説明

サスペンション装置用のバウンドストッパ

【課題】擦れによる不快な異音を発生させることのない、発泡ポリウレタン製のバウンドストッパを提供する。
【解決手段】ショックアブソーバとコイルスプリングとを備えた車両のサスペンション装置に用いられる筒状の弾性体であって、ピストンロッドを中心孔47に挿通させるとともに、上端部60をスプリングシートの凹嵌合部に内嵌状態に嵌合保持させ、バウンド時にショックアブソーバのシリンダに弾性当接する発泡ポリウレタン製のバウンドストッパ46の、シリンダへの当接面となる軸方向の下端面65及び下端部52外周面70を微細な凹凸群からなるシボ成形面68とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はショックアブソーバとコイルスプリングとを構成要素として備えた車両のサスペンション装置に用いられる筒状の発泡ポリウレタン製のバウンドストッパに関し、特に異音防止のための技術手段に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ショックアブソーバとコイルスプリングとを構成要素として備えた車両のサスペンション装置において、バウンド時にショックアブソーバのシリンダに当接してショックアブソーバの過度の収縮変位を規制するバウンドストッパが用いられている。
例えば下記特許文献1にこの種のバウンドストッパが開示されている。
【0003】
このバウンドストッパは全体として筒状を成しており、その中心孔にショックアブソーバのピストンロッドを挿通させる状態に装着される。
このバウンドストッパは、車両のバウンド時にその下端部がショックアブソーバのシリンダに当接して圧縮弾性変形し、衝撃吸収しつつショックアブソーバの過度の収縮変位規制を行うが、その際即ち下端部が圧縮弾性変形する際にシリンダに対して擦れを生じて、その際に「ギュッ」といった不快な異音(スティックスリップ音)を生じる問題があった。
その対策として、特許文献1に開示のものではゴム製のバウンドストッパの下端面に大きな突起を複数設けている。
【0004】
しかしながらバウンドストッパの下端面にこのような大きな突起を複数設けただけでは異音発生に対して不充分である。
特に本発明の対象とする発泡ポリウレタン製のバウンドストッパの場合、ゴム製のバウンドストッパに較べてシリンダへの当接時にその当接個所が局部的により変形し易い性質があり、大きな突起が潰れる過程で異音を発生してしまい、十分な対策とはなり得ない。
【0005】
またこの発泡ポリウレタン製のバウンドストッパは、下端部がシリンダに当接して変形しつつストッパ作用をなすとき、その下端面のみならず下端部の外周面もまたシリンダに当接して擦れを生じて異音を発生させる問題があり、この問題に対して特許文献1に開示のものでは解決することができない。
【0006】
ところでストラット式のサスペンション装置では、従来、ピストンロッド,コイルスプリングの上端を受けるスプリングシート等バウンドストッパの取付金具及び上端部がこれに嵌合状態に保持されたバウンドストッパが一体回転する状態に互いに組み付けられており、この場合においてバウンドストッパは、その中心孔の内周面をピストンロッドに対して接触状態に嵌合させていた。
【0007】
バウンドストッパとピストンロッドとが一体に回転運動するため、そのようにしても不都合がないからである。
【0008】
これに対して、ピストンロッドが上記取付金具に対して、即ちこれに嵌合保持されたバウンドストッパに対しても独立して回転する状態に、それらがベアリングを介して組み付けられて成るサスペンション装置が提案されており、この場合、バウンドストッパの中心孔の内周面に対してピストンロッドがその軸心周りに回転運動すると、そこで擦れを生じて、そこでも異音が発生するといった問題が生ずる。
またストラット式のサスペンション装置の場合、ピストンロッドの車体への取付部(ピストンロッドの上端部はベアリングを介して車体に固定される)と、シリンダの下端を固定してあるステアリングナックルとロアアーム先端部を結合するボールジョイントとを結ぶ線(キングピン軸)を回動中心として、シリンダの下端部が車輪とともに回動運動する関係上、即ちピストンロッドの上端部の位置が一定で、シリンダの下端部が回動運動して位置移動する関係上、バウンドストッパがピストンロッドに対して相対的に回転可能な状態にあると、操舵時においてショックアブソーバ全体が回動運動したとき、ピストンロッドがバウンドストッパの中心孔の内周面に対してこじり方向に運動することとなる。
【0009】
このとき、ピストンロッドからバウンドストッパの中心孔の内周面に対してこじりの入力が加わらないように、バウンドストッパの中心孔を上端から下端に向って拡径するテーパ形状となしておくことが望ましい。
しかしながらこのようにすると、バウンドストッパの下端部が薄肉(径方向の肉厚)となって変形し易くなり、そしてその大きな変形に伴って擦れが更に生じ易くなって、そこでの異音がより発生し易い問題が発生する。
この問題はピストンロッドが取付金具に対して、即ちバウンドストッパに対して相対回転する形式のサスペンション装置において顕著に生じ易いが、それ以外の形式のサスペンション装置においても生じる場合がある。
【0010】
またバウンドストッパがピストンロッドと一体に回転する形式、或いはそれぞれが互いに独立して回転する形式の如何を問わず、従来のバウンドストッパは、バウンド時のストッパ作用時において軸方向に圧縮変形した際、取付金具の凹嵌合部に嵌合している上端部が、詳しくは上端部の外周面及び上端面が取付金具の凹嵌合部における内周面及び上底面に対して擦れを生じ、そこでも異音を発生させるといった問題が生じていた。
【0011】
【特許文献1】特開平8−42624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景としてなされたもので、擦れによる不快な異音を発生させることのない、発泡ポリウレタン製のバウンドストッパを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、ショックアブソーバとコイルスプリングとを構成要素として備えた車両のサスペンション装置に用いられ、全体として筒状をなして該ショックアブソーバのピストンロッドを中心孔に挿通させるとともに、自身の上端部をスプリングシート等取付金具の凹嵌合部に内嵌状態に嵌合保持させる状態に装着され、バウンド時に該ショックアブソーバのシリンダに弾性当接して該ショックアブソーバの過度の収縮変位を規制する発泡ポリウレタン製のバウンドストッパであって、前記シリンダへの当接面となる軸方向の下端面及び下端部外周面が、微細な凹凸から成るシボ成形面と成してあることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記取付金具の凹嵌合部に内嵌されて該凹嵌合部の内周面及び上底面に接触する上端部の外周面及び上端面が前記シボ成形面と成してあることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記中心孔は前記ピストンロッドとの間に軸方向全長に亘って環状の隙間を形成する形状を成していることを特徴とする。
【0016】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記中心孔は上端から下端に進むにつれて拡径する形状を成していることを特徴とする。
【0017】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記中心孔の内周面が前記シボ成形面と成してあることを特徴とする。
【0018】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記シボ成形面はシボ深さが150〜400μmであることを特徴とする。
【0019】
請求項7のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記シボ成形面は点状のシボ突起を5個/cm以上の密度で有するものであることを特徴とする。
【0020】
請求項8のものは、請求項1〜7の何れかにおいて、前記サスペンション装置は前記ショックアブソーバの下端が車輪とともに操舵時の該車輪の回動中心周りに回動し、且つ前記ピストンロッドが前記取付金具に対して該ピストンロッドの軸心周りに相対回転する形式のものであることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0021】
以上のように本発明は、発泡ポリウレタン製のバウンドストッパの、シリンダへの当接面となる軸方向の下端面及び下端部外周面を、微細な凹凸群から成るシボ成形面となしたものであり、かかる本発明によれば、バウンド時においてバウンドストッパの下端部がシリンダに当接し、圧縮弾性変形してストッパ作用をなす際に、バウンドストッパの下端部が当接面で擦れを生じても、その際に不快な異音が発生するのを防止することができる。
【0022】
ここでシボ成形面は、シボ深さ150〜400μmの面となしておくことが望ましい(請求項6)。
シボ深さが150μmよりも浅いと、シリンダへの当接時にシボ突起が潰されてシボの谷が埋ってしまい、その結果シボ突起とシボ突起との間の隙間が消失してしまって、バウンドストッパがシリンダに対し密着した状態の面接触となってしまって、異音を十分に防止することが難しくなる。
一方400μmよりもシボ深さを深くすると、シボ成形面の成形自体が困難となる。
【0023】
このシボ成形面はまた、点状のシボ突起を単位面積当り、詳しくは1cm当り5個以上の高密度で有するものとなしておくことが望ましい(請求項7)。
前述したように発泡ポリウレタン製のバウンドストッパの場合、当接面に大きな突起を設けておいて、先ずこれをシリンダに部分的に当てると、その大きな突起が潰れる過程で異音が発生してしまう問題が発生する。
これに対し本発明に従って当接面をシボ成形面となしておいた場合、特にシボ突起が5個/cm以上の密度としておいた場合、当接面が全面に亘って同時にシリンダに当接するため(但しシボ突起とシボ突起との間には隙間が形成されている)、即ち微細な凹凸群が同時に且つ全体として略面状に当接するため、その当接時に不快な異音が発生するのをより効果的に防止することができる。
【0024】
次に請求項2は、スプリングシート等取付金具の凹嵌合部に内嵌されてそこに保持されるバウンドストッパの外周面及び上底面、即ち凹嵌合部の内周面及び上底面に接触する部分をシボ成形面となしたもので、この請求項2によれば、バウンドストッパの上端部が取付金具の凹陥部に対し擦れを生じて異音を発生する問題も解決することができる。
尚この請求項2におけるシボ成形面もまた、上記のシボ深さとなしておくことが望ましく、またシボ突起の密度を上記の密度となしておくことが望ましい。
【0025】
次に請求項3は、バウンドストッパにおける中心孔をピストンロッドとの間に軸方向全長に亘って環状の隙間を形成する形状に成形したもので、このようにしておけば、ピストンロッドがバウンドストッパに対して相対回転する際、バウンドストッパの中心孔の内周面がピストンロッドに対して擦れを生じるのを回避ないし抑制することが可能となる。
【0026】
この場合において中心孔は、上端から下端に進むに連れて拡径する形状となしておくことができる(請求項4)。
このようにしておけば、ピストンロッドがバウンドストッパに対してこじり運動した際にも、中心孔内周面がピストンロッドに対して擦れを生じるのを回避ないし抑制することが可能となる。
ここでその中心孔は、上端から下端に進むに連れて拡径するテーパ形状となしておくことができる。
【0027】
次に請求項5は、その中心孔の内周面もまたシボ成形面となしたもので、このようにしておけばピストンロッドに対し中心孔の内周面が当りまた擦れを生じるようなことがあっても、その擦れに起因する不快なスティックスリップ音等の異音の発生を効果的に防止することができる。
ここで中心孔の内周面は、その全面をシボ成形面となしておくことが望ましい。
【0028】
本発明は、特に次のような形式のサスペンション装置、即ちショックアブソーバの下端が車輪とともに操舵時の車輪の回動中心(キングピン軸)周りに回動し、且つピストンロッドが取付金具に対してピストンロッドの軸心周りに相対回転する形式のサスペンション装置に適用して特に好適である(請求項8)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は車両のサスペンション装置、ここではストラット式のサスペンション装置の主要素をなすショックアブソーバで、12はシリンダ,14はシリンダ12から上向きに突き出したピストンロッドである。
ここでピストンロッド14は、上端部がベアリング15及びストラットマウント16を介して車体パネル18に、その軸心周りに回転可能に弾性的に連結されている。
【0030】
一方シリンダ12の下端部は、図示を省略するステアリングナックルに固定されている。
従ってシリンダ12の下端部は、操舵時においてステアリングナックルとロアアームとを連結するボールジョイントとピストンロッドの上端部、詳しくはベアリング15の中心とを結ぶ線の周りに車輪と一体に回動運動して位置移動する。
即ちショックアブソーバ10は、ピストンロッド14の上端部が位置固定で、下端部が操舵時における車輪の回動中心周りに車輪と一体に回動運動して位置を変化させる。
【0031】
上記ストラットマウント16は、ピストンロッド14と車体パネル18との間で振動絶縁するもので、テーパ形状のアウタ金具20と、対応した略テーパ形状のインナ金具22と、それらを連結するゴム弾性体24とを有している。
ここでゴム弾性体24は、アウタ金具20及びインナ金具22に対し一体に加硫接着されている。
またこのストラットマウント16において、アウタ金具20及びインナ金具22は、それぞれゴム弾性体24内部に埋込み状態で設けられている。
このストラットマウント16は、ボルトにて車体パネル18に締結されないボルトレスタイプのものであって、車体パネル18に形成された凹所26に対し下方から上向きに嵌め込まれて、かかる車体パネル18に組み付けられている。
【0032】
28はリバウンドストッパで、ストッパ金具30と、これに一体に加硫接着されたゴムストッパ部32とから成っており、そのストッパ金具30においてナット34-1,34-2によりピストンロッド14の上端部の雄ねじに締結固定されている。
【0033】
上記ベアリング15は内輪(上軌道輪)36と、外輪(下軌道輪)38と、それらの間の転動球40とを有しており、その内輪36がピストンロッド14に固定されてこれと一体に回転し、また外輪38がスプリングシート(取付金具)42に固定されてこれと一体に回転するようになっている。
即ちこの実施形態では、ピストンロッド14とスプリングシート42とが、互いに独立してそれぞれに対し相対回転可能となっている。
ここでスプリングシート42は、ショックアブソーバ10の外周側に介装される、図示を省略するコイルスプリングの上端を受けるばね受けとしてのもので凹嵌合部44を有しており、そこにバウンドストッパ46が嵌合され保持されている。
ここで金属製のスプリングシート42は、防錆のためのカチオン塗装が施されていてその表面がツルツルの平滑な面をなしている。
【0034】
バウンドストッパ46は、車両のバウンド時にその下端部52をシリンダ12の上面に当接させて圧縮弾性変形し、ショックアブソーバ10の過度の収縮変位を規制するもので、ここではバウンドストッパ46は発泡ポリウレタン製とされている。
【0035】
このバウンドストッパ46は、全体として筒状を成していて中心孔47を有しており、その中心孔47にピストンロッド14が挿通されている。
このバウンドストッパ46の外周面には上下に環状溝48,50が形成されており、主として環状溝50より下側の部分の下端部52がシリンダ12の上面、詳しくはここではシリンダ12に嵌装されたキャップ53に当接して圧縮弾性変形する。
ここでキャップ53にはメッキが施されており、その表面がツルツルの平滑な面をなしている。
【0036】
この下端部52にはまた、内周側においても環状溝54が形成されており、更にその外径も環状溝50よりも上側の部分に対し小径とされていて、下端部52全体が変形し易いものとされている。
【0037】
バウンドストッパ46は、上側の環状溝48と下側の環状溝50との間の中間部の外周面に環状凹部56が形成されていて、そこに剛性の樹脂から成る拘束リング58が嵌着されている。
【0038】
図3に示しているように、バウンドストッパ46の上端部60は大径部とされていて、その大径の上端部60がスプリングシート42の上記の凹嵌合部44に下方から上向きに嵌め込まれ、そこに内嵌状態に保持されている。
具体的にはここでは大径の上端部60の外周面62及び上端面64が、それぞれ凹嵌合部44の内周面及び上底面に接触する状態で凹嵌合部44に上端部60が内嵌されている。
【0039】
図2及び図3に示しているようにこの上端部60には、バウンドの際のストッパ作用時、更にはそのストッパ作用を解除する際にバウンドストッパ46の内部と外部との間で空気を通すための空気通路66が放射状に複数個所(ここでは3個所)設けられている。
【0040】
本実施形態において、バウンドストッパ46はその内径即ち中心孔47の径が、ピストンロッド14の外径よりも大径とされており、通常時においてその上端から下端に到る全長に亘ってピストンロッド14との間に環状の隙間を形成する形状とされている。
またこの中心孔47は、図4に示すように上端から下端に向って進むにつれて拡径する角度θのテーパ形状とされている。
但しこの中心孔47は、上端から下端に向って連続的に拡径する形状であっても良いし、或いはまた段階的に拡径する形状であっても良い。更に厳密なテーパ形状でなく、全体的に若しくは軸方向において部分的に湾曲形状をなしていても良い。
【0041】
このバウンドストッパ46はまた、上端部60の外周面62と上端面64、更に下端部52における下端面65及び外周面70、更に中心孔47の内周面72が、全面的に微細な凹凸群から成るシボ成形面68とされている。
このシボ成形面68は、ポリウレタン製のバウンドストッパ46を金型にて型成形する際、その金型の対応する個所に予め形成してあるシボ加工面にて型成形された面であって、多数のシボ突起74とそれらの間のシボ谷部76とから成っている。
本実施形態では、シボ深さ即ちシボ突起74の高さないしはシボ谷部76の深さが250±50μmの範囲内とされている。また1cm当りのシボ突起74の個数は5個以上の高密度とされている。
【0042】
本実施形態のバウンドストッパ46は、車両のバウンド時に主としてその下端部52がショックアブソーバ10のシリンダ12の上面、詳しくはここではキャップ53の上面に当接して圧縮弾性変形し、ショックアブソーバ10の過大な収縮方向の変位を規制する。
その際、下端部52は下端面65がキャップ53を介してシリンダ12に当接するのみならず、軸方向の圧縮変形によって、その外周面70もまたキャップ53を介してシリンダ12の上面に当接し、その際に下端部52の下端面65及び外周面70がシリンダ12に対して相対的に擦れを生じる。
【0043】
また上端部60においても外周面62及び上端面64が、スプリングシート42の凹嵌合部44の内周面及び上底面に対し圧縮変形に伴って擦れを生じる。
また特に操舵時においてピストンロッド14がバウンドストッパ46に対し図4に示すようなこじり方向の運動を相対的に生じ、その際に或いはまた更に荷重の入力によってコイルスプリングの上端部とともにスプリングシート42が相対回転したとき、バウンドストッパ46の中心孔47の内周面72にピストンロッド14が接触し、或いは接触しながら相対回転することがある。このときバウンドストッパ46の内周面72がピストンロッド14に対し擦れを生じる。
【0044】
ここにおいて本実施形態ではそれら擦れを生じる面が全てシボ成形面68とされているため、そのような擦れによって異音が発生するのが良好に防止される。
【0045】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態のバウンドストッパをサスペンション装置への装着状態で示す図である。
【図2】図1におけるバウンドストッパの斜視図である。
【図3】同バウンドストッパにおける(A)縦断面図,(B)平面図,(C)(A)のC−C断面図である。
【図4】同バウンドストッパの作用説明図である。
【符号の説明】
【0047】
10 ショックアブソーバ
12 シリンダ
14 ピストンロッド
42 スプリングシート(取付金具)
44 凹嵌合部
46 バウンドストッパ
47 中心孔
52 下端部
64 上端面
65 下端面
68 シボ成形面
70 外周面
72 内周面
74 シボ突起
76 シボ谷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショックアブソーバとコイルスプリングとを構成要素として備えた車両のサスペンション装置に用いられ、全体として筒状をなして該ショックアブソーバのピストンロッドを中心孔に挿通させるとともに、自身の上端部をスプリングシート等取付金具の凹嵌合部に内嵌状態に嵌合保持させる状態に装着され、バウンド時に該ショックアブソーバのシリンダに弾性当接して該ショックアブソーバの過度の収縮変位を規制する発泡ポリウレタン製のバウンドストッパであって
前記シリンダへの当接面となる軸方向の下端面及び下端部外周面が、微細な凹凸から成るシボ成形面と成してあることを特徴とするサスペンション装置用のバウンドストッパ。
【請求項2】
請求項1において、前記取付金具の凹嵌合部に内嵌されて該凹嵌合部の内周面及び上底面に接触する上端部の外周面及び上端面が前記シボ成形面と成してあることを特徴とするサスペンション装置用のバウンドストッパ。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記中心孔は前記ピストンロッドとの間に軸方向全長に亘って環状の隙間を形成する形状を成していることを特徴とするサスペンション装置用のバウンドストッパ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記中心孔は上端から下端に進むにつれて拡径する形状を成していることを特徴とするサスペンション装置用のバウンドストッパ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記中心孔の内周面が前記シボ成形面と成してあることを特徴とするサスペンション装置用のバウンドストッパ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記シボ成形面はシボ深さが150〜400μmであることを特徴とするサスペンション装置用のバウンドストッパ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記シボ成形面は点状のシボ突起を5個/cm以上の密度で有するものであることを特徴とするサスペンション装置用のバウンドストッパ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかにおいて、前記サスペンション装置は前記ショックアブソーバの下端が車輪とともに操舵時の該車輪の回動中心周りに回動し、且つ前記ピストンロッドが前記取付金具に対して該ピストンロッドの軸心周りに相対回転する形式のものであることを特徴とするサスペンション装置用のバウンドストッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−170385(P2006−170385A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366709(P2004−366709)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】