説明

ゴム栓洗浄装置及びゴム栓洗浄方法

【課題】粗洗浄で洗浄水よりも比重の重い異物も軽い異物も除去でき、更には洗浄水の使用量を低減可能なゴム栓洗浄装置を提供する。
【解決手段】ゴム栓を粗洗浄槽(11)で粗洗浄した後、同ゴム栓を前記粗洗浄槽(11)から輸送管(4)を介して本洗浄槽(54)に輸送し、同本洗浄槽(54)内で洗浄、滅菌、乾燥等で処理するゴム栓洗浄装置(1)であって、前記輸送管(4)に配された少なくとも1つの切換バルブ及び/又は開閉バルブ(4a)と、前記洗浄水と同洗浄水よりも比重の軽い異物とを粗洗浄槽(11)からオーバーフローさせて排出する第1排出口(12)と、前記輸送管(4)から前記切換バルブ及び/又は開閉バルブ(4a)を介して分岐され、前記洗浄水と同洗浄水よりも比重の重い異物とを排出する第2排出口(14)と、前記粗洗浄槽(11)内に配され、前記洗浄水と前記比重の重い異物とが通過し、前記ゴム栓を塞き止め可能な下部塞き止め部(15)と、前記粗洗浄槽(11)の下部に配された前記洗浄水の取水口(36)と、を備えてなるゴム栓洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの製薬容器や輸血用容器のゴムの蓋、注射器のゴム部品などのゴム製の栓(以下、ゴム栓と記す)に洗浄、滅菌、乾燥、冷却等を行うゴム栓洗浄装置及びゴム栓洗浄方法に関し、特に、粗洗浄槽で粗洗浄を行った後、本洗浄槽で洗浄、滅菌、乾燥等の処理を行うゴム栓洗浄装置及びゴム栓洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製薬容器のゴムの蓋、輸血用容器のゴムの蓋、既に薬液が充填された注射器に用いられているゴム部品などの使用済みのゴム栓は、ゴム栓洗浄装置により洗浄、滅菌、乾燥、冷却等の処理が行われた後に再利用されている。このような処理を行うゴム栓洗浄装置においては、例えば処理を行う洗浄槽の大きさ等に応じて、一度に千個から十万個以上のゴム栓に洗浄等の処理が行われる。
【0003】
この種のゴム栓洗浄装置としては、ゴム栓に洗浄、滅菌、乾燥、冷却等の処理を行う洗浄槽がクリーンルーム内に設置されており、使用済みのゴム栓をクリーンルーム内で洗浄槽に直接投入して洗浄等を行うものが知られている。またその他に、クリーンルーム外に備えた前処理槽(粗洗浄槽)に使用済みのゴム栓を投入した後、クリーンルーム内の洗浄槽(本洗浄槽)側から吸引することにより、又は、前処理槽に高圧の空気を導入することにより、ゴム栓を本洗浄槽内に搬送し、同本洗浄槽内で洗浄等の処理を行うものも知られている。このような前処理槽が別途に設けられたゴム栓洗浄装置は、クリーンルーム内の清浄度の維持が求められている場合に多く用いられている。
【0004】
また一般に、本洗浄槽内でゴム栓に洗浄や滅菌等の処理を行う場合、蒸気(水蒸気)等を用いて洗浄や滅菌等が行われるため、比較的小さな異物、例えば大きさが25μm未満となる微小な異物は効果的に除去できるものの、大きさが25μm以上となる粗大な異物を除去することは難しかった。このため、従来から、ゴム栓を本洗浄槽に搬送する前に前処理槽にて簡単な粗洗浄を行なうことにより粗大な異物を除去し、その後、粗洗浄したゴム栓を本洗浄槽に搬送して洗浄や滅菌等の処理を行う方法が採用されていた。
【0005】
このようなゴム栓洗浄装置の一例が、例えば特開2002−263592号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1に開示されているゴム栓洗浄装置は、ゴム栓が投入されて、粗洗浄等の前処理を行なうことが可能な前処理槽と、前処理が施されたゴム栓に洗浄、殺菌、乾燥等を行なうことが可能な本洗浄槽と、前処理槽の底部と本洗浄槽とを接続してゴム栓の搬送路となる連通管とを備えており、また、前記前処理槽の上部側には、洗浄液等の液体を注入する注入口と、気体を導入する導入口とが設けられている。更に、前処理槽の底部に形成されている搬送口には、開閉可能な排出止め蓋が配されており、同排出止め蓋は、ゴム栓を前処理槽に投入するときには、ゴム栓が連通管内に入らないように閉まり、また、ゴム栓を前処理槽から本洗浄槽に搬送するときには、開くように設けられている。
【0006】
このような構成を有する特許文献1のゴム栓洗浄装置は、例えば、前記本洗浄槽がクリーンルーム内に、また、前記前処理槽がクリーンルーム外(例えば準クリーンルーム内)にそれぞれ設置されており、汚れたゴム栓をクリーンルーム外で前処理槽に投入し、同前処理槽内で純水による簡単な粗洗浄を行なって粗大異物を除去した後、連通管を介して本洗浄槽内に搬送して本洗浄、滅菌、乾燥等の処理が行われる。その後、本洗浄槽で洗浄等の処理が施されたゴム栓は、クリーンルーム内でコンテナ等に収容され、同コンテナ等を密閉した後に、次工程へ送られて作業が終了する。
【0007】
特に前記特許文献1のゴム栓洗浄装置では、前記粗洗浄を行なう場合に、前処理槽にゴム栓を投入した後、前処理槽の注入口から純水を前処理槽内に供給して貯留する。次に、前処理槽の下部に設けた粗洗浄用気体導入口から高圧気体を導入して、貯留した純水を泡立てる(バブリングする)ことによってゴム栓の粗洗浄が行なわれる。その後、粗洗浄に用いた純水を前処理槽の底部に接続した連通管から排出することにより異物が除去される。このようにして異物を除去する粗洗浄を行なうことにより、大きさが概ね25μm以上で、比重が純水よりも重い異物、例えば金属製の異物が効果的に除去される。
【0008】
また粗洗浄後にゴム栓を前処理槽から本洗浄槽に搬送する際には、以下のような方法が用いられている。即ち、ゴム栓に粗洗浄が行なわれて異物とともに純水が排出された後、前処理槽の注入口から新たに純水を導入して、純水と粗洗浄が施されたゴム栓とを前処理槽内に貯留する。次に、前処理槽下端に設けた排出止め蓋を開くとともに、上部に設けた導入口から高圧の空気を前処理槽内に導入して槽内の圧力を高める。これにより、前処理槽内のゴム栓が純水とともに本洗浄槽に圧送される。
【0009】
このようにしてゴム栓を圧送することにより、ゴム栓と連通管との摩擦を小さくして、ゴム栓を連通管に詰まらせることなく、洗浄槽に円滑に搬送することができる。また、例えば搬送時にゴム栓同士が互いに強く衝突することも、ゴム栓が連通管の内壁に強く衝突することもないので、ゴム栓の損傷を防ぐことができるといった効果も得られる。
【特許文献1】特開2002−263592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1のゴム栓洗浄装置で粗洗浄を行なう場合、前述のように、前処理槽内に貯留した洗浄水(純水)を高圧の気体でバブリングした後、洗浄水を排出することにより異物を除去している。しかしながら、このような従来のゴム栓洗浄装置による粗洗浄では、粗洗浄に用いた洗浄水を前処理槽の底部から排出しているため、洗浄水よりも比重の重い異物(以下、単に「比重の重い異物」と略記する)は効果的に除去できるものの、洗浄水よりも比重の軽い異物(以下、単に「比重の軽い異物」と略記する)は、バブリングの際に前処理槽の上部に移動するため、その後に栓浄水を前処理槽の底部から排出するときにゴム栓に再び付着し、効果的に除去できないという欠点があった。
【0011】
また、粗洗浄が行なわれたゴム栓を前処理槽から洗浄槽に搬送する際には、高圧の空気によりゴム栓を純水とともに圧送している。これにより、前述のような効果が得られるものの、このゴム栓の圧送に用いられる純水は、洗浄槽に搬送された後にそのまま排出されていた。このため、ゴム栓の洗浄処理が完了するまでの間に使用される純水の量が過多となり、コストアップに繋がるという問題もあった。
【0012】
本発明は、上述のような従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、粗洗浄で除去される異物の種類が限定されず、洗浄水よりも比重の重い粗大異物も軽い粗大異物も効果的に除去した後に、洗浄槽において洗浄や滅菌等の処理を行うことができ、更には洗浄水の使用量を低減することも可能なゴム栓洗浄装置、及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明により提供されるゴム栓洗浄装置は、基本的な構成として、複数のゴム栓を粗洗浄槽に投入し、洗浄水供給源から前記粗洗浄槽内に洗浄水を供給して前記ゴム栓を粗洗浄し、その後、粗洗浄した前記ゴム栓を前記粗洗浄槽の底部に設けた搬出口から輸送管を介して本洗浄槽に輸送し、同本洗浄槽内で前記ゴム栓を洗浄、滅菌、乾燥等で処理するゴム栓洗浄装置であって、前記輸送管に配された少なくとも1つの切換バルブ及び/又は開閉バルブと、前記粗洗浄槽内の前記洗浄水と、同洗浄水よりも比重の軽い異物とを前記粗洗浄槽からオーバーフローさせて排出する第1排出口と、前記輸送管から前記切換バルブ及び/又は開閉バルブを介して分岐され、前記粗洗浄槽内の前記洗浄水と、同洗浄水よりも比重の重い異物とを排出する第2排出口と、前記粗洗浄槽内に配され、前記洗浄水と前記比重の重い異物とが通過可能で、且つ、前記ゴム栓を塞き止める位置と通過させる位置とに切換え可能な下部塞き止め部と、前記粗洗浄槽の下部に配され、前記洗浄水を前記粗洗浄槽内へ供給する取水口と、を備えていることを最も主要な特徴とするものである。特に、前記粗洗浄槽内の前記取水口よりも上部で、且つ、前記第1排出口の上流部に配され、前記洗浄水と前記比重の軽い異物とが通過可能で、且つ、前記ゴム栓を塞き止める上部塞き止め部を備えていることが好ましい。
【0014】
本発明のゴム栓洗浄装置は、前記比重の軽い異物を含んだ前記洗浄水を濾過する濾過槽と、前記第1排出口と前記濾過槽の注水口とを接続する第1流路と、前記濾過槽の放水口と前記粗洗浄槽の前記取水口とを接続する第2流路と、前記第2流路上に配された循環ポンプと、を備えてなり、前記粗洗浄槽、前記第1排出口、前記第1流路、前記濾過槽、前記第2流路、及び前記取水口が、循環路を形成していることが好ましい。
【0015】
また、本発明のゴム栓洗浄装置は、高圧の気体を供給する気体供給源と、前記粗洗浄槽の上部に配され、前記気体供給源から供給される高圧の気体を粗洗浄槽内に導入する第1気体導入口と、を備えていることが好ましい。
【0016】
この場合、前記本洗浄槽の一端に液体排出口が配されてなり、前記液体排出口と前記粗洗浄槽の前記取水口とを接続する戻し管路と、前記戻し管路上に配された循環ポンプと、を備えていることが好ましく、特に、前記第1循環ポンプと前記第2循環ポンプとが、同じ循環ポンプであり、前記戻し管路の一部が、前記第2流路で構成されてなり、前記濾過槽は貯留部を有し、同貯留部が前記戻し管路上の前記第1循環ポンプの上流側に配されてなることが更に好ましい。
【0017】
更に、本発明では、前記粗洗浄槽の下部又は前記搬出口の下流部に、高圧の気体を粗洗浄槽内に導入する第2気体導入口が配されていることが好ましい。
更にまた、前記洗浄水供給源の洗浄水供給量及び供給時期、前記切換バルブ及び/又は開閉バルブの開閉操作等を自動制御する制御装置を備えていることが好ましい。
【0018】
次に、本発明により提供されるゴム栓洗浄方法は、基本的な構成として、複数のゴム栓を粗洗浄槽に投入し、洗浄水供給源から前記粗洗浄槽内に洗浄水を供給して前記ゴム栓を粗洗浄し、その後、粗洗浄した前記ゴム栓を前記粗洗浄槽の底部に設けた搬出口から輸送管を介して本洗浄槽に輸送し、同本洗浄槽内で前記ゴム栓を洗浄、滅菌、乾燥等で処理するゴム栓洗浄方法であって、前記粗洗浄は、前記洗浄水と同洗浄水よりも比重の軽い異物とを粗洗浄槽からオーバーフローさせて排出する第1粗洗浄処理と、前記粗洗浄槽内の下部に下部塞き止め部を設け、同下部塞き止め部により前記ゴム栓を塞き止めるとともに、同下部塞き止め部を通過した前記洗浄水と同洗浄水よりも比重の重い異物とを、前記粗洗浄槽の前記搬出口の下流部で排出する第2粗洗浄処理と、を含むことを最も主要な特徴とするものである。特に、前記第1粗洗浄処理において、前記粗洗浄槽内の上部に上部塞き止め部を設け、同上部塞き止め部により、前記洗浄水と前記比重の軽い異物とを通過させるとともに前記ゴム栓を塞き止めることが好ましい。
【0019】
本発明のゴム栓洗浄方法では、前記第1粗洗浄処理において、前記比重の軽い異物とともに排出された前記洗浄水を濾過槽にて濾過し、濾過された前記洗浄水を循環ポンプにより前記粗洗浄槽に循環供給することが好ましい。
また、本発明では、前記第1粗洗浄処理及び/又は前記第2粗洗浄処理を行う際に、前記下部塞き止め部の下流側から高圧の気体を粗洗浄槽内に導入して、同粗洗浄槽内の洗浄水をバブリングすることが好ましい。
【0020】
更に、本発明では、前記粗洗浄の終了時に、前記粗洗浄槽内の前記洗浄水を前記搬出口の下流部から排出し、前記洗浄水の排出後に、前記粗洗浄槽に搬送用の液体を供給し、前記粗洗浄槽の上部に配した第1気体導入口、及び/又は、前記粗洗浄槽の下部若しくは前記搬出口の下流部に配した第2気体導入口から高圧の気体を導入することにより、前記ゴム栓を前記搬送用液体とともに前記粗洗浄槽の前記搬出口から前記本洗浄槽に圧送することが好ましい。特にこの場合、前記ゴム栓と前記搬送用液体の圧送時に、前記本洗浄槽から排出される前記搬送用液体を循環ポンプにより前記粗洗浄槽に循環供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のゴム栓洗浄装置は、複数のゴム栓を粗洗浄槽で粗洗浄した後、本洗浄槽に輸送し、同本洗浄槽内で洗浄、滅菌、乾燥等で処理する洗浄装置であり、輸送管に配された少なくとも1つの切換バルブ及び/又は開閉バルブと、粗洗浄槽の下部に配された洗浄水の取水口とを備えている。また、粗洗浄槽で洗浄水よりも比重の軽い異物を除去する第1粗洗浄処理を行なうために、洗浄水と比重の軽い異物とをオーバーフローさせて排出する第1排出口を備えており、更に、洗浄水よりも比重の重い異物を除去する第2粗洗浄処理を行なうために、輸送管から前記切換バルブ及び/又は開閉バルブを介して分岐された第2排出口と、洗浄槽内に配される下部塞き止め部とを備えている。
【0022】
即ち、前記特許文献1に記載されているような従来のゴム栓洗浄装置では、粗洗浄が行なわれる前処理槽が設けられていても、同前処理槽では洗浄水よりも比重の重い異物のみが除去され、比重の重い異物を効果的に除去することができないという問題があった。これに対し、本発明のゴム栓洗浄装置は、洗浄水よりも比重の軽い粗大な異物を除去する第1粗洗浄処理を行う手段と、洗浄水よりも比重の重い粗大な異物を除去する第2粗洗浄処理を行う手段の両方を備えている。これにより、粗洗浄において除去される異物の種類が限定されず、洗浄水よりも比重の軽い異物も重い異物も確実に除去することができ、また粗洗浄後に、これらの粗大な異物が除去されたゴム栓を本洗浄槽に搬送し、同本洗浄槽において洗浄や滅菌等の処理を安定して行うことができる。なお、本発明において、輸送管上には、切換バルブ、開閉バルブ、又は切換バルブと開閉バルブの両方を配することができ、粗洗浄、ゴム栓の輸送、本洗浄の各工程で必要に応じて、切換バルブ及び/又は開閉バルブにより、輸送管側と第2排出口側との間で流路を切換えることが可能であれば良い。
【0023】
また、本発明のゴム栓洗浄装置は、前記粗洗浄槽内の前記取水口よりも上部で、且つ、前記第1排出口の上流部に配され、前記洗浄水と前記比重の軽い異物とが通過可能で、且つ、前記ゴム栓を塞き止める上部塞き止め部を備えている。これにより、第1粗洗浄処理を行う際に、上部塞き止め部がゴム栓を確実に塞き止めるため、ゴム栓が洗浄水とともにオーバーフローして排出されることを防いで、第1粗洗浄処理を安定して行うことができる。
【0024】
更に、本発明のゴム栓洗浄装置は、洗浄水を濾過する濾過槽と、第1排出口と濾過槽の注水口とを接続する第1流路と、濾過槽の放水口と洗浄槽の前記取水口とを接続する第2流路と、第2流路上に配された循環ポンプと、を備えており、粗洗浄槽、第1排出口、第1流路、濾過槽、第2流路、及び取水口が、循環路を形成している。これにより、第1粗洗浄処理を行う際に洗浄水をオーバーフローさせても、同洗浄水を濾過して再利用できるため、洗浄水の使用量を大幅に低減し、ゴム栓洗浄におけるコストダウンを図ることができる。
【0025】
更にまた、本発明のゴム栓洗浄装置は、高圧の気体を供給する気体供給源と、粗洗浄槽の上部に配され、気体供給源から供給される高圧の気体を粗洗浄槽内に導入する第1気体導入口とを備えている。本発明のゴム栓洗浄装置では、以下で説明するように、粗洗浄槽の下部又は搬出口の下流部に配された第2気体導入口から高圧の気体を供給することにより、粗洗浄槽内のゴム栓を洗浄水とともに本洗浄槽に圧送することができるが、この第2気体導入口から気体を供給するとともに、又は第2気体導入口からの気体の供給を止めて、粗洗浄槽の上部に配された第1気体導入口から高圧の気体を供給することによっても、本洗浄槽へのゴム栓の圧送を行うことが可能である。このようにしてゴム栓の圧送を行うことにより、ゴム栓を輸送管に詰まらせることなく、本洗浄槽に円滑に搬送することができる。更に、ゴム栓が輸送管内を走行中に、ゴム栓同士が互いに強く衝突することもなく、またゴム栓が輸送管の内壁に強く衝突することもないので、ゴム栓の損傷を防ぐことができる。
【0026】
この場合、本洗浄槽の一端に液体排出口が配されており、液体排出口と粗洗浄槽の取水口とを接続する戻し管路と、同戻し管路上に配された循環ポンプとを備えていることにより、本洗浄槽から排出される洗浄水を再利用することができる。このため、ゴム栓圧送時における洗浄水の使用量を低減し、より一層のコストダウンを図ることができる。
【0027】
更にこの場合、前記第1循環ポンプと前記第2循環ポンプとが、同じ循環ポンプであり、前記戻し管路の一部が、前記第2流路で構成されており、また、前記濾過槽は貯留部を有し、同貯留部が前記戻し管路上の前記第1循環ポンプの上流側に配されている。これにより、粗洗浄時における洗浄水の循環供給と、ゴム栓の本洗浄槽への圧送時における搬送用液体の循環供給とを1つの循環ポンプで行うことができ、ゴム栓洗浄装置の構成の簡略化を図ることができる。
【0028】
また本発明では、前記粗洗浄槽の下部又は前記搬出口の下流部に、高圧の気体を粗洗浄槽内に導入する第2気体導入口が配されている。これにより、第1粗洗浄処理及び/又は第2粗洗浄処理を行う際に、粗洗浄槽の下部又は搬出口の下流部から高圧の気体を粗洗浄槽内に導入し、同粗洗浄槽内の洗浄水をバブリングすることが可能となる。従って、ゴム栓に付着していた粗大な異物をゴム栓から効果的に分離でき、その分離した粗大な異物を洗浄水とともに排出し、確実に除去することができる。更に、粗洗浄を行なった後、粗洗浄槽内のゴム栓を洗浄水とともに本洗浄槽に搬送する際に、この第2気体導入口から高圧の気体を供給することができ、これにより、ゴム栓を輸送管に詰まらせることなく、また損傷させることもなく、ゴム栓を本洗浄槽へ円滑に圧送することができる。
【0029】
更に本発明の洗浄装置は、洗浄水供給源の洗浄水供給量及び供給時期、切換バルブ及び/又は開閉バルブの開閉操作等を自動制御する制御装置を備えている。これにより、粗洗浄槽での第1粗洗浄処理、第2粗洗浄処理、粗洗浄槽から本洗浄槽への圧送等を、制御装置で制御して自動で行うことが可能となり、例えばゴム栓を粗洗浄槽に投入してからゴム栓の洗浄が完了するまでの工程を全て自動化することが可能となる。
【0030】
次に、本発明のゴム栓洗浄方法は、ゴム栓を粗洗浄槽に投入して、同粗洗浄槽でゴム栓に粗洗浄を行なう際に、洗浄水よりも比重の軽い異物を粗洗浄槽から排出して除去する第1粗洗浄処理と、洗浄水よりも比重の重い異物を粗洗浄槽から排出して除去する第2粗洗浄処理の2種の粗洗浄処理とが行われる。このとき、前記第1粗洗浄処理では、粗洗浄槽に洗浄水を供給してオーバーフローさせることにより、前記比重の軽い異物を洗浄水とともに粗洗浄槽から排出して除去することができ、前記第2粗洗浄処理では、第2塞き止め部を粗洗浄槽内の下部に設けておき、粗洗浄槽に洗浄水を供給してその搬出口よりも下流部で排出することにより、前記比重の重い異物を洗浄水とともに粗洗浄槽から排出して除去することができる。
【0031】
これにより、粗洗浄において異物の種類を限定することなく、洗浄水よりも比重の軽い異物も重い異物も確実に除去することができる。またその後、粗洗浄により粗大な異物が除去されたゴム栓を本洗浄槽に搬送し、同本洗浄槽で洗浄、滅菌、乾燥等の処理を行うことにより、再利用可能なゴム栓を安定して得ることができる。
【0032】
また、本発明のゴム栓洗浄方法では、第1粗洗浄処理において、粗洗浄槽内の上部に上部塞き止め部を設け、同上部塞き止め部により、洗浄水と比重の軽い異物とを通過させるとともに前記ゴム栓を塞き止める。これにより、第1粗洗浄処理を行う際に、上部塞き止め部がゴム栓を確実に塞き止めるため、ゴム栓が洗浄水とともにオーバーフローして排出されることを防いで、第1粗洗浄処理を安定して行うことができる。
【0033】
更に、本発明のゴム栓洗浄方法では、第1粗洗浄処理において、比重の軽い異物とともに排出された洗浄水を濾過槽にて濾過し、濾過された洗浄水を循環ポンプにより粗洗浄槽に循環供給する。これにより、第1粗洗浄処理を行う際に洗浄水をオーバーフローさせても再利用できるため、洗浄水の使用量を大幅に低減し、ゴム栓洗浄におけるコストダウンを図ることができる。
【0034】
更にまた、本発明では、第1粗洗浄処理及び/又は第2粗洗浄処理を行う際に、下部塞き止め部の下流側から高圧の気体を粗洗浄槽内に導入して、同粗洗浄槽内の洗浄水をバブリングする。これにより、ゴム栓に付着していた粗大な異物をゴム栓から効果的に分離でき、その分離した粗大な異物を洗浄水とともに排出し、確実に除去することができる。
【0035】
また、本発明のゴム栓洗浄方法では、前記粗洗浄の終了時に、粗洗浄槽内の洗浄水を搬出口の下流部から排出し、洗浄水の排出後に、粗洗浄槽に搬送用の液体を供給し、粗洗浄槽の上部に配した第1気体導入口、及び/又は、粗洗浄槽の下部若しくは搬出口の下流部に配した第2気体導入口から高圧の気体を導入することにより、ゴム栓を搬送用液体とともに粗洗浄槽の搬出口から本洗浄槽に圧送する。これにより、ゴム栓を輸送管に詰まらせることなく、また損傷させることもなく、洗浄槽に円滑に搬送することができる。
【0036】
またこの場合、ゴム栓と搬送用液体の圧送時に、本洗浄槽から排出される搬送用液体を循環ポンプにより粗洗浄槽に循環供給する。これにより、本洗浄槽から排出された洗浄水を再利用することができるため、洗浄水の使用量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態はゴム栓洗浄装置の一例であって、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏することができれば多様な変更が可能である。
【0038】
図1は、本実施形態に係るゴム栓洗浄装置の構成を概略的に示す図であり、図2は、粗洗浄槽の断面を模式的に示す断面図である。また、図3は、図2のIII−III線に沿った矢視断面図であり、図4は、図2のIV−IV線に沿った矢視断面図である。更に、図5は、粗洗浄槽に配される第1塞き止め部としての多孔板の正面図である。
【0039】
図1に示した本実施形態に係るゴム栓洗浄装置1は、ゴム栓に洗浄水で粗洗浄を行なう粗洗浄手段2と、ゴム栓に洗浄、滅菌、乾燥等の処理を行なう本洗浄手段3と、粗洗浄手段2と本洗浄手段3とを接続し、第1開閉バルブ4aが配された輸送管4と、洗浄水及び搬送用液体を供給する洗浄水供給源5と、高圧の気体(空気)を供給する気体供給源6とを備えている。また、本実施形態のゴム栓洗浄装置1では、本洗浄手段3がクリーンルーム内に設置されており、粗洗浄手段2、洗浄水供給源5、及び気体供給源6が、壁7を挟んでクリーンルーム外(例えば、準クリーンルーム内等)に設置されている。
【0040】
前記粗洗浄手段2は、ゴム栓を粗洗浄する密閉可能な粗洗浄槽11と、同粗洗浄槽11から洗浄水及び比重の軽い異物をオーバーフローさせて排出する第1排出口12と、輸送管4から分岐して設けられた第2排出口14と、粗洗浄槽11内の上部に配された上側塞き止め部となる多孔板13と、粗洗浄槽11内の下部に配された下側塞き止め部となるダンパー15と、第1排出口12から排出した洗浄水を第1流路51を介して導入し、同洗浄水を濾過する濾過槽16と、濾過槽16で濾過した洗浄水を第2流路52を介して粗洗浄槽11に循環供給する循環ポンプ(第1循環ポンプ)17とを備えている。また、輸送管4から分岐して設けられた第2排出口14には、第2開閉バルブ43aを配した排水管43が接続されている。
【0041】
前記粗洗浄手段2の粗洗浄槽11は、図2に示すように、上端に開口を有する本体部21と、本体部21の上端に開閉装置22により開閉可能に載置された上蓋23と、本体部21の底部に形成された搬出口24とを備えている。なお、本実施形態において、本体部21は、上部から下部に向けて内径が段階的に小さくなる略円筒状に形成されているが、本体部21の形状はこれに限定されず、任意に選択することができる。
【0042】
前記上蓋23の周縁には、図2及び図3に示すように、上蓋23を閉じたときに上蓋23を本体部21に密閉するための複数のクランプボルト25が所定の間隔で設けられている。また、粗洗浄槽11内部に高圧の空気を導入した際に空気が漏れないようにするため、上蓋23の外周縁に沿ってパッキン等のシール材26が配されている。
【0043】
更に、上蓋23には、気体供給源6から供給される高圧の気体を粗洗浄槽11の内部に導入する第1気体導入口27と、粗洗浄槽11内の圧力を測定する圧力計(PI)を取り付けるための圧力計取付部28が設けられている。また、第1気体導入口27には、第3開閉バルブ31a及び第4開閉バルブ31bを配した第1気体供給管31の一端が接続されており、この第1気体供給管31の他端は前記気体供給源6に接続されている。なお、前記上蓋23には、その他に、例えば、ゴム栓を本体部内部に投入するための投入口や、外部から本体部内の状態を確認するための覗き窓等を別途に設けることも可能である。
【0044】
前記粗洗浄槽11において、本体部21の上端には前記多孔板13が配されており、この多孔板13は、上蓋23の裏面に設けた固定用リブ32により固定されている。この多孔板13は、図5に示すように、その周縁領域に複数の長孔33が形成されており、以下に詳述するように、粗洗浄槽11に供給した洗浄水をオーバーフローさせる際に、洗浄水と比重の軽い異物とを通過させ、且つ、ゴム栓を塞き止めることができる。
【0045】
この多孔板13に形成する長孔33は、異物を含んだ洗浄水を通過させる際の抵抗を小さくするために、平面視における全ての長孔33の総面積が、多孔板13の面積の40%以上60%以下となるようにすることが好ましい。また、多孔板13は、洗浄水等をオーバーフローさせる際の異物の排出効果を高めるために、本体部21の上端との間にゴム栓が通過しない程度の隙間34が設けられている。
【0046】
なお、多孔板13に形成する孔は、洗浄水等を通過させ、ゴム栓を効果的に塞き止めるために、前述のような長孔33であることが望ましいが、これに限定されるものではなく、例えば丸孔や網目等で構成されていても良い。また、多孔板13を固定する手段も前記固定用リブ32に限定されず、例えばネジ又はボルトを使用して、多孔板13と本体部21上端との間に前記隙間34を設けるようにして、多孔板13を上蓋23又は本体部21に固定することも可能である。
【0047】
更に、前記粗洗浄槽11の本体部21の周面には、粗洗浄槽11内の水量を検出する第1レベルセンサー(LS1)を取り付けるレベルセンサー取付部35と、洗浄液を粗洗浄槽11内へ供給するための取水口36と、外部から本体部21内の状態を確認するための図示しない覗き窓とが設けられている。前記取水口36は、本体部21の下部に配されており、第5開閉バルブ38aが配された洗浄液供給管38を介して、洗浄水供給源5に接続されている。また、取水口36から粗洗浄槽11の内部に向けて洗浄液導入管39が配設されている。一方、洗浄液供給管38の第5開閉バルブ38aの上流側と、第1気体供給管31の第3開閉バルブ31aの上流側とが連通管63で接続されており、同連通管63には、第9開閉バルブ63aが配されている。
【0048】
前記洗浄液導入管39は、本体部21の内壁に沿って取水口36から下方に向けて配されており、その先端部39aは、図4に示すように、本体部21の接線方向へ屈曲している。このように洗浄液導入管39の先端部39aが屈曲していることにより、洗浄液を粗洗浄槽11内に供給するときに、洗浄液導入管39の先端から噴射した洗浄水を円を描くよう流動させ、粗洗浄槽11内で洗浄液に旋回運動を行わせることができる。また、洗浄液導入管39の先端には、粗洗浄を行なう際にゴム栓が洗浄液導入管39内に進入しないように、多数の丸孔又は網目を有する図示しない蓋が取り付けられている。
【0049】
また、粗洗浄槽11の本体部21内には、前記洗浄液導入管39の先端よりも下方に前記ダンパー15が配され、更にダンパー15の下方に第2気体導入口29が設けられている。前記ダンパー15には、洗浄水と比重が重い異物とを通過させ、且つ、ゴム栓を塞き止めることが可能な孔又は網目が形成されている。また、ダンパー15は、粗洗浄槽11の外部に配された駆動部40により回転可能に保持されており、例えば駆動部40でダンパー15を回転させることにより、ゴム栓を塞き止める位置と通過させる位置とに切換えられるように構成されている。
【0050】
前記第2気体導入口29には、第6開閉バルブ42aを配した第2気体供給管42の一端が接続されている。また、第2気体供給管42の他端は、前記第1気体供給管31の第3開閉バルブ31aと第4開閉バルブ31bとの間に接続されており、例えば第3開閉バルブ31a及び第6開閉バルブ42aを開くことにより、高圧の空気を第2気体導入口29から粗洗浄槽11内や輸送管4に向けて噴射できるように構成されている。
【0051】
粗洗浄槽11の底部に形成した前記搬出口24には前記輸送管4が接続されており、同輸送管4における粗洗浄槽11の近傍には前記第1開閉バルブ4aが配されている。また、この輸送管4の粗洗浄槽11と第1開閉バルブ4aとの間には前記第2排出口14が設けられている。この輸送管4に設けた第2排出口には、第2開閉バルブ43aを配した排水管43が接続されており、第1開閉バルブ4a及び第2開閉バルブ43aの開閉を制御することによって、輸送管4と排水管43との流路の切換えができるように構成されている。なお、本発明はこれに限定されず、例えば輸送管4に1つの切換バルブを配し、且つ、同切換バルブに前記排水管43を接続しておき、同切換バルブによって前記流路の切換えを行うように構成することも可能である。
【0052】
また、前記粗洗浄槽11の本体部21の上部外壁には、粗洗浄槽11からオーバーフローさせた洗浄水を受ける受け皿部44と、受け皿部44と2箇所で接続されたオーバーフロー管45とが配設されている(図2及び図3を参照)。また、オーバーフロー管45は、受け皿部44に接続している2つの流路が下流側で合流して1つの流路となり、この合流した流路の部位に洗浄水を濾過槽16へ向けて排出する前記第1排出口12が設けられている。なお、本発明において、受け皿部44とオーバーフロー管45との接続口の配設位置や配設数は任意に設定することができるが、オーバーフローさせた洗浄水及び異物を円滑に排出するために、同接続口を2箇所以上で設けることが好ましい。更に、前記第1排出口12には、第7開閉バルブ51aを配した第1流路51の一端が接続されており、また、第1流路51の他端は前記濾過槽16の注水口46に接続されている。
【0053】
一方、前記粗洗浄手段2の濾過槽16は、前記第1流路51が接続される注水口46と、濾過槽16内の圧力を排出する排気口47と、比重の軽い異物を含んだ洗浄水を濾過する濾過網部48と、濾過した洗浄水を貯留する貯留部58と、貯留部58に貯留した洗浄水の放水口49と、貯留部58内の水量を検出する第2レベルセンサー(LS2)を取り付けるレベルセンサー取付部41と、本洗浄槽54から排出された洗浄水が戻される戻し口50とを備えている。
【0054】
濾過槽16において、注水口46と排気口47とは濾過槽16の蓋部53に配されている。また、蓋部53の周縁部にはシール材が配されており、濾過槽16内部に洗浄水や高圧の空気が導入された際に、洗浄水や空気が漏れないようにしている。濾過網部48は、保全や濾過能力維持のために、濾過槽16に着脱可能に装着されており、また、濾過網部48を取り換えることにより、ゴム栓に付着している異物の大きさ等に応じて濾過網部48の網目の大きさを任意に変更することが可能である。戻し口50は、濾過網部48とレベルセンサー取付部41との間に配されており、本洗浄槽54から排出された洗浄水を濾過網部48に通さずに、貯留部58に貯留できるように構成されている。
【0055】
濾過槽16の放水口49には、第2流路52の一端が接続されており、この第2流路52の他端は、洗浄液供給管38の第5開閉バルブ38aよりも下流側の部位に接続され、粗洗浄槽11の取水口36に繋がっている。これにより、粗洗浄槽11、第1排出口12、第1流路51、濾過槽16、第2流路52(洗浄液供給管38の一部を含む)、及び取水口36により、洗浄水の循環路が形成される。なお、本発明において洗浄水の循環路の形態は上記構成に限定されず、例えば粗洗浄槽11の本体部21に第2取水口を別途に設けておき、この第2取水口に第2流路52の他端を直接接続するように構成しても良い。
【0056】
また本実施形態において、第2流路52には、前記第1循環ポンプ17と第8開閉バルブ52aとが配されており、濾過槽16で濾過した清浄な洗浄水の循環供給を調節できるように構成されている。なお、第1循環ポンプ17としては、粗洗浄槽11の内径が一定となる胴部における液体の上昇速度が1cm/s以上の送液能力を有する循環ポンプが用いられるが、本発明はこれに限定されず、循環ポンプの送液能力や吐出圧力は、第2気体導入口から導入される気体の圧力等に応じて適宜変更することができる。
【0057】
本実施形態における前記本洗浄手段3は、粗洗浄槽11で粗洗浄されたゴム栓を投入口60から投入可能な本洗浄槽54と、同本洗浄槽54を上下反転させる反転機構部55と、搬送用液体を排出する液体排出口61と、本洗浄槽54に蒸気や加熱した空気等を、蒸気供給管56を介して供給可能な図示しない蒸気等の第1供給源とを有している。また、図示はしないが、着脱装置59で切り離した輸送管4を介して蒸気や加熱した空気等を供給可能な蒸気等の第2供給源をも有している。前記本洗浄槽54は、その上端に受け取り用のコンテナ等を装着可能であり、また、内部に投入されたゴム栓に対して、蒸気供給管56や輸送管4を介して供給される蒸気や空気等により洗浄、滅菌、乾燥等の処理を行うことができる。
【0058】
また、蒸気供給管56には、切換バルブ56aが配されており、この切換バルブ56aには前記濾過槽16の戻し口50に繋がる戻し管57が接続されている。即ち、本洗浄手段3は、切換バルブ56aで流路を切換えることにより、本洗浄槽54へ蒸気等を供給することと、また、本洗浄槽54から排出された搬送用の液体(純水)を蒸気供給管56及び戻し管57を介して前記濾過槽16へ戻すこととを切換えられるように構成されている。
【0059】
これにより、蒸気供給管56、戻し管57、濾過槽16の貯留部58、及び第2流路52(洗浄水供給管38の一部を含む)により搬送用液体の戻し管路62が形成され、また、同戻し管路62上に前記第1循環ポンプ17が配されていることにより、本洗浄槽54から排出された搬送用液体を貯留部58に貯留し、更に、粗洗浄槽11に循環供給することが可能となる。このため、前記第1循環ポンプ17は、粗洗浄時における洗浄水を循環供給するポンプ17と、ゴム栓の本洗浄槽への圧送時における搬送用液体を循環供給するポンプ18の両方の役割を果たすことが可能である。なお、本発明はこれに限定されず、例えば戻し管57の一端を切換バルブ56aに接続し、他端を粗洗浄槽11の取水口に直接接続しておき、同戻し管57に前記第1循環ポンプ17とは異なる第2循環ポンプ18を設けることにより、洗浄槽54から排出された搬送用の液体(純水)を粗洗浄槽11に循環供給するように構成しても良い。
【0060】
本実施形態における前記輸送管4は、壁7を介して粗洗浄槽11の搬出口24と本洗浄槽54の投入口60とを接続している。また、輸送管4は、本洗浄手段3の反転機構部55で本洗浄槽54を上下に反転させる際に、輸送管4をクリーンルーム外に設置された着脱装置59で切り離し可能なように構成されている。なお、本発明は、輸送管4の切り離しを行う手段は特に限定されず、その他種々の手段を用いることが可能である。
【0061】
このような本実施形態のゴム栓洗浄装置1において、第1開閉バルブ4a〜第9開閉バルブ63a、切換バルブ56a、循環ポンプ17、駆動部40、反転機構部55、着脱装置59、圧力計PI、第1レベルセンサーLS1、及び第2レベルセンサーLS2は、それぞれ回路によって制御装置19に接続されている(なお、図1において、制御装置19への接続回路の一部は図示を省略している)。これにより、例えば圧力計PI、第1レベルセンサーLS1、及び第2レベルセンサーLS2により計測された情報は制御装置19に送られて蓄積することができ、また、その得られた情報に基づいて、洗浄水(搬送用液体)の供給量及び供給時期、各バルブの開閉操作、駆動部40等の駆動を自動制御できるように構成されている。なお、本発明はこれに限定されず、各バルブの開閉や各部材の駆動を手動で操作することも可能である。
【0062】
なお、本実施形態においては、粗洗浄槽11、濾過槽16、本洗浄槽54、及び輸送管4等の各配管の材質として、強度や耐久性等を考慮してステンレスが用いられている。しかし、本発明において、粗洗浄槽11、濾過槽16、本洗浄槽54、及び輸送管4等の各配管の材質、形状、大きさ等は特に限定されず、処理を行うゴム栓の種類、形状、大きさ、個数(数千〜数十万個)等に応じて任意に選択することができる。
【0063】
次に、前記本実施形態のゴム栓洗浄装置1を用いて、複数のゴム栓に洗浄等の処理を行う方法について説明する。
先ず、開閉装置22により粗洗浄槽11の上蓋23を開いて洗浄対象である複数のゴム栓8を粗洗浄槽11内に投入する。その後、上蓋23を閉じ、クランプボルト25で蓋23を本体部21に締め付けることによって洗浄槽11を密閉する(図6(a)を参照)。このとき、粗洗浄槽11の下部に配したダンパー15は、ゴム栓8を塞き止める位置で保持されており、ゴム栓8が輸送管4に移動しないように閉じている。また、第1開閉バルブ4a〜第9開閉バルブ63aは、全て閉じた状態となっている。
【0064】
続いて、ゴム栓8に付着している粗大異物のうち、洗浄水よりも比重の軽い粗大異物を除去する第1粗洗浄処理を行う。
第1粗洗浄処理を行うために、図6(b)に示すように、洗浄液供給管38の第5開閉バルブ38aを開いて、洗浄液導入管39の先端からゴム栓8を収容した粗洗浄槽11内に洗浄液として純水を供給する。また、第7開閉バルブ51aも同時に開いて第1流路51を開通させる。このとき、第5開閉バルブ38aやその他各バルブにおける開閉操作等は、制御装置19により、例えばオペレータが予め設定した洗浄条件やレベルセンサーLS1,LS2から得られる情報等に基づいて自動制御されている。なお、洗浄液として、純水ではなく、その他の清浄な液体を用いることも可能である。
【0065】
粗洗浄槽11に取り付けた第1レベルセンサーLS1により、粗洗浄槽11に供給された純水が所定量に達したことが検出されると、その情報が制御装置19に送られる。そして、制御装置19は、第5開閉バルブ38aを開いたままで洗浄液導入管39からの純水の供給を続けるとともに、第3開閉バルブ31aと第6開閉バルブ42aとを開くことにより、気体供給源6から第1気体供給管31及び第2気体供給管42を介して、粗洗浄槽11下部に配した第2気体導入口29から高圧の気体(空気)を連続的に又は間歇的に供給する。
【0066】
これにより、粗洗浄槽11内では、気体の供給によりバブリングが生じるとともに、洗浄液導入管39の先端から供給する純水の旋回運動により水流が発生しているため、ゴム栓8から粗大異物を効率的に分離することができる。このとき、第2気体導入口29からは、粗洗浄槽11内でゴム栓8を攪拌できるように、例えば0.05〜0.5MPa程度加圧した高圧の空気が供給される。なお本発明では、高圧の空気の他に、その他の清浄な高圧の気体を用いても良い。一方、浄液導入管39の先端から粗洗浄槽11内に供給する純水の流速は制御装置19により制御されており、ゴム栓の品質等に応じて予め設定しておくことが可能である。更に必要に応じて、連通管63に配した第9開閉バルブ63aを開くことにより、浄液導入管39の先端から気体を含んだ純水を供給することも可能である。
【0067】
更に、純水を粗洗浄槽11内に継続的に供給することにより、純水を粗洗浄槽11からオーバーフローさせる。このとき、粗洗浄槽11内の上部には多孔板13が配されているため、純水とゴム栓8から分離した比重の軽い粗大異物とを、多孔板13の周縁領域に形成した複数の長孔33、及び多孔板13と本体部21との間に設けた隙間34から通過させる一方で、ゴム栓8を多孔板13で塞き止めることができる。特に、本実施形態では、多孔板13の長孔33が、図5に示したように多孔板13の周縁領域に形成されており、且つ、本体部21と多孔板13との間には隙間34が設けられているので、多孔板13を通過する純水及び粗大異物は、本体部21の上端近傍では中心部から外周部に向けて流れ、本体部21から円滑にオーバーフローさせることができる。これにより、比重の軽い粗大異物を純水とともに粗洗浄槽11から排出して除去することができる。
【0068】
また、粗洗浄槽11からオーバーフローした純水と比重の軽い粗大異物は、その後、粗洗浄槽11の前記受け皿部44で受け止められ、オーバーフロー管45を介して第1排出口12から排出され、更に、第1流路51を介して濾過槽16に運ばれる。
【0069】
濾過槽16に流れてきた粗大異物を含む純水は、注水口46から濾過槽16内に流入し、濾過網部48で粗大異物が濾過された後、貯留部58に貯留される。そして、第2レベルセンサーLS2により貯留部58内の清浄な純水が所定量に達したことが検出されると、その情報が制御装置19に送られる。
【0070】
制御装置19では、この第2レベルセンサーLS2からの信号を受けると、第5開閉バルブ38aを閉めると同時に、第8開閉バルブ52aを開き、更に第1循環ポンプ17を駆動させる。これにより、図6(c)に示すように、貯留部58内の清浄な純水を第2流路52を介して粗洗浄槽11内に循環供給しながら、第1粗洗浄処理を連続的に行うことができる。
【0071】
このようにして第1粗洗浄処理を所定時間で行うことにより、純水よりも比重の軽い異物をゴム栓8から分離して確実に除去することができる。また、本実施形態では、粗洗浄槽11からオーバーフローさせた純水を再利用できるため、純水の使用量を大幅に低減することができる。
【0072】
その後、制御装置19で第1粗洗浄処理が所定時間行われたことが確認されると、第3開閉バルブ31a及び第6開閉バルブ42aを閉じて気体の供給を止める。それと同時に、循環ポンプ17を停止させるとともに第8開閉バルブ52aを閉じる。更に、排水管43の第2開閉バルブ43aを開き、粗洗浄槽11内の純水を第2排出口14から排水した後、第2開閉バルブ43aを閉じて第1粗洗浄処理を終了させる。なお、本実施形態では、第1粗洗浄処理の終了時に、粗洗浄槽11内の純水を排出せずに残しておき、次工程の第2粗洗浄処理で利用することも可能である。
【0073】
上記のように第1粗洗浄処理が終了した後(図7(a)を参照)、続いて、洗浄水よりも比重の重い粗大異物を除去する第2粗洗浄処理を行う。
第2粗洗浄処理を行うために、先ず図7(b)に示すように、洗浄液供給管38の第5開閉バルブ38aを再び開いて粗洗浄槽11内に純水を供給する。粗洗浄槽11に取り付けた第1レベルセンサーLS1で粗洗浄槽11内の純水が所定量に達したことが検出されると、制御装置19は、洗浄液導入管39からの純水の供給を続けるとともに、第3開閉バルブ31aと第6開閉バルブ42aとを開くことにより、気体供給源6から第2気体導入口29を介して高圧の空気を連続的に又は間歇的に供給する。それと同時に、排水管43に配した第2開閉バルブ43aを開いて、第2排出口14から粗洗浄槽11内の純水を排水する(図7(c)を参照)。
【0074】
これにより、粗洗浄槽11内ではバブリングと純水の旋回運動とによりゴム栓8から粗大異物を効率的に分離できる。更に、粗洗浄槽11内の純水は、粗洗浄槽11内の下部に配されたダンパー15を通過して排水管43から連続的に排水されるため、ダンパー15でゴム栓8が塞き止められる一方で、比重の重い粗大異物を純水とともに粗洗浄槽11から排出することができる。このような第2粗洗浄処理を所定時間で行うことにより、純水よりも比重の重い異物をゴム栓8から分離して確実に除去することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、前記第2粗洗浄処理として、粗洗浄槽11内に純水を所定量で供給した後に、純水の供給を止めて気体供給源6から第2気体導入口29を介して高圧の空気を供給することによりバブリングを所定時間行い、その後、純水とともに比重の重い粗大異物を排出しても良い。このように純水の供給を止めてバブリングを行うことにより、純水の使用量を低減することが可能となる。
【0076】
その後、制御装置19で第2粗洗浄処理が所定時間行われたことが確認されると、第5開閉バルブ38a、第3開閉バルブ31a、及び第6開閉バルブ42aを閉じることにより、純水及び高圧の気体の供給を停止するとともに、粗洗浄槽11内の純水を第2排出口14から排水する。純水が完全に排水された後に第2開閉バルブ43aを閉じて、第2粗洗浄処理を終了する。なお、本実施形態では、第2粗洗浄処理の終了時に、粗洗浄槽11内の純水を完全に排出せずに少し残しておき、次工程のゴム栓の圧送時に利用することも可能である。
【0077】
次に、前記第1粗洗浄処理及び前記第2粗洗浄処理による粗洗浄が行なわれたゴム栓8は、粗洗浄槽11から本洗浄槽54に搬送され、同本洗浄槽54で洗浄、滅菌、乾燥等の処理が行われる。
先ず、ゴム栓8を本洗浄槽54に搬送するために、前記第2粗洗浄処理が終了した後(図8(a)を参照)、図8(b)に示すように、洗浄液供給管38の第5開閉バルブ38aを再び開いて、搬送用の液体として純水を粗洗浄槽11内に供給する。そして、粗洗浄槽11に取り付けた第1レベルセンサーLS1で粗洗浄槽11内の純水が所定量に達したことが検出されると、制御装置19は、洗浄液導入管39から純水の供給を続けるとともに、第3開閉バルブ31aを開いて、第2気体供給管42を開通させる。
【0078】
その後、制御装置19が駆動部40を駆動させてダンパー15を回転させ、ダンパー15をゴム栓8を通過させる位置で保持するとともに、第1開閉バルブ4aを開く。それと同時に、第6開閉バルブ42aを開いて第2気体導入口29から高圧の気体を間歇的に供給する。これにより、第2気体導入口29から供給される気体の圧力を利用して、図8(c)に示すように、粗洗浄槽11内のゴム栓8を純水とともに、粗洗浄槽11から輸送管4を通って本洗浄槽54に圧送することができる。
【0079】
このとき、第2気体導入口29からは、ゴム栓8を円滑に圧送でき、且つ、ゴム栓8が輸送管4や本洗浄槽54の内壁に衝突して損傷しないように、例えば0.05〜0.5MPa程度加圧した高圧の空気が供給されるが、本発明はこれに限定されず、第2気体導入口29から導入する気体の圧力は、洗浄条件等に応じて適宜変更することが可能である。また、本発明では、粗洗浄槽11内のゴム栓8を本洗浄槽54に圧送する際に、第4開閉バルブ31bも開いて第1気体導入口27から高圧の気体を供給することができ、これにより、粗洗浄槽11内の圧力を高めてゴム栓8の圧送を補助することも可能である。
【0080】
このようにしてゴム栓8を純水とともに圧送することにより、ゴム栓8と輸送管4の内壁との摩擦を小さくして、ゴム栓8を輸送管4に詰まらせることなく、全てのゴム栓8を本洗浄槽54に円滑に搬送することができる。更に、例えば搬送時にゴム栓8同士が互いに強く衝突することもなく、またゴム栓8が輸送管4の内壁に強く衝突することもないので、ゴム栓8の損傷を防ぐことができるといった効果も得られる。
【0081】
また、純水とともに圧送されて本洗浄槽54に投入されたゴム栓8は、本洗浄槽54内に設けられた塞き止め部により塞き止められるが、純水は、本洗浄槽54内の圧力に押されて本洗浄槽54の下端に設けた液体排出口61から蒸気供給管56に排出される。このとき、蒸気供給管56に配された切換バルブ56aが、制御装置19によって戻し管57の流路側に切り換えられているため、本洗浄槽54から排出された純水は、戻し管57を通って戻し口50から濾過槽16の貯留部58に貯留される。なお、濾過槽16には排気口47が設けられているため、濾過槽16内の圧力を一定に制御することができる。
【0082】
そして、第2レベルセンサーLS2により貯留部58に戻された純水が所定量に達したことが検出されると、制御装置19は、第5開閉バルブ38aを閉じると同時に、第8開閉バルブ52aを開き、更に循環ポンプ17を作動させる。これにより、図8(d)に示すように、貯留部58内の純水をゴム栓8の圧送に再利用することができ、純水の使用量を大幅に低減することができる。
【0083】
上記ゴム栓8の圧送により、粗洗浄槽11内のゴム栓8を全て本洗浄槽54に搬送した後、本洗浄槽54にてゴム栓8を洗浄、滅菌、乾燥等で処理する。このとき、本洗浄槽54の上端に、ゴム栓8を回収するための受け取り用のコンテナを、仕切り板を挟んで取り付けておく。なお、本実施形態においては、ゴム栓8を圧送した後の本洗浄槽54内には、ゴム栓8の搬送に用いた純水が完全には排出されずに残存しており、この純水を用いて以下に説明する本洗浄が行なわれる。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば本洗浄槽54内に残存した純水を一旦完全に排出した後、新たに純水を本洗浄槽54内に供給して本洗浄を行なっても良い。
【0084】
ゴム栓8の本洗浄を行なうために、クリーンルーム外に配した着脱装置59で輸送管4を切り離すとともに、切換バルブ56aを蒸気供給管56の流路側に切り換えた後、図示しない蒸気等の第1供給源から蒸気供給管56を介して、本洗浄槽54の底部より蒸気と空気の混合体を本洗浄槽54内に高圧で導入する。これにより、本洗浄槽54内で純水を加熱しながらバブリングして、ゴム栓8の本洗浄処理が行われる。このように蒸気と空気の混合体を用いてゴム栓8を本洗浄することにより、蒸気導入時の蒸気と純水との温度差を小さくして、本洗浄の処理を円滑に行なうことができる。
【0085】
ゴム栓8の本洗浄を所定時間で行なった後、本洗浄槽54内の純水を液体排出口61から排出する。純水を排出した後、蒸気等の第2供給源から着脱装置59で切り離した輸送管4を介して本洗浄槽54に蒸気を導入し、ゴム栓8の滅菌処理を行い、その後、輸送管4から加熱した空気(熱風)を導入することによりゴム栓8の乾燥処理を行う。このとき、ゴム栓8の乾燥を効果的に行うために、反転機構部55で本洗浄槽54を上下に反転させながら乾燥処理が行われる。
【0086】
ゴム栓8を十分に乾燥させた後、本洗浄槽54の上端と前記受け取り用のコンテナとの間に配されている仕切り板を回転させて本洗浄槽54とコンテナとを連通させることにより、本洗浄槽54内のゴム栓8をコンテナ内に落下させる。そして、前記仕切り板を再び回転させ、本洗浄槽54とコンテナとを遮断することによってコンテナを密閉し、その後、同コンテナを本洗浄槽54から切り離して移送することにより、ゴム栓8の全ての処理が終了する。なお、本発明において、本洗浄槽54にて行なうゴム栓の処理方法は特に限定されるものではなく、ゴム栓に対して、少なくとも本洗浄、滅菌、乾燥の処理を行なうことができれば、上記の処理方法以外の方法を用いることも可能である。
【0087】
以上のような本実施形態の方法を用いてゴム栓8の洗浄処理を行うことにより、粗洗浄において、異物の種類を限定せずに、洗浄水よりも比重の軽い異物も重い異物も確実に除去することができ、その後、本洗浄槽54で洗浄、滅菌、乾燥等の処理を行うことにより、再利用可能な清浄なゴム栓8を安定して得ることができる。特に、本実施形態のゴム栓洗浄方法によれば、第1粗洗浄処理の際、及び粗洗浄槽11から本洗浄槽54へゴム栓を圧送する際に、純水を循環供給して再利用できるため、純水の使用量を低減して、ゴム栓洗浄における大幅なコストダウンを図ることができる。
【0088】
なお、上記本実施形態では、ゴム栓の粗洗浄において、第1粗洗浄処理を行った後に第2粗洗浄処理を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば先に前記第2粗洗浄処理(図7)を行った後に、前記第1粗洗浄処理(図6)を行うようにしても良い。
【0089】
また本実施形態では、ゴム栓を粗洗浄槽11から本洗浄槽54に搬送する際に、本洗浄槽54から排出された純水を濾過槽16の貯留部58に戻した後に循環ポンプ17によって循環供給している。しかし、本発明では、例えば循環ポンプ17とは別途に第2循環ポンプを配設しておき、本洗浄槽54から排出された純水をその第2循環ポンプを用いて粗洗浄槽11に直接循環供給することによって、純水の再利用を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、使用済みの製薬容器のゴムの蓋、輸血用容器の蓋、注射器のゴム部品などに洗浄、滅菌、乾燥、冷却等を行う場合に有効に適用され、粗洗浄を効果的に行なうことができ、更に洗浄水の使用量を大幅に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明のゴム栓洗浄装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】粗洗浄槽の断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った矢視断面図である。
【図5】粗洗浄槽に配される多孔板の正面図である。
【図6】第1粗洗浄処理を概略的に説明する模式説明図である。
【図7】第2粗洗浄処理を概略的に説明する模式説明図である。
【図8】粗洗浄槽から本洗浄槽へのゴム栓の搬送を概略的に説明する模式説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1 ゴム栓洗浄装置
2 粗洗浄手段
3 本洗浄手段
4 輸送管
4a 第1開閉バルブ
5 洗浄水供給源
6 気体供給源
8 ゴム栓
11 粗洗浄槽
12 第1排出口
13 多孔板
14 第2排出口
15 ダンパー
16 濾過槽
17 第1循環ポンプ
18 第2循環ポンプ
19 制御装置
27 第1気体導入口
29 第2気体導入口
31 第1気体供給管
31a 第3開閉バルブ
31b 第4開閉バルブ
36 取水口
38 洗浄液供給管
38a 第5開閉バルブ
39 洗浄液導入管
42 第2気体供給管
42a 第6開閉バルブ
43 排水管
43a 第2開閉バルブ
46 注水口
48 濾過網部
49 放水口
50 戻し口
51 第1流路
51a 第7開閉バルブ
52 第2流路
52a 第8開閉バルブ
54 本洗浄槽
56a 切換バルブ
57 戻し管
62 戻し管路
63 連通管
63a 第9開閉バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゴム栓を粗洗浄槽(11)に投入し、洗浄水供給源(5)から前記粗洗浄槽(11)内に洗浄水を供給して前記ゴム栓を粗洗浄し、その後、粗洗浄した前記ゴム栓を前記粗洗浄槽(11)の底部に設けた搬出口(24)から輸送管(4)を介して本洗浄槽(54)に輸送し、同本洗浄槽(54)内で前記ゴム栓を洗浄、滅菌、乾燥等で処理するゴム栓洗浄装置(1)であって、
前記輸送管(4)に配された少なくとも1つの切換バルブ及び/又は開閉バルブ(4a)と、
前記粗洗浄槽(11)内の前記洗浄水と、同洗浄水よりも比重の軽い異物とを前記粗洗浄槽(11)からオーバーフローさせて排出する第1排出口(12)と、
前記輸送管(4)から前記切換バルブ及び/又は開閉バルブ(4a)を介して分岐され、前記粗洗浄槽(11)内の前記洗浄水と、同洗浄水よりも比重の重い異物とを排出する第2排出口(14)と、
前記粗洗浄槽(11)内に配され、前記洗浄水と前記比重の重い異物とが通過可能で、且つ、前記ゴム栓を塞き止める位置と通過させる位置とに切換え可能な下部塞き止め部(15)と、
前記粗洗浄槽(11)の下部に配され、前記洗浄水を前記粗洗浄槽(11)内へ供給する取水口(36)と、
を備えてなることを特徴とするゴム栓洗浄装置。
【請求項2】
前記粗洗浄槽(11)内の前記取水口(36)よりも上部で、且つ、前記第1排出口(12)の上流部に配され、前記洗浄水と前記比重の軽い異物とが通過可能で、且つ、前記ゴム栓を塞き止める上部塞き止め部(13)を備えてなる請求項1記載のゴム栓洗浄装置。
【請求項3】
前記比重の軽い異物を含んだ前記洗浄水を濾過する濾過槽(16)と、
前記第1排出口(12)と前記濾過槽(16)の注水口(46)とを接続する第1流路(45)と、
前記濾過槽(16)の放水口(49)と前記粗洗浄槽(11)の前記取水口(36)とを接続する第2流路(52)と、
前記第2流路(52)上に配された第1循環ポンプ(17)と、
を備えてなり、
前記粗洗浄槽(11)、前記第1排出口(12)、前記第1流路(45)、前記濾過槽(16)、前記第2流路(52)、及び前記取水口(36)が、循環路を形成してなる請求項1又は2記載のゴム栓洗浄装置。
【請求項4】
高圧の気体を供給する気体供給源(6)と、
前記粗洗浄槽(11)の上部に配され、前記気体供給源(6)から供給される高圧の気体を粗洗浄槽(11)内に導入する第1気体導入口(27)と、
を備えてなる請求項1〜3のいずれかに記載のゴム栓洗浄装置。
【請求項5】
前記本洗浄槽(54)の一端に液体排出口(61)が配されてなり、
前記液体排出口(61)と前記粗洗浄槽(11)の前記取水口(36)とを接続する戻し管路(62)と、前記戻し管路(62)上に配された第2循環ポンプ(18)と、を備えてなる、
請求項4記載のゴム栓洗浄装置。
【請求項6】
前記第1循環ポンプ(17)と前記第2循環ポンプ(18)とが、同じ循環ポンプ(17)であり、前記戻し管路(62)の一部が、前記第2流路(52)で構成されてなり、
前記濾過槽(16)は貯留部(58)を有し、前記戻し管路(62)上の前記循環ポンプ(17)の上流側に前記貯留部(58)が配されてなる
請求項5記載のゴム栓洗浄装置。
【請求項7】
前記下部塞き止め部(15)の下流側に、高圧の気体を粗洗浄槽(11)内に導入する第2気体導入口(29)が配されてなる請求項1〜6のいずれかに記載のゴム栓洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄水供給源(5)の洗浄水供給量及び供給時期、前記切換バルブ及び/又は開閉バルブ(4a)の開閉操作等を自動制御する制御装置(19)を備えてなる請求項1〜7のいずれかに記載のゴム栓洗浄装置。
【請求項9】
複数のゴム栓を粗洗浄槽(11)に投入し、洗浄水供給源(5)から前記粗洗浄槽(11)内に洗浄水を供給して前記ゴム栓を粗洗浄し、その後、粗洗浄した前記ゴム栓を前記粗洗浄槽(11)の底部に設けた搬出口(24)から輸送管(4)を介して本洗浄槽(54)に輸送し、同本洗浄槽(54)内で前記ゴム栓を洗浄、滅菌、乾燥等で処理するゴム栓洗浄方法であって、
前記粗洗浄は、
前記洗浄水と同洗浄水よりも比重の軽い異物とを粗洗浄槽(11)からオーバーフローさせて排出する第1粗洗浄処理と、
前記粗洗浄槽(11)内の下部に下部塞き止め部(15)を設け、同下部塞き止め部(15)により前記ゴム栓を塞き止めるとともに、同下部塞き止め部(15)を通過した前記洗浄水と同洗浄水よりも比重の重い異物とを、前記粗洗浄槽(11)の前記搬出口(24)の下流部で排出する第2粗洗浄処理と、
を含むことを特徴とするゴム栓洗浄方法。
【請求項10】
前記第1粗洗浄処理において、前記粗洗浄槽(11)内の上部に上部塞き止め部(13)を設け、同上部塞き止め部(13)により、前記洗浄水と前記比重の軽い異物とを通過させるとともに前記ゴム栓を塞き止める請求項9記載のゴム栓洗浄方法。
【請求項11】
前記第1粗洗浄処理において、前記比重の軽い異物とともに排出された前記洗浄水を濾過槽(16)にて濾過し、濾過された前記洗浄水を循環ポンプ(17)により前記粗洗浄槽(11)に循環供給する請求項9又は10記載のゴム栓洗浄方法。
【請求項12】
前記第1粗洗浄処理及び/又は前記第2粗洗浄処理を行う際に、前記下部塞き止め部(15)の下流側から高圧の気体を粗洗浄槽(11)内に導入して、同粗洗浄槽(11)内の洗浄水をバブリングする請求項9〜11のいずれかに記載のゴム栓洗浄方法。
【請求項13】
前記粗洗浄の終了時に、前記粗洗浄槽(11)内の前記洗浄水を前記搬出口(24)の下流部から排出し、
前記洗浄水の排出後に、前記粗洗浄槽(11)に搬送用の液体を供給し、前記粗洗浄槽(11)の上部に配した第1気体導入口(27)、及び/又は、前記粗洗浄槽(11)の下部若しくは前記搬出口(24)の下流部に配した第2気体導入口(29)から高圧の気体を導入することにより、前記ゴム栓を前記搬送用液体とともに前記粗洗浄槽(11)の前記搬出口(24)から前記本洗浄槽(54)に圧送する、
請求項9〜12のいずれかに記載のゴム栓洗浄方法。
【請求項14】
前記ゴム栓と前記搬送用液体の圧送時に、前記本洗浄槽(54)から排出される前記搬送用液体を循環ポンプ(17)により前記粗洗浄槽(11)に循環供給する請求項13記載のゴム栓洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−319799(P2007−319799A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153682(P2006−153682)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000107424)ジャパンマシナリー株式会社 (2)
【出願人】(000222336)トーステ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】