説明

サブスタンス関連障害を処置する方法

【化1】


本発明は、個体におけるサブスタンス関連疾患を防止し、処置し、または改善する方法を対象とし、この方法はそれが必要な個体に有効量の式(I)または式(II)またはその製薬学的に許容される得る形態から選択される化合物を投与することを含んでなり:式中、フェニルはXでフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される1〜5個のハロゲン原子で置換され;そしてR、R、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC−Cアルキルからなる群から選択され;ここでC−Cアルキルは場合によりフェニルで置換されてもよい(そしてここで、フェニルは場合によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アミノ、ニトロおよびシアノからなる群から独立して選択される置換基で置換されてもよい)。さらに方法は本発明の化合物と、サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている1もしくは複数の化合物との同時投与も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、サブスタンス関連障害(Substance−Related Disorders)を防止し、処置し、または改善する方法を対象とする。より詳細には本発明は、サブスタンス依存、乱用およびサブスタンス誘発性障害を防止し、処置し、または改善するために、単独または他の薬剤と組み合わせた特定のハロゲン化2−フェニル−1,2−エタンジオールモノカルバメートまたはジカルバメート化合物の使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
サブスタンス関連障害には、薬剤摂取の乱用に関連する障害を含み、そしてサブスタンス依存および乱用、およびサブスタンス離脱症候群、ならびにサブスタンス誘発性精神病および気分障害のようなサブスタンス誘発性障害を含む。サブスタンス依存は一群の認知、行動および生理学的症状であり、その本質的特徴は、罹患した個体が重大なサブスタンスに関連する問題にもかかわらずサブスタンスを使用し続けることである。
【0003】
多くの薬剤が依存または身体的および/または心理的嗜癖を引き起こす可能性がある。アヘン剤(ヘロイン、オピウム、モルヒネ等のような)、交感神経作用剤(コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン等のような)、鎮静−催眠剤(エタノール、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、吸入剤、フェンシクリジン等のような)、およびオピオイドと交感神経作用性効果とを組み合わせたもの(ニコチン等のような)は、依存または身体的および/または心理的嗜癖を引き起こす可能性がある薬剤と考えられている。
【0004】
サブスタンス依存または嗜癖は、サブスタンスを摂取することに対する渇望または抑えがたい欲望、およびその摂取を制限できないことを特徴とする。さらに薬物依存は薬物耐性、繰り返し投与した後の薬剤の効果損失、および離脱症状(薬剤を消費しない時の身体的および行動的症状の出現)を伴う。感作は、薬剤の繰り返し投与が各用量に対する増大した応答を導く場合に起こる。耐性、感作および離脱は、嗜癖を引き起こす薬剤の連続使用から生じる中枢神経系における変化を証明する現象である。そのような変化は、深刻な社会的、法的、身体的および/または職業上の重要性にかかわらず、常習している個体に薬物を消費し続けるように刺激する。
【0005】
ドーパミン放出および/または再取り込みに対する直接的、間接的または経シナプス的変化は、嗜癖的行動から生じる障害、そして「報酬欠乏症候群(Reward Deficiency Syndrome)」のような薬剤使用に報い、かつ/または強制することに係わってきた。ドーパミンは、感覚、辺縁系および運動系における情報の前脳の統合に生理的に機能するモノアミン神経伝達サブスタンスである。低下したドーパミン作用機能がドーパミン受容体のマイナーな対立遺伝子を有する個体に見いだされたので、ドーパミン受容体は強制または報酬遺伝子になるようである。ドーパミン受容体遺伝子のバリアントは、アルコール依存症、肥満、病的な賭け事、注意欠損過活動障害、トゥーレット症候群、コカイン依存、ニコチン依存、ポリサブスタンス乱用(polysubstance abuse)および他の薬剤依存に関連してきた。
【0006】
サブスタンス依存を処置する試みは、製薬学的および行動的介入を含んだ。様々にドーパミンの再取り込みを遮断し、またはドーパミンの放出を強化するために、処置には薬理学的作用剤(例えばブプロピオン、ナルトレキソン、アカンプロセート等)を、単独または他の作用剤と共に含んだ。また薬剤処置は場合により嗜癖を処置するための行動修飾治療と同一の広がりをもってきた。(例えば非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12を参照にされたい)(すべて引用により本明細書に編入する)。
【0007】
サブスタンス乱用は、再発し、そしてそのサブスタンスの繰り返し使用に関連する重大な悪影響により現れるサブスタンス使用の不適応パターンである。これらの問題は少なくとも12カ月間、繰り返して起こる。
【0008】
サブスタンス誘発性障害は、中枢神経系に及ぼすサブスタンスの生理学的効果による広い様々な一過性またはさらに慢性の症候群を指す。そのような障害はサブスタンスの使用中、または使用後短期間のうちに発症する可能性がある。これらには急性中毒および離脱、および様々なサブスタンス誘発性の精神障害、例えばせん妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害、気分障害、不安障害、性機能不全および睡眠障害がある。
【0009】
非特許文献5を参照にされたい(引用により本明細書に編入する)。
【0010】
種々のクラスの乱用され得る薬剤から生じるサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善するための効果的な薬理学的治療に関する必要性がある。特に容易に合成でき、神経伝達経路で効力があり、しかも安定化メディエーターおよび回復推進剤であり、そして限定するわけではないが急性中毒および離脱、およびサブスタンス誘発性の精神障害、例えばせん妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害、気分障害、不安障害、性機能不全および睡眠障害を含むサブスタンス依存(薬物嗜癖)およびサブスタンス乱用およびサブスタンス誘発性障害のようなサブスタンス使用障害を含むサブスタンス関連障害を防止し、処置しまたは改善するために有用な低分子化合物の必要性が存在する。
【0011】
Bossinger,et alへの特許文献13(引用により本明細書に編入する)に、精神安定、鎮静および筋肉弛緩特性を有する中枢神経系の処置に有用な式:
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、Rはアルキル基に1〜3個の炭素原子を含有するカルバメートまたはアルキルカルバメートのいずれかであり;Rは水素、ヒドロキシ、1〜2個の炭素を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキルのいずれかであり;Rは水素または1〜2個の炭素を含有するアルキルのいずれかであり;そしてXはハロゲン、メチル、メトキシ、フェニル、ニトロまたはアミノであることができる]
の置換フェニルアルキルカルバメート化合物が記載された。
【0014】
Bossinger,et alへの特許文献14(引用により本明細書に編入する)に、式:
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、Wは4未満の炭素原子を含有する脂肪族基を表し;式中、Rは芳香族基を表し、Rは水素、または4未満の炭素原子を含有するアルキル基を表し、そしてXは水素、ヒドロキシ、4未満の炭素原子を含有するアルコキシまたはアルキルを表すか、または式:
【0017】
【化3】

【0018】
式中、Bは有機複素環式、ウレイドまたはヒドラジノアミン基または基−N(Rを表し、ここでRは水素または4未満の炭素原子を含有するアルキル基を表す、
の基を表す]
の化合物を投与することによるカルバメートを用いた鎮静および筋肉弛緩を誘導する方法が記載された。
【0019】
光学的に純粋な形態の置換されたフェニルアルキルカルバメート化合物が、痙攣、癲癇、脳卒中および筋痙攣を含む中枢神経系の障害を処置し、そして防止するために効果的であり、そして中枢神経系の疾患、特に抗痙攣薬、抗癲癇薬、神経保護薬および中枢に作用する筋弛緩薬として有用であり、そして特に式:
【0020】
【化4】

【0021】
[式中、1つのエナンチオマーが優勢であり、そして式中、フェニル環はXでフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子から選択される1〜5個のハロゲン原子で置換され、そしてR、R、R、R、RおよびRは各々、水素、および水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アミノ、ニトロおよびシアノからなる群から選択される置換基を持つフェニル基で場合により置換されてもよい1〜4個の炭素を有する直鎖もしくは分枝アルキル基からなる群から選択される]
のハロゲン置換2−フェニル−1,2−エタンジオールモノカルバメートおよびジカルバメート化合物としてChoi,et alへの特許文献15(引用により本明細書に編入する)に記載された。純粋なエナンチオマー形およびエナンチオマー混合物が記載され、ここで上記式により表される化合物についてエナンチオマーの1つが混合物中で優勢であり、好ましくはエナンチオマーの1つが約90%以上、そして最も好ましくは約98%以上の程度まで優勢である。
【0022】
最近の前臨床試験で、これまでに認識されていなかった薬理学的特性が明らかになり、これは置換されたフェニルアルキルカルバメート化合物が広い様々なサブスタンス関連障害の防止、処置または改善に有用であることを示唆する。そのようなモノカルバメートおよびそのジカルバメート化合物が、サブスタンス依存および多くのサブスタンス誘発性障害のようなサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善するために有用であるとこれまでに記載されたことはなかった。
【参考文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第5,039,680号明細書
【特許文献2】米国特許第5,075,341号明細書
【特許文献3】米国特許第5,232,934号明細書
【特許文献4】米国特許第5,556,837号明細書
【特許文献5】米国特許第5,556,838号明細書
【特許文献6】米国特許第5,574,052号明細書
【特許文献7】米国特許第5,762,925号明細書
【特許文献8】米国特許第6,593,367号明細書
【特許文献9】米国特許第6,109,269号明細書
【特許文献10】米国特許第6,716,868号明細書
【特許文献11】米国特許出願第20030144271号明細書
【特許文献12】国際特許出願公開第0141763号パンフレット
【特許文献13】米国特許第3,265,728号明細書
【特許文献14】米国特許第3,313,692号明細書
【特許文献15】米国特許第6,103,759号明細書
【非特許文献1】Hoffman et al.,Front.Neuroendocrinol.,1998,19(3):187−231
【非特許文献2】Hitri et al.,Clin.Pharmacol.,1994,17:1−22
【非特許文献3】Noble,Alcohol Supp.,1994,2:35−43
【非特許文献4】Blum et al.,Pharmacogenetics,1995,5:121−141
【非特許文献5】Diagnostic And Statistical Manual of Mental Disorder、第4版、(DSM−IV)第175〜272頁、アメリカン精神医学協会(The American Psychiatric Association)により出版、ワシントン、DC(1994)
【発明の開示】
【0024】
発明の要約
本発明は、個体におけるサブスタンス依存または薬物嗜癖を含むサブスタンス関連疾患を防止し、処置し、または改善する方法を対象とし、この方法はそれが必要な個体に
【0025】
【化5】

【0026】
の有効量のカルバメート化合物、またはその製薬学的に許容され得る形態を投与することを含んでなり、ここですべての変項は本明細書に記載する通りである。
【0027】
また本発明は、サブスタンス誘発性障害または疾患および依存誘発性または依存性薬剤の使用から生じる障害を防止し、処置し、または改善するための式(I)または式(II)の化合物の使用法を対象とする。
【0028】
本発明の方法には、サブスタンス依存または嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状の効果、あるいはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応、すなわちサブスタンス誘発性障害の効果を調節(modulating)するための式(I)または式(II)の化合物の使用を含む。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、個体におけるサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善する方法を対象とし、この方法はその必要がある個体に有効量の式(I)または式(II):
【0030】
【化6】

【0031】
[式中:
フェニルはXにおいてフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される1〜5個のハロゲン原子で置換され;そして
、R、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC−Cアルキルからなる群から選択され;ここでC−Cアルキルは場合によりフェニルで置換されてもよい(そしてここで、フェニルは場合によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アミノ、ニトロおよびシアノからなる群から独立して選択される基で置換されてもよい)]
から選択される化合物、またはその製薬学的に許容され得る形態物を投与することを含んでなる。
【0032】
また本発明は、個体におけるサブスタンス依存または薬物嗜癖を含むサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善する方法を対象とし、この方法はその必要がある個体に製薬学的に許容され得る担体および式(I)または式(II)から選択される化合物を含んでなる有効量の製薬学的組成物を個体に投与することを含んでなる。
【0033】
また本発明は、個体のサブスタンス誘発性障害または疾患、ならびに依存性薬の使用から生じる障害を防止し、処置し、または改善する方法、ならびに嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状の効果、あるいはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応の効果を調節する方法を含み、この方法はそれが必要な個体に式(I)または式(II)から選択される有効量の化合物を投与すること、あるいは製薬学的に許容され得る担体および式(I)または式(II)から選択される化合物を含んでなる有効量の製薬学的組成物を個体に投与することを含んでなる。
【0034】
また本発明は、サブスタンス依存を含むサブスタンス誘導性障害を防止し、処置し、または改善する方法を含み、この方法はそのような処置が必要な個体に、式(I)または式(II)から選択される化合物、あるいは製薬学的に許容され得る担体および式(I)または式(II)から選択される化合物を含んでなる製薬学的組成物と、サブスタンス関連障害を処置することが知られている有効量の1もしくは複数の化合物とを組み合わせて有する有効量の組み合わせ生成物を投与することを含んでなる。サブスタンス関連障害を処置することが知られている化合物には、限定するわけではないがナルトレキソン、ナロキソンまたは他のオピオイド受容体アンタゴニスト、フルオキセチンまたは他のSSRI抗鬱薬、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体、ベンラファキシンまたは他のSNRI抗鬱薬、MAOインヒビター抗鬱薬、三環式抗鬱薬、ブプロピオン、炭酸リチウム、鎮痙薬、アカンプロセート、ジスルフィラム(アンタブース)、カルシウムチャンネル遮断薬、セロトニンアンタゴニスト、GABA−変性剤(altering drug)、ドーパミン作用剤、およびN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)グルタミン酸受容体モジュレーター等がある。
【0035】
さらに本発明の方法は、必要な個体におけるサブスタンス誘発性障害を防止し、処置し、または改善する方法を含み、この方法は本発明の有効量の化合物および製薬学的組成物またはそれらの組み合わせ生成物を、行動の修飾と同じ広がりの(coextensive)治療計画で投与することを含んでなる。
【0036】
本発明は、サブスタンス依存および乱用のようなサブスタンス関連障害およびサブスタンス誘発性障害を防止し、処置し、または改善する薬剤の製造のための式(I)または式(II)から選択される化合物、またはその製薬学的組成物の使用を含む。
【0037】
本発明の方法に使用するための式(I)から選択される化合物の例には、式(I)のエナンチオマー、または1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物中の式(I)のエナンチオマーを含む。
【0038】
本発明の方法に使用するための式(II)から選択される化合物の例には、式(II)のエナンチオマー、または1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物中の式(II)のエナンチオマーを含む。
【0039】
1つのエナンチオマーが優勢な式(I)または式(II)のエナンチオマー混合物について、このエナンチオマーは約90%以上の程度まで優勢である。また本発明の例には該エナンチオマーが約98%以上の程度まで優勢であるエナンチオマー混合物を含む。
【0040】
式(I)または式(II)の該化合物の他の例には、Xが塩素であり、Xが式(I)または式(II)のフェニル環のオルト位で置換されており、そしてR、R、R、R、RおよびRが水素である化合物を含む。
【0041】
本方法の例には、式(I)または式(II)から選択されるエナンチオマー、あるいは1つのエナンチオマーが優勢であるそれらのエナンチオマー混合物の使用を含み、式中、Xが塩素であり、そしてXがフェニル環のオルト位で置換されている。
【0042】
また本方法には、式(I)または式(II)から選択されるエナンチオマー、あるいは1つのエナンチオマーが優勢であるそれらのエナンチオマー混合物の使用を含み、式中、R、R、R、R、RおよびRが水素である。
【0043】
式(I)または式(II)から選択される1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物について、該エナンチオマーは約90%以上の程度まで優勢である。また本発明の範囲内のエナンチオマー混合物には、該エナンチオマーが約98%以上の程度まで優勢であるものを含む。
【0044】
本発明は、個体におけるサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善する方法を対象とし、この方法はそれが必要な個体に有効量の式(Ia)または式(IIa)から選択されるエナンチオマー、あるいは1つのエナンチオマーが優勢な式(Ia)または式(IIa)のエナンチオマー混合物:
【0045】
【化7】

【0046】
[式中:
フェニルはXにおいてフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される1〜5個のハロゲン原子で置換され;そして
、R、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC−Cアルキルからなる群から選択され;ここでC−Cアルキルは場合によりフェニルで置換されてもよい(そしてここで、フェニルは場合によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アミノ、ニトロおよびシアノからなる群から独立して選択される置換基で置換されてもよい)]
あるいはその製薬学的に許容され得る形態を投与することを含んでなる。
【0047】
本方法の例には、式(Ia)または式(IIa)から選択されるエナンチオマー、あるいは1つのエナンチオマーが優勢であるそれらのエナンチオマー混合物の使用を含み、式中、Xが塩素であり、そしてXがフェニル環のオルト位で置換されている。
【0048】
また本方法には、式(Ia)または式(IIa)から選択されるエナンチオマー、あるいは1つのエナンチオマーが優勢であるそれらのエナンチオマー混合物の使用を含み、式中、R、R、R、R、RおよびRが水素である。
【0049】
式(Ia)または式(IIa)から選択される1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物について、該エナンチオマーは約90%以上の程度まで優勢である。本発明の範囲内のエナンチオマー混合物には、該エナンチオマーが約98%以上の程度まで優勢であるものを含む。
【0050】
本発明は、個体におけるサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善する方法を対象とし、この方法はその必要がある個体に有効量の式(Ib)または式(IIb)から選択されるエナンチオマー、あるいは1つのエナンチオマーが優勢な式(Ib)または式(IIb)のエナンチオマー混合物:
【0051】
【化8】

【0052】
を投与することを含んでなる。
【0053】
式(Ib)または式(IIb)から選択される1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物について、該エナンチオマーは約90%以上の程度まで優勢である。本発明の範囲内のエナンチオマー混合物には、該エナンチオマーが約98%以上の程度まで優勢であるものを含む。
【0054】
本発明は、式(I)または式(II)の化合物、またはその製薬学的に許容され得る形態を対象とする。本化合物の他の結晶または多形も存在することができる場合、それらもそのまま本発明の範囲に包含されることを意図する。
【0055】
用語「形態」は、式(I)または式(II)の化合物に関する種々の異性体およびその混合物を指す。用語「異性体」は、同じ組成および分子量を有するが、物理的および/または化学的特性が異なる化合物を指す。そのようなサブスタンスは同じ数および種類の原子を有するが構造が異なる。構造的相違は構成(幾何異性体)または偏光面を回転する能力(立体異性体)であることができる。用語「立体異性体」とは空間におけるそれら原子の配置が異なる同一構成の異性体を指す。エナンチオマーおよびジアステレオマーは、非対称的に置換された炭素原子がキラル中心のように作用する立体異性体である。用語「キラル」はその鏡像と重ね合わせることができない分子を指し、対称の軸および平面または中心が存在しないことを意味する。
【0056】
当業者には本発明の化合物がラセミ体、エナンチオマーおよびそのエナンチオマー混合物として存在することが明らかである。式(I)、式(II)、式(Ia)、式(IIa)、式(Ib)または式(IIb)から選択されるカルバメートエナンチオマーは、ベンジル位に不斉のキラル炭素原子を含み、これはフェニル環に隣接する脂肪族炭素である(構造式中、アスタリスクにより表される)。
【0057】
用語「ラセミ体」または「ラセミ混合物」は、2つのエナンチオマー種の等モル量の化合物を指し、ここで化合物は旋光性を欠いている。用語「旋光性」とは、キラル分子またはキラル分子の非ラセミ混合物が偏光面を回転する程度を指す。
【0058】
用語「エナンチオマー」とは互いに鏡像であり、そして重なることができない一対の分子種の1つを指す。用語「ジアステレオマー」とは鏡像との関係がない立体異性体を指す。記号「R」および「S」は、キラル炭素原子(1つもしくは複数)の回りの置換基の立体配座を表す。記号「R」および「S」は、キラル炭素(1もしくは複数)の回りの置換基の相対的配座を指す。
【0059】
異性体の表記「R」、「S」、「S」または「R」は、本明細書ではコア分子に対する原子の立体配座(1もしくは複数)を指し、そして文献に定義されるように使用されることを意図する(基本的立体化学のIUPAC推薦(IUPAC Recommendations for Fundamental Stereochemistry)(E章)、Pure Appl.Chem.,1976,45:13−30)(引用により本明細書に編入する)。
【0060】
本発明の化合物は、Bossinger’728(引用により本明細書に編入する)、Bossinger’692(引用により本明細書に編入する)およびChoi’759(引用により本明細書に編入する)に記載されているように調製することができる。本発明の化合物上の置換基および置換パターンは当業者により選択されて、化学的に安定であり、そして当該技術分野で知られている技術ならびに本明細書に説明するそのような方法により容易に合成することができる化合物を提供すると理解されている。
【0061】
本発明は、個体におけるサブスタンス依存を防止し、処置し、または改善する方法を提供し、この方法はその必要がある個体に式(I)または式(II)から選択される有効量の化合物を投与することを含んでなる。
【0062】
また本発明は、サブスタンス誘発性障害の防止、処置または改善における式(I)または式(II)の化合物の使用法を提供する。
【0063】
本発明の方法には、サブスタンス依存に関連する疾患および障害およびその症状の効果、あるいはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応の効果を調節するための該化合物の使用を含む。
【0064】
本発明の方法は、さらに該化合物の使用を含み、ここで該化合物は式(I)または式(II)から選択される化合物のエナンチオマーであり;あるいはここで該化合物は式(Ia)、式(IIa)、式(Ib)または式(IIb)から選択される化合物のエナンチオマーであり;あるいはここで該化合物は、エナンチオマー混合物中の式(I)または式(II)から選択される化合物のエナンチオマーであり、ここで該エナンチオマーが優勢であり;あるいはここで該化合物はエナンチオマー混合物中の式(Ia)、式(IIa)、式(Ib)または式(IIb)から選択される化合物のエナンチオマーであり、ここで該エナンチオマーが優勢である。
【0065】
また本方法は、必要な個体における必要な個体における、依存性薬の使用から生じる疾患および障害を含むサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善するために、あるいは嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状の効果、またはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応の効果を調節するために、製薬学的に許容され得る担体および式(I)または式(II)から選択される化合物を含んでなる製薬学的組成物の使用を含む。
【0066】
これらの方法には、必要な個体における依存性薬の使用から生じる疾患および障害を含むサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善するために、あるいは嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状の効果、またはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応の効果を調節する薬剤の調製に、式(I)または式(II)から選択される化合物の使用を含む。
【0067】
化合物が安定な非毒性の酸または塩基性塩を形成するために十分に塩基性または酸性である場合、塩としての化合物の投与が適切かもしれない。製薬学的に許容され得る塩の例は、生理学的に許容され得るアニオンを形成する酸と形成された有機酸付加塩、例えばトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、アルファ−ケトグルタル酸塩およびアルファ−グリセロリン酸塩である。適切な無機酸塩も形成でき、それには塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩重炭酸塩および炭酸塩を含む。
【0068】
製薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野で周知な標準的手法、例えばアミンのような十分に塩基性の化合物を、適切な酸と反応させて生理学的に許容され得るアニオンを与えることにより得ることができる。アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウムまたはリチウム、あるいはアルカリ土類金属、例えばカルボン酸のカルシウム塩も作成することができる。
【0069】
また本発明の方法は、個体における薬物嗜癖を含むサブスタンス関連障害、依存性薬の使用から生じる疾患および障害を防止し、処置し、または改善するために、あるいは嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状の効果、またはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応の効果を調節するための方法を対象とし、この方法はその必要がある個体に有効量の式(I)または式(II)の化合物、その製薬学的組成物、1もしくは複数の該化合物を含有する製薬学的組成物、または1もしくは複数の該化合物および安全かつ有効量の1もしくは複数の追加の作用サブスタンスを含有する製薬学的組成物を投与することを含んでなる。
【0070】
また「薬物嗜癖」とも称される用語「サブスタンス依存」は、アヘン(ヘロイン、オピウム、モルヒネ等のような)、交感神経作用剤(コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン等のような)、鎮静−催眠剤(エタノール、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、フェンシクリジン等のような)、および効果の組み合わせを有するもの(ニコチン等のような)等、およびその混合物に対する身体的および/または心理的嗜癖を称する。
【0071】
「依存性薬の使用から生じる疾患および障害」とも称される「サブスタンス関連障害」、および「嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状」、および「そのような疾患および障害に関連する生理学的反応」という句は、アルコール離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、アンフェタミン離脱症状、コカイン離脱症状、コニチン離脱症状、オピオイド離脱症状、鎮静薬離脱症状、催眠薬離脱症状、抗不安薬離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、ニコチン離脱症状(喫煙中断に付随する障害があるか、またはない)、および他のサブスタンスによる離脱症状、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の不安障害、環境的誘発サブスタンスが誘導する渇望に対する長期間の不存在後の攻撃され易さ、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の気分障害、および離脱中に発生するサブスタンス誘発性の睡眠障害、および限定するわけではないが急性中毒および離脱を含む他のサブスタンス誘発性障害、ならびにせん妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害、気分障害、不安障害、性機能不全および睡眠障害のようなサブスタンス誘発性精神障害を指す。
【0072】
用語「防止し、処置し、または改善する」とは、(i)疾患または障害および/もしくはその効果に対する素因であることができる、疾患または障害および/もしくはその効果を有すると未だに診断されていない動物における疾患、障害または状態の発生を防ぐこと;(ii)疾患、障害または状態の発症を抑制または静止すること;および(iii)疾患、障害または状態を軽減または後退させることを指す。
【0073】
またサブスタンス関連障害と関連して、用語「防止し、処置し、または改善する」とは、薬物乱用に対する心理的嗜癖または身体的耐性を抑制すること、ならびに薬物依存から生じる離脱症状を軽減または防止することを指す。
【0074】
用語「投与する」とは、本化合物でサブスタンス依存を防止し、処置し、または改善し、依存性薬の使用から生じる疾患および障害を防止し、処置し、または改善し、あるいは嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状の効果、またはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応の効果を調節するための手段を指す。そのような手段には、有効量の本発明の化合物、組成物または薬剤を治療過程の異なる時期に、または組み合わせた状態で同時に治療的または予防的に投与することを含む。予防的投与は、依存性薬の使用から生じる疾患および障害、あるいは嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状の効果、またはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応の効果が防止、処置、改善されるように、あるいはその進行が遅れるように、薬物嗜癖に特徴的な症状が現れる前に行うことができる。本発明の方法は、さらに当業者により想定されるすべての可能な治療的または予防的処置計画を包含すると理解される。
【0075】
用語「個体」は、処置、観察または実験の対象となった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0076】
用語「有効量」は、研究者、獣医学者、医師または他の臨床医により求められる組織系、動物またはヒトに生物学的または医学的応答を誘導する活性化合物または製薬学的作用剤の量を指し、この応答には処置される疾患または障害の症状の治療的改善および予防的であることを含む。
【0077】
式(I)または式(II)から選択される化合物あるいはその製薬学的組成物の有効量は、約0.01μg/Kg/用量〜約300mg/Kg/用量であることができる。また有効量は、約0.01μg/Kg/用量〜約100mg/Kg/用量であることができる。また意図する有効量は、約0.05μg/Kg/用量〜約10mg/Kg/用量であることができる。別の有効量には、約0.1μg/Kg/用量〜約5mg/Kg/用量を含む。したがって本明細書に記載するような用量単位(例えば、錠剤、カプセル、粉末、注射、座薬、茶サジ一杯等)あたりに含まれる有効成分の有効量は、体重約70Kgの個体について約700ng/用量〜約21g/用量の範囲となり得る。
【0078】
用語「組成物」は、本発明の化合物を含有する生成物を指す(特定成分を特定量で含んでなる生成物、ならびに特定量の特定成分のそのような組み合わせから直接的または間接的に生じる任意の生成物のような)。
【0079】
用語「薬剤」は、必要な個体におけるサブスタンス依存、サブスタンス乱用またはサブスタンス誘発性障害のようなサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善するために使用する生成物を指す。
【0080】
用語「製薬学的に許容され得る」とは、本発明の組成物または薬剤の配合に使用するために十分な純度および品質の分子物体および組成物を指す。ヒトでの使用(臨床的および大衆薬)および獣医学的使用の両方が等しく本発明の範囲内に入るので、製剤にはヒトまたは獣医学的使用のための組成物または薬剤を含む。
【0081】
用語「その製薬学的に許容され得る塩」とは、本発明の組成物または薬剤の配合に使用するために十分な純度および品質であり、そして製薬学的調製物中で使用されるために耐性であり、しかも十分に非毒性である本発明の化合物の酸性または塩基性の塩を指す。
【0082】
式(I)または式(II)から選択される化合物またはその製薬学的組成物またはその製薬学的に許容され得る塩は、限定するわけではないが経口、肺、腹腔、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、バッカル、鼻、舌下、目、直腸および膣を含む通例の投与経路により投与することができる。さらに神経系への直接投与には、以下の方法に限定するわけではないが大脳内、心室内、脳室内、クモ膜下腔内、槽内、脊椎内もしくは脊椎周囲送達、あるいは頭蓋内もしくは椎骨内針またはポンプデバイスを用いる、もしくは用いないカテーテルを介する送達による投与を含む。
【0083】
当業者には本明細書に記載する治療用または予防用効果を提供する用量または投与頻度が、本発明での使用に適するにとは直ちに明らかである。
【0084】
投薬計画は個体の要件(年齢、体重および食事を含む処置する特定の個体に関連する因子、調製物の強度、疾患状態の進行度、および投与様式および時期を含む)、ならびに式(I)または式(II)の特定の化合物、あるいはその製薬学的組成物あるいはその製薬学的に許容され得る塩の使用に依存して変動し得る。投与される最適な投薬用量は当業者により容易に決定され、そして適切な治療的または予防的レベルに用量を調製する必要性が生じるだろう。毎日の投与または周期的投与後の投与のいずれかの使用を採用することができる。
【0085】
好ましくは必要な個体におけるサブスタンス依存、サブスタンス乱用またはサブスタンス誘発性障害のようなサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善するための式(I)または式(II)の化合物、あるいはその製薬学的組成物あるいはその製薬学的に許容され得る塩は、経口もしくは非経口的に投与される。
【0086】
本発明の方法に従い、式(I)または式(II)の化合物、あるいは本明細書に記載するその製薬学的組成物あるいはその製薬学的に許容され得る塩は、治療の過程で異なる時期に別個に、あるいは分割された組み合わせ物または単一の組み合わせ形態で同時に投与することができる。有利には、式(I)または式(II)から選択される化合物、あるいはその製薬学的組成物は、単一の毎日の用量で投与されることができ、あるいは毎日の全用量を連続的送達を介して、または1日に2、3もしくは4回に分割して投与することができる。したがって本発明はすべてのそのような連続的、同時または交互処置の方法および処方を包含し、そして用語「投与する」はしかるべく解釈されるものと理解される。
【0087】
本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として式(I)または式(II)の化合物あるいはその製薬学的に許容され得る塩は、製薬学的担体と通例の製薬学的調合技術に従い完全に混合され、この担体は投与に望ましい調製物の形態(例えば経口または非経口)に依存して広く様々な形態を取ることができる。
【0088】
適切な製薬学的に許容され得る担体は当該技術分野で周知である。様々な製薬学的に許容され得る担体の記載は、米国の製薬協会(American Pharmaceutical Association)および英国の製薬学会(Pharmaceutical Society of Great Britain)により出版された製薬学的賦形剤のハンドブック(The Handbook of Pharmaceutical Excipients)に見いだすことができる。
【0089】
製薬学的組成物を配合する方法は、マルセルデッカー社(Marcel Dekker Inc.)により出版されたLieberman et al.により編集された製薬学的剤形:錠剤、第2版、改定および拡大版(Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Second Edition,Revised and Expanded)、第1〜3巻;Avis et al.により編集された製薬学的剤形:非経口薬剤(Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications)、第1〜2巻;およびLieberman et al.により編集された製薬学的剤形:分散系(Pharmaceutical Dosage Forms;Disperse Systems)、第1〜2巻のような多くの出版物に記載されてきた。
【0090】
好ましくは製薬学的組成物は、経口、鼻内、舌下、眼内、経皮、非経口、直腸、膣、吸入または吸息手段による投与のための、錠剤、ピル、カプセル、カプレット、ゲルカップ、ロゼンジ、粒末、粉末、滅菌された非経口溶液もしくは懸濁液、定量エーロゾルまたは液体噴霧、液滴、アンプル、自動注入デバイスまたは座薬のような単位剤形である。あるいは組成物は1週間に1回または1カ月に1回の投与に適する形態で存在することができ、あるいは筋肉内注射用の調製物を提供するために調整することができる。
【0091】
錠剤、ピル、カプセル、カプレット、ゲルカップ、ロゼンジ、粒末または粉末(各々が即時放出、時限放出および徐放性製剤を含む)のような経口投与用の固体剤形を有する製薬学的組成物の調製において、適切な担体および添加物には限定するわけではないが、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、グライダント、崩壊剤等がある。所望により、錠剤は標準的技術により糖衣、ゼラチンコート、フィルムコートまたは腸溶性コートを施してもよい。
【0092】
固体剤形を調製するために、主要な有効成分は製薬学的担体(例えば希釈剤、結合剤、接着剤、崩壊剤、潤滑剤、抗癒着剤およびグライダントのような通例の打錠材料)と混合される。甘味料および風味料を噛む固体剤形に加えて経口剤形の嗜好性を改善することができる。さらに薬剤の確認を容易にし、または美的目的に、着色剤およびコーティングを加えるか、または固体剤形に適用することができる。これらの担体は製薬学的活性剤(active)と配合されて、治療的放出プロファイルで製薬学的活性剤の正確で適切な投与を提供する。
【0093】
経口、局所および非経口投与用の液体剤形を有する製薬学的組成物の調製では、任意の有用な製薬学的媒質または賦形剤を使用することができる。このように懸濁液(すなわちコロイド、エマルジョンおよび分散物)および溶液のような液体の単位剤形には、適切な担体および添加剤には、限定するわけではないが製薬学的に許容され得る湿潤剤、分散剤、凝集剤、増粘剤、pH制御剤(すなわちバッファー)、浸透剤、着色剤、風味料、香料、保存剤(すなわち微生物の成長を制御するため等に)、および液体賦形剤を使用することができる。上に列挙した成分のすべてが各液体剤形に必要とはならない。本発明の新規組成物が経口または注入による投与に包含され得る液体形には、限定するわけではないが水溶液、適切に風味をつけたシロップ、水性もしくは油性懸濁液、および綿実油、ゴマ油、ココヤシ油または落花生油のような可食性油、ならびにエリキシルおよび類似の製薬学的賦形剤で風味をつけたエマルジョンを含む。
【実施例】
【0094】
生物実験的実施例
サブスタンス関連障害、依存性薬の使用から生じる疾患および障害の防止、処置または改善に、あるいは嗜癖に関連する疾患および障害およびその症状の効果、またはそのような疾患および障害に関連する生理学的反応の効果の調節に使用するために、本発明の化合物の活性は、以下の実験的実施例に従い評価し、これは具体的説明の一行程となることを意図し、本発明を限定するものではない。
【0095】
本発明の化合物はエタノールを潅流するラット(これは公開された方法を適合させたヒトにおける急性および慢性的な薬物嗜癖のモデルである;Rezvani,AH et al.Alcohol & Alcoholism,Vol.25,No.5,pp.573−575,1990,Rezvani,AH et al.Alcohol and Alcoholism(Oxford),2000,35(1),76−83)で試験した。
【0096】
材料および方法
群あたり10匹のラットの試験および対照処置群について、式(Ib)のエナンチオマーを、約10〜約90mg/kgの用量範囲で14日間にわたり経口的に投与した。試験条件は飲用のパターンを評価するための取り組みを反映した(例えば単回または多回の結果)。
【0097】
動物:
オス成体の選択的に交配したアルコール嗜好(P)ラットを使用した。選択的に交配しアルコール嗜好(P)ラットを特徴づけ、そして自発的なアルコール摂取に及ぼす種々の化合物の効果を実験するために広く使用した(Rezvani et al,1990,1991,1992a,1992b,1999,2000,2002;2003;Murphy et al,1988;Overstreet et al.,1992,1999;Li and McBride,1995)。
【0098】
ラットはワイヤーメッシュのケージに、22+1℃の一定室温および12:12の明暗サイクル(8:00〜20:00、暗い)で個別に収容した。動物にはAgway Prolab ラット/マウス/ハムスター3000フォーミュラおよび水を自由に与えた。
【0099】
プロトコール:
ベースラインのアルコール摂取の確立:アルコール摂取は標準的な2−ボトル選択法を使用して決定した(Murphy et al,1988;McBride et al.1990;Rezvani et al.1990,1991,1993,1995、1997、Rezvani and Grady,1994を参照にされたい)。
【0100】
動物は最初に、目盛りを付けたRicher試験管中の水を1日間、自由に飲ませた。1日目の後は、連続して3日間、動物は10(容量/容量)%のエタノール溶液のみ飲ませた。この期間に、動物をRicher試験管から飲むこと、そしてアルコールの味および薬理学的効果に慣らした。その後、動物は水および10%アルコール溶液の両方に少なくとも連続して3週間、そして実験期間を通して自由に取らせた。ラットは食料も自由に取らせた。水およびアルコールの摂取は、処置後6および24時間に記録し、食料の摂取は24時間目に測定した。動物の体重は毎日測定した。
【0101】
フェイズI.急性投与:
アルコール、食料および水の摂取に関する安定なベースラインの確立後、ラットは毎日、(胃管栄養チューブを介して)同じ時間に賦形剤または化合物の3種の用量(10、30および90mg/kg)の1つを、無作為な処置順序で毎日投与された。処置投与間の間隔は、少なくとも3日であった。アルコールおよび水の摂取は、処置投与から6および24時間後に記録し、そして食料摂取は24時間目に記録した。群あたり全部で8〜10匹の動物を使用した。すべての動物は急性投与実験期を完了した。
【0102】
フェイズII.慢性投与:
アルコール摂取に対する試験化合物の慢性投与効果、および試験化合物の抗渇望効果に対する耐性は、賦形剤または試験化合物のいずれかを使用して1日1回(胃管栄養チューブを介して)処置したナイーブなラットで試験した。慢性投与試験フェイズの結果に基づき、急性投与に効果的用量として45mg/Kgの試験化合物の用量を選択した。次いで最も効果的な用量を慢性投与フェイズについて使用し、そして連続して14日間投与した。アルコールおよび水の摂取は、各処置投与から6および24時間後に記録し、そして食料摂取は24時間目に記録した。
【0103】
データの統計的分析:
結果は平均±SEM(平均の標準誤差)として提示した。アルコール摂取(g/kg)は、消費したアルコールの容量(mLで)に10%および0.7893(エタノール密度を表す因子)/kg体重を掛けることにより算出した。パーセントとして表すアルコール嗜好は以下のように算出した(消費したアルコール容量(mL)/全液体摂取量(mL))×100(Rezvani and Grady,1994;Rezvani et al.,1997に記載されているように)。処置と対照群との間の統計的差異は、多比較のためのANOVAおよびターキーのスチューデントt検定を使用することにより決定した。
【0104】
結果
表1は、急性エタノールに及ぼす試験化合物の効果および水摂取を表す処置群のデータを提供する。約45mg/kg以上の用量で、試験化合物はエタノール摂取に及ぼす試験化合物の効果に関する耐性を発生することなくアルコール摂取に有意な効果を有した。
【0105】
【表1】

【0106】
上記実施例に関する引用文献
1. Cowen M.S.,Rezvani A.H.,Jarrett B.,and Lawrence A.J.節制後の原発性肺高血圧症ラットのエタノール摂取:ナルトレキソンの効果およびu−アップロード受容体密度における変化(Ethanol consumption by Fawn−Hooded rats following abstinence:Effects of naltrexone and changes in u−upload receptors density.)。Alcohol:Clint.Exp.Res.23:1008−1014,1999.
2. Fare C.K.,Rezvani A.H.,Overstreet D.H.,and O’Malley S.アルコール依存症における併用薬物療法(Combination pharmacotherapy in alcoholism:A novel treatment approach.)。CNS Spectrums 5:70−76,2000.
3. Johnson B.A.,Ait−daoud N.,Bowden C.L.,DiClemente,Roche J.D.,Lawson K.アルコール依存の処置のための経口トピラメート:無作為化制御試験(Oral topiramate for treatment of alcohol dependence:a randomized controlled trial The Lancet 361:1677−1685,2003.
4. Li T.K.,McBride W.J.アルコール依存症の薬理遺伝学モデル(Pharmacogenetic models of alcoholism.)。Alcoholism:Clin.Exp.Res.3:182−185,1995.
5. McBride W.J.,Murphy J.M,Lumeng L.and Li T.K.選択的に交配したラットのアルコール飲酒におけるセロトニン、ドーパミンおよびGABAの関与(Serotonin,dopamine and GABA involvement in alcohol drinking of selectively bred rats.)。Alcohol 7:199−205,1990.
6. Murphy J.M.,McBride W.J.Lumeng L.and Li T.K.アルコール嗜好Pラットのエタノール摂取に及ぼすセロトニンおよびドーパミンの効果(Effects of serotonin and dopamine agents on ethanol intake of alcohol−preferring P rats.)。Alcoholism:Clin.Exp.Res.12:306,1988.
7. Overstreet D.H.Kampov−Polevoy A.B.Rezvani A.H.Braun C.Bartus R.T.and Crews FT.Pラットにおける慢性的ナロキソン処置によるアルコール摂取の抑制:耐性の発生およびアヘン受容体結合の評価(Suppression of alcohol intake by chronic naloxone treatment in P rats:tolerance development and elevation of opiate receptor binding.)。Alcohol:Clin.Exp.Res.23:1761−1771,1999.
8. Overstreet,D.H.,Rezvani,A.H.,Janowsky,D.S.鬱およびエタノール嗜好の遺伝的動物モデルは、鬱およびアルコール依存症におけるコリン作用性およびセロトニン作用性の関与を提供する(Genetic animal models of depression and ethanol preference provide support for cholinergic and serotonergic involvement in depression and alcoholism.)。Biol.Psychiat 31:919−936,1992.
9. Overstreet D,H,Keung W.M.,Rezvani A.H.,Massi M.,Lee D.Y.アルコール依存症のためのハーブ治療薬:見込みと可能性がある誘惑(Herbal remedies for alcoholism:Promises and possible pitfalls.)。Alcol.Clin.Exp.Res.27:177−185,2003.
10. Rezvani,A.H.,D.H.Overstreet and D.S.Janowsky.原発性肺高血圧症ラットにおける遺伝的セロトニン欠乏およびアルコール嗜好(Genetic serotonin deficiency and alcohol preference in the fawn hooded rats.)。Alcohol and Alcoholism,25:573−575,1990.
11. Rezvani,A.H.,D.H.Overstreet and D.S.Janowsky.アルコール嗜好の原発性肺高血圧症ラットにおけるエタノール摂取の薬剤が誘発する減少(Drug−induced reductions in ethanol intake in alcohol preferring and Fawn−Hooded rats.)。Alcohol and Alcoholism,Suppl.1:433−437,1991.
12. Rezvani,A.H.,Garbutt,J.C.,Shimoda,K.,Garges,P.L.,Janowsky,D.S.,Mason,G.A.新規TRH類似体TA−0910によるアルコール嗜好ラットにおけるアルコール嗜好の弱化(Attenuation of alcohol preference in alcohol preferring rats by a novel TRH analogue TA−0910.)。Alcoholism Clin Exp Res 16:326−330,1992a.
13. Rezvani,A.H.,Garges,P.L.,Miller,D.and Christopher J.Gordon.2種のアルコール飲酒ラットにおけるMDMAによるアルコール消費の弱化(Attenuation of alcohol consumption by MDMA in two strains of alcohol drinking rats.)。Pharmacol Biochem Behav 43:103−107,1992b.
14. Rezvani,A.H.,Grady,D.R.and Olgierd Pucilowski.Ca2+チャンネルアンタゴニストであるニモジピンは、アルコール飲酒ラットにおけるアルコール嗜好を弱める(Nimodipine,a Ca2+ channel antagonist,attenuates alcohol preference in alcohol preferring rats.)。Drugs in Development 2:143−151,1993.
15. Rezvani,A.H.and Grady,D.R.セロトニン機能不全の原発性肺高血圧症ラットにおけるフェンフルラミンによるアルコール摂取の抑制(Suppression of alcohol consumption by fenfluramine in Fawn−Hooded rats with serotonin dysfunction.)。Pharmacol Biochem Behav 48:105−110,1994.
16. Rezvani,A.H.,Peek,A.E.,Grady,D.R.and O.Pucilowski.2種のアルコール嗜好ラットにおいて、一酸化窒素(NO)合成の阻害がアルコール消費を弱めた(Inhibition of nitric oxide(NO)synthesis attenuated alcohol consumption in two strains of alcohol preferring rats.)。Pharmacol Biochem Behav 50:265−270,1995.
17. Rezvani A.H.,Overstreet D.H.,Ying Y.and Clark Jr.E.2種のアルコール嗜好ラットにおけるセイヨウオトギリソウ(セント ジョーンズ ワース)の抽出物によるアルコール摂取の弱化(Attenuation of alcohol intake by the extract of hypericum perforatum(St.John’s Wort)in two strains of alcohol preferring rats.)。Alcohol & .Alcoholism 34:699−705,1999.
18. Rezvani A.H.Overstreet D.H.,Mason G.A.,Janowsky D.S.,Hamedi M.,Clark Jr.and Ying Y.併用薬理療法:ナルトレキソン、フルオキセチンおよびTRH類似体は、3種のアルコール嗜好ラットにおけるアルコール摂取を減少する(Combination pharmacotherapy:A mixture of small doses of naltrexone,fluoxetine,and a TRH analog reduces alcohol intake in three strains of alcohol preferring rats.)。Alcohol & Alcoholism:35:76−83,2000.
19. Rezvani A.H.,Overstreet D.H.,Perfumi M,Massi M.アルコール依存の処置における植物誘導体(Plant derivatives in the treatment of alcohol dependency.Pharmacol.)。Biochem.Behav.75:593−606,2003.
【0107】
引用文献
本明細書に引用したすべての参考文献は、各個別の公開公報もしくは特許もしくは特許出願が具体的および個別にその全部をすべての目的において参考文献として編入されるように、それらの全部およびすべての目的に関して編入する。本明細書の参考文献の考察は、それら著者によりなされた主張を単にまとめることを意図するものであり、いかなる参考文献も従来技術を構成すると認められない。出願人は引用した文献の正確さおよび適切さに対し挑戦する権利を持つ。
【0108】
本発明は、本発明の個々の観点の一つの具体的説明であることを意図する本出願に記載する特定の態様に限定されることはない。当業者には明かであるように、本発明の多くの修飾および変更は、その精神および範囲から逸脱することなく作成できる。本明細書に列挙するものに加えて、本発明の範囲内の機能的に等価の方法は、前記記載から当業者には明白である。そのような修飾および変更は、添付する特許請求の範囲にあることを意図している。本発明はそのような特許請求の範囲が権利を与える等価の完全な範囲と一緒に、添付する特許請求の範囲にのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする個体におけるサブスタンス関連疾患を防止し、処置し、または改善する方法であって、その個体に有効量の
【化1】

[式中:
フェニルはXにおいてフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される1〜5個のハロゲン原子で置換され;そして
、R、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC−Cアルキルからなる群から選択され;ここでC−Cアルキルは場合によりフェニルで置換されてもよい(そしてここで、フェニルは場合によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アミノ、ニトロおよびシアノからなる群から独立して選択される置換基で置換されてもよい)]
から選択されるカルバメート化合物、またはその製薬学的に許容され得る形態物またはその製薬学的に許容され得る塩を投与することを含んでなる上記方法。
【請求項2】
Xが塩素である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xがフェニル環のオルト位で置換されている請求項1に記載の方法。
【請求項4】
、R、R、R、RおよびRが水素である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式(I)の化合物が、式(I)のエナンチオマーまたは1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物中の式(I)のエナンチオマーから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
エナンチオマー混合物中の式(I)のエナンチオマーが、約90%以上の程度まで優勢である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
エナンチオマー混合物中の式(I)のエナンチオマーが、約98%以上の程度まで優勢である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式(II)の化合物が、式(II)のエナンチオマーまたは1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物中の式(II)のエナンチオマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
エナンチオマー混合物中の式(II)のエナンチオマーが、約90%以上の程度まで優勢である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エナンチオマー混合物中の式(II)のエナンチオマーが、約98%以上の程度まで優勢である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
方法がさらに、依存性薬の使用から生じるサブスタンス誘発性障害を防止し、処置し、または改善することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
依存性薬が、ヘロイン、アヘン、モルヒネ、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、エタノール、ベンゾジアゼピン、メタドン、オキシコドン、コデイン、吸入剤、バルビツレート、フェンシクリジンまたはニコチンから選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サブスタンス誘発性障害が、アルコール離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、発作、精神病、アンフェタミン離脱症状、コカイン離脱症状、コニチン離脱症状、オピオイド離脱症状、鎮静薬離脱症状、催眠薬離脱症状、抗不安薬離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、ニコチン離脱症状(喫煙中断に付随する障害があるか、またはない)、他のサブスタンスによる離脱症状、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の不安障害、環境的誘発サブスタンスが誘導する渇望に対する攻撃され易さ、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の気分障害、または離脱中に発生するサブスタンス誘発性の睡眠障害から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
方法がさらに個体に有効量の組み合わせ生成物を同時投与することを含んでなり、ここで組み合わせ生成物が請求項1に記載の化合物、あるいは製薬学的に許容され得る担体および請求項1に記載の化合物およびサブスタンス誘発性障害を処置することが知られている有効量の1もしくは複数の化合物を含んでなる製薬学的組成物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている化合物が、ナルトレキソン、ナロキソンまたは他のオピオイド受容体アンタゴニスト、フルオキセチンまたは他のSSRI抗鬱薬、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体、ベンラファキシンまたは他のSNRI抗鬱薬、MAOインヒビター抗鬱薬、三環式抗鬱薬、ブプロピオン、炭酸リチウム、鎮痙薬、アカンプロセート、ジスルフィラム(アンタブース)、カルシウムチャンネル遮断薬、セロトニンアンタゴニスト、GABA−変性剤、ドーパミン作用剤、およびN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)グルタミン酸受容体モジュレーターからなる群から選択される1もしくは複数の化合物である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている化合物が、アカンプロセート、ナルトレキソン、ナロキソンおよびジスルフィラムからなる群から選択される1もしくは複数の化合物である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
有効量が約0.01μg/Kg/用量〜300mg/Kg/用量である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
個体におけるサブスタンス関連障害を防止し、処置し、または改善する方法であって、その必要がある個体に有効量の式(I)または式(II)から選択されるエナンチオマー、または1つのエナンチオマーが優勢であるエナンチオマー混合物中の式(I)または式(II)から選択されるエナンチオマー:
【化2】

[式中:
フェニルはXにおいてフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される1〜5個のハロゲン原子で置換され;そして
、R、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC−Cアルキルからなる群から選択され;ここでC−Cアルキルは場合によりフェニルで置換されてもよい(そしてここで、フェニルは場合によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アミノ、ニトロおよびシアノからなる群から独立して選択される置換基で置換されてもよい)]
あるいはその製薬学的に許容され得る形態またはその製薬学的に許容され得る塩を投与することを含んでなる上記方法。
【請求項19】
Xが塩素である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
Xがフェニル環のオルト位で置換されている請求項18に記載の方法。
【請求項21】
、R、R、R、RおよびRが水素である請求項18に記載の方法。
【請求項23】
エナンチオマー混合物中の式(I)のエナンチオマーが、約90%以上の程度まで優勢である請求項18に記載の方法。
【請求項24】
エナンチオマー混合物中の式(I)のエナンチオマーが、約98%以上の程度まで優勢である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
エナンチオマー混合物中の式(II)のエナンチオマーが、約90%以上の程度まで優勢である請求項18に記載の方法。
【請求項26】
エナンチオマー混合物中の式(II)のエナンチオマーが、約98%以上の程度まで優勢である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
方法がさらに、依存性薬の使用から生じるサブスタンス誘発性障害を防止し、処置し、または改善することを含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
依存性薬が、ヘロイン、アヘン、モルヒネ、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、エタノール、ベンゾジアゼピン、メタドン、オキシコドン、コデイン、吸入剤、バルビツレート、フェンシクリジンまたはニコチンから選択される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
サブスタンス誘発性障害が、アルコール離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、発作、精神病、アンフェタミン離脱症状、コカイン離脱症状、コニチン離脱症状、オピオイド離脱症状、鎮静薬離脱症状、催眠薬離脱症状、抗不安薬離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、ニコチン離脱症状(喫煙中断に付随する障害があるか、またはない)、他のサブスタンスによる離脱症状、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の不安障害、環境的誘発サブスタンスが誘導する渇望に対する攻撃され易さ、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の気分障害、または離脱中に発生するサブスタンス誘発性の睡眠障害から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
方法がさらに個体に有効量の組み合わせ生成物を同時投与することを含んでなり、ここで組み合わせ生成物が請求項18に記載のエナンチオマー、あるいは製薬学的に許容され得る担体および請求項18に記載のエナンチオマーおよびサブスタンス誘発性障害を処置することが知られている有効量の1もしくは複数の化合物を含んでなる製薬学的組成物から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている化合物が、ナルトレキソン、ナロキソンまたは他のオピオイド受容体アンタゴニスト、フルオキセチンまたは他のSSRI抗鬱薬、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体、ベンラファキシンまたは他のSNRI抗鬱薬、MAOインヒビター抗鬱薬、三環式抗鬱薬、ブプロピオン、炭酸リチウム、鎮痙薬、アカンプロセート、ジスルフィラム(アンタブース)、カルシウムチャンネル遮断薬、セロトニンアンタゴニスト、GABA−変性剤、ドーパミン作用剤、およびN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)グルタミン酸受容体モジュレーターからなる群から選択される1もしくは複数の化合物である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている化合物が、アカンプロセート、ナルトレキソン、ナロキソンおよびジスルフィラムからなる群から選択される1もしくは複数の化合物である請求項30に記載の方法。
【請求項33】
有効量が約0.01μg/Kg/用量〜300mg/Kg/用量である、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
式(I)または式(II)から選択されるエナンチオマーが、式(Ia)または式(IIa)から選択されるエナンチオマー、あるいは1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物中の式(Ia)または式(IIa)から選択されるエナンチオマー:
【化3】

[式中:
フェニルはXにおいてフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される1〜5個のハロゲン原子で置換され;そして
、R、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC−Cアルキルからなる群から選択され;ここでC−Cアルキルは場合によりフェニルで置換されてもよい(そしてここで、フェニルは場合によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アミノ、ニトロおよびシアノからなる群から独立して選択される置換基で置換されてもよい)]
あるいはその製薬学的に許容され得る形態またはその製薬学的に許容され得る塩である請求項18に記載の方法。
【請求項35】
Xが塩素である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
Xがフェニル環のオルト位で置換されている請求項34に記載の方法。
【請求項37】
、R、R、R、RおよびRが水素である請求項34に記載の方法。
【請求項38】
エナンチオマー混合物中の式(Ia)のエナンチオマーが、約90%以上の程度まで優勢である求項34に記載の方法。
【請求項39】
エナンチオマー混合物中の式(Ia)のエナンチオマーが、約98%以上の程度まで優勢である請求項38に記載の方法。
【請求項40】
エナンチオマー混合物中の式(IIa)のエナンチオマーが、約90%以上の程度まで優勢である請求項34に記載の方法。
【請求項41】
エナンチオマー混合物中の式(IIa)のエナンチオマーが、約98%以上の程度まで優勢である求項40に記載の方法。
【請求項42】
方法がさらに、依存性薬の使用から生じるサブスタンス誘発性障害を防止し、処置し、または改善することを含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
依存性薬が、ヘロイン、アヘン、モルヒネ、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、エタノール、ベンゾジアゼピン、メタドン、オキシコドン、コデイン、吸入剤、バルビツレート、フェンシクリジンまたはニコチンから選択される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
サブスタンス誘発性障害が、アルコール離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、発作、精神病、アンフェタミン離脱症状、コカイン離脱症状、コニチン離脱症状、オピオイド離脱症状、鎮静薬離脱症状、催眠薬離脱症状、抗不安薬離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、ニコチン離脱症状(喫煙中断に付随する障害があるか、またはない)、他のサブスタンスによる離脱症状、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の不安障害、環境的誘発サブスタンスが誘導する渇望に対する攻撃され易さ、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の気分障害、または離脱中に発生するサブスタンス誘発性の睡眠障害から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
方法がさらに個体に有効量の組み合わせ生成物を同時投与することを含んでなり、ここで組み合わせ生成物が請求項34に記載のエナンチオマー、あるいは製薬学的に許容され得る担体および請求項34に記載のエナンチオマーおよびサブスタンス誘発性障害を処置することが知られている有効量の1もしくは複数の化合物を含んでなる製薬学的組成物から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている化合物が、ナルトレキソン、ナロキソンまたは他のオピオイド受容体アンタゴニスト、フルオキセチンまたは他のSSRI抗鬱薬、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体、ベンラファキシンまたは他のSNRI抗鬱薬、MAOインヒビター抗鬱薬、三環式抗鬱薬、ブプロピオン、炭酸リチウム、鎮痙薬、アカンプロセート、ジスルフィラム(アンタブース)、カルシウムチャンネル遮断薬、セロトニンアンタゴニスト、GABA−変性剤、ドーパミン作用剤、およびN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)グルタミン酸受容体モジュレーターからなる群から選択される1もしくは複数の化合物である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている化合物が、アカンプロセート、ナルトレキソン、ナロキソンおよびジスルフィラムからなる群から選択される1もしくは複数の化合物である請求項45に記載の方法。
【請求項48】
有効量が約0.01μg/Kg/用量〜300mg/Kg/用量である、請求項34に記載の方法。
【請求項49】
式(I)または式(II)から選択されるエナンチオマーが、式(Ib)または式(IIb)から選択されるエナンチオマー、あるいは1つのエナンチオマーが優勢なエナンチオマー混合物中の式(Ib)または式(IIb)から選択されるエナンチオマー:
【化4】

[式中:
フェニルはXにおいてフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される1〜5個のハロゲン原子で置換され;そして
、R、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC−Cアルキルからなる群から選択され;ここでC−Cアルキルは場合によりフェニルで置換されてもよい(そしてここで、フェニルは場合によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アミノ、ニトロおよびシアノからなる群から独立して選択される置換基で置換されてもよい)]
あるいはその製薬学的に許容され得る形態物またはその製薬学的に許容され得る塩である請求項18に記載の方法。
【請求項50】
Xが塩素である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
Xがフェニル環のオルト位で置換されている請求項49に記載の方法。
【請求項52】
、R、R、R、RおよびRが水素である請求項49に記載の方法。
【請求項53】
エナンチオマー混合物中の式(Ib)のエナンチオマーが、約90%以上の程度まで優勢である請求項49に記載の方法。
【請求項54】
エナンチオマー混合物中の式(Ib)のエナンチオマーが、約98%以上の程度まで優勢である請求項53に記載の方法。
【請求項55】
エナンチオマー混合物中の式(IIb)のエナンチオマーが、約90%以上の程度まで優勢である請求項49に記載の方法。
【請求項56】
エナンチオマー混合物中の式(IIb)のエナンチオマーが、約98%以上の程度まで優勢である請求項53に記載の方法。
【請求項57】
方法がさらに、依存性薬の使用から生じるサブスタンス誘発性障害を防止し、処置し、または改善することを含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
依存性薬が、ヘロイン、アヘン、モルヒネ、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、エタノール、ベンゾジアゼピン、メタドン、オキシコドン、コデイン、吸入剤、バルビツレート、フェンシクリジンまたはニコチンから選択される請求項57に記載の方法。
【請求項59】
サブスタンス誘発性障害が、アルコール離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、発作、精神病、アンフェタミン離脱症状、コカイン離脱症状、コニチン離脱症状、オピオイド離脱症状、鎮静薬離脱症状、催眠薬離脱症状、抗不安薬離脱症状(知覚障害および/または振せんがあるか、またはない)、ニコチン離脱症状(喫煙中断に付随する障害があるか、またはない)、他のサブスタンスによる離脱症状、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の不安障害、環境的誘発サブスタンスが誘導する渇望に対する攻撃され易さ、離脱中に発生するサブスタンス誘発性の気分障害、または離脱中に発生するサブスタンス誘発性の睡眠障害から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
さらに個体に有効量の組み合わせ生成物を同時投与することを含んでなり、ここで組み合わせ生成物が請求項49に記載のエナンチオマー、あるいは製薬学的に許容され得る担体および請求項49に記載のエナンチオマーおよびサブスタンス誘発性障害を処置することが知られている有効量の1もしくは複数の化合物を含んでなる製薬学的組成物から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項61】
サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている化合物が、ナルトレキソン、ナロキソンまたは他のオピオイド受容体アンタゴニスト、フルオキセチンまたは他のSSRI抗鬱薬、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体、ベンラファキシンまたは他のSNRI抗鬱薬、MAOインヒビター抗鬱薬、三環式抗鬱薬、ブプロピオン、炭酸リチウム、鎮痙薬、アカンプロセート、ジスルフィラム(アンタブース)、カルシウムチャンネル遮断薬、セロトニンアンタゴニスト、GABA−変性剤、ドーパミン作用剤、およびN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)グルタミン酸受容体モジュレーターからなる群から選択される1もしくは複数の化合物である請求項60に記載の方法。
【請求項62】
サブスタンス誘発性障害を処置することが知られている化合物が、アカンプロセート、ナルトレキソン、ナロキソンおよびジスルフィラムからなる群から選択される1もしくは複数の化合物である請求項60に記載の方法。
【請求項63】
有効量が約0.01μg/Kg/用量〜300mg/Kg/用量である、請求項49に記載の方法。

【公表番号】特表2009−502914(P2009−502914A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523847(P2008−523847)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/026439
【国際公開番号】WO2007/018496
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】