説明

ゴム押出機及び押出方法

【課題】リボン状ゴム内のエアを低減する。
【解決手段】リボン状ゴムの材料となるフィードゴムを押出製造する押出機20であって、一端側にゴムの荒生地40を投入するための投入口24と、他端側に製品ゴムの吐出部となるスクリューヘッド部26を有し、投入された前記荒生地を移送する多段に構成されたスクリュー部と、該スクリュー部を収容するケーシング22とを備えたゴム押出機において、前記スクリュー部間におけるケーシング22に、スクリューで混練・移送中の荒生地40から放出されるエアを排気するためのベント手段28を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタイヤ構成部材に用いるリボンゴム及びフィードゴムの押出機及び押出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ、特に建設車両のタイヤなどの大型又は超大型のタイヤを製造する場合、ゴム押出機で押し出したリボン状ゴムを、一部を重ね合わせながら螺旋状にグリーン・カーカス上に巻き付けてタイヤのトレッドを成型している(特許文献1参照)。このようなタイヤのトレッド成型法(リボン製法という)において、積層するリボン間にエア(空気)が入ると、このエアがタイヤ破壊の核となるため、リボンを張り付ける際のローラヘッド圧を上げたり、積層時におけるローラヘッドの張り付け角度を張り付け面に対して垂直にしたり、或いは、リボンの表面に幅方向又は幅方向にある程度の角度を付した溝を設け、エアを誘導して外部へ排気する等の対策が講じられてきている(特許文献2参照)。
【0003】
ところで、リボン製法で生産したタイヤの故障原因を解析したところ、その原因は(1)上記のリボン層間エアによるタイヤ破壊以外に、(2)リボン層内エアによる破壊があることが分かった。
つまり、現在広く用いられているリボン製法では、タイヤ部材の形状を出すために、口金から押し出されたリボン状ゴムを引っ張って張力を掛けて薄くして成型する手法を用いているが、この場合、リボンにエアが混入していると、引っ張られて細長くなったリボン状ゴムが千切れ易くなり、かつタイヤの中にエアがそのまま残りそれが破壊の核となり、壊れ易くなるという上記リボン製法特有の問題があることが分かった。
【0004】
このリボン状ゴム内にエアが混入する問題については、現在、以下の原因が考えられている。
即ち、(1)フィードゴム内のエア抜き不足による場合
これは、フィードゴム内のエアがスクリューで抜けきれず、リボン状ゴムに混入することによる。
(2)スクリューヘッドの圧力不足による場合
これはフィードゴムを移送するギヤポンプの吐出量がスクリューの吐出量よりも多く、そのためにスクリューヘッド圧が低くなることによる。
【0005】
【特許文献1】特開平 7− 251466号公報
【特許文献2】特開2000−289122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、リボン状ゴム層内へのエア入りを防止できる押出機及び押出方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明はゴム押出機であって、一端側にゴムの荒生地を投入するための投入口と、他端側に製品ゴムの吐出口を有し、投入された前記荒生地を混練・移送する多段に構成された移送手段と、該移送手段を収容するケーシングとを備えたゴム押出機であって、前記移送手段間におけるケーシングに、混練・移送中の前記荒生地から放出されるエアを排気するためのベント手段を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明はゴム押出機であって、一端側にゴムの荒生地を投入するための投入口と、他端側に製品ゴムの吐出口を有し、投入された前記荒生地を混練・移送する移送手段と、該移送手段を収容するケーシングとを備えたゴム押出機であって、前記移送手段間におけるケーシングから当該ケーシング内で混練移送中の前記荒生地内に達するピン手段を有し、該ピン手段が移送中のゴム材の移送を妨げてエアの放出を促すことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載されたゴム押出機において、前記移送手段はスクリューであり、かつ製品ゴムはフィードゴムであることを特徴とする。
請求項4の発明はゴムの押出方法であって、ゴムの荒生地をゴム押出機に投入する工程、投入されたゴム荒生地を押し出してフィードゴムを製造する工程を有するゴムの押出方法において、前記ゴムの荒生地を、ゴム押出機に投入する前に加熱する工程を有することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載されたゴムの押出方法において、前記ゴムの荒生地を加熱する温度は、50〜100℃であることを特徴とする。
請求項6の発明は、導入されたフィードゴムを移送する工程と、移送されたフィードゴムを加圧して押出成型する工程と、を有するフィードゴムを押出成型するリボン状ゴムの押出方法であって、移送手段のヘッド側に6〜10MPaの圧力を印加しつつフィードゴムを移送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リボン状ゴムへのエア入りを防止できるため、エアによるタイヤ破壊を防止し、タイヤの耐久性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、例えば、グリーン・カーカス又は台タイヤの上に螺旋状に巻回してタイヤトレッドを形成するリボン状ゴムを製造するための第1の実施形態のフィードゴム押出機と、リボン状ゴム押出機とからなるからなる、リボンゴム成型機構10を概略的に示す図である。
本実施形態のリボンゴム成型機構10は、後述するベントを備えたベント付きのフィードゴム用の第1のスクリュー式押出機(「ベント付き押出機」という)20(1)と、ベント付き押出機20(1)で製造されたフィードゴムからリボン状ゴムRbを押出成形する第2のスクリュー式押出機30とからなっている。
【0010】
ベント付き押出機20(1)は、図2に示すように、それぞれ投入されたゴム荒生地40の移送手段であるスクリューを内部に備えた複数段、ここでは2段、即ち第1及び第2段のスクリュー部20a、20bを備えている。
【0011】
第1段及び第2段のスクリュー部20a、20bを収容したケーシング22の図示右端側には、上記荒生地40を投入するためのホッパー24が設けられており、ケーシング22のホッパー24の反対側には混練されたフィードゴムFGを排出する吐出部となるスクリューヘッド部26が設けられている。
第1段のスクリュー部20aと第2段のスクリュー部20bとの間には、第1段のスクリュー部20aからフィードゴムを吐出し、第2段のスクリュー部20bが吐出されたフィードゴムを導入して、さらにそのスクリューヘッド部26まで移送するための中継部Rが設けられている。
【0012】
また、上記中継部Rにはベント28が設けられている。このベント28はケーシング22の周面を貫通する孔として形成されており、ホッパー24から投入された荒生地40は第1のスクリュー部20aで混練されながら上記中継部Rに送り込まれる。その際フィードゴムFGから蒸発した水分やエアは、この中継部Rのケーシング22に設けられたベント28により外部に排出される。
ここで、ベント28部分におけるフィードゴムFGの圧力が大気圧よりも高いと、フィードゴムFGがベント28内に侵入してベントを閉塞するため、ここでは、フィードゴムFGの大気圧との圧力差をゼロに保つために、第2スクリュー部20bの移送能力を第1スクリュー20a部のそれよりも高く設定している。
このように構成することにより、スクリューにより混練されつつ移送されるフィードゴムFG内部から放出されるエアや水蒸気は、上記ベント28から外部に排出されて、フィードゴムFG内のエアを低減することができる。
【0013】
リボン状ゴム用のスクリュー押出機30は図示しないスクリューを収容するケーシング31と、フィードゴム用のベント付き押出機20(1)で製造されたフィードゴムFGを受け入れるためのホッパー32と、内部に図示しないギヤポンプを収容したヘッド部33とからなり、ヘッド部33にはリボン状ゴムを押出成型するためのダイス34が一体に取り付けられている。
【0014】
以上の構成において、リボン状ゴム成型のための荒生地を第1のスクリュー式押出機、即ちフィードゴム用押し出し機20(1)のホッパー24から投入する。投入された荒生地は、フィードゴム用のスクリュー式押出機20(1)で混練されながら吐出部であるスクリューヘッド部26に向かって移送される。この移送混練中にゴムから水蒸気や製造過程で取り込まれたエアが放出されるが、既に述べたように、これらは上記ベント28を通して外部へ放出される。
【0015】
このように、荒生地はその中に取り込まれた水分とエアを排出しつつスクリューヘッド部26からフィードゴムFGとして吐出され、リボン状ゴム用のスクリュー式押出機30のケーシング31に設けたホッパー32から機内に導入される。
導入されたフィードゴムFGは、上記スクリュー式押出機30の移送手段であるスクリューで移送されて、ヘッド部33に内蔵されたギヤポンプによりヘッド部33と一体に取り付けられたダイス部34からリボン状ゴムRbとして成型されて押し出され、例えば、グリーン・カーカス上に螺旋状に巻回される。
【0016】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、フィードゴム用の押出機が第1の実施形態のものではベント付きタイプであったのに対し、ピン付きタイプで構成される点を除き同様の構成を備えている。
したがって、ここではこのピン付き押出機20(2)についてのみ説明する。
【0017】
図3Aは、ピン付き押出機20(2)の一部を断面で示した側面図であり、図3Bはその一部を拡大して示した断面図である。
ピンタ付き(スクリュー)押出機20(2)は、ケーシング22に設けた貫通孔からケーシングの中心に向かって開けた穴22aにピン22bが差し込まれている。ピン22bのケーシング22内への突出長さは固定或いは調節自在であり、その先端はスクリュー軸23の近傍まで延びている。図3Bに示すように、スクリュー軸23に設けた螺旋翼25の翼板25aには、上記ピン22bに対応してその一部に切り欠25bが設けられており、スクリュー軸23の回動時にピン22bがその翼板25aと交差できるよう、即ちピン22bがその切欠部25bを通り抜けできるようになっている。
【0018】
このピン22bは、流動するゴム内に侵入して流れ止め作用を呈する。ピン22bのこの流れ止め作用により、ゴムに練り作用を加えると共に内部圧力を高めることができるため、ゴム内のエアを発散させて内部エアを低減させると共に、エアの気泡を細分化することができる。
【0019】
以上、フィードゴムのエアを抜く手段及び方法について説明したが、他の実施形態として、フィードゴムのエアを抜き易くするために荒生地を予め加熱しておく方法がある。
次にこの方法について説明する。
即ち、荒生地を予め50〜100°Cに加熱しておく、荒生地を加熱しておくことにより、水分を飛ばすほか、その粘着性を低減させ流動性を高め、フィードゴム製造工程においてスクリューで混練・移送される際に内部に取り込まれたエアを放出しやすくすることができる。
ここで、加熱温度が50°C未満であるとフィードゴム用押出機20(1)又は20(2)のスクリューで移送するゴムの流動性が不足して移送中ゴムの圧力が下がり、ゴム内のエア等の放出が十分行われず、また100℃を越える温度で長時間加熱すると、ゴムが加硫されて物性が悪化する恐れがある。そのため荒生地は50〜100℃に加熱するのが好ましい。荒生地の加熱は、例えば、上記温度の温室に保管しておくことで容易に行うことができる。
【0020】
以上説明した各実施形態を実施することによりフィードゴム内のエアホールを低減させることができる。しかしながら、このようにエア抜きをしても、フィードゴムFGを第2の押出機、即ちリボン状ゴム押出機30に導入する際に、そのスクリューがフィードゴムFGを噛み込むと共にその周囲のエアも同時に噛み込み、そのエアがスクリューで移送される間にフィードゴムFG内に取り込まれる。
ところが、従来のリボン状ゴム押出機30は、内部に導入されるフィードゴムFGが滞留しないように、上記ヘッド部33に内蔵されたギヤポンプのゴムの吐出量は、ホッパー32から導入されるフィードゴムFGの導入量よりも多くなるように設定されているため、押出機30のスクリューのヘッド側の圧力は、通常約1〜2MPa程度と低く、内部へ取り込まれたエアを排出することができない。
【0021】
そこで、第4の実施形態では、このエアを除去するため、スクリューヘッド圧を昇圧しておくことで、フィードゴムFGが持ち込んだエアが上記ホッパー32から外部に排出できるようにしている。
この目的のため、本実施形態では、リボン状ゴム押出機30の上記ギヤポンプの吐出量を、第2段のスクリュー押出機20bのそれよりも低くするように設定している。これによってリボン状ゴム押出機30のスクリューヘッド圧(図1のHで示した部分の圧力)が上昇して、フィードゴムFGが持ち込んだエアをスクリュー外部へ排出することができる。
この圧力は例えば、6MPaに満たないと空気抜きが十分でなく、10MPaを越えると装置を損傷する恐れがあることから、6〜10MPaが望ましい。
【0022】
次に、上記各実施形態の効果を、本発明に係るエア抜き機能を持たない従来品(現行品)と対比してそのエアの残留状態を比較した結果を示す。
比較は、フィードゴムFG又はリボン状ゴムRbの任意の面を長手方向に5mの長さで任意の位置で切ったサンプルの当該切断面上のエアホール(エア入り)の個数と、その大きさをカウントして対比して行った。
【0023】
図4Aは、荒生地の加熱(ここでは80°Cで1時間保管)のみを行って押出機に投入して得た実施品(フィードゴム:対策品という)と加熱を行わずに得た現行品(フィードゴム)とを対比して示した図であり、それぞれのフィードゴムFG内のエアホールの個数を縦軸に、またエアホールの大きさを横軸に並べて示した図である。
図4Aに示すように、現行品では0.5〜1mmのエアホールが5個、1〜2mmのエアホールが11個、2〜3mmのエアホールが5個、3mm以上が18個であった。これに対し、対策品では0.5〜1mmのエアホールが1個、3mm以上が5個であった。つまり、荒生地を加熱しただけで大小エアが共に大幅に減少していることが確認された。
【0024】
図4Bは、図4Aに関連して説明したそれぞれのフィードゴムを、ヘッド圧(リボン状ゴム押出圧力)を増大(約8MPa)したリボン状ゴム押出機に導入して得たリボン状ゴム内のエアホールの個数を縦軸に、またエアホールの大きさを横軸に並べて示した図である。
図4Bに示すように、現行品では0.5〜1mmのエアホールが6個、1〜2mmのエアホールが5個、2〜3mmのエアホールが2個、3mm以上が3個であった。これに対し、対策品では0.5〜1mmのエアホールが10個、1〜2mmのエアホールが2個、2〜3mmのエアホールが1個、3mm以上が1個であった。ここでは、荒生地加熱した場合、エアホールの大きさがリボン状ゴム押出機30の押出工程で大幅に小さくなることが確認された。
【0025】
図5Aは、ベント付き押出機を用いて形成した対策品(フィードゴム)と、ベント付きでない即ち従来の押出機を用いて形成した現行品(フィードゴム)とを対比して示した図であり、フィードゴムFG内のエアホールの個数を縦軸に、またエアホールの大きさを横軸に並べて示した図である。
図示のように、現行品では0.5〜1mmのエアホールが5個、1〜2mmのエアホールが11個、2〜3mmのエアホールが5個、3mm以上が18個であった。これに対し、対策品では0.5〜1mmのエアホールが3個、1〜2mmのエアホールが1個、2〜3mmのエアホール及び3mm以上のエアホールはいずれも0であった。ここではベント付き押出機を用いることでエアホールの大きさが小さくかつ大幅に減少したフィードゴムが製造できることが確認された。
【0026】
図5Bは、図5Aに関連して説明したベント付き押出機を用いて形成した対策品(フィードゴム)と現行品について、それぞれヘッド圧を増大(約8MPa)したリボン状ゴム押出機により成型したリボン状ゴムのエアホールを対比して示した図であり、リボン状ゴム内のエアホールの個数を縦軸に、またエアホールの大きさを横軸に並べて示した図である。
図示のように、現行品では0.5〜1mmのエアホールが6個、1〜2mmのエアホールが5個、2〜3mmのエアホールが2個、3mm以上が3個であった。これに対し、対策品では0.5〜1mmのエアホールが3個、1〜2mmのエアホールが1個、2〜3mm及び3mm以上のエアホールはいずれも0であった。ここでは、フィードゴムのエアをベントで抜いたためリボン状ゴムでもエアが減少したことが確認された。また、現行品のフィードゴムFGでも、ヘッド圧を増大(約8MPa)したリボン状ゴム押出機により成型することで、エアーホールが小さくなると共に大幅に減少することが確認された。
【0027】
図6は、荒生地(上記加熱処理しないもの)をピン付き押出機20(2)で形成した対策品(フィードゴム)と、ピン付きタイプではない従来の押出機を用いて形成した現行品(フィードゴム)とを対比して示した図であり、それぞれフィードゴムFG内のエアホールの個数を縦軸に、またエアホールの大きさを横軸にして示した図である。
現行品では、0.5〜1mmのエアホールが5個、1〜2mmのエアホールが11個、2〜3mmのエアホールが5個、3mm以上が18個であった。これに対し、対策品では図6Bに示すように、0.5〜1mmのエアホールが15個、1〜2mmのエアホールが10個、2〜3mmのエアホールが5個、3mm以上が10個であった。つまり、ピン付き押出機20(2)を用いることで、大きなエアホールが減少して小さくなっていることが確認された。
【0028】
図7は、従来のフィードゴム(つまり、上記加熱なしの荒生地をベント付押出機、ピン方式押出機でない従来の押出機で形成したフィードゴム)を用いてリボン押出圧力を約8MPaに昇圧した押出機30で形成した対策品(リボン状ゴム)と、リボン押出圧力を昇圧させない従来の押出機を用いて形成した現行品(リボン状ゴム)とを対比して示した図であり、それぞれリボン状ゴムRG内のエアホールの個数を縦軸に、またエアホールの大きさを横軸にして示した図である。
現行品では、0.5〜1mmのエアホールが6個、1〜2mmのエアホールが5個、2〜3mmのエアホールが8個、3mm以上が6個であった。これに対し、対策品では、0.5〜1mmのエアホールが6個、1〜2mmのエアホールが5個、2〜3mmのエアホールが2個、3mm以上が3個であったであった。つまり、押出機30のリボン押出圧力を昇圧するだけで、エアホールは小さくなり、とくに大きなエアホールの数が著しく減少することが確認された。
【0029】
以上、フィードゴム及びリボン状ゴム内のエアを低減させる装置及び方法について各実施形態を説明したが、上記以外の組み合わせで用いることができ、例えば、ベント付き押出機とピン付き押出機を組み合わせてもよい。また、例えば、第1の実施形態に用いる荒生地を予め50〜100°Cに加熱しておくことができ、これを第1の実施形態のベント付き押出機に導入して、得られたフィードゴムをさらにリボン状ゴム押出機に導入して、そのスクリューのヘッド圧を上述のように6〜10MPaに昇圧した状態でリボン状ゴムを押出成型することができる。それによって一層のエア抜き効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】リボン状ゴムを製造するための第1の実施形態のフィードゴム押出機とリボン状ゴム押出機からなるリボンゴム成型機構10を概略的に示す図である。
【図2】ベント付き押出機の拡大図である。
【図3】図3Aは、ピン付き押出機の一部を断面で示す図であり、図3Bはその一部を拡大して示す断面図である。
【図4】エアホールの個数と大きさについて、加熱しない荒生地を用いた現行品と加熱した荒生地を用いた対策品とを対比して示した図である。
【図5】エアホールの個数と大きさについて、従来の押出機による現行品とベント付き押出機による対策品とを対比して示した図である。
【図6】エアホールの個数と大きさについて、従来の押出機による現行品(フィードゴム)とピン付き押出機による対策品(フィードゴム)とを対比して示した図である。
【図7】エアホールの個数と大きさについて、従来のリボン状ゴム押出機による現行品(リボン状ゴム)と昇圧したリボン状ゴム押出機による対策品(リボン状ゴム)とを対比して示した図である。
【符号の説明】
【0031】
10・・・リボンゴム成型機構10、20・・・フィードゴム用ベント付き押出機、20a、20b・・・第1、第2段スクリュー部、22・・・ケーシング、24・・・ホッパ、26・・・スクリューヘッド部、30・・・リボン状ゴム押出機、31・・・ケーシング、32・・・ホッパー、33・・・ギヤポンプ、34・・・ダイス、40・・・荒生地、FG・・・フィードゴム、Rb・・・リボン状ゴム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側にゴムの荒生地を投入するための投入口と、他端側に製品ゴムの吐出口を有し、投入された前記荒生地を混練・移送する多段に構成された移送手段と、該移送手段を収容するケーシングとを備えたゴム押出機であって、
前記移送手段間におけるケーシングに、混練・移送中の前記荒生地から放出されるエアを排気するためのベント手段を備えたことを特徴とするゴム押出機。
【請求項2】
一端側にゴムの荒生地を投入するための投入口と、他端側に製品ゴムの吐出口を有し、投入された前記荒生地を混練・移送する移送手段と、該移送手段を収容するケーシングとを備えたゴム押出機であって、
前記移送手段間におけるケーシングから当該ケーシング内で混練移送中の前記荒生地内に達するピン手段を有し、
該ピン手段が移送中のゴム材の移送を妨げてエアの放出を促すことを特徴とするゴム押出機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたゴム押出機において、
前記移送手段はスクリューであり、かつ製品ゴムはフィードゴムであることを特徴とするゴム押出機。
【請求項4】
ゴムの荒生地をゴム押出機に投入する工程、投入されたゴム荒生地を押し出してフィードゴムを製造する工程を有するゴムの押出方法において、
前記ゴムの荒生地を、ゴム押出機に投入する前に加熱する工程を有することを特徴とするゴムの押出方法。
【請求項5】
請求項4に記載されたゴムの押出方法において、
前記ゴムの荒生地を加熱する温度は、50〜100℃であることを特徴とするゴムの押出方法。
【請求項6】
導入されたフィードゴムを移送する工程と、移送されたフィードゴムを加圧して押出成型する工程と、を有するフィードゴムを押出成型するリボン状ゴムの押出方法であって、
移送手段のヘッド側に6〜10MPaの圧力を印加しつつフィードゴムを移送することを特徴とするリボン状ゴムの押出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−230060(P2008−230060A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73397(P2007−73397)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】