説明

コート剤及び反射防止フィルム

【課題】反射防止フィルムを構成する層の密着性が高く、耐擦傷性が高く、最小反射率の低い反射防止フィルム及びコート剤を提供すること。
【解決手段】(a)透明基材層13と、(b)ハードコート層15と、(c)低屈折率層17と、を備え、前記(a)13乃至(c)17の層構造が(a)13/(b)15/(c)17であるとともに、前記(b)17は、アクリレート、及び2〜3官能のメタクリレートを主成分として構成され、前記アクリレート100重量部に対する前記2〜3官能のメタクリレートの配合比が、0.5〜50重量部の範囲にあることを特徴とする反射防止フィルム19。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、テレビ、PC、各種モバイル機器等における表示画面の表面に装着される反射防止フィルム、及びその製造に用いられるコート剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやPCにおいては、従来のブラウン管に代わってプラズマディスプレイ(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)による大画面・薄型化が進んでいる。これらのディスプレイは高画質であるため、その画面部への光や物体の映りこみが画像の見栄えに与える影響が大きく、反射防止性能を付与することが必要となっている。
【0003】
また、液晶や有機EL等の表示方式が用いられる携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、電子ペーパー等のモバイル機器の表示材においても、屋外で使用されることから光や物体の映りこみの画像に対する影響が大きく、反射防止性能を付与することが必要である。
【0004】
反射防止の一つの方法として、表示画面の表面に反射防止フィルムを装着することが行われてきた。この反射防止フィルムとしては、透明基材の片面に、アクリル系樹脂等の硬度が高く、かつ屈折率の高いハードコート層と、シリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂等の屈折率が低い低屈折率層とを順次積層したものが知られている。
【0005】
しかしながら、上記のような従来の反射防止フィルムにおいて、ハードコート層と低屈折率層との密着性は優れているとは言えず、長期に亘って使用した場合、層間剥離などの問題が発生し、結果的に反射防止性能が低下する場合がある。この問題を解決するために、特許文献1には、ハードコート層を紫外線照射によりハーフキュアした後に低屈折率層を塗布し、その後硬化させる方法が開示されている。この方法では、ハードコート層を2段階に分けて紫外線照射することで層間の密着性を上げている。
【特許文献1】特開2003−311911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の方法では、反射防止フィルムの重要な性能の一つである最小反射率を引き上げてしまうという問題があった。また、従来の反射防止フィルムでは、耐擦傷性が不十分であるという問題があった。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、反射防止フィルムを構成する層の密着性が高く、耐擦傷性が高く、最小反射率の低い反射防止フィルム及びコート剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1の発明は、
反射防止フィルムのハードコート層の形成に用いられるコート剤であって、アクリレート及び2〜3官能のメタクリレートを主成分として含み、前記アクリレート100重量部に対する前記2〜3官能のメタクリレートの配合比が、0.5〜50重量部の範囲にあることを特徴とするコート剤を要旨とする。
【0009】
官能基数が2〜3(特に3)のメタクリレートをアクリレートに混合し硬化させると、メタクリレートはアクリレートの硬化遅延剤として働き、硬化膜の最表面を局所的に半硬化状態にすることができる。半硬化状態にすることで樹脂のリコート性が改善され、上塗りした樹脂との密着性に優れる。
【0010】
アクリレート100重量部に対するメタクリレートの配合比は、0.5〜50重量部の範囲であり、より好ましくは5〜30重量部である。0.5重量部以上であることにより、十分な硬化遅延効果が得られ、また50重量部以下であることにより、硬化後にタックが残り、ロールトゥロールの生産ができなくなってしまうようなことがない。
【0011】
なお、「主成分」とは、(b)ハードコート層の全組成を100重量部としたとき、50重量部より多くを占めることを意味する。
コート剤には主にアクリレート、2〜3官能のメタクリレート、光重合開始剤、溶媒が含まれる。
【0012】
アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、イソシアヌレートジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、また市販されているウレタンアクリレートやメラミンアクリレートなどが挙げられ、官能基数の多いアクリレートほど表面硬度が高くなり、好ましい。これらは単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0013】
2官能のメタクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1.4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1.6−ヘキサンジオールジメタクレート、1.9−ノナンジオールジメタクリレート、1.10−デカンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジメタクリレート等がある。また、3官能のメタクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレートやエトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を混合して使用しても良い。
【0014】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2、2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのカルボニル化合物、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、テトラメチルチウラムシジスルフィドなどの硫黄化合物などを用いることができ、市販品としてはIrgacure184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、Darocure1116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、商品名);LucirinLR8728(BASF社製、商品名);ユベクリルP36(UCB社製、商品名)などが挙げられる。また、必要に応じて光重合増感剤、光重合促進剤を添加してもよい。
【0015】
溶媒としては、例えば、有機溶媒であるメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサン等のケトン系溶剤、キシレン等の芳香族系、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。
【0016】
本発明のコート剤の粘度は、塗布性、レベリング性ならびに塗布のし易さなどの点から、1〜50000mPa・s/20℃の範囲が好適であり、前記の配合材料の選択ならびに配合比率のほか、適宜溶剤あるいは重合反応を阻害しない各種添加物を添加して、コート剤の粘度を調整することができる。
【0017】
また、要求される性能により、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ化合物、二酸化チタン等の無機充填剤の他、シラン系やチタネート系などのカップリング剤、殺菌剤、防腐剤、可塑剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤、界面活性剤、レベリング調整剤、消泡剤、着色顔料、近赤外線吸収剤、防錆顔料等の配合材料を添加してもよい。また、耐光性向上を目的に酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0018】
また、その他の配合材料として、例えば、帯電防止剤、イオン性液体、導電性高分子、導電性微粒子等を添加し、帯電防止機能を付与することができる。また、金属酸化物を屈折率調整剤としても利用することもできる。
【0019】
前記帯電防止剤としては、例えば、ノニオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸グリセリンエステル、アルキルポリエチレンイミン等を挙げることができる。また、カチオン系の帯電防止剤として、アルキルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン誘導体等を挙げることができる。また、エチレンオキサイドを骨格に持つアクリレート化合物やリチウムイオン等の金属イオンを混合するイオン伝導型の帯電防止剤も用いることができる。
【0020】
前記イオン性液体としては、例えば、カチオン成分側のイミダゾリウム塩系、ピリジウム塩系等の芳香族系、脂肪族四級アンモニウム塩系等と、アニオン成分側のBF4-、PF6-等の無機イオン系から、CF3SO2-、(CF3SO22-等のフッ素含有有機陰イオン系の組み合わせから自由に選択できる。
【0021】
前記導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ3、4−エチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体を使用することができる。
上記導電性微粒子としては、例えば、アンチモンドープ型酸化錫(ATO)、錫ドープ型酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ型酸化亜鉛、アンチモン副酸化物等を使用することができる。
【0022】
前記金属酸化物としては、例えば、SiO2、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Sb25等が挙げられる。金属酸化物の微粉末粒子あるいはこれを分散させたスラリーを添加することにより、樹脂の屈折率を調整でき、かつ層間の密着性、耐擦傷性を一層増すことができる。添加量は反射防止フィルム用コート剤100重量部に対し、金属酸化物の配合量が0.01〜70重量部の範囲が好ましく、10〜50重量部の範囲が一層好ましい。
(2)請求項2の発明は、
(a)透明基材層と、(b)ハードコート層と、(c)低屈折率層と、を備え、前記(a)乃至(c)の層構造が(a)/(b)/(c)であるとともに、前記(b)は請求項1記載のコート剤を塗布・硬化することで形成されたものであることを特徴とする反射防止フィルムを要旨とする。
【0023】
請求項1記載のコート剤には2官能もしくは3官能のメタクリレートが含有されており、そのコート剤を用いて形成した(b)ハードコート層と、それに隣接する層(例えば(c)低屈折率層)とは、密着性が高く、層間の剥離が生じ難い。
【0024】
本発明において、請求項1記載のコート剤は、例えば、(a)透明基材層の上に塗布することができる。その場合、(a)透明基材層と(b)ハードコート層とは隣接する層となる。
【0025】
本発明で使用する(a)透明基材層は、特に限定されるものではなく、例えば、全光線透過率90%以上で、厚み10μm〜5mmの公知の透明プラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。このような透明基材層としては、例えば、飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂をフィルム状またはシート状に加工したものを用いることができる。更に具体的には、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。
【0026】
(b)ハードコート層を形成する方法は、特に制限はなく、(b)ハードコート層となる成分を含む請求項1記載のコート剤を用いて、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。
【0027】
また、(c)低屈折率層を形成する方法も、特に制限はなく、前述した各種の塗工法、印刷法により形成できる。
(b)ハードコート層の厚さは、1μm〜10μmの範囲が好ましい。(b)ハードコート層の膜厚が1μm以上であることにより、十分なハードコート性能が得られ、10μm以下であることにより、反りやクラックの問題が発生しにくくなる。また、(b)ハードコート層の屈折率は、1.50〜1.80の範囲が好ましい。屈折率が高いほど反射防止性能を引き上げることができるため、要求される性能に応じて材料を選定すればよい。
【0028】
本発明の反射防止フィルムを構成する各層を形成するコート剤は、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射により硬化させることができ、紫外線照射装置としては、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等既知の装置を使用できる。
【0029】
(c)低屈折率層の厚みは、反射防止フィルムに入射した可視光のうち、(c)低屈折率層の表面で反射した反射光の位相と、(b)ハードコート層と(c)低屈折率層との境界で反射した反射光の位相と、が反対となるように設定することが望ましい。それにより、(c)低屈折率層の表面で反射した反射光と、(b)ハードコート層と(c)低屈折率層との境界で反射した反射光とを相互に打ち消し合わせ、反射を効率良く防止することができる。(c)低屈折率層の具体的な厚みは、例えば、50〜150nmが望ましい。また、(c)低屈折率層の屈折率は、特に、1.35〜1.45の範囲が好ましい。屈折率が低いほど反射防止性能を高めることが出来るため、要求される性能に合わせて材料を選定すればよい。
【0030】
尚、(c)低屈折率層を構成する樹脂が、酸素阻害を受けやすい樹脂である場合は、(c)低屈折率層を窒素雰囲気下にて硬化させても良い。また、必要に応じて(c)低屈折率層を硬化させた後に紫外線照射機を用いて(b)ハードコート層を完全硬化させても良い。
【0031】
また、本発明の反射防止フィルムは、その裏面に、さらに粘着層を備えていてもよい。粘着層は、反射防止フィルムの透明性を維持しながら、反射防止フィルムとディスプレイ等の表面とを密着させることができる粘着剤又は接着剤から成るものであればよく、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系等の粘着剤、熱可塑型、熱硬化型、UV硬化型などの接着剤から成るものを使用できる。特に、光学特性上、耐光性、耐候性、耐熱性、透明性から、アクリル樹脂系が好適である。アクリル樹脂系を構成するモノマーには、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸エチル、またこれらに酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニル基含有化合物を共重合しても良い。更に、粘着層の密着耐久性能を良好にし、アウトガスの発生を抑制するためには、粘着剤の主剤がアクリル系樹脂で重量平均分子量が50万以上、かつ多分散度は5以下であることがよい。
【0032】
粘着層には、必要に応じて、架橋剤、触媒、酸化防止剤、着色顔料、ガラスビーズ、フィラー、難燃剤、抗菌剤、光安定剤、着色剤、流動性改良剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、架橋助剤等を配合することができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤としては、要求特性に支障を来すものでなければ特に制限無く用いることができる。例えば、ポリイソシアネート、キレート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アマイド樹脂などが挙げられる。また、粘着層に、赤外吸収剤、UV吸収剤等を添加して人体に悪影響を及ぼすと思われる有害光をカットする仕組みを入れ込んでも良い。
【0033】
粘着層を形成する方法は特に制限されないが、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコート、ノズルコーター、ディップコート、バーコート、ブレードコートなどを用いる塗工方法が例示される。乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては粘着層の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、60〜180℃程度でよい。粘着層の膜厚は特に限定されないが、0.1μm〜50μmが好ましく、10μm〜50μmが特に好ましい。
【0034】
粘着層の上には、さらに、粘着層を保護するための離型フィルムを貼り付けてもよい。離型フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルアクリレート、紙、布、ガラス、セラミック、金属板、アクリル板、オレフィン樹脂、PPS樹脂、TACフィルム、アクリル樹脂フィルム、またはこれらに離型処理を施したもの等が使用できる。離型フィルムの厚さは、特に限定されないが、500μm未満が好ましく、特に25μm〜75μmが好ましい。
(3)請求項3の発明は、
前記(c)低屈折率層は、フッ素変成シリコーン樹脂からなり、水に対する接触角が90度以上、オレイン酸に対する接触角が50度以上であることを特徴とする請求項2記載の反射防止フィルムを要旨とする。
【0035】
本発明の反射防止フィルムにおいて、(c)低屈折率層は、フッ素変性シリコーン樹脂からなり、水に対する接触角が90度以上、かつオレイン酸に対する接触角が50度以上であるので、反射防止フィルムをディスプレイパネルに貼り付けた際、指紋などの汚れが蓄積されず、優れた防汚性を奏することができる。
【0036】
前記フッ素変性シリコーン樹脂としては特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルアルコキシシランを主とするものが挙げられる。具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。また、フッ素変性シリコーン樹脂にシリコーン樹脂(例えば、シロキサン系縮合物を主骨格とするシリコーン樹脂)、フッ素系樹脂、ポーラスシリカやフッ化マグネシウム等の無機粒子を添加しても良い。
(4)請求項4の発明は、
反射防止フィルムのハードコート層及び低屈折率層の形成に用いられるコート剤であって、前記ハードコート層を構成する樹脂100重量部(固形分)と、前記低屈折率層を構成する、フッ素系(メタ)アクリレートを主原料とする低屈折率微粒子1〜30重量部と、を含むコート剤を要旨とする。
【0037】
本発明のコート剤において、低屈折率微粒子の添加量は、(b)ハードコート層の材料となる樹脂成分の固形分100重量部に対して1〜30重量部である。1重量部以上であることにより、十分な反射防止性能が得られ、また30重量部以下であることにより、低屈折率微粒子と樹脂との混和性が悪くなり、ヘイズが上昇してしまうようなことがない。
【0038】
前記低屈折率微粒子の主原料であるフッ素系(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2、−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、パーフロロオクチルエチルメタクリレートなどがある。これらは単独あるいは2種以上を混合して重合時に使用してもよい。
【0039】
低屈折率微粒子の形状は、球状、数珠状が好ましいが、特にこれらに限定されない。尚、平均一次粒子径とは凝集を起こしていない単一の粒子の径であり、球状のものについてはその直径を、球状以外のものについては長軸径、短軸径の算術平均値を示し、電子顕微鏡により測定される値である。
【0040】
低屈折率微粒子の平均一次粒子径は、80〜500nmの範囲にあることが望ましい。80nm以上であることにより、十分な反射防止性能を付与することができ、500nm以下であることにより、ヘイズが上昇し、視認性が低下してしまうようなことが起こりにくい。
【0041】
低屈折率微粒子の屈折率は1.40〜1.49の範囲が好適である。屈折率が1.40以上であれば、低屈折率微粒子の合成が容易であり、また、1.49以下であれば、十分な反射防止性能が得られる。
【0042】
低屈折率微粒子は、例えば、乳化重合法により合成することができる。この場合、乳化重合法で使用するモノマー100重量部のうち、1重量部以上は、2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとすることが好ましい。乳化重合法を用いれば、合成された低屈折率微粒子の一次粒子径のバラツキを小さくすることができる。そのことにより、低屈折率微粒子から成る(c)低屈折率層を均一に配向させることができ、反射防止効果を、画面内でより一層均一化することができる。
(5)請求項5の発明は、
(a)透明基材層と、(b)ハードコート層と、(c)低屈折率層と、を備え、前記(a)乃至(c)の層構造が(a)/(b)/(c)であるとともに、前記(b)及び前記(c)は、請求項4記載のコート剤を塗布・硬化した後、相分離により形成されるものであることを特徴とする反射防止フィルムを要旨とする。
【0043】
本発明の反射防止フィルムでは、(b)ハードコート層と(c)低屈折率層とを、同時に形成することができる。すなわち、図1に示すように、(b)ハードコート層の材料となる樹脂成分1(例えば、アクリレート、又はアクリレートとメタクリレート等)と、フッ素系(メタ)アクリレートを主原料とする低屈折率微粒子3とを含むコート剤5を(a)透明基材層7の上に塗布すると、図2に示すように、低屈折率微粒子3は表層に分離して(c)低屈折率層9を形成し、コート剤5のうち、低屈折率微粒子3を除く樹脂成分は、(b)ハードコート層11を形成する。このとき、低屈折率微粒子は、(b)ハードコート層の表面に均一配向することで(c)低屈折率層を形成する。さらに、(c)低屈折率層の形成に、フッ素系(メタ)アクリレートを主原料とする低屈折率微粒子を用いることにより、(c)低屈折率層の屈折率を下げることができるとともに、低屈折率微粒子と(b)ハードコート層の材料となる樹脂成分との相溶性を低くし、低屈折率微粒子と(b)ハードコート層との分離を促進することができる。
【0044】
本発明の反射防止フィルムは、上記のとおり、例えば、(a)透明基材層の上に、(b)ハードコート層及び(c)低屈折率層を一工程で形成することができるため、反射防止フィルムの生産性が大幅にアップするとともに、(b)ハードコート層と低屈折率微粒子からなる(c)低屈折率層との密着性向上により、表面硬度が著しく向上し、層間の剥離が生じ難くなる。
(6)請求項6の発明は、
さらに、(d)近赤外線吸収層を備え、前記(a)乃至(d)の層構造が、(d)/(a)/(b)/(c)であることを特徴とする請求項2、3、5のいずれかに記載の反射防止フィルムを要旨とする。
【0045】
反射防止フィルムを貼り付ける対象が、大型プラズマディスプレイ等である場合は、プラズマ放電を発生させた際に不必要な近赤外線が輻射され、テレビやエアコンなどのリモコンの誤動作を生じさせる問題があったが、本発明の反射防止フィルムは、(d)近赤外線吸収層を備えることにより、近赤外線を吸収し、テレビやエアコンなどのリモコンの誤動作を防止することができる。また、別途、近赤外線吸収フィルムをプラズマディスプレイパネル等の前面板に貼り付ける必要がないので、プラズマディスプレイパネル等の製造コストを低減できる。
【0046】
前記(d)近赤外線吸収層は、例えば、ポリエステル樹脂などの透明性樹脂に近赤外線吸収色素を添加攪拌したものを用いて、前述した各種の塗工法、印刷法により、(a)透明基材層の裏面に形成することができる。(d)近赤外線吸収層の厚みは5〜20μmが好ましい。
(7)請求項7の発明は、
前記(d)は、近赤外線吸収色素を含有し、前記反射防止フィルムは、850〜1100nmの波長域における透過率が20%以下であることを特徴とする請求項6記載の反射防止フィルムを要旨とする。
【0047】
本発明の反射防止フィルムは、近赤外線吸収色素を含有することにより、不要な近赤外線の放出を防止し、リモコン等の誤動作を防止する効果が一層著しい。
また、反射防止フィルムの、850nm〜1100nmの波長全域における透過率が20%以下であることにより、不要な近赤外線の放出を防止し、リモコン等の誤動作を防止する効果が一層著しい。
【0048】
前記近赤外線吸収色素は、近赤外線を吸収し、かつ透光性を有する材料であれば特に限定されない。このような色素としては、ジイモニウム系、フタロシアニン系、シアニン系、アミニウム系、アゾ系、アジン系、アントラキノン系、インジゴイド系、オキサジン系、キノフタロニン系、スクワリウム系、スチルベン系、トリフェニルメタン系、ナフトキノン系、ポリメチン系などを用いることができる。これらは材料に特有の吸収波長を有し、単独あるいは2種以上を混合して使用することで幅広い波長域において吸収性能を付与することもできる。
(8)請求項8の発明は、
前記(d)は、550〜650nmの波長域において最大吸収波長をもつネオンカット色素を含有し、前記反射防止フィルムは、最大吸収波長部おける透過率が50%以下であることを特徴とする請求項7記載の反射防止フィルムを要旨とする。
【0049】
本発明の反射防止フィルムは、(d)近赤外線吸収層に、550nm〜650nmの波長において最大吸収波長をもつネオンカット色素を含有することにより、プラズマディスプレイパネル等が生じさせるネオンガス特有のオレンジ色をカットし、赤色を鮮やかに発色させることができる。
【0050】
また、上記オレンジ色をカットするネオンカット機能を付与させた近赤外線吸収フィルムを、別途、プラズマディスプレイパネル等の前面板に貼り付ける必要がないので、プラズマディスプレイパネル等の製造コストを低減できる。
【0051】
前記550nm〜650nmの波長において最大吸収波長をもつネオンカット色素としては、例えば、シアニン系、アズレニウム系、スクワリウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、アジン系、チオピリウム系、ビオローゲン系、アゾ系、アゾ金属錯塩系、アザポルフィリン系、ビスアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系がある。これらの色素は、単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0053】
(1)低屈折率層形成用フッ素変性シリコーン溶液の調製
フッ素変性シリコーン樹脂溶液は次の手順で作製した。密閉容器中にトリフルオロプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名KBM7103)12重量部、テトラエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名KBE04)3重量部を混合し、20℃に冷却し、次に0.25Nの酢酸2重量部を添加した後、20〜30℃で一晩熟成して加水分解を行った。この溶液にイソプロピルアルコール(IPA)35重量部、メチルエチルケトン(MEK)100重量部を添加し、固形分10%のフッ素変性シリコーン樹脂溶液を作製した。
(2)コート剤の調製
密閉容器中に6官能アクリレートのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製 商品名A−DPH)100重量部、2官能メタクリレートであるエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 商品名1G)20重量部、及びMEK165重量部を混合し攪拌した。さらに、開始剤として1-ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 商品名Irgacure184)を5重量部加え、コート剤を得た。
(3)反射防止フィルムの製造
次いで、図3に示すように、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルム)13(東レ株式会社製 商品名ルミラーU34)に、硬化後の膜厚が3μmとなるように、前記(2)で調製したコート剤を塗布し、紫外線照射機を用いて1500mW/cm2の照射強度で、仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い、ハードコート層15を得た。次に、前記(1)で調製した低屈折率層形成用シリコーン樹脂溶液を、硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、100℃にて硬化させ、低屈折率層17を形成し、反射防止フィルム19を得た。
【実施例2】
【0054】
前記実施例1において、コート剤の調製のとき、エチレングリコールジメタクリレート20重量部の代わりに、3官能メタクリレートのトリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 商品名TMPT)10重量部を用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例3】
【0055】
前記実施例2において、コート剤の調製のとき、トリメチロールプロパントリメタクリレートの代わりに、3官能メタクリレートのエトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 商品名TMPT−9EO)を用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例4】
【0056】
前記実施例2において、コート剤の調製のとき、A−DPH100重量部の代わりに、アクリルウレタンモノマー(根上工業株式会社製 商品名UN−3320HA)100重量部を用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例5】
【0057】
前記実施例2において、コート剤の調製のとき、A−DPH100重量部の代わりに、アクリルメラミンモノマー(三井化学製 商品名オレスターXRA−1165)100重量部を用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例6】
【0058】
前記実施例2において、コート剤の調製のとき、A−DPH100重量部の代わりに、3官能メタクリレートのペンタエリストールトリアクリレート(新中村化学工業株式会社製 商品名A−TMM−3)を用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例7】
【0059】
前記実施例2において、コート剤の調製のとき、さらにジルコニアスラリー(シーアイ化成株式会社製 固形分15%)を133重量部添加したこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例8】
【0060】
前記実施例2において、コート剤の調製のとき、さらにATOスラリー(石原産業株式会社製 商品名SNS−10M 固形分30%)を100重量部添加したこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例9】
【0061】
前記実施例3において、コート剤の調製のとき、さらにコロイダルシリカスラリー(日産化学株式会社製 商品名MEK−ST 固形分30%)を33重量部添加したこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例10】
【0062】
(1)近赤外線吸収層用コート剤の調製
ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製 商品名バイロンRV200)100重量部に対し、近赤外線吸収色素(株式会社日本触媒製 商品名イーエクスカラーIR−14)7重量部、近赤外線吸収色素(株式会社日本触媒製 商品名イーエクスカラーIR−12)5重量部、近赤外線吸収色素(株式会社日本触媒製 商品名TX−EX−910B)3重量部、近赤外線吸収色素(株式会社林原生物化学研究所 商品名NK−3508)3重量部、ネオンカット色素(旭電化工業製 商品名アデカアークルズTY−102)3重量部、及びMEK100重量部を混合攪拌し、近赤外線吸収層形成用コート剤を得た。
(2)反射防止フィルムの製造
次いで、図3に示すように、厚さ100μmのPETフィルム13(ルミラーU34)に、硬化後の膜厚が3μmとなるように、前記実施例1の(2)で調製したコート剤を塗布し、紫外線照射機を用いて1500mW/cm2の照射強度で、仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い、ハードコート層15を得た。
【0063】
次に、前記実施例1の(1)で調製した低屈折率層形成用シリコーン樹脂溶液を、硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、100℃にて硬化させ、低屈折率層17を形成した。更に、本実施例10の(1)で調製した近赤外線吸収層形成用コート剤を、図4に示すように、PETフィルム13の裏面に、硬化後の膜厚が7μmとなるように塗布し、100℃にて硬化させて近赤外線吸収層21を形成し、反射防止フィルム19を得た。
【実施例11】
【0064】
前記実施例10において、ハードコート層15の形成用いるコート剤を、前記実施例2で調製したコート剤としたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例12】
【0065】
前記実施例10において、ハードコート層15におけるエチレングリコールジメタクリレートの配合量を、5重量部としたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例13】
【0066】
前記実施例10において、ハードコート層15におけるエチレングリコールジメタクリレートの配合量を、45重量部としたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例14】
【0067】
前記実施例11において、ハードコート層15におけるTMPTの配合量を5重量部としたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例15】
【0068】
前記実施例11において、ハードコート層15におけるTMPTの配合量を45重量部としたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
【実施例16】
【0069】
(1)低屈折率微粒子スラリーの調製
(1―1)低屈折率微粒子スラリーA−3の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水120重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム0.3重量部およびpH緩衝剤としての重炭酸ナトリウム0.1重量部を仕込み攪拌しながら60℃に加熱した後、窒素置換した。この中にメチルメタクリレート2重量部を添加し、10分後に0.98重量部の脱イオン水に溶解した過硫酸ナトリウム0.1部を添加しシード重合を行った。発熱開始から60分後、4.9部の脱イオン水に溶解した過硫酸ナトリウム0.1重量部を添加し、さらに10分後、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート70重量部、メチルメタクリレート25重量部、エチレングリコールジメタクリレート5.0重量部、脱イオン水60重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム0.8重量部、及び重炭酸ナトリウム0.3部重量からなる乳化モノマー液を、攪拌下、温度を80℃に保ちながら3時間かけて滴下し、滴下終了後2時間85℃を維持し重合を終了させ、水系ラテックス(A−1)を得た。水系ラテックス(A−1)は、低屈折率微粒子を固形分で33.9%含み、低屈折率微粒子の平均粒子径は490nmであり、低屈折率微粒子固形物の屈折率は1.43であった。
【0070】
上記で合成された水系ラテックス(A−1)に、有機溶剤への転相の妨げとなるイオン性不純物の除去を目的に、イオン交換樹脂(Rohm and Haas社製 商品名アンバーライトMB−2)15重量部を添加し攪拌した。24時間攪拌した後、濾過によりイオン交換樹脂を除去し、水系ラテックス(A−2)を得た。
【0071】
この精製された水系ラテックス(A−2)に、酢酸エチル570重量部を加え攪拌し、水系ラテックス中に存在する低屈折率微粒子の有機層への転相を行った。その後静置し、透明な水相と白濁した有機相とを分離し、非水系微粒子分散体である低屈折率微粒子スラリー(A−3)を得た。この低屈折率微粒子スラリー(A−3)の固形分は15.0%であった。
(1−2)低屈折率微粒子スラリーB−3の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水120重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム0.8重量部およびpH緩衝剤として重炭酸ナトリウム0.4重量部を仕込み攪拌しながら60℃に加熱した後、窒素置換した。この中にメチルメタクリレート2重量部を添加し、10分後に0.98重量部の脱イオン水に溶解した過硫酸ナトリウム0.1重量部を添加しシード重合を行った。発熱開始から60分後、4.9重量部の脱イオン水に溶解した過硫酸ナトリウム0.1重量部を添加し、さらに10分後、2,2,2―トリフルオロエチルメタクリレート70重量部、メチルメタクリレート25重量部、エチレングリコールジメタクリレート5重量部、脱イオン水60重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム1.2重量部、及び重炭酸ナトリウム0.5重量部からなる乳化モノマー液を、攪拌下、温度を80℃に保ちながら3時間かけて滴下し、滴下終了後2時間85℃を維持し重合を終了させ水系ラテックス(B−1)を得た。水系ラテックス(B−1)は、低屈折率微粒子を固形分で34.1%含み、低屈折率微粒子の平均粒子径は100nmであり、低屈折率微粒子固形物の屈折率は1.43であった。
【0072】
上記で合成された水系ラテックス(B−1)に、有機溶剤への転相の妨げとなるイオン性不純物の除去を目的に、イオン交換樹脂MB−2を25重量部添加し攪拌した。24時間攪拌した後、濾過によりイオン交換樹脂を除去し、水系ラテックス(B−2)を得た。
【0073】
この精製された水系ラテックス(B−2)に、酢酸エチル570重量部を加え攪拌し、水系ラテックス中に存在する低屈折率微粒子の有機層への転相を行った。その後静置し、透明な水相と白濁した有機相とを分離し、非水系微粒子分散体である低屈折率微粒子スラリー(B−3)を得た。低屈折率微粒子スラリー(B−3)の固形分は、15.0%であった。
(1−3)低屈折率微粒子スラリーC−3の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水120重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム0.8重量部およびpH緩衝剤として重炭酸ナトリウム0.4重量部を仕込み攪拌しながら60℃に加熱した後、窒素置換した。この中にメチルメタクリレート2重量部を添加し、10分後に0.98重量部の脱イオン水に溶解した過硫酸ナトリウム0.1重量部を添加し種重合を行った。発熱開始から60分後、4.9重量部の脱イオン水に溶解した過硫酸ナトリウム0.1重量部を添加し、さらに10分後、メチルメタクリレート95重量部、エチレングリコールジメタクリレート5重量部、脱イオン水60重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム1.2重量部、及び重炭酸ナトリウム0.5重量部からなる乳化モノマー液を、攪拌下、温度を80℃に保ちながら3時間かけて滴下し、滴下終了後2時間85℃を維持し重合を終了させ水系ラテックス(C−1)を得た。水系ラテックス(C−1)は、低屈折率微粒子を固形分で34.1%含み、低屈折率微粒子の平均粒子径は100nmであり、低屈折率微粒子固形物の屈折率は1.49であった。
【0074】
上記で合成された水系ラテックス(C−1)に、有機溶剤への転相の妨げとなるイオン性不純物の除去を目的に、イオン交換樹脂MB−2を25重量部添加し攪拌した。24時間攪拌した後、濾過によりイオン交換樹脂を除去し、水系ラテックス(C−2)を得た。
【0075】
この精製された水系ラテックス(C−2)に、酢酸エチル570重量部を加え攪拌し、水系ラテックス中に存在する低屈折率微粒子の有機層への転相を行った。その後静置し、透明な水相と白濁した有機相とを分離し、非水系微粒子分散体である低屈折率微粒子スラリー(C−3)を得た。低屈折率微粒子スラリー(C−3)の固形分は、15.0%であった。
(2)コート剤の調製
A−DPH100重量部に対し、前記(1−3)で調製した低屈折率微粒子スラリーB−3(固形分15%)を33.3重量部、ジルコニアスラリー(シーアイ化成株式会社製 固形分15%)を66.7重量部、MEKを65.0重量部、開始剤としてIrgacure184を5重量部、レベリング剤としてSNレベラーS−906(サンノプコ株式会社製 固形分50%)を0.5重量部加え、コート剤aを得た。
(3)反射防止フィルムの製造
次に、コート剤aを厚さ100μmのPETフィルム(ルミラーU34)に硬化膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。その後、紫外線照射装置を用いて1500mW/cm2の照射強度で仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い硬化させ、反射防止フィルムを得た。
【実施例17】
【0076】
A−DPH100重量部に対し、前記実施例16の(1−1)で調製した低屈折率微粒子スラリーA−3(固形分15%)を33.3重量部、ジルコニアスラリー(固形分15%)を333.3重量部、開始剤としてIrgacure184を5重量部、レベリング剤としてSNレベラーS−906を0.5重量部加えコート剤bを得た。
【0077】
次に、コート剤b、を厚さ100μmのPETフィルム(ルミラーU34)に硬化膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。その後、紫外線照射装置を用いて1500mW/cm2の照射強度で仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い硬化させ反射防止フィルムを得た。
【実施例18】
【0078】
A−DPH100重量部に対し、前記実施例16の(1−2)で調製した低屈折率微粒子スラリーB−3(固形分15%)を6.7重量部、ジルコニアスラリー(固形分15%)を333.3重量部、開始剤としてIrgacure184を5重量部、レベリング剤としてSNレベラーS−906を0.5重量部加えコート剤cを得た。
【0079】
次に、コート剤cを、厚さ100μmのPETフィルム(ルミラーU34)に硬化膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。その後、紫外線照射装置を用いて1500mW/cm2の照射強度で仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い硬化させ反射防止フィルムを得た。
【実施例19】
【0080】
A−DPH100重量部に対し、前記実施例16の(1−2)で調製した低屈折率微粒子スラリーB−3(固形分15%)を166.7重量部、ジルコニアスラリー(固形分15%)を333.3重量部、開始剤としてIrgacure184を5重量部、レベリング剤としてSNレベラーS−906を0.5重量部加え、コート剤dを得た。
【0081】
次に、コート剤dを厚さ100μmのPETフィルム(ルミラーU34)に硬化膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。その後、紫外線照射装置を用いて1500mW/cm2の照射強度で仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い硬化させ反射防止フィルムを得た。
【実施例20】
【0082】
A−DPH100重量部に対し、前記実施例16の(1−2)で調製した低屈折率微粒子スラリーB−3(固形分15%)を33.3重量部、開始剤としてIrgacure184を5重量部、レベリング剤としてSNレベラーS−906を0.5重量部加えコート剤eを得た。
【0083】
次に、コート剤eを、厚さ100μmのPETフィルム(ルミラーU34)に硬化膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。その後、紫外線照射装置を用いて1500mW/cm2の照射強度で仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い硬化させ反射防止フィルムを得た。
【実施例21】
【0084】
まず、前記実施例16と同様に、PETフィルムの片面にコート剤aを塗布し、乾燥及び紫外線処理をした。その後、PETフィルムの反対側の面に、前記実施例10の(1)で調製した近赤外線吸収層形成用コート剤を、硬化後の膜厚が7μmとなるように塗布し、100℃にて硬化させて近赤外線吸収層を形成し、反射防止フィルムを得た。
【実施例22】
【0085】
まず、前記実施例17と同様に、PETフィルムの片面にコート剤bを塗布し、乾燥及び紫外線処理をした。その後、PETフィルムの反対側の面に、前記実施例10の(1)で調製した近赤外線吸収層形成用コート剤を、硬化後の膜厚が7μmとなるように塗布し、100℃にて硬化させて近赤外線吸収層を形成し、反射防止フィルムを得た。
[比較例1]
前期実施例1において、コート剤の調製のとき、エチレングリコールジメタクリレート20重量部の代わりに、単官能メタクリレートであるメチルメタクリレート30重量部を用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例2]
前記比較例1において、コート剤の調製のとき、メチルメタクリレートを添加しなかったこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例3]
前記実施例5において、コート剤の調製のとき、トリメチロールプロパントリメタクリレートを添加しなかったこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例4]
前記実施例7において、コート剤の調製のとき、トリメチロールプロパントリメタクリレートを添加しなかったこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例5]
前記実施例6において、コート剤の調製のとき、トリメチロールプロパントリメタクリレートを添加しなかったこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例6]
前記実施例1において、コート剤の調製のとき、メタクリレートを用いず、ポリエチレングリコールジアクリレートを20重量部用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例7]
前記比較例2において、コート剤の硬化のとき、紫外線照射機を用いて1500mW/cm2の照射強度で仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行う代わりに、紫外線照射機を用いて700mW/cm2の照射強度で仕事量が150mJ/cm2の紫外線処理を行ってハーフキュアさせたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例8]
(1)前記実施例1において、低屈折率層の形成のとき、フッ素変性シリコーン樹脂溶液の代わりに以下の(2)に示す手順で作製したシリコーン樹脂溶液を用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
(2)低屈折率層形成用シリコーン樹脂溶液の調整
密閉溶液中にてヒドロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製 50%メタノール溶液)4重量部、メチルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製)10重量部を混合し20℃に冷却した。次に、1Nの塩酸4重量部を1時間掛けて徐々に添加した後、20〜30℃で一晩熟成して加水分解を行った。この溶液に酢酸7重量部、イソプロピルアルコール(IPA)25重量部、及びメチルエチルケトン(MEK)70重量部を添加し、固形分10%の低屈折率層形成用シリコーン樹脂溶液を作製した。
[比較例9]
前記実施例10において、ハードコート層15における1G(2官能メタクリレートであるエチレングリコールジメタクリレート)の配合量を0.3重量部にしたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例10]
前記実施例10において、ハードコート層15における1Gの配合量を55重量部にしたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例11]
前記実施例10において、ハードコート層15の成分として、20重量部の1Gの代わりに、10重量部のメチルメタクリレートを用いたこと以外は同様にして、反射防止フィルムを得た。
[比較例12]
A−DPH100重量部に対し、前記実施例16の(1−3)で調製した低屈折率微粒子スラリーC−3(固形分15%)を33.3重量部、ジルコニアスラリーを66.7重量部、MEKを65.0重量部、開始剤としてIrgacure184を5重量部、レベリング剤としてのSNレベラーS−906を0.5重量部加え、コート剤fを得た。
【0086】
次に、コート剤fを、厚さ100μmのPETフィルム(ルミラーU34)に硬化膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。その後、紫外線照射装置を用いて1500mW/cm2の照射強度で、仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い、反射防止フィルムを得た。
[比較例13]
A−DPH100重量部に対し、前記実施例10の(1−2)で調製した低屈折率微粒子スラリーB−3(固形分15%)を0.7重量部、ジルコニアスラリーを333.3重量部、開始剤としてIrgacure184を5重量部、レベリング剤としてのSNレベラーS−906を0.5重量部加え、コート剤gを得た。
【0087】
次に、コート剤gを、厚さ100μmのPETフィルム(ルミラーU34)に硬化膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。その後、紫外線照射装置を用いて1500mW/cm2の照射強度で、仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い、反射防止フィルムを得た。
[参考例1]
A−DPH100重量部に対し、前記実施例1の(1−2)で調製した低屈折率微粒子スラリーB−3(固形分15%)を200重量部、ジルコニアスラリー(固形分15%)を333.3重量部、開始剤としてIrgacure184を5重量部、レベリング剤としてSNレベラーS−906を0.5重量部加え、コート剤hを得た。
【0088】
次に、コート剤h、を厚さ100μmのPETフィルム(ルミラーU34)に硬化膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。その後、紫外線照射装置を用いて1500mW/cm2の照射強度で、仕事量が300mJ/cm2の紫外線処理を行い、反射防止フィルムを得た。
【0089】
表1〜表4に、本実施例1〜15、比較例1〜11においてハードコート層を形成するために用いるコート剤の配合成分を示す。なお、実施例1〜15、比較例1〜11における添加量は、アクリレートの添加量を100重量部としたときの重量部(固形分)である。
【0090】
また、表5および表6に本実施例16〜22、比較例12、13、及び参考例1において反射防止フィルムを形成するために用いるコート剤の配合成分を示す。ここで、「低屈折率微粒子の添加量」は、樹脂(固形分)100重量部に対する低屈折率微粒子の添加量(重量部)である。また、表5及び表6には、樹脂の硬化後における屈折率、低屈折率微粒子の硬化後における屈折率、及びコート剤塗布により形成されたドライ膜厚を示す。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
【表5】

【0096】
【表6】

【0097】
上記実施例1〜22及び比較例1〜13、及び参考例1で製造した反射防止フィルムについて、その効果を確かめるための試験を行った。
(a)試験・評価方法
(i)全光線透過率(Tt)の測定
JIS K 7361−1(2000年版)3.2の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製のヘイズガードIIを用いた。
(ii)ヘイズ値(Hz)の測定
JIS K 7136(2000年版)の規定に基づいて行った。具体的には、入射する平行光のうち、前方散乱によって、入射光から0.44rad(2.5°)以上それた透過光の百分率を測定した。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製のヘイズガードIIを用いた。
(iii)鉛筆硬度の測定
JIS K 5600−5−4(1999年版)の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製の鉛筆引掻塗膜硬さ試験機(形式P)を用いた
(iv)耐磨耗性の測定
反射防止フィルムの表面を、200gの荷重をかけた日本スチールウール株式会社製のスチールウール#0000にて摩擦して傷の度合いを目視により評価した。傷の本数が3本以下のものを◎、4本〜8本のものを○、9本〜15本のものを△、それ以上のものを×とした。
(v)最小反射率の測定
作製した反射防止フィルムの裏面をサンドペーパーで均一に研磨し、マーカーの黒色で塗りつぶしたサンプルを作製し、350〜780nmの5°、−5°分光反射スペクトルを日本分光株式会社製の紫外可視分光光度計(V−550)を用いて測定し、反射率スペクトルより最小反射率を読み取った。反射スペクトルに振幅がある場合はその中心を最小反射率とした。最小反射率が2.5%以下であれば反射防止性能を有し、良好とした。
(vi)近赤外線透過率の測定
上記分光光度計を用いて850nm〜1100nmの近赤外線領域における最大吸収波長部の透過率を記録した。
(viii)接触角の測定
反射防止フィルムの表面に、イオン交換水およびオレイン酸一級試薬を滴下し、接触角を測定する。測定装置は、協和界面科学株式会社製接触角計CA−X型を用いた。
(b)試験・評価結果
試験・評価結果を上記表1〜表6に示す。これらの表から明らかなように、実施例1〜22の反射防止フィルムは、紫外線照射による複数の硬化工程がなくても、密着性や耐摩耗性に優れ、しかも最小反射率が低く、水並びにオレイン酸に対する接触角が高かった。さらに、実施例10〜15、21〜22の反射防止フィルムでは近赤外線領域における最大吸収波長部の透過率が低かった。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】反射防止フィルムの製造方法を表す説明図である。
【図2】反射防止フィルムの構造を表す断面図である。
【図3】反射防止フィルムの構造を表す断面図である。
【図4】反射防止フィルムの構造を表す断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1・・・樹脂成分
3・・・低屈折率微粒子
5・・・コート剤
7、13・・・透明基材層
9、17・・・低屈折率層
11、15・・・ハードコート層
19・・・反射防止フィルム
21・・・近赤外線吸収層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射防止フィルムのハードコート層の形成に用いられるコート剤であって、
アクリレート及び2〜3官能のメタクリレートを主成分として含み、前記アクリレート100重量部に対する前記2〜3官能のメタクリレートの配合比が、0.5〜50重量部の範囲にあることを特徴とするコート剤。
【請求項2】
(a)透明基材層と、
(b)ハードコート層と、
(c)低屈折率層と、を備え、
前記(a)乃至(c)の層構造が(a)/(b)/(c)であるとともに、
前記(b)は請求項1記載のコート剤を塗布・硬化することで形成されたものであることを特徴とする反射防止フィルム。
【請求項3】
前記(c)は、フッ素変成シリコーン樹脂からなり、水に対する接触角が90度以上、オレイン酸に対する接触角が50度以上であることを特徴とする請求項2記載の反射防止フィルム。
【請求項4】
反射防止フィルムのハードコート層及び低屈折率層の形成に用いられるコート剤であって、
前記ハードコート層を構成する樹脂100重量部(固形分)と、
前記低屈折率層を構成する、フッ素系(メタ)アクリレートを主原料とする低屈折率微粒子1〜30重量部と、を含むコート剤。
【請求項5】
(a)透明基材層と、
(b)ハードコート層と、
(c)低屈折率層と、を備え、
前記(a)乃至(c)の層構造が(a)/(b)/(c)であるとともに、
前記(b)及び前記(c)は、請求項4記載のコート剤を塗布・硬化した後、相分離により形成されるものであることを特徴とする反射防止フィルム。
【請求項6】
さらに、(d)近赤外線吸収層を備え、
前記(a)乃至(d)の層構造が、(d)/(a)/(b)/(c)であることを特徴とする請求項2、3、5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項7】
前記(d)は、近赤外線吸収色素を含有し、
前記反射防止フィルムは、850〜1100nmの波長域における透過率が20%以下であることを特徴とする請求項6記載の反射防止フィルム。
【請求項8】
前記(d)は、550〜650nmの波長域において最大吸収波長をもつネオンカット色素を含有し、
前記反射防止フィルムは、最大吸収波長部おける透過率が50%以下であることを特徴とする請求項7記載の反射防止フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−241882(P2008−241882A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79221(P2007−79221)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】