説明

サービスカバー

【課題】構造を複雑にすることなく、インターロックコネクタと待受けコネクタとの芯ずれを吸収して、両コネクタを確実に嵌合させる。
【解決手段】ケースCに設けられた開口部C1を塞ぐサービスカバー10であって、開口部C1を覆うカバー本体11と、開口部C1の外周縁部とカバー本体11の外周縁部とに密着する面シールパッキン30と、面シールパッキン30の脱落を防止する保持プレート40と、ケースC内に設けられた待受けコネクタ60と嵌合可能なインターロックコネクタ50とを備え、保持プレート40には貫通孔42が形成されており、インターロックコネクタ50は、貫通孔42よりも小さく形成されたコネクタ本体部51と、貫通孔42よりも大きく形成されカバー本体11と保持プレート40との間に配される抜け止め部53とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロックコネクタを備えたサービスカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド車や電気自動車に搭載される電気機器を収容するケースには、ケースの内部においてボルト締結作業等を行うために開口部が設けられており、この開口部からボルト締結用の工具などを挿入してボルト締結を行うことで、端子金具などの導電部材同士を導通可能に接続する。そして、ボルト締結作業が終了した後、この開口部には、埃や水などの異物が浸入しないようにサービスカバーが装着される。このサービスカバーは、開口部を覆うことが可能なカバー本体と、このカバー本体に一体に設けられ開口部内に嵌合可能な嵌合部と、嵌合部の外周面に装着されたシールリングとを備えて構成されている。そして、嵌合部を開口部に装着して、シールリングが開口部の内周面に密着してシールすることで、開口部からの異物の浸入を防止している。このような技術としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−117306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のサービスカバーとケースとの間には、安全性確保のためにインターロック機構が設けられている。
インターロック機構は、ケース内の電気機器に設けられた待受けコネクタに対してサービスカバーの嵌合部の先端からケースの開口部に向けて突設されたインターロックコネクタを嵌合させることでインターロックが解除され導電部材に対して電源供給する一方、導電部材同士が通電状態であるにもかかわらず、サービスカバーを取り外すと、待受けコネクタからインターロックコネクタが離脱してインターロックがかかることで、導電部材に対する電源供給が遮断されるようになっている。
【0005】
ところが、インターロック機構は、ケースに対する待受けコネクタの取付位置やサービスカバーに対するインターロックコネクタの取付位置の関係から両コネクタ間で嵌合公差が生じ、両コネクタを嵌合させることができなくなる虞がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、インターロックコネクタと待受けコネクタとの芯ずれを吸収して、両コネクタを確実に嵌合させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、電気機器を収容するケースに設けられた作業用の開口部を塞ぐサービスカバーであって、前記開口部を覆うカバー本体と、このカバー本体の外周縁部に配され前記開口部の外周縁部と前記カバー本体の外周縁部とに全周に亘って密着するシール部材と、前記カバー本体の前記開口部側の面を覆うように装着され前記カバー本体に配された前記シール部材の脱落を防止する板状の保持プレートと、前記ケース内の前記電気機器に設けられた待受けコネクタと嵌合可能なインターロックコネクタとを備え、前記保持プレートには、同保持プレートを板厚方向に貫通する貫通孔が形成されており、前記インターロックコネクタは、前記貫通孔よりも小さく形成され前記待受けコネクタと嵌合可能なコネクタ本体部と、前記貫通孔よりも大きく形成され前記コネクタ本体部が前記貫通孔に挿通された状態で前記カバー本体と前記保持プレートとの間に配された抜け止め部を備えて構成されているところに特徴を有する。
【0008】
このような構成によると、抜け止め部がカバー本体と保持プレートとの間に配された構成となっているので、カバー本体や保持プレートを複雑な構造にすることなく、カバー本体に対してインターロックコネクタを嵌合方向と直交する方向に移動可能に保持することができる。これにより、ケース内における待受けコネクタの取付位置やサービスカバーに対するインターロックコネクタの取付位置の公差等で、インターロックコネクタと待受けコネクタとの軸心がずれている場合においても、インターロックコネクタと待受けコネクタとの芯ずれを吸収し、両コネクタを確実に嵌合させることができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記カバー本体には、位置決め突起が突設されており、前記保持プレートには、前記位置決め突起が嵌合可能な嵌合孔が形成されており、前記位置決め突起には、前記嵌合孔を貫通した位置に保持部材を取り付けることで前記カバー本体に前記保持プレートを固定する取付部が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、嵌合孔を位置決め突起に嵌合させることで、カバー本体に対して保持プレートを位置決めしつつ、位置決め突起によって保持プレートを保持することができる。すなわち、保持プレートを位置決めする位置決め突起を、保持プレートを保持する保持部材として兼用させることができる。また、カバー本体に対して、保持プレートを位置決めした状態に保持することができるので、保持プレートによってシール部材を確実に保持することができる。
【0010】
前記抜け止め部は、前記コネクタ本体部の嵌合方向と直交する方向に張り出す平板状に形成されており、前記カバー本体には、前記嵌合方向と直交する方向にクリアランスを有しつつ前記抜け止め部を収容可能な収容部が形成されており、前記抜け止め部と前記収容部とが前記嵌合方向に延びる軸線を中心とする回転方向に当たりあうことで前記抜け止め部の回転を規制する構成としてもよい。
このような構成によると、コネクタ本体部が嵌合方向に延びる軸線を中心として回転しようとする際に、収容部と抜け止め部とが回転する方向に当たりあうことで、コネクタ本体部が回転することを規制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構造を複雑にすることなく、インターロックコネクタと待受けコネクタとの芯ずれを吸収して、両コネクタを確実に嵌合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るサービスカバーの斜視図
【図2】実施形態に係るサービスカバーの正面図
【図3】図2のIII−III線断面図
【図4】図3の要部拡大断面図
【図5】図2のV−V線断面図
【図6】実施形態に係るサービスカバーの分解斜視図
【図7】実施形態に係るプレートの正面図
【図8】実施形態に係るインターロックコネクタの正面図
【図9】実施形態に係る面シールパッキンの正面図
【図10】実施形態に係るカバー本体の正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
本発明の実施形態について図1乃至図10を参照して説明する。
本実施形態のサービスカバー10は、図3に示すように、車両に搭載される図示しない電気機器を収容したケースCの開口部C1を覆うように装着される。ケースCの開口部C1は、電機機器に接続された図示しない導電部材同士をボルト締結するために、ボルト締結用の工具などを挿入する作業孔として設けられている。
【0014】
また、サービスカバー10とケースC内の電気機器との間には、サービスカバー10の着脱に伴って電気機器への電源供給を入り切りするインターロック機構が設けられている。このインターロック機構の一部としてケースC内の電気機器には、ケースC内から開口部C1に向かって延びる待受けコネクタ60が設けられている。なお、以下の説明において、上下方向とは図2における上下方向を基準とし、左右方向とは図2における左右方向を基準とし、サービスカバー10におけるケースC側(図3の下側)を前側、ケースCとは反対側(図3の上側)を後側とする。
【0015】
サービスカバー10は、図1及び図6に示すように、ケースCの開口部C1を覆うカバー本体11と、カバー本体11に装着される面シールパッキン(本発明の「シール部材」の一例)30と、面シールパッキン30の脱落を防止する保持プレート40と、待受けコネクタ60と嵌合可能なインターロックコネクタ50とを備えて構成されている。
【0016】
インターロックコネクタ50は、図1及び図3に示すように、角筒状のコネクタ本体部51と、このコネクタ本体部51内に保持されたショート端子52とを備えて構成されている。コネクタ本体部51は、内部に待受けコネクタ60を嵌合可能に形成されており、待受けコネクタ60と正規に嵌合すると、待受けコネクタ60内に保持された図示しない待受け側端子とショート端子52とが導通可能に接続されようになっている。
【0017】
また、インターロックコネクタ50は、待受けコネクタ60と共にインターロック機構を構成している。インターロック機構は、インターロックコネクタ50と待受けコネクタ60とが正規に嵌合されてショート端子52と待受け側端子とが導通可能に接続されてインターロックが解除されることで、電気機器に接続された導電部材に対して電源供給されるようになっている一方、待受けコネクタ60からインターロックコネクタ50が離脱してショート端子52と待受け側端子との接続が解除されてインターロックがかかることで、導電部材に対する電源供給が遮断されるようになっている。
【0018】
カバー本体11はアルミダイキャスト製であって、図3、図6及び図10に示すように、左右方向に横長で、ケースCとは反対側である後方側に凹んだ浅皿状をなしている。カバー本体11における前方外周縁部には、全周に亘って段付部14が形成されている。この段付部14の内側に位置する装着面11Aには面シールパッキンが装着される装着部15が設けられている。装着部15は、段付部14と装着面11Aとが交わる角部であって、段付部14に沿うように全周に亘って形成されている。また、段付部14における上部および下部には、図2に示すように、装着部15から外方に向かって凹状をなす位置決め凹部16が複数(本実施形態では四つ)形成されている。
【0019】
また、カバー本体11の装着部15が設けられた装着面11Aには、複数の位置決め突起13が前方に向かって突設されている。この位置決め突起13はカバー本体11の上下の位置にそれぞれ一つずつ配されており、円柱形状をなしている。
【0020】
カバー本体11の左右方向両端部に位置する外周面には、カバー本体11をケースCに固定するための固定片12がそれぞれ二つずつ形成されている。固定片12には、ボルト挿通孔12Aが設けられており、図示しないボルトをボルト挿通孔12Aに後方から挿通し、ケースCに締め付けることでカバー本体11がケースCに装着されるようになっている。
【0021】
面シールパッキン30は、ゴム等の弾性部材からなり、図6及び図9に示すように、カバー本体11の装着部15の形状に沿った環状に形成されている。面シールパッキン30は、装着部15に配されるように形成されており、面シールパッキン30の上端部及び下端部には、外方に向かって突出する複数の位置決め部31が形成されている。この位置決め部31は、ブロック状をなし、カバー本体11の位置決め凹部16に嵌合可能とされている。位置決め部31は、面シールパッキン30をカバー本体11の装着部15に装着する際に、カバー本体11の位置決め凹部16に嵌合されるようになっている。これにより、面シールパッキン30がカバー本体11に対して位置決めされて装着されるようになっている。
【0022】
面シールパッキン30におけるカバー本体11側の前端面とケースC側の後端面とには、図3乃至図5に示すように、リップ32が全周に亘って形成されている。このリップ32は、サービスカバー10がケースCの開口部C1に装着された際に、カバー本体11の装着部15とケースCにおける開口部C1の外周縁部とに全周に亘って密着し、水や埃などの異物が外部から開口部C1内に浸入することを防止するようになっている。なお、図1、図2、図6及び図9の図面においては、リップ32の図示を省略している。
【0023】
面シールパッキン30の内周面には、内側に向かって張り出す耳部33が全周に亘って形成されている。この耳部33は、図3乃至図5に示すように、面シールパッキン30がカバー本体11の装着部15に装着された状態において、カバー本体11の装着部15が設けられた装着面11Aに面接触するように配されている。
【0024】
保持プレート40は合成樹脂製であって、図6及び図7に示すように、面シールパッキン30の耳部33の形状とほぼ同一形状の外周形状をなす左右方向に横長な平板状に形成されている。保持プレート40は、図3乃至図5に示すように、カバー本体11に面シールパッキン30を装着した後にカバー本体11に装着されるようになっている。保持プレート40は、カバー本体11に装着した際に、保持プレート40の外周縁部と、カバー本体11の装着面11Aとによって面シールパッキン30の耳部33を全周に亘って挟持することで、カバー本体11から面シールパッキン30が脱落することを規制している。
【0025】
また、保持プレート40には、保持プレート40を前後方向(板厚方向)に貫通する円形状の嵌合孔41が保持プレート40の上部及び下部に一つずつ設けられている。この嵌合孔41は、内部にカバー本体11の位置決め突起13が嵌合可能とされており、保持プレート40をカバー本体11に装着する際に、カバー本体11の位置決め突起13に嵌合されるようになっている。これにより、保持プレート40が位置決された状態でカバー本体11に装着されるようになっている。
【0026】
一方、位置決め突起13のうち、上方に配された位置決め突起13の先端部には、図6に示すように、位置決め突起13の外周面を全周に亘って切り欠いた取付溝(本発明の「取付部」の一例)13Aが形成されている。この取付溝13Aには、嵌合孔41よりも大型の金属製のEリング(本発明の「保持部材」の一例)17が装着可能とされており、カバー本体11に保持プレート40を装着した後、取付溝13Aに取り付けるようになっている。これにより、保持プレート40がカバー本体11に保持固定されるようになっている。すなわち、保持プレート40をカバー本体11に対して位置決めする位置決め突起13をカバー本体11に対して保持プレート40を保持する保持部材として兼用させることができる。また、カバー本体11に対して、保持プレート40を位置決めした状態で保持することができるので、保持プレート40によって面シールパッキン30を確実に保持することができる。
【0027】
さて、カバー本体11と保持プレート40との間には、インターロックコネクタ50が上下左右に移動可能なフローティング状態で保持固定されている。すなわち、インターロックコネクタ50は、嵌合方向と直交する方向に移動可能な状態で保持固定されている。
【0028】
以下に、フローティング構造について説明する。
カバー本体11の装着面11Aには、図6及び図10に示すように、収容部18が形成されている。この収容部18は、上下方向に縦長な略矩形状をなし、後方に凹んだ形状に形成されている。
【0029】
一方、保持プレート40には、図7に示すように、保持プレート40を前後方向(板厚方向)に貫通する貫通孔42が形成されている。この貫通孔42は、図2及び図7に示すように、上下方向に縦長な略矩形状をなし、貫通孔42の軸心が収容部18の軸心と同軸となるように配されている。また、貫通孔42は、カバー本体11の収容部18の前端開口部に比べて小さく、且つ、インターロックコネクタ50のコネクタ本体部51の外周形状に比べて大きく形成されている。
【0030】
貫通孔42には、図3乃至図5に示すように、コネクタ本体部51が前後方向に貫通可能とされており、貫通孔42にコネクタ本体部51が貫通した状態において、貫通孔42の内周面とコネクタ本体部51の外周面との間には、コネクタ本体部51が上下左右に移動することが可能な第一クリアランスS1が設定されている。また、コネクタ本体部51の軸心と貫通孔42の軸心とが同軸の状態において、貫通孔42における上下左右の端面と、コネクタ本体部51における上下左右の外面との間に形成される上下左右の第一クリアランスS1の大きさは、ほぼ均一となるように設定されている。
【0031】
また、インターロックコネクタ50のコネクタ本体部51の外面には、全周に亘って外方に張り出す平板状の抜け止め部53が形成されている。抜け止め部53は、コネクタ本体部51の後端部に配されており、上下方向に縦長な略矩形状をなしている。
【0032】
抜け止め部53は、図2乃至図5に示すように、カバー本体11における収容部18の開口部に比べて一回り小さく、且つ、保持プレート40の貫通孔42よりも一回り大きく形成されている。また、抜け止め部53は、収容部18に収容可能とされており、収容部18に収容された状態において、抜け止め部53の外周端面と収容部18の内周面との間には、抜け止め部53が上下左右に移動することが可能な第二クリアランスS2が設定されている。
【0033】
さらに、抜け止め部53は、図4及び図5に示すように、保持プレート40の後面40Aと、カバー本体11における収容部18の奥壁18Aとの間において前後方向に僅かなクリアランス有した状態で配されるように設定されている。
【0034】
したがって、抜け止め部53は、抜け止め部53が保持プレート40の後面と、カバー本体11の収容部の奥壁18Aとの間で、保持プレート40の貫通孔42から脱落することなく、上下左右に移動可能なフローティング状態となっている。すなわち、本実施形態によると、カバー本体11や保持プレート40に対してインターロックコネクタ50をフローティング状態に保持するための複雑な保持構造を形成することなく、インターロックコネクタ50をフローティング状態に保持することができる。これにより、ケースCに対する待受けコネクタ60の取付位置等の公差の関係でインターロックコネクタ50と待受けコネクタ60との軸心が僅かにずれている場合においても、インターロックコネクタ50のコネクタ本体部51が芯出しされ、コネクタ本体部51と待受けコネクタ60とを確実に嵌合させることができる。
【0035】
また、第二クリアランスS2は、図4及び図5に示すように、コネクタ本体部51の軸心と、貫通孔42の軸心と、収容部18の軸心とが同軸の状態において、第一クリアランスS1よりも小さく設定されている。そのため、抜け止め部53は、第二クリアランスS2の範囲内でインターロックコネクタ50が上下左右に移動可能とされている。これにより、コネクタ本体部51が貫通孔42の内周面に当接しないようになっている。
【0036】
また、コネクタ本体部51の軸心と収容部18の軸心とが同軸の状態において、抜け止め部53の上下左右の端面と、収容部18における上下左右の内周面との間に形成される上下左右の第二クリアランスS2の大きさは、ほぼ均一となるように設定されている。これにより、コネクタ本体部51がコネクタ本体部53の嵌合方向に延びる軸線を中心として回転しようとする際に、抜け止め部53における上下左右の端面の何れかと収容部18の上下左右の内周面とが回転する方向に当たりあうことで、抜け止め部53が収容部18内において回転することを規制することができるようになっている。すなわち、カバー本体11に対してインターロックコネクタ50が回転することを規制することができる。
【0037】
また、コネクタ本体部51の軸心と、貫通孔42の軸心と、収容部18の軸心とが同軸の状態において、第二クリアランスS2よりも抜け止め部53と保持プレート40との掛かり代aが大きく、且つ、抜け止め部53と保持プレート40との掛かり代aよりも第一クリアランスS1が大きくなるように設定されている。これにより、抜け止め部53が収容部18内で上下左右に移動した場合においても、貫通孔42から抜け止め部53における上下左右の何れの端部も露出されないようになっている。
【0038】
本実施形態のサービスカバー10は、以上のような構成であって、続いて、ケースCの開口部C1にサービスカバー10を装着する際の作用効果を説明する。
【0039】
図3に示すように、サービスカバー10に取り付けられた保持プレート40がケースCの開口部C1に対して向き合うようにして、サービスカバー10をケースCの開口部C1に被着する。これに伴い、カバー本体11と保持プレート40との間において保持されたインターロックコネクタ50がケースC内に進入し、待受けコネクタ60と嵌合される。そして、ショート端子52と待受け側端子とが導通可能に接続されてインターロックが解除される。
【0040】
ところで、本実施形態によると、ケースCに対する待受けコネクタ60の取付位置等の公差の関係でインターロックコネクタ50と待受けコネクタ60との軸心が僅かにずれている場合には、インターロックコネクタ50がカバー本体11に対して、上下左右に移動可能なフローティング状態となっているので、インターロックコネクタ50のコネクタ本体部51が芯出しされ、待受けコネクタ60と確実に嵌合することができる。
【0041】
最後に、カバー本体11における固定片12のボルト挿通孔12Aにボルトを挿通し、ケースCに締め付けることで、サービスカバー10がケースCに固定される。
【0042】
以上のように本実施形態によれば、インターロックコネクタ50の抜け止め部53をカバー本体11と保持プレート40との間に配することで、カバー本体11や保持プレート40に複雑な保持構造を形成することなく、コネクタ本体部51を嵌合方向と直交する方向に移動可能に保持することができる。これにより、ケースCに対する待受けコネクタの取付位置が公差等の関係で軸心がずれている場合においても、カバー本体11や保持プレート40の構造を複雑にすることなく、コネクタ本体部51と待受けコネクタ60との芯ずれを吸収し、両コネクタ50,60を確実に嵌合させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、コネクタ本体部51が嵌合方向を軸心として、嵌合方向と直交する方向に回転しようとする場合においても、カバー本体11の収容部18の内面とインターロックコネクタ50の抜け止め部53の外周面とが当接することで、コネクタ本体部51が回転することを規制することができる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、第二クリアランスS2を第一クリアランスS1よりも小さく設定することで、第二クリアランスS2の範囲内でインターロックコネクタ50が上下左右に移動可能な構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、第二クリアランスを第一クリアランスS1よりも大きく設定することで、第一クリアランスS1の範囲内でインターロックコネクタ50が上下左右に移動可能な構成にしてもよい。
(2)上記実施形態では、カバー本体11をアルミダイキャスト製としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、合成樹脂などで構成してもよい。
(3)上記実施形態では、収容部18の内周面に抜け止め部53の外周面が当接することで、コネクタ本体部51が回転しないように構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、貫通孔42の内周面にコネクタ本体部51の外周面が当接することで、コネクタ本体部51が回転しないような構成としてもよい。
【0045】
(4)上記実施形態では、位置決め突起13を二つ形成した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、位置決め突起13を三つ以上形成してもよい。
(5)上記実施形態では、カバー本体11の上部に配された位置決め突起13にのみEリング17を装着した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、カバー本体11の下部に配された位置決め突起にのみEリング17を装着した構成としてもよく、何れの位置決め突起13にもEリング17を装着した構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、位置決め突起13に取付溝13Aを形成し、Eリング17を装着することで、保持プレート40を保持した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、位置決め突起13の先端部に雄ねじ部を形成し、雄ねじ部にナットを締め付けることで保持プレート40を保持する構成としてもよい。また、位置決め突起13の先端部に位置決め突起13の軸方向と直交する方向に貫通する貫通孔を形成し、貫通孔にスナップピンを取り付けることで、保持プレート40を保持する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10:サービスカバー
11:カバー本体
13:位置決め突起
13A:取付溝(取付部)
17:Eリング(保持部材)
18:収容部
30:面シールパッキン(シール部材)
40:保持プレート
41:嵌合孔
42:貫通孔
50:インターロックコネクタ
51:コネクタ本体部
53:抜け止め部
60:待受けコネクタ
C :ケース
C1:開口部
S1:第一クリアランス(クリアランス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を収容するケースに設けられた作業用の開口部を塞ぐサービスカバーであって、
前記開口部を覆うカバー本体と、
このカバー本体の外周縁部に配され前記開口部の外周縁部と前記カバー本体の外周縁部とに全周に亘って密着するシール部材と、
前記カバー本体の前記開口部側の面を覆うように装着され前記カバー本体に配された前記シール部材の脱落を防止する板状の保持プレートと、
前記ケース内の前記電気機器に設けられた待受けコネクタと嵌合可能なインターロックコネクタとを備え、
前記保持プレートには、同保持プレートを板厚方向に貫通する貫通孔が形成されており、
前記インターロックコネクタは、前記貫通孔よりも小さく形成され前記待受けコネクタと嵌合可能なコネクタ本体部と、前記貫通孔よりも大きく形成され前記コネクタ本体部が前記貫通孔に挿通された状態で前記カバー本体と前記保持プレートとの間に配された抜け止め部とを備えて構成されていることを特徴とするサービスカバー。
【請求項2】
前記カバー本体には、位置決め突起が突設されており、
前記保持プレートには、前記位置決め突起が嵌合可能な嵌合孔が形成されており、
前記位置決め突起には、前記嵌合孔を貫通した位置に保持部材を取り付けることで前記カバー本体に前記保持プレートを固定する取付部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のサービスカバー。
【請求項3】
前記抜け止め部は、前記コネクタ本体部の嵌合方向と直交する方向に張り出す平板状に形成されており、
前記カバー本体には、前記嵌合方向と直交する方向にクリアランスを有しつつ前記抜け止め部を収容可能な収容部が形成されており、
前記抜け止め部と前記収容部とが前記嵌合方向に延びる軸線を中心とする回転方向に当たりあうことで前記抜け止め部の回転を規制することを特徴とする請求項1または請求項2記載のサービスカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−248415(P2012−248415A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119392(P2011−119392)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】