説明

サンプル取り扱い装置

【解決手段】材料取り扱い器具(10)は、針(4)を作動させる圧電モーター(3)を含んでいる。針の作動には、流体サンプルの吸い込み及び/又は分注すること、及び/又は、針を動かして材料サンプルを取り上げるか又は置くこと、が含まれる。この例示的実施形態では、各圧電モーター(3)は、対応するピペット空洞に連結されているので、圧電モーター(3)によって駆動軸(31)を動かすと、対応する針(4)が作動する。従って、器具(10)上に配列されている各針(4)は、圧電モーター(3)に適切な信号を送ることによって、個々に作動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット操作ピペット装置の様なサンプル取り扱い器具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のピペットチャネルを有するロボット操作器具は、例えば、蛋白質及びゲノム研究で広く使われている。これらの装置は、微量滴定トレー、分離されたDNAフラグメントを有するゲル、及びその他の材料保持装置の様な様々の異なる作業領域に、及びそこから材料サンプルを動かすのに用いられる。そのような器具の中には、例えば、一般的に知られている96個又は384個の筒容器付プレートの様な微量滴定トレーの筒容器に対応する配列に配置された、例えばピペットの先端が取り付けられている様な複数の針を有しているものもある。針の配列は、微量滴定トレーの全ての筒容器に対応して配置されていれば、材料サンプルを、微量滴定トレーの各筒容器に同時に出し入れできるので、微量滴定トレーのサンプルを処理する速度が上がる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の或る態様は、圧電モーターを使用して、サンプルを作業面上で針に吸い上げさせ及び/又はそこに置かせるサンプル取り扱い器具を提供している。或る例示的な実施形態では、圧電モーターは、空洞内のプランジャを駆動するのに用いられる。空洞内でプランジャを動かすと、針に流体を吸わせ、及び/又は分注させることができ、及び/又は空洞付の針を動かすことができる。ここで言う圧電モーターは、圧電要素を使用して駆動要素を少なくとも1/8インチ(0.3175cm)以上の範囲内で動かす装置のことである。これは、それ自体では1/8インチ以上の距離を移動できない単一の圧電要素の移動範囲とは、大きく異なっている。或る実施形態では、圧電モーターは、駆動要素を、0.125インチ、0.25インチ、1.0インチ、2.0インチ又はそれ以上の様な距離の範囲で、約1ミクロン程度までの精度で動かすことができる。
【0004】
本発明の或る態様では、サンプル取り扱い装置は、少なくとも1つの空洞が中に形成されている本体と、空洞と流体連通している針とを含んでいる。圧電モーターは、駆動要素を少なくとも1/8インチの距離だけ動かして、駆動要素の移動が、材料サンプルの取り扱いと結び付けて針を作動させるようになっている。
【0005】
本発明の或る態様では、サンプル取り扱い装置は、少なくとも1つの細長い空洞が中に形成されている本体と、空洞の第1端部と流体連通している針を含んでいる。プランジャは細長い空洞内を軸方向に可動であり、圧電モーターは、プランジャを細長い空洞内で軸方向に動かし、針を作動させて材料サンプルを作業面に対して取り扱う。
【0006】
本発明の或る態様では、材料サンプルを取り扱うための方法は、材料サンプルを取り扱うように作られている針と流体連通している空洞内に、少なくとも部分的には配置される可動要素を提供する段階を含んでいる。可動要素は、圧電モーターによって少なくとも1/8インチの距離だけ動かされ、材料サンプルは、可動要素の移動に基づいて針によって動かされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付図面は、縮尺を合わせて描いてはいない。図中、様々な図面に示している同一又は略同一の各構成要素は、同様の番号で示している。分かり易くするために、全図面の全ての構成要素に番号を付してはいない。
【0008】
本発明の様々な態様について、例示的実施形態に関連付けて以下に説明する。しかしながら、本発明は、以下に説明する各実施形態に限定されるものではなく、適切であればどの様なシステム又は装置でも使用することができるものと理解されたい。
【0009】
本発明の或る態様では、圧電モーターの駆動シャフトを動かすと、ピペット装置内の要素が動き、それによって、付帯する針が、材料サンプルを吸い上げ及び/又は置く。ここで言うピペット装置とは、例えば中空断面の少なくとも1つの針と、針を作動させる付帯装置を含む装置である。ここで言う針の作動とは、ゲルからサンプルを取り出し、又はサンプルを別の作業面上に置くときのように、針が材料サンプルを取り扱う(handle)、即ち流体サンプルを吸い込み及び/又は分注し、及び/又は針を動かすように針を作動させることである。(ここでは、流体は気体及び/又は液体の両方を指す)。例えば、ピペット装置は、1つ又は複数の空洞を含んでおり、空洞の中ではプランジャ又は他の可動要素が動く。プランジャ又は他の可動要素が動くと、空洞内に圧力変化が生じ、それによって、流体又は他の材料サンプルが、付帯する針で吸い込まれるか、又は分注される。従って、空洞内で可動要素が動くと、付帯する針が作動する。
【0010】
本発明の或る態様では、ピペット装置内のプランジャ又は他の可動要素は、圧電モーターによって動かされる。従って、単一の圧電モーターを使って、単一の針の作動を制御することもできるし、複数の針の作動を制御することもできる。針は、材料サンプルを取り扱うのに、取り外し可能なピペット先端の様な別の要素と共に働くように配置してもよいし、材料サンプルを直接取り扱ってもよい。
【0011】
本発明の或る態様では、サンプル取り扱い針の動きは、圧電モーターと、液体に対する針の位置を検出する容量センサーによって制御される。容量センサーは、液体に対する針の位置に関する情報を制御器に提供する。制御器は、この情報に基づいて、圧電モーターに針を動かすよう指示するので、針は液体の上部表面に対して適切に配置される。
【0012】
図1は、本発明による材料取り扱い器具10を操作するロボット1の概略図である。ロボット1は、材料取り扱い器具10を動かし、器具10上の針4が、材料を、微量滴定トレーや、分離されたDNAフラグメント又は他の生体材料などを含むゲルの様な1つ又は複数の作業領域上で、取り上げ及び/又は置くことができるようにする。例えば、ロボット1は、1つ又は複数の針4が微量滴定トレーに対して適切に位置決めされるように器具10を動かし、次に、1つ又は複数の針4を作動させて、材料を微量滴定トレー内の筒容器(wells)から取り出し、又は材料をそこに置く。当業者には理解頂けるように、針は、機械視認システムの方向にコロニー又はプラークを取り上げること、又は別の適切な制御の様な、他の材料取り扱い動作を実行するように作動させてもよい。そのような材料取り扱いの目的及び方法は、当技術分野では周知であり、ここで詳細には説明しない。
【0013】
ロボット1は、図1では、基部と関節式アームを有するように示しているが、ロボット1は、適していればどの様な型式又は構造でもよく、適していればどの様な数の自由度で器具10を動かせるようになっていてもよい。例えば、ロボットは、器具10を3自由度で動かすことができるガントリ型ロボットでもよい。勿論、器具10を1自由度又はそれ以上の自由度で動かすことのできる他の適したロボット構成を使用することもできる。器具10とロボット1は、ロボット1が器具10を他の器具に交換できるようにする連結器を含んでいて、ロボット1が自動化動作を異なる器具で実行できるようになっている。更に、器具10とロボット1の間の接続部は、器具10を物理的に支持するばかりでなく、器具10に、電力、制御信号、流体供給又は他の流体信号などを提供する。周知のように、ロボット1又はシステム制御器は、目標領域に対する針4の位置決めを制御する視認システム又は他の適する装置を含んでいる。
【0014】
図1の例示的実施形態では、器具10は、対応する針4を作動させる1つ又は複数の圧電モーター3に信号を出力する制御器2を含んでいる。先に論じたように、針4を作動させると、針4が器具10に対して動き、例えば器具から離れる方向に伸張して材料を作業領域から取り上げるか又はそこに置き、針の中の流れを制御して、例えば流体を針の中に吸い込むか又は流体を針から吐き出し、又は針が1つ又は複数の材料取り扱い機能を実行する。この例示的実施形態では、制御器2、1つ又は複数のモーター3及び針4は、全て器具10の本体5に取り付けられている。本体5は、この実施形態では箱のような形をしているが、適していればどの様な配置でもよい。更に、針4は、この例示的実施形態では4x4列に配置され、本体5の底部から伸張しているが、適していれば、例えば微量滴定トレーの特定の筒容器パターンに合わせて、どの様な本数の針4を、本体5上にどの様に配置してもよい。針4は、材料を取り扱うために取り外し可能なピペット先端又は他の装置を受け入れるように配置してもよいし、材料を直接取り扱うように配置してもよい。
【0015】
制御器2は、実施形態によっては器具10とは別に設けられ、又は器具10と器具10とは別の場所の両方に構成要素が設けられているものもあるが、適していればどの様な信号又は信号の組み合わせを圧電モーター3に供給して針4を作動させてもよい。例えば、制御器2は、電気信号、磁気信号、光信号、流体信号(例えば、流体圧力及び/又は流量の変化)又は、電気及び流体信号の両方を圧電モーター3に供給するような上記信号の組み合わせを供給してもよい。勿論、圧電モーター3を、電気制御流体弁、リレー又は他の適した装置の様な他の装置と組み合わせて作動させて、1つ又は複数の針を作動させてもよい。例えば、圧電モーターを使って針を本体5から離れる方向に伸張させ、一方、計量ピストン又は流体弁の様な別のアクチュエーター構成要素で、針を通る流れを制御してもよい。制御器2は、微量滴定トレー内の液体の表面の様な作業領域に対する針4の位置を検出するために、容量性感知システム又は他の装置を含んでいてもよい。そのような容量性システムは、当技術では周知であり、液体又は他の作業面と針との相対位置を求めるように作動する。制御器2は、容量性感知システムによって提供された情報を使って、ロボット1及び/又は圧電モーター3に、1つ又は複数の針4を、液体又は他の作業領域に対する特定の位置に適切に動かすようにさせる。
【0016】
制御器2は、自律的に作動して針4を作動させるか、材料取り扱いシステムの一部分である高レベル制御器の指示で作動する。例えば、制御器2は、特定の針又は針のグループを、特定の時間及び/又は器具10の位置で起動する信号を受け取り、所望の動作を引き起こす適切な信号を生成し出力する。制御器2は、有線及び/又は無線リンクの様な何らかの適した方法で、そして何らかの適したフォーマット及び/又は通信プロトコルで、信号を受信する。制御器2及び/又は高レベル制御器は、適切にプログラムされた汎用コンピューター又は汎用コンピューターのネットワークであるか、それを含んでいる何らかの適した汎用データ処理システムと、所望の入出力又は他の機能を実行するのに必要な通信装置及び/又は他の回路又は構成要素の様な他の関連装置と、を含んでいる。制御器は、少なくとも部分的には、例えばASIC又はASICのアレイの様な、それぞれが、全体のシステムレベル制御用のメイン又は中央プロセッサ部分と、中央プロセッサ部分の制御の下に様々な異なる特定の演算、機能及び他の処理を実行するように専用化された個々の部分とを有する、単一の専用集積回路として実体化することができる。制御器は、個別の要素回路又はプログラム可能な論理装置の様な、例えば有線配線された電子又は論理回路のような、複数の個々の専用化されたプログラム可能な集積回路又は他の電子回路又は装置を使って実体化することもできる。制御器は、情報表示装置や、キーボード、ユーザーポインティング装置、タッチスクリーン又は他のインターフェースの様なユーザー入力装置や、データ記憶装置や、通信装置や、又は他の電子回路又は要素の様な他の装置を含んでいてもよい。
【0017】
図2は、本発明による器具10の斜視図を示している。この例示的実施形態では、器具10は、4x4列の圧電モーター3を含んでおり、それぞれに対応する針4が付帯している。従って、圧電モーター3が適切な信号を受け取ると、対応する針4が作動して、例えば、針の中を流れる流体が制御され、及び/又は針4が本体5に対して動かされる。この例示的実施形態では、制御器は、制御信号を各圧電モーター3に送る信号線21を含んでいる。圧電モーター3は、この例示的実施形態では行と列に配列されているが、適していればどの様なやり方及びパターンで論理的又は物理的にグループ化してもよいと理解頂きたい。更に、器具10は、4x4列に限定されるものではなく、標準的な96個、384個又は他種の筒容器を有する微量滴定トレー又は他の材料サンプル保持器の様な、何らかの適したパターンで配置されている何らかの適した数のアクチュエーター及び/又は針を有していてもよい。この様に、この例示的実施形態の4x4列は、単純化し分かり易くするために使用しているものであり、本発明の態様を限定するものではない。
【0018】
図3は、図2に示している様な本発明による器具の断面側面図を示している。この例示的実施形態では、器具本体5は、例えば本体5を貫通する円筒形の穴のような、複数の空洞51を含んでいる。各空洞51は、対応する針4と流体連通している。プランジャ52の様な可動要素は、空洞51内で動き、それによって針4を通る流れを制御する。例えば、プランジャ52が対応する空洞51内で上に引き抜かれるにつれ、流体が針4の中に引き込まれる。針4には、サンプルを取り扱うために用いられるピペット先端6又は他の何らかの適した装置を取り付けることができる。空洞51は、本体5に穿孔又は何らかの他の方法で開口部を形成することによって、又は本体5内にシリンダライナーの様な要素を設けることによって形成される。プランジャ52は、本体5と同様に、適していれば、ガラス、金属、プラスチックなどの様などの様な材料で作ってもよい。シールは、閉まり嵌めの、潤滑性の、及び/又はエラストマーリングの様なシール要素によってプランジャ52と空洞壁との間に形成されている。空洞51は、この実施形態では、円筒形の穴として形成されているが、適していればどの様な形状及び/又は寸法であってもよい。
【0019】
この例示的実施形態のプランジャ52は、モーター取付台7に取り付けられた対応する圧電モーター3によって動かされる。圧電モーター3の駆動軸31は、図3に示すように、モーターによって上下方向に動かされる。この動きは、連結器53を介してプランジャ52に伝えられる。連結器53は、接着剤など何らかの適したやり方で、摩擦嵌合やねじによる相互接続などでプランジャ52と駆動軸31を係合させるエラストマー部品に形成されている。連結器53は、駆動軸31とプランジャ52の間の、ある程度の僅かな不整列を許容する働きもしている。そうではなく、連結器53を使用せずに、駆動軸31をプランジャ52に置き換えて空洞51内へと直接伸張させてもよい。
【0020】
この例示的実施形態では、各圧電モーター3は、対応するピペット空洞に連結されているので、圧電モーター3で駆動軸31を動かすと、対応する針4が作動する。従って、器具10上のアレイの各針4は、圧電モーター3に適切な信号を送ることによって個々に作動させることができる。
【0021】
図4は、別の例示的実施形態による器具10の断面図である。この実施形態は、単一の圧電モーター3を用いて2本以上の針、この場合は少なくとも4本の針4の作動を同時又はほぼ同時に制御していることを除いて、図3に示した実施形態と同じである。つまり、圧電モーター3の駆動軸31が、4つ又はそれ以上のプランジャ52の一端に連結された駆動バー又はプレート55に連結されている。従って、圧電モーター3が駆動バー55を上下に動かすにつれ、駆動バー55に連結されているプランジャ52が、それぞれの空洞51内で動くように制御される。駆動バー又はプレート55の移動は、プランジャ52を本体5と空洞51に対して適切に一貫して動かすのを支援する案内路、1つ又は複数のレール、又は他の適した構造体によって案内される。位置エンコーダー又は他のセンサーを使って、駆動バー又はプレート55、駆動軸31、及び/又はプランジャ52の移動の速度及び/又は方向を求めて、例えば、器具10の制御にフィードバックを掛けてもよい。勿論、圧電モーター3は、適していれば、どの様な数の針4を制御するためにどの様なやり方で連結してもよいと理解されたい。この例示的実施形態は、針4の中の流れを制御できるように、プランジャ52と空洞51の間に、気密又は他の適した封止状態を作り出すために用いられているシール54も示している。
【0022】
図5は、更に別の例示的実施形態による器具10の断面図を示している。図3及び図4の実施形態では、針4の動作は、針4を通る流れを制御することを含んでいるが、圧電モーター3は、針4を器具本体から離れる方向に伸ばし、針を使って図5に示すように作業面から材料サンプルを個々に取り上げるときのように、1つ又は複数の対応する針4を本体5に対して動かすように配置されている。この例示的実施形態では、各圧電モーター3は、駆動軸31が動くと針が本体5に対して動くように、対応する針4に(例えば、プランジャ52を介して)連結されている。そのような動きによって、針4が、材料サンプルを取り上げ、及び/又は置けるようになる。針の動作には、針の移動と、針を通る流れの制御の両方が含まれるものと理解されたい。そのような作動の一例には、針を本体5から離れる方向に微量滴定プレート内の筒容器の中に伸ばし、筒容器の中の流体を吸い込むかそこに流体を分注し、針を引き込むことが含まれる。当業者には理解頂けるように、単一の圧電モーターを使って、針を本体5に対して動かし、同時に針4を通る流れを制御することもできる。そのような制御は、米国特許出願公告第US2001/0019845号に記載されているような装置を使って設けることもできる。代わりに、1つの圧電モーター3を使って針4を本体5に対して動かし、針4を通る流れを、計量ピストン、ポンプ又は針4に流体連結されている別の機構の様な別の手段で制御してもよい。針との流体連結は、例えば、針4のチャネルと連通している駆動軸31の中心を貫通するチャネルを介して作ってもよい。
【0023】
圧電モーター3は、適していればどの様な形態を取っていてもよいが、図6は、本発明に用いられる圧電モーター3の例示的実施形態を示している。この例示的実施形態では、圧電モーター3は、一対の圧電要素33と摩擦シュー34を支持するハウジング32を含んでいる。摩擦シュー34は、例えば接着剤によって駆動軸31に取り付けられている摩擦ストリップ35と係合している。適切な電気信号が圧電要素33に送られると、摩擦シュー34が振動して、摩擦ストリップ35と係合し、それを所望の方向、即ち図6で左又は右に動かす。この様な圧電モーターの一例は、ユタ州ソルトレイク市のEDO電子セラミックプロダクツから販売されているモデルPDA130Dである。圧電モーター3は、多数のハウジング32を有し、従って駆動軸31上の1つ又は複数の摩擦ストリップ35と係合する多数の摩擦シュー34を有するように配置されている。多数の摩擦シュー/圧電要素の組み合わせを単一の駆動軸31に連結させることによって、必要に応じて駆動軸31に供給される駆動力を増すこともできる。図6に示す圧電モーターは、2−14センチメートルの直線行程長(駆動軸31を動かせる距離)とすることができるが、行程長は短くても長くてもよい。モーターは、少なくとも毎秒20,000センチメートルまでの速度で、1ミクロンまでの精度で、駆動軸31を駆動することができる。何らかの適した位置センサーを用いて、駆動軸31の位置及び/又は速度を検出し、その情報を使って、当技術では周知のように、駆動軸31の移動を制御することができる。例えば、何らかの適した型式の位置エンコーダーを駆動軸31、針4又は他の可動部品に連結して、部品の速度、移動距離及び/又は位置に関する情報を提供することができる。この情報を使って、針に吸い込まれ、及び/又は針から分注される流体の量を計量することができる。勿論、図6に示す構造とは別の圧電モーターを使用してもよい。しかしながら、或る実施形態では、圧電モーターは、対応する針を適切に制御するため、少なくとも1/8インチ又はそれ以上の行程長を提供するように構成されている。
【0024】
本発明は、その適用において、説明に記載し又は図面に示している構成要素の構造の詳細及び配置に限定されるものではない。本発明は、別の実施形態も可能であり、様々なやり方で実現又は実施することができる。また、ここで用いた表現及び用語は、説明するためのものであり、限定を加えるものではない。「含んでいる」「備えている」又は「有している」「入っている」「伴っている」及びそれらの様々な変形を使用しているのは、それに関して挙げている項目及びその等価物、並びに追加項目を包含する意味である。
【0025】
以上、本発明の少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様について記載してきたが、当業者には、様々な代替、修正及び改良を容易に想起できるであろう。そのような代替、修正及び改良は、本開示の一部であり、本発明の精神と範囲の中に含まれるものとする。従って、以上の説明及び図面は一例に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるロボット操作器具の概略図である。
【図2】本発明による器具の概略斜視図である。
【図3】一の例示的実施形態の器具の断面図である。
【図4】他の例示的実施形態の器具の断面図である。
【図5】更に他の例示的実施形態の器具の断面図である。
【図6】一の例示的実施形態の圧電モーターの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル取り扱い装置において、
少なくとも1つの空洞が中に形成されている本体と、
前記空洞と流体連通している針と、
駆動要素を少なくとも0.3175cmの距離だけ動かすことのできる圧電モーターと、を備えており、前記駆動要素を動かすと、材料サンプルの取り扱いに関連して前記針が作動するようになっている装置。
【請求項2】
前記空洞内に少なくとも部分的には配置されており、前記駆動要素と連結されている可動要素であって、前記可動要素を前記空洞内で動かすと、流体が前記針の中を流れるようになっている可動要素を更に備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記空洞内に可動的に配置されており、前記駆動要素に連結されているプランジャであって、前記プランジャの移動が流体を前記針内に流す、そのようなプランジャを更に備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記空洞は、円筒形の穴を含んでおり、
前記装置は、前記円筒形の穴の中に配置されている円筒形の部分を有していて、動かすために前記駆動要素に連結されているプランジャを更に備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記針は、取り外し可能なピペット先端を受け入れることができるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
ロボット操作器の対応する連結器とかみ合う連結器を更に備えており、前記ロボット操作器が、前記装置を動かし制御して、材料サンプルを取り上げ又は置くことができるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
サンプル保持器内の筒容器と協働するように所定の配列に配置されている複数の針を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
複数の圧電モーターを更に備えており、前記複数の圧電モーターは、それぞれ対応する針と関係付けられており、前記複数の針は、それぞれ、材料サンプルを取り上げ又は置くよう個々に作動させることができ、前記複数の針それぞれの動作は、対応する圧電モーターによって制御される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
同時に作動させて材料サンプルを取り扱わせることのできる複数の針を更に備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の針の動作は、1つの圧電モーターによって制御されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記針は、前記本体に対して動かして材料サンプルを取り扱わせることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記駆動要素を動かすと、前記針の中に流体が流れる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記針は、前記本体に対して動かすこと、及び針の中の流れを制御することの両方で作動させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
サンプル取り扱い装置において、
少なくとも1つの細長い空洞が中に形成されている本体と、
前記空洞の第1端部と流体連通している針と、
前記細長い空洞内を軸方向に動かすことのできるプランジャと、
前記プランジャを前記細長い空洞内で軸方向に動かして針を作動させ、材料サンプルを作業面に対して取り扱わせる圧電モーターと、を備えているサンプル取り扱い装置。
【請求項15】
前記圧電モーターは、少なくとも約0.3175cmの距離だけ動かすことのできる駆動要素を含んでいる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記駆動要素は前記プランジャに連結されており、前記駆動要素を動かすと、前記プランジャが前記空洞内で軸方向に動くようになっている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記プランジャが軸方向に動くと、前記針が前記本体に対して動いて前記針を作動させる、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
ほぼ気密のシールが、前記プランジャと前記空洞の間に作られ、前記プランジャが前記空洞内で動くと、前記針で流体が流れるようになっている、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記本体は複数の細長い空洞を有しており、前記装置は複数の針と複数のプランジャを備えており、そのそれぞれが関係付けられた空洞にそれぞれ対応しており、前記複数の針は、サンプル保持器内の複数の筒容器と相互作用するよう配置されている、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記複数のプランジャは、それぞれ対応する圧電モーターに関係付けられており、前記複数のプランジャそれぞれの移動は、個々に制御できるようになっている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記針は、取り外し可能なピペット先端を受け入れることができるようになっている、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
ロボット操作器の対応する連結器とかみ合う連結器を更に備えており、前記ロボット操作器が、前記装置を動かし制御して、材料サンプルを取り上げ又は置くことができるようになっている、請求項14に記載の装置。
【請求項23】
材料サンプルを取り扱うための方法において、
材料サンプルを取り扱うことができるように作られている針と流体連通している空洞内に少なくとも部分的には配置されている可動要素を提供する段階と、
前記可動要素を、圧電モーターを介して少なくとも0.3175cmの距離だけ動かす段階と、
前記可動要素の移動に基づいて、前記針を介して材料サンプルを動かす段階と、を備えている方法。
【請求項24】
前記材料サンプルを動かす段階は、
前記針で液体サンプルを吸い込むか分注する段階を含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記可動要素を動かす段階は、
空洞内で円筒形のプランジャを動かして、前記空洞と流体連通している前記針において圧力変化を引き起こす段階を含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記可動要素を動かす段階は、
少なくとも1つの圧電要素を使って、前記可動要素に連結されている駆動要素を増分的に動かす段階を含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
サンプル取り扱い装置において、
少なくとも1つの空洞が中に形成されている本体と、
前記空洞と流体連通している針と、
駆動要素を、少なくとも0.3175cmの距離だけ動かすことのできる圧電モーターであって、前記駆動要素を動かすと、材料サンプルの取り扱いに関連して前記針が作動するようになっている、圧電モーターと、
作業面に対する前記針の位置に関する情報を提供する容量性感知システムであって、前記情報は、前記針を前記作業面に対して動かす際に前記圧電モーターの作動を制御するのに用いられるようになっている容量性感知システムと、を備えている装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−516738(P2006−516738A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503136(P2006−503136)
【出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/002499
【国際公開番号】WO2004/069413
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(503220129)プロテダイン・コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】