説明

ゴム部材及びゴムロール並びにゴム部材の製造方法

【課題】 耐汚染性に優れ、連続気泡で高発泡のゴム部材及びゴムロール並びにゴム部材の製造方法を提供する。
【解決手段】 ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを含有するゴム組成物を発泡して成形した連続気泡の発泡弾性体からなり、発泡倍率が2.5〜4.5倍である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真式複写機及びプリンター、又はトナージェット式複写機及びプリンター等の画像形成装置に用いられる帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロール、クリーニングロール、転写ベルト、クリーニングブレードに好適なゴム部材及びゴムロール並びにゴム部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機及びプリンターなどの画像形成装置に用いられるゴム部材としては、ウレタン、EPDM、シリコーンゴム、ポリオレフィンゴム、エピクロルヒドリンゴム等に導電性を持たせたゴムロールが使用されている。近年は装置の小型化に伴い、ローラ外径も小径化する傾向があり、ニップ量の確保の観点から低硬度化が要求されている。そこで、ゴム部材として、発泡弾性体を用いたものが提案されており、発泡弾性体の配合や発泡倍率により、硬度(当接圧)や摩擦係数を調整している。
【0003】
そこで、低粘度のオイル等の可塑剤を配合して粘度を下げることにより、低硬度化を実現したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ゴム基材に配合する発泡剤や加硫促進剤の配合バランスで加硫速度と発泡速度を調整することで、発泡倍率を向上させることにより低硬度としたものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2866308号公報
【特許文献2】特許第4070011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、可塑剤を配合したり、発泡剤や加硫促進剤を多量に配合したりすると、これらがブリードして、当接する部材を汚染してしまうことが問題となっていた。また、可塑剤を配合した場合は、長期間使用をすると可塑剤がブリードすることにより、外径寸法が変化してしまうことが問題となっていた。
【0006】
また、発泡倍率を高くすることにより低硬度化する方法がある。しかしながら、クロスヘッド押出成形の場合、独立気泡の発泡弾性体を成形しようとすると、ロール状のゴム組成物の内部にガスが溜まることにより発泡時に割れが生じてしまうという問題や、ゴムロール内部に残留していたガスが成形後に抜けることにより、寸法安定性が低くなるという問題があり、連続気泡の発泡弾性体しか成形することができない。
【0007】
しかしながら、連続気泡の発泡弾性体からなるゴムロールは、クロスヘッド押出成形に限らず、押出成形、金型成型等のいずれの製造方法においても、発泡倍率を高くすることができないことが問題となっていた。
【0008】
このような問題は、ゴムロールだけでなく、ベルト、ブレード等の場合にも問題となっていた。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、耐汚染性に優れ、連続気泡で高発泡のゴム部材及びゴムロール並びにゴム部材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを含有するゴム組成物を発泡して成形した連続気泡の発泡弾性体からなり、発泡倍率が2.5〜4.5倍であることを特徴とするゴム部材にある。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のゴム部材において、前記ゴム組成物は、前記ゴム基材100質量部に対して、前記アゾジカルボンアミド1.5〜6質量部、前記変性ベントナイトを1〜10質量部配合したものであることを特徴とするゴム部材にある。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様に記載のゴム部材において、前記発泡弾性体のゴム硬度は、Asker Cで25°以下であることを特徴とするゴム部材にある。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1〜3のいずれか一つの態様に記載のゴム部材において、前記発泡弾性体の平均セル径が200μm以下であることを特徴とするゴム部材にある。
【0014】
本発明の第5の態様は、芯金の外周に、第1〜4のいずれか一つの態様に記載のゴム部材を具備することを特徴とするゴムロールにある。
【0015】
本発明の第6の態様は、ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを含有するゴム組成物を、発泡剤が分解した後に加硫が進行するような条件で加硫発泡させることにより、連続気泡の発泡弾性体からなるゴム部材を成形することを特徴とするゴム部材の製造方法にある。
【0016】
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載のゴム部材の製造方法において、前記ゴム組成物として、前記ゴム基材100質量部に対して、前記アゾジカルボンアミド1.5〜6質量部、前記変性ベントナイトを1〜10質量部配合したものを用いることを特徴とするゴム部材の製造方法にある。
【0017】
本発明の第8の態様は、第6又は第7の態様に記載のゴム部材の製造方法において、前記ゴム組成物を芯金の外周に被覆して加硫発泡させることにより、ゴム部材を成形することを特徴とするゴム部材の製造方法にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、耐汚染性に優れ、連続気泡で高発泡のゴム部材及びゴムロール並びにゴム部材の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のゴム部材は、ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを含有するゴム組成物を発泡して成形した連続気泡の発泡弾性体からなり、発泡倍率が2.5〜4.5倍である。すなわち、本発明では、アゾジカルボンアミドを発泡剤とし、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトを併用することにより、連続気泡で且つ発泡倍率の高いゴム部材を容易に実現することができる。具体的には、ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを含有し、これらの配合比率等を適宜調整することにより、発泡倍率を所定の値とすることができる。
【0020】
本発明のゴム部材は、連続気泡の発泡弾性体からなり、発泡倍率が2.5〜4.5倍である。ここでいう連続気泡とは、連続気泡率が50%以上のものを指し、好ましくは80%以上である。連続気泡率は、全体の気泡の中の連続気泡の割合であり、以下の式より求められる。
【0021】
【数1】

【0022】
上述したゴム組成物を加硫発泡させることで、連続気泡の発泡弾性体からなり、2.5〜4.5倍のゴム部材を実現することができる。このゴム部材は、連続気泡からなることにより寸法安定性に優れており、また、発泡倍率が高く低硬度である。なお、発泡倍率が2.5倍未満となると硬度が上昇してしまい低硬度とすることができず、また、発泡倍率が低いことにより、押出し外径を大きくしなければならず、発泡剤成分などが分解せずに内部に残りやすいためブリードによる汚染が問題となる。さらに、ゴム部材を転写ロールとして用いた場合は、十分なニップ量を確保できないことが問題となる。一方、発泡倍率が4.5倍より大きくなると、セル径が肥大化するために表面が粗悪になってしまう。また、4.5倍より大きくなると、強度が弱くなり、部分的にロール表面に亀裂が発生してしまう。さらに、発泡倍率が4.5倍より大きいゴム部材を転写ロールとして用いた場合、画像不良が生じやすい。
【0023】
本発明にかかるゴム組成物は、ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを含有するものである。加硫促進剤を増量すると、加硫進行時のゴム組成物の粘度が上昇してしまうことにより高発泡の発泡弾性体が得られないが、アゾジカルボンアミドと変性ベントナイトとを併用すると、加硫進行時のゴム組成物の粘度を上昇させることがなく、発泡倍率が高く連続気泡からなる発泡弾性体とすることができる。すなわち、寸法安定性に優れ、低硬度のゴム部材とすることができる。また、発泡剤や発泡助剤を多量に配合した場合のようにブリードが生じる虞がなく、耐汚染性に優れたものとなる。
【0024】
ここで、ベントナイトとは、モンモリロナイトを主成分とし、石英、雲母、ゼオライト、長石等の副成分を含有する鉱物集合体である。本発明にかかるベントナイトは、精製することによりモンモリロナイトの割合を多くしたものを用いてもよい。変性ベントナイトとは、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性したものであり、好ましくは第四級アンモニウム塩で変性したものである。
【0025】
ゴム基材は、特に限定されず、例えば、天然ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらのゴム基材は併用してもよく、用途・目的に応じて、種類、組み合わせを適宜選択する。本発明は、2種以上のゴム基材を配合する場合に特に効果的である。従来の配合では、2種以上をブレンドしたゴム基材の場合、ゴムの加硫速度が異なるため、単体で発泡させるよりも発泡倍率が大きく低下してしまうが、本発明にかかるゴム組成物は、2種以上をブレンドしたゴム基材を用いても、発泡倍率の高いゴム部材とすることができる。
【0026】
かかるゴム組成物は、発泡助剤、加硫剤、加硫促進剤、充填剤等を必要に応じて混合されたものである。
【0027】
発泡助剤は、一般的に使用されるものを用いればよく、例えば、尿素、鉛、亜鉛、カドミウム化合物、硼砂、エタノールアミン、アルカリ性化合物等を挙げることができる。
【0028】
また、加硫剤としては、硫黄、過酸化物、樹脂架橋剤、無機加硫剤等が挙げられ、加硫促進剤としては、グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チラウム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系などの有機系加硫促進剤、酸化亜鉛などの無機加硫促進剤等が挙げられる。なお、硫黄加硫を行う場合は、チウラム系加硫促進剤、又はチウラム系加硫促進剤と他の加硫促進剤の併用が好ましく、前述した加硫促進剤を用いることで、比較的弾力性のある発泡弾性体が得られる。
【0029】
充填剤としては、カーボンブラック、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、ハイスチレン樹脂、クレイ、タルク、けい酸マグネシウム、ウォラストナイト、ゼイライト、チタン酸カリウム、けい藻土、けい砂、軽石粉、アルミホワイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブテン、エポナイト、シリコーン樹脂粉末等が挙げられる。
【0030】
本発明にかかるゴム組成物は、ゴム基材100質量部に対して、アゾジカルボンアミド1.5〜6質量部、変性ベントナイトを1〜10質量部配合したものであるのが好ましい。これによれば、容易に連続気泡で発泡倍率の高い発泡弾性体とすることができる。なお、アゾジカルボンアミドが1.5質量部未満となると発泡させることができなくなる虞があり、変性ベントナイトが1質量部未満となると発泡倍率を高くする効果が十分に得られなくなってしまう。また、アゾジカルボンアミドが多くなりすぎると、ブリードする虞がある。また、変性ベントナイトが多くなりすぎると、発泡倍率が低下してしまう虞がある。
【0031】
また、ゴム組成物は、ムーニー粘度ML(1+4)100℃が10〜40であるのが好ましい。ムーニー粘度が10未満となると、粘度が低すぎる為に熱風炉などで加硫発泡した際にゴムがダレてしまい成型体が不均一になる虞がある。一方、ムーニー粘度が40より大きいと粘度が高くなるために気泡が十分な大きさに成長しないため高発泡体を得ることが難しくなる。
【0032】
本発明のゴム部材は、発泡弾性体のゴム硬度がAsker Cで25°以下とすることができる。
【0033】
また、本発明のゴム部材は、平均セル径が200μm以下であるのが好ましい。平均セル径が200μmより大きいと、表面が粗悪になる虞がある。例えば、転写ロールとした場合、抵抗ムラが発生しやすくなったり、紙粉等が混入して表面抵抗が上昇したりすることにより画像不良が発生する虞がある。
【0034】
耐久性が低下したり、セット性が低下して起動時の立ち上がりの性能の低下等が生じたりする虞がある。
【0035】
ここで、本発明のゴム部材の一実施形態であるゴムロールの製造方法について説明する。
【0036】
まず、ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトと、その他必要に応じて発泡助剤、加硫剤、加硫促進剤、充填剤等とを混合してゴム組成物を得る。このとき、ゴム組成物は、ゴム基材100質量部に対して、アゾジカルボンアミド1.5〜6質量部、変性ベントナイトを1〜10質量部配合するようにするのが好ましい。
【0037】
そして、このゴム組成物を芯金の外周に被覆させて、発泡剤が分解した後に加硫が進行するような条件で加硫発泡させる。これにより、連続気泡の発泡弾性体からなるゴムロールが成形される。
【0038】
ここで、発泡剤が分解した後に加硫が進行するような条件とは、加硫の進行の初期段階に発泡が十分に進行するような条件を指す。例えば、発泡進行度が50%の時における加硫進行度が5%以下となるようにするのが好ましい。通常の配合では、発泡が加硫よりも先行すると粘度が低くなり過ぎるために気泡が保持されずガスが外へ逃げてしまい充分に発泡しないが、本発明では、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを併用することにより、このような問題が生じることがなく、連続気泡で発泡倍率の高いゴム部材を製造することができる。なお、加硫が進行した後に発泡剤が分解するようにすると、連続気泡ではなく独立気泡の発泡弾性体となってしまう。
【0039】
本発明のゴム部材の製造方法によれば、連続気泡で高発泡のゴムロールとすることができる。本実施形態では、ゴムロールをクロスヘッド押出し成形により製造する方法を例示したが、これに限定されるものではない。本発明のゴム部材は、通常の押出成型、射出成型、金型成型等においても製造することができる。
【0040】
また、本発明のゴム部材の製造方法において、加硫発泡させる装置は特に限定されないが、例えば電気炉によって加硫発泡を行うフリー発泡を採用することができ、このようなフリー発泡においても、連続気泡で発泡倍率の高いゴム部材を製造することができる。勿論、蒸気加硫缶を用いた加圧発泡や金型発泡で加硫発泡してもよい。
【0041】
本発明のゴム部材は、電子写真式複写機及びプリンター、又はトナージェット式複写機及びプリンター等の画像形成装置に用いられる帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロール、クリーニングロール、転写ベルト、クリーニングブレードに好適に用いることができる。
【0042】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
アクリロニトリルブタジエンゴム(JSRN231L;JSR株式会社製)(以下、NBR(1)とする)70質量部、エピクロルヒドリンゴム(ECO)(CG102;ダイソー株式会社製)30質量部に、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイト(1)(エスベンNX;ホージュン社製)1.5質量部、加硫剤として硫黄1.0質量部、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)(ビニホールAC#R;永和化成工業社製)4質量部、酸化亜鉛5.0質量部、ステアリン酸1.0質量部、老化防止剤0.8質量部、発泡助剤4.0質量部、加硫促進剤(A)1.0質量部、加硫促進剤(B)1.0質量部を配合したゴム組成物をロールミキサーで混練りし、これを押出し成型してφ6mmのシャフトに装着し、160℃×1時間で加硫・発泡を行うことでロールを得た。得られたロールを予備研磨、突っ切りして、実施例1のゴムロールを得た。
【0044】
(実施例2)
変性ベントナイト(1)を3質量部とした以外は実施例1と同様にして、実施例2のゴムロールを得た。
【0045】
(実施例3)
変性ベントナイト(1)を6質量部とした以外は実施例1と同様にして、実施例3のゴムロールを得た。
【0046】
(実施例4)
変性ベントナイト(1)を9質量部とした以外は実施例1と同様にして、実施例4のゴムロールを得た。
【0047】
(実施例5)
変性ベントナイト(1)の代わりに、変性ベントナイト(2)(エスベン;ホージュン社製)3質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5のゴムロールを得た。
【0048】
(実施例6)
発泡剤を6質量部とし、発泡助剤を6質量部とした以外は実施例2と同様にして、実施例6のゴムロールを得た。
【0049】
(実施例7)
NBR(1)を85質量部、ECOを15質量部、硫黄を1.2質量部とした以外は実施例2と同様にして、実施例7のゴムロールを得た。
【0050】
(実施例8)
ECOを用いず、NBR(1)を100質量部とし、硫黄を1.5質量部とした以外は実施例2と同様にして、実施例8のゴムロールを得た。
【0051】
(実施例9)
NBR(1)を用いず、ECOを100質量部とし、硫黄を1.5質量部とした以外は実施例2と同様にして、実施例9のゴムロールを得た。
【0052】
(比較例1)
変性ベントナイト(1)を用いなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1のゴムロールを得た。
【0053】
(比較例2)
変性ベントナイト(1)の代わりに、ベントナイト(1)(ベンゲル;ホージュン社製)を3質量部用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のゴムロールを得た。
【0054】
(比較例3)
変性ベントナイト(1)の代わりに、ベントナイト(2)(ベンゲルSH;ホージュン社製)を3質量部用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3のゴムロールを得た。
【0055】
(比較例4)
変性ベントナイト(1)の代わりに、ベントナイト(3)(ベンゲルW300U;ホージュン社製)を3質量部用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4のゴムロールを得た。
【0056】
(比較例5)
変性ベントナイト(1)の代わりに、クレイ(1)(POLYFIL 80;J.M.Huber社製)を3質量部用いた以外は実施例1と同様にして、比較例5のゴムロールを得た。
【0057】
(比較例6)
クレイ(1)を6質量部とした以外は比較例5と同様にして、比較例6のゴムロールを得た。
【0058】
(比較例7)
変性ベントナイト(1)の代わりに、クレイ(2)(POLYFIL WC;J.M.Huber社製)を3質量部用いた以外は実施例1と同様にして、比較例7のゴムロールを得た。
【0059】
(比較例8)
クレイ(2)を6質量部とした以外は比較例7と同様にして、比較例8のゴムロールを得た。
【0060】
(比較例9)
発泡剤を1.0質量部とし、発泡助剤を1.0質量部とした以外は実施例2と同様にして、比較例9のゴムロールを得た。
【0061】
(比較例10)
変性ベントナイト(1)を用いず、アゾジカルボンアミド(ADCA)を7質量部とし、発泡助剤を7質量部とした以外は、実施例2と同様にして、比較例10のゴムロールを得た。
【0062】
(比較例11)
変性ベントナイト(1)を用いず、加硫促進剤(A)を1.5質量部、加硫促進剤(B)を1.5質量部とし、さらに、加硫促進剤(C)を1質量部配合した以外は実施例2と同様にして、比較例11のゴムロールを得た。
【0063】
(比較例12)
変性ベントナイト(1)を0.5質量部とした以外は実施例2と同様にして、比較例12のゴムロールを得た。
【0064】
(比較例13)
変性ベントナイト(1)を12質量部、加硫促進剤(A)を1.3質量部、加硫促進剤(B)を2.0質量部とした以外は実施例2と同様にして、比較例13のゴムロールを得た。
【0065】
(比較例14)
NBR(1)の代わりにアクリロニトリルブタジエンゴム(JSRN231H;JSR株式会社製)(以下、NBR(2)とする)を用い、加硫促進剤(A)を1.3質量部、加硫促進剤(B)を2.0質量部とした以外は実施例2と同様にして、比較例14のゴムロールを得た。
【0066】
(比較例15)
NBR(1)の代わりにアクリロニトリルブタジエンゴム(JSRN239SV;JSR株式会社製)(以下、NBR(3)とする)を用い、加硫促進剤(A)を1.3質量部、加硫促進剤(B)を2.0質量部とした以外は実施例2と同様にして、比較例15のゴムロールを得た。
【0067】
(試験例1)
各実施例及び各比較例において、ゴム基材と加硫剤等とを混合して得たゴム組成物のムーニー粘度ML(1+4)100℃をムーニービスコメーターSMV−202(島津製作所製)により測定した。結果を表1〜3に示す。
【0068】
(試験例2)
各実施例および各比較例のゴムロールについて、ゴム硬度(Asker C)、平均セル径、及び発泡倍率を測定した。
【0069】
平均セル径は、マイクロスコープVH−Z450(キーエンス社製)にて100倍で測定した画像からランダムに20個抜き取り、測定を行い平均値化した。
【0070】
発泡倍率は、発泡倍率=(材料比重/発泡後の比重)より求めた。
【0071】
また、実施例1〜7及び各比較例のゴムロール表面の発泡状態を観察し、セルの状態が良好であった場合を○、セルの状態に問題あった場合を△、割れが発生した場合を×として発泡状態を評価した。結果を表1〜3に示す。
【0072】
(試験例3)耐張り付き性
各実施例及び各比較例のゴムロールを1mm変位でベルトに押し当て、50℃85%環境下で1週間放置し、その後23℃55%環境下に2時間放置を行い、ゴムロールを取り外したときにベルトに付着するか否かを調べた。ベルトに付着しなかった場合を○、ベルトに付着した場合を×と判定した。結果を表1〜3に示す。
【0073】
(試験例4)画像評価
各実施例及び各比較例のゴムロールを、転写ロールとして市販の中間転写ベルト方式のプリンターに実装し、LL環境(10℃、20%RH)の下で、ベタ画像印字試験を行い、印刷された画像を目視にて評価した。なお、画像評価は、画像に濃度差が見られないものを○、画像に濃度差が見られたものを×として判定した。結果を表1〜3に示す。
【0074】
(試験例5)耐汚染性
実施例1〜7及び各比較例のゴムロールを、感光体に0.5mm変位で押し当て、50℃85%環境下で1週間放置した。その後、ゴムロール及び感光体を市販のプリンターに実装し、NN環境(23℃、55%RH)の下で、ベタ画像印字試験を行い、印刷された画像を目視にて評価した。なお、ゴムロールは転写ロールとして用い、画像評価は、ロールピッチで発生したムラが3枚通紙で消えるものを○、4〜5枚で消えるものを△、6枚以上通紙しても消えないものを×として判定した。結果を表1〜3に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
(結果のまとめ)
ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトを配合した実施例8及び9のゴムロールは、それぞれ発泡倍率が3.9倍及び4.3倍であり、硬度が15°及び10°であった。実施例8及び9のゴムロールは、平均セル径が160μm、170μmであり、耐張り付き性及び画像評価が優れるものであった。
【0079】
変性ベントナイトを配合した実施例1〜7のゴムロールは、発泡倍率が3.2〜4.2倍であり、硬度が12〜23°であった。実施例1〜7のゴムロールは、平均セル径が150〜180μmであり、発泡状態も良好であった。また、耐張り付き性、画像評価及び耐汚染性に優れるものであった。これより、二種以上をブレンドしたゴム基材の場合も変性ベントナイトを配合することにより、連続気泡で高発泡のゴムロールとすることができることがわかった。
【0080】
これに対し、変性ベントナイトを配合していない比較例1のゴムロールは発泡倍率が2.1倍、変性していないベントナイトを配合した比較例2〜4のゴムロールは発泡倍率が2.0〜2.1倍、変性ベントナイトの代わりにクレイを配合した比較例5〜8のゴムロールは発泡倍率が2.0〜2.1倍であり、いずれも発泡倍率が低かった。実施例1〜7のゴムロールと比較例1〜8のゴムロールを比較することにより、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトを配合することにより、連続気泡で発泡倍率が高くなることがわかった。また、比較例1〜8のゴムロールは、実施例と同量の発泡剤を添加しても発泡倍率が低いため、発泡剤成分の残存物の割合が多くブリードし、ベルトに押し当てた際に張り付いてしまうものであった。
【0081】
発泡剤及び発泡助剤の配合量を少なくした比較例9のゴムロールは、ほとんど発泡せず硬度が高いため十分なニップ量を確保できず、転写ロールとして用いた場合画像不具合が発生した。
【0082】
変性ベントナイトを配合せずに、発泡剤及び発泡助剤の配合量を多くした比較例10のゴムロールは、発泡倍率が2.7倍と比較的低かった。発泡剤及び発泡助剤を増量することにより、耐張り付き性が低下し、また、発泡剤及び発泡助剤がブリードするため、転写ロールとして用いた場合感光体が汚染されて、画像不良が発生した。
【0083】
変性ベントナイトを配合せずに、加硫促進剤の配合量を多くした比較例11のゴムロールは、発泡倍率が4.6倍と高くなったが、割れが発生してしまった。
【0084】
変性ベントナイトの配合量を0.5質量部とした比較例12のゴムロールは、発泡倍率が2.3倍であり、比較例1と比較してわずかに発泡倍率が向上しただけであった。一方、変性ベントナイトの配合量を12質量部とした比較例13のゴムロールは、発泡倍率が低下してしまった。比較例12及び比較例13のゴムロールは、いずれも発泡倍率が低いため、発泡剤成分の残存物の割合が多くブリードし、ベルトに押し当てた際に張り付いてしまうものであった。
【0085】
発泡倍率が低い比較例14のゴムロールは、ベルトに押し当てた際に張り付いてしまうものであった。一方、加硫促進剤の配合量を増量して発泡倍率を4.8倍とした比較例15のゴムロールは、セル径が肥大化するために表面が粗悪化し、転写ロールとして用いた場合画像不良が発生した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを含有するゴム組成物を発泡して成形した連続気泡の発泡弾性体からなり、発泡倍率が2.5〜4.5倍であることを特徴とするゴム部材。
【請求項2】
請求項1に記載のゴム部材において、前記ゴム組成物は、前記ゴム基材100質量部に対して、前記アゾジカルボンアミド1.5〜6質量部、前記変性ベントナイトを1〜10質量部配合したものであることを特徴とするゴム部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゴム部材において、前記発泡弾性体のゴム硬度は、Asker Cで25°以下であることを特徴とするゴム部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム部材において、前記発泡弾性体の平均セル径が200μm以下であることを特徴とするゴム部材。
【請求項5】
芯金の外周に、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム部材を具備することを特徴とするゴムロール。
【請求項6】
ゴム基材と、発泡剤であるアゾジカルボンアミドと、ベントナイトをアンモニウムカチオンで変性した変性ベントナイトとを含有するゴム組成物を、発泡剤が分解した後に加硫が進行するような条件で加硫発泡させることにより、連続気泡の発泡弾性体からなるゴム部材を成形することを特徴とするゴム部材の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のゴム部材の製造方法において、前記ゴム組成物として、前記ゴム基材100質量部に対して、前記アゾジカルボンアミド1.5〜6質量部、前記変性ベントナイトを1〜10質量部配合したものを用いることを特徴とするゴム部材の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のゴム部材の製造方法において、前記ゴム組成物を芯金の外周に被覆して加硫発泡させることにより、ゴム部材を成形することを特徴とするゴム部材の製造方法。

【公開番号】特開2011−195689(P2011−195689A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63369(P2010−63369)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000227412)シンジーテック株式会社 (99)
【Fターム(参考)】