説明

サスペンション構造、サスペンションリンク形成方法

【課題】サスペンションリンクの耐久性を向上させる。
【解決手段】後側ロアリンク13をロアブラケット31とアッパブラケット32とを対向させて接合した中空構造にすると共に、これらロアブラケット31及びアッパブラケット32に対して双方を挟持する補剛ブラケット19を連結する。補剛ブラケット19は、後側ロアリンク13に向かって山折りとなる断面略V字型の鋼材からなり、サスペンションメンバとの連結点(ブッシュ24)側に延びる一端側挟持片61と、前側ロアリンクとの車幅方向内側の連結点側に延びる他端側挟持片62と、を備える。一端側挟持片61には、アッパブラケット32よりも上方の位置に、スタビライザなどを取付け可能な取付け孔65を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサスペンション構造、サスペンションリンク形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された従来技術では、サスペンションリンクを中空構造にし、このサスペンションリンクに対して、コイルスプリング、ショックアブソーバ、スタビライザ等を連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2005/002890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に中空構造にしたサスペンションリンクでは、コイルスプリング、ショックアブソーバ、スタビライザ等から荷重が入力されると、サスペンションリンクに応力集中が発生し、耐久性を低下させる可能性がある。
本発明の課題は、サスペンションリンクの耐久性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、サスペンションリンクを、一対の躯体ブラケットを対向させて接合した中空構造にすると共に、これら一対の躯体ブラケットに対して双方を挟持する補剛ブラケットを連結する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一対の躯体ブラケットを補剛ブラケットによって挟持することで、荷重が入力されるときの応力を分散させることができる。したがって、サスペンションリンクの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】後輪サスペンションの概略構成を示す斜視図である。
【図2】後左輪サスペンションの概略構成を示す上面図である。
【図3】後左輪サスペンションの概略構成を示す正面図である。
【図4】後側ロアリンクの外観図である。
【図5】補剛ブラケットの概略構成図である。
【図6】スタビライザを取付けたサスペンションの構成図である。
【図7】比較構造の解析結果を示す図である(略V字型ブラケット、ロール耐久性)。
【図8】比較構造の解析結果を示す図である(略V字型ブラケット、複合耐久性)。
【図9】比較構造の解析結果を示す図である(クランク型ブラケット、複合耐久性・ロール耐久性)。
【図10】本実施形態の解析結果を示す図である(複合耐久性)。
【図11】本実施形態の解析結果を示す図である(ロール耐久性)。
【図12】本実施形態の応力分散について示す図である(ロール耐久性)。
【図13】ハイトセンサを取付けたサスペンションの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を適用した自動車の実施の形態を説明する。
《第一実施形態》
《構成》
図1は、後輪サスペンションの概略構成を示す斜視図である。
図2は、後左輪サスペンションの概略構成を示す上面図である。
図3は、後左輪サスペンションの概略構成を示す正面図である。
【0009】
本実施形態では、独立懸架した後左輪のサスペンションについて説明する。
サスペンション構造は、車輪1を車体側のサスペンションメンバ2に懸架し、アクスルハウジング11(ハブキャリア)と、前側ロアリンク12と、後側ロアリンク13と、アッパリンク14と、コイルスプリング15と、ストラット5(図1)と、を備える。
アクスルハウジング11は、車輪1を回転自在に支持する。
【0010】
前側ロアリンク12、及び後側ロアリンク13は、略同等の上下位置で、車体前後方向に並べてある。
前側ロアリンク12は、車幅方向外側の一端が、ブッシュ21を介して揺動可能にアクスルハウジング11の前側下部に連結してあり、車幅方向内側の他端が、ブッシュ22を介して揺動可能にサスペンションメンバ2の前側下部に連結してある。平面視で、各連結点の車体前後方向の位置は、車幅方向外側の連結点(ブッシュ21)が、車幅方向内側の連結点(ブッシュ22)よりもやや後側である。
【0011】
後側ロアリンク13は、車幅方向外側の一端が、ブッシュ23を介して揺動可能にアクスルハウジング11の後側下部に連結してあり、車幅方向内側の他端が、ブッシュ24を介して揺動可能にサスペンションメンバ2の後側下部に連結してある。平面視で、各連結点の車体前後方向の位置は、車幅方向外側の連結点(ブッシュ23)と、車幅方向内側の連結点(ブッシュ24)とは略同等である。
【0012】
アクスルハウジング11に対する、前側ロアリンク12の連結点(ブッシュ21)と、後側ロアリンク13の連結点(ブッシュ23)との距離は、サスペンションメンバ2に対する、前側ロアリンク12の連結点(ブッシュ22)と、後側ロアリンク13の連結点(ブッシュ24)との距離よりも短い。すなわち、ブッシュ21及び22を結ぶ直線L1(前側ロアリンク12の軸線)と、ブッシュ23及び24を結ぶ直線L2(後側ロアリンク13の軸線)とは、車幅方向外側で交差する。
【0013】
アッパリンク14は、車幅方向外側の一端が、ブッシュ25を介して揺動可能にアクスルハウジング11の上部に連結してあり、車幅方向内側の他端が、ブッシュ26を介して揺動可能にサスペンションメンバ2の上部に連結してある。
各ブッシュ21〜26は、入れ子状に形成された外筒と内筒との間にゴム体からなる弾性体を介装して構成してある。本実施形態では、前側ロアリンク12、後側ロアリンク13、アッパリンク14の夫々の両端を外筒に連結し、アクスルハウジング11、サスペンションメンバ2の夫々に内筒を連結する。
【0014】
後側ロアリンク13には、前側ロアリンク12に向かって張り出した板状の張出部16が一体形成してある。張出部16は、車体前後方向の前端が、ブッシュ27及び28を介して一定の相対変位が可能な状態で前側ロアリンク12に連結してある。
ブッシュ27及び28は、前側ロアリンク12に沿って並べてある。ブッシュ27及び28は、入れ子状に形成された外筒と内筒との間にゴム体からなる弾性体を介装して構成してある。本実施形態では、ブッシュ軸を略前後方向とし、前側ロアリンク12を外筒に連結し、張出部16を内筒に連結する。
これらブッシュ27及び28の可動範囲(撓み範囲)で、前側ロアリンク12に対して張出部16及び後側ロアリンク13が相対変位可能となる。なお、本実施形態では、ブッシュ27及び28の剛性は、上下方向の剛性に対して車幅方向の剛性が低くなる異方性を有する。
【0015】
ここで、制動時のトーコントロールについて説明する。
制動などによって車輪1に対し車体後側への入力があると、アクスルハウジング11が車体後側へ変位する。このとき、アクスルハウジング11に対する、前側ロアリンク12の連結点(ブッシュ21)と、後側ロアリンク13の連結点(ブッシュ23)とは、車体後方への変位量が略同等となる。しかしながら、直線L1及びL2を前述したように配置した場合、車幅方向内側への変位量については、前側ロアリンク12の連結点(ブッシュ21)の方が後側ロアリンク13の連結点(ブッシュ23)よりも大きくなる。つまり、アクスルハウジング11の前側の連結点(ブッシュ21)が、車幅方向内側へ引き込まれる。したがって、制動時に車輪1にトーイン方向のトー変化が生じるので、安定性が向上する。
【0016】
次に、コイルスプリング15について説明する。
コイルスプリング15は、コイル軸XAを略上下方向とし、後側ロアリンク13と車体との間に介装してある。平面視で、コイルスプリング15の位置は、直線L2に重なるように配置し、好ましくはコイル軸XAを直線L2上に配置する。
本実施形態では、車幅方向外側の連結点(ブッシュ23)と、車幅方向内側の連結点(ブッシュ24)と、の略中間位置にマウントしてある。コイルスプリング15の座面は、張出部16にも重なり、コイルスプリング15の外径に応じて、後側ロアリンク13における車体後側の外形を拡張させている。
【0017】
次に、コイルスプリング15の組み付け構造について説明する。
図4は、後側ロアリンクの外観図である。
後側ロアリンク13とコイルスプリング15の下端との間には、ロアスプリングシート17を介装してある。すなわち、後側ロアリンク13に対して環状のロアスプリングシート17を組み付け、このロアスプリングシート17に対してコイルスプリング15の下端を組みつけてある。
後側ロアリンク13は、薄平型で略凹状に形成した一対のロアブラケット31及びアッパブラケット32を、夫々の凹面を対向させて接合した最中(もなか)状の中空構造にしてある。ロアブラケット31とアッパブラケット32とは、アーク溶接によって一体化させている。
【0018】
後側ロアリンク13において、サスペンションメンバ2との連結点(ブッシュ24)から前側ロアリンク12との車幅方向内側の連結点(ブッシュ28)にかけて断面積が急変している湾曲部18がある。この湾曲部18には、ロアブラケット31及びアッパブラケット32に双方を挟持する補剛ブラケット19を連結してある。後側ロアリンク13と補剛ブラケット19とは、アーク溶接によって一体化させている。
なお、ロアブラケット31の凹面(内側の底面)にロアスプリングシート17を設置しており、このロアスプリングシート17に下端を組み付けたコイルスプリング15は、アッパブラケット32に形成した開口部を介して上方に突出している。
【0019】
図5は、補剛ブラケットの概略構成図である。
図中の(a)は、サスペンションメンバ2側の略上方から見た斜視図であり、(b)はサスペンションメンバ2側の略下方から見た斜視図である。
補剛ブラケット19は、後側ロアリンク13に向かって山折りとなる断面略V字型の鋼材からなる。補剛ブラケット19は、サスペンションメンバ2との連結点(ブッシュ24)側に延びる一端側挟持片61と、前側ロアリンク12との車幅方向内側の連結点(ブッシュ28)側に延びる他端側挟持片62と、を備える。
【0020】
一端側挟持片61及び他端側挟持片62の高さ方向は、何れも後側ロアリンク13における上下方向の厚みよりも大きく形成してある。一端側挟持片61の一端側、及び他端側挟持片62の他端側には、夫々、後側ロアリンク13の外形に沿って抉った一端側係合縁63、及び他端側係合縁64を形状している。
【0021】
一端側係合縁63及び他端側係合縁64は、夫々、ロアブラケット31における接合方向外側の端面(下面)、及びアッパブラケット32における接合方向外側の端面(上面)を含む後側ロアリンク13の外周面に摺接する。したがって、補剛ブラケット19は、ロアブラケット31における接合方向外側の端面(下面)、及びアッパブラケット32における接合方向外側の端面(上面)を挟持している。
なお、一端側挟持片61には、アッパブラケット32よりも上方の位置に、スタビライザやハイトセンサなどを取付け可能な取付け孔65を形成してある。
【0022】
《作用》
後側ロアリンク13を単に中空構造にしただけでは、コイルスプリング、ショックアブソーバ、スタビライザ等から荷重が入力されるとき、又は車輪1から旋回時の横力が入力されるときに、サスペンションリンクに応力集中が発生し、耐久性を低下させる可能性がある。
本実施形態では、後側ロアリンク13をロアブラケット31とアッパブラケット32とを対向させて接合した中空構造にすると共に、これらロアブラケット31及びアッパブラケット32に対して双方を挟持する補剛ブラケット19を連結している。
【0023】
このように、ロアブラケット31及びアッパブラケット32を補剛ブラケット19によって挟持することで、後側ロアリンク13全体の剛性を高め、荷重が入力されるときの応力を分散させることができる。したがって、後側ロアリンク13の耐久性を向上させることができる。
なお、各部品の形状、配置、数量などは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変更してもよい。
以上より、後側ロアリンク13が「サスペンションリンク」に対応し、ロアブラケット31が「一方の躯体ブラケット」に対応し、アッパブラケット32が「他方の躯体ブラケット」に対応する。
【0024】
《効果》
(1)本実施形態のサスペンション構造によれば、後側ロアリンク13を、一対のロアブラケット31及びアッパブラケット32を対向させて接合した中空構造とする。そして、一対のロアブラケット31及びアッパブラケット32に対して双方を挟持する補剛ブラケット19を連結する。
このように、ロアブラケット31及びアッパブラケット32を補剛ブラケット19によって挟持することで、後側ロアリンク13全体の剛性を高め、荷重が入力されるときの応力を分散させることができる。したがって、後側ロアリンク13の耐久性を向上させることができる。
【0025】
(2)補剛ブラケット19により、ロアブラケット31における接合方向外側の端面、及びアッパブラケット32における接合方向外側の端面を挟持する。
このように、ロアブラケット31の下面とアッパブラケット32の上面とを補剛ブラケット19で挟持することで、後側ロアリンク13全体の剛性を高め、荷重が入力されるときの応力をより分散させることができる。したがって、後側ロアリンク13の耐久性を向上させることができる。
【0026】
(3)本実施形態のサスペンションリンク成形方法によれば、一対のロアブラケット31及びアッパブラケット32を対向させて接合した中空構造にする。そして、これら一対のロアブラケット31及びアッパブラケット32に対して双方を挟持する補剛ブラケット19を連結する。
このように、ロアブラケット31及びアッパブラケット32を補剛ブラケット19によって挟持することで、後側ロアリンク13全体の剛性を高め、荷重が入力されるときの応力を分散させることができる。したがって、後側ロアリンク13の耐久性を向上させることができる。
【0027】
《第二実施形態》
《構成》
第二実施形態では、補剛ブラケット19の取付け孔65に対して、スタビライザ66の一端を取付けるものである。
図6は、スタビライザを取付けたサスペンションの構成図である。
図中の(a)は、略上方から見た斜視図であり、(b)はサスペンションメンバ2側の略上方から見た斜視図である。
スタビライザ66の一端は、スタビライザコンロッド67を介して補剛ブラケット19の取付け孔65に連結してある。
【0028】
《作用》
次に、スタビライザ66を取付けた場合において、比較構造及び本実施形態の解析結果について説明する。
図7は、比較構造の解析結果を示す図である(略V字型ブラケット、ロール耐久性)。
ここでは、比較構造の一つとして、断面形状が略V字形の取付けブラケット67を、アッパブラケット32の上面に連結している構造を採用している。そして、取付けブラケット67にスタビライザ66の一端側を連結した場合に、このスタビライザ66が機能するロール時の耐久性を解析している。なお、図中はスタビライザ66を省略している。
ロール耐久性における解析の結果、アッパブラケット32の上面に主に高応力が発生することが明らかとなった。
【0029】
図8は、比較構造の解析結果を示す図である(略V字型ブラケット、複合耐久性)。
図中の(a)は、サスペンションメンバ2側の略上方から見た斜視図であり、(b)は前側ロアリンク12を正面から見た図である。
ここでも、断面形状が略V字形の取付けブラケット67を、アッパブラケット32の上面に連結している構造を採用している。そして、取付けブラケット67にスタビライザ66の一端側を連結した場合に、コイルスプリング、ショックアブソーバ、スタビライザ等から荷重が入力されるとき、又は車輪1から旋回時の横力が入力されるときの複合的な耐久性を解析している。なお、図中はスタビライザ66を省略している。
【0030】
複合耐久性における解析の結果、図8の(b)に示すように、前側ロアリンク12の両端側が相反する上下方向へ変位し、前側ロアリンク12と後側ロアリンク13とに捩れが発生すると、アッパブラケット32に対する取付けブラケット67の溶接部に主に高応力が発生することが明らかとなった。
図9は、比較構造の解析結果を示す図である(クランク型ブラケット、複合耐久性・ロール耐久性)。
図中の(a)は、車体前側の略上方から見た斜視図であり、(b)はサスペンションメンバ2側の略上方から見た斜視図である。
【0031】
ここでは、断面形状がクランク型の取付けブラケット68を、アッパブラケット32の上面に連結している構造を採用している。そして、取付けブラケット68にスタビライザ66の一端側を連結した場合に、コイルスプリング、ショックアブソーバ、スタビライザ等から荷重が入力されるとき、又は車輪1から旋回時の横力が入力されるときの複合的な耐久性と、スタビライザ66が機能するロール時の耐久性とを解析している。なお、図中はスタビライザ66を省略している。
複合耐久性及びロール耐久性における解析の結果、図9の(a)に示すように、前側ロアリンク12と後側ロアリンク13との捩れには有効であった。しかしながら、図9の(b)に示すように、やはりアッパブラケット32に対する取付けブラケット67の溶接部に主に高応力が発生することが明らかとなった。
【0032】
図10は、本実施形態の解析結果を示す図である(複合耐久性)。
図中の(a)は、車体前側の略上方から見た斜視図であり、(b)はサスペンションメンバ2側の略下方から見た斜視図である。
ここでは、補剛ブラケット19にスタビライザ66の一端側を連結した場合に、コイルスプリング、ショックアブソーバ、スタビライザ等から荷重が入力されるとき、又は車輪1から旋回時の横力が入力されるときの複合的な耐久性を解析している。なお、図中はスタビライザ66を省略している。
複合耐久性における解析の結果、前述した取付けブラケット67を採用した比較構造と比べて、応力を半減できることが明らかとなった。
【0033】
図11は、本実施形態の解析結果を示す図である(ロール耐久性)。
図中の(a)は、サスペンションメンバ2側の略上方から見た斜視図であり、(b)はサスペンションメンバ2側の略下方から見た斜視図である。
ここでも、補剛ブラケット19を、アッパブラケット32の上面に連結している構造を採用している。そして、補剛ブラケット19にスタビライザ66の一端側を連結した場合に、このスタビライザ66が機能するロール時の耐久性を解析している。なお、図中はスタビライザ66を省略している。
ロール耐久性における解析の結果、ロール耐久性は、前述した取付けブラケット67を採用した比較構造と比べて、応力を半減できることが明らかとなった。
【0034】
図12は、本実施形態の応力分散について示す図である(ロール耐久性)。
図中の(a)は、サスペンションメンバ2側の略上方から見た斜視図であり、(b)はサスペンションメンバ2側の略下方から見た斜視図である。
ここでも、図中はスタビライザ66を省略している。
スタビライザ66が機能するロール時には、スタビライザ66からの入力によって補剛ブラケット19を引きちぎる方向の剪断力が局所的に作用する。しかしながら、補剛ブラケット19の面内変形により、主にロアブラケット31の下面とアッパブラケット32の上面へと、応力を分散させる。これにより、後側ロアリンク13の耐久性を向上させることができる。
【0035】
《効果》
(1)補剛ブラケット19の取付け孔65には、スタビライザ66の一端を連結する。
このように、スタビライザ66の一端を連結する場合、補剛ブラケット19には、スタビライザ66によって局所的に引きちぎる方向の剪断力が作用するが、補剛ブラケット19の面内変形により、応力を分散させることができる。したがって、後側ロアリンク13の耐久性を向上させることができる。
【0036】
《変形例》
本実施形態では、補剛ブラケット19の取付け孔65にスタビライザ66の一端側を連結しているが、取付け可能であれば任意の部材を連結してもよい。例えば、ヘッドライトの光軸制御やエアサスペンションの車高制御等に用いられるハイトセンサ69を連結してもよい。
図13は、ハイトセンサを取付けたサスペンションの構成図である。
ハイトセンサ69の一部は、連結ロッド70を介して補剛ブラケット19の取付け孔65に連結してある。
このように、後側ブラケット13の補剛目的で補剛ブラケット19を連結しているが、この補剛ブラケット19に取付けブラケットとしての機能を兼用してもよく、これによれば部品点数の増大を抑制することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 車輪
2 サスペンションメンバ
11 アクスルハウジング
12 前側ロアリンク
13 後側ロアリンク
14 アッパリンク
15 コイルスプリング
16 張出部
17 ロアスプリングシート
18 湾曲部
19 補剛ブラケット
31 ロアブラケット
32 アッパブラケット
61 一端側挟持片
62 他端側挟持片62
63 一端側係合縁
64 他端側係合縁64
65 取付け孔65
66 スタビライザ
67 取付けブラケット
68 取付けブラケット
69 ハイトセンサ
70 連結ロッド
XA コイル軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と車体とを揺動可能に連結するサスペンションリンクを備え、
前記サスペンションリンクを、一対の躯体ブラケットを対向させて接合した中空構造とし、前記一対の躯体ブラケットに対して双方を挟持する補剛ブラケットを連結したことを特徴とするサスペンション構造。
【請求項2】
前記補剛ブラケットは、一方の前記躯体ブラケットにおける接合方向外側の端面、及び他方の前記躯体ブラケットにおける接合方向外側の端面を挟持することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション構造。
【請求項3】
前記補剛ブラケットにスタビライザの一端側を連結したことを特徴とする請求項1又は2に記載のサスペンション構造。
【請求項4】
車輪と車体とを揺動可能に連結するサスペンションリンクを、一対の躯体ブラケットを対向させて接合した中空構造にすると共に、前記一対の躯体ブラケットに対して双方を挟持する補剛ブラケットを連結することを特徴とするサスペンションリンク形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−240460(P2012−240460A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109667(P2011−109667)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】