説明

ゴム物品補強用スチールコードの製造方法

【課題】断線し難い優れた延性を持ち、撚線等の加工を加えても延性の低下が少ないゴム物品補強用スチールコードが製造可能な、湿式伸線によるゴム物品補強用スチールコードの製造方法を提供する。
【解決手段】ゴム物品補強用スチールコードの製造方法は、ブラスメッキしたスチールワイヤを湿式伸線して製造された複数本のフィラメントを撚り合わせてなるゴム物品補強用スチールコードの製造方法において、前記湿式伸線において使用する湿式潤滑剤が所定の化学式で示されるジアルキルジチオリン酸亜鉛、及びOHとOR(ここで、Rは炭素数が3〜20である)を一つ以上有するリン化合物を含む。また、前記湿式潤滑剤が、直鎖状ノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度のスチールワイヤを伸線する場合でも、断線し難い優れた延性を持ち、撚線等の加工を加えても延性の低下が少ないゴム物品補強用スチールコードを製造することができる湿式伸線によるゴム物品補強用スチールコードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム物品の一例であるタイヤにおいては、そのベルトやカーカスにスチールコードをゴムで被覆したものを適用し、タイヤの補強を図っている。このようなゴム物品補強用スチールコードは、通常、ブラスメッキされたスチールワイヤを所望の径に伸線してスチールフィラメントを得、該スチールフィラメントを所望の本数にて撚り合わせることにより製造される。この伸線加工は、一般に、スリップ型多段式伸線機を用いて行われる。
【0003】
ブラスメッキが施されたスチールワイヤを、スリップ型多段式伸線機と、極圧添加剤及び界面活性剤等を含有する湿式潤滑剤とを用いて湿式伸線する場合、一般に、該極圧添加剤としてリン酸エステルの亜鉛錯体等を利用することにより、伸線時のスリップ型多段式伸線機におけるダイスとワイヤ間の摩擦を低減しダイスやワイヤの損傷を抑制できる。この工夫は、スチールコードの生産性を高めるのに非常に大きな役割を果たしてきた。(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、高強度のスチールワイヤを伸線する際には、加工される鋼線材の変形抵抗が高いために加工に伴う発熱が大きくなり、時効硬化によるスチールワイヤの劣化や、ダイスの摩耗促進等の問題が発生し易く、上記工夫のみではかかる問題を解決するために十分ではなかった。
【0005】
一方、ジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物(ZnDTP)は、優れた耐摩耗性と酸化防止性を有することから、エンジン油や油圧作動油などの比較的厳しい条件において、潤滑剤に広く用いられてきたが、これまで実用的に用いられてきたジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物は、スチールコード生産においては殆ど使用されていない。
【0006】
【特許文献1】特開2002−241781号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような状況下、本発明者がZnDTPを添加した湿式潤滑剤を使用してブラスメッキしたスチールワイヤの伸線を行ったところ、高強度鋼材において高い延性値とゴムとの接着性を両立させることが可能であることが明らかとなった。しかしながら、このようにZnDTPのみを添加した湿式潤滑剤を使用して伸線を行うと、伸線したスチールワイヤ表面の均一性に問題が生じるため、更に改良の余地がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、湿式伸線することにより、従来よりも優れたゴム物品補強用スチールコードを得ることである。
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定構造のZnDTPとリン化合物を添加した湿式潤滑剤を用いて湿式伸線することにより、従来よりも優れたゴム物品補強用スチールコードが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明のゴム物品補強用スチールコードの製造方法は、ブラスメッキしたスチールワイヤを湿式伸線して製造された複数本のフィラメントを撚り合わせてなるゴム物品補強用スチールコードの製造方法において、
前記湿式伸線において使用する湿式潤滑剤が下記式(I):
【化1】

[式中、R基はアルキル基である]で示されるジアルキルジチオリン酸亜鉛、及びOH基とOR基(ここで、Rは炭素数が3〜20である)を一つ以上有するリン化合物を含むことを特徴する。
【0011】
また、本発明のゴム物品補強用スチールコードの製造方法は、前記湿式潤滑剤が、直鎖状ノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。
【0012】
本発明のゴム物品補強用スチールコードの製造方法の好適例においては、前記湿式潤滑剤において、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び前記リン化合物の総質量が前記湿式潤滑剤の0.05〜5.0質量%である。
【0013】
また、本発明のゴム物品補強用スチールコードの製造方法は、前記リン化合物中のOR基のR部分が、炭素数が4〜18であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高強度のスチールワイヤを伸線する場合でも、断線し難い優れた延性を持ち、撚線等の加工を加えても延性の低下が少ないゴム物品補強用スチールコードを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図を参照しながら本発明のゴム物品補強用スチールコードの製造方法を詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法で使用するスリップ型多段式伸線機の一例である。
【0016】
図1に示すスリップ型多段式伸線機1においては、湿式潤滑剤2の充填された潤滑液槽3内に、2基の多段の駆動キャプスタン4A、4Bが互いに対向して配置されており、これら駆動キャプスタン4A、4Bの各段に、ダイス5を介してスチールワイヤ6を交互に掛け渡す過程において、各段毎にダイス5によりスチールワイヤ6の伸線が行われる。伸線されたスチールワイヤ6は、最終ダイス7を経て、潤滑液槽3外に配置された駆動キャプスタン8から、巻き取り工程へと送られる。
【0017】
かかる湿式伸線において、本発明のゴム物品補強用スチールコードの製造方法は、湿式潤滑剤2として、上記式(I)で示されるジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物(ZnDTP)、及びOH基とOR基を一つ以上有するリン化合物を含むことを特徴する。このように特定構造のZnDTP及びリン化合物を含む湿式潤滑剤を使用して湿式伸線を行うと、これら成分の相乗効果によってダイス5とスチールワイヤ6間に強固な潤滑被膜が形成されるため、スチールワイヤの変形抵抗に伴う発熱を抑制し、時効硬化によるスチールコードの劣化やダイスの摩耗が低減できる。
【0018】
上記式(I)において、R基はアルキル基であることを特徴とする。ここで、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル基等が挙げられる。
【0019】
また、前記リン化合物は、OH基とOR基を一つ以上有し、Rは炭素数が3〜20であることを特徴とし、該リン化合物としては、亜リン酸モノエステル、亜リン酸ジエステルが挙げられる。ここで、Rとしてはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基(アルキル基、アルケニル基は直鎖でも分枝状でもよく、またアルケニル基の二重結合の位置は任意である。)が挙げられ、アルケニル基であることが好ましい。
【0020】
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル基等が挙げられ、オレイル基が好ましい。
【0021】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル基等が挙げられる。
【0022】
アリール基、アルキルアリール基としては、例えば、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、フェニルフェニル、ベンジルフェニル、スチレン化フェニル、p−クミルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基などが挙げられる。
【0023】
シクロアルキル基、シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基などが挙げられる。
【0024】
前記リン化合物として、具体的には、モノオレイルハイドロジェンホスファイト、モノイソブチルハイドロジェンホスファイト、モノイソペンチルハイドロジェンホスファイト、モノ2,3−ジメチルブチルハイドロジェンホスファイト、モノイソヘプチルハイドロジェンホスファイト、モノ2−エチルヘキシルハイドロジェンホスファイト、モノオレイルハイドロジェンホスファイト、モノイソブチルハイドロジェンホスファイト、モノイソペンチルハイドロジェンホスファイト、モノ2,3−ジメチルブチルハイドロジェンホスファイト、モノイソヘプチルハイドロジェンホスファイト、モノ2−エチルヘキシルハイドロジェンホスファイト等の亜リン酸モノエステルや、また、ジオレイルハイドロジェンホスファイト、ジイソブチルハイドロジェンホスファイト、ジイソペンチルハイドロジェンホスファイト、ジ2,3−ジメチルブチルハイドロジェンホスファイト、ジイソヘプチルハイドロジェンホスファイト、ジ2−エチルヘキシルハイドロジェンホスファイト等の亜リン酸ジエステルが挙げられ、モノオレイルハイドロジェンホスファイト及びジオレイルハイドロジェンホスファイトが好適である。
【0025】
ここで、ZnDTPとリン化合物との質量比は同比率が好ましいが、1:2〜2:1でもよい。
【0026】
上記成分を潤滑剤中に分散させる方法としては、界面活性剤の選定が重要なポイントである。該界面活性剤としては、直鎖状ノニオン界面活性剤が好ましく、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステルが好適に挙げられる。また、添加剤と界面活性剤との配合比は2:8〜5:5が好ましい。
【0027】
また、前記湿式潤滑剤において、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び前記リン化合物の総質量が前記湿式潤滑剤の0.05〜5.0質量%であることが好ましい。ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び前記リン化合物の総質量が前記湿式潤滑剤の0.05質量%未満であるとスチールコードの延性を向上させる効果が十分ではなく、5.0質量%を超えるとスチールコードの延性を向上させる効果が上昇しないため、コストの点から好ましくない。また、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び前記リン化合物の各添加量については特に限定されないが、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛は0.03〜3.0質量%、前記リン化合物は0.02〜2.0質量%の範囲が好ましい。
【0028】
また、前記リン化合物中のOR基のR部分は、炭素数が4〜18であることが好ましい。ここで、R部分の炭素数が4未満であるか又は12を超えると、スチールコードの延性を向上させる効果が低下する。なお、スチールコードの延性を更に向上させる観点から、前記R部分の炭素数は6〜10であることが好ましい。また、R基は直鎖状、分枝状どちらでも良いが、摩擦を低下させてスチールコード表面のすべり性を向上させる効果が高いため、直鎖状が好ましい。
【0029】
本発明において、湿式潤滑剤について上記条件を満たせば、伸線工程に係るその他の条件、例えば、ワイヤ速度や、スリップ型多段式伸線機におけるスリップ速度、ダイス形状等については、特に制限されない。また、本発明の伸線方法は、湿式伸線によりスチールワイヤの伸線を行うものであれば、形式については特に制限されるものではなく、単独伸線及び連続伸線のいずれでも構わない。
【0030】
また、本発明のゴム物品補強用スチールコードは、上記伸線方法により得られるスチールワイヤのフィラメントが複数本にて撚り合わされてなるものであれば、その撚り構造等は特に制限されない。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0032】
(実施例1〜17)
直径約5.5mmの高炭素鋼線材に、直径が約1.6mmとなるまで繰り返し乾式伸線を施した後、パテンティング処理及びブラスメッキ処理を加えて準備したフィラメントについて、図1に示すスリップ型多段式伸線機1を用いて、また湿式潤滑剤2として各表等に示す成分を含有する湿式潤滑剤を用いて直径が約0.20mmとなるまで伸線を実施した。得られたスチールワイヤについてそれぞれ繰り返し捻り試験を行い、比較例の値を100としてそれぞれ指数化した。結果を表1〜3に示す。繰り返し捻り試験は以下の方法により実行した。なお、記載した成分の残部については、通常の潤滑剤組成からなる潤滑液を添加した。
【0033】
(繰り返し捻り試験の測定方法)
繰り返し捻り試験は、得られたスチールワイヤに時計方向及び反時計方向に回転を繰り返し与えて、クラックが入るまでの繰り返し回数を数えることによって行った。また、比較例の値を100として実施例の値を指数化した。繰り返し捻り試験の指数は、数値が高いほどスチールワイヤの延性が良好であることを示す。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
表1は、潤滑剤におけるZnDTPとリン化合物で構成される成分を添加した場合と延性を示す繰り返し捻り試験との関係を示したものである。ここで、ZnDTPとしては上記式(I)で示されRが炭素数8の化合物を、リン化合物としては亜リン酸ジエステルを用いた。該表から分かるように、ZnDTPとリン化合物で構成される成分が0.05質量%以上になると繰り返し捻り試験値が向上する。一方、ZnDTPとリン化合物で構成される成分が5.0質量%を超えてもそれ以上繰り返し捻り試験値の改善は見られない。そのため、ZnDTPとリン化合物で構成される成分の湿式潤滑剤への添加量は0.05〜5.0質量%が好ましい。
【0038】
表2は、潤滑剤におけるリン化合物のR基の長さとスチールワイヤの延性を示す繰り返し捻り試験値との関係を示したものである。ここで、ZnDTPとしては上記式(I)で示されRが炭素数8の化合物を、リン化合物としては亜リン酸ジエステルを用いた。該表からリン化合物としてR基が直鎖状で炭素数4〜12の化合物を潤滑剤に加えた場合にスチールワイヤの繰り返し捻り試験値が改善することが分かる。そのため、R基は直鎖状で炭素数が4〜12であることが好ましい。
【0039】
表3は、潤滑液中のZnDTP濃度、潤滑液中のリン化合物濃度、及びZnDTP及びリン化合物と界面活性剤との質量比をそれぞれ本発明の規定内とした実施例と、潤滑剤にZnDTP、リン化合物及び界面活性剤を含まない比較例3でのスチールワイヤの繰り返し捻り試験値を示している。ここで、ZnDTPとしては上記式(I)で示されRが炭素数8の化合物を、リン化合物としては亜リン酸ジエステルを、界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた。ここで、表3は、実施例15のようにリン化合物と界面活性剤を添加しただけではスチールワイヤの繰り返し捻り試験値が向上しないが、実施例16のようにZnDTPと界面活性剤を、また実施例17のようにZnDTP、界面活性剤及びリン化合物を添加することによって繰り返し捻り試験値が向上することを示している。また、本発明の方法を用いることにより、ダイス寿命をのばすこと及び伸線の高速化にも有効であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】多段スリップ型湿式伸線装置を示す概略模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 スリップ型多段式伸線機
2 湿式潤滑剤
3 潤滑液槽
4A,4B 駆動キャプスタン
5 ダイス
6 最終ダイス
7 駆動キャプスタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラスメッキしたスチールワイヤを湿式伸線して製造された複数本のフィラメントを撚り合わせてなるゴム物品補強用スチールコードの製造方法において、
前記湿式伸線において使用する湿式潤滑剤が下記式(I):
【化1】

[式中、R基はアルキル基である]で示されるジアルキルジチオリン酸亜鉛、及びOHとOR(ここで、Rは炭素数が3〜20である)を一つ以上有するリン化合物を含むことを特徴するゴム物品補強用スチールコードの製造方法。
【請求項2】
前記湿式潤滑剤が、直鎖状ノニオン界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム物品補強用スチールコードの製造方法。
【請求項3】
前記湿式潤滑剤において、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び前記リン化合物の総質量が前記湿式潤滑剤の0.05〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載のゴム物品補強用スチールコードの製造方法。
【請求項4】
前記リン化合物中のOR基のR部分は、炭素数が4〜18であることを特徴とする請求項1に記載のゴム物品補強用スチールコードの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−269061(P2009−269061A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122663(P2008−122663)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】