説明

サーマルヘッド、プリンタおよびマーキング方法

【課題】識別マークによる強度的品質の低下を防ぐ。
【解決手段】ガラス材料からなる積層基板13と、積層基板13の一面に形成された発熱抵抗体と、発熱抵抗体の両端に接続され、発熱抵抗体に電力を供給する電極部とを備え、積層基板13に固有の識別情報を示す文字または記号からなる識別マーク30が形成され、識別マーク30が、炭酸ガスレーザを断続的に照射して積層基板13の一部を略長円形に溶融させた後に硬化させた溶融跡を間隔を空けて複数配列することにより構成されているサーマルヘッド10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッド、プリンタおよびマーキング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルプリンタに用いられるサーマルヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のサーマルヘッドは、ガラス材料からなる支持基板と上板基板との積層基板上に複数の発熱抵抗体が形成されており、発熱抵抗体に接続された一対の電極部に電力を供給することにより、発熱抵抗体を発熱させて感熱記録媒体等に印画することができるようになっている。
【0003】
このようなサーマルヘッドにおいては、大判のガラス基板により複数個のサーマルヘッドを同時に製造する場合に、大判のガラス基板における各サーマルヘッドの配置位置を把握したり、製造工程の履歴を遡ったり(すなわち、トレーサビリティを確保したり)、または、製造の途中工程の流動状況や在庫状況を把握したりするなど、工程管理や製造管理のために、サーマルヘッドごとの基板表面に識別マークをマーキングする必要がある。
ガラス基板に対して識別マークをマーキングする方法としては、安価でマーキング速度が速い炭酸ガスレーザを用いた方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−119850号公報
【特許文献2】特開2003−136259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の炭酸ガスレーザを用いたマーキング方法では、ガラス基板の表面を溶融させる温度以上で加工を行うため、急加熱して溶融させた後に急冷して凝固させると、ガラス基板の溶融部分が熱収縮し、熱収縮の力に耐えきれない部分にクラックが発生することがある。そして、一文字の何処か1箇所にクラックが発生すると、そのクラックは一文字全体に伝搬してしまうという虞がある。
【0006】
一文字全体にクラックが伝搬すると、サーマルヘッドの製造工程中の熱処理による熱膨張および熱収縮、スパッタ膜による膜応力、エッチング薬液による腐蝕などにより、そのクラックを起点とした割れがサーマルヘッドの基板全体に伝搬したり、サーマルヘッドとしてプリンタに組み込まれた場合に、外部からの機械的衝撃や、印字ON/OFFの蓄熱によるガラス基板の伸び縮みにより、クラックを起点とした割れがサーマルヘッドの基板全体に伝搬したりすることとなる。そのため、従来の炭酸ガスレーザを用いたマーキング方法では、サーマルヘッドの強度的品質を著しく低下させてしまうという問題がある。
【0007】
また、基板にクラックが発生しなかったとしても、マーキングされた文字は熱収縮により縮もうとするため、ガラス基板のマーキングした面が凹状に反ることがある(マーキングした面とは反対側の面が凸状に反る。)。その結果、サーマルヘッドに対するプラテンローラや紙の当たりがマーキング部分で不均一となり、プリンタとしての印字品質を低下させてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、強度的品質を低下させることなく識別マークが形成されたサーマルヘッド、プリンタを提供することを目的とする。また、基板全体にクラックが伝搬したり基板に反りが生じたりするのを抑制してサーマルヘッドに識別マークを形成することができるマーキング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、ガラス材料からなる基板と、該基板の一面に形成された発熱抵抗体と、該発熱抵抗体の両端に接続され、該発熱抵抗体に電力を供給する電極部とを備え、前記基板に固有の識別情報を示す文字または記号からなる識別マークが形成され、該識別マークが、炭酸ガスレーザを断続的に照射して前記基板の一部を略長円形に溶融させた後に硬化させた溶融跡を間隔を空けて複数配列することにより構成されているサーマルヘッドを提供する。
【0010】
本発明によれば、基板に形成された識別マークにより、他のサーマルヘッドと識別することができる。この識別マークは、ガラス材料からなる基板に炭酸ガスレーザを断続的に照射することにより形成される略長円形の溶融跡が間隔を空けて複数配列されて構成されることで、炭酸ガスレーザを連続的に照射して形成される連続したライン状の溶融跡により識別マークを構成する場合と比較して、炭酸ガスレーザの照射領域ごとの面積が小さく、クラックが発生し難い。
【0011】
また、炭酸ガスレーザの照射領域が長円形の溶融跡ごとに閉じられているので、いずれかの溶融跡に仮にクラックが発生しても、隣接する他の溶融跡にクラックが伝搬し難く、基板全体に与える影響も小さい。さらに、連続したラインにより識別マークを形成する場合と比較して、炭酸ガスレーザの照射領域における熱収縮力が半減し、基板の識別マーク周辺が凹状に反り難い。
したがって、識別マークによる強度的品質の低下を防ぐことができる。
【0012】
上記発明においては、前記識別マークが、前記基板の他面における前記発熱抵抗体に対向する領域以外の領域に形成されていることとしてもよい。
【0013】
基板の他面を放熱板に固定し、発熱抵抗体において発生し基板に吸収された熱を基板の他面側から放熱板に逃がす場合に、基板の他面における発熱抵抗体に対向する領域内に識別マークが形成されていると、その部分は放熱板に接触しないため熱が放散され難くなる。識別マークが、基板の他面における発熱抵抗体に対向する領域以外の領域に形成されていることで、基板の他面における発熱抵抗体に対向する領域を放熱板に接触させて、熱を効率的に放散させることができる。これにより、プリンタに搭載した場合に、プリンタの印字品質が損なわれるのを防ぐことができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記溶融跡が、0.03mm以上0.5mm以下の線幅を有し、該線幅以上で0.1mm以上1mm以下の長さを有し、該溶融跡間の空白部分の長さが2mm以下であることとしてもよい。
【0015】
このように構成することで、基板の大きさに対する各溶融跡の大きさを微小にし、いずれかの溶融跡にクラックが発生しても基板の強度的品質に著しい影響が及ぶのを抑制することができる。また、溶融跡の大きさと、隣接する溶融跡間の空白部分の大きさとの関係から、識別マークを目視で十分に認識することができる。
【0016】
また、上記発明においては、前記基板が無アルカリガラスからなることとしてもよい。
無アルカリガラスの熱膨張係数が3.8×10−6/℃であるのに対し、ソーダガラスの熱膨張係数は8.6×10−6/℃であるから、無アルカリガラスはソーダガラスに比べて熱膨張係数が約半分と小さい。したがって、無アルカリガラスからなる基板を用いることで、炭酸ガスレーザにより急加熱して溶融させた後に急冷して凝固させても、クラックが発生し難い。また、パイレックス(登録商標)からなる基板と比較して、安価で加工性に優れる。また、基板上にドライバーICを搭載する場合に、ガラスに含まれるアルカリ成分によるIC汚染を防ぐこともできる。
【0017】
また、上記発明においては、前記基板が、平板状の支持基板部材と、前記発熱抵抗体が形成された平板状の上板基板部材とが積層状態に接合されて形成され、該支持基板部材と上板基板部材との接合部における前記発熱抵抗体に対向する領域に空洞部を有することとしてもよい。
【0018】
このように構成することで、発熱抵抗体の直下に配置された上板基板部材は、熱を蓄積する蓄熱層として機能する。また、発熱抵抗体に対向する領域に形成された空洞部は、熱を断熱する中空断熱層として機能する。この空洞部により、発熱抵抗体において発生した熱のうち、上板基板部材を介して支持基板部材へ伝達される熱量を低減することができる。したがって、識別マークにより工程管理や製造管理の利便性を図りつつ、発熱効率の向上を図ることができる。
【0019】
本発明は、上記記載のサーマルヘッドと、該サーマルヘッドの前記発熱抵抗体に感熱記録媒体を押し付けながら送り出す加圧機構とを備えるプリンタを提供する。
本発明によれば、強度的品質が低下することなく識別マークが形成されたサーマルヘッドにより、信頼性の向上を図ることができる。
【0020】
本発明は、ガラス材料からなる基板に炭酸ガスレーザを走査させながら断続的に照射し、前記基板を部分的に略長円形に溶融させる溶融工程と、該溶融工程により溶融した複数の溶融部を冷却して凝固させ、複数の溶融跡が間隔を空けて配列されて構成される固有の識別情報を示す文字または記号からなる識別マークを形成する冷却工程とを含むマーキング方法を提供する。
【0021】
本発明によれば、ガラス材料からなる基板に炭酸ガスレーザを連続的に照射することによって連続したライン状の溶融跡により構成される識別マークを形成する場合と比較して、炭酸ガスレーザの照射領域ごとの面積を小さくし、クラックを発生し難くすることができる。また、炭酸ガスレーザの照射領域を長円形の溶融跡ごとに閉じることで、いずれかの溶融跡に仮にクラックが発生しても、隣接する他の溶融跡にクラックが伝搬し難く、基板全体への影響も抑制することができる。
【0022】
また、連続したライン状の溶融跡により構成される識別マークを形成する場合と比較して、炭酸ガスレーザの照射領域における熱収縮力を半減させ、基板の識別マーク周辺が凹状に反るのを防ぐことができる。
したがって、基板全体にクラックが伝搬したり基板に反りが生じたりするのを抑制してサーマルヘッドに識別マークを形成することができる。
【0023】
上記発明においては、前記基板における発熱抵抗体および電極が形成される一面の該発熱抵抗体および電極が形成される領域以外の領域に、炭酸ガスレーザを照射して前記識別マークを形成することとしてもよい。
このように構成することで、基板の一面に発熱抵抗体および電極を形成する工程の前後を問わず、溶融工程および冷却工程を実施することができる。
【0024】
また、上記発明においては、前記基板に発熱抵抗体および電極を形成する前に、該基板における発熱抵抗体および電極が形成される一面とは反対側の他面に炭酸ガスレーザを照射して前記識別マークを形成することとしてもよい。
【0025】
ガラス材料からなる基板は透明体であるため、基板における発熱抵抗体および電極を形成する一面とは反対側の他面に識別マークを形成する場合に、発熱抵抗体および電極を形成する前にマーキングすることで、基板に吸収されずに透過した炭酸ガスレーザが発熱抵抗体や電極に照射されてしまい、これらが変質または焼き切られてしまうのを防ぐことができる。したがって、基板の一面に形成される発熱抵抗体および電極に影響を与えることなく、基板の他面に識別マークを形成することができる。
【0026】
また、上記発明においては、前記基板における発熱抵抗体が形成される一面とは反対側の他面の、該発熱抵抗体に対向する領域以外の領域に炭酸ガスレーザを照射して前記識別マークを形成することとしてもよい。
【0027】
このように構成することで、基板の他面に識別マークを形成しても、基板の他面における発熱抵抗体および電極に対向する領域を放熱板に接触させることができる。したがって、発熱抵抗体において発生し基板に吸収された熱を放熱板を介して効率的に放散させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るサーマルヘッドおよびプリンタによれば、識別マークによる強度的品質の低下を防ぐことができるという効果を奏する。また、本発明に掛かるマーキング方法によれば、基板全体にクラックが伝搬したり基板に反りが生じたりするのを抑制してサーマルヘッドに識別マークを形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のサーマルヘッドを保護膜側から積層方向に見た平面図である。
【図3】図2のサーマルヘッドのα−α縦断面図である。
【図4】図2のサーマルヘッドに形成された識別マークを示す平面図である。
【図5】図4の識別マークの拡大図である。
【図6】図2のサーマルヘッドの製造方法を示すフローチャートである。
【図7】(a)は凹部形成工程を示し、(b)は接合工程を示し、(c)は薄板化工程を示し、(d)は抵抗体形成工程を示し、(e)は個別電極形成工程を示し、(f)は共通電極形成工程を示し、(g)は保護膜形成工程を示す縦断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るマーキング方法に用いられるレーザ装置の概略構成図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るマーキング方法により形成される識別マークの基になるフォントデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係るサーマルヘッド、プリンタおよびマーキング方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るサーマルプリンタ(プリンタ)100は、図1に示すように、本体フレーム2と、水平配置されるプラテンローラ4と、プラテンローラ4の外周面に対向配置されるサーマルヘッド10と、プラテンローラ4とサーマルヘッド10との間に感熱紙(感熱記録媒体)3等の印刷対象物を送り出す紙送り機構6と、感熱紙3に対してサーマルヘッド10を所定の押圧力で押し付ける加圧機構8とを備えている。
【0031】
プラテンローラ4には、加圧機構8の作動により、感熱紙3およびサーマルヘッド10が押し付けられるようになっている。これにより、プラテンローラ4の荷重が感熱紙3を介してサーマルヘッド10に加えられるようになっている。そして、感熱紙3に対して、サーマルヘッド10の発熱領域が押し付けられることにより、感熱紙3が発色して印字されるようになっている。
【0032】
サーマルヘッド10は、図2および図3に示すように略平板状に形成されている。このサーマルヘッド10は、ガラス材料からなる積層基板(基板)13と、積層基板13上に形成された複数の発熱抵抗体15と、積層基板13上に各発熱抵抗体15に接して設けられる電極部17A,17Bと、発熱抵抗体15および電極部17A,17Bを覆い、これらを磨耗や腐食から保護する保護膜19とを備えている。矢印Yは、プラテンローラ4による感熱紙3の送り方向を示している。
【0033】
積層基板13は、アルミ等の金属、樹脂、セラミックスまたはガラス等からなる板状部材の放熱板(図示略)に固定され、放熱板を介して放熱することができるようになっている。この積層基板13は、放熱板に固定される平板状の支持基板(支持基板部材)12と、発熱抵抗体15が形成される平板状の上板基板(上板基板部材)14とが積層状態に接合されて構成されている。
【0034】
支持基板12は、例えば、300μm〜1mm程度の厚さを有する矩形状の無アルカリガラスにより構成されている。支持基板12には、上板基板14との接合面に矩形状に開口する凹部21が形成されている。凹部21は、支持基板12の長手方向に沿って延び、例えば、50〜500μmの幅寸法を有している。
【0035】
上板基板14は、例えば、5〜100μm程度の厚さを有する矩形状の無アルカリガラスにより構成されている。この上板基板14は、支持基板12の接合面に凹部21を閉塞するように積層されている。この上板基板14は、支持基板12との接合面とは反対側の一面に発熱抵抗体15が形成されており、発熱抵抗体15において発生した熱の一部を蓄える蓄熱層として機能するようになっている。
【0036】
発熱抵抗体15は、例えば、Ta系やシリサイド系等の材料からなり、矩形状に形成されている。また、発熱抵抗体15は、長手方向の長さが支持基板12の凹部21の幅寸法より大きい寸法を有している。各発熱抵抗体15は、長手方向を上板基板14の幅方向に向けて配置され、上板基板14の長手方向(支持基板12の凹部21の長手方向)に沿って所定の間隔をあけて配列されている。
【0037】
電極部17A,17Bは、発熱抵抗体15の長手方向の両端に個別に接続される個別電極17Aと、片側に配列された各個別電極17A上に被せられて共通に接続される共通電極17Bとにより構成されている。1つの発熱抵抗体15に対して2つの独立した個別電極17Aを接続し、共通電極17Bを一方の個別電極17A上に被せて接続することで、共通電極17Bの配線抵抗値の低減を図ることができる。電極部17A,17Bの材料としては、例えば、アルミニウムが用いられる。
【0038】
これらの電極部17A,17Bは、外部電源(図示略)からの電力を発熱抵抗体15に供給し、発熱抵抗体15を発熱させることができるようになっている。発熱抵抗体15における個別電極17A間の領域、すなわち、発熱抵抗体15における支持基板12の凹部21のほぼ真上に位置する領域が発熱領域となる。
【0039】
このように構成されたサーマルヘッド10は、支持基板12の凹部21の開口が上板基板14により閉塞されることで、発熱抵抗体15の発熱部15aの真下に空洞部23が形成される。空洞部23は、全ての発熱抵抗体15に対向する連通構造を有している。また、空洞部23は、発熱抵抗体15の発熱領域において発生した熱が上板基板14から支持基板12側へ伝達されるのを抑制する中空断熱層として機能するようになっている。
【0040】
また、積層基板13における発熱抵抗体15が形成された一面とは反対側の他面、すなわち、支持基板12における上板基板14との接合面とは反対側の他面には、図4に示すような、固有の識別情報を示す文字または記号からなる識別マーク30が形成されている。本実施形態においては、識別マーク30として、アルファベットと数字により構成される「T−126CS」が形成されている。
【0041】
識別マーク30は、支持基板12の他面上の発熱抵抗体15に対向する領域以外の領域、例えば、四隅のいずれかのスペースに配置されている。また、識別マーク30は、図5に示すように、炭酸ガスレーザを断続的に照射して支持基板12の一部を略長円形に溶融させた後に硬化させた溶融跡31(以下、「描画ライン31」ともいう。)を間隔を空けて複数配列することにより構成されている。
【0042】
溶融跡31は、線幅が0.03mm以上0.5mm以下で、長さが線幅以上で0.1mm以上1mm以下を有し、溶融跡31間の空白部分の長さが2mm以下であることが望ましい。本実施形態においては、識別マーク30は、文字サイズが縦横共に1.5mm、描画ライン31の線幅が0.08mm、その長さが0.1mm以上0.3mm以下、描画ライン31間の空白部分の長さが0.3mmを有している。
【0043】
次に、このように構成されたサーマルヘッド10の製造方法について、図6のフローチャートを用いて説明する。
本実施形態に係るサーマルヘッド10の製造方法は、積層基板13を形成して識別マーク30をマーキングする第1工程と、積層基板13に発熱抵抗体15、電極部17A,17Bおよび保護膜19を形成する第2工程と、積層基板13上にIC(integrated circuit:集積回路)およびFPC(flexible printed circuits:フレキシブル基板)を搭載する第3工程とを有している。
【0044】
第1工程は、支持基板12の一面に凹部21を形成する凹部形成工程SA1と、支持基板12と上板基板14とを接合する接合工程SA2と、上板基板14を薄板化する薄板化工程SA3と、積層基板12に識別マーク30をマーキングするマーキング工程SA4とを含んでいる。
【0045】
凹部形成工程SA1は、図7(a)に示すように、支持基板12の一面において発熱抵抗体15が対向することとなる領域に凹部21を形成する。凹部21は、例えば、支持基板12の一面にサンドブラスト、ドライエッチング、ウェットエッチング、レーザ加工等を施すことにより形成される。
【0046】
接合工程SA2は、図7(b)に示すように、凹部21が形成された支持基板12の一面に、例えば、100μm以上の厚さを有する無アルカリガラスからなる薄板ガラス(上板基板14)を積層状態に接合する。上板基板14により凹部21の開口が覆われることで、支持基板12と上板基板14との間に空洞部23が形成される。凹部21の深さにより空洞部23の厚さが決定されるので、空洞部23による中空断熱層としての厚さを容易に制御することができる。
【0047】
支持基板12と上板基板14との接合方法としては、例えば、熱融着による直接接合が挙げられる。室温で支持基板12と上板基板14を張り合わせた後、高温で熱融着する。これにより、十分な強度で接合することができる。上板基板14の変形を防ぐために、軟化点以下で接合することが望ましい。
【0048】
薄板化工程SA3は、図7(c)に示すように、エッチングや研磨等により、上板基板14を所望の薄さとなるように薄板化する。上板基板14として100μm以下の厚さの薄板ガラスは、製造やハンドリングが困難であり、また、高価である。そこで、厚さが薄い薄板ガラスを支持基板12に接合するのではなく、製造やハンドリングが容易な厚さの薄板ガラスを支持基板12に接合する。その後に薄板ガラスを薄板化することで、支持基板12の表面に容易かつ安価にごく薄い上板基板14が形成することができる。これにより、支持基板12と上板基板14とからなる積層基板13が形成される。
【0049】
無アルカリガラスの熱膨張係数が3.8×10−6/℃であるのに対し、ソーダガラスの熱膨張係数は8.6×10−6/℃であるから、無アルカリガラスはソーダガラスに比べて熱膨張係数が約半分と小さい。したがって、積層基板13を無アルカリガラスからなる支持基板12および上板基板14により構成することで、炭酸ガスレーザにより急加熱して溶融させた後に急冷して凝固させても、クラックが発生し難い。また、パイレックス(登録商標)からなる基板と比較して、安価で加工性に優れる。また、基板上にドライバーICを搭載する場合に、ガラスに含まれるアルカリ成分によるIC汚染を防ぐこともできる。
【0050】
次に、マーキング工程SA4は、本実施形態に掛かるマーキング方法により、図8に示すようなレーザ装置40を用いて実施される。
本実施形態に係るマーキング方法は、積層基板13の発熱抵抗体15等を形成する一面とは反対側の他面に対して、レーザ装置40によりレーザ光を走査させながら断続的に照射し、積層基板13を部分的に略長円形に溶融させる溶融工程SA4−1と、溶融工程SA4−1により溶融した複数の溶融部を冷却して凝固させ、溶融跡31である描画ライン31が間隔を空けて複数配列されて構成される識別マーク30を形成する冷却工程SA4−2とを含んでいる。
【0051】
レーザ装置40は、積層基板13が載置されるステージ41と、レーザ光を発するレーザ光源43と、レーザ光源43からのレーザ光を走査するガルバノスキャナ45と、レーザ光源43およびガルバノスキャナ45を制御するコントローラ47とを備えている。
【0052】
レーザ光源43は、ガラスへの印字を可能にするために、例えばガラスを透過しない波長4.8μm以上の赤外線レーザ(具体的には、経済性等を配慮して波長10.6μmの炭酸ガスレーザ、以下、単に「レーザ光」という。)を出射するようになっている。本実施形態においては、例えば、出力25W、描画スピード600mm/s、波長10.6μmの炭酸ガスレーザを使用するようになっている。
【0053】
ガルバノスキャナ45は、レーザ光源43から発せられたレーザ光の向きを変更して積層基板13の他面に照射するようになっている。このガルバノスキャナ45は、一対のガルバノミラー51A,51Bと、これら各ガルバノミラー51A,51Bを駆動する駆動部53A,53Bと、収束レンズ55とを備えている。
【0054】
一方のガルバノミラー51Aは、駆動部53Aにより揺動させられ、レーザ光の反射角度をX軸方向に変移させることができるようになっている。また、他方のガルバノミラー51Bは、駆動部53Bにより揺動させられ、レーザ光の反射角度をY軸方向に変移させることができる。
【0055】
収束レンズ55は、例えば、fθレンズから構成されており、ガルバノミラー51A,51Bにより反射されたレーザ光を収束して積層基板13の他面上に焦点を結ばせるようになっている。これにより、レーザ光源43から発せられたレーザ光は、両ガルバノミラー51A,51Bによって直交するXY軸方向に向きを調整された後、収束レンズ55により収束させられて積層基板13上で2次元的に走査されるようになっている。
【0056】
コントローラ47は、ガルバノスキャナ45の各駆動部53A,53Bを制御して、ガルバノミラー51A,51Bを駆動させるようになっている。このコントローラ47は、文字・記号・図形等を構成する線分のデータ(フォントデータ)を記憶したメモリ(図示略)と、CPU(central processing unit)とを備えている。また、コントローラ47には、図示しないコンソールが接続されている。
【0057】
コントローラ47は、ユーザがマーキングしたい所望の文字・記号・図形等をコンソールに設定すると、CPUの作動により、メモリに記憶されているフォントデータに基づいて、積層基板13へのレーザ光の照射位置を決定する座標データを生成し、D/A変換してガルバノスキャナ45の各駆動部53A,53Bにその座標データを与えるようになっている。
【0058】
座標データのもととなるフォントデータは、連続的な描画ライン文字を参考にして断続的な描画ライン31となるように、一文字ずつ作成することとすればよい。図9に示すフォントデータは、文字サイズを縦横共に1.5mmとした場合の一例である。
【0059】
描画ライン31はそれぞれをある程度の空白を設けて配置し、マーキングした際に断続的な描画ライン31どうしが重ならないようにすることが望ましい。文字サイズを縦横共に1.5mmに設定する場合は、例えば、描画ライン31の長さを0.1mm以上0.3mm以下、描画ライン31間の空白部分の長さを0.3mm以下に設定してフォントデータを作成することとすればよい。
【0060】
描画ライン31どうしを重ならないように配置することで、いずれかの描画ライン31にクラックが発生しても隣の描画ライン31にクラックが伝搬するのを防止し、クラックが一文字全体に拡がるのを防ぐことができる。また、断続的なレーザ光の照射により描画ライン31を分断することで、描画ライン31ごとの熱収縮の力が合わさって大きな力になるのを防止し、積層基板13に反りが発生するのを防ぐことができる。
【0061】
次に、第2工程は、積層基板13に発熱抵抗体15を形成する抵抗体形成工程SA5と、個別電極17Aを形成する個別電極形成工程SA6と、共通電極17Bを形成する共通電極形成工程SA7と、保護膜19を形成する保護膜形成工程SA8とを含んでいる。
【0062】
抵抗体形成工程SA5は、スパッタリングやCVD(化学気相成長法)または蒸着等の薄膜形成法により、図7(d)に示すように、積層基板13の上板基板14上に発熱抵抗体材料の薄膜を成膜する。そして、発熱抵抗体材料の薄膜をリフトオフ法やエッチング法等により成形する。
【0063】
個別電極形成工程SA6は、図7(e)に示すように、積層基板13の上板基板14上にAl、Al−Si、Au、Ag、Cu、Pg等の配線材料をスパッタリングや蒸着法等により成膜して、この膜をリフトオフ法やエッチング法等を用いて成形したり、配線材料をスクリーン印刷した後に焼成したりして、所望の形状の個別電極17Aを形成するようになっている。
【0064】
共通電極形成工程SA7は、図7(f)に示すように、銀等の導電性物質と樹脂バインダーを混合したペーストを所望の形状に印刷した後、500℃以上の温度で焼成して低抵抗の共通電極17Bを形成するようになっている。
【0065】
保護膜形成工程SA8は、図7(g)に示すように、上板基板14上に形成された発熱抵抗体15および電極部17A,17Bを覆うように保護膜19を形成するようになっている。保護膜19は、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD法等により、上板基板14上にSiO2、Ta2O5、SiAlON、Si3N4、ダイヤモンドライクカーボン等の保護膜材料を成膜することにより形成される。
【0066】
次に、第3工程は、IC搭載工程SA9と、FPC搭載工程SA10とを含んでいる。
IC搭載工程SA9は、サーマルヘッド10の印字制御を行うドライバーIC(図示略)を積層基板13上に搭載するようになっている。電極端子とICとの接続は、ワイヤーボンドや半田バンプを介して行われ、その後、ICが樹脂により覆われて保護されるようになっている。ICの搭載場所は積層基板13の上板基板14上に限らず、後述するFPC上に搭載してもよいし、プリンタ100の回路基板に搭載してもよい。
【0067】
FPC搭載工程SA10は、プリンタ制御部端子(図示略)からの電源や駆動信号、制御信号をサーマルヘッド10やICに伝達するための配線ケーブル(図示略)を積層基板13上に搭載するようになっている。この配線ケーブルは、積層基板13上の電極端子に接続されるようになっている。接続方法は、半田を介した接続やACF(異方性導電膜)等で行われる。電源や信号を伝達する手段を持つものであれば、FPCに限ることはない。
【0068】
以上の各工程により、支持基板12と上板基板14との接合部に空洞部23を有する積層基板13の他面に識別マーク30が付された、プリンタ100に搭載可能なガラス基板製のサーマルヘッド10が完成する。なお、抵抗体形成工程SA5、個別電極形成工程SA6、共通電極形成工程SA7、および、保護膜形成工程SA8の順序は任意でよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係るサーマルヘッド10によれば、積層基板13の他面に形成された識別マーク30により、他のサーマルヘッドと識別することができる。この識別マーク30は、積層基板13に炭酸ガスレーザを断続的に照射することにより形成される略長円形の溶融跡31が間隔を空けて複数配列されて構成されることで、炭酸ガスレーザを連続的に照射して形成される連続したライン状の溶融跡により識別マークを構成する場合と比較して、炭酸ガスレーザの照射領域ごとの面積が小さく、クラックが発生し難い。
【0070】
また、炭酸ガスレーザの照射領域が長円形の溶融跡31ごとに閉じられているので、いずれかの溶融跡31に仮にクラックが発生しても、隣接する他の溶融跡31にクラックが伝搬し難く、積層基板13全体に与える影響も小さい。さらに、連続したラインにより識別マーク30を形成する場合と比較して、炭酸ガスレーザの照射領域における熱収縮力が半減し、積層基板13の識別マーク30周辺が凹状に反り難い。
したがって、識別マーク30による強度的品質の低下を防ぐことができる。
【0071】
また、本実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、強度的品質が低下することなく識別マーク30が形成されたサーマルヘッドにより、信頼性の向上を図ることができる。また、本実施形態に係るマーキング方法によれば、積層基板13全体にクラックが伝搬したり積層基板13に反りが生じたりするのを抑制して、サーマルヘッド10に識別マーク30を形成することができる。
【0072】
本実施形態においては、レーザ光の出力25W、描画スピード600mm/s、描画ライン31の線幅0.08mm等を例示して説明したが、これらは一例であって、マーキングされる識別マーク30の内容や文字の大きさ、全マーキングが終了するまでの時間、目視での認識具合、クラックの入り難さ、積層基板13の材質等を考慮して、これらの値を決めることとすればよい。
【0073】
例えば、レーザ光の出力を下げれば、積層基板13の溶融量が減少して溶融跡31の凹凸が低減し、識別マーク30を目視で認識しづらくなる。描画スピードを速くしても同様の結果となる。逆に、レーザ光の出力を上げれば、積層基板13の溶融量が増加して溶融跡31の凹凸が増大し、識別マーク30を目視で認識しやすくなるがクラックも入り易くなる。描画スピードを遅くしても同様の結果となる。また、レーザ光の出力と描画スピードを一定にして描画ライン31の線幅を太くしようとすると、単位面積あたりのレーザーエネルギーが減少するため、積層基板13の溶融量が減少して溶融跡31の凹凸が低減し、識別マーク30を目視で認識しづらくなる。逆に、レーザ光の出力と描画スピードを一定にして描画ライン31の線幅を細くしようとすると、積層基板13の溶融量が増加して溶融跡31の凹凸が増大するが、クラックが入り易くなる。したがって、見合った描画条件を設定することが望ましい。
【0074】
また、本実施形態においては、描画ライン31の長さ0.1mm以上0.3mm以下、描画ライン31間の空白部分の長さ0.3mm以下を例示して説明したが、描画する文字のサイズに応じてそれぞれの長さを変化させてもよい。ただし、描画ライン31の長さを1mm以上にすると、ガラス基板製のサーマルヘッド10に大きなクラックが発生し易くなり、強度的品質が低下する可能性が高い。クラックが発生しないとしても、熱収縮による大きな反りが発生して印字に影響を与えるが高い。したがって、描画ライン31は1mm以下が望ましい。
【0075】
また、描画ライン31間の空白部分の長さを2mm以上にすると、隣接して配置される文字の描画ライン31と混同するなどして、識別マーク30を目視で認識することが困難になる可能性がある。したがって、空白部分の長さは2mm以下が望ましい。マーキングした文字を目視ではっきりと認識できるようにするために、描画ライン31と空白部分との関係は、マーキングされる文字によって長さを調節すればよい。また、描画ライン31の長さは全て同一でも良いし異なっていてもよい。また、描画ライン31の空白部分の長さも全て同一でも良いし異なっていてもよい。
【0076】
また、本実施形態においては、薄板化工程SA3後にマーキング工程SA4を行うこととしたが、これに代えて、マーキング工程SA4を接合工程SA2と薄板化工程SA3との間に行うこととしてもよい。また、凹部形成工程SA1と接合工程SA2との間、または、凹部形成工程SA1の前にマーキング工程SA4を行うこととしてもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、サーマルヘッドの製造方法が薄板化工程SA3を含むこととしたが、これに代えて、例えば、支持基板12に対して、当初から所望の厚さを有する上板基板14を貼り合わせることとしてもよい。これにより、薄板化工程SA3を省略することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、基板として、空洞部23を有する積層基板13を例示して説明したが、これに代えて、空洞部を有さないものを採用することとしてもよい。この場合、基板として、2枚の基板部材を積層状態に接合したものではなく、一枚の基板部材を採用することとしてもよい。空洞部を有さないガラス基板を備えるサーマルヘッドでもクラックに対して同様の効果を奏することができる。
【0079】
また、本実施形態においては、サーマルヘッド10を個別に製造する製造方法を例示して説明したが、大判のガラス材料からなる基板部材を用いて複数のサーマルヘッド10を一括で製造することとしてもよい。この場合、各サーマルヘッド10の基板どうしが繋がった状態で、本実施形態に係るマーキング方法により、大判のガラス基板部材におけるサーマルヘッド10の領域ごとに識別マーク30をマーキングすることとすればよい。
【0080】
また、本実施形態においては、積層基板13の他面に識別マーク30を形成することとしたが、積層基板13の一面における発熱抵抗体15および電極部17A,17Bが形成される領域以外の領域に十分なスペースがある場合は、積層基板13の一面のそのスペースに識別マーク30を形成することとしてもよい。この場合、本実施形態に係るマーキング方法は、抵抗体形成工程SA5、個別電極形成工程SA6、共通電極形成工程SA7を行う前または行った後のどちらにマーキング工程SA4を実施することとしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
8 加圧機構
10 サーマルヘッド
12 支持基板(支持基板部材)
13 積層基板(基板)
14 上板基板(上板基板部材)
15 発熱抵抗体
17A,17B 電極部
23 空洞部
30 識別マーク
31 溶融跡,描画ライン
100 サーマルプリンタ(プリンタ)
SA4−1 溶融工程
SA4−2 冷却工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス材料からなる基板と、
該基板の一面に形成された発熱抵抗体と、
該発熱抵抗体の両端に接続され、該発熱抵抗体に電力を供給する電極部とを備え、
前記基板に固有の識別情報を示す文字または記号からなる識別マークが形成され、該識別マークが、炭酸ガスレーザを断続的に照射して前記基板の一部を略長円形に溶融させた後に硬化させた溶融跡を間隔を空けて複数配列することにより構成されているサーマルヘッド。
【請求項2】
前記識別マークが、前記基板の他面における前記発熱抵抗体に対向する領域以外の領域に形成されている請求項1に記載のサーマルヘッド。
【請求項3】
前記溶融跡が、0.03mm以上0.5mm以下の線幅を有し、該線幅以上で0.1mm以上1mm以下の長さを有し、該溶融跡間の空白部分の長さが2mm以下である請求項1または請求項2に記載のサーマルヘッド。
【請求項4】
前記基板が無アルカリガラスからなる請求項1から請求項3のいずれかに記載のサーマルヘッド。
【請求項5】
前記基板が、平板状の支持基板部材と、前記発熱抵抗体が形成された平板状の上板基板部材とが積層状態に接合されて形成され、該支持基板部材と上板基板部材との接合部における前記発熱抵抗体に対向する領域に空洞部を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載のサーマルヘッド。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のサーマルヘッドと、
該サーマルヘッドの前記発熱抵抗体に感熱記録媒体を押し付けながら送り出す加圧機構とを備えるプリンタ。
【請求項7】
ガラス材料からなる基板に炭酸ガスレーザを走査させながら断続的に照射し、前記基板を部分的に略長円形に溶融させる溶融工程と、
該溶融工程により溶融した複数の溶融部を冷却して凝固させ、複数の溶融跡が間隔を空けて配列されて構成される固有の識別情報を示す文字または記号からなる識別マークを形成する冷却工程とを含むマーキング方法。
【請求項8】
前記基板における発熱抵抗体および電極が形成される一面の該発熱抵抗体および電極が形成される領域以外の領域に、炭酸ガスレーザを照射して前記識別マークを形成する請求項7に記載のマーキング方法。
【請求項9】
前記基板に発熱抵抗体および電極を形成する前に、該基板における発熱抵抗体および電極が形成される一面とは反対側の他面に炭酸ガスレーザを照射して前記識別マークを形成する請求項7に記載のマーキング方法。
【請求項10】
前記基板における発熱抵抗体が形成される一面とは反対側の他面の、該発熱抵抗体に対向する領域以外の領域に炭酸ガスレーザを照射して前記識別マークを形成する請求項7または請求項9に記載のマーキング方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43430(P2013−43430A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184662(P2011−184662)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】