説明

サスペンション構造

【課題】 サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ全体の剛性を確保しつつ、サスペンションメンバを軽量化することが可能なサスペンション構造を提供する
【解決手段】 サスペンションメンバ12は、左右一対のサイドメンバ14の車両後方側をクロスメンバ16によって連結支持することにより構成されており、軽量化のために、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持するクロスメンバ32を省いた構成とされている。スタビライザ22は、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側にベアリング部材28を介して回動自在に連結されたスタビライザ本体24を有している。このスタビライザ本体24によって左右一対のサイドメンバ14の車両前方側が連結支持されることにより、サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ12全体の剛性が確保されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション構造に係り、特に、サスペンションメンバにスタビライザが設けられたサスペンション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用自動車等の車両に備えられたサスペンション構造には、サスペンションを支持するためのサスペンションメンバが設けられており、このサスペンションメンバには、車両旋回時における車体のロールを抑制するためのスタビライザが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、特許文献1に記載の例に基づいて、従来のサスペンション構造について説明する。従来のサスペンション構造に設けられたサスペンションメンバは、特許文献1に示されるように、車両前後方向に延在する左右一対のサイドメンバと、この左右一対のサイドメンバの前後端部間をそれぞれ連結する前後一対のクロスメンバとから構成されている。
【0004】
スタビライザは、車幅方向中央側に形成され車幅方向に延在するスタビライザ本体と、このスタビライザ本体の両端部に連続して形成され車両前後方向前方に延びる左右一対のアーム部とから構成されており、スタビライザ本体は、左右一対のサイドメンバにブラケットにより支持されている。
【特許文献1】特開2001−171326公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、車両のサスペンション構造においては、燃費の向上若しくは操縦性の向上等の観点から軽量化が課題となっている。ここで、従来のサスペンション構造について軽量化を図る一例としては、サスペンションメンバのうち前後一対のクロスメンバのいずれかを省くことが考えられる。
【0006】
ところが、このように、サスペンションメンバのうち前後一対のクロスメンバのいずれかを省いた場合には、サスペンションメンバにおいてサスペンションを支持するために必要な剛性を確保することが困難となる。
【0007】
このため、一本のクロスメンバで左右一対のサイドメンバを支持するようにする場合には、サスペンションメンバにおいてサスペンションを支持するために必要な剛性を確保できるように、クロスメンバに特殊な設計を施したり補強材を追加したりする手間が生じる。
【0008】
このように、サスペンション構造の開発現場では、サスペンションメンバを軽量化しつつ、サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ全体の剛性を確保することが可能なサスペンション構造の開発が課題となっていた。
【0009】
さらに、従来のサスペンション構造では、スタビライザ本体の左右一対のサイドメンバへの取付位置が、左右一対のサイドメンバの車体への取付位置から離れていた。
【0010】
このため、左右一対のサイドメンバに対するスタビライザの取付剛性が十分に確保されておらず、車輪側からスタビライザに負荷が加わったときに、この負荷によって左右一対のサイドメンバにおけるスタビライザの取付部が変位してしまうことがあった。
【0011】
これにより、スタビライザから車輪側への捩れ力の伝達にロスが生じ、スタビライザの捩れ力が車輪側へ十分に伝達されないことによって、スタビライザ本来の機能である車体のロールを抑制する機能が十分に発揮されないことがあった。
【0012】
なお、サスペンション構造においては、サスペンションメンバへのスタビライザの組み付け性が容易であることが望ましい。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、サスペンションメンバを軽量化しつつ、サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ全体の剛性を確保することが可能なサスペンション構造を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、スタビライザから車輪側への捩れ力の伝達ロスを従来に比して低減することにより、スタビライザの捩れ力が車輪側へ十分に伝達され、これによって、スタビライザ本来の機能である車体のロールを抑制する機能を十分に発揮させることが可能なサスペンション構造を提供することにある。
【0015】
さらに、本発明の他の目的は、サスペンションメンバへのスタビライザの組み付け性が良好なサスペンション構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のサスペンション構造は、車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバの一端側を車両幅方向に延びるクロスメンバによって連結支持することにより構成されたサスペンションメンバと、前記左右一対のサイドメンバの一方から他方へ延びると共に前記左右一対のサイドメンバの他端側のそれぞれに軸方向の移動を阻止し回転を許容する軸受手段を介して回動自在に連結されたスタビライザ本体を有し、前記スタビライザ本体によって前記左右一対のサイドメンバの他端側を連結支持するクロスメンバの機能を果たすようにしたスタビライザと、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項1に記載のサスペンション構造によれば、サスペンションメンバは、車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバの一端側を車両幅方向に延びるクロスメンバによって連結支持することにより構成されている。つまり、左右一対のサイドメンバの他端側を連結支持するクロスメンバを省いた構成とされている。
【0018】
これにより、左右一対のサイドメンバの両端側を一対のクロスメンバによって連結支持する従来の構成に比して、サイドメンバが軽量化される。
【0019】
また、請求項1に記載のサスペンション構造において、スタビライザは、左右一対のサイドメンバの一方から他方へ延びると共に左右一対のサイドメンバの他端側のそれぞれに軸方向の移動を阻止し回転を許容する軸受手段を介して回動自在に連結されたスタビライザ本体を有している。
【0020】
そして、このスタビライザ本体によって、左右一対のサイドメンバの他端側を連結支持するクロスメンバの機能が果たされるようになっている。
【0021】
つまり、スタビライザは、従前のスタビライザ本来の機能を発揮する一方で、左右一対のサイドメンバに対しては、左右一対のサイドメンバの他端側のそれぞれに軸受手段を介してスタビライザ本体が連結されることにより、従前のクロスメンバの如く左右一対のサイドメンバを連結支持する。
【0022】
従って、請求項1に記載のサスペンション構造では、左右一対のサイドメンバの一端側を連結支持するクロスメンバに特殊な設計を施したり補強材を追加したりすることなく、サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ全体の剛性が十分に確保される。
【0023】
このように、請求項1に記載のサスペンション構造によれば、左右一対のサイドメンバの他端側を連結支持するクロスメンバを省くことによって、サスペンションメンバを軽量化しつつ、省いたクロスメンバの代わりにスタビライザ本体で左右一対のサイドメンバの他端側を連結支持することによって、サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ全体の剛性を確保することが可能となる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサスペンション構造において、前記左右一対のサイドメンバの他端側には、前記左右一対のサイドメンバを車体へ支持するための支持部が設けられ、前記スタビライザ本体は、前記左右一対のサイドメンバにおける前記支持部の近傍位置に連結されていることを特徴とする。
【0025】
請求項2に記載のサスペンション構造によれば、スタビライザ本体は、左右一対のサイドメンバにおける支持部の近傍位置に連結されているので、従来のように支持部から離れた位置にスタビライザ本体を連結する構成に比して、左右一対のサイドメンバに対するスタビライザの取付剛性を高めることができる。
【0026】
従って、車輪側からの負荷によって左右一対のサイドメンバにおけるスタビライザの取付部が変位する量を従来に比して抑制することができるので、スタビライザから車輪側への捩れ力の伝達ロスを従来に比して低減することができる。
【0027】
これにより、スタビライザの捩れ力が車輪側へ十分に伝達されるので、スタビライザ本来の機能である車体のロールを抑制する機能を十分に発揮させることが可能となる。
【0028】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のサスペンション構造において、前記スタビライザには、前記スタビライザ本体の車両幅方向両端側に左右一対のアーム部が設けられ、前記スタビライザ本体と、前記左右一対のアーム部とは、別体で構成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項3に記載のサスペンション構造のように、スタビライザ本体と、スタビライザ本体の車両幅方向両端側に設けられた左右一対のアーム部とが別体で構成されていると、スタビライザ本体を左右一対のサイドメンバに取り付けてから、このスタビライザ本体に左右一対のアーム部を取り付けることが可能となる。
【0030】
これにより、サスペンションメンバへのスタビライザの取り付けスペースが狭い場合でも、サスペンションメンバへのスタビライザの組み付け性が良好となる。
【発明の効果】
【0031】
以上詳述したように、請求項1に記載のサスペンション構造によれば、左右一対のサイドメンバの他端側を連結支持するクロスメンバを省くことによって、サスペンションメンバを軽量化しつつ、省いたクロスメンバの代わりにスタビライザ本体で左右一対のサイドメンバの他端側を連結支持することによって、サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ全体の剛性を確保することが可能となる。
【0032】
また、請求項2に記載のサスペンション構造によれば、スタビライザから車輪側への捩れ力の伝達ロスを従来に比して低減することができる。これにより、スタビライザの捩れ力が車輪側へ十分に伝達されるので、スタビライザ本来の機能である車体のロールを抑制する機能を十分に発揮させることが可能となる。
【0033】
さらに、請求項3に記載のサスペンション構造によれば、スタビライザ本体を左右一対のサイドメンバに取り付けてから、このスタビライザ本体に左右一対のアーム部を取り付けることが可能となる。これにより、サスペンションメンバへのスタビライザの取り付けスペースが狭い場合でも、サスペンションメンバへのスタビライザの組み付け性が良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0035】
[第一実施形態]
はじめに、図1を参照しながら、本発明の第一実施形態に係るサスペンション構造10の構成について説明する。
【0036】
本発明の第一実施形態に係るサスペンション構造10は、例えば、乗用自動車等の車両に好適に用いられるものであり、サスペンションメンバ12を有して構成されている。
【0037】
サスペンションメンバ12には、車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ14が設けられており、左右一対のサイドメンバ14の車両後方側は、車両幅方向に延びるクロスメンバ16によって連結支持されている。
【0038】
また、左右一対のサイドメンバ14の両端側(車両前方側および後方側)には、この左右一対のサイドメンバ14を不図示の車体へ支持するための支持部18,20が設けられている。
【0039】
そして、本実施形態において、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側には、スタビライザ22が設けられている。
【0040】
スタビライザ22の車両幅方向中央側には、左右一対のサイドメンバ14の一方から他方へ車両幅方向に沿って直線状に延びるスタビライザ本体24が形成されており、スタビライザ22の車両幅方向両側には、スタビライザ本体24と連続し車両斜め後方へ延びる左右一対のアーム部26が形成されている。
【0041】
そして、スタビライザ本体24は、左右一対のサイドメンバ14における支持部20の近傍位置(本実施形態では、その一例として、左右一対のサイドメンバ14に設けられた各支持部20を結ぶ仮想線Lを平面視したときに、この仮想線L上の位置で左右一対のサイドメンバ14の裏側位置)に連結されている。
【0042】
このとき、スタビライザ本体24は、左右一対のサイドメンバ14の裏側に一対の軸受手段としてのベアリング部材28(ベアリング部材28は不図示のブラケットによりサイドメンバ14に固定)を介して回動自在に連結されると共に、一対のブラケット30により支持されている。
【0043】
ベアリング部材28は、スタビライザ本体24の軸方向の移動を阻止し、且つ、回転を許容するものである。
【0044】
これにより、スタビライザ22は、左右両側の車輪に対して上下方向に同相の力が作用した場合には、この左右両側の車輪の上下方向への動きに合わせて回動し、いわゆるフリー状態となる。
【0045】
さらに、スタビライザ22は、左右両側の車輪に対して上下方向に逆位相の力が作用した場合には、この左右両側の車輪の上下方向への動きに合わせて捩れ力を発生する。このように、スタビライザ22は、従前の如くスタビライザ本来の機能を発揮する。
【0046】
また、スタビライザ22は、上述のように従前のスタビライザ本来の機能を発揮する一方で、左右一対のサイドメンバ14に対しては、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側のそれぞれにベアリング部材28を介してスタビライザ本体24が連結されることにより、従前のクロスメンバ32(二点鎖線で示す)の如く左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持する。
【0047】
つまり、スタビライザ本体24は、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側に車両幅方向へ互いに異なる向きに力が作用する場合には、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側端の車両幅方向への変形を抑制するように軸力を伝達し左右一対のサイドメンバ14を支持する。
【0048】
また、スタビライザ本体24は、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側に対して車両上下方向へ互いに異なる向きに力が作用する場合には、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側端の車両上下方向への変形を抑制するように左右一対のサイドメンバ14を支持する。
【0049】
このように、スタビライザ本体24によって、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持するクロスメンバ32の機能が果たされるようになっている。
【0050】
次に、本発明の第一実施形態に係るサスペンション構造10の作用および効果について説明する。
【0051】
本実施形態に係るサスペンション構造10によれば、サスペンションメンバ12は、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持するクロスメンバ32を省いた構成とされている。
【0052】
これにより、左右一対のサイドメンバ14の両端側を一対のクロスメンバ16,32によって連結支持する構成に比して、サイドメンバ14が軽量化される。
【0053】
また、本実施形態に係るサスペンション構造10では、スタビライザ本体24によって、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持している。
【0054】
つまり、スタビライザ22は、従前のスタビライザ本来の機能を発揮する一方で、左右一対のサイドメンバ14に対しては、従前のクロスメンバ32の如く左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持する。
【0055】
従って、本実施形態に係るサスペンション構造10では、左右一対のサイドメンバ14の車両後方側を連結支持するクロスメンバ16に特殊な設計を施したり補強材を追加したりすることなく、サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ12全体の剛性が十分に確保される。
【0056】
このように、本実施形態に係るサスペンション構造10によれば、左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持するクロスメンバ32を省くことによって、サスペンションメンバ12を軽量化しつつ、省いたクロスメンバ32の代わりにスタビライザ本体24で左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持することによって、サスペンションを支持するために必要なサスペンションメンバ12全体の剛性を確保することが可能となる。
【0057】
さらに、本実施形態に係るサスペンション構造10によれば、上述の如く左右一対のサイドメンバ14の車両前方側を連結支持するクロスメンバ32を省いた構成とすることにより、スタビライザ本体24の形状がクロスメンバ32の配置位置によって制約を受けることがない。
【0058】
従って、スタビライザ本体24を、例えば、直線状ではなく湾曲形状や屈曲形状とするなど、スタビライザ本体24の設計の自由度を従来に比して高めることが可能となる。
【0059】
なお、本実施形態のように、スタビライザ本体24が直線状に構成されていると、湾曲形状や屈曲形状に構成されている場合に比して、スタビライザ22の可動領域を少なくすることができる。つまり、必要な可動スペースを大幅縮小できる。これにより、サスペンション構造10の小型化、軽量化を図ることができる。
【0060】
また、上述のように、スタビライザ本体24を直線状として必要な可動スペースを大幅縮小することにより、干渉問題が解消し、衝突性能に影響を及ぼすサスペンションメンバ12の設計の自由度を高めることができる。
【0061】
さらに、本実施形態のように、スタビライザ本体24が直線状に構成されていると、湾曲形状や屈曲形状に構成されている場合に比して、スタビライザ22のサスペンションメンバ12への脱着を容易に行うことが可能となる。
【0062】
そして、本実施形態に係るサスペンション構造10によれば、スタビライザ本体24は、左右一対のサイドメンバ14における支持部20の近傍位置に連結されているので、支持部20から離れた位置にスタビライザ本体24を連結する構成に比して、左右一対のサイドメンバ14に対するスタビライザ22の取付剛性を高めることができる。
【0063】
従って、車輪側からの負荷によって左右一対のサイドメンバ14におけるスタビライザ22の取付部周辺が弾性変形することによって生じる取付部変形量を従来に比して抑制することができるので、スタビライザ22から車輪側への捩れ力の伝達ロスを従来に比して低減することができる。
【0064】
これにより、スタビライザ22の捩れ力が車輪側へ十分に伝達されるので、スタビライザ本来の機能である車体のロールを抑制する機能を十分に発揮させることが可能となる。
【0065】
また、上述のように、スタビライザ本来の機能である車体のロールを抑制する機能を十分に発揮させることにより、結果としてロールを抑制する機能を十分に発揮できる範囲内でスタビライザ22の径を小さくすることが可能となる。これにより、サスペンション構造10のさらなる小型化、軽量化が図れる。
【0066】
なお、本実施形態では、スタビライザ本体24がベアリング部材28によって軸方向の移動を阻止されると共に回転を許容されるようになっていたが、スタビライザ本体24の軸方向の移動を阻止すると共に回転を許容できる構成であれば、ベアリング部材28以外の構成が用いられていても良い。
【0067】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係るサスペンション構造34について説明する。
【0068】
本発明の第二実施形態に係るサスペンション構造34において、スタビライザ36は、スタビライザ本体24と、左右一対のアーム部26と、連結部材38とを有して構成されている。
【0069】
スタビライザ本体24の車両幅方向両端部24Aには、図3に示されるように、周方向に凸部40が複数形成されている。
【0070】
また、連結部材38には、図4に示されるように、軸方向に貫通する貫通孔42が形成されており、この貫通孔42には、周方向に凹部44が複数形成されている。
【0071】
そして、スタビライザ本体24と連結部材38とは、スタビライザ本体24の車両幅方向両端部24Aが連結部材38の貫通孔42に挿入された状態で、凸部40と凹部44とが嵌合されることにより連結されるようになっている。
【0072】
同様に、アーム部26の車両幅方向中央側の端部26Aには、図5に示されるように、周方向に凸部46が複数形成されている。
【0073】
そして、アーム部26と連結部材38とは、アーム部26の車両幅方向中央側の端部26Aが連結部材38の貫通孔42に挿入された状態で、凸部46と凹部44とが嵌合されることにより連結されるようになっている。
【0074】
また、連結部材38は、左右一対のサイドメンバ14の裏側に一対のベアリング部材28を介して連結されるようになっている。
【0075】
このように、本実施形態では、スタビライザ本体24と左右一対のアーム部26とは、別体で構成されている。
【0076】
このとき、スタビライザ本体24とアーム部26とを異なる径や異なる材質にしても良い。例えば、スタビライザ本体24を、左右一対のアーム部26と同一の材質で左右一対のアーム部26よりも大径に構成することが可能である。
【0077】
この場合には、スタビライザ本体24は、左右一対のサイドメンバ14の他端側を連結支持するのに必要な径で構成され、左右一対のアーム部26は、車体のロール角度を一定に維持したり車体の横揺れを抑制したりする効果を発揮するのに必要な径で構成されていることが望ましい。また、スタビライザ本体24とアーム部26とを異なる断面形状としても良い。
【0078】
なお、本発明の第二実施形態において、本発明の第一実施形態に係る構成と同一の構成については同一符号を用いることとしてその説明を省略する。
【0079】
次に、本発明の第二実施形態に係るサスペンション構造34の作用および効果について説明する。
【0080】
本発明の第二実施形態に係るサスペンション構造34のように、スタビライザ36が、スタビライザ本体24と、左右一対のアーム部26と、連結部材38とから構成される別体構造となっていると、スタビライザ本体24および連結部材38を左右一対のサイドメンバ14に取り付けてから、スタビライザ本体24に連結部材38を用いて左右一対のアーム部26を取り付けることが可能となる。
【0081】
これにより、サスペンションメンバ12へのスタビライザ36の取り付けスペースが狭い場合でも、サスペンションメンバ12へのスタビライザ36の組み付け性が良好となる。
【0082】
また、本発明の第二実施形態に係るサスペンション構造34のように、スタビライザ本体24と左右一対のアーム部26とが別体構造となっていると、スタビライザ本体24とアーム部26とを異なる径や異なる材質や異なる断面形状等にすることができる。
【0083】
このように、スタビライザ本体24と左右一対のアーム部26とを別体構造とすることにより、スタビライザ36における設計の自由度を向上させることができる。
【0084】
なお、本発明の第二実施形態において、本発明の第一実施形態に係る構成と同一の構成に伴う作用効果については上記第一実施形態を参照することとしてその説明を省略する。
【0085】
次に、本発明の第二実施形態に係るサスペンション構造34の変形例について説明する。
【0086】
本発明の第二実施形態では、スタビライザ本体24およびアーム部26と、連結部材38とが別体で構成されていたが、スタビライザ本体24およびアーム部26のいずれかと、連結部材38とが一体に構成されていても良い。
【0087】
また、本発明の第二実施形態では、スタビライザ本体24が、断面円形状に構成されていたが、断面四角状や断面多角形状に構成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は本発明の第一実施形態に係るサスペンション構造の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の第二実施形態に係るサスペンション構造の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は図2に示されるスタビライザ本体のA−A断面図である。
【図4】図4は図2に示される連結部材のB−B断面図である。
【図5】図5は図2に示されるアーム部のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10,34 サスペンション構造
12 サスペンションメンバ
14 サイドメンバ
16 クロスメンバ
18,20 支持部
22,36 スタビライザ
24 スタビライザ本体
26 アーム部
28 ベアリング部材(軸受手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバの一端側を車両幅方向に延びるクロスメンバによって連結支持することにより構成されたサスペンションメンバと、
前記左右一対のサイドメンバの一方から他方へ延びると共に前記左右一対のサイドメンバの他端側のそれぞれに軸方向の移動を阻止し回転を許容する軸受手段を介して回動自在に連結されたスタビライザ本体を有し、前記スタビライザ本体によって前記左右一対のサイドメンバの他端側を連結支持するクロスメンバの機能を果たすようにしたスタビライザと、
を備えたことを特徴とするサスペンション構造。
【請求項2】
前記左右一対のサイドメンバの他端側には、前記左右一対のサイドメンバを車体へ支持するための支持部が設けられ、
前記スタビライザ本体は、前記左右一対のサイドメンバにおける前記支持部の近傍位置に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション構造。
【請求項3】
前記スタビライザには、前記スタビライザ本体の車両幅方向両端側に左右一対のアーム部が設けられ、
前記スタビライザ本体と、前記左右一対のアーム部とは、別体で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサスペンション構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−282004(P2006−282004A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105062(P2005−105062)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】