コーナー用接合金物及び該コーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法
【課題】建築物のコーナー部での防水性と外観品質を高め、サイディング材の端材の有効利用に寄与し得るコーナー用接合金物及び該コーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法を提供する。
【解決手段】本発明のコーナー用接合金物1は、コーナー部に存する構造材9の外表面13ないし内表面73に沿わせて立設状態で設置されるL形断面の金物基材15と、該金物基材15の交差する複数枚の基材片17に対して外方ないし内方に突出するように長手方向に沿って個別に設けられる複数本のシーリング凸条19とを具備することによって構成した。
【解決手段】本発明のコーナー用接合金物1は、コーナー部に存する構造材9の外表面13ないし内表面73に沿わせて立設状態で設置されるL形断面の金物基材15と、該金物基材15の交差する複数枚の基材片17に対して外方ないし内方に突出するように長手方向に沿って個別に設けられる複数本のシーリング凸条19とを具備することによって構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外壁、間仕切壁、柱等の外装材として使用されているサイディング材を接合するためのコーナー用接合金物及び該コーナー用接合金物を使用して行うサイディング材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁工事等を行う場合には、下記の特許文献1に開示されているようなサイディング材が広く使用されている。サイディング材としては多種のデザイン、質感、色のものが用意されており、また建築構造躯体の平面部を外装する平面用サイディング材の他、建築構造躯体の出隅部と入隅部を含むコーナー部の外装をするコーナー用サイディング材等が用意されている。
そして、このようなサイディング材を使用して建築物の外壁工事等を行う場合には、俗にハットジョイナー(商品名)等と称されているシーリング凸条を中央に1本備えた接合金物を使用し、該接合金物を案内として最初にコーナー部の施工を行い、その後、壁面の施工を行うようにしていた。
【0003】
しかし、接合金物の取り付けは釘止め等によって手作業によって行われるため、取付け位置のずれが発生する。特に建築物のコーナー部の施工に当たっては、予め所定寸法にカットされているコーナー用サイディング材が使用されるため、当該コーナー用サイディング材の左右の端面との間に上記接合金物の取付け位置のずれによって隙間が発生する。そして、当該隙間の発生によって建築構造躯体が動くと接合金物等を変形させ、建築構造躯体の外表面や内表面に宛がわれている防水シートを破断させて防水性を低下させたり、建築物の外観を損なわせることになる。
【0004】
また、建築物の壁面の施工に使用されている平面用サイディング材は、当該壁面の間口寸法ないし奥行き寸法に合わせて複数枚、連接して使用されている。そして平面用サイディング材の余分な部分はカットされ、カットされた平面用サイディング材の端材はそのまま産業廃棄物として廃棄処分されていた。
【0005】
【特許文献1】特開平11−311010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、建築構造躯体のコーナー部でのサイディング材の接合に使用される専用のコーナー用接合金物の採用によって、シーリング凸条間の寸法を一定に保ち、当該コーナー部での防水性と外観品質を高め、建築物の外壁工事の作業手順の変更によってサイディング材の端材の再利用を可能にし得る新規なコーナー用接合金物及び該コーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1によるコーナー用接合金物は、建築構造躯体のコーナー部でのサイディング材の接合に使用されるコーナー用接合金物において、上記コーナー部に存する構造材の外表面ないし内表面に沿わせて立設状態で設置されるL形断面の金物基材と、上記金物基材の交差する複数枚の基材片に対して外方ないし内方に突出するように長手方向に沿って個別に設けられる2本のシーリング凸条と、を具備していることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2によるコーナー用接合金物は、請求項1記載のコーナー用接合金物において、上記シーリング凸条は交差配置された複数本のシーリング凸条間に予め所定の寸法にカットされたコーナー用サイディング材が隙間無く収容される位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3によるコーナー用接合金物は、請求項1または2記載のコーナー用接合金物において、上記金物基材とシーリング凸条は単一の金属製平板材料を折り曲げ加工することによって成形されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、建築構造躯体のコーナー部に存する構造材の外表面ないし内表面に請求項1〜3のいずれかに記載のコーナー用接合金物を取り付けるコーナー用接合金物設置工程と、上記コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条の外側面に平面用サイディング材の端面を当接させ、該シーリング凸条を基点として順次、平面用サイディング材を水平方向に連接して行く平面用サイディング材設置工程と、上記2本のシーリング凸条間に形成されている収容スペースにコーナー用サイディング材を収容して固定するコーナー用サイディング材設置工程と、を具備していることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項5によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、柱材の表面すべてを被覆するように請求項1〜3のいずれかに記載のコーナー用接合金物を複数個組み合わせて取り付けるコーナー用接合金物設置工程と、上記組み合わせて取り付けられた複数個のコーナー用接合金物において2本ずつ設けられているシーリング凸条間に形成されている複数の収容スペースに対して、個別にコーナー用サイディング材を収容して固定するコーナー用サイディング材設置工程と、を具備していることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項6によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、請求項4または5記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法において、上記コーナー用サイディング材設置工程において使用するコーナー用サイディング材は平面用サイディング材の端材を再利用してコーナー用サイディング材を製作するコーナー用サイディング材製作工程において製作した再生コーナー用サイディング材であることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項7によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法において、上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として胴縁材を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記胴縁材をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項8によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法において、上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として通気金具を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記通気金具をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項9によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法において、上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として胴縁材と通気金具を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記胴縁材と通気金具をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
そして、上記手段によって以下のような作用が得られる。まず、L形断面の金物基材に対して2本のシーリング凸条を設けたコーナー用接合金物の採用によって、当該2本のシーリング凸条間の距離が一定になり、当該2本のシーリング凸条間に収容されるコーナー用サイディング材との間の隙間が小さくなる。
また、上記2本のシーリング凸条の位置が予め所定の寸法にカットされたコーナー用サイディング材の大きさに合わせて設定されている場合には、シーリング凸条の位置調整やコーナー用サイディング材の大きさの調整を行うことなく、当該コーナー用サイディング材をそのまま上記シーリング凸条間の収容スペースに収容して固定することができる。
【0017】
また、コーナー用接合金物を単一の金属製平板材料を折り曲げ加工することによって成形した場合には、部品点数を少なくでき、部品コストを低く抑えることができる。
また、上記コーナー用接合金物の採用によって、平面用サイディング材の施工を先に行って、当該施工の完了後にコーナー用サイディング材の施工を行うことが可能になるから、種々の間取りないし大きさの建築構造躯体に対応でき、サイディング作業の効率化に寄与し得るようになる。
【0018】
また、シーリング凸条の位置精度の向上によって柱材の表面のすべてをコーナー用サイディング材によって被覆することが可能になり、平面用サイディング材の端材を再利用してコーナー用サイディング材を製作すれば従来、産業廃棄物として大量に廃棄されていた平面用サイディング材の端材の量を大幅に削減することができる。
また、胴縁材ないし通気金具の採用、あるいは胴縁材と通気金具の双方の採用によって建築構造躯体の種々の間取りないし大きさに対応できるようになり、サイディング材の厚さ寸法の変化にも対応できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコーナー用接合金物によると、2本のシーリング凸条間に収容されるコーナー用サイディング材とシーリング凸条間の隙間が小さくなるから、建築物のコーナー部での防水性と外観品質の向上とが図られる。
また、本発明のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法によると、コーナー用サイディング材の施工に先立って平面用サイディング材の施工を行うことが可能になるから、平面用サイディング材の端材を再利用してコーナー用サイディング材を製作でき、平面用サイディング材の端材の有効利用を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1〜図3及び図10に示す第1の実施の形態と、図4、5に示す第2の実施の形態と、図6、7に示す第3の実施の形態と、図8、9に示す第4の実施の形態を例にとって、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
(1)第1の実施の形態(図1〜3、図10参照)
図1は本発明のコーナー用接合金物を使用した建築物の外壁工事の様子を示す斜視図、図2は建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図、図3は建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の状態を示す平断面図、図10は本発明のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法を作業手順に従って段階的に示す説明図である。
【0021】
本発明のコーナー用接合金物1は建築構造躯体3のコーナー部でのサイディング材7の接合に使用される接合金物である。建築構造躯体3は図1に示すように土台2、柱11、筋交い4等の構造材9を組み上げることによって構成されており、該建築構造躯体3の外観構成部材が以下詳述するサイディング材7や水切り6あるいは図示しないサッシ窓やドア部材等になっている。
本実施の形態ではコーナー用接合金物1は上記コーナー部の一例である出隅部5に対する構造材9(例えば柱11)の外表面13、13に沿わせて立設状態で設置されるL形断面の金物基材15と、該金物基材15の交差する2枚の基材片17に対して外方に突出するように長手方向に沿って個別に設けられている2本のシーリング凸条19、19とを具備することによって基本的に構成されている。
【0022】
上記金物基材15とシーリング凸条19、19は単一の金属製平板材料(一例としてガルバリウム鋼板)を図示のような形状に折り曲げ加工することによって成形されている。
金物基材15は長さSが約3mの長尺な部材で、稜線Lを挟んで直角に交差するように配置されている2枚の基材片17、17を備えることによって構成されている。基材片17、17には幅Wが約8mm、高さHが約20mmのシーリング凸条19、19が一例として設けられている。
【0023】
そして、これらのシーリング凸条19、19は交差配置された2本のシーリング凸条19、19間に予め所定寸法b(例えば70mm角〜120mm角)にカットされたコーナー用サイディング材21が隙間無く収容される収容スペース23が形成されている。
また、基材片17、17には上記シーリング凸条19、19の外方に長さcが約20mmの端片部25が形成されている。
従って、基材片17の一辺の長さaは約60〜110mm程度の長さになっている。
【0024】
また建築構造躯体3の平面部27には平面用サイディング材29が設置される。平面用サイディング材29は建築構造躯体3の間口寸法ないし奥行き寸法に応じて複数枚使用され、中央にシーリング凸条19を1本のみ備える既存の接合金物31によって位置合わせされて接合される。
また、上記コーナー用サイディング材21と平面用サイディング材29は一般に同一の厚さ(例えば12mm厚、15〜16mm厚)、デザイン、質感、色のものが使用され、建築物の外観の調和を図るようにしている。
【0025】
次に上記本発明のコーナー用接合金物1を使用して行う本発明のサイディング材の施工方法について説明する。本発明のサイディング材の施工方法は、(a)コーナー用接合金物設置工程と、(b)平面用サイディング材設置工程と、(d)コーナー用サイディング材設置工程とを備えることによって一例として構成されている。また、本実施の形態では上記(b)平面用サイディング材設置工程と(d)コーナー用サイディング材設置工程との間に(c)コーナー用サイディング材製作工程が設けられており、一例として12mm厚の同質のコーナー用サイディング材21と平面用サイディング材29を使用してサイディング材7の施工を行う場合を例にとって説明する。
【0026】
(a)コーナー用接合金物設置工程(図2、図10(a)(b)参照)
コーナー用接合金物設置工程は、建築構造躯体3のコーナー部の一例である出隅部5に存する構造材9(例えば柱11)の外表面13、13に上述したコーナー用接合金物1を取り付ける工程である。
具体的には建築構造躯体3を図10(a)に示すように防水シート33で覆い、当該防水シート33の外側から図10(b)に示すように柱11の外表面13、13にコーナー用接合金物1を宛がう。そして、2枚の基材片17、17に形成されている2本のシーリング凸条19、19の内側面35、35を案内として一例として木製の胴縁材39を取り付け、釘41によってコーナー用接合金物1と防水シート33と共に柱11に固定する。
【0027】
(b)平面用サイディング材設置工程(図3、図10(c)(d)(e)参照)
平面用サイディング材設置工程は、上記コーナー用接合金物1に形成されているシーリング凸条19、19の外側面37、37に平面用サイディング材29、29の端面43、43を当接させ、該シーリング凸条19、19を基点として順次、平面用サイディング材29を水平方向である間口方向Xないし奥行き方向Yに連接して行く工程である。
具体的には、図10(c)に示すように平面用サイディング材29、29を胴縁材39、39の外表面に宛がった状態で一方の端面43、43をシーリング凸条19、19の外側面37、37に突き当て、長尺な釘47、47によって胴縁材39、39と共に平面用サイディング材29、29を柱11に固定する。
【0028】
次に図10(d)に示すように上記平面用サイディング材29の他方の端面45に通常の接合金物31の一方の面を宛がい、接合金物31と平面用サイディング材29との間に胴縁材39を介在させた状態で長尺な釘47を使用して、他の柱11に平面用サイディング材29を固定する。
そして図10(d)に示すように連接する平面用サイディング材29の一方の端面43を上記通常の接合金物31の他方の面に宛がい、同様に接合金物31と平面用サイディング材29との間に胴縁材39を介在させた状態で長尺な釘47を使用して上記柱11に平面用サイディング材29を固定する。
以下、同様にして必要枚数の平面用サイディング材29を通常の接合金物31を使用して連接して行き、終端の平面用サイディング材29を図10(e)に示すように所定の長さでカットして平面用サイディング材29の端材49を得る。
【0029】
(c)コーナー用サイディング材製作工程(図10(f)参照)
コーナー用サイディング材製作工程は、上記平面用サイディング材29の端材49を再利用してコーナー用サイディング材21を製作する工程である。尚、本工程によって製作したコーナー用サイディング材21を予め所定寸法bにカットされたコーナー用サイディング材21と区別して使用する場合には再生コーナー用サイディング材51として両者を識別する。
本工程では平面用サイディング材29の端材49を図10(f)に示すように所定寸法bでカットし、更にその片側の端部を例えば45°斜めにカットする。そして2枚の端材49の斜めにカットした部分をそれぞれ接着剤等によって接着すれば図示のようなL形断面の再生コーナー用サイディング材51が製作される。
【0030】
(d)コーナー用サイディング材設置工程(図3、図10(g)(h)参照)
コーナー用サイディング材設置工程は、コーナー用接合金物1に形成されている上記2本のシーリング凸条19、19間の収容スペース23にコーナー用サイディング材21を収容して固定する工程である。
本実施の形態ではコーナー用サイディング材21として再生コーナー用サイディング材51を使用し、図3、図10(g)に示すように再生コーナー用サイディング材51を先に取り付けてある胴縁材39、39の外側面に宛がうようにして収容スペース23内に収容し、長尺な釘47、47によって胴縁材39、39と共に再生コーナー用サイディング材51をコーナー部の一例である出隅部5に存する柱11に固定する。
【0031】
最後に図3、図10(h)に示すようにコーナー用接合金物1及び通常の接合金物31における各シーリング凸条19の上面と、これらによって接合されている平面用サイディング材29とコーナー用サイディング材21との間、あるいは連接されている平面用サイディング材29、29間に図示のようにシーリング材53を充填すれば、一連のサイディング材7の施工が完了する。
そして、このような構成を採用することによって、コーナー部の一例である出隅部5ではコーナー用接合金物1における2本のシーリング凸条19、19間の収容スペース23内に収容されるコーナー用サイディング材21とシーリング凸条19、19間の隙間が小さくなるから、防水性と外観品質の向上とが図られる。
【0032】
また、上記コーナー用接合金物1の採用によってコーナー用サイディング材設置工程に先行させて平面用サイディング材設置工程を実施できるようになるから、平面用サイディング材設置工程において発生した平面用サイディング材29の端材49を再利用して再生コーナー用サイディング材51を製作することができる。
そして、当該再生コーナー用サイディング材51を使用することによって従来、産業廃棄物として大量に廃棄されていた平面用サイディング材29の端材49の量を大幅に削減することが可能になる。
【0033】
(2)第2の実施の形態(図4、5参照)
図4は建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図、図5は出隅部でのサイディング材設置後の施工完了後の状態を示す平断面図である。
尚、本実施の形態で使用するコーナー用接合金物1と接合金物31の構成は前記第1の実施の形態と同様であるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態に係る上記コーナー用接合金物1を使用して行うサイディング材の施工方法は、前記第1の実施の形態と同様、(a)コーナー用接合金物設置工程と、(b)平面用サイディング材設置工程と、(c)コーナー用サイディング材製作工程と、(d)コーナー用サイディング材設置工程とを備えることによって構成されている。
そして、本実施の形態では前記第1の実施の形態において使用した胴縁材39に代えて通気金具55を使用している点において前記第1の実施の形態と相違しており、一例として15〜16mm厚のコーナー用サイディング材21と平面用サイディング材29を使用してサイディング材7の施工を行う場合に適した構成になっている。
【0035】
具体的にはコーナー用接合金物設置工程において、図4に示すように釘41を使用してコーナー用接合金物1のみを先に柱11に固定し、次いでビス57を使用して、通気金具55をコーナー用接合金物1と共に柱11に固定する。尚、通気金具55の取り付けに際しては前記第1の実施の形態において使用した胴縁材39と同様、コーナー用接合金物1における2本のシーリング凸条19、19の内側面35、35を案内として一例として金属製平板材料を折り曲げ加工することによって形成されている上記通気金具55を取り付けるようにする。
【0036】
また、平面用サイディング材設置工程及びコーナー用サイディング材設置工程では、図5に示すように通気金具55に形成されている係止片59を利用して平面用サイディング材29とコーナー用サイディング材21を順次、取り付けて行く。
最後に図示のようにシーリング材53を充填すれば、一連のサイディング材7の施工が完了する。
そして、このような構成の本実施の形態による場合でも前記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
(3)第3の実施の形態(図6、7参照)
図6は建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図、図7は建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の状態を示す平断面図である。
尚、本実施の形態で使用するコーナー用接合金物1と接合金物31の基本的構成は前記第1の実施の形態と同様であり、シーリング凸条19の高さHが約25mmと第1の実施の形態より高くなっている点のみにおいて相違する。従って、ここでのこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0038】
本実施の形態に係る上記コーナー用接合金物1を使用して行うサイディング材の施工方法は、前記第1の実施の形態と同様、(a)コーナー用接合金物設置工程と、(b)平面用サイディング材設置工程と、(c)コーナー用サイディング材製作工程と、(d)コーナー用サイディング材設置工程とを備えることによって構成されている。
そして、本実施の形態では前記第1の実施の形態において使用した胴縁材39に加えて前記第2の実施の形態において使用した通気金具55よりも薄型の通気金具61を使用している点において前記第1の実施の形態ないし前記第2の実施の形態と相違している。
また、本実施の形態では前記第2の実施の形態と同様、一例として15〜16mm厚の同質のコーナー用サイディング材21と平面用サイディング材29を使用してサイディング材7の施工を行う場合に適した構成になっている。
【0039】
具体的にはコーナー用接合金物設置工程において、図6に示すように前記第1の実施の形態と同様、釘41を使用して胴縁材39とコーナー用接合金物1を柱11に固定し、次いで前記第2の実施の形態と同様、ビス57を使用して薄型の通気金具61を上記胴縁材39に固定する。
尚、上記胴縁材39と薄型の通気金具61の取り付けに際しては、前記第1及び第2の実施の形態と同様、コーナー用接合金物1における2本のシーリング凸条19、19の内側面35、35を案内として上記胴縁材39と薄型の通気金具61を取り付けるようにする。
【0040】
また、平面用サイディング材設置工程及びコーナー用サイディング材設置工程では、図7に示すように薄型の通気金具61に形成されている係止片59を利用して平面用サイディング材29とコーナー用サイディング材21を前記第2の実施の形態と同様に順次、取り付けて行く。
最後に図示のようにシーリング材53を充填すれば、一連のサイディング材7の施工が完了する。
そして、このような構成の本実施の形態による場合でも前記第1または第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
(4)第3の実施の形態(図8、9参照)
図8は柱材の表面に対するサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図、図9は柱材の表面に対するサイディング材設置後の施工完了時の状態を示す平断面図である。
尚、本実施の形態で使用するコーナー用接合金物1は前記第1〜第3の実施の形態において使用したものと同様のものを使用する。従って、ここでのこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0042】
本実施の形態に係る上記コーナー用接合金物1を使用して行うサイディング材の施工方法は、(a)コーナー用接合金物設置工程と、(b)コーナー用サイディング材設置工程とを具備することによって基本的に構成されている。そして本実施の形態では玄関ポーチ等に設けられる他の構造材9と離間して配置されている独立した柱材63に対して適用される。
(a)コーナー用接合金物設置工程(図8参照)
コーナー用接合金物設置工程は、柱材63の表面65のすべてを被覆するように上記コーナー用接合金物1を複数個組み合わせて取り付ける工程である。そして本実施の形態では図示のように2個のコーナー用接合金物1を使用し、これら2個のコーナー用接合金物1を使用して4枚のコーナー用サイディング材21を取り付けることによって柱材63の表面65の全周を被覆するようにしている。
尚、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同様、胴縁材39を使用し、第1の実施の形態の場合と同様の手順で図8に示すように2個のコーナー用接合金物1が対向するように柱材63に設置される。
【0043】
(b)コーナー用サイディング材設置工程(図9参照)
コーナー用サイディング材設置工程は、上記組み合わせて取り付けられた複数個のコーナー用接合金物1において2本ずつ設けられているシーリング凸条19間に形成されている複数の収容スペース23に対して個別にコーナー用サイディング材21を収容して固定する工程である。
また、本実施の形態では図示のように2個のコーナー用接合金物1の間に2本ずつ計4本設けられているシーリング凸条19の間に4つの収容スペース23、23、23、23が形成されており、これらの収容スペース23内に1枚ずつ計4枚のコーナー用サイディング材21が収容されるようになっている。
【0044】
そして、本実施の形態では前記第1の実施の形態の場合と同様の手順で図9に示すように4枚のコーナー用サイディング材21が順次、取り付けられて行く。
最後に図示のようにシーリング材53を充填すれば、柱材63に対する一連のサイディング材7の施工が完了する。
そして、このような構成の本実施の形態による場合でも前記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
尚、本発明のコーナー用接合金物1及び該コーナー用接合金物1を使用したサイディング材の施工方法は上記の実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨内での設計変更が可能である。例えば、前記第1〜第4の実施の形態において使用した胴縁材39及び通気金具55ないし薄型の通気金具61をシーリング凸条19、19から離して取り付けたい場合には、図11において仮想線で示すスペーサ67を使用し、胴縁材39及び通気金具55ないし薄型の通気金具61の取り付け完了後に上記スペーサ67を取り外すようにすることも可能である。
【0046】
また、出隅部5の角度θが図12に示すように90°以外である場合には、上記出隅部5の角度θに合わせて2枚の基材片17、17間の角度を調整することが可能である。
また、出隅部5に図13に示すような面取り部69が形成されている場合には、上記面取り部69に合わせて複数本の稜線Lを備えるコーナー用接合金物1を使用することも可能である。
この他、本発明のコーナー用接合金物1は出隅部5に存する構造材9の外表面13に限らず、図14に示すような入隅部71に存する構造材9の内表面73に適用することも可能であり、この場合には図示のように基材片17、17の内側に突出するシーリング凸条19、19を設けるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば建築物の外壁、間仕切壁、柱等の外装工事の施工分野や、該外装工事で使用する接合金物の製造、使用分野等で利用でき、特に施工が簡単で防水性や外観品質に優れ、サイディング材の端材の有効利用を図りたい場合に利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施の形態を示す図で、本発明のコーナー用接合金物を使用した建築物の外壁工事の様子を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図である。
【図3】本発明の第1実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図4】本発明の第2実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図である。
【図5】本発明の第2実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図6】本発明の第3実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図である。
【図7】本発明の第3実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図8】本発明の第4実施の形態を示す図で、柱材の表面に対するサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図である。
【図9】本発明の第4実施の形態を示す図で、柱材の表面に対するサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図10】本発明の第1実施の形態を示す図で、本発明のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法を作業手順に従って段階的に示す説明図である。
【図11】本発明の他の実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図12】本発明の更に他の実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図13】本発明の更に他の実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図14】本発明の更に他の実施の形態を示す図で、建築物の入隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 コーナー用接合金物
2 土台
3 建築構造躯体
4 筋交い
5 出隅部
6 水切り
7 サイディング材
9 構造材
11 柱
13 外表面
15 金物基材
17 基材片
19 シーリング凸条
21 コーナー用サイディング材
23 収容スペース
25 端片部
27 平面部
29 平面用サイディング材
31 (通常の)接合金物
33 防水シート
35 内側面
37 外側面
39 胴縁材
41 釘
43 端面
45 端面
47 長尺な釘
49 端材
51 再生コーナー用サイディング材
53 シーリング材
55 通気金具
57 ビス
59 係止片
61 薄型の通気金具
63 (独立した)柱材
65 表面
67 スペーサ
69 面取り部
71 入隅部
73 内表面
L 稜線
W 幅
H 高さ
a 一辺の長さ
S 長さ
b 所定寸法
c 長さ
X 間口方向
Y 奥行き方向
θ 角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外壁、間仕切壁、柱等の外装材として使用されているサイディング材を接合するためのコーナー用接合金物及び該コーナー用接合金物を使用して行うサイディング材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁工事等を行う場合には、下記の特許文献1に開示されているようなサイディング材が広く使用されている。サイディング材としては多種のデザイン、質感、色のものが用意されており、また建築構造躯体の平面部を外装する平面用サイディング材の他、建築構造躯体の出隅部と入隅部を含むコーナー部の外装をするコーナー用サイディング材等が用意されている。
そして、このようなサイディング材を使用して建築物の外壁工事等を行う場合には、俗にハットジョイナー(商品名)等と称されているシーリング凸条を中央に1本備えた接合金物を使用し、該接合金物を案内として最初にコーナー部の施工を行い、その後、壁面の施工を行うようにしていた。
【0003】
しかし、接合金物の取り付けは釘止め等によって手作業によって行われるため、取付け位置のずれが発生する。特に建築物のコーナー部の施工に当たっては、予め所定寸法にカットされているコーナー用サイディング材が使用されるため、当該コーナー用サイディング材の左右の端面との間に上記接合金物の取付け位置のずれによって隙間が発生する。そして、当該隙間の発生によって建築構造躯体が動くと接合金物等を変形させ、建築構造躯体の外表面や内表面に宛がわれている防水シートを破断させて防水性を低下させたり、建築物の外観を損なわせることになる。
【0004】
また、建築物の壁面の施工に使用されている平面用サイディング材は、当該壁面の間口寸法ないし奥行き寸法に合わせて複数枚、連接して使用されている。そして平面用サイディング材の余分な部分はカットされ、カットされた平面用サイディング材の端材はそのまま産業廃棄物として廃棄処分されていた。
【0005】
【特許文献1】特開平11−311010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、建築構造躯体のコーナー部でのサイディング材の接合に使用される専用のコーナー用接合金物の採用によって、シーリング凸条間の寸法を一定に保ち、当該コーナー部での防水性と外観品質を高め、建築物の外壁工事の作業手順の変更によってサイディング材の端材の再利用を可能にし得る新規なコーナー用接合金物及び該コーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1によるコーナー用接合金物は、建築構造躯体のコーナー部でのサイディング材の接合に使用されるコーナー用接合金物において、上記コーナー部に存する構造材の外表面ないし内表面に沿わせて立設状態で設置されるL形断面の金物基材と、上記金物基材の交差する複数枚の基材片に対して外方ないし内方に突出するように長手方向に沿って個別に設けられる2本のシーリング凸条と、を具備していることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2によるコーナー用接合金物は、請求項1記載のコーナー用接合金物において、上記シーリング凸条は交差配置された複数本のシーリング凸条間に予め所定の寸法にカットされたコーナー用サイディング材が隙間無く収容される位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3によるコーナー用接合金物は、請求項1または2記載のコーナー用接合金物において、上記金物基材とシーリング凸条は単一の金属製平板材料を折り曲げ加工することによって成形されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、建築構造躯体のコーナー部に存する構造材の外表面ないし内表面に請求項1〜3のいずれかに記載のコーナー用接合金物を取り付けるコーナー用接合金物設置工程と、上記コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条の外側面に平面用サイディング材の端面を当接させ、該シーリング凸条を基点として順次、平面用サイディング材を水平方向に連接して行く平面用サイディング材設置工程と、上記2本のシーリング凸条間に形成されている収容スペースにコーナー用サイディング材を収容して固定するコーナー用サイディング材設置工程と、を具備していることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項5によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、柱材の表面すべてを被覆するように請求項1〜3のいずれかに記載のコーナー用接合金物を複数個組み合わせて取り付けるコーナー用接合金物設置工程と、上記組み合わせて取り付けられた複数個のコーナー用接合金物において2本ずつ設けられているシーリング凸条間に形成されている複数の収容スペースに対して、個別にコーナー用サイディング材を収容して固定するコーナー用サイディング材設置工程と、を具備していることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項6によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、請求項4または5記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法において、上記コーナー用サイディング材設置工程において使用するコーナー用サイディング材は平面用サイディング材の端材を再利用してコーナー用サイディング材を製作するコーナー用サイディング材製作工程において製作した再生コーナー用サイディング材であることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項7によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法において、上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として胴縁材を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記胴縁材をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項8によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法において、上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として通気金具を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記通気金具をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項9によるコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法は、請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法において、上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として胴縁材と通気金具を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記胴縁材と通気金具をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
そして、上記手段によって以下のような作用が得られる。まず、L形断面の金物基材に対して2本のシーリング凸条を設けたコーナー用接合金物の採用によって、当該2本のシーリング凸条間の距離が一定になり、当該2本のシーリング凸条間に収容されるコーナー用サイディング材との間の隙間が小さくなる。
また、上記2本のシーリング凸条の位置が予め所定の寸法にカットされたコーナー用サイディング材の大きさに合わせて設定されている場合には、シーリング凸条の位置調整やコーナー用サイディング材の大きさの調整を行うことなく、当該コーナー用サイディング材をそのまま上記シーリング凸条間の収容スペースに収容して固定することができる。
【0017】
また、コーナー用接合金物を単一の金属製平板材料を折り曲げ加工することによって成形した場合には、部品点数を少なくでき、部品コストを低く抑えることができる。
また、上記コーナー用接合金物の採用によって、平面用サイディング材の施工を先に行って、当該施工の完了後にコーナー用サイディング材の施工を行うことが可能になるから、種々の間取りないし大きさの建築構造躯体に対応でき、サイディング作業の効率化に寄与し得るようになる。
【0018】
また、シーリング凸条の位置精度の向上によって柱材の表面のすべてをコーナー用サイディング材によって被覆することが可能になり、平面用サイディング材の端材を再利用してコーナー用サイディング材を製作すれば従来、産業廃棄物として大量に廃棄されていた平面用サイディング材の端材の量を大幅に削減することができる。
また、胴縁材ないし通気金具の採用、あるいは胴縁材と通気金具の双方の採用によって建築構造躯体の種々の間取りないし大きさに対応できるようになり、サイディング材の厚さ寸法の変化にも対応できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコーナー用接合金物によると、2本のシーリング凸条間に収容されるコーナー用サイディング材とシーリング凸条間の隙間が小さくなるから、建築物のコーナー部での防水性と外観品質の向上とが図られる。
また、本発明のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法によると、コーナー用サイディング材の施工に先立って平面用サイディング材の施工を行うことが可能になるから、平面用サイディング材の端材を再利用してコーナー用サイディング材を製作でき、平面用サイディング材の端材の有効利用を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1〜図3及び図10に示す第1の実施の形態と、図4、5に示す第2の実施の形態と、図6、7に示す第3の実施の形態と、図8、9に示す第4の実施の形態を例にとって、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
(1)第1の実施の形態(図1〜3、図10参照)
図1は本発明のコーナー用接合金物を使用した建築物の外壁工事の様子を示す斜視図、図2は建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図、図3は建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の状態を示す平断面図、図10は本発明のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法を作業手順に従って段階的に示す説明図である。
【0021】
本発明のコーナー用接合金物1は建築構造躯体3のコーナー部でのサイディング材7の接合に使用される接合金物である。建築構造躯体3は図1に示すように土台2、柱11、筋交い4等の構造材9を組み上げることによって構成されており、該建築構造躯体3の外観構成部材が以下詳述するサイディング材7や水切り6あるいは図示しないサッシ窓やドア部材等になっている。
本実施の形態ではコーナー用接合金物1は上記コーナー部の一例である出隅部5に対する構造材9(例えば柱11)の外表面13、13に沿わせて立設状態で設置されるL形断面の金物基材15と、該金物基材15の交差する2枚の基材片17に対して外方に突出するように長手方向に沿って個別に設けられている2本のシーリング凸条19、19とを具備することによって基本的に構成されている。
【0022】
上記金物基材15とシーリング凸条19、19は単一の金属製平板材料(一例としてガルバリウム鋼板)を図示のような形状に折り曲げ加工することによって成形されている。
金物基材15は長さSが約3mの長尺な部材で、稜線Lを挟んで直角に交差するように配置されている2枚の基材片17、17を備えることによって構成されている。基材片17、17には幅Wが約8mm、高さHが約20mmのシーリング凸条19、19が一例として設けられている。
【0023】
そして、これらのシーリング凸条19、19は交差配置された2本のシーリング凸条19、19間に予め所定寸法b(例えば70mm角〜120mm角)にカットされたコーナー用サイディング材21が隙間無く収容される収容スペース23が形成されている。
また、基材片17、17には上記シーリング凸条19、19の外方に長さcが約20mmの端片部25が形成されている。
従って、基材片17の一辺の長さaは約60〜110mm程度の長さになっている。
【0024】
また建築構造躯体3の平面部27には平面用サイディング材29が設置される。平面用サイディング材29は建築構造躯体3の間口寸法ないし奥行き寸法に応じて複数枚使用され、中央にシーリング凸条19を1本のみ備える既存の接合金物31によって位置合わせされて接合される。
また、上記コーナー用サイディング材21と平面用サイディング材29は一般に同一の厚さ(例えば12mm厚、15〜16mm厚)、デザイン、質感、色のものが使用され、建築物の外観の調和を図るようにしている。
【0025】
次に上記本発明のコーナー用接合金物1を使用して行う本発明のサイディング材の施工方法について説明する。本発明のサイディング材の施工方法は、(a)コーナー用接合金物設置工程と、(b)平面用サイディング材設置工程と、(d)コーナー用サイディング材設置工程とを備えることによって一例として構成されている。また、本実施の形態では上記(b)平面用サイディング材設置工程と(d)コーナー用サイディング材設置工程との間に(c)コーナー用サイディング材製作工程が設けられており、一例として12mm厚の同質のコーナー用サイディング材21と平面用サイディング材29を使用してサイディング材7の施工を行う場合を例にとって説明する。
【0026】
(a)コーナー用接合金物設置工程(図2、図10(a)(b)参照)
コーナー用接合金物設置工程は、建築構造躯体3のコーナー部の一例である出隅部5に存する構造材9(例えば柱11)の外表面13、13に上述したコーナー用接合金物1を取り付ける工程である。
具体的には建築構造躯体3を図10(a)に示すように防水シート33で覆い、当該防水シート33の外側から図10(b)に示すように柱11の外表面13、13にコーナー用接合金物1を宛がう。そして、2枚の基材片17、17に形成されている2本のシーリング凸条19、19の内側面35、35を案内として一例として木製の胴縁材39を取り付け、釘41によってコーナー用接合金物1と防水シート33と共に柱11に固定する。
【0027】
(b)平面用サイディング材設置工程(図3、図10(c)(d)(e)参照)
平面用サイディング材設置工程は、上記コーナー用接合金物1に形成されているシーリング凸条19、19の外側面37、37に平面用サイディング材29、29の端面43、43を当接させ、該シーリング凸条19、19を基点として順次、平面用サイディング材29を水平方向である間口方向Xないし奥行き方向Yに連接して行く工程である。
具体的には、図10(c)に示すように平面用サイディング材29、29を胴縁材39、39の外表面に宛がった状態で一方の端面43、43をシーリング凸条19、19の外側面37、37に突き当て、長尺な釘47、47によって胴縁材39、39と共に平面用サイディング材29、29を柱11に固定する。
【0028】
次に図10(d)に示すように上記平面用サイディング材29の他方の端面45に通常の接合金物31の一方の面を宛がい、接合金物31と平面用サイディング材29との間に胴縁材39を介在させた状態で長尺な釘47を使用して、他の柱11に平面用サイディング材29を固定する。
そして図10(d)に示すように連接する平面用サイディング材29の一方の端面43を上記通常の接合金物31の他方の面に宛がい、同様に接合金物31と平面用サイディング材29との間に胴縁材39を介在させた状態で長尺な釘47を使用して上記柱11に平面用サイディング材29を固定する。
以下、同様にして必要枚数の平面用サイディング材29を通常の接合金物31を使用して連接して行き、終端の平面用サイディング材29を図10(e)に示すように所定の長さでカットして平面用サイディング材29の端材49を得る。
【0029】
(c)コーナー用サイディング材製作工程(図10(f)参照)
コーナー用サイディング材製作工程は、上記平面用サイディング材29の端材49を再利用してコーナー用サイディング材21を製作する工程である。尚、本工程によって製作したコーナー用サイディング材21を予め所定寸法bにカットされたコーナー用サイディング材21と区別して使用する場合には再生コーナー用サイディング材51として両者を識別する。
本工程では平面用サイディング材29の端材49を図10(f)に示すように所定寸法bでカットし、更にその片側の端部を例えば45°斜めにカットする。そして2枚の端材49の斜めにカットした部分をそれぞれ接着剤等によって接着すれば図示のようなL形断面の再生コーナー用サイディング材51が製作される。
【0030】
(d)コーナー用サイディング材設置工程(図3、図10(g)(h)参照)
コーナー用サイディング材設置工程は、コーナー用接合金物1に形成されている上記2本のシーリング凸条19、19間の収容スペース23にコーナー用サイディング材21を収容して固定する工程である。
本実施の形態ではコーナー用サイディング材21として再生コーナー用サイディング材51を使用し、図3、図10(g)に示すように再生コーナー用サイディング材51を先に取り付けてある胴縁材39、39の外側面に宛がうようにして収容スペース23内に収容し、長尺な釘47、47によって胴縁材39、39と共に再生コーナー用サイディング材51をコーナー部の一例である出隅部5に存する柱11に固定する。
【0031】
最後に図3、図10(h)に示すようにコーナー用接合金物1及び通常の接合金物31における各シーリング凸条19の上面と、これらによって接合されている平面用サイディング材29とコーナー用サイディング材21との間、あるいは連接されている平面用サイディング材29、29間に図示のようにシーリング材53を充填すれば、一連のサイディング材7の施工が完了する。
そして、このような構成を採用することによって、コーナー部の一例である出隅部5ではコーナー用接合金物1における2本のシーリング凸条19、19間の収容スペース23内に収容されるコーナー用サイディング材21とシーリング凸条19、19間の隙間が小さくなるから、防水性と外観品質の向上とが図られる。
【0032】
また、上記コーナー用接合金物1の採用によってコーナー用サイディング材設置工程に先行させて平面用サイディング材設置工程を実施できるようになるから、平面用サイディング材設置工程において発生した平面用サイディング材29の端材49を再利用して再生コーナー用サイディング材51を製作することができる。
そして、当該再生コーナー用サイディング材51を使用することによって従来、産業廃棄物として大量に廃棄されていた平面用サイディング材29の端材49の量を大幅に削減することが可能になる。
【0033】
(2)第2の実施の形態(図4、5参照)
図4は建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図、図5は出隅部でのサイディング材設置後の施工完了後の状態を示す平断面図である。
尚、本実施の形態で使用するコーナー用接合金物1と接合金物31の構成は前記第1の実施の形態と同様であるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態に係る上記コーナー用接合金物1を使用して行うサイディング材の施工方法は、前記第1の実施の形態と同様、(a)コーナー用接合金物設置工程と、(b)平面用サイディング材設置工程と、(c)コーナー用サイディング材製作工程と、(d)コーナー用サイディング材設置工程とを備えることによって構成されている。
そして、本実施の形態では前記第1の実施の形態において使用した胴縁材39に代えて通気金具55を使用している点において前記第1の実施の形態と相違しており、一例として15〜16mm厚のコーナー用サイディング材21と平面用サイディング材29を使用してサイディング材7の施工を行う場合に適した構成になっている。
【0035】
具体的にはコーナー用接合金物設置工程において、図4に示すように釘41を使用してコーナー用接合金物1のみを先に柱11に固定し、次いでビス57を使用して、通気金具55をコーナー用接合金物1と共に柱11に固定する。尚、通気金具55の取り付けに際しては前記第1の実施の形態において使用した胴縁材39と同様、コーナー用接合金物1における2本のシーリング凸条19、19の内側面35、35を案内として一例として金属製平板材料を折り曲げ加工することによって形成されている上記通気金具55を取り付けるようにする。
【0036】
また、平面用サイディング材設置工程及びコーナー用サイディング材設置工程では、図5に示すように通気金具55に形成されている係止片59を利用して平面用サイディング材29とコーナー用サイディング材21を順次、取り付けて行く。
最後に図示のようにシーリング材53を充填すれば、一連のサイディング材7の施工が完了する。
そして、このような構成の本実施の形態による場合でも前記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
(3)第3の実施の形態(図6、7参照)
図6は建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図、図7は建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の状態を示す平断面図である。
尚、本実施の形態で使用するコーナー用接合金物1と接合金物31の基本的構成は前記第1の実施の形態と同様であり、シーリング凸条19の高さHが約25mmと第1の実施の形態より高くなっている点のみにおいて相違する。従って、ここでのこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0038】
本実施の形態に係る上記コーナー用接合金物1を使用して行うサイディング材の施工方法は、前記第1の実施の形態と同様、(a)コーナー用接合金物設置工程と、(b)平面用サイディング材設置工程と、(c)コーナー用サイディング材製作工程と、(d)コーナー用サイディング材設置工程とを備えることによって構成されている。
そして、本実施の形態では前記第1の実施の形態において使用した胴縁材39に加えて前記第2の実施の形態において使用した通気金具55よりも薄型の通気金具61を使用している点において前記第1の実施の形態ないし前記第2の実施の形態と相違している。
また、本実施の形態では前記第2の実施の形態と同様、一例として15〜16mm厚の同質のコーナー用サイディング材21と平面用サイディング材29を使用してサイディング材7の施工を行う場合に適した構成になっている。
【0039】
具体的にはコーナー用接合金物設置工程において、図6に示すように前記第1の実施の形態と同様、釘41を使用して胴縁材39とコーナー用接合金物1を柱11に固定し、次いで前記第2の実施の形態と同様、ビス57を使用して薄型の通気金具61を上記胴縁材39に固定する。
尚、上記胴縁材39と薄型の通気金具61の取り付けに際しては、前記第1及び第2の実施の形態と同様、コーナー用接合金物1における2本のシーリング凸条19、19の内側面35、35を案内として上記胴縁材39と薄型の通気金具61を取り付けるようにする。
【0040】
また、平面用サイディング材設置工程及びコーナー用サイディング材設置工程では、図7に示すように薄型の通気金具61に形成されている係止片59を利用して平面用サイディング材29とコーナー用サイディング材21を前記第2の実施の形態と同様に順次、取り付けて行く。
最後に図示のようにシーリング材53を充填すれば、一連のサイディング材7の施工が完了する。
そして、このような構成の本実施の形態による場合でも前記第1または第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
(4)第3の実施の形態(図8、9参照)
図8は柱材の表面に対するサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図、図9は柱材の表面に対するサイディング材設置後の施工完了時の状態を示す平断面図である。
尚、本実施の形態で使用するコーナー用接合金物1は前記第1〜第3の実施の形態において使用したものと同様のものを使用する。従って、ここでのこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0042】
本実施の形態に係る上記コーナー用接合金物1を使用して行うサイディング材の施工方法は、(a)コーナー用接合金物設置工程と、(b)コーナー用サイディング材設置工程とを具備することによって基本的に構成されている。そして本実施の形態では玄関ポーチ等に設けられる他の構造材9と離間して配置されている独立した柱材63に対して適用される。
(a)コーナー用接合金物設置工程(図8参照)
コーナー用接合金物設置工程は、柱材63の表面65のすべてを被覆するように上記コーナー用接合金物1を複数個組み合わせて取り付ける工程である。そして本実施の形態では図示のように2個のコーナー用接合金物1を使用し、これら2個のコーナー用接合金物1を使用して4枚のコーナー用サイディング材21を取り付けることによって柱材63の表面65の全周を被覆するようにしている。
尚、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同様、胴縁材39を使用し、第1の実施の形態の場合と同様の手順で図8に示すように2個のコーナー用接合金物1が対向するように柱材63に設置される。
【0043】
(b)コーナー用サイディング材設置工程(図9参照)
コーナー用サイディング材設置工程は、上記組み合わせて取り付けられた複数個のコーナー用接合金物1において2本ずつ設けられているシーリング凸条19間に形成されている複数の収容スペース23に対して個別にコーナー用サイディング材21を収容して固定する工程である。
また、本実施の形態では図示のように2個のコーナー用接合金物1の間に2本ずつ計4本設けられているシーリング凸条19の間に4つの収容スペース23、23、23、23が形成されており、これらの収容スペース23内に1枚ずつ計4枚のコーナー用サイディング材21が収容されるようになっている。
【0044】
そして、本実施の形態では前記第1の実施の形態の場合と同様の手順で図9に示すように4枚のコーナー用サイディング材21が順次、取り付けられて行く。
最後に図示のようにシーリング材53を充填すれば、柱材63に対する一連のサイディング材7の施工が完了する。
そして、このような構成の本実施の形態による場合でも前記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
尚、本発明のコーナー用接合金物1及び該コーナー用接合金物1を使用したサイディング材の施工方法は上記の実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨内での設計変更が可能である。例えば、前記第1〜第4の実施の形態において使用した胴縁材39及び通気金具55ないし薄型の通気金具61をシーリング凸条19、19から離して取り付けたい場合には、図11において仮想線で示すスペーサ67を使用し、胴縁材39及び通気金具55ないし薄型の通気金具61の取り付け完了後に上記スペーサ67を取り外すようにすることも可能である。
【0046】
また、出隅部5の角度θが図12に示すように90°以外である場合には、上記出隅部5の角度θに合わせて2枚の基材片17、17間の角度を調整することが可能である。
また、出隅部5に図13に示すような面取り部69が形成されている場合には、上記面取り部69に合わせて複数本の稜線Lを備えるコーナー用接合金物1を使用することも可能である。
この他、本発明のコーナー用接合金物1は出隅部5に存する構造材9の外表面13に限らず、図14に示すような入隅部71に存する構造材9の内表面73に適用することも可能であり、この場合には図示のように基材片17、17の内側に突出するシーリング凸条19、19を設けるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば建築物の外壁、間仕切壁、柱等の外装工事の施工分野や、該外装工事で使用する接合金物の製造、使用分野等で利用でき、特に施工が簡単で防水性や外観品質に優れ、サイディング材の端材の有効利用を図りたい場合に利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施の形態を示す図で、本発明のコーナー用接合金物を使用した建築物の外壁工事の様子を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図である。
【図3】本発明の第1実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図4】本発明の第2実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図である。
【図5】本発明の第2実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図6】本発明の第3実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図である。
【図7】本発明の第3実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図8】本発明の第4実施の形態を示す図で、柱材の表面に対するサイディング材設置前の下地工事の様子を示す平断面図である。
【図9】本発明の第4実施の形態を示す図で、柱材の表面に対するサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図10】本発明の第1実施の形態を示す図で、本発明のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法を作業手順に従って段階的に示す説明図である。
【図11】本発明の他の実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図12】本発明の更に他の実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図13】本発明の更に他の実施の形態を示す図で、建築物の出隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【図14】本発明の更に他の実施の形態を示す図で、建築物の入隅部でのサイディング材設置後の施工完了時の様子を示す平断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 コーナー用接合金物
2 土台
3 建築構造躯体
4 筋交い
5 出隅部
6 水切り
7 サイディング材
9 構造材
11 柱
13 外表面
15 金物基材
17 基材片
19 シーリング凸条
21 コーナー用サイディング材
23 収容スペース
25 端片部
27 平面部
29 平面用サイディング材
31 (通常の)接合金物
33 防水シート
35 内側面
37 外側面
39 胴縁材
41 釘
43 端面
45 端面
47 長尺な釘
49 端材
51 再生コーナー用サイディング材
53 シーリング材
55 通気金具
57 ビス
59 係止片
61 薄型の通気金具
63 (独立した)柱材
65 表面
67 スペーサ
69 面取り部
71 入隅部
73 内表面
L 稜線
W 幅
H 高さ
a 一辺の長さ
S 長さ
b 所定寸法
c 長さ
X 間口方向
Y 奥行き方向
θ 角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造躯体のコーナー部でのサイディング材の接合に使用されるコーナー用接合金物において、
上記コーナー部に存する構造材の外表面ないし内表面に沿わせて立設状態で設置されるL形断面の金物基材と、
上記金物基材の交差する複数枚の基材片に対して外方ないし内方に突出するように長手方向に沿って個別に設けられる2本のシーリング凸条と、
を具備していることを特徴とするコーナー用接合金物。
【請求項2】
上記シーリング凸条は交差配置された複数本のシーリング凸条間に予め所定の寸法にカットされたコーナー用サイディング材が隙間無く収容される位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用接合金物。
【請求項3】
上記金物基材とシーリング凸条は単一の金属製平板材料を折り曲げ加工することによって成形されていることを特徴とする請求項1または2記載のコーナー用接合金物。
【請求項4】
建築構造躯体のコーナー部に存する構造材の外表面ないし内表面に請求項1〜3のいずれかに記載のコーナー用接合金物を取り付けるコーナー用接合金物設置工程と、
上記コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条の外側面に平面用サイディング材の端面を当接させ、該シーリング凸条を基点として順次、平面用サイディング材を水平方向に連接して行く平面用サイディング材設置工程と、
上記2本のシーリング凸条間に形成されている収容スペースにコーナー用サイディング材を収容して固定するコーナー用サイディング材設置工程と、
を具備していることを特徴とするコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項5】
柱材の表面すべてを被覆するように請求項1〜3のいずれかに記載のコーナー用接合金物を複数個組み合わせて取り付けるコーナー用接合金物設置工程と、
上記組み合わせて取り付けられた複数個のコーナー用接合金物において2本ずつ設けられているシーリング凸条間に形成されている複数の収容スペースに対して、個別にコーナー用サイディング材を収容して固定するコーナー用サイディング材設置工程と、
を具備していることを特徴とするコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項6】
上記コーナー用サイディング材設置工程において使用するコーナー用サイディング材は平面用サイディング材の端材を再利用してコーナー用サイディング材を製作するコーナー用サイディング材製作工程において製作した再生コーナー用サイディング材であることを特徴とする請求項4または5記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項7】
上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として胴縁材を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記胴縁材をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項8】
上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として通気金具を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記通気金具をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項9】
上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として胴縁材と通気金具を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記胴縁材と通気金具をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項1】
建築構造躯体のコーナー部でのサイディング材の接合に使用されるコーナー用接合金物において、
上記コーナー部に存する構造材の外表面ないし内表面に沿わせて立設状態で設置されるL形断面の金物基材と、
上記金物基材の交差する複数枚の基材片に対して外方ないし内方に突出するように長手方向に沿って個別に設けられる2本のシーリング凸条と、
を具備していることを特徴とするコーナー用接合金物。
【請求項2】
上記シーリング凸条は交差配置された複数本のシーリング凸条間に予め所定の寸法にカットされたコーナー用サイディング材が隙間無く収容される位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用接合金物。
【請求項3】
上記金物基材とシーリング凸条は単一の金属製平板材料を折り曲げ加工することによって成形されていることを特徴とする請求項1または2記載のコーナー用接合金物。
【請求項4】
建築構造躯体のコーナー部に存する構造材の外表面ないし内表面に請求項1〜3のいずれかに記載のコーナー用接合金物を取り付けるコーナー用接合金物設置工程と、
上記コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条の外側面に平面用サイディング材の端面を当接させ、該シーリング凸条を基点として順次、平面用サイディング材を水平方向に連接して行く平面用サイディング材設置工程と、
上記2本のシーリング凸条間に形成されている収容スペースにコーナー用サイディング材を収容して固定するコーナー用サイディング材設置工程と、
を具備していることを特徴とするコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項5】
柱材の表面すべてを被覆するように請求項1〜3のいずれかに記載のコーナー用接合金物を複数個組み合わせて取り付けるコーナー用接合金物設置工程と、
上記組み合わせて取り付けられた複数個のコーナー用接合金物において2本ずつ設けられているシーリング凸条間に形成されている複数の収容スペースに対して、個別にコーナー用サイディング材を収容して固定するコーナー用サイディング材設置工程と、
を具備していることを特徴とするコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項6】
上記コーナー用サイディング材設置工程において使用するコーナー用サイディング材は平面用サイディング材の端材を再利用してコーナー用サイディング材を製作するコーナー用サイディング材製作工程において製作した再生コーナー用サイディング材であることを特徴とする請求項4または5記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項7】
上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として胴縁材を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記胴縁材をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項8】
上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として通気金具を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記通気金具をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【請求項9】
上記コーナー用接合金物設置工程では、コーナー用接合金物に形成されているシーリング凸条を案内として胴縁材と通気金具を取り付け、上記コーナー用サイディング材設置工程では、上記胴縁材と通気金具をコーナー用接合金物との間に介在させた状態でコーナー用サイディング材を設置するようにしたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のコーナー用接合金物を使用したサイディング材の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−57777(P2009−57777A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227323(P2007−227323)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(507295509)有限会社ジェイウォール静岡 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(507295509)有限会社ジェイウォール静岡 (1)
【Fターム(参考)】
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