2〜36個の炭素原子を有する線形若しくは分岐若しくは脂環式ジオールから生成されるヒドロキシアルキル(メス)アクリレートであって、例えば、3−ヒドロキシプロピルメスアクリレート、3,4−ジヒドロキシブチルモノメスアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メス)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メス)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメスアクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオールモノメスアクリレート、及びヒドロキシフェノキシプロピルメスアクリレート;
・オリゴマー又はポリマーエーテルから生成されるモノ(メス)アクリレートであって、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、若しくは混合されたポリエチレン/プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メス)アクリレート、5〜80個の炭素原子を有するポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メス)アクリレート、メソキシエソキシエチル(メス)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メス)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メス)アクリレート、メソキシメソキシ−エチル(メス)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メス)アクリレート、フルフリル(メス)アクリレート、2−ブトキシエチル(メス)アクリレート、2−エソキシエチル(メス)アクリレート、アリルオキシメチル(メス)アクリレート、1−エソキシブチル(メス)アクリレート、1−エソキシメチル(メス)アクリレート、エソキシメチル(メス)アクリレート、Mn=220〜1200の間の分子量を有するカプロカクトン及び/若しくはヴァレロカクトン改質ヒドロキシアルキル(メス)アクリレート;
・ハロゲン置換でアルコールから生成される(メス)アクリレートであって、例えば、6〜20個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル(メス)アクリレート;
・オキシラン含有(メス)アクリレートであって、例えば、2,3−エポキシブチルメスアクリレート、3,4−エポキシブチルメスアクリレート、及びグリシジル(メス)アクリレート;
・スチレン及び置換スチレンであって、例えば、a−メチルスチロール、若しくは4−メチルスチロール;
・メタアクリロニトリル及びアクリロニトリル;
・ビニル基を含有する非アルカリ性複素環であって、例えば、1−[2−(メタクリリルオキシ)−エチル−2−イミダゾリジン及びN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム;
・1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸から生成されるビニルエステルであって、例えば、ビニルアセテート;無水マレイン酸、マレイン酸のモノエステル及びジエステル;マレインイミド、N−フェニルマレインイミド及び1〜22個の炭素原子を有する線形若しくは分岐若しくは脂環式のアルキル基を有するN−置換間レインイミド;例えば、N−エチルマレインイミド及びN−オクチルマレインイミド;
・(メス)アクリルアミド;
・1〜22個の炭素原子を有する線形若しくは分岐若しくは脂環状アルキル基を有するN−アルキル及びN,N−ジアルキル置換アクリルアミドであって、例えば、N−(t−ブチル)アクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド;
・シリル基含有(メス)アクリレートであって、例えば、(メス)アクリル酸(トリメチルシリルエステル)及びメタクリル酸−[3−(トリメチルシリル)−プロピルエステル];
・(メス)アクリル酸、カルボキシエチル(メス)アクリレート、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ビニルスルホン酸、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルベンゾスルホン酸、ビニルホスホン酸、ビニルリン酸、2−(メス)アクリロイロキシエチルリン酸塩、3−(メス)アクリロイロキシプロピルリン酸塩、4−(メス)アクリロイロキシブチルリン酸塩、4−(2−メスアクリロイロキシエチル)トリメリット酸、10−メスアクリロイロキシデシルジヒドロゲンリン酸塩、エチル−2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサブチル]アクリレート、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサブチル]アクリル酸、2,4,6−トリメチルフェニル−2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサブチル]アクリレート;及び不飽和脂肪酸、EP1674067A1に開示される酸性モノマー;
・N,N−ジメチルアミノエチル(メス)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メス)アクリレート;
・(C1〜C6)アルキル(メス)アクリルアミドを含むアミノ基であって、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピル−(メス)アクリルアミド、
・ビニル複素環であって、例えば、4−ビニルピリジン、2−ビニルビリジン、ビニルイミダゾール。
部分的にエステル化された化合物の形の1つ以上のカルボキシル基を有する酸性モノマーを使用することもできる。
【0061】
(4) オルガノシラン
粒子表面は、粒子表面と反応し、粒子表面に少なくとも1つの共有結合を構築することができ、且つ1つ以上のスペーサ化合物を有するオルガノシランによって処理されるものである。
【0062】
例として、一般的な実験公式
R7(4-X)SiR6X
で示されるアルキルを帯びる官能シランがある。この公式の指標及び変数は、下記のように定義される。
x=1〜3、
R6= ヘテロ原子を有する1〜18個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子、さらには、1〜3個の炭素原子を有する一価の有機ラジカル、
R7= 下記のものからなるヒドロキシル基又は加水分解基:
・1〜6個の炭素原子、特に1〜2個の炭素原子を有する線形若しくは分岐若しくは環状アルコキシ基;
・塩素原子のようなハロゲン原子;及び
・1〜4個の炭素原子、特に2個の炭素原子を有するカルボン酸基。
【0063】
さらに、エーテル基及び/若しくはエステル基で、粒子表面の改質を行っても良いものである。この目的のために、シランが下記する一般的な実験公式
R8(4-X)Si(R9-R10-R11)X
に使用される。この公式において、指標及び変数は、下記のように定義される。
x=1〜3
R8= 下記のものからなるヒドロキシル基又は加水分解基:
・ 1〜6個の炭素原子、特に1〜2個の炭素原子を有する線形若しくは分岐若しくは環状アルコキシ基、
・ 塩素原子のようなハロゲン原子、若しくは
・ 1〜4個の炭素原子、特に2個の炭素原子を有するカルボン酸基;
R9= 酸素若しくは二価の有機基、例えば、アルキレンラジカル又はアルキレンアミンラジカル;
R10= 下記のものからなる130〜5000ダルトンの分子質量を有する二価の有機ラジカル:
・ 下記のものからなるポリエーテル基
・ エチレンオキシド
・ プロピレンオキシド
・ ブチレンオキシド
・ これらオキシドの混合物:
・少なくとも3つの-C(=O)-O-及び/若しくは-O-C(=O)-基を有する脂肪族の及び/若しくは脂環式の及び/若しくは芳香族のポリエステル基;
R11= アルキル、
アセトキシ、
1〜18個の炭素原子を有するアルキル基である-O-R12、R12、又は
1〜18個の炭素原子を有するアルキル基である-O-CO-NH-R13、R13
【0064】
この目的のために、ポリエーテル若しくはポリエステル含有加水分解シランが、下記する構造単位で使用される。
R8(4-X)Si(R9-NH-C(O)-N(R10-R11)-C(O)-N(H)(R10R11))X
ここで、R8〜R11は、前に定義されている。
【0065】
(5) 湿潤及び分散添加剤
表面処理粒子を形成するための別の方法は、立体的安定化基と同様に粒子親和性基を有する両親媒性構造を有する湿潤添加剤又は分散添加剤を使用することである。
【0066】
ここで使用されるような分散剤−分散薬剤、分散添加物、湿潤剤等として道義的に示唆される−は、ここで使用されるように、2つの化合物−一方は分散されるべき粒子、他方は分散媒体−の間の界面張力を低下させることによって、また湿潤を誘導することによって、分散媒体への粒子の分散を容易にする物質を、一般的に示すものである。それゆえに、使用において分散剤(分散薬剤)の多数の同義的意味があり、例えば分散添加剤、沈降防止剤、湿潤剤、洗浄剤、懸濁化剤若しくは分散補助剤、乳化剤等である。
【0067】
それは、高分子分散剤、特に少なくとも500g/mol、別の実施形態では少なくとも1000g/mol、さらに別の実施形態では、少なくとも2000g/molの数平均質量を有する機能性高分子に基づく高分子分散剤である。この分散剤は、官能基及び/若しくは顔料親和力を有する基を有するポリマー及びコポリマー、ポリマー及びコポリマーのアルキルアンモニウム塩、酸性基を有するポリマー及びコポリマー、顔料親和力を有する基、特に顔料親和力を有する塩基性基を有するブロックコポリマー、改質アクリレートブロックコポリマー、改質ポリウレタン、さらに改質及び/若しくは塩化ポリアミン、リン酸エステル、エソキシレートのような櫛形コポリマー及びブロックコポリマー、脂肪酸ラジカル、特にエステル交換されたポリアクリレートのような改質ポリアクリレート、酸性官能ポリエステルのような改質ポリエステル、ポリリン酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものである。
【0068】
さらに、原則として、その目的のために知られているいくつかの分散剤、界面活性剤、湿潤剤にしたがって分散剤として使用されることが可能である。
【0069】
限定ではなく例示を目的として、有益な分散化合物が、EP1593700B1,EP0154678B1,EP0318999B1,Ep0270126B1,EP0893155B1,EP0417490B1,EP1650246B1,EP1486524A1,EP1640389A1,EP0879860B1,WO2005/097872A1,及びEP1416019A1公報において記載されており、それぞれに開示される内容は、すべてを参照することによって援用される。
【0070】
(6) 上述した表面処理の混合
粒子表面は、上述した(1)〜(5)の表面処理の混合で処理される。
【0071】
表面活性剤、若しくは界面活性剤は、それが溶解する媒体の表面張力及び/若しくは他相を有する界面張力を低下させる物質であり、液体/蒸気で、及び/若しくは他の界面で吸着される物質である。この界面活性剤は、慎重に溶解する物質に正確に適用され、自然発生的にその表面にわたって拡散することによって液体の表面張力を低下させる。
【0072】
前記コーティング化合物は、典型的なコーティング添加剤、バインダ又は架橋剤である少なくとも1つの付加的物質を含むものである。例示するが限定されないものとして、湿潤及び分散添加剤及びレオロジー特性を制御するための添加剤、及び消泡剤、乳化剤、充填剤、染料、顔料、可塑剤、光安定剤、触媒である。
【0073】
消泡剤若しくは非発泡剤は、工業的加工液において泡の形成を減少させるか阻害する化学的添加物である。
【0074】
分散剤は、液体内に粒子の分散又は懸濁を安定させるために使用される物質である。
【0075】
充填剤は、寄り高価な顔料又はバインダ材料の消費を低下させるため、若しくは混合材料の特性を改善するために材料に付加される粒子である。
【0076】
乳化剤は、安定した混合物、若しくは油と水の乳濁液の形成を促進する添加剤である。通常の乳化剤は、金属石けん、所定の動物及び野菜オイル、及び種々の極性化合物を含むがこれに限定されるものではない。
【0077】
e−係数
e−係数は、ASTME2546による圧入測定によって測定されるものである。当該コーティングのe−係数は、コーティング材料を含む非粒子と比較して10%まで、特には20%まで、さらには20%以上まで減少する。
【0078】
前記コーティングのバインダ若しくは樹脂は、混合物において2つ以上の別の材料を結合させて使用される構成要素である。その2つの原理的特性は、接着性と凝集性である。前記コーティングのバインダは、架橋性若しくは非架橋性樹脂である。
【0079】
架橋性樹脂は、透明コーティング組成物を含む水性の、溶剤型、無溶剤の、又は粉末のコーティング組成物において使用されるのに適している架橋性樹脂である。ここで使用されるように、「架橋性樹脂」という言葉は、熱の付加で架橋される樹脂だけでなく、熱の付加なしでも架橋される樹脂も含むものである。そのような架橋性樹脂の例は、熱硬化性アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバミン酸塩、炭酸塩、ポリエステル、エポキシ、シリコン及びポリアミドを含むものである。これらの樹脂は、要望により、例えば、ポリエステルアミド、ウレタンアクリレート、カルバミン酸アクリレート等の1つ以上のクラスの官能基特性を含むものである。
【0080】
樹脂及びバインダの例は、EP0832947B1によって与えられ、これを参照することによってここに援用することができるものである。
【0081】
アクリル樹脂は、アクリル及びメタクリル酸及びそれらのエステル誘導体、アクリルアミド及びメタクリルアミド及びアクリロニトリル及びメスアクリロニトリルの一般的に公知の付加ポリマー及びコポリマーを参照することができる。アクリル及びメタクリル酸のエステル誘導体の例は、エチル、メチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル及びラウリルアクリレート及びメスアクリレートのようなアルキル悪路レート及びアルキルメスアクリレートを含むと同時に、アルキル基に約20個までの炭素原子を有する類似するエステルを含むものである。また、ヒドロキシアルキルエステルは、簡単に使用することができる。そのようなヒドロキシアルキルの例は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメスアクリレート、及びアルキル基において約5個までの炭素原子を有するエステルの混合物である。そこで要求されるのは、種々の別のエチレン化不飽和モノマーが、アクリル樹脂の生成において使用されることであり、その例は、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、アルファ−クロロスチレンのようなハロゲン置換基を帯びたビニル芳香族炭化水素;イソブチレン、2,3−ジメチル−1−ヘキセン、1,3−ブタジエン、クロレチレン、クロロブタジン等のようなハロゲン置換基を帯びた非方向モノオレフィン及びジ−オレフィン炭化水素;及び。ビニルアセテート、ビニルプロピオン酸塩、イソプロペニルアセテート、ビニル塩化物、アリル塩化物、ビニルアルファクロラステート、ジメチルマルケート等のような有機及び無機酸のエステル;を含むものである。
【0082】
上述したポリマー化されたモノマーは、使用可能なモノマーを含有するCH2=C<を代表するものとして言及されるが、代表的なコポリマー化されたモノマーが使用可能である。
【0083】
アミノプラストは、例えばその例として、フォルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド及び尿素、メラミン若しくはベンゾグアニミンを有するそれらの混合物の反応生成物を含有する物質を含むアミノ若しくはアミド基を有するアルデヒドの一般的に知られた凝縮生成物である。所定の実施形態において、アミノプラスト樹脂は、アルコールと、尿素、メラニン、若しくはベンゾクアニミンを有するフォルムアルデヒドの反応によって得られるエーテル化(例えば、アルキル化)された生成物を有するものである。これらのエーテル化された生成物の調製のための適当なアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、3−クロロプロパノール及びエトキシエタノールを含むものである。
【0084】
ウレタン樹脂は、例えばヒドロキシル基及びアミノ酸部分において見出されるような活性水素原子を含む有機化合物と、有機ポリイソシアネートから調製される一般的に知られる熱硬化性樹脂である。一液性コーティング化合物における1つに使用されるウレタン樹脂は、イソシアネート改質アルキド樹脂である。二液型コーティング組成物として使用されるウレタン樹脂に基づく系の例は、触媒(例えばジブチルスズジアルレートのような有機スズ塩であるが、これに限定されない)と共にヒドロキシル基又はアミノ基のような活性化水素を含む物質と結合する有機ポリイソシアネート若しくはイソシアネート末端プレポリマーを含むものである。第2の構成要素の活性化水素含有物質は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、若しくは2液型ウレタン樹脂系において使用される公知のアクリルポリオールである。
【0085】
ポリエステル樹脂は、多価アルコール及びポリカルボン酸を使用する通常の技術によって一般的に知られ且つ調製される。適当な多価アルコールの例は、エチレングリコール;プロピレングリコール;ジエチレングリコール;ジプロピレンぶりコール;ブチレングリコール;グリセロール;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ソルビトール;1,6−ヘキサンジオール;1,4−チクロヘキサンジオール;1,2−ビス(ヒドルキシエチル)チクロヘキサン及び2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオナートである。また、適当なポリカルボン酸の例は、フタル酸;イソフタル酸;テレフタル酸;トリメリット酸;テトラヒドロフタル酸;ヘキサヒドロフタル酸;テトラクロロフタル酸;アジピン酸;アゼライン酸;セバシン酸;コハク酸;マレイン酸;グルタル酸;マロン酸;ピメリン酸;2,2−ジメチルコハク酸;3,3−ジメチルグルタル酸;2,2−ジメチルグルタル酸;フマル酸;及びイタコン酸を含むものである。それらが存在する上記酸の無水物は、「ポリカルボン酸」という言葉によって使用され、包含されることも可能である。さらに、ポリマーを形成するために酸と似たような方法で反応する物質も使用できる。そのような物質は、カプロラクトン、プロピロラクトン、及びメチルカプロラクトンのようなラクトン、且つ、ヒドロキシカプロン酸及びジメチロールプロピオン酸のようなヒドロキシ酸を含むものである。トリオール又はより水素を含むアルコールが使用されるならば、酢酸及び安息香酸のようなモノカルボン酸が、ポリエステル樹脂の生成に使用されることができる。その上、ポリエステルは、脂肪酸若しくは脂肪酸のグリセリドオイルで改質したポリエステルを含むように設計される(例えば、普通のアルキド樹脂)。代表的なアルキド樹脂は、エステル化をもたらすために、乾燥、半乾燥、非乾燥オイルから生成される多価アルコール、ポリカルボン酸及び脂肪酸を、硫酸、スルホン酸のような触媒の存在に、いろいろな割合で、反応させることによって製造される。適当な脂肪酸の例は、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、リカン酸、及び結晶性不飽和脂肪酸のような飽和及び非飽和酸を含むものである。
【0086】
エポキシ樹脂は、一般に知られており、且つ、1つ以上の1,2−エポキシ基(例えばポリエポキシド)を含む化合物若しくは化合物の混合物である。ポリエポキシドは、飽和若しくは非飽和の、脂肪酸、脂環式、芳香族、若しくは、複素環式である。適当なポリエポキシドの例は、ペンダント及び/若しくは末端、−エポキシ基を含有するアクリル樹脂であり、ポリフェノール及び/若しくはポリエポキシドの一般的に公知のポリグリシジルエーテルを含むものである。適当なポリフェノールの例は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2-ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシテルチアリブチルフェニル)プロパン;ビス(2−ヒドロキシナプチル)メタン;及びそれらの水素化誘導体を含むものである。いろいろな分子量のポリフェノールのポリグリシジルエーテルは、例えば、ポリフェノールに対するエピクロロヒドリンのモル比を変化させることによって製造することができる。
【0087】
エポキシ樹脂は、レゾルシノール、ピロガロール、ヒドロキノン及びピロカテコールのような単核多価ポリフェノールのポリグリシジルエーテルを含むものである。
【0088】
また、エポキシ樹脂は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロパンジアル、ブタンジアル、ペンタンジアル、グリセロール、1,2,6−ヘキサトリアル、ペンタクリスリトール、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシチキロヘキシル)プロパンを含む2つから4つのヒドロキシル基を含む脂肪族及びチクロ脂肪族化合物を有するエピクロロヒドリン若しくはジクロロヒドリンの反応生成物のような多価アルコールのポリグリシドリンエーテルを含むものである。
【0089】
さらに、エポキシ樹脂は、多価酸、フタル酸等の一般的に知られたポリグリシジルエステルのようなポリカルボン酸のポリグリシジルエステルを含むものである。
【0090】
さらに、エポキシ基を含むポリマー化された樹脂も使用される。ポリエポキシドは、スチレン、アルファ−メチルスチレン、アルファ−エチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートのようなエチレン化非飽和モノマーと結合するグリシジルアクリレート、グリシジルメスアクリレート及びアリルグリシジルエーテルのようなエポキシ官能モノマーのポリマー化によって生成される。
【0091】
基板に関する当該コーティングは、上述した粒子、ナノ粒子及び腐食防止剤が、ポリマー工程の間に結合された樹脂及びバインダを具備するものであるが、これに限定されるものではない。基板のための当該コーティングは、放射線硬化性コーティング(UV若しくはIR光若しくはその他の放射線によって)及び/若しくは粉末コーティング樹脂及びバインダを具備するものでも良いものである。
【発明を実施するための形態】
【0092】
十分なせん断混合に基づいて上述されたナノ粒子の添加は、耐食性を向上させるために、樹脂の内側に独特な構造を作り出すことができる。ナノ粒子が金属の耐腐食性を向上させるコーティングのための代表的な樹脂系は、一液型ポリウレタン、2液型ポリウレタン、アクリル系、オイル改質ウレタン、長油性アルキド、ポリウレタン分散、アクリルエマルジョン、エポキシ、及び水希釈性アルキドを含むが、これに限定されるものではない。
【0093】
Al2O3若しくはSiO2若しくはZnO若しくは上記の組成物の大きさが5nm〜80nmの先分散されたナノ粒子が、安定化させ、個々の粒子に分解するために湿潤添加剤及びシリコン処理を使用することで分散されたものである。これらの個々の粒子は、高い表面エネルギーを有し、ナノ粒子を有する低いエネルギー領域を満たす樹脂マトリクス又は顔料との相乗効果を示すものである。
【0094】
ナノ粒子及びコーティングマトリクスの間の相互作用は、コーティングの自己修復特性を生じるものである。これは、ナノ粒子を有していないコーティングと比較して、ナノ粒子との結合によってコーティングのE係数を低下させることによって説明される。低下したE係数は、より高い汎用性を結果として生じ、さらに素早いリフロー効果を生じる。
【0095】
着色されたコーティングにおいて、ナノ粒子は、ナノ粒子を含まない着色されたコーティングと比較して、濃厚フィルム構造を生成するために、顔料の包装を強化するものである。
【実施例1】
【0096】
【表1】

【0097】
上記製剤は、Dispermat CV混合機を使用することで、1000mlビーカにおいて混合された。樹脂及び溶剤が、2分間400RPMで一緒に混合された。全て別の添加剤が付加されると同時に樹脂溶液が混合された。バッチは、400RPMで3分間混合され、全ての添加剤がバッチに混合された。このバッチは、一晩そのままで置かれる。
【0098】
【表2】

【0099】
翌日、100gが、対照サンプルとしてバッチから取り出される。次に、100gが、前記バッチから取り出され、そこに、D-60ミネラルスプリッツに2gの30%Al2O3が付加され、2分間400RPMでDispermat CV混合機で混合された。それから、サンプルが、QパネルS-46-1平坦側パネル上に76μm(3mils)引き下ろされたバーを使用して引き下ろされた。24時間後、パネルは、33μm〜43μm(1.3〜1.7mils)のドライフィルム厚を有した。これらのパネルは、7日間空気乾燥された後、塩水噴霧ユニットに入れられた。それらは、Xの傷が付けられてASTM B−117法によって塩水噴霧ユニットに配置され、100時間、150時間、200時間及び250時間後の腐食がチェックされた。
【0100】
対照サンプルは、100時間後ですら、沿面漏れとコーティングのリフティングによって強い腐食を示したが、2%10nmの先分散されたAl2O3で改質されたサンプルは、200時間までほとんど腐食を示さなかった。コーティングにナノ粒子を有するパネルは、ゆっくりとした反応を示したので、250時間後にテストから外された。アルミナ粒子について、対照サンプルを超える150%まで腐食を改善することができた。
【実施例2】
【0101】
【表3】

【0102】
透明コート処方は、Dispermat CV混合機で、600RPMで混合する1000mlビーカにおいて調製される。樹脂と溶剤は、2分間一緒に混合され、CAB及び2%の触媒が最後に追加されて1時間放置された。パートB活性剤が樹脂混合物に付加され、2分間混合され、それぞれ120gの3つのサンプルに分けられた。前記組成物は、下記する表に従って、表面処理されたシリカの分散が付加された後に完了する。
【0103】
【表4】


表面処理された粒子の分散は、それぞれのサンプルに付加されると共にDispermat CV混合機において400RPMで混合された。
【0104】
前記混合物は、DeVilbiss J6A-502サイホンスプレーを使用して、414kPa(60PSI)no圧力でQパネルR-46 Eコートパネルに噴霧され塗布された。前記パネルは、15分間フラッシュエア乾燥され、華氏108°で40分間オーブンに入れられる。コーティングは、38〜46μm(1.5〜1.8mils)の間の乾燥フィルム厚を有した。それらは、パネルへの塩噴射が実行される前に7日間硬化された。それらは、Xで傷を付けられて、ASTM B-117法にしたがって、塩噴射ユニットに配置される。前記パネルは、塩噴射の100時間、250時間、400時間で評価され、さらに500時間で最終評価された。もし、傷付けられた印に錆が沿面漏れしていれば、それが記録された。前記対照サンプルは、250時間で沿面漏れが始まった。
【0105】
400時間で、表面処理2(サンプル2B)で先分散された20nmシリカは、沿面漏れが始まり、著しく良好であった。最終的な見解で、1つのパネルが500時間を通過した。それは、樹脂に付加された表面処理1(サンプル2A)で先分散された20nmシリカを有する表面コートであった。
【実施例3】
【0106】
【表5】



【0107】
前記コーティング組成物は、触媒を添加する前に、400RPMで2分間、溶剤、添加剤、樹脂を、Dispermat CV混合機を使用して1000mlのビーカにおいて混合し、生成するものである。それぞれバッチとして、表面処理1によるナノシリカはサンプル3Aに付加され、表面処理2によるナノシリカがサンプル3Bに付加されると共に、樹脂溶液が、Dispermat CV混合機で、2分間混合された。それぞれのバッチは、パネルに噴霧される前に1時間放置された。
【0108】
一液系は、DeVilbiss J6A-502サイホンスプレーを使用して、414kPa(60PSI)のスプレー圧で、QパネルR-46 Eコートパネルに噴霧されて塗布された。それらのパネルは、15分間フラッシュエア乾燥され、華氏300°で20分間オーブンに入れられる。それらのコーティングは、38〜46μm(1.5〜1.8mils)の乾燥フィルム厚を有した。それらは、パネルに塩噴霧が実行される前に、7日間硬化された。それらは、X形の傷が付けられ、AXTM B−117法にしたがって、塩噴霧ユニット内に配置された。前記パネルは、塩噴霧の100時間、250時間、400時間で評価され、さらに500時間で最後の評価が行われた。もし、傷付けられた印に錆が沿面漏れしていれば、それが記録された。前記対照サンプルは、250時間で沿面漏れが始まった。400時間で、表面処理2(サンプル3B)で先分散された20nmシリカは、沿面漏れが始まり、著しく良好であった。最終的な見解で、1つのパネルが500時間を通過した。それは、樹脂に付加された表面処理1(サンプル3A)で先分散された20nmシリカを有する表面コートであった。
【0109】
これは、ナノ粒子が耐腐食性を向上させるに十分な構造を形成するために使用されていたので、一液型ポリウレタンが、2液型ポリウレタン樹脂と同じに成功したことを証明している。
【実施例4】
【0110】
【表6】



【0111】
コーティング材料は、Dispermat CV混合機において4分間200RPMで、それぞれ125mlビーカにおいて一緒に混合された。表面処理されたナノシリカは、200RPMで2分間の混合下で付加された。そのバッチは、コーティングを塗布する前に1時間放置された。
【0112】
エポキシコーティング(Epon 828)は、ワイヤが巻かれたバーで、QパネルS-46-1の平坦側に塗布される。このコーティングの厚さは、架橋構造に塗布されるコーティングと同様の1016μm(40mils)である。これらのパネルは、889μm〜940μm(35〜37mils)の乾燥フィルム厚を有する。これらのパネルは、塩噴霧に先だって14日間空気乾燥される。さらに、パネルは、100時間、200時間及び300時間経過時にチェックされる。対照サンプルは、100時間経過時にサビの沿面漏れが認められた。ナノ粒子を有するパネルは、100時間の塩噴霧後にもサビ又は沿面漏れが認められなかった。対照サンプルのコーティングは、200時間経過後に中間サビ及び沿面漏れが認められた。ナノ粒子を有するパネルは、300時間の塩噴霧後に、少しのコーティングの持ち上がりを示し始めたが、サビの増大若しくは沿面漏れは認められなかった。これは、対照サンプルに対して300%を遙かに上回る成功及び改善と考えられる。標準の透明エポキシコートパネルは、100時間後に失敗している。
【0113】
これは、モノマーに先分散されたナノ粒子が、樹脂内のネットワークを発展させ、その耐腐食性を向上させることによって、エポキシコーティング形の耐腐食性を向上させたことを示している。
【実施例5】
【0114】
【表7】

【0115】
これらバッチは、Dispermat CV混合機によって、4分間200RPMで125mlビーカ内で一緒に混合された。200RPMで2分間の混合下で、ナノシリカが添加された。200RPMで4分間の混合下で、赤色酸化鉄ペーストが添加された。これらのバッチは、コーティングが塗布される前に、30分間放置された。付加された5%赤色酸化鉄ペーストを有するエポキシコーティング(Epon 828)は、ワイヤが巻かれたバーで、QパネルS-46-1円滑面に塗布された。このコーティング厚は、架橋構造に塗布されるコーティングと同様の1016μm(40mils)の厚さを有した。このパネルは、塩噴霧が実行される前に、14日間空気乾燥された。パネルは、100時間、200時間、及び300時間経過時にチェックされた。
【0116】
対照サンプルは、100時間で少しのサビの発生と沿面漏れが認められた。ナノ粒子を有するパネルは、100時間の塩噴霧後でも、サビ及び沿面漏れは認められなかった。対照サンプルのコーティングは、200時間経過後に、少しのサビと中間の沿面漏れが認められた。200時間経過後のナノ粒子を有するパネルは、サビの兆候及び沿面漏れがほとんど見られなかった。たとえエポキシが、抗腐食コーティングとして通常使用されないとしても、これは対照サンプルのパネルに対する100%の改善よりも良く、成功と考えられる。通常の顔料エポキシコートパネルは、200時間後には失敗している。
【0117】
これは、モノマーに先分散されたナノ粒子が、樹脂及び顔料内のネットワークの改善及びその耐腐食性の向上によってこのエポキシ顔料コーティング系の耐腐食性を向上させたことも示している。
【実施例6】
【0118】
【表8】

【0119】
上記処方は、Dispermat CV混合機を使用して1000mlビーカにおいて混合された。樹脂と水は、2分間400RPMで一緒に混合された。他の全ての添加物及び乾燥剤は、樹脂溶液が混合されると同時に添加される。このバッチは、400RPMで2分間混合され、全ての添加物及び乾燥剤が、このバッチに混合される。このバッチは、30分間放置される。水希釈性アルキド処方は、100gずつのサンプルに分けられる。サンプル6Aは、2%の40nm先分散ZnOで改質され、サンプル6Bは、1%の40nm先分散ZnOと、1%10nmのAl2O3で改質された。
【0120】
これらサンプルは、QパネルS-46-1の平滑側パネル上に152μm(6mil)引き下ろしたバーを使用して引き下ろされた。24時間後、パネルは、96.5〜102μm(3.8〜4mils)の間の乾燥フィルム厚を有した。これらのパネルは、塩噴霧ユニットに入れられる前に7日間空気乾燥された。これらはXの傷が付されてASTM B−117法にしたがって塩噴霧ユニット配置され、100時間、200時間及び400時間の腐食がチェックされた。
【0121】
対照サンプルは、単に100時間経過後に、サビ及び沿面漏れ、及びコーティングの浮きを有する強い腐食を示した。2%40nm先分散ZnOで改質されたサンプル6Aは、100時間経過後では何の腐食も示さなかった。2%40nm先分散ZnOと、1%10nmAl2O3で改質されたサンプル6Bは、100時間経過後では何の腐食も沿面漏れも見られなかった。
【0122】
2%40nm先分散ZnOで改質されたサンプル6Aは、200時間経過後でも何のサビも沿面漏れも示さなかった。2%40nm先分散ZnOと、1%10nmAl2O3で改質されたサンプル6Bは、200時間経過後では軽いサビを示したが沿面漏れは見られなかった。2%40nm先分散ZnOで改質されたサンプル6Aは、300時間経過後では軽いサビと軽い沿面漏れが見られた。サンプル6Bは、300時間経過後には、軽いサビと沿面漏れが見られた。これは、成功と考えられる。サンプル6Bは、400時間経過後に軽いサビと中間の沿面漏れが見られた。両方のナノ粒子処方において、塩噴霧耐性において400%の改善が見られた。
【実施例7】
【0123】
【表9】

【0124】
このクリアコート処方は、Dispermat CV混合機によって600RPMで混合する1000mlビーカにおいて調製された。樹脂及び溶剤は、2分間一緒に混合され、CABとTinuvinが最後に添加され、1時間放置された。B部活性剤は、樹脂混合物に添加され、2分間混合され、それぞれ122gの4つのサンプルに分けられた。この組成物は、下記する表に従って表面処理されたシリカの分散の付加後に完成する。
【0125】
【表10】

【0126】
表面処理粒子の分散は、それぞれのサンプルに添加され、Dispermat CV混合機で、2分間400RPMで混合される。
【0127】
これらの混合物は、QパネルR-46Eコートパネルに7602μm(3mil)引き下ろされるバーで引き下ろされる。これらのパネルは、1時間フラッシュエア乾燥されて華氏175°で50分間オーブンに入れられた。このコーティングは、38〜46μm(1.5〜1.8mils)の間の乾燥フィルム厚を有した。それらは、パネルが塩噴霧される前に7日間硬化された。それらパネルは、X型の傷が付されてASTM B−117法に従って塩噴霧ユニットに配置された。
【0128】
これらパネルは、100時間、250時間、400時間の塩噴霧で評価され、さらに50時間で最終評価された。もし傷つけられた印でサビ若しくは沿面漏れが存在した場合、それが記録された。前記対照サンプルでは、250時間で軽いサビ及び軽い沿面漏れが始まっていた。250時間で、表面処理1を有する先分散20nmシリカ(サンプル7A)は、サビは認められなかったが、軽い沿面漏れは認められた。250時間で、表面処理2を有する先分散20nmシリカ(サンプル7B)は、サビも沿面漏れも認められなかった。250時間で、表面処理3を有する先分散20nmシリカ(サンプル7C)は、サビも沿面漏れも認められなかった。
【0129】
400時間で、表面処理1を有する先分散20nmシリカ(サンプル7A)は、軽いサビと軽い沿面漏れが見え始めた。400時間で、表面処理2を有する先分散20nmシリカ(サンプル7B)は、サビも沿面漏れも認められなかった。400時間で、表面処理3を有する先分散20nmシリカ(サンプル7C)は、サビも沿面漏れも認められなかった。550時間で、表面処理1を有する先分散20nmシリカ(サンプル7A)は、中間のサビと軽い沿面漏れが認められた。これは、対照サンプルに対して200%の改善であった。550時間で、表面処理2を有する先分散20nmシリカ(サンプル7B)は、軽いサビと軽い沿面漏れが認められた。これは成功と考えて良い。550時間で、表面処理3を有する先分散20nmシリカ(サンプル7C)は、軽いサビと軽い沿面漏れが認められた。これは、優れた成功であると考えられる。
【実施例8】
【0130】
【表11】

【0131】
使用された先分散ナノ粒子
NANOBYK-3610:
メソキシプロピルアセテートへの30%表面処理されたアルミナナノ粒子の分散
NANOBYK-3651:
メソキシプロピルアセテートへの20%表面処理されたシリカナノ粒子の分散
NANOBYK-3841:
メソキシプロピルアセテートへの40%酸化亜鉛ナノ粒子の分散
BYK-LPX21441:
メソキシプロピルアセテートへの30%アルミナナノ粒子の分散
BYK-LPX21442:
メソキシプロピルアセテートへの30%ボエマイトナノ粒子の分散
BYK-LPX21457:
メソキシプロピルアセテートへの20%酸化セリウムナノ粒子の分散
【0132】
【表12】

【0133】
【表13】

【0134】
【表14】

【0135】
塗装:
Sa2.5ブラストスチールパネルの背面に2Kエポキシ塗料を塗布した。一晩室温でパネルを保持し、乾燥のために8時間50℃のオーブンに入れた。
塗布する前に、添加剤及び硬化剤を、3分間2000RPMで混合し、5分間塗料を放置し、それから80μの濾し器で濾過した。
ブラシによって(表面ダストを排除するために)Sa2.5ブラストスチールパネルを清掃した。塗料は、エアスプレーによって塗布された(乾燥の後100μm dftの周りに)。
それぞれのパネル縁を2Kエポキシによって塞いだ。
乾燥状態:
パネルを2週間室温で放置した。
塩噴射テスト:
コートされたパネルは、Std DIN EN ISO 9227 に従って(ISO21944C51メディアム及びC5Mメディアム及びIM2)、720時間塩噴霧室に入れられた。
耐腐食性テストが評価される:
塩噴霧テストの後/浸水テスト/結露テスト
ASTM D610,D714,D1654にしたがった評価
付加テスト:
DIN EN ISO 2409/ASTM3359に従った接着力をチェックするためのクロスカット試験
ISO 4624に従って接着力をチェックするためのポジ−テスト
【0136】
【表15】



【0137】
塩噴霧テスト記録:
・塗膜下腐食沿面漏れが、傷つけた線のそばにある一方の側の腐食した幅方向に測定された(mm単位)。
・領域腐食が、傷付けられていない領域にわたって測定され、腐食した領域の百分率にしたがって評価された。10が最良であり、0が最悪である。
・領域発泡が、傷付けられていない領域にわたって測定され、発泡の大きさ及び頻度に従って評価された。2はより大きな発泡を示し、8は最も小さい発泡を示す。Fは頻度FEW(少)を示し、Mは頻度MEDIUM(中)を示し、MDは頻度MEDIUMDENSE(中高)、Dは頻度DENSE(高)を示す。
・ クロスカット5Bは、ほとんどの領域が剥がれていないことを示し、0Bは65%以上が剥がれたことを示す。
【0138】
塩噴霧テストの720時間後、NANOBYK3651を含むそれらのパネルは、非抗腐食顔料含有コーティングと比較して十分な改善抗腐食性能を示した。その塗膜下腐食沿面漏れは、リン酸亜鉛含有コーティングよりも良好であった。沿噴霧の後、ブラストスチールへの接着には悪影響がなかった。
【実施例9】
【0139】
【表16】

【0140】
【表17】

【0141】
ZnOナノ粒子は、合計処方に基づいて0.5重量%及び1.0重量%のレベルで使用された。
【0142】
【表18】

【0143】
NANOBYK3841は、0.5重量%及び1重量%の大変低いZnO投与量ですら、優れた耐腐食性を示した。この保護は、18.3%の通常の腐食防止剤混合物と同じくらいであった。この通常の腐食防止剤は、本願請求項にしたがって使用されていない。
【0144】
実験による結果は、前記ナノ粒子が、樹脂及びコーティング構造に劇的な影響を有することを示している。ナノ粒子は、ナノ粒子の高いエネルギー影響を有するコーティングに積極的な強化を与える独特の構造を形成することができる。これは、樹脂をより均質にするために極性チャージを変化させて立体的障害物若しくはシリコン処理を制御するために表面に付加される湿潤添加剤を有する先分散ナノ粒子で見出される。
【0145】
実施形態が、上記記載及び上述した例から詳細に説明されたが、これらの実施例は、説明のためだけに記載されたものであり、いろいろな形態及び改良例が、開示された概念と範囲から離れることなしに、当業者によって実施可能であることがわかる。また、上述された実施形態がいずれか1つを選択することだけでなく、それらを結合させることもできることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性コーティング組成物を具備する基板のためのコーティングであって、前記硬化性コーティング組成物は:
i) 5〜99重量%のバインダ(A)と、
ii) 0.01〜75重量%の粒子(B)とを具備し、
・前記粒子(B)が、無機、有機若しくは有機金属粒子を具備し、さらに少なくとも1つの合金、金属、金属及び/若しくは半金属の酸化物、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化物、又は、異なる合金、金属、金属及び/若しくは半金属の酸化物、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化物の混合物若しくは化合物、又は、無機塩、若しくは腐食防止剤、若しくはそれらの化合物からなること;
・前記粒子(B)が約1〜500nmの範囲内の直径を有すること;
・前記粒子(B)の表面が、少なくとも1つの表面改質基で処理されていること;
・前記基板が、金属製であること;及び
・前記硬化性コーティング組成物が、前記基板に直接的若しくは間接的に接触するように適合されることを特徴とするコーティング。
【請求項2】
前記硬化性コーティング組成物が、粒子を含まないコーティング材料と比較して、10%まで、特には20%まで、さらには20%以上減少する弾性係数を有することを特徴とする請求項1記載のコーティング。
【請求項3】
前記硬化性コーティング組成物が、透明であることを特徴とする請求項1又は2記載のコーティング。
【請求項4】
前記硬化性コーティング組成物が、
i)10〜95重量%、特に20〜90重量%のバインダ(A)と、
ii)0.1〜60重量%、特に0.5〜40重量%の粒子(B)とを具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項5】
前記バインダ(A)が、架橋性若しくは非架橋性樹脂、特にアクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバミン酸塩、炭酸塩、ポリエステル、エポキシ、シリコン若しくはポリアミドのクラスの少なくとも1つを具備すること、前記樹脂が、1つ以上の前記クラスの特徴である官能基を具備すること、且つ、前記バインダが、1液型ポリウレタン、2液型ポリウレタン、アクリル、油改質ウレタン、長油アルキド、ポリウレタン分散、アクリル乳濁液、エポキシ、若しくは水希釈性アルキドの少なくとも1つを具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項6】
ナノ粒子(B)が、ZnO、CeO、Al、Al(O)OH、TiO、ZrO、酸化水酸化物、水酸化物、リン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、ケイ酸塩、クロム酸塩、亜硝酸塩、若しくは硫酸塩の少なくとも1つを具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項7】
ナノ粒子(B)の直径は、200nm以下、特に100nm以下、さらに60nm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項8】
ナノ粒子(B)の表面は、
(1) ポリジアルキルシロキサン;
(2) 極性ポリジアルキルシロキサン;
(3) 重合調整剤;
(4) オルガノシラン;
(5) 湿潤及び/若しくは分散添加剤;
(6) 上記物質(1)〜(5)の1つ若しくは複数の混合物
によって改質されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項9】
前記ナノ粒子(B)の表面が、少なくとも1つの化学的若しくは非化学的結合、特に共有結合、非共有結合、若しくは物理的結合を介して粒子の表面に付着する表面改質基によって改質されること、該改質基が、粒子表面と反応せず前記コーティングに対して不活性であるスペーサ成分を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項10】
粒子(B)の改質剤ではない表面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項11】
前記金属製基板が、腐食する金属、金属混合物、金属合成物若しくは金属合金を具備すること、さらに鉄、スチール、アルミニウム、ダイキャストアルミニウム、ダイキャスト合金、若しくはマグネシウム−アルミニウム合金の少なくとも1つを具備することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項12】
硬化性コーティング組成物が、15〜900μmの間の深さ、特に15〜30μmの間の深さを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項13】
前記硬化性コーティング組成物と前記基板の間には、顔料及び/若しくは充填剤を含む1つ以上のコーティング層が嵌め込まれることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項14】
前記硬化性コーティング組成物が、金属製基板に直接結合されること、又は、深さ5〜30μmの陰極防食コーティングが、前記金属製基板と前記硬化性コーティング組成物の間に嵌め込まれることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載のコーティング。
【請求項15】
前記コーティングが塗布される前記基板、特に金属製基板の耐食性を向上させるための請求項1〜14のいずれか1つに記載のコーティングの使用。

【公表番号】特表2013−510932(P2013−510932A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538941(P2012−538941)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/056198
【国際公開番号】WO2011/060050
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】