説明

サービス制御システム、サービスシステム

【課題】機械が実世界の状態に基づき実世界に対し有用な働きかけを行うサービスシステムにおいて、環境条件や目的等が変化したときでも、その働きかけがより適切なものとなるように変化させる。
【解決手段】本発明に係るサービス制御システムは、実世界インターフェースシステムが備える第1観測部とは異なる物理環境を観測する第2観測部を備え、実世界インターフェースシステムが第1観測部の観測結果に基づき動作した場合と第2観測部の観測結果に基づき動作した場合との間の差分が小さくなるように、実世界インターフェースシステムの動作を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械が実世界の状態を把握して自律的に物理動作または情報処理を実施するサービスを提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械が実世界の状態を把握・認識し、その認識結果に基づき機械が実世界に対し有用な働きかけを行うシステムの代表的なものとして、ロボットがある。下記特許文献1では、レール等の設置を必要とせずに、自律移動ロボットを所望の経路に従って移動させるために、ロボットの移動量から自分の位置を認識し、走行ルールに従って地図情報に基づき経路を探索し、その経路に沿うようにロボットを制御する方法が示されている。
【0003】
一方、人とインタラクションを行うシステムも、人を実世界の構成要素ととらえることにより、その状態に基づき機械が働きかけを行うシステムの一つと位置づけることができる。下記特許文献2では、ユーザからの作用を入力とし、その入力に基づき決定された作用を、ユーザに対し行う方法が示されている。同文献では、入力される作用に応じて、機械が内部にもつデータ構造を所定の方法で更新することにより、よりユーザのアクションに適した反応が行われるように、ユーザインタフェースの挙動が、徐々に進化・更新していく仕組みを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−191502号公報
【特許文献2】特開2007−265433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、経路を探索するルールが一定であるため、ロボットが移動する環境条件が変化した場合や、移動目的が変更されたときに、必ずしも適切な移動経路の決定がされ、あるいは決定された経路どおりの移動が正確に行われるとは限らない。すなわち、動作の決定方法や制御方法は、対象や目的等のさまざまな外部条件の変化にともなってそれが適切なものとなるように変化することが望まれる。
【0006】
上記特許文献2では、ユーザからの入力操作のされ方に応じ、その反応となる作用がより適切になるような作用決定方法の更新手段を示しており、前述の外部条件の変化に伴い発生する課題の一つの解決手段となっている。しかしながら本技術では、ユーザインタフェースのためにユーザの入力操作を受け付ける手段と、作用決定方法を更新するための情報としてユーザの入力操作を受け付ける手段とが同一であるため、それによって得られる情報が、作用決定方法を更新するための情報として必ずしも十分にはなっていない。すなわちシステムがより適切な反応を行うようになるために必要な情報、言い換えるとシステムが進化・更新するための情報が、システム自らによって得られる情報のみに限られており、システムの挙動を外部から、すなわち第3者の立場からの視点では評価していない。そのため、上記進化・更新が実際に適切なものになっているかどうかを正確に判断することは難しい。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、機械が実世界の状態に基づき実世界に対し有用な働きかけを行うサービスシステムにおいて、環境条件や目的等が変化したときでも、その働きかけがより適切なものとなるように変化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るサービス制御システムは、実世界インターフェースシステムが備える第1観測部とは異なる物理環境を観測する第2観測部を備え、実世界インターフェースシステムが第1観測部の観測結果に基づき動作した場合と第2観測部の観測結果に基づき動作した場合との間の差分が小さくなるように、実世界インターフェースシステムの動作を調整する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るサービス制御システムによれば、実世界の状態に基づき機械等が実世界に対し有用な働きかけを行うサービスシステムにおいて、環境条件やサービス目的等が変化しても、第2観測部の観測結果による客観的な尺度に基づいて、その働きかけがシステム要件の観点からより適切なものとなるように、実世界インターフェースシステムの動作を適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るサービスシステム1000の基本概念を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施形態1に係るサービスシステム1000の機能ブロック図である。
【図3】距離センサ210の具体例を示す図である。
【図4】距離センサ210を用いて測定されたセンシングデータの例を示す図である。
【図5】地図データ231の例を示す図である。
【図6】マッチング処理の概要を示す図である。
【図7】経路データ233の一例を示す図である。
【図8】実施形態1に係るサービスシステム1000が地図データ231を更新する手順を説明するフローチャートである。
【図9】実施形態2に係るサービスシステム1000の機能ブロック図である。
【図10】実施形態2に係るサービスシステム1000が経路データ233を更新する手順を説明するフローチャートである。
【図11】実施形態3に係るサービスシステム1000の機能ブロック図である。
【図12】実施形態3に係るサービスシステム1000が、搬送計画を作成するためのアルゴリズムやパラメータを更新する手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の基本概念>
図1は、本発明に係るサービスシステム1000の基本概念を説明する機能ブロック図である。サービスシステム1000は、サービス制御システム100、実世界インターフェースシステム200を有する。実世界インターフェースシステム200は、物理的動作または情報処理を実施することによってサービスを提供するシステムである。サービス制御システム100は、実世界インターフェースシステム200の動作を制御するシステムである。
【0012】
実世界インターフェースシステム200は、第1観測部210、操作部220、操作指示部230を有する。第1観測部210は、実世界インターフェースシステム200周囲の物理環境を観測し、その観測結果を第1観測情報として操作指示部230に出力する。操作部220は、例えば荷物搬送などの物理的動作によるサービスを提供するロボット、情報処理サービスを提供するコンピュータ、などの動作を実施する機能部によって構成されている。操作指示部230は、第1観測部210の観測結果に基づき操作指示情報を出力し、操作部220の動作を制御する。
【0013】
サービス制御システム100は、第2観測部110、更新指示部120を有する。第2観測部110は、実世界インターフェースシステム200周囲の、第1観測部210が観測するものとは異なる物理環境を観測し、その観測結果を第2観測情報として更新支持部120へ出力する。更新指示部120は、操作指示部230が内部的に使用する情報と第2観測情報を用いて、操作指示部230が操作部220を制御する際の制御パラメータやアルゴリズムなどを更新する。
【0014】
第1観測部210は、実世界インターフェースシステム200がサービスを提供する際に自ら周囲の状況を観測してサービス動作を調整するための機能部である。これに対し第2観測部110は、実世界インターフェース200の外部から第1観測部210とは異なる観点で実世界インターフェースシステム200の動作を観測する機能部であり、実世界インターフェース200にとっては客観的第3者による動作監視をする機能部であるといえる。
【0015】
このように、サービスを提供するシステム自身が取得する主観的な情報に加えて、外部の第3者による客観的な観測結果を併用することにより、主観的観測のみでは得られない情報を得ることができるので、操作部220のサービス動作をより適切に更新することができると考えられる。
【0016】
例えば、第1観測部210による観測結果と第2観測部110による観測結果が異なる場合、いずれか一方の観測結果を用いて操作指示部230のアルゴリズムを更新し、両者の観測結果の間にずれが生じないようにすることが考えられる。あるいは、操作部220が第1観測情報に基づき動作する場合と第2観測情報に基づき動作する場合とで動作結果が異なる場合には、両者の動作結果の間に相違が生じないように、制御パラメータを補正するような用途が考えられる。
【0017】
なお、第1観測部210による観測結果と第2観測部110による観測結果のいずれを優先すべきかは、サービスシステム1000が提供するサービスの性質によって異なると考えられる。例えば全体最適を優先するサービスである場合、第2観測部110はサービスシステム1000全体を俯瞰的に観測し、第1観測部210は比較的近距離の観測結果に基づき動作を微調整する、といった用途が考えられる。
【0018】
以上、本発明に係るサービスシステム1000の概念を説明した。以下では、本発明に係るサービスシステム1000の具体的な実施形態を説明する。
【0019】
<実施の形態1>
図2は、本発明の実施形態1に係るサービスシステム1000の機能ブロック図である。本実施形態1に係るサービスシステム1000は、人が操縦することなく目的地まで自動的に到達することができる自律搬送車を用いて、物流倉庫などで物を搬送するサービスを提供するシステムである。
【0020】
本実施形態1において、実世界インターフェースシステム200は、自律搬送車が荷物を搬送するシステムである。第1観測部210は距離センサとして構成され、操作部220は自律搬送車として構成されている。操作指示部230は、地図データ231、位置推定部232、経路データ233、移動制御部234を有する。
【0021】
距離センサ210は、自律搬送車220とその周辺物体との間の距離を測定し、距離センサデータ211として位置推定部232に出力する。自律搬送車220は、移動制御部234からの指示にしたがって荷物などを搬送する。
【0022】
地図データ231は、自律搬送車220が荷物などを搬送する場所の実測地図を記述したデータである。位置推定部232は、距離センサデータ211と地図データ231を比較対照することにより、自律搬送車220の位置と姿勢を推定し、移動制御部234に出力する。経路データ233は、自律搬送車220が地図データ231上で移動すべき軌跡を記述したデータである。移動制御部234は、位置推定部232の推定結果に基づき、自律搬送車220が経路データ233にしたがって移動するように、自律搬送車220の動作を制御する。自律搬送車220の制御については後述する。
【0023】
本実施形態1において、サービス制御システム200は、地図データ231を更新することによって自律搬送車220の移動経路を更新制御するシステムである。第2観測部110は、広域距離センサとして構成されている。更新指示部120は、地形検出部121と地図更新部122を有する。
【0024】
広域距離センサ110は、距離センサ210よりも計測範囲が広い距離センサであり、自律搬送車220が移動する場所の地形を広範囲で計測してその結果を広域距離センサデータ111として出力する。地形検出部121は、広域距離センサデータ111に基づき自律搬送車220が移動する場所の地形を検出する。地図更新部122は、地形検出部121の検出結果と距離センサデータ211を用いて、地図データ231を最新の状態に更新する。この更新処理については後述する。
【0025】
以上、本実施形態1に係るサービスシステム1000の構成について説明した。以下では、距離センサ210と地図データ231を用いて自律搬送車220を経路データ233にしたがって移動させる方法について説明する。
【0026】
図3は、距離センサ210の具体例を示す図である。距離センサ210は、距離センサ210周辺の複数の方向について、周辺物300と距離センサ210の間の距離を計測する。距離センサ210の具体的な仕様として様々なものが考えられるが、ここでは図3に示すように、ある高さの水平面上を距離センサ210の正面に対して−90°から+90°の方向に、1°毎の合計181通りの異なる方向について、周辺物300までの距離データが瞬時に計測できるものを想定する。距離センサ210は、自律搬送車220に搭載されているものとする。
【0027】
図4は、距離センサ210を用いて測定されたセンシングデータの例を示す図である。各センシングデータは、角度φと距離dの組み合わせとして(φ0,d0), (φ1,d1),・・・,(φi,di),・・・として表される。各変数の数字の添え字iはデータ番号を示し、φiはi番目の測定方向を示し、diはφi方向における周辺物300までの距離を示す。距離センサ210は、正面に対して−90°から+90°の方向に1°毎の合計181通りの異なる方向について計測できるものを想定するので、φ0=−90°,φ1=−89°,・・・,φ180=+90°となる。
【0028】
図5は、地図データ231の例を示す図である。地図データ231は、距離センサ210による測定高さ断面上の周辺物300の存在を、図5に示すようなディジタル画像として表したものである。同画像では、周辺物の境界部分を黒色で表現している。
【0029】
自律搬送車220は、平らな地面上を移動するものと仮定する。その移動によって変化する位置姿勢に関する自由度は、位置について(x,y)の2パラメータ、姿勢について自律搬送車220が向く方向角度に関するθの1パラメータ、合計3パラメータによって表すことができる。これらのパラメータを表す座標系は、図5に示すような地図データ231を表す座標系と一致させるものとする。
【0030】
自律搬送車220の位置姿勢を推定するとは、任意の位置姿勢にある自律搬送車220のセンシングデータから、上記(x,y,θ)の3パラメータを求めることを意味する。本機能を実現する手段としていくつかの方法が考えられるが、ここではその最も基本的な方法となるマッチング処理による方法を説明する。
【0031】
マッチング処理による方法とは、計測されたセンシングデータを、さまざまな位置および姿勢(方向)で地図に重ね合わせ、最もよく当てはまる位置および姿勢を探し出し、これをもって自律搬送車220の位置姿勢パラメータの推定値とするというものである。その原理は、自律搬送車がその位置および姿勢にあるときに、計測されたデータと同じデータが最も高い確率で得られるであろうという考え方に基づいている。
【0032】
図6は、マッチング処理の概要を示す図である。地図データ231と距離センサデータ211とが与えられたとき、位置推定部232は、上述の方法によって最も当てはまると判断される自律搬送車220の位置および姿勢を求める。このときの平行移動成分(x,y)と回転成分θが、自律搬送車220の位置姿勢推定値となる。
【0033】
次に、自律搬送車220がすすむべき移動経路を定義する経路データ233について説明する。経路データ233とは、自律搬送車220が通るべき軌跡を直線や曲線として地図上にあらわした移動軌跡をもとに、これを数値的にデータ化したものである。
【0034】
図7は、経路データ233の一例を示す図である。スタートポイント701は自律搬送車220が現在いる位置を示し、ゴールポイント702は目的地となる位置を示す。スタートポイント701とゴールポイント702を結ぶ曲線703が自律搬送車220の移動経路となる。移動経路を経路データ233として記述する具体的な記述方法としては、経路を表す直線や曲線上に点を高密度でプロットし、その点の地図上での座標値を (x0, y0), (x1,y1),・・・,(xe,ye)の形式で順次表すことが考えられる。(x0,y0)はスタートポイント701、(xe,ye)はゴールポイント702を示す。
【0035】
位置推定部232は、上述の位置姿勢推定方法によって逐次自律搬送車220の位置姿勢を求める。移動制御部234は、位置姿勢の推定結果と経路データ233を比較することにより、自律搬送車220の移動方向や移動速度などを決定し、これに基づき自律搬送車220の移動装置を制御して自律搬送車220を移動させる。
【0036】
サービス制御システム100は、地図データ231を更新する機能を有する。一般的な物流倉庫では、物の移動のみならず、棚や各種物流機器などの配置換えがある程度の頻度で実施される。よって一旦作成した地図データ231であっても、それが時間とともに実際の形状を忠実に表すものでなくなることがあり得る。これに対処するため、サービス制御システム100は、地図データ231を実態にあったものに修正する。以下、その具体的な手法について説明する。
【0037】
広域距離センサ110は、自律搬送車220が移動する場所の現在の3次元形状がどのようになっているかを正しく認識することができるものである、数百メートル先の地形であっても数cm程度の空間的サンプリングレートにて、誤差1cm程度で地形を計測することができるものである。このような広域距離センサは、現在すでに一般的に商用レベルで利用されるようになっているため、その仕組み等についての詳細な説明は省略する。
【0038】
広域距離センサ110は、物流倉庫等の自律搬送車220が動く環境の3次元形状を、人による操作、あるいはあらかじめ設定した自動操作により、1箇所あるいは数箇所から計測する。広域距離センサ110が計測した環境の3次元形状を、ある断面、すなわち自律搬送車220の距離センサが取り付けられている高さの平面で切断したものが、地図データ231とほぼ同等なものになる。
【0039】
ただし、この方法で取得された環境の形状情報は、地図データ231に比べ、欠損部が多いという欠点をもつ。このため、上記の断面情報を直接地図データ231として用いることはできない。これは、計測する各点のサンプリングレートが上述のように数cm間隔であるとはいえ、地図として用いるには疎であること、また、環境内で広域距離センサ110から見て手前にある物体によって遮蔽され、その奥にある物体や壁などが計測できないこと、などの問題によるものである。
【0040】
そこで本実施形態1において、地形検出部121は、広域距離センサ110が取得した断面情報に基づき、地図データ231に関する地形データを作成する。地形データとは、地図データ231を作成するにあたって、ある場所における物の存在の有無など、その地図データが実態を正しく表したものとなるための条件である。具体的にはそれぞれの場所を、(1)物が存在している、(2)物は存在していない、(3)不明である、の3つの状態に分類して表現したものなどが考えられる。
【0041】
地図更新部122は、上述の地形データ、自律搬送車220が移動中に得た距離センサデータ211、現在の地図データ231を用いて、以下の手順により地図データ231を更新する。
【0042】
地図更新部122は、まず地形データと距離センサデータ211を比較し、距離センサデータ211が地形データに矛盾無く当てはまる、自律搬送車220の位置姿勢を求める。これは上述の、地図データ231と距離センサデータ211とのマッチングにより自律搬送車220の位置姿勢を求める手法と同一の考え方に基づくものである。具体的には、さまざまな位置姿勢に距離センサデータ211を置き、地形データと照らし合わせ、本来物がないところに物があるように計測されている、あるいは本来物があるところに物がないように計測されている、といった矛盾が最も少ない位置姿勢をもって、求めるべき位置姿勢とする方法が考えられる。より詳しくは、矛盾の発生ごとに適当な値を加える評価値を定義し、この評価値が最も低いものを求めるべき位置姿勢とする方法が考えられる。
【0043】
地図更新部122は次に、求めた位置姿勢に合わせた距離センサデータ211と現在の地図データ231を比較し、地図データ231を補正する。具体的には、距離センサデータ211上で物があると判断された地図データ231上の点が空白点(物が存在していない点)となっていればそこを存在点(物が存在している点)に補正し、距離センサデータ211上で物がないと判断された地図データ231上の点が存在点となっていればそこを空白点に補正する、などの方法が考えられる。
【0044】
更新指示部120は、以上の処理を、自律搬送車220が移動しながら得られる距離センサデータ211に対して順次実施する。これにより、地図データ231が全体にわたり更新されていく。距離センサ210は、自律搬送車220が移動するごとに連続して上述の361点のデータを得ることができるので、自律搬送車220が移動を続けると、計測できる点の数は極めて多くまた密になる。さらに、ある場所からは遮蔽物に隠れて計測できなかった物であっても、自律搬送車220が遮蔽物の近くに移動すれば計測できるようになる。
【0045】
図8は、本実施形態1に係るサービスシステム1000が地図データ231を更新する手順を説明するフローチャートである。本フローは、例えば実世界インターフェースシステム200がサービスを提供していないときに実施することができる。以下、図8の各ステップについて説明する。
【0046】
(図8:ステップS801〜S802)
広域距離センサ110は、自律搬送車220が移動する場所の環境全体にわたって、地形を計測する(S801)。更新指示部120は、広域距離センサデータ111に基づき、環境の断面図となる断面情報を作成する(S802)。
【0047】
(図8:ステップS803〜S804)
地形検出部121は、ステップS802で得られた断面情報に基づき、上述の地形データを作成する(S803)。更新指示部120は、移動制御部234に指示を出して自律搬送車220を経路データ233に沿って移動させ、距離センサデータ211を順次取得する(S804)。
【0048】
(図8:ステップS805)
地図更新部122は、地形データと距離センサデータ211を比較し、上述の手順にしたがって、現在の地図データ231を更新する。
【0049】
<実施の形態1:補足>
本実施形態1におけるデータ通信方式としては、地図更新部122を自律搬送車220上に搭載し、広域距離センサ110と地図更新部122の間で無線ネットワークを通してデータを送受信する構成、地図更新部122は自律搬送車220の外部に置き、地図更新部122と自律搬送車220との間で無線ネットワークを通してデータを送受信する構成、などが考えられる。
【0050】
図8で説明したフローを実運用上で実施するタイミングとしては、例えばある一定期間を経るごとに自律搬送車220を空(カラ)走行させて実施する、あるいは広域距離センサ110による計測を実施した前後に自律搬送車220が動きながら距離センサデータ211をログデータとしていったん保存しておき、後にこれらデータを用いて地図データを更新する、などが考えられる。
【0051】
<実施の形態1:まとめ>
以上のように、本実施形態1に係るサービスシステム1000は、広域距離センサ110と距離センサ210を併用し、これらが計測した結果を比較対照して地図データ231を更新する。これにより、複数の観点に基づく観測結果を利用して地図データ231を補正することができるので、実世界インターフェースシステム200自身の観測結果に基づきサービスを提供する場合と比較して、実世界インターフェースシステム200が提供するサービスにとって求められるサービス品質に適した自律搬送車220の動作を、より適正に維持することができる。
【0052】
また、本実施形態1に係るサービスシステム1000は、広域距離センサ110を単独で用いた場合において生じる、観測点が疎になる問題、および遮蔽物によって欠損点が生じる問題を、距離センサ210によって補完することができる。
【0053】
<実施の形態2>
本発明の実施形態2では、実施形態1と同様に、物流倉庫などで用いられる自律搬送車を対象とするが、ここでは経路データ233を設定する手順について述べる。
【0054】
本実施形態2においては、搬送経路をあらかじめ経路データ233として人あるいはシステムが設定する。この搬送経路は複数設定しておき、搬送実施時に適切な経路を操作者あるいはシステムが選択し、自律搬送車220が所望の経路に沿って移動すれるようにする。経路データ233にしたがって自律搬送車220を移動させるための制御方法は、実施形態1で述べたとおりである。
【0055】
地図データ231が更新される、あるいは周囲環境内に置かれた物が移動するなどによって環境形状が変化すると、自律搬送車220は、あらかじめ設定した経路データ233とは異なる軌跡で移動する。これは、従来設定していた経路データ233と地図データ231との間の相対的な位置関係がずれてしまうことなどが原因である。そこで本実施形態2では、自律搬送車220の移動軌跡を外部から観測し、実際の移動軌跡と設定した経路データとの間の差を求め、経路データ233を補正する。補正方法としては、発生したずれを打ち消す方向に経路データ233を移動させるのが基本である。
【0056】
図9は、本実施形態2に係るサービスシステム1000の機能ブロック図である。実施形態1と同様の構成については適宜説明を省略し、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0057】
本実施形態2において、更新指示部120は、比較部123と経路更新部124を有する。これらの動作については後述する。
【0058】
本実施形態2において、第2観測部110は、自律搬送車220の動きを外部から観測する軌跡観測部として構成されている。具体的には、移動環境の天井に設置した天井カメラがその一例として考えられる。自律搬送車220が移動する場所に軌跡観測部110を多数設置することにより、自律搬送車220が移動しうるすべての領域を撮影することができる。軌跡観測部110は、観測結果に基づき自律搬送車220の位置を認識する。
【0059】
自律搬送車220の位置を認識する手法としては、自律搬送車220の一部分を抽出する手段と、その位置を求める手段とによって実現される。自律搬送車220の一部分を抽出する手段は、自律搬送車220にあらかじめ決められた形状や色のマークを貼り付け、これをテンプレートマッチングによる画像処理で見つける方法や、自律搬送車220の形状や色をあらかじめ搬送車モデルとして記憶しておき、そのモデルと撮影画像とを照合することにより、自律搬送車220の上面部すなわち天井カメラから見える部分を抽出する方法、などがある。自律搬送車220の位置を認識する手法としては、抽出したマーカあるいは自律搬送車220上面部の重心等の特定の位置について、環境内における座標値を算出することが考えられる。以下の説明では、この点を対象点と呼ぶことにする。対象点の座標値の算出方法としては、自律搬送車220が平面運動するので対象点の地面からの高さは一定とし、この高さを表す平面と、カメラから対象点に向かう方向の交点を、対象点の3次元位置として求める方法や、前述の天井カメラをすべてステレオカメラとして、抽出した対象点の3次元位置を求める方法などがある。いずれの方法でも、カメラの設置位置や設置方向およびズーム等のカメラ内部パラメータを固定とし、カメラキャリブレーションを実施してそれらの値をあらかじめ求めておくことにより、上述の3次元座標値を、環境に対する同一の座標系において求めることができる。このようにして求めた対象点の位置をもって、自律搬送車220の位置とする。
【0060】
軌跡観測部110は、以上述べた方法によって自律搬送車220の位置を時系列として求めることにより、自律搬送車220の実際の軌跡を数値としてあらわした軌跡データ112を得ることができる。次に、この軌跡データ112を用いて、経路データ233を補正する方法について述べる。
【0061】
前述のとおり、経路データ233は地図上の曲線として設定されている。軌跡観測部110の観測値から得られた軌跡データ112を経路データ233上に重ねて描くことを考える。このとき、上述の誤差の蓄積などの原因により、経路データ233と軌跡データ112が同じものとして重ならないことがありえる。この場合、自律搬送車220は設定した経路とは異なる軌跡で移動していることになる。経路データ233が示す軌跡と実際に観測された軌跡との差が、意図した経路と実際の経路との間のおおよその差を示すものと考えられる。
【0062】
比較部123は、経路データ233と軌跡データ112の間の差分を求める。経路更新部124は、経路データ233を、上記差分と逆の方向に補正する。これにより、あらかじめ設定した経路データ233と実際の軌跡データ112との間で差が生じても、本来意図した経路に沿って自律搬送車220が移動することになる。ただし発生する差が補正量と必ずしも同じになるとは限らないので、補正量は、差の絶対値と同じにする方法に限らず、差の絶対値に0以上1以下のある値を乗じ補正量を小さくする、観測と補正を繰り返すことによって意図した経路に近くなるように補正量を収束させていく、などの方法が考えられる。また差の絶対値があらかじめ定めた閾値より大きいときは補正を実施せず、異常状態としてシステム管理者に通知するなど、実際的な対処方法を導入することも考えられる。
【0063】
図10は、本実施形態2に係るサービスシステム1000が経路データ233を更新する手順を説明するフローチャートである。本フローは、例えば実世界インターフェースシステム200がサービスを提供していないときに実施することができる。以下、図10の各ステップについて説明する。
【0064】
(図10:ステップS1001〜S1002)
軌跡観測部110は、自律搬送車220の移動軌跡を計測する(S1001)。軌跡観測部110は、撮影結果に基づき、自律搬送車220の軌跡データ112を算出する(S1002)。
【0065】
(図10:ステップS1003〜S1004)
比較部123は、軌跡データ112と、あらかじめ設定されている経路データ233とを比較し、経路データ233の補正量を決定する(S1003)。経路更新部124は、決定された補正量にしたがい、経路データ233を補正・更新する(S1004)。
【0066】
<実施の形態2:補足>
本実施形態2におけるデータ通信方式としては、経路更新部124を自律搬送車220上に搭載し、軌跡観測部110との間で無線ネットワークを通してデータを送受信する構成、経路更新部124は自律搬送車220の外部に置き、経路更新部124と自律搬送車220との間で無線ネットワークを通して経路情報を送受信する構成などが考えられる。
【0067】
<実施の形態2:まとめ>
以上のように、本実施形態2に係るサービスシステム1000は、軌跡観測部110が自律搬送車220の移動軌跡を観測し、これに基づき経路データ233を更新する。これにより、経路データ233が意図した経路とは異なることを自律搬送車220自身が検知できない場合であっても、軌跡観測部110による客観的な観測結果に基づいてこれを補正することができる。
【0068】
<実施の形態3>
本発明の実施形態3では、物流倉庫などにおける自律搬送車を用いた搬送システムの全体的な計画制御について説明する。搬送システムでは、搬送に関するおおまかな指示が出されると、倉庫内のレイアウト情報や現在の荷物の保管状況情報などと搬送指示を照らし合わせて、指示された物品の移動先や経路が計画される。この計画を搬送システムが自動的に決定するための方法としては、搬送の順番や移動経路などを、搬送時間や移動量等の移動コストを評価基準とした最適化問題を解くことにより決定する方法が考えられる。この用いるアルゴリズムは実際的なものが既に開発されており、本実施形態3ではこれを用いることを前提とするので、その詳細については省略する。
【0069】
図11は、本実施形態3に係るサービスシステム1000の機能ブロック図である。本実施形態3において、第2観測部110は全体状況観測部として構成されている。第1観測部210は、搬送指示受付部212、レイアウト観測部213、保管状況観測部214を有する。操作指示部230は、搬送計画作成・指示部として構成されている。実世界インターフェースシステム200は、荷物を搬送する搬送システムとして構成されている。更新指示部120は、搬送シミュレータ125、アルゴリズム選択・パラメータ設定部126を有する。
【0070】
搬送指示受付部212は、キーボードやマウス等によってユーザからの搬送指示を受け付ける。レイアウト観測部213は、倉庫の形状や棚の配置を広域距離センサ等で観測し、図面等のレイアウト情報として抽出する。保管状況観測部214は、ICタグなどを用いて棚ごとにどの程度の量の物品が保管されているかを観測し、保管状況情報として抽出する。
【0071】
搬送計画作成・指示部230は、搬送の順番や移動経路などの計画を作成し、これに基づき自律搬送車220の動作を制御する。搬送計画作成・指示部230は、第1観測部210から得られる上記各観測情報を入力とし、これを用いて上記アルゴリズムを用いて搬送計画を作成し、自律搬送車220に対し、スタートポイント、エンドポイント、積み荷指示、経路選択、荷降ろし等を指示する。
【0072】
搬送計画作成・指示部230が搬送計画や指示を作成するための方法について、同じ問題設定であってもこれを解くアルゴリズムがいくつか準備されていることが多く、またそれぞれの方法においては設定すべきパラメータがいくつかある。よってより適切な搬送計画を得るには、アルゴリズムの選択とパラメータの設定が重要となる。一般には、これを過去の経験や、ヒューリスティックな考察により操作者が決定する。
【0073】
搬送システムが搬送物の状況や空間の空き状況などを常に正確に把握することができれば理想どおりの制御を実施できるが、一般にはそれらを把握しきれないため、結果的に全体の挙動が必ずしも理想的なものにならず、また用いるアルゴリズムの選択やパラメータ設定が最適なものかどうかを確認することも困難となる。そこで本実施形態3では、アルゴリズムやパラメータを実際の搬送状況に基づき変更・修正する。
【0074】
全体状況観測部110は、対象となる物流倉庫等の屋内全体の状況を観測するため、カメラ、ICタグ、距離センサ、重量センサ等のセンサを備える。搬送シミュレータ125は、搬送計画作成・指示部230が現在利用している、あるいは現在は利用していないが選択し利用可能なアルゴリズムやパラメータが何であるかの情報と、搬送計画作成・指示部230が把握する搬送指示、レイアウト、保管状況等の入力情報を吸い上げ、理論的にはどのような搬送を実施できるかをシミュレートする。搬送シミュレータ125は、設定されたアルゴリズムとパラメータにしたがい、搬送計画作成・指示部230と同じ搬送計画と指示を作成する機能と、その指示が自律搬送車220に対し発せられたときに、どのような物の移動が実施されるのかを予測する。具体的には物流現場の物の流れを模擬するシミュレータが商用レベルでいくつか実用化されており、それを利用して搬送シミュレータ125を構成することが考えられる。その詳細な説明はここでは省く。
【0075】
アルゴリズム選択・パラメータ設定部126は、搬送シミュレータ125が予測した物の動きと、全体状況観測部110による観測で得られた全体状況データ113を比較し、その違いを評価する。この違いが、搬送システム200が意図する物の流れと実際の物の流れとの差である。アルゴリズム選択・パラメータ設定部126は、この差をなるべく小さくするように、搬送計画作成・指示部230が用いるアルゴリズムやパラメータを変更する。具体的には、搬送シミュレータ125が用いるアルゴリズムやパラメータを様々に変更させ、上記差が最も小さくなるものをもって、現在の最適なアルゴリズムあるいはパラメータとし、これを搬送計画作成・指示部230が用いるように搬送システム200を更新する方法が一例として考えられる。
【0076】
図12は、本実施形態3に係るサービスシステム1000が、搬送計画を作成するためのアルゴリズムやパラメータを更新する手順を説明するフローチャートである。以下、図12の各ステップについて説明する。
【0077】
(図12:ステップS1201〜S1202)
全体状況観測部110は、倉庫等全体における搬送状況を計測する(S1201)。搬送シミュレータ125は、どのような搬送が理論的に実施できるのかを、実際に使われるアルゴリズムやパラメータにしたがってシミュレート算出する(S1202)
【0078】
(図12:ステップS1203〜S1204)
アルゴリズム選択・パラメータ設定部126は、搬送シミュレータ125のシミュレーション結果と、全体状況観測部110が観測した実際の搬送状況とを比較し、アルゴリズムやパラメータの変更方法を決定する(S1203)。アルゴリズム選択・パラメータ設定部126は、決定された変更方法にしたがい、搬送計画作成・指示部230が実際に用いる搬送計画作成のためのアルゴリズムやパラメータを変更する(S1204)。
【0079】
<実施の形態3:補足>
本実施形態3において、搬送シミュレータ125や搬送計画作成・指示部230を、自律搬送車220とは別の場所にある固定された計算機によって構成する構成が考えられる。この場合は、全体状況観測部110、アルゴリズム選択・パラメータ設定部126、搬送計画作成・指示部230等は、有線あるいは無線ネットワークで接続する構成をとることが考えられる。それらと自律搬送車220とは、無線ネットワークを介して制御情報等を送受信することが考えられる。
【0080】
<実施の形態3:まとめ>
以上のように、本実施形態3に係るサービスシステム1000は、全体状況観測部110が観測した搬送状況と、搬送シミュレータ125によるシミュレーション結果とを比較し、最適な搬送計画作成アルゴリズムやパラメータを選択することができる。
【0081】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることもできる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することもできる。
【0082】
上記各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部や全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【符号の説明】
【0083】
100:サービス制御システム、110:第2観測部、111:広域距離センサデータ、112:軌跡データ、113:全体状況データ、120:更新指示部、121:地形検出部、122:地図更新部、123:比較部、124:経路更新部、125:搬送シミュレータ、126:アルゴリズム選択・パラメータ設定部、200:実世界インターフェースシステム、210:第1観測部、211:距離センサデータ、212:搬送指示受付部、213:レイアウト観測部、214:保管状況観測部、220:操作部、230:操作指示部、231:地図データ、232:位置推定部、233:経路データ、234:移動制御部、1000:サービスシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の物理環境を観測する第1観測部と、前記第1観測部の観測結果に基づき物理的操作または情報処理を実施する操作部と、前記操作部の動作を定義する定義データと、前記定義データにしたがって前記操作部の動作を制御する操作指示部と、を備えた実世界インターフェースシステムが提供するサービスを制御するシステムであって、
前記第1観測部とは異なる観測対象の観測、あるいは同一の観測対象に対し異なる手段で観測を行う第2観測部と、
前記操作部が前記第1観測部の観測結果に基づき動作した場合と、前記操作部が前記第2観測部の観測結果に基づき動作した場合との間の差分に基づき、前記定義データを更新する更新部と、
を備えたことを特徴とするサービス制御システム。
【請求項2】
前記第2観測部は、前記第操作部が実施する物理的操作または情報処理を観測し、
前記更新部は、前記定義データが定義する前記操作部の動作と、前記第2観測部の観測結果との間の差分が小さくなるように、前記定義データを更新する
ことを特徴とする請求項1記載のサービス制御システム。
【請求項3】
請求項1記載のサービス制御システムと、
前記実世界インターフェースシステムと、
を備えたことを特徴とするサービスシステム。
【請求項4】
前記定義データは、前記実世界インターフェースシステムがサービスを提供する場所の地図を記述した地図データとして構成されており、
前記操作部は、前記地図データが定義する地形にしたがって自律搬送車が荷物を自律的に搬送する機能部として構成されており、
前記第1観測部は、前記自律搬送車とその周囲に存在する物体との間の距離を計測する距離センサを用いて構成されており、
前記第2観測部は、前記第2観測部と、前記自律搬送車およびその周囲に存在する物体との間の距離を、前記第1観測部の観測範囲よりも広い領域内において観測する広域距離センサを用いて構成されており、
前記操作指示部は、前記第2観測部の観測結果に基づき前記地形上における前記自律搬送車の概略移動先を制御するとともに、前記第1観測部の観測結果に基づき前記地図上における前記自律搬送車の位置および姿勢を推定し、その結果に基づき前記自律搬送車の前記概略移動先よりも詳細な移動先を制御し、
前記更新部は、前記第1観測部の観測結果と前記地図データが合致するように前記地図データを更新する
ことを特徴とする請求項3記載のサービスシステム。
【請求項5】
前記定義データは、前記実世界インターフェースシステムがサービスを提供する場所の地図を記述した地図データ、および前記操作部が前記地図上で移動すべき経路を記述した経路データとして構成されており、
前記操作部は、前記地図データが定義する地形および経路にしたがって自律搬送車が荷物を自律的に搬送する機能部として構成されており、
前記第1観測部は、前記自律搬送車とその周囲に存在する物体との間の距離を計測する距離センサを用いて構成されており、
前記第2観測部は、前記自律搬送車が前記地形上で移動する軌跡を観測するように構成されており、
前記操作指示部は、前記第1観測部の観測結果に基づき前記地図上における前記自律搬送車の位置および姿勢を推定し、その結果に基づき、前記経路データが記述する経路にしたがって前記自律搬送車が移動するように前記自律搬送車の移動先を制御し、
前記更新部は、前記第2観測部の観測結果と前記経路データが合致するように前記経路データを更新する
ことを特徴とする請求項3記載のサービスシステム。
【請求項6】
前記操作部は、自律搬送車が荷物を自律的に搬送する機能部として構成されており、
前記定義データは、前記自律搬送車が前記荷物を搬送する手順を定義したアルゴリズムを記述したプログラムおよび関連するパラメータとして構成されており、
前記第1観測部は、前記自律搬送車に対する搬送指示を受け付ける搬送指示受付部、前記自律搬送車が前記荷物を搬送する場所の地形を観測するレイアウト観測部、前記荷物の保管状況を観測する保管状況観測部、のうち少なくともいずれかとして構成されており、
前記第2観測部は、前記自律搬送車による前記荷物の搬送状況を観測するように構成されており、
前記操作指示部は、前記プログラムおよび前記パラメータにしたがって前記自律搬送車が前記荷物を搬送する動作を制御し、
前記更新部は、前記プログラムおよび前記パラメータにしたがって前記自律搬送車が前記荷物を搬送する動作をシミュレートした結果と、前記第2観測部の観測結果とが合致するように、前記プログラムおよび前記パラメータを更新する
ことを特徴とする請求項3記載のサービスシステム。
【請求項7】
前記定義データは、前記プログラムおよび前記パラメータの組み合わせをあらかじめ複数保持しており、
前記更新部は、前記シミュレートの結果と前記第2観測部の観測結果とが合致するように、前記組み合わせを選択する
ことを特徴とする請求項6記載のサービスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114500(P2013−114500A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260804(P2011−260804)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】