説明

コールドピルガー圧延管を製造する方法及び装置

【課題】コールドピルガー圧延時に、変形加工工程中に得られた測定データに基づいて、少なくとも1つの変形加工工具の位置調節を可能にする、自動化可能な製造方法及びこのために好適な装置を提供する。
【解決手段】外側から管8に作用する少なくとも1つの変形加工工具4に、少なくとも1つの位置調節装置7が作用結合されており、位置調節装置7は、測定装置5に接続されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのマンドレル受けに支承される圧延マンドレルと、少なくとも2つの外側から管に作用する変形加工工具、好ましくは少なくとも1つのアウタロールと、変形加工工程中、管の外径を測定するための測定装置とを備える圧延機構を用いてコールドピルガー圧延管を製造する装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、少なくとも1つのマンドレル受けに支承される圧延マンドレルと、少なくとも2つの外側から管に作用する変形加工工具、好ましくは少なくとも1つのアウタロールと、変形加工工程中、管の壁厚さを測定するための測定装置とを備える圧延機構を用いてコールドピルガー圧延管を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
管のコールドピルガー圧延(Kaltpilgern)とは、継目無管を初期フォーマットから最終フォーマットに加工する方法と解される。ピルガー圧延の目的は、シームレスに製造された管の外径及び壁厚さを減じることにある。この場合、原材料、いわゆる素管(Rohrluppe)は、一般に、円錐形のキャリバ(Kalibrierung)を備える、素管上で回転運動及び送り運動を間欠的に実施するローラ対を通して案内される。素管の内部には、圧延マンドレルが配置される。
【0004】
これにより、管は、一般に特に狭い寸法公差を維持して形成される。生産中、寸法の変化が製品に生じる場合がある。管直径が公差範囲から外れそうであるか、又は既に外れてしまっている場合、圧延機構は、従来、停止され、圧延間隙の修正が行われていた。急速に発生する寸法の変化は、抜き取り検査では、見落とされてしまう場合がある。また、寸法修正が成功したか否かについては、少なくとも1つの別の管が完全に変形加工されて初めて、あるいは圧延機構が寸法管理のために新たに停止されて初めて、確認可能である。結局、圧延機構を停止させなければならないので、寸法修正の度に、生産時間は失われる。
【0005】
完成した管の直径を測定するには、光学式の方法、例えばレーザ光格子(Laser−Lichtgittern)を用いた方法が適している。
【0006】
コールドピルガー圧延プロセスのための非破壊式の測定方法の使用は、しかし、従来技術においては知られていない。むしろ、従来使用される測定方法は、さらに、変形加工の実施及び被検査体の抽出後、測定を行い、その後、経験値を加味しつつ、個々の又は複数の変形加工パラメータを変更し、最終的にこのパラメータの変更の結果を次に後続の変形加工プロセスの完了後に再検査するという原理に従う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、コールドピルガー圧延時に、変形加工工程中に得られた測定データに基づいて、少なくとも1つの変形加工工具の位置調節を可能にする、自動化可能な製造方法及びこのために好適な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る、少なくとも1つのマンドレル受けに支承される圧延マンドレルと、少なくとも2つの外側から管に作用する変形加工工具、好ましくは少なくとも1つのアウタロールと、変形加工工程中、管の外径を測定するための測定装置とを備える圧延機構を用いてコールドピルガー圧延管を製造する装置では、少なくとも1つの外側から管に作用する変形加工工具に、少なくとも1つの位置調節装置が作用結合されており、位置調節装置は、測定装置に接続されているようにした。
【0009】
本発明の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0010】
好ましい態様において、位置調節装置は、制御ユニットを介して測定装置に接続されている。
【0011】
好ましい態様において、制御ユニットは、調節パラメータ及び/又は運転パラメータのためのデータ記憶装置に接続されている。
【0012】
好ましい態様において、変形加工工程中、所定の値又は公差範囲からの壁厚さの偏差が確認可能である。
【0013】
好ましい態様において、測定装置は、レーザ測定装置である。
【0014】
好ましい態様において、外側から管に作用する変形加工工具は、変形加工工具と管との間の圧延間隙を調節可能かつ好ましくは固定可能な少なくとも1つの位置調節装置に支承されている。
【0015】
好ましい態様において、位置調節装置は、電気式に調節可能な調節ウェッジを備える。
【0016】
好ましい態様において、位置調節装置は、液圧式に調節可能な調節ウェッジを備え、好ましくは、液圧流体のためのポンプが、圧延スタンドに配置されている。
【0017】
好ましい態様において、位置調節装置は、圧延間隙を調節かつ固定するための液圧シリンダを備える。
【0018】
好ましい態様において、位置調節装置は、少なくとも1つの調節可能な支持ロールを介して、少なくとも1つの外側から管に作用する変形加工工具、好ましくは、少なくとも1つのアウタロールに作用結合されている。
【0019】
好ましい態様において、測定データ及び場合によっては制御データの伝達がケーブル又はテレメトリーにより実施可能である。
【0020】
好ましい態様において、付加的に、圧延マンドレルは、調節可能に圧延機構に配置されている。
【0021】
好ましい態様において、圧延マンドレルも、測定装置及び場合によっては制御装置に接続されている。
【0022】
さらに上記課題を解決するために、本発明に係る、少なくとも1つのマンドレル受けに支承される圧延マンドレルと、少なくとも2つの外側から管に作用する変形加工工具、好ましくは少なくとも1つのアウタロールと、変形加工工程中、管の壁厚さを測定するための測定装置とを備える圧延機構を用いてコールドピルガー圧延管を製造する方法では、外側から管に作用する変形加工工具、好ましくは少なくとも1つのアウタロールのための少なくとも1つの位置調節装置を測定装置に接続しておき、測定装置が、所定の値又は公差範囲からの壁厚さの偏差を確認すると、変形加工工具の位置調節を行うようにした。
【0023】
本発明の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0024】
好ましい態様において、測定装置及び位置調節装置に制御装置を接続する。
【0025】
好ましい態様において、外側から管に作用する変形加工工具の位置調節を変形加工工程中に実施する。
【0026】
好ましい態様において、管直径のレーザ測定を実施する。
【0027】
好ましい態様において、外径を管の全周にわたって測定する。
【0028】
好ましい態様において、少なくとも1回の測定、好ましくは少なくとも5回の測定を、送り毎にかつ/又は圧延機構内での管の長手方向軸線周りの部分回動毎に実施する。
【0029】
好ましい態様において、所定の値又は公差範囲からの壁厚さの偏差を解消するために、付加的に、圧延マンドレルを調節する。
【0030】
本発明によれば、少なくとも1つの外側から管に作用する変形加工工具に、少なくとも1つの位置調節装置が作用結合されており、位置調節装置は、他方、測定装置に接続されている。接続は、好ましくは、位置調節装置と測定装置との間での制御ユニットの介在により実施される。この制御ユニットは、特に好ましくは、調節パラメータ及び/又は運転パラメータのためのデータ記憶装置に接続されている。
【0031】
これにより、本発明により、変形加工の結果及び場合によっては発生するエラーを好ましくはほぼ遅れなしに検出し、かつ好ましくは、まだ変形加工プロセスの進行中に適当な修正対策を講じることが可能な、コールドピルガー圧延管を製造するためのオンライン可能な装置が提供される。
【0032】
その際、進行中の変形加工プロセスが永続的に監視可能なだけではなく、むしろ、場合によっては講じられる修正及び調節のための対策をほぼ即時に追跡あるいは監視し、かつ評価することができ、これにより、場合によっては必要な後修正を導入かつ実施する可能性も生じる。
【0033】
位置調節装置は、このために、少なくとも1つの外側から管に作用する変形加工工具、好ましくは少なくとも1つのアウタロールに接続されており、これにより、圧延間隙の調節を所望の形式で、好ましくは測定装置にオンラインで実施し、調整することが可能である。
【0034】
本発明の好ましい態様では、変形加工工程中、所定の値又は公差範囲からの管外径の偏差が確認される。偏差は、特に好ましくは、測定データを、制御ユニット内、特に制御ユニットの記憶装置内に格納された設定値及び比較データと照合して確認される。これにより、自動化されて、要求される公差の順守を全周方向工程にわたって監視し、好ましくは適当な対策の導入をも保証する装置が提供される。
【0035】
好ましくは、測定装置は、光学式の測定システム、例えばレーザ測定装置である。光学式の測定システムにより、コールドピルガー圧延管の外径の非破壊式の信頼性の高いオンライン測定が、特に簡単に制御可能な手段を用いて、かつ特に正確な測定結果を実現しつつ、可能である。
【0036】
通常、外径は、管の固定の位置でのみ測定されるものではない。むしろ、コールドピルガー圧延プロセスは、管を長手方向軸線周りに規則的に回転させる。これにより、専ら、測定装置の好ましくは固定の配置と、この測定装置を通して実施される、この測定装置に対する管の相対運動とにより、変形加工された管の全周にわたる測定の走査が実施可能である。その上、1回の測定が管の所定の場所で実施されるだけでなく、多数の測定が、例えば所定の周波数を保って、変形加工プロセス全体にわたって実施されると、有利である。これにより、検出された測定データを求めることにより、場合によっては起こり得る測定エラーの影響を、簡単な手段で最小化することもできる。
【0037】
本発明の有利な態様では、外側から管に作用する変形加工工具が、圧延間隙を調節可能であり、かつ好ましくはこの位置での固定も可能な、少なくとも1つの調節装置に支承されている。これにより、装置の後調整可能性及び圧延間隙の後調整は、好ましくは自動的に、かつ変形加工工程中に確実に保証される。
【0038】
本発明の第1の選択的な態様では、調節装置が、電気式に調節可能な調節ウェッジを有していてよい。調節ウェッジを介して、好ましくは無段階に、良好に制御可能かつ準備可能な手段を用いて、圧延間隙をあらゆる適当な形状及び厚さに調節可能である。
【0039】
本発明の第2の選択的な、やはり好ましい態様では、調節装置が、液圧式に調節可能な調節ウェッジを備え、好ましくは、液圧流体を提供するために、流体のためのポンプが、圧延スタンド自体に配置されている。これにより、やはり、単純な、かつ簡単に制御可能な手段を用いた圧延間隙の無段階の調節が提供される。これに加えて、圧延スタンド自体へのポンプの好ましい配置は、構造形態のコンパクト性を促進し、液圧流体管路の長さを必要最低限の寸法に減じる。
【0040】
本発明の第3の選択的な、やはり好ましい態様では、圧延間隙の調節及び固定が、単数又は複数の液圧シリンダにより実施される。本発明のこの好ましい態様でも、単純な、かつ簡単に制御可能な手段を用いた圧延間隙の無段階の調節が、保証可能である。
【0041】
本発明の第4の選択的な、やはり好ましい態様では、圧延間隙の調節が、しかし、外側から管に作用する変形加工工具のための少なくとも1つの支持ロールの調節を介して実施される。これにより、外側から作用する変形加工工具、好ましくは少なくとも1つのアウタロール自体が、調節されなければならず、これにより調節装置に接続されている事態は、回避される。むしろ、調節装置は、支持ロールに接続可能であり、これにより、間接的に圧延間隙の調節が、やはり単純な、かつ確実に制御可能な手段を用いて保証可能である。
【0042】
その上、これとの関連で、測定データ及び場合によっては制御データの、単数又は複数の調節装置への伝達がケーブルを介して実施されると有利である。択一的な、やはり有利な態様では、伝達が遠隔測定によるものであってもよい。これにより、ケーブルの量、及びケーブルのために必要な構成スペースを最小化することができる。測定データ及び場合によっては制御データの遠隔測定方式の伝達の場合、ケーブルのカプセルや、変形加工プロセス自体の影響からケーブルを保護する手段も、もはや不要である。
【0043】
本発明により、少なくとも1つの外側から管に作用する変形加工工具が調節可能であるだけでなく、付加的に圧延マンドレルが調節可能に圧延機構に配置されていると、有利である。このために、圧延マンドレルは、好ましくは、やはり、測定装置及び場合によっては制御装置に接続されている。これにより、変形加工工程に関与するすべての工具が、その位置に関して、互いに適当に調節可能であることが保証され、これにより、最良の変形加工結果を達成することが可能である。所定量からの管の壁厚さ及び/又は外径の偏差に反応できるようにする、装置のフレキシビリティは、本発明のこの有利な態様により有利に高められる。
【0044】
本発明の第2の観点によれば、少なくとも1つのマンドレル受けに支承される圧延マンドレルと、少なくとも2つの外側から管に作用する変形加工工具、好ましくはアウタロールと、変形加工工程中、管の壁厚さを測定するための測定装置とを備える圧延機構を用いてコールドピルガー圧延管を製造する方法が提供される。本発明では、外側から管に作用する変形加工工具のための少なくとも1つの位置調節装置が、位置調節装置に接続された測定装置が所定の値又は公差範囲からの変形加工された管の外径の偏差を確認すると、常に、位置調節を行う。
【0045】
好ましくは、位置調節装置は、測定装置だけでなく、制御装置にも、本発明に係る方法を実施するために接続されている。
【0046】
本発明に係る方法により達成可能な利点及び奏し得る作用効果は、冒頭で本発明の第1の観点に関して既述したものに相当する。
【0047】
本発明に係る方法は、変形加工された管の外径の好ましくは全自動の検出を可能にし、場合によっては求められた偏差を適当にアウタロール間の圧延間隙の後調整により修正する。
【0048】
この関連において、外径を管の全周及び全長にわたって測定すると有利である。このために、少なくとも1つの測定装置、好ましくはまさに1つの固定の測定装置が、装置内に設けられている。変形加工工程中、送り毎に、管の長手方向軸線周りの部分回動が圧延機構内で実施されるという事実は、固定の測定装置によって、変形加工された管の全周の走査を可能にする。このことは、加えて、特に単純な手段により実施され、それにもかかわらず、管全体の外径についての信頼性の高い測定結果を生じる。
【0049】
最後に、本発明に係る方法の実施時、アウタロールだけでなく、所定の値及び公差範囲からの壁厚さの偏差を解消するために、調節可能に配置された圧延マンドレルを調節すると有利である。これにより、あらゆる形態の、かつあらゆる場所の偏差に、最も有効な手段を用いて対処することができるように、本発明に係る装置及び方法のフレキシビリティを、特に有利に高めることができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、コールドピルガー圧延時に、変形加工工程中に得られた測定データに基づいて、少なくとも1つの変形加工工具の位置調節が可能となる。以下に、本発明について14の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態における圧延スタンドの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る装置の一部の概略図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における圧延スタンドの概略図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における圧延スタンドの概略図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る装置の一部の概略図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態における圧延スタンドの概略図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態における圧延スタンドの概略図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態における圧延スタンドの概略図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態における圧延スタンドの概略側面図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態における圧延スタンドの概略側面図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態における圧延スタンドの概略側面図である。
【図12】本発明の第10の実施の形態における圧延スタンドの概略側面図である。
【図13】本発明の第11の実施の形態における圧延スタンドの概略側面図である。
【図14】本発明の第12の実施の形態における圧延スタンドの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、本発明の第1の実施の形態における、管をコールドピルガー圧延するための変形加工工具としての圧延スタンドあるいはロールスタンド4の概略図である。圧延スタンド4内には、上側のアウタロール4aと下側のアウタロール4bとが、両者間に(図示しない)圧延マンドレルを通し案内して(図示しない)管を所定の横断面積及び壁厚さにストレッチレデュースするための圧延間隙あるいはロール間隙Sが形成されるように配置されている。上側のアウタロール4aは、クランプウェッジあるいはくさび状締付け体7aを介して、上下に可動に調節されて、圧延間隙Sの寸法を適当に調節可能である。クランプウェッジ7aの調節は、他方、クランプウェッジ7aと作用結合されたスピンドル14の回転運動を介して実施される。スピンドル14は、スタンドフレーム4全体とクランプウェッジ7aとを貫通して延びている。スピンドル14の回転は、クランプウェッジ7aを左右に運動させ、アウタロール4aのための組み付け部材に直接結合されているクランプウェッジあるいはくさび状締付け体7bの相補的な斜面に対してクランプウェッジ7aの斜面を滑動させる。
【0053】
図2は、図1に示した実施の形態における圧延スタンド4を、上側の作業ロール4aと下側の作業ロール4bとの間の貫通する管8とともに示している。使用されるコールドピルガー圧延法においてやはり使用される圧延マンドレルは、図面を簡略化するために図示していない。管8は、図中、左から右に、上側のロール4aと下側のロール4bとの間の圧延間隙Sを通過して、変形加工の実施後、測定装置5に進入する。測定装置5において、管8の外径が測定される。測定装置5が出力した測定データは、制御装置6に入力される。制御装置6は、場合によっては、適当な運転データへのアクセス後、矢印15方向での上側の作業ロール4aの運動を介した圧延間隙Sの調節のための制御命令を発する。
【0054】
図3は、本発明の第2の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。上側のロール4aのための調節ウェッジ7aは、電気式又は液圧式のモータ16,17により可動である。結果的に、所望の形式で圧延間隙Sの調節が実現可能である。
【0055】
図4は、本発明の第3の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。本第3の実施の形態において、図1乃至3に示した第1及び第2の実施の形態とは異なり、調節ウェッジ7aの側方運動は、液圧シリンダ18,19を介して行われる。この場合も、クランプウェッジ7aの、水平方向での側方運動は、上側の作業ロール4aの鉛直運動を生じさせ、ひいては所望の形式で圧延間隙Sを調節する。
【0056】
図5は、図4に示した圧延スタンド4の実施の形態の変化態様を示している。他方においてポンプモータ21により駆動されるポンプ20は、液圧シリンダ18,19へのオイル流を制御する。好ましくは、ポンプ20及びモータ21は、圧延スタンド4に固結されており、これにより、すべての補機を含む圧延スタンド4の構成スペースは、必要最小限に制限される。
【0057】
図6は、本発明の第4の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。液圧シリンダ22は、直接、かつクランプウェッジ等の使用なしに、上側の作業ロール4aを支持するとともに、圧延間隙Sを所望の形式で調節するための機構として機能する。液圧シリンダ22内でのピストンの高さ調節は、外部ソースから液圧流体が圧力P下で供給されることにより実施される。
【0058】
図7は、本発明の第5の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。上側の作業ロール4aの高さ調節を介した圧延間隙Sの調節は、本第5の実施の形態では、上側の作業ロール4aを支持するための機構として役立つスピンドル23を介して実施される。スピンドル23は、他方、モータ24により駆動され、これにより、作業ロール4aの高さを介した圧延間隙Sの無段階の調節だけでなく、所望の位置での上側の作業ロール4aの固定も生じる。
【0059】
図8は、本発明の第6の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図であり、アクチュエータ自体へのエネルギ供給に係る。これにより、本第6の実施の形態が適当に図1乃至7に記載の実施の形態と組み合わされてもよいことは自明である。圧延スタンド4へのエネルギ供給は、外部ソース25を介して、圧延スタンド4に固結された接続部26へと実施される。この接続部26から、エネルギは、上側のアウタロール4aのための(図示しない)アクチュエータに提供される。
【0060】
図9は、本発明の第7の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図であり、図8と同様、圧延スタンド4への、かつ圧延スタンド4の、上側ロール4aのための(図示しない)アクチュエータへの、電気的なエネルギ供給の態様に係る。これにより、本発明の本第7の実施の形態も、適当に、図1乃至7に示した実施の形態と組み合わせ可能である。電気的なエネルギ供給は、図9に示した形態では、誘導式に実施される。電気的な導体27と、圧延スタンド4に結合されている集電器28とは、導体27と接触することなく集電器28内に電圧が誘導されるように、互いに作用結合されている。この電圧は、圧延間隙を適当に調節するための上側のアウタロール4aのための(図示しない)アクチュエータの給電に十分である。
【0061】
図10は、本発明の第8の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。本第8の実施の形態も、圧延スタンド4への、特に圧延スタンド4の、上側のアウタロール4aのための(図示しない)アクチュエータへのエネルギ供給に係る。これにより、本第8の実施の形態も、適当に、図1乃至7に示した実施の形態と組み合わせ可能である。圧延スタンド4へのエネルギ供給は、本第8の実施の形態においては、液圧式に浸管(Tauchrohr)29を介して実施される。浸管29には、外部から、圧力P下にある液圧流体が供給される。浸管29は、その上面に2つの孔を有している。これらの孔を介して液圧流体は、浸管29に沿って滑動可能に支承された流体リザーバ30に流入可能である。この流体リザーバ30は、圧延スタンド4に固結されており、下面に開口30aを有している。開口30aを介して、圧力P下にある液圧流体は、上側のアウタロール4aのための(図示しない)アクチュエータに供給可能である。
【0062】
図11は、本発明の第9の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。本第9の実施の形態も、圧延スタンド4への、特に圧延スタンド4の上側のアウタロール4aの(図示しない)アクチュエータへのエネルギ供給に係る。これにより、本第9の実施の形態も、必要に応じて、本発明の、図1乃至7に示した実施の形態と組み合わせ可能である。エネルギ供給は、図11に概略的に示した形式で電気式かつ/又は液圧式に実施される。電気式のエネルギ供給及び液圧式のエネルギ供給のために、エネルギ源31及び/又は圧力アキュムレータ32が、圧延スタンド4に固結されている。
【0063】
図12は、本発明の第10の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。本第10の実施の形態は、(図示しない)測定装置及び/又は(図示しない)制御装置から圧延スタンド4の(図示しない)アクチュエータへの、特に上側のアウタロール4aのアクチュエータへの制御データ及び測定データの伝達に係る。これにより、本第10の実施の形態が、適当に、図1乃至11に示した本発明の実施の形態と組み合わせ可能であることは、自明である。ここで説明する制御データ及び測定データの伝達は、ケーブル又はテレメトリー(遠隔測定)により実施される。本発明の有利な第10の実施の形態では、データは、(図示しない)測定装置及び/又は(図示しない)制御装置から、送信器33を介して、圧延スタンド4に結合された受信器34に遠隔測定方式で非接触式に伝達される。
【0064】
図13は、本発明の第11の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。これまで示した実施の形態とは異なり、圧延スタンド4は、それぞれ移動可能に配置されたアウタロール4a,4bのペアを有している。アウタロール4a,4bは、それぞれ、支持ロール35a,35bにより圧延スタンド4内に支持されている。これらの支持ロール35a,35bは、他方、高さ及び/又は傾きを調節可能に圧延スタンド4内に配置された支持ビーム36a,36b上を走行する。支持ビーム36a,36bの適当な高さ及び/又は傾きの調節により、上側のアウタロール4aと下側のアウタロール4bとの間の圧延間隙Sの調節も実施可能である。特に、側方に支持ビーム36a,36bの長手方向に沿って移動可能に配置された圧延スタンド4の場合、これにより、支持ビーム36a,36bの適当な配向時、支持ビーム36a,36bに沿った支持ロール35a,35bの転動と、圧延間隙Sの一定の調節又は場所により可変の調節とが、支持ビーム36a,36bに沿った圧延スタンド4の配置次第で調節可能である。図13に示した第11の実施の形態が、適当に、図1乃至12に示した特徴と組み合わされてもよいことは、当業者であれば自明である。
【0065】
図14は、本発明の第12の実施の形態における圧延スタンド4の概略側面図である。この解決手段においては、圧延スタンド4と連動する歯車あるいは歯車対37が、定置の軸38上を滑動する。これにより、圧延間隙Sの変更は、定置のモータ39から調節ウェッジ7aに伝達可能である。調節ウェッジ7aは、スピンドル40を介して歯車対37に作用結合されている。
【符号の説明】
【0066】
4 圧延スタンド、 4a,4b アウタロール、 5 測定装置、 6 制御装置、 7a,7b クランプウェッジ、 8 管、 14 スピンドル、 15 アウタロール4aの運動方向を示す矢印、 16,17 モータ、 18,19 液圧シリンダ、 20 ポンプ、 21 ポンプモータ、 22 液圧シリンダ、 23 スピンドル、 24 モータ、 25 外部ソース、 26 接続部、 27 導体、 28 集電器、 29 浸管、 30 流体リザーバ、 30a 開口、 31 エネルギ源、 32 圧力アキュムレータ、 33 送信器、 34 受信器、 35a,35b 支持ロール、 36a,36b 支持ビーム、 37 歯車対、 38 軸、 39 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマンドレル受けに支承される圧延マンドレル(2)と、少なくとも2つの外側から管(8)に作用する変形加工工具(4)、好ましくは少なくとも1つのアウタロール(4a,4b)と、変形加工工程中、前記管(8)の外径を測定するための測定装置(5)とを備える圧延機構を用いてコールドピルガー圧延管を製造する装置(1)であって、
少なくとも1つの外側から管(8)に作用する変形加工工具(4)に、少なくとも1つの位置調節装置(7)が作用結合されており、該位置調節装置(7)は、前記測定装置(5)に接続されていることを特徴とする、コールドピルガー圧延管を製造する装置。
【請求項2】
前記位置調節装置(7)は、制御ユニット(6)を介して前記測定装置(5)に接続されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(6)は、調節パラメータ及び/又は運転パラメータのためのデータ記憶装置に接続されている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
好ましくは、変形加工工程中、所定の値又は公差範囲からの壁厚さの偏差が確認可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記測定装置(5)は、レーザ測定装置である、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記外側から管(8)に作用する変形加工工具(4)は、該変形加工工具(4)と前記管(8)との間の圧延間隙(S)を調節可能かつ好ましくは固定可能な少なくとも1つの位置調節装置(7)に支承されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記位置調節装置(7)は、電気式に調節可能な調節ウェッジ(7a,7b)を備える、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記位置調節装置(7)は、液圧式に調節可能な調節ウェッジ(7a,7b)を備え、好ましくは、液圧流体のためのポンプ(20)が、圧延スタンドに配置されている、請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記位置調節装置(7)は、前記圧延間隙(S)を調節かつ固定するための液圧シリンダ(22)を備える、請求項6記載の装置。
【請求項10】
前記位置調節装置(7)は、少なくとも1つの調節可能な支持ロール(35a,35b)を介して、前記少なくとも1つの外側から管(8)に作用する変形加工工具(4)、好ましくは、少なくとも1つのアウタロール(4a,4b)に作用結合されている、請求項6記載の装置。
【請求項11】
測定データ及び場合によっては制御データの伝達が、ケーブル又はテレメトリーにより実施可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
付加的に、前記圧延マンドレル(2)は、調節可能に前記圧延機構に配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記圧延マンドレル(2)も、前記測定装置(5)及び場合によっては前記制御装置(6)に接続されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つのマンドレル受けに支承される圧延マンドレル(2)と、少なくとも2つの外側から管(8)に作用する変形加工工具(4)、好ましくは少なくとも1つのアウタロール(4a,4b)と、変形加工工程中、前記管(8)の壁厚さを測定するための測定装置(5)とを備える圧延機構を用いてコールドピルガー圧延管を製造する方法であって、
前記外側から管(8)に作用する変形加工工具(4)、好ましくは前記少なくとも1つのアウタロール(4a,4b)のための少なくとも1つの位置調節装置(7)を前記測定装置(5)に接続しておき、該測定装置(5)が、所定の値又は公差範囲からの壁厚さの偏差を確認すると、前記変形加工工具(4)の位置調節を行うことを特徴とする、コールドピルガー圧延管を製造する方法。
【請求項15】
前記測定装置(5)及び前記位置調節装置(7)に制御装置(6)を接続する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記外側から管(8)に作用する変形加工工具(4)の位置調節を変形加工工程中に実施する、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
管直径のレーザ測定を実施する、請求項14から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
外径を前記管(8)の全周にわたって測定する、請求項14から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1回の測定、好ましくは少なくとも5回の測定を、送り毎にかつ/又は前記圧延機構内での前記管(8)の長手方向軸線周りの部分回動毎に実施する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
所定の値又は公差範囲からの壁厚さの偏差を解消するために、付加的に、前記圧延マンドレル(2)を調節する、請求項14から19までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−39620(P2013−39620A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180749(P2012−180749)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【出願人】(502056226)エスエムエス メーア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】SMS Meer GmbH
【住所又は居所原語表記】Ohlerkirchweg 66, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】