説明

シェル触媒の製造方法およびそのシェル触媒

本発明は、その中に少なくとも一つの触媒活性種が存在する外殻を伴った多孔質触媒担体を備えるシェル触媒を製造するための方法に関する。殻厚みの比較的大きな領域にわたって触媒活性種の実質的に均一な濃度および実質的に均一な殻厚みを有するシェル触媒が製造されるシェル触媒製造方法を提供するために、プロセスガス(40)によって、成形触媒担体が楕円形又はトロイダル形に循環する流動床が作り出される装置(10)を用いる方法であり、以下のステップを備えた方法が提供される。
a)前記装置(10)に触媒担体成形体が充填され、プロセスガス(40)によって触媒担体成形体の流動床が生成され、該成形触媒担体が該流動床中で楕円形又はトロイダル形に循環し、好ましくはトロイダル形に循環するステップ、
b)前記流動床中で楕円形又はトロイダル形に循環する前記触媒担体成形体に、触媒活性種又はその前駆体を備えた溶液を噴霧することによって、前記触媒担体成形体の外殻に触媒活性種又はその前駆体を含浸させるステップ、
c)前記溶液の噴霧された前記成形触媒担体を乾燥させるステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その中に少なくとも一つの触媒活性種が存在する外殻(シェル)を伴った多孔質の触媒担体を備えるシェル触媒を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シェル触媒およびその製造のためのプロセスは、従来技術において知られている。シェル触媒においては、その触媒活性種、及び多くの場合そのプロモーターは、おおよそ触媒担体の外側領域(シェル)にのみ存在し、すなわち、それらは該触媒担体(例えば、EP565 952A1,EP634 214 A1, EP 634 209 A1およびEP 634 208 A1参照)に完全に浸透していない。担体核中に(“含浸を介して”)触媒活性種を抱えた触媒を伴う際と比較して、シェル触媒を伴う際には、多くの場合、より選択的な反応が可能となる。例えば、ビニルアセテートモノマー(VAM)は、現在、主にシェル触媒を用いることで、高い選択性により作成されている。VAMを作成するために現在用いられているシェル触媒の多くは、多孔質で球形に形成された非晶質アルミノシリケート担体上にPd/Auを備え、プロモーターとしての酢酸カリウムの含浸された天然層状ケイ酸塩に基づくシェル触媒である。これらの触媒のPd/Au系においては、該活性金属PdおよびAuは、おそらく、この純粋金属の金属粒子の形態をしているのではなく、非合金化粒子の存在を除外することはできないものの、むしろ、可能性のある異なる化合物のPd/Au合金粒子の形態となっている。
【0003】
このVAMシェル触媒は、一般に、いわゆる化学ルートで製造される。化学ルートでは、例えば、担体が溶液中に浸漬されること又は初期の湿潤方法(細孔充満方法)によって、該触媒担体が溶液又は適切な金属化合物に含浸され、担体はその細孔体積に応じた量の溶液が抱えられることとなる。
【0004】
このVAMのPd/Auシェル触媒は、例えば、第一ステップにおいて触媒担体にNa2PdCl4溶液を先ず含浸させ、そして、第二ステップにおいてNaOH溶液でPd成分を該触媒担体上にパラジウム水酸化物化合物の形態で固定することで得られる。それに続く第三ステップでは、該触媒担体は、NaAuCl4溶液を含浸され、その後、該Au成分が、同じくNaOHによって固定される。例えば、該担体を先ずアルカリに浸漬し、その後、前駆体化合物を、前処理された該担体に適用することによっても、それは可能である。貴金属化合物が該触媒担体上に固定された後、その蓄積された触媒担体は、実質的に塩素およびナトリウムイオンがなくなるまで洗浄され、その後乾燥され、最後に150℃にてエチレンで還元される。一般に得られるこのPd/Au殻は、約100から500μmの厚みを有しており、シェル触媒の殻の厚みが薄くなればなるほど、一般に、生成物選択性が高くなるものである。
【0005】
一般に、前記固定又は還元ステップの後、貴金属の蓄積された該触媒担体は、その後、酢酸カリウムが蓄積される。この酢酸カリウムの蓄積は、貴金属が蓄積された外殻においてのみ行われるのではなく、むしろ含浸を介して触媒担体がプロモーターで完全に含浸される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術によれば、活性金属PdおよびAuは、塩素化合物から進行される担体の殻の領域において含浸により適用される。しかしながら、この技術は、最小の外殻厚み及び最大のAu蓄積に関して、その限界に到達した。VAM触媒を製造することに対応した、この最も薄い達成可能な殻厚みは、最良の場合に約100μmであり、含浸によって、より薄い殻が得られることは、予知できないことである。それゆえ、含浸によって製造された触媒は、均一でない厚みと、その殻厚みの比較的大部分にわたって触媒活性種の極めて不均一な濃度を有しており、生成物選択性と該触媒の活性という点で不利な効果を有しうるものである。
【0007】
したがって、本発明の目的は、殻厚みの比較的大部分にわたって実質的に均一な触媒活性種の濃度を有し、且つ実質的に均一な殻厚みを有するシェル触媒を製造することができる、シェル触媒の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
該目的は、プロセスガスによって、触媒担体が楕円形にまたはトロイダル形に、好ましくはトロイダル形に循環する触媒担体の流動床が生成するように設計された装置を用いる方法によって達成され、該方法は、以下のステップを備える。
a) 該装置(10)に触媒担体を充填し、プロセスガス(40)によって、触媒担体が楕円形にまたはトロイダル形に、好ましくはトロイダル形に循環する成形触媒担体の流動床を生成させるステップ、
b) 前記流動床中で楕円形またはトロイダル形に循環する成形触媒担体に、触媒活性種またはその前駆体を含む溶液を噴霧することにより前記成形触媒担体に触媒活性種またはその前駆体を含浸させるステップ、
c) 前記溶液の噴霧された前記成形触媒担体を乾燥させるステップ。
【0009】
驚くべきことに、前記発明に係る方法によれば、その殻厚みの大部分の領域において実質的に均一な触媒活性種濃度と実質的に均一な殻厚みを有するシェル触媒を製造することが可能であることが判明した。さらに、前記発明に係る方法によれば、例えば100μm未満の、非常に薄い殻を備えた触媒を製造することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る方法によって製造された前記シェル触媒は、従来技術から公知な方法によって製造された触媒と比較して、より増加された活性により特徴づけられる。
【0011】
もし、該シェル触媒が、その殻に、例えば、複数の活性金属、又は一つの活性金属と一つのプロモーター金属のような、複数の異なる触媒活性種を含んでいれば、該成形触媒担体は、しばしばそれに対応する本発明に係る方法により目的とされうるものである。あるいは、本発明に係る方法は、望ましい異なる触媒活性種又はその前駆体を備えた混合溶液とともに実施されうる。加えて、本発明に係る方法において、前記触媒担体は、異なる触媒活性種またはその前駆体の異なる溶液を、同時に噴霧されうるものである。
【0012】
本発明に係る方法によれば、触媒活性種の濃度が、その内側および外側の殻境界からそれぞれ殻厚みの5%離れた、該殻厚みの90%の領域にわたって、その領域における触媒活性種の平均濃度から、+/−3から+/−20%未満で逸脱するようなシェル触媒を製造することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る方法は、この方法によれば、複数のシェル触媒を備えた充填材を生成できるという利点を有し、その平均殻厚みに対するそれらの殻厚みの標準的な逸脱が20%以下となる。そのような値は、シェル触媒を製造するための従来技術において知られた方法によっては達成されないものである。
【0014】
前記溶液が噴霧された前記成形体は、本発明に係る方法においては、好ましくは前記プロセスガスにより連続して、乾燥される。しかし、連続する乾燥を伴う含浸の後、最終的な乾燥ステップを実施することもできる。第一のケースとして、例えば、前記プロセスガスおよび前記成形体の温度が、乾燥速度すなわち浸透厚さ(殻の厚み)を調節するために、個々に用いられうる;第2のケースとして、乾燥は、当業者によって好ましいと知られている如何なる乾燥方法によっても達成されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の方法を実施するために好ましい装置の以下の説明、および成形触媒担体の運動経路の説明は、図面とともに、本発明を説明するためのものである。
【0016】
【図1A】本発明による方法を実施するための好ましい装置の縦断面図。
【図1B】図1Aにおいて1Bで囲まれた領域の拡大図。
【図2A】楕円形状に循環している成形触媒担体の2つの運動経路が概略的に表された、好ましい装置の断面斜視図。
【図2B】図2Aによる好ましい装置及び運動経路の平面図。
【図3A】トロイダル形に循環している成形触媒担体の2つの運動経路が概略的に表された、好ましい装置の断面斜視図。
【図3B】図2Aによる好ましい装置及び運動経路の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る方法を実施するための装置は、例えば、WO 2006/027009 A1,DE 102 48 116 B3,EP 0 370 167 A1, EP 0 436 787 B1,DE 199 04 147 A1,DE 20 2005 003 791 U1の書面中に示されており、これらの内容は、参照として、本出願に組み込まれる。
【0018】
本発明において好ましいとされる、より適切な流動床システムは、Glatt GmbH(ビンゼン ドイツ)、Aeromatic-Fielder(ビューデンドルフ スイス)、Fluid Air Inc.(オーロラ、イリノイ 米国)、Huttlin GmbH(シュタイネン ドイツ)、Umang Pharmatech Pvt. Ltd.(マハラシュートラ インド)およびInnojet Technologies(ローラッハ ドイツ)の会社によって販売されている。(Aurora, Illinois, USA), Huttlin GmbH (Steinen, Germany), Umang Pharmatech Pvt. Ltd. (Maharashtra, India) and Innojet Technologies (Lorrach, Germany). 本発明に係る方法の実施のために特に好ましい流動床装置は、Innojet Technologiesにより、 InnojetR Ventilus 又は InnojetR AirCoaterの名称で販売されている。これらの装置は、中央に噴霧ノズルが装着される、固定された固定容器基部を備えた円筒状の容器を含えている。前記基部は、段階的に重ね合わされて装着された環状の枚葉体(ラメラ)から構成されている。プロセスエアーは、個々の枚葉体の間を、容器内へ向かって、水平に、且つ、容器壁面に向かう外側への円周方向流れ成分を伴って、中心から離れるように流れる。これは、成形触媒担体が最初に容器壁面の方向へ外方へと運ばれる、いわゆるスライディング空気層を形成するものである。外側の容器壁面上では、前記触媒担体を上方へ向ける垂直方向に向けられた空気流れが設けられる。上端に到達すると、該触媒担体は、容器の中心の方向への接線方向の経路上を移動し、そのコース上において、それらはノズルによる噴霧ミストを通過する。噴霧ミストを通過した後、上述の運動操作を再び開始する。上述のようなプロセスエアー制御は、触媒担体の、実質的に均質なトロイダル形の流動床的な循環運動を提供する。
【0019】
この噴霧と、流動床中における触媒担体による流動床的な楕円形又はトロイダル形の循環運動の相互作用は、対応する従来の流動床と対比して、個々の触媒担体が、およそ等しい頻度でスプレーノズルを通過するという効果を奏する。さらに、前記循環操作は、個々の触媒担体が、それら自身の軸周りの回転が実施されることをより確実なものとし、それが、触媒担体が特に均一に含浸されることの理由である。
【0020】
本発明に係る方法においては、成形体が楕円形に又はトロイダル形に循環するような流動床が形成される。従来技術においては、流動化点として、流動床の粒子が完全に自由に移動する(流動床)ような状態へ移行すること、および流動化速度として、それに対応する流体速度が言及されている。本発明に係る方法においては、流体速度は流動化速度の4倍以下であること、好ましくは流動化速度の3倍以下であること、およびより好ましくは流動化速度の2倍以下であることが、本発明によって望ましい。
【0021】
本発明に係る方法の他の実施形態においては、前記流体速度は、流動化速度の常用対数の1.4倍以下であり、好ましくは、流動化速度の常用対数の1.3倍以下であり、そしてより好ましくは、流動化速度の常用対数の1.2倍以下である。
【0022】
“形成触媒担持体”“触媒担体”“成形体”および“担体”なる用語は、本発明の説明において同じ意味で用いられている。
【0023】
本発明に係る方法においては、成形触媒担体は、流動床中で、楕円形に又はトロイダル形に、好ましくは、トロイダル形に循環する。成形体が流動床中でどのように動くかを表現するために、“楕円形の循環”の場合には、流動床中の成形触媒担体が、第一および第二の軸のサイズが変化する楕円形経路上の垂直面を移動する。“トロイダル循環”の場合には、流動床中の成形触媒担体が、第一および第二の軸のサイズが変化する楕円形経路上の垂直面、および半径のサイズが変化する円形経路上の水平面内を移動する。概して、前記成形体は、“楕円形の循環”の場合には、楕円形経路上の垂直面内で移動し、“トロイダル循環”の場合には、トロイダル形経路、すなわち、成形体は垂直方向に楕円形のセクションを伴う円環の表面に沿って螺旋状に移動する。
【0024】
本発明に係る方法が触媒活性種の前駆体溶液によって実施される場合には、該方法は、該前駆体を、対応する触媒活性種へと転換させるステップをさらに備える。前駆体の転換は、当業者によって本発明に係る方法にとって好ましいものとして知られているあらゆる方法の助けとともに実施されうる。
【0025】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態に従い、プロセス工学の観点から単純に且つ安価なやり方で、成形触媒担体が楕円形又はトロイダル形に循環するような、成形触媒担体の流動床を実現するには、該装置は、底部および側壁を有するプロセスチャンバーを備え、プロセスガスが、好ましくは、それらの間に環状のスロットが形成されるように互いに重なり合う複数の環状のガイドプレートから構成された該プロセスチャンバーの底を通り、径方向外側に向かう水平な運動成分を伴ってプロセスチャンバー内に導入されるように構成されている。
【0026】
プロセスガスが、径方向外側に向かう水平運動成分を備えてプロセスチャンバー内に導入されることにより、流動床中の触媒担体の楕円形循環が発揮されることとなる。もし、触媒担体が、流動床中でトロイダル形に循環される場合には、循環経路上の成形体に強いるように、円周運動成分が追加的に成形体に与えられる。この円周運動成分は、例えば、触媒担体を偏向させるために、側壁上に、方向を持った適切な案内経路を配置することにより、与えることができる。しかしながら、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態においては、円周方向の流れ成分は、プロセスチャンバー内に導入されるプロセスガスに対して与えられる。その結果、成形触媒担体がトロイダル形に循環する成形触媒担体流動床の生成が、プロセス工学の観点から、簡単な方法でより確かなものとされる。
【0027】
プロセスチャンバー内に導入されるプロセスガスに円周方向の流れ成分を与えるためには、本発明に係る方法の好ましい実施形態においては、環状ガイドプレートの間に、対応する形状で且つ配置されるプロセスガス案内部材を配置することができる。その代わりとして又はそれに加え、プロセスチャンバーの底を通って、好ましくはプロセスチャンバーの側壁の領域において、間接的に上方へ向けられた成分を有する追加的なプロセスガスをプロセスチャンバー内に導入することによって、プロセスチャンバー内に導入されるプロセスガスに円周の流れ成分を与えることができる。
【0028】
流動床中で循環する成形触媒担体に溶液を噴霧することは、噴霧雲の対称な平面が好ましくは装置基底面と平行となる噴霧雲を噴霧するような、環状ギャップノズルによって実施することができる。該噴霧雲の広がりが360°である結果、中央で落下する成形体は、前記溶液で特に均一に噴霧されることとなる。前記環状ギャップノズル、即ち、その開口部は、好ましくは流動床中に完全に埋め込まれたものである。
【0029】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態においては、前記環状ギャップノズルは、底部の中心に配置され、且つ、該環状ギャップノズルは、流動床中に完全に埋め込まれる。これは、前記噴霧雲が成形体に衝突するまでの前記噴霧雲の自由経路長さを比較的短くすることを確かなものとし、それによって、実質的に均一な殻厚みの生成の妨げとなりうる、該液滴が大きな液滴へと合体するために残された時間を比較的少なくする。
【0030】
本発明に係る方法の更なる好ましい実施形態においては、前記噴霧雲の下側に、ガスサポートクッションをもたらすことができる。基底(ベース)上の該クッションは、該基底面を実質的に噴霧された溶液からフリーに保ち、即ち、噴霧された溶液の実質的に全てが成形体の流動床へ導入され、それにより、特に高価な貴金属/金属化合物又は酵素に関するコストの理由のために重要である噴霧ロスが、ほとんど生じなくなる。
【0031】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態においては、前記触媒担体は球状の形状を有するものである。これは、該担体自身の軸に対する均一な回転、および、これとの関連により、触媒担体への触媒活性種溶液の均一な含浸を確かなものとする。
【0032】
本発明に係る方法において用いられる触媒担体は、プロセスガスによって楕円形又はトロイダル形に循環しうる、全て多孔質の触媒担体であり、該担体は全て素材又は素材混合物から形成されうる。しかしながら、本発明によれば、少なくとも一つの金属酸化物、或いは、そのような金属酸化物又はその混合物を備えた触媒担体に対して、好適性がある。該触媒担体は、好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、酸化ジルコニウム、酸化チタン、又は天然層状ケイ酸塩、好ましくは、酸処理か焼ベントナイトを備える。
【0033】
文献中では“フィロシリケート(phyllosilicate)”としても用いられる、“天然層状ケイ酸塩”なる用語は、全てのケイ酸塩が一般式[SiO5]2-の層において互いに相互結合した構造的ベースユニットを形成するSiO4の4面体であり、天然原料から由来する、非処理または処理されたケイ酸塩鉱物を意味するものと理解される。これらの4面体層は、いわゆる8面体層とともに交互の層を形成し、カチオン、特にAlおよびMgがOH又はOによって8面から囲まれることとなる。例えば、2層のフィロシリケートおよび3層のフィロシリケートは、区別されるものである。本発明の説明において好ましい層状ケイ酸塩は、粘土鉱物、特にカオリナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、マイカ、バーミキュレートおよびスメクタイト、特に好ましくはスメクタイト及びとりわけモンモリロナイトである。“シートシリケート”なる用語の定義は、例えば、"Lehrbuch der anorganischen Chemie" [Textbook of inorganic chemistry], Hollemann Wiberg, de Gruyter, 102nd edition, 2007 (ISBN 978-3-11-017770-1)または、"Rompp Lexikon Chemie" [Rompp chemistry lexicon], 10th edition, Georg Thieme Verlagにおいて、“ phyllosilicate”という用語として見つけられることができる。担体としての使用の前に天然層状ケイ酸塩に対して行われる一般的な処理は、例えば、酸による処理、及び/又はか焼である。本発明の説明において特に好ましい天然層状ケイ酸塩は、ベントナイトである。ベントナイトは、正確な意味では、天然層状ケイ酸塩ではないが、むしろその多くは、層状ケイ酸塩が存在する粘土鉱物の混合物である。言い換えると、この場合には、もし天然層状ケイ酸塩がベントナイトであれば、天然層状ケイ酸塩は、ベントナイトの形態として、又はベントナイトの構成要素として、前記触媒担体に存在していると理解すべきである。
【0034】
成形体および天然層状ケイ酸塩、特に酸処理されたか焼ベントナイトとして構成された触媒担体は、例えば、天然層状ケイ酸塩と水との混合物を当業者に良く知られた方法、例えば押出し成型機やタブレットプレスを用いて成形体に圧密し、その後、その未硬化の成形体を安定な成形体へとか焼するというようにして、酸処理された(焼成されていない)ベントナイトを形成することによって作成されうる。触媒担体の固有の表面積は、とりわけ使用されるベントナイトの品質に依存し、使用されるベントナイトの酸処理プロセス、即ち、例えば、その性質、およびそのベントナイトに対する量、および使用される無機酸の濃度に依存し、該酸処理の時間および温度に依存し、圧縮圧に依存し、そしてか焼の時間および温度、およびか焼の雰囲気に依存する。
【0035】
酸処理されたベントナイトは、例えば、硫酸、リン酸又は塩酸といった強酸でベントナイトを処理することで得られる。本発明の説明において有効な“ベントナイト”なる用語の定義は、Rompp, Lexikon Chemie, 10th ed., Georg Thieme Verlagに与えられる。本発明の説明において特に好ましいベントナイトは、主たる鉱物として(スメクタイトのような)モンモリロナイトを備えた天然のアルミニウム含有層状ケイ酸塩である。酸処理の後、該ベーマイトは、通常、水で洗浄され、乾燥され、そして粉末へと粉砕される。
【0036】
本発明に係る方法の手段によれば、比較的大きな殻厚みをも達成しうることが判明した。しかし、該担体の表面積が小さいほど、達成しうる該殻の厚みは大きくなる。本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、該触媒担体は、160m2/gに等しい又は未満の、好ましくは140m2/g未満の、好ましくは135m2/g未満の、より好ましくは120m2/g未満の、より好ましくは100m2/g未満の、さらに好ましくは80m2/g未満の、特に好ましくは65m2/g未満の表面積を有することができる。本発明の説明において、触媒担体の“表面積”なる用語は、DIN66132に準じて窒素の吸着により決定される、該担体のBET表面積を意味するものとして理解される。
【0037】
本発明の方法の好ましい実施形態では、該触媒担体は、160から40m2/gの、好ましくは140から50m2/gの、好ましくは135から50m2/gの、より好ましくは120から50m2/gの、より好ましくは100から50m2/gの、最も好ましくは100から60m2/gの表面積を有する。
【0038】
本発明に係る方法において前記担体が循環する際、該触媒担体は機械的な応力をうけ、それによって、特にその殻領域において、触媒担体に対してある程度の磨耗およびある程度の損傷を招きうる。特に、該触媒担体の磨耗を許容範囲内に留めるために、該触媒担体は20Nと等しい又はそれより大きい硬度、好ましくは30Nと等しい又はそれより大きい硬度、より好ましくは40Nと等しい又はそれより大きい硬度、最も好ましくは50Nと等しい又はそれより大きい硬度を有する。該硬度は、130℃で2時間乾燥した後の99の成形体の8M錠剤硬度試験機(Dr. Schleuniger Pharmatron AG)によって決定した。装置設定としては、以下のとおりである。
硬度 N
成形体からの距離 5.00mm
遅延時間 0.80s
アドバンスタイプ 6D
速度 0.60 mm/s
【0039】
触媒担体の硬度は、例えば、担体素材の選択、対応する担体混合物から形成される未硬化の成形体のか焼時間および/又はか焼温度を介して、又は、例えばメチルセルロースやステアリン酸マグネシウムのような特定の添加剤を介して、例えば、その製造におけるある種のパラメータを変化させることによって影響されうる。
【0040】
コストの理由で、本発明に係る方法で用いられる前記プロセスガスは、好ましくは空気である。しかしながら、例えば、前記触媒活性種又はその前駆体が、雰囲気中の空気と反応して好ましくない化合物が形成されるなら、使用されるプロセスガスが、不活性ガス(例えば、窒素、メタン、短鎖飽和炭化水素、希ガスの一種、好ましくはヘリウム、ネオン又はアルゴン、又はハロゲン化炭化水素、又はこれらの2種又はそれ以上の混合物)であってもよい。
【0041】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、とりわけ、高価なガス(例えばヘリウム、アルゴンなど)の場合、プロセスガスは、閉回路で該装置へリサイクルされてもよい。
【0042】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、前記触媒担体は、例えば加熱されたプロセスガスによる溶液の塗布の前、及び/又はその間に、加熱される。触媒担体の加熱の程度は、塗布される触媒活性種の溶液の乾燥速度を決定するために用いられうる。例えば、比較的低温では、前記乾燥速度は比較的遅く、その結果、相当する量的な塗布がなされていれば、溶媒の存在によって起こる活性種又は前躯体の速い拡散のために、比較的大きな殻厚みが形成される。例えば、比較的高温では、乾燥速度は比較的早く、その結果、該触媒担体に接触してくる溶液はほとんどすぐに乾燥し、該触媒担体上に塗布された溶液は、その中の深くへ浸透することができない。こうして、比較的高温では、比較的薄い厚み及び活性種の高充填された殻が得られる。従って、本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、プロセスガスは、好ましくは40℃と等しいか又はそれより高い温度へ、好ましくは60℃と等しいか又はそれより高い温度へ、より好ましくは70℃と等しいか又はそれより高い温度へ、最も好ましくは60から100℃へと加熱される。
【0043】
噴霧雲の液滴の速すぎる乾燥を防止するために、本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、プロセスガスは、装置内へ導入される前に、溶液の溶媒を、好ましくは(プロセス温度における)飽和蒸気圧の10から50%の範囲内で添加されてもよい。
【0044】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、プロセスガスに添加される溶媒および成形体の乾燥からの溶媒は、好ましい冷却ユニット、凝縮器およびセパレーターによってプロセスガスから除去され、ポンプにより溶媒中へとリサイクルされる。
【0045】
触媒活性種の溶液が、生物触媒、好ましくは酵素の溶液であることも、好適である。特に、酵素溶液は、本発明に係る方法のシェル触媒を与えるために、速く且つ簡易なやり方において採用しうる。
【0046】
本発明に係る方法では、如何なる金属の金属化合物の溶液をも使用することができる。しかしながら、該溶液が、遷移金属からなる群より選択された金属、特に貴金属の金属化合物の溶液である場合が好ましい。
【0047】
加えて、本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、金属化合物は、前記金属のハロゲン化物、特に、塩化物、酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、蟻酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、炭酸水素塩、アミン錯体、又は有機複合体(例えば、トリフェニルホスフィン複合体、又はアセチルアセトン複合体)から選択される。
【0048】
酸化反応のためのシェル触媒を製造するためには、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記溶液は、Pd前躯体化合物の溶液である。
【0049】
銀含有シェル触媒を製造するためには、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、触媒活性種またはその前躯体の溶液は、銀化合物の溶液である。
【0050】
プラチナ含有シェル触媒を製造するためには、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記溶液は、Pt前躯体化合物の溶液である。
【0051】
金含有シェル触媒を製造するためには、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、触媒活性種またはその前躯体の溶液は、金化合物の溶液である。
【0052】
したがって、ニッケル、コバルト、又は銅含有シェル触媒を製造するためには、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、触媒活性種またはその前躯体の溶液は、ニッケル、コバルト、又は銅化合物の溶液である。
【0053】
PdおよびAuに基づき、VAMシェル触媒を製造するために従来技術に記載された方法では、Na2PdCl4又はHAuCl4溶液のような、商業的に可能な前躯体化合物の溶液が、一般に用いられる。最近の文献では、例えば、Pd(NH3)4(OH)2,Pd(NH3)2(NO2)2,及びKAuO2のような塩化物フリーのPd又はAu化合物も使用される。これらの前躯体化合物は溶液中で塩基性であるが、標準的な塩化物、硝酸塩、および酢酸前躯体化合物はすべて溶液中では酸性である。
【0054】
主に、使用される前記PdおよびAu前躯体化合物は、該金属の高い分散の度合いが達成されるような、如何なるPdおよびAu化合物であってもよい。“分散の度合い”なる用語は、金属/合金粒子の全ての金属元素の合計数に対する、担持された金属触媒の全ての金属/合金粒子の表面金属原子の数を意味するものと解される。通常、金属原子の最大数は触媒反応のために自由に適用可能であるため、分散の度合いは、比較的高い数値であることが好ましい。これは、担持された金属触媒の分散度合いが比較的高い場合には、使用される金属が比較的少量でも、その特定の触媒活性が達成されることを意味する。
【0055】
好ましいPd前躯体化合物の例は、水溶性Pd塩である。本発明に係る方法の特に好ましい実施形態では、前記Pd前躯体化合物は、 Pd(NH3)4(OH)2, Pd(NH3)4(OAc)2, Pd(NH3)4(HCO3)2, Pd(NH3)4(HPO4), Pd(NH3)4Cl2, Pd(NO3)2, K2Pd(OAc)2(OH)2, Na2Pd(OAc)2(OH)2, Pd(NH3)2(NO2)2, Pd(NH3)4(NO3)2, K2Pd(NO2)4, Na2Pd(NO2)4, Pd(OAc)2, PdCl2, H2PdCl4, (NH4)2PdCl4, K2PdCl4 および Na2PdCl4からなる群より選択される。Pd(OAc)2に加え、パラジウムの他のカルボン酸塩も使用でき、3から5の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸塩(例えば、プロピオン酸塩や酪酸塩)が好ましい。NH3の代わりに、配位子としてのエチレンジアミン又はエタノールアミンと共に対応するPd化合物を用いることもできる。
【0056】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、亜硝酸パラジウム前躯体化合物も好ましい。好ましい亜硝酸パラジウム前躯体化合物は、例えば、NaNO2溶液中へのPd(OAc)2の溶解によって得ることができる。
【0057】
好ましいAu前躯体化合物の例は、水溶性Au塩である。本発明に係る方法の特に好ましい実施形態では、前記Au前躯体化合物は、KAuO2, NaAuO2, NMe4AuO2, KAuCl4, (NH4)AuCl4, HAuCl4, KAu(NO2)4, NaAu(NO2)4, AuCl3, NaAuCl4, KAu(OAc)3(OH), NaAu(OAc)3(OH), HAu(NO3)4 および Au(OAc)3からなる群より選択される。金の酸性溶液から酸化物/水酸化物を沈殿させることによって、その都度新たなAu(OAc)3やKAuO2を作るためには、沈殿物を洗浄することや分離すること、及び、酢酸やKOH中にそれを溶かすことが推奨される。
【0058】
好ましいPt前躯体化合物の例は、水溶性Pt塩である。本発明に係る方法の特に好ましい実施形態では、前記Pd前躯体化合物は、 Pt(NH3)4(OH)2, K2PtCl4, K2PtCl6, Na2PtCl6, Pt(NH3)4Cl2, Pt(NH3)4(HCO3)2, Pt(NH3)4(HPO4), Pt(NO3)2, K2Pt(OAc)2(OH)2, Pt(NH3)2(NO2)2, PtCl4, H2Pt(OH)6, Na2Pt(OH)6, K2Pt(OH)6, K2Pt(NO2)4, Na2Pt(NO2)4, Pt(OAc)2, PtCl2 および Na2PtCl4からなる群より選択される。Pt(OAc)2に加え、パラジウムの他のカルボン酸塩も使用でき、3から5の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸塩(例えば、プロピオン酸塩や酪酸塩)が好ましい。
【0059】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、亜硝酸プラチナ前躯体化合物も好ましい。好ましい亜硝酸プラチナ前躯体化合物は、例えば、NaNO2溶液中へのPt(OAc)2の溶解によって得ることができる。
【0060】
好ましいAg前躯体化合物の例は、水溶性Ag塩である。本発明に係る方法の特に好ましい実施形態では、前記Ag前躯体化合物は、 Ag(NH3)2(OH), Ag(NO3), クエン酸銀、酒石酸銀、アンモニウム シュウ酸銀アンモニウム、 K2Ag(OAc)(OH)2, Ag(NH3)2(NO2), Ag(NO2), 乳酸銀、トリフルオロ酢酸銀, シュウ酸銀, Ag2CO3, K2Ag(NO2)3, Na2Ag(NO2)3, Ag(OAc), アンモニア性の AgCl溶液、又はアンモニア性のCO3 溶液、又はアンモニア性の AgO溶液 からなる群より選択される。Ag(OAc)に加え、銀の他のカルボン酸塩も使用でき、3から5の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸塩(例えば、プロピオン酸塩や酪酸塩)が好ましい。NH3の代わりに、Agの、対応するエチレンジアミン又は他のジアミンを用いることもできる。
【0061】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、亜硝酸銀前躯体化合物も好ましい。好ましい亜硝酸銀前躯体化合物は、例えば、NaNO2溶液中へのAg(OAc)の溶解によって得ることができる。
【0062】
金属の、前躯体の触媒活性種のために用いられる溶媒は、金属化合物が溶解され、触媒担体へ塗布された後、乾燥によって直ちに除去されうる、全ての溶媒である。前躯体化合物としての酢酸金属の例として、好ましい溶媒は、置換されていない炭化水素塩、特に酢酸塩、又は、アセトンのようなケトン類、および塩素化金属のためには、特に、水又は希塩酸である。
【0063】
前記前躯体化合物が酢酸に十分に溶解しない場合、水又は希硫酸、又はそれらの混合物、他の溶媒が、上述した溶媒の代用として又はそれに追加して用いることができる。便利な他の溶媒は、好ましくは、不活性な溶媒を含む。酢酸への添加剤として適した好ましい溶媒は、例えばアセテート又はアセチルアセトンのようなケトン、および、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドのようなエーテル、および例えばベンゼンのような炭化水素をベースとする溶剤を含む。例えばアセトンなどのケトンや、例えばエタノール、イソプロパノール、メトキシエタノールなどのアルコールや、KOHまたはNaOH水溶液などのアルカリ、または酢酸、ギ酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコキシル酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、または乳酸などの有機酸が、水に追加される好ましい溶媒または添加剤である。
【0064】
本発明に係る方法においては、該方法で溶媒がリサイクルされる際、好ましくは適した冷却ユニット、凝縮器およびセパレーターによって前記方法で使用された溶媒がリサイクルされる。
【0065】
本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、形成触媒担体は、触媒活性種またはその前躯体の溶液が噴霧された後、該触媒活性種または該前躯体を該触媒担体上に固定するための固定ステップを受ける。該固定ステップは、例えば、貴金属に関しては、該担体のアルカリによる処理、例えば、該装置(流動床装置)中で該担体上に塩基を噴霧することや、対応する金属化合物の金属成分を水酸化物化合物または酸化物へと転換させるために該担体を焼成することによる、担体の処理を含む。
【0066】
触媒担体上に固定された遷移金属化合物の場合には、例えば塩基による手段の後、該担体は該金属化合物の金属成分を対応する酸化物の形態に転換するために焼成される。前記前躯体化合物の蓄積の後、または金属成分の固定化の後、該担体は、該金属成分を対応する酸化物に転換させるために焼成されうる。該焼成は、好ましくは、1000℃未満の温度で行われる。
【0067】
シェル触媒の形態として担持された遷移金属又は貴金属の触媒を作成するためには、該金属成分は、該触媒の使用の前に還元され、その場合、該還元は、系内、すなわち、プロセス容器内で、あるいは系外、すなわち、特定の還元反応器において実施される。系内での還元は、好ましくは、約150℃の温度で例えば5時間以上の時間、窒素中のエチレン(5体積%)と共に実施される。系外での還元は、例えば、好ましくは150〜500℃の範囲の温度において5時間以上、窒素中の5%の水素とともに、例えば成形ガスにより実施される。
【0068】
ガス状又は蒸発可能な還元剤、例えばCO、NH3、ホルムアルデヒド、メタノールおよび炭化水素類が使用でき、ガス状の還元剤は、例えば、二酸化炭素、窒素又はアルゴンのような不活性ガスで希釈されてもよい。好適なものは、不活性ガスで希釈された還元剤を用いることで与えられる。好適なものは、窒素又はアルゴンと水素の、好ましくは、水素含有量が1体積%から15体積%を有する混合物で与えられる。
【0069】
遷移金属又は貴金属の還元は、液相中でも行われ、好ましくは、還元剤である、ヒドラジン、ギ酸カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸、H22、次亜燐酸、又は次亜燐酸ナトリウムを使用して行われる。
【0070】
還元剤の量は、処理時間の間に、少なくとも金属化合物の完全な還元に必要な量が触媒上を通過するように選択される。しかしながら、好ましくは、速やかで且つ完全な還元を確実にするべく、触媒上に過剰の還元剤が通過することである。
【0071】
好ましくは、包囲された圧力、すなわち、絶対圧力がおよそ1barで還元が行われる。発明の触媒を工業的な量だけ生産するためには、該触媒の均一な還元を確かなものとするべく、好ましくは、ロータリーチューブオーブン、移動床反応器、又は流動床反応器が使用される。
【0072】
本発明は、さらに、少なくとも一つの触媒活性種が存在する外殻を伴った、多孔質成形触媒担体を備えたシェル触媒に関し、ここで、触媒活性種の濃度は、その内側および外側の殻境界からそれぞれ殻厚みの5%離れた、該殻厚みの90%の領域にわたって、その領域における触媒活性種の平均濃度から、+/−20%を超えないように、好ましくは+/−15%を超えないように、好ましくは+/−10%を超えないように逸脱するものである。そのようなシェル触媒は、本発明に係る方法によって得られる。
【0073】
触媒活性種および/又はそのプロモーターが金属である場合、該担体中でのその分布は、例えば該担体を2等分するように、該触媒の断片を作ることによって決定されうる。電子顕微鏡において、EDX分光(エネルギー分散 X線)とも言及されることがあるWDX分光(波長−分散 X線回折)の補助を伴って、該活性金属又はその促進金属の三次元分布が決定できる。この場合において、測定ヘッドは、サンプルへと導かれ、活性金属、好ましくはパラジウム、又は促進金属、好ましくは金に対して敏感なものであり、その結果、該領域中でのそれらの分布が測定される。
【0074】
殻における触媒活性種の実質的に均一な分散のおかげで、本発明の触媒の殻の厚みにおける実質的に均一な活性が確かなものとなる。これは活性種の濃度が殻厚みにわたって比較的わずかにのみ変化するだけだからである。言い換えると、活性種の濃度の殻厚みにおける分布は、概ね矩形状関数を示す。
【0075】
本発明の触媒の選択性をさらに高めるには、該触媒の殻の厚みの観点で、触媒活性種の最大濃度が外殻境界の領域内にあり、殻内側境界の方向に向かって減少するようにする。触媒活性種の濃度が、殻厚みの少なくとも25%の領域にわたって、好ましくは殻厚みの少なくとも40%の領域にわたって、より好ましくは殻厚みの30から80%の領域にわたって内側殻境界の方向に向かって減少することも好ましいとされる。
【0076】
本発明の触媒の更に好ましい実施形態では、触媒活性種の濃度は、内側殻境界の方向に向かって、最大濃度の50から90%の濃度へと、好ましくは最大濃度の70から90%の濃度へと、概ね一定に減少する。
【0077】
本発明は、さらに、多孔質成形触媒担体、および該成形触媒担体の外殻内に存在する少なくとも一つの触媒活性種を備えたシェル触媒であって、該シェル触媒は、充填された複数のシェル触媒の一要素であり、充填されたシェル触媒の殻厚みの平均値に対する、充填されたシェル触媒の殻厚みの標準偏差の比が、20%と等しいか又はそれ以下、好ましくは15%と等しいか又はそれ以下、好ましくは12%と等しいか又はそれ以下、より好ましくは10%と等しいか又はそれ以下、好ましくは3から15%である。
【0078】
該標準偏差は、以下の式で決定される。
【0079】
【数1】

【0080】
ここで、σxは標準偏差、
N(=100)はサンプル数(成形された触媒担体;Nは100に等しい)、
iは、サンプル中のi番目の成形触媒担体における殻厚み、
X(上バー)はサンプルの殻厚みの対数平均値(すなわち、該サンプルの算術平均)であり、以下の式によって決定される。
【0081】
【数2】

【0082】
このようなシェル触媒バッチは、本発明に係る方法によって製造されうる。
【0083】
触媒活性種は、生物触媒、好ましくは酵素であってもよい。代わりに、本発明のシェル触媒は、一つの金属、あるいは、触媒活性金属として又はプロモーター金属として好ましい金属の如何なる組み合わせを備えることもできる。金属は、例えば、金属の形態として、イオンの形態として、又は、例えば錯体の形態として存在してもよい。金属が、遷移金属の群から、好ましくは貴金属の群から選択される金属であることが好ましい。
【0084】
本発明において好ましいとされる触媒は、殻内に、金属の形態として2つの異なる金属を備えており、この2つの金属は、次のようなペア(PdとAg、PdとAu、PdとPt)のうちの一つの組み合わせとされる。Pd/Au殻を備えた触媒は、特に、VAMの製造のために好適であり、Pd/Pt殻を備えた触媒は、特に、酸化触媒および水素添加触媒として好適であり、Pd/Ag殻を備えた触媒は、特に、オレフィン流れ中でのアルキンおよびジエンの選択的水素添加、すなわち、例えば、粗雑な製品中に存在するアセチレンの選択的水素により精製エチレンを製造するために好適である。
【0085】
十分なVAM活性を備えたVAMシェル触媒を準備するという観点から、該触媒は、触媒活性種としてPdおよびAuを備えることが好ましく、該触媒中における比率は、貴金属の蓄積された触媒担体の質量に基づき、0.6から2.0質量%、好ましくは0.7から1.8質量%、好ましくは0.8から1.5質量%とすることが好適である。
【0086】
さらに、前述された内容において、触媒のAu/Pd原子比率は0と1.2の間、好ましくは0.1と1の間、好ましくは0.3と0.9の間、特に好ましくは0.4と0.8の間とすることが好適である。
【0087】
Pd/Auシェル触媒の場合、該触媒は、促進剤として、少なくとも一つのアルカリ金属化合物、好ましくはカリウム化合物、ナトリウム化合物、セシウム化合物又はルビジウム化合物、好ましくはカリウム化合物を好適に備える。好適で且つ特に好ましいカリウム化合物は、酢酸カリウム(KOAc)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)および水酸化カリウム(KOH)、ならびにVAM合成の特定の反応条件下で酢酸カリウム(KOAc)へ転化しうる全てのカリウム化合物を含む。該カリウム化合物は、金属化合物から金属のPdおよびAuへと還元させる前又は後のいずれにおいても前記触媒担体へ塗布されうる。本発明の触媒の更に好ましい実施形態では、該触媒は、アルカリ金属酢酸塩、好ましくは酢酸カリウムを備える。十分なプロモーター活性を確かなものとするべく、アルカリ金属酢酸塩の該触媒中の濃度は、0.1から0.7mol/l、好ましくは0.3から0.5mol/lとする。
【0088】
本発明のPd/Au触媒の更に好ましい実施形態では、前記アルカリ金属/Pd原子比率を、1と12の間、好ましくは2と10の間、より好ましくは4と9の間とする。好ましくは、該触媒担体の表面積が小さくなればなるほど、アルカリ金属/Pd原子比率は小さくなる。
【0089】
触媒担体の表面積が小さくなるほど、本発明のPd/Au触媒の生成物選択性が高まることが判明した。加えて、該触媒担体の表面積が小さくなるほど、生成物選択性の重要な損失を許容することなく選択されうる金属殻の厚みが大きくなる。本発明に係る触媒の好ましい実施形態では、触媒担体の表面は、160m2/gに等しい又は未満の表面積、好ましくは140m2/g未満の表面積、好ましくは135m2/g未満の表面積、より好ましくは120m2/g未満の表面積、より好ましくは100m2/g未満の表面積、さらに好ましくは80m2/g未満の表面積、特に好ましくは65m2/g未満の表面積を有する。
【0090】
本発明のPd/Au触媒のさらに好ましい実施形態では、該触媒担体は、160から40m2/gの表面積、好ましくは140と50m2/gの間の表面積、好ましくは135と50m2/gの間の表面積、より好ましくは120と50m2/gの間の表面積、より好ましくは100と50m2/gの間の表面積、最も好ましくは100と60m2/gの間の表面積を有する。
【0091】
低い細孔拡散制限に鑑み、本発明のPd/Au触媒のさらに好ましい実施形態では、触媒担体は8から50nmの平均細孔径、好ましくは10から35nmの平均細孔径、好ましくは11から30nmの平均細孔径を有する。
【0092】
該触媒担体の酸性度は、本発明の触媒の活性に有利に作用しうる。本発明の触媒の更に好ましい実施形態では、該触媒担体は、1と150μeq/gの間の酸性度、好ましくは5と130μeq/gの間の酸性度、より好ましくは10と100μeq/gの間の酸性度を有する。該触媒担体の酸性度は、以下のようにして決定される。すなわち、触媒担体の微粉1gを水(pHブランク値)100mlに添加され、15分間の攪拌により抽出される。次に、該混合物は少なくともpH7.0まで0.01(N)NaOH溶液で滴定される。その滴定は、第一に、NaOH溶液1mlが前記抽出物へ滴下され(1滴/秒)、2分間待ち、pHが読まれ、さらにNaOH1mlが滴下される。前記使用された水のブランク値が決定され、酸性度の計算は、それに応じて修正される。
【0093】
そして、滴定曲線(pH値に対する0.01NaOHのml)がプロットされ、滴定曲線とpH7との交点が決定される。モル当量は、担体の10−6当量/gで計算され、pH7と交差するためのNaOH消費量から見つけられる。
【0094】
全酸 : 10 ml 0.01 N NaOH/ 1担体 = μeq/g
【0095】
Pd/Au触媒は、好ましくは球体の形状である。従って、該触媒担体は、好ましくは1.5mmより大きな直径の、より好ましくは3mmより大きな直径の、さらに好ましくは4から9mmの直径の球体の形状である。
【0096】
本発明のPd/Au触媒の活性を高めるために、該触媒担体は、Zr,Hf、Ti、Nb、Ta、W、Mg、Re、YおよびFeからなる群より選択される金属の酸化物の少なくとも一つ、好ましくは、ZrO2又はFe23をドープされてもよい。該触媒担体中における添加された酸化物の比率は、触媒担体の質量を基準として、質量で0と20%の間であり、好ましくは質量で1.0から10%であり、好ましくは質量で3から8%の間である。
【0097】
本発明の触媒の異なる実施形態では、触媒活性種として、PdとAgを備え、アセチレンの水素添加において好ましいような、該触媒の十分な活性を確かなものとするべく、触媒中のPdの比率は、貴金属を蓄積した触媒担体の質量を基準として、質量で0.01から1.0%、好ましくは質量で0.02から0.8%、より好ましくは質量で0.03から0.7%
【0098】
アセチレンの水素添加において十分な触媒活性を達成するために好ましいことは、該触媒のAg/Pd原子比が0と10の間であり、好ましくは1と5の間であり、好ましくは、貴金属殻が60μm未満の厚みであることである。
【0099】
本発明のPd/Ag触媒のより好ましい実施形態では、該触媒担体は、1.5mmより大きな直径の、好ましくは3mmより大きな直径の、さらに好ましくは2から5mmの直径の球体の形状であり、又は最大7×7mmの寸法の円筒形タブレットである。
【0100】
本発明のPd/Ag触媒の更に好ましい実施形態では、該触媒担体は、1から50m2/gの、好ましくは3と20m2/gの間の表面積を有する。
【0101】
該触媒担体が10m2/gと等しいか又はそれ未満、好ましくは5m2/g未満、およびより好ましくは2m/g未満の表面積を有するようにしてもよい。
【0102】
本発明の好ましい酸化又は水素添加触媒は、触媒活性種としてPdおよびPtを備え、十分な活性を確かなものとするためは、触媒中のPdの比率は、貴金属の蓄積された触媒担体の質量を基準として、質量で0.05から5%、好ましくは質量で0.1から2.5%、より好ましくは質量で0.15から0.8%とする。
【0103】
本発明のPd/Pt触媒の好ましい実施形態では、該触媒のPd/Pt原子比率は、10と1の間であり、好ましくは8と5の間であり、より好ましくは7と4の間である。
【0104】
本発明のPd/Pt触媒の更に好ましい実施形態では、該触媒担体は、好ましくは0.75から3mmの直径で、長さが0.3から7mmであるような、円柱の形状である。
【0105】
加えて、触媒担体が、50から400m2/gの表面積を有し、好ましくは100と300m2/gの間の表面積を有することが好ましい。
【0106】
該触媒が、触媒活性種として、殻に、金属Co、Ni及び/又はCuを備えていてもよい。
【0107】
本発明の触媒の更に好ましい実施形態では、該触媒担体は、好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、又は天然層状ケイ酸塩、好ましくは、か焼された酸処理ベントナイトに基づく担体を備える。
【0108】
すでに上述したように、本発明の触媒の触媒担体は、触媒生成の課程においてあるレベルの機械的応力を受ける。さらに、本発明の触媒は、反応器内へ充填された際に、高い機械的応力をうけ、その結果、望ましくないダストの発生や触媒担体の損傷が、特に外側領域に露出したその触媒活性殻において起こりうる。特に、本発明の触媒の磨耗を許容範囲内に保つためには、触媒担体は、20Nと等しいか又はそれより大きい硬度、好ましくは30Nと等しいか又はそれより大きい硬度、より好ましくは40Nと等しいか又はそれより大きい硬度、最も好ましくは50Nと等しいか又はそれより大きい硬度を有する。圧力強度は、上述したようにして決定される。
【0109】
本発明の触媒は、触媒担体として、好ましくは天然層状ケイ酸塩、特に、か焼された酸処理ベントナイトに基づく触媒担体を備える。本発明の説明において、”基づく”との表現は、該触媒が、相当する物質を備えることを意味する。本発明において、触媒担体中のベントナイトの比率は、触媒担体の質量を基準として、50質量%と等しいか又はそれより大きく、好ましくは60質量%と等しいか又はそれより大きく、より好ましくは70質量%と等しいか又はそれより大きく、さらに好ましくは80質量%と等しいか又はそれより大きく、より好ましくは90質量%と等しいか又はそれより大きく、最も好ましくは95質量%と等しいか又はそれより大きい。
【0110】
触媒担体の全細孔容積が大きくなるほど、本発明のPd/Au触媒の生成物選択性が高まることが判明している。本発明に係る触媒の更に好ましい実施形態では、それゆえ、該触媒担体は、0.30ml/gより大きなBJH全細孔容積を有し、好ましくは0.35ml/gより大きなBJH全細孔容積を有し、より好ましくは0.40ml/gより大きなBJH全細孔容積を有する。
【0111】
加えて、Pd/Au触媒の触媒担体が0.3と1.2ml/gの間のBJH全細孔容積を有すること、好ましくは、0.4と1.1ml/gの間のBJH全細孔容積を有すること、およびより好ましくは0.5から1.0ml/gのBJH全細孔容積を有することも、好適である。
【0112】
触媒担体の全細孔容積は、窒素吸着を用いたBJH法により決定される。触媒担体の表面積および全細孔容積は、BET法およびBJH法によりそれぞれ決定される。BET比表面積は、DIN66131のBET法により決定される。BET法の刊行物は、J. Am. Chem. Soc. 60,309(1938)にも見つけることができる。Chem. Soc. 60, 309 (1938). 該触媒担体又は該触媒の表面積や全細孔容積を決定するためには、例えば、吸着等温線および脱着等温線が測定される、十分に自動化された窒素ポロシメーター(Micromeritics社製、ASAP 2010)を用いて、サンプルが分析される。
【0113】
BET理論によって触媒担体又は触媒の表面積および細孔率を決定するためには、データはDIN66131に従って評価される。細孔容積は、BJH法(E. P. Barret, L.G. Joiner, P.P. Haienda, J. Am.Chem. Soc. (73/1951, 373))を用い、測定されたデータから決定される。Barret, L.G. Joiner, P.P. Haienda, J. Am. Chem. Soc. (73/1951, 373)). この方法では、毛管凝縮の効果も考慮される。特定の細孔サイズ領域の細孔容積は、BJHによる吸着等温線の評価から得られる増加の細孔容積を合計することによって決定される。BJH法による全細孔容積は、1.7から300nmの直径を有する細孔に基づくものである。
【0114】
本発明の触媒の更に好ましい実施形態では、該触媒担体の水分吸収能力は40から75%、好ましくは50から70%であり、水分吸収による重量増加として計算される。この吸水率は、単体サンプル10gを脱イオン化された水に30分間、該担体サンプルからの気泡の散逸がなくなるまで浸漬させることによって決定される。その後、過剰な水が移され、サンプルから付着水分を取り除くために、浸漬されたサンプルがコットンタオルでふき取られる。次いで、含水した担体の重量が測られ、以下の式で吸水率が計算される。
【0115】
(最終重量(g)−開始重量(g))× 10 = 吸水率 (%)
【0116】
本発明の触媒の更に好ましい実施形態では、該触媒担体の全細孔容積の少なくとも80%が、好ましくは少なくとも85%が、より好ましくは90%がメソ細孔およびマクロ細孔により形成されていてもよい。これは、特に比較的大きな厚みの殻の場合、拡散の制限によって本発明の触媒の活性が低下することを防止する。この説明において、マイクロ細孔、メソ細孔およびマクロ孔は、それぞれその2nm未満の直径、2から50nmの直径、および50nm以上の直径を有するものと理解される。
【0117】
本発明の触媒の触媒担体は、成形体として形成されている。該触媒担体は、原則として殻が適用されうる如何なる幾何学的形状の形にも適用される。しかしながら、触媒担体が球状、円筒状(円形の端面を備えたものを含む)、中空シリンダー(円形の端面を備えたものを含む)、三ツ葉状、キャップされた錠剤状、四ツ葉状、リング状、ドーナツ状、星形状、車輪状、逆車輪状、又は押出し形状、好ましくはリブ付き押出し形状又は星形押出し形状に成形されることが好ましい。
【0118】
本発明の触媒の触媒担体の直径、すなわち長さおよび厚みは、該触媒が用いられる反応器チューブの幾何学的形状に鑑み、1から9mmが好ましい。
【0119】
一般に、該触媒の殻の厚みが小さくなると、本発明の触媒の生成物選択性は高くなる。本発明の触媒の更に好ましい実施形態では、それゆえ、該触媒の殻は300μm未満の厚み、好ましくは200μm未満の厚み、より好ましくは150μm未満の厚み、さらに好ましくは100μm未満の厚み、より好ましくは80μm未満の厚みを有する。殻の厚みは、支持された金属触媒の場合には、しばしば、顕微鏡を用いて光学的に測定される。金属が沈着した領域は黒く見え、一方、金属のない領域は白く見える。金属含有領域と金属なし領域との境界線は、通常、とてもシャープであり、目視にてはっきりと認識しうるものである。上述した境界線がシャープでなく、よって目視にてはっきりと認識されず、またはその他の理由によって殻厚みが目視にて決定し得ない場合は、殻の厚みは、触媒担体の外側表面から測定される、担体上に触媒活性種の95%が存在する殻の厚みに相当する。
【0120】
本発明の触媒においては、該殻は比較的大きな厚みを伴って形成され、それによって本発明の触媒の生成物選択性の大きな低下をきたすことなく高い活性をもたらすことが好ましいとされる。この目的のため、比較的小さい表面積の触媒担体が用いられるべきである。本発明の触媒の他の好ましい実施形態では、該触媒の殻は200から2000μmの厚み、好ましくは250から1800μmの厚み、より好ましくは300から1500μmの厚み、さらに好ましくは400から1200μmの厚みを有する。
【0121】
本発明は、さらに、本発明に係る、又は、シェル触媒、特に本発明のシェル触媒を製造する方法を実施するために、プロセスガスによって成形触媒担体が楕円形又はトロイダル形、好ましくはトロイダル形に循環する成形触媒担体の流動床を作り出すように設計された装置に関する。そのような装置を用いれば、上述のような有利な特性を有するシェル触媒を製造しうることが見出されている。
【0122】
本発明に係る使用の好ましい実施形態では、該装置は底部および側壁を有するプロセスチャンバーを備える。該底部は、互いに重なり合う複数の環状のガイドプレートから構成され、それらの間に環状のスロット(隙間)が形成され、その隙間を通して、径方向外側に向かう実質的に水平な運動成分を備えたプロセスガスが導入されうるように構成されている。これは、プロセス技術の点で簡単な方法で、成形体が楕円形で特に均一に循環し、生成物の品質を高めるような流動床の形成を可能とする。この楕円形の循環運動は、例えば、前記環状スロットに装着された案内要素、又は成形体のトロイダル形循環を可能とするような更なる垂直方向のプロセスガスによって生じされられた、第2の運動成分によって、流動床に転換されうる。
【0123】
成形体への、例えば貴金属溶液によるとりわけ均一な噴霧を確かなものとするために、好ましい実施形態では、ノズルが、噴霧雲をその鏡面(対称面)が底部平面と水平となるように噴霧するべく用いられうるように、環状ギャップノズルは、底部の中心に配置されてもよい。
【0124】
加えて、前記噴霧雲の下側にサポートクッションを作り出すために、噴霧雲のサポートガス(支持ガス)のための出口オリフィスが、環状ギャップノズルとその下の底部との間に設けられることが好ましい。この下側の空気のクッションは、噴霧された溶液から底部表面をフリーに保ち、即ち、噴霧された溶液の全てが成形体の流動床へ導入され、それにより、特に高価な貴金属又は酵素に関するコストの理由のために重要となる噴霧ロスが生じなくなる。
【0125】
本発明の使用の更に好ましい実施形態では、該装置において、前記サポートガスが、前記環状ギャップノズルそれ自身、及び/又はプロセスガスによって提供されるものである。これらの手段は、サポートガスの準備の多種多様な構成を許容する。環状ギャップノズル上には、サポートガスの形成に貢献するために、それを通って噴霧ガスが出るための出口オリフィスが備えられることも可能である。加えて又はそれに代えて、底部を通って流れるプロセスガスの一部は、噴霧雲の下側の方向に導かれ、それによってサポートガスの形成に貢献する。
【0126】
本発明の更なる実施形態では、前記環状ギャップノズルは、円錐状頭部および円錐面に沿って設けられた開口部を備える。これは、円錐が、頂上から下へ垂直に移動する成形体を、該円錐の下端にある環状の噴霧ギャップから噴霧される前記噴霧雲へと、均一に且つ制御された方法で、供給することを確かなものとする。
【0127】
前記使用の更なる実施形態では、前記開口とその下に位置する底部との間の領域に、フラスト円錐形状の壁が備えられ、好ましくはサポートガスのためのガス通過オリフィスを有する。この方法は、フラスト円錐の上部での連続によって、上述したような円錐での調和した偏向運動が維持されるという利点があり、サポートガスはこの領域の通過オリフィスを通って出て、噴霧雲の下側のサポートを確かなものとしうる。
【0128】
前記使用の更なる実施形態では、環状スロットは、プロセスガスの通過のための、フラスト円錐壁の下側の間に形成される。この方法は、前記底部のエアークッションへの成形体の移動が、特に効果的に制御され、ノズル下側の領域において制御された方法で直ぐに始まるという点で利点がある。
【0129】
前記噴霧雲を所望の高さで流動床へと導くためには、前記ノズルの開口位置が高さ調節可能なものであることが好ましい。
【0130】
本発明の使用の更なる実施形態では、通過するプロセスガスに円周方向の流れ成分を加える案内要素は、環状ガイドプレートの間に配置される。
【実施例】
【0131】
該以下に続く実施例は、本発明を説明するために用いられる。
【0132】
実施例1
【0133】
天然層状ケイ酸塩として酸処理されたか焼ベーマイトから成形された球状成形触媒担体(SUD−Chemie社(ミュンヘン ドイツ)製、商品名“KA−0” 性質は表1に示されている)の225gが、流動床装置(Innojet Technologies(ローラッハ ドイツ)社製、「Innojet Aircoater」)に充填され、100℃に加熱された圧縮空気(6bar)によって流動床状態に設定され、その流動床状態では、成形体はトロイダル形に循環、即ち、垂直に配置された楕円循環経路およびそれと直角な水平な円周状循環経路状を移動するように設定した。
【0134】
【表1】

【0135】
成形体が約75℃の温度まで加熱されると、市販のNa2PdCl4(テトラクロロパラジウム酸ナトリウム)の7.5g及び市販のNaAuCl4(テトラクロロ金酸ナトリウム)4.6gを含む貴金属混合水溶液300mlが、40分かけて、該成形体の流動床上へと噴霧された。
【0136】
触媒担体が混合貴金属溶液で含浸された後、0.05モル濃度のNaOH溶液が、30分の時間をかけて80℃の温度で成形体の流動床上へと噴霧された。この場合に、該NaOHは、その大部分が殻に沈着し、該担体が過度に大きなNaOH濃度に晒されることなく、PdおよびAu金属化合物を固定する。
【0137】
NaOHを作用させた後、貴金属化合物およびNaOHを介して担体内に導入されたアルカリ金属および塩素を実質的に皆無とするべく、該担体は、該流動床装置内で大量の水で洗浄される。
【0138】
洗浄の後、高温のプロセスエアー(100℃)中での運動によって、成形体は該流動床装置内で乾燥される。
【0139】
該成形体が乾燥した後、約150℃の温度で、窒素中にエチレン(5体積%)を含むガス混合物により、該流動床装置内で還元され、Pd/Auシェル触媒が得られる。
【0140】
得られたシェル触媒は、約1.2質量%のPdを含み、Au/Pd原子比が約0.5であり、殻厚みが約160μmであり、硬度が38Nであった。
【0141】
このようにして作成されたPd/Auシェル触媒の貴金属濃度は、その内側および外側の殻境界からそれぞれ5%以上離れた、該殻厚みの90%の領域にわたって、その領域における貴金属の平均濃度から、+/−10%を超えない範囲で逸脱するものであった。
【0142】
貴金属の分布は、エネルギー分散型分光器(Bruker AXS社製)を備えた走査電子顕微鏡(LEO 430VP)によって決定した。殻厚みに対する貴金属濃度を測定するために、触媒球体は切り開かれ、アルミニウム製サンプルホルダに接着固定され、その後、炭素の蒸気沈着が行われた。使用された検出器は、マンガンKアルファ線のための125eVのエネルギー解像度を有する窒素フリーシリコンドリフトチャンバー検出器(Xflash(登録商標)410)であった。
【0143】
解析においては以下のパラメーターが使用された。

スキャン解像度 500点
測定点の分離 1.8μm
倍率 200−fold
ジェット電圧 20kV
ジェット電流 20nA
入力パルス速度 50000パルス/秒
ライン走査の測定時間 200秒
他の要素(続く実施例参照)のために、その測定に対しては、対応する可能なラインが採用された。
【0144】
上述のようにして作製されたシェル触媒充填材の100球の殻厚みが測定された。 該充填材のシェル触媒の殻厚みの平均値に対する、該充填材のシェル触媒の殻厚みの標準偏差の比は、10%未満であった。
【0145】
実施例2
【0146】
Pd/Au溶液に代えて、25mmolのCuCl2を含有した溶液が使用され、固定化工程無し、および洗浄工程無し、としたことを除き、実施例1と同様にシェル触媒が作製された。
【0147】
得られたシェル触媒は、約0.7質量%のCuを含有し、殻厚み約136μmを有していた。
【0148】
このようにして作成されたシェル触媒の金属濃度は、その内側および外側の殻境界からそれぞれ殻厚みの5%離れた、該殻厚みの90%の領域にわたって、その領域における金属の平均濃度から、+/−20%を超えない範囲で逸脱するものであった。(測定方法は実施例1と同様)
【0149】
上述のようにして作製されたシェル触媒充填材の100球の殻厚みが測定された。該充填材のシェル触媒の殻厚みの平均値に対する、該充填材のシェル触媒の殻厚みの標準偏差の比は、10%未満であった。
【0150】
実施例3
【0151】
Pd/Au溶液に代えて、26mmolのNa2PdCl4を含有した溶液が使用され、如何なる固定化工程および如何なる洗浄工程も無しとしたことを除き、実施例1と同様にシェル触媒が作製された。
【0152】
得られたシェル触媒は、約1.0質量%のPdを含み、殻厚みが約93μmであった。
【0153】
このようにして作成されたシェル触媒の金属濃度は、その内側および外側の殻境界からそれぞれ殻厚みの5%離れた、該殻厚みの90%の領域にわたって、その領域における金属の平均濃度から、+/−20%を超えない範囲で逸脱するものであった。(測定方法は実施例1と同様)
【0154】
上述のようにして作製されたシェル触媒充填材の100球の殻厚みが測定された。該充填材のシェル触媒の殻厚みの平均値に対する、該充填材のシェル触媒の殻厚みの標準偏差の比は、10%未満であった。
【0155】
実施例4
【0156】
Pd/Au溶液に代えて、26mmolのPd(NH34(OH)2を含有した溶液が使用され、如何なる固定化工程および如何なる洗浄工程も無しとしたことを除き、実施例1と同様にシェル触媒が作製された。
【0157】
得られたシェル触媒は、約1.0質量%のPdを含み、殻厚みが約71μmであった。
【0158】
このようにして作成されたシェル触媒の金属濃度は、その内側および外側の殻境界からそれぞれ殻厚みの5%離れた、該殻厚みの90%の領域にわたって、その領域における金属の平均濃度から、+/−20%を超えない範囲で逸脱するものであった。(測定方法は実施例1と同様)
【0159】
上述のようにして作製されたシェル触媒充填材の100球の殻厚みが測定された。該充填材のシェル触媒の殻厚みの平均値に対する、該充填材のシェル触媒の殻厚みの標準偏差の比は、10%未満であった。
【0160】
比較例1
【0161】
下記表2にその性質が示された成形触媒担体(Sud−Chemie AG社(ミュンヘン ドイツ)製、商品名“KA−160”)の65.02gが、細孔充填方法(初期の濡れ方法)によって含浸された。該方法において、担体は、その細孔容積に相当する容積であり、1.568gのNa2PdCl4と0.367gのHAuCl4を含む39.1mlの水溶液で含浸された。含浸の後、0.35モル濃度のNaOH溶液89.17gが、該成形触媒担体に添加され、室温にて22時間夜通し放置された。固定溶液が移された後、作製された触媒前駆体は、10%NaH2PO2溶液(Fluka)73.68gを用いて2時間、還元された。還元の後、溶液は除去され、Cl残分を除去するために、室温下で8時間、水の一定交換(流れ=140rpm)によって該触媒は蒸留水で洗浄された。洗浄溶液の最終的な導電性は1.2μSである。
【0162】
その後、該触媒は90℃の流動床内で50分乾燥された。乾燥された球体は、2モル濃度のKOAc溶液27.29gとH2O18.55gとの混合物で沈着され、室温にて1時間放置された。最終的に、90℃の流動床にて40分間、乾燥された。
【0163】
理論的な金属蓄積は、Pdについて0.8重量%と、Auについて0.3重量%であり、ICP(誘導結合プラズマ)による元素分析で実験的に決定された値は、Pdについて0.78重量%と、Auについて0.26重量%であった。
【0164】
殻厚みは280μmであった。
【0165】
【表2】

【0166】
実施例5
【0167】
天然層状ケイ酸塩として酸処理されたか焼ベーマイトから成形された球状成形触媒担体(SUD−Chemie社(ミュンヘン ドイツ)製、商品名“KA−160” 性質は表2に示されている)の65.02gが、流動床装置(Innojet Technologies(ローラッハ ドイツ)社製、「Innojet Aircoater」)に充填され、90℃に加熱された圧縮空気(6bar)によって流動床状態に設定され、その流動床状態では、成形体はトロイダル形に循環するように設定した。
【0168】
Na2PdCl4を1.568g及びHAuCl4を0.367g含む水溶液300mlが、40分かけて、該成形体の流動床上へと噴霧された。
【0169】
含浸の後、0.35モル濃度のNaOH溶液89.17gが、該成形触媒担体に添加され、室温にて22時間夜通し放置された。固定溶液が移された後、作製された触媒前駆体は、10%NaH2PO2溶液(Fluka)73.68gを用いて2時間、還元された。還元の後、溶液は除去され、Cl残分を除去するために、室温下で8時間、水の一定交換(流れ=140rpm)によって該触媒は蒸留水で洗浄された。洗浄溶液の最終的な導電性は1.2μSである。
【0170】
その後、触媒は90℃の流動床内で50分乾燥された。乾燥された球体は、2モル濃度のKOAc溶液27.29gとH2O18.55gとの混合物で沈着され、室温にて1時間放置された。最終的に、90℃の流動床にて40分間、乾燥された。
【0171】
理論的な金属蓄積は、Pdについて0.8重量%と、Auについて0.3重量%であり、ICP(誘導結合プラズマ)による元素分析で実験的に決定された値は、Pdについて0.75重量%と、Auについて0.25重量%であった。
【0172】
殻厚みは205μmであった。
【0173】
実施例6
【0174】
反応器テスト
実施例5及び比較例1による触媒球体の6mlの床が、それぞれ、10barで150℃の温度の固定床管状反応器中で、N2中に15%HOAcと6%O2と39%C24を含み流速が550ml(STP)/minの供給ガスに晒され、反応器廃水がガスクロマトグラフィーを用いて解析された。
【0175】
(VAMのためのエチレンの)選択性が、式 S(C24)=mol VAM/(mol VAM+mol CO2/2)によって計算された。空間−時間収率は、VAMg/触媒l/hで求められる。酸素転化率は、(流入したO2mol−流出したO2mol)/流入したO2molにて計算される。
【0176】
本発明に係る実施例5による方法で製造された触媒は、酸素転化率38.7%において、S(C24)の選択性92.3%、(ガスクロマトグラフィーによって決定された)空間ー時間収率は654VAMg/触媒l/hであった。
【0177】
比較例1による方法で製造された触媒は、酸素転化率36.1%において、S(C24)の選択性91.0%、(ガスクロマトグラフィーによって決定された)空間ー時間収率は576VAMg/触媒l/hであった。
【0178】
本発明に係る実施例5による方法で製造された触媒は、比較例1の従来の方法で製造された触媒と比較して、高い選択性とVAM合成における高い活性を示した。
【0179】
本発明による方法を実施するための装置10が図1Aに示されている。
【0180】
装置10は、プロセスチャンバーを取り囲むように直立した筒状の側壁18を有する容器20を備える。
【0181】
プロセスチャンバー15は、下方に流入チャンバー30と面した底部16を備える。
【0182】
底部16は、ガイドプレートとして、全7枚の環状リングプレートが互いに重ねあわされて構成されている。最も外側の環状プレート25が最も下の環状プレートとなり、その上に他の6枚の内側の環状プレートがそれぞれが部分的に重なり合うように載置される方法で、7枚の環状プレートが配置される。
【0183】
便宜上、全7枚の環状プレートのいくつかのみには、参照番号が付されている(例えば、2つの重なり合う環状プレート26及び27)。この重なり合い及び隙間によって、2つの環状プレート間毎に環状の隙間28が形成され、その隙間を通って、プロセスガスとしてのプロセスエアー40が主に水平方向運動成分を伴ってその底部16を通過する。
【0184】
中央最上部の内側環状プレート29内に、その下の中央オリフィスから挿入される環状ギャップノズル50が配置される。環状ギャップノズルは、全3つの開口ギャップ52、53および54を有する開口55を有する。全3つの開口ギャップ52、53及び54は、底部16に対して略平行に、即ち水平に、360°の角度を網羅するように噴霧するように調整されている。噴霧エアーは、上側のギャップ52と下側のギャップ54を通して、噴霧される溶液は、中央のギャップ53を通して噴霧される。
【0185】
環状ギャップノズル50は、下方へ向かって伸び、適当な溝と供給ラインとを含む棒状体56を備えるが、それ自体は公知であり、それゆえ図示されていない。環状ギャップノズル50は、ノズルの詰まりを回避するために、例えば、溶液が噴出される溝の壁が互いに相対的に回転する、いわゆる回転する環状のギャップから形成され、360°の全体の角度にわたってギャップ53から均一に噴霧することが可能となっている。
【0186】
環状ギャップノズル50は、開口ギャップの上方に円錐状頭部57を備える。
【0187】
開口ギャップ54の下の領域には、多数のオリフィス59を備える円錐台状壁部58が存在する。図1Bに示すように、円錐台状壁部58の下側と、その下に部分的に重なるように重ね合わされている環状プレート29との間にプロセスエアー40が通過する隙間60が形成されるような方法で、円錐台状壁部58の下側は、最も内側の環状プレート29上に配置されている。
【0188】
環状リング25は、壁部18から離れた位置にあり、その結果、参照番号61が付された矢印の向きで、プロセスエア40が垂直成分を伴ってプロセスチャンバー15に入り、これにより、隙間28を通ってプロセスチャンバー15に入るプロセスエア40に、比較的大きな上向き成分を生じさせる。
【0189】
図1Aの右半分は、運転状態にある装置10内の形成された状態を示す。
【0190】
噴霧雲70が開口ギャップ53から現れ、その水平な対称面は前記底部平面と概ね平行となっている。円錐台状壁部58のオリフィス59を通過する空気、例えばプロセスエアー40の結果、サポートエアー流れ72が、前記噴霧雲70の下側に形成される。複数のスロット28を通過するプロセスエアー40の結果、参照番号74を付された矢印によって示されているように該プロセスエアー40が上方に偏向されるような、壁18に向かう径方向流れが形成される。偏向されたプロセスエアー40は、壁18の領域において上方へと成形体を偏向させる。プロセスエアー40及び処理される成形触媒担体は、その後、互いに分離され、プロセスエアー40は出口を通して除去され、一方、成形体は、垂直方向下向きの環状ギャップノズル50の円錐台状頭部57の方向へ向かう内向きの矢印75にしたがって径方向に移動する。成形体は、そこで偏向され、噴霧雲70の上側へと案内され、そこで、噴霧された媒体によって処理される。噴霧された成形体(同士)は、互いに離れながら再び壁面18の方向へ移動し、環状開口ギャップ53において噴霧雲70から離れ、領域という点で大きな空間が、該成形体にとって利用可能となる。噴霧雲70の領域では、処理される成形体は液滴と出会い、そして、非常に均一に且つプロセスエアー40と調和して且つ同時に乾燥されながら、壁面18の方向へ運動する方向においては残存する互いの成形体は離間する。
【0191】
図2Aは、参照記号210と220を付した曲線によって、2つの楕円形循環する成形触媒担体の2つの可能性のある運動経路を示す。楕円形運動経路210は、ー理想的な楕円形経路と比較してー第1軸および第2軸のサイズにおいて比較的大きな変化を示す。これに対し、図2Bから認められるように、楕円形運動経路220は、第1軸および第2軸のサイズにおいて比較的小さな変化を示し、如何なる直角の(水平の)運動成分も有しない、垂直に示された、理想的な楕円形経路である。
【0192】
図3Aは、参照記号310を付した曲線によって、トロイダル循環する成形触媒担体の可能性のある運動経路を示す。トロイダル循環する運動経路310は、垂直断面が楕円形であり水平断面が環状であるような、ほぼ均一な楕円形の表面の断面を示す。図3Bは、平面視における運動経路310を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの触媒活性種が存在する外殻を有する多孔質触媒担体成形体を備えたシェル触媒を製造する方法であって、プロセスガス(40)によって、触媒担体が楕円形にまたはトロイダル形に、好ましくはトロイダル形に循環する触媒担体の流動床が生成するように設計された装置(10)を用いて実施され、以下のステップ、
a)前記装置(10)に触媒担体成形体が充填され、プロセスガス(40)によって触媒担体成形体の流動床が生成され、該成形触媒担体が該流動床中で楕円形又はトロイダル形に循環し、好ましくはトロイダル形に循環するステップ、
b)前記流動床中で楕円形又はトロイダル形に循環する前記触媒担体成形体に、触媒活性種又はその前駆体を備えた溶液を噴霧することによって、前記触媒担体成形体の外殻に触媒活性種又はその前駆体を含浸させるステップ、
c)前記溶液の噴霧された前記成形触媒担体を乾燥させるステップ。
【請求項2】
さらに、前記前駆体を、触媒活性種に変換させるステップを備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記装置(10)が、流動床を形成するべく、底部(16)および側壁(18)を有するプロセスチャンバー(15)を備え、前記プロセスガス(40)が、径方向外側へ向かう水平な運動成分を伴って前記プロセスチャンバー(15)の底部(16)を通って前記プロセスチャンバー内へと供給され、該底部は、間に環状スロット(28)が形成される、好ましくは複数の互いに重なりあった環状ガイドプレート(25、26、27、29)により構成されていることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセスチャンバー(15)から供給される前記プロセスガス(40)が、円周方向の流れ成分を受けていることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記プロセスチャンバー(15)から供給される前記プロセスガス(40)が、前記環状ガイドプレート(25、26、27、29)の間に配された案内要素によって円周方向の流れ成分を受けていることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスチャンバー(15)から供給される前記プロセスガス(40)が、プロセスチャンバー(15)の底部(16)を通して、好ましくはプロセスチャンバー(15)の側壁(18)の領域で、対角線上に上方へ向かう運動成分を伴った追加的なプロセスガス(61)を供給することによって、円周方向の流れ成分を受けていることを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記流動床中で楕円形又はトロイダル形に循環する触媒担体成形体の噴霧が、前記底部(16)の平面と平行に進む噴霧雲(70)を噴霧する環状ギャップノズル(50)によって実施されることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記環状ギャップノズル(50)が、底部(16)の中央に配置され、該環状ギャップノズル(50)の開口(55)が、前記流動床中に埋設されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記噴霧雲(70)の下側で、ガスサポートクッション(72)が生成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒担体成形体が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、又は天然層状ケイ酸塩、好ましくは、酸処理か焼ベントナイトに基づいて形成された触媒担体成形体を備えることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒担体成形体が、160m2/gに等しいか又はそれ未満の表面積、好ましくは140m2/g未満の表面積、より好ましくは135m2/g未満の表面積、さらに好ましくは120m2/g未満の表面積、より好ましくは100m2/g未満の表面積、さらにより好ましくは80m2/g未満の表面積、特に好ましくは65m2/g未満の表面積を有することを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒担体成形体が、160から40m2/gの表面積、好ましくは140から50m2/gの表面積、好ましくは135から50m2/gの表面積、さらに好ましくは120から50m2/gの表面積、より好ましくは100から50m2/gの表面積、最も好ましくは100から60m2/gの表面積を有することを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒担体成形体が、20Nと等しいか又はそれより大きい硬度、好ましくは30Nと等しいか又はそれより大きい硬度、さらに好ましくは40Nと等しいか又はそれより大きい硬度、最も好ましくは50Nと等しいか又はそれより大きい硬度を有していることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセスガス(40)が、空気、酸素、窒素及び希ガス、好ましくはヘリウムおよびネオンからなる群より選択されることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセスガス(40)が、好ましくは40℃と等しいか又はそれより高い温度へ、好ましくは60℃と等しいか又はそれより高い温度へ、より好ましくは70℃と等しいか又はそれより高い温度へ、最も好ましくは60から100℃の温度へと加熱されることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記プロセスガス(40)が、プロセスチャンバー(15)内へ供給される前に、前記溶液の溶媒を、好ましくは飽和蒸気圧の10から50%の範囲内で、添加されることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液が、触媒活性種として生物触媒、好ましくは酵素を備えることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液が、触媒活性種又はそれらの前駆体として、遷移金属からなる群より選択される金属、特に貴金属の、金属化合物を備えることを特徴とする請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液が、触媒活性種またはその前駆体としてPd化合物を備えることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
触媒活性種またはその前駆体としてAu化合物を備えることを特徴とする請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記溶液が、触媒活性種またはその前駆体としてAg化合物を備えることを特徴とする請求項18〜20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記溶液が、触媒活性種またはその前駆体としてPt化合物を備えることを特徴とする請求項18〜21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記溶液が、触媒活性種またはその前駆体として、Co、Ni及び/又はCu化合物を備えることを特徴とする請求項18〜22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
形成触媒担体が、前記溶液を噴霧された後、該触媒活性種または該前躯体を該担体上に固定するための固定ステップで処理されることを特徴とする上記何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも一つの触媒活性種が存在する外殻を伴った、多孔質成形触媒担体成形体を備えたシェル触媒であって、その内側および外側の殻境界からそれぞれ殻厚みの5%離れた、該殻厚みの90%の領域にわたって、触媒活性種の濃度がその領域における触媒活性種の平均濃度から、最大+/−20%、好ましくは最大+/−15%およびより好ましくは最大+/−10%の範囲で変化することを特徴とするシェル触媒。
【請求項26】
該触媒の殻の厚みを横切るように、触媒活性種の最大濃度が外殻境界の領域にあり、殻内側境界の方向へ向かって該濃度が減少するように構成されていることを特徴とする請求項25記載の触媒。
【請求項27】
触媒活性種の濃度が、殻厚みの少なくとも25%の領域にわたって、好ましくは殻厚みの少なくとも40%の領域にわたって、より好ましくは殻厚みの30から80%の領域にわたって内側殻境界の方向に向かって一定に減少することを特徴とする請求項26記載の触媒。
【請求項28】
触媒活性種の濃度が、内側殻境界の方向に向かって、最大濃度の50から90%の濃度へと、好ましくは最大濃度の70から90%の濃度へと、一定に減少することを特徴とする請求項27記載の触媒。
【請求項29】
多孔質触媒担体成形体と同様に該触媒担体成形体の外殻内に存在する少なくとも一つの触媒活性種を備えたシェル触媒であって、該シェル触媒は、充填された複数のシェル触媒の一要素であり、充填されたシェル触媒の殻厚みの平均値に対する、充填されたシェル触媒の殻厚みの標準偏差の比が、20%と等しいか又はそれ以下、好ましくは15%と等しいか又はそれ以下、より好ましくは12%と等しいか又はそれ以下、より好ましくは10%と等しいか又はそれ以下、または3から18%、好ましくは3から15%であることを特徴とするシェル触媒。
【請求項30】
前記触媒活性種が生物触媒、好ましくは酵素であることを特徴とする上記請求項の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項31】
前記触媒活性種が、金属の形態としての金属であり、遷移金属の群、好ましくは貴金属の群から選択されることを特徴とする請求項25〜29の何れか一項に記載されたシェル触媒。
【請求項32】
前記触媒が、前記触媒活性種として、殻に2又はそれ以上の異なる金属、特に次の組み合わせ、すなわちPdとAg、PdとAu、PdとPtの何れか一組を備えていることを特徴とする請求項31記載のシェル触媒。
【請求項33】
前記触媒が、前記触媒活性種として、PdおよびAuを備え、該触媒中におけるPdの比率が、貴金属の蓄積された触媒担体の質量に基づき、0.6から2.0質量%、好ましくは0.7から1.8質量%、より好ましくは0.8から1.5質量%であることを特徴とする請求項31と32の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項34】
前記触媒のAu/Pd原子比率が、0と1.2の間、好ましくは0.1と1の間、より好ましくは0.3と0.9の間、特に好ましくは0.4と0.8の間であることを特徴とする請求項33記載のシェル触媒。
【請求項35】
前記触媒が、アルカリ金属酢酸塩、好ましくは酢酸カリウムを備えることを特徴とする請求項33又は34の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項36】
前記アルカリ金属酢酸塩の前記触媒中の濃度が、0.1から0.7mol/l、好ましくは0.3から0.5mol/lであることを特徴とする請求項35記載のシェル触媒。
【請求項37】
前記アルカリ金属/Pd原子比率が、1と12の間、好ましくは2と10の間、より好ましくは4と9の間であることを特徴とする請求項35又は36の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項38】
前記触媒担体が、160m2/gに等しいか又はそれ未満の表面積、好ましくは140m2/g未満の表面積、より好ましくは135m2/g未満の表面積、さらに好ましくは120m2/g未満の表面積、より好ましくは100m2/g未満の表面積、さらにより好ましくは80m2/g未満の表面積、特に好ましくは65m2/g未満の表面積を有することを特徴とする請求項33〜37の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項39】
前記触媒担体が、160から40m2/gの表面積、好ましくは140から50m2/gの表面積、好ましくは135から50m2/gの表面積、さらに好ましくは120から50m2/gの表面積、より好ましくは100から50m2/gの表面積、最も好ましくは100から60m2/gの表面積を有することを特徴とする請求項33〜38の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項40】
前記触媒担体が、0.3g/ml以上のかさ密度、好ましくは0.35g/ml以上のかさ密度、特に好ましくは0.35と0.6g/mlの間のかさ密度を有することを特徴とする請求項33〜39の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項41】
前記触媒担体が、8nmと50nmの間の平均細孔径、好ましくは10nmと35nmの間の平均細孔径、より好ましくは11nmと50nmの間の平均細孔径を有することを特徴とする請求項33〜40の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項42】
前記触媒担体が、1μeq/gと150μeq/gの間の酸性度、好ましくは5μeq/gと130μeq/gの間の酸性度、より好ましくは10μeq/gと100μeq/gの間の酸性度を有することを特徴とする請求項33〜41の何れかに記載のシェル触媒。
【請求項43】
前記触媒担体が、1.5mmよりも大きな直径の、好ましくは3mmよりも大きな直径の、より好ましくは4mmよりも大きな直径の球状として形成されたことを特徴とする請求項33〜42の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項44】
前記触媒担体が、Zr、Hf、Ti、Nb、Ta、W、Mg、Re、YおよびFeからなる群より選択された金属の酸化物の少なくとも一つ、好ましくは、ZrO2、HfO2又はFe23をドープされていることを特徴とする請求項33〜43の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項45】
前記触媒担体中にドープされた酸化物の割合が、0と20質量%の間、好ましくは1.0〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%であることを特徴とする請求項44記載のシェル触媒。
【請求項46】
前記触媒担体が、前記触媒活性種としてPdおよびAgを備え、該触媒のPdの比率が、貴金属の負荷された触媒担体の質量に対し、0.01から1.0質量%、好ましくは質量で0.02から0.8質量%、より好ましくは質量で0.03から0.7質量%であることを特徴とする請求項31及び32の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項47】
前記触媒のAg/Pd原子比率が、0と10の間、好ましくは1と5の間であり、好ましくは該貴金属殻の厚みが60μm未満であることを特徴とする請求項46に記載のシェル触媒。
【請求項48】
前記触媒担体が、1.5mmよりも大きな直径の、好ましくは3mmよりも大きな直径の、より好ましくは2から4mmの直径の球状、又は円筒状タブレットとして形成されたことを特徴とする請求項46および47の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項49】
前記触媒担体が、1から50m2/gの表面積、好ましくは3m2/gと20m2/gの間の表面積を有することを特徴とする請求項46から48の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項50】
前記触媒担体が、10m2/gと等しいか又はそれ未満の表面積、好ましくは5m2/g未満の表面積、より好ましくは2m2/g未満の表面積を有することを特徴とする請求項46から49の何れかに記載のシェル触媒。
【請求項51】
前記触媒担体が、前記触媒活性種としてPdおよびPtを備え、該触媒のPdの比率が、貴金属の負荷された触媒担体の質量に対し、0.05から5質量%、好ましくは0.1から2.5質量%、より好ましくは0.15から0.8質量%であることを特徴とする請求項31及び32の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項52】
前記触媒のPd/Pt原子比率が、10と1の間、好ましくは7と2の間、より好ましくは4と2の間であることを特徴とする請求項51記載のシェル触媒。
【請求項53】
前記触媒担体が、好ましくは0.75から3mmの直径と0.3から7mmの長さを有するような、円筒状であることを特徴とする請求項51又は52の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項54】
前記触媒担体が、50から400m2/gの表面積、好ましくは100m2/gと300m2/gの間の表面積を有することを特徴とする請求項51から53の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項55】
前記触媒が、触媒活性種としてCo、Ni、又はCuを備えることを特徴とする請求項31記載のシェル触媒。
【請求項56】
前記触媒担体成形体が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、又は天然層状ケイ酸塩、特に、酸処理か焼ベントナイトに基づいて形成されたことを特徴とする上記何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項57】
前記触媒担体が、20Nと等しいか又はそれより大きい硬度、好ましくは30Nと等しいか又はそれより大きい硬度、さらに好ましくは40Nと等しいか又はそれより大きい硬度、最も好ましくは50Nと等しいか又はそれより大きい硬度を有していることを特徴とする上記何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項58】
前記触媒担体中の天然層状ケイ酸塩、特に酸処理か焼ベントナイトの比率が、前記触媒担体の質量に対して、50質量%と等しいか又はそれより大きく、好ましくは60質量%と等しいか又はそれより大きく、より好ましくは70質量%と等しいか又はそれより大きく、さらに好ましくは80質量%と等しいか又はそれより大きく、より好ましくは90質量%と等しいか又はそれより大きく、最も好ましくは95質量%と等しいか又はそれより大きいことを特徴とする上記何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項59】
前記触媒担体が、0.30ml/gより大きなBJHによる全細孔容積を有し、好ましくは0.35ml/gより大きなBJHによる全細孔容積を有し、より好ましくは0.40ml/gより大きなBJHによる全細孔容積を有することを特徴とする上記何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項60】
前記触媒担体が、0.30から1.2ml/gの間のBJHによる全細孔容積を有し、好ましくは0.4から1.1ml/gの間のBJHによる全細孔容積を有し、より好ましくは0.5から1.0ml/gの間のBJHによる全細孔容積を有することを特徴とする上記何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項61】
該触媒担体の全細孔容積の少なくとも80%が、好ましくは少なくとも85%が、より好ましくは90%がメソ細孔およびマクロ孔により形成されていることを特徴とする上記何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項62】
前記触媒の殻が、300μm未満の厚み、好ましくは200μm未満の厚み、より好ましくは150μm未満の厚み、さらに好ましくは100μm未満の厚み、より好ましくは80μm未満の厚みを有することを特徴とする上記何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項63】
前記触媒の殻が、200から2000μmの間の厚み、好ましくは250から1800μmの間の厚み、より好ましくは300から1500μmの間の厚み、さらに好ましくは400から1200μmの間の厚みを有することを特徴とする請求項25〜61の何れか一項に記載のシェル触媒。
【請求項64】
上記何れか一項に記載の方法を実施するため、又はシェル触媒、特に上記請求項の何れか一項に記載のシェル触媒の製造において、プロセスガス(40)によって、成形触媒担体が楕円形又はトロイダル形、好ましくはトロイダル形に循環する成形触媒担体の流動床を作り出すように設計された装置(10)の使用。
【請求項65】
前記装置(10)が、底部(16)および側壁(18)を有するプロセスチャンバー(15)を備え、該底部(16)は、間に環状スロット(28)が形成される、複数の互いに重なりあった環状ガイドプレート(25、26、27、29)により構成され、該環状スロット(28)を通って前記プロセスガス(40)が、径方向外側へ向かう水平な運動成分を伴って供給されることを特徴とする請求項64記載の使用。
【請求項66】
前記ギャップノズル(50)の開口部(55)が底面と実質的に平行に走る噴霧雲(70)を噴霧しうるようなノズル(50)であるように形成された環状ギャップノズルが、前記底部(16)の中央に配置されていることを特徴とする請求項65記載の使用。
【請求項67】
前記噴霧雲(70)の下側にサポートクッションを作り出すために、サポートガスのための出口オリフィス(59)が、環状ギャップノズル(50)とその下の底部(16)との間に設けられていることをを特徴とする請求項66記載の使用。
【請求項68】
前記サポートガスが、前記環状ギャップノズル(50)それ自身により、及び/又は前記サポートガス(40)により提供されることを特徴とする請求項67記載の使用。
【請求項69】
前記環状ギャップノズル(50)が、円錐状頭部(57)を有し、前記開口部(55)が円錐断面の円周方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項66又は68の何れか一項に記載の使用。
【請求項70】
前記開口部(55)とその下の前記底部(16)との間の領域に、好ましくは前記サポートガスのための通過オリフィス(59)を有する壁面であるような、円錐台状壁面(58)が配置されている請求項67から69の何れか一項に記載の使用。
【請求項71】
前記円錐台状壁面(58)とその下の底部(16)との間に、前記サポートガス(40)の経路のための、環状スロット(60)が形成されたことを特徴とする請求項70記載の使用。
【請求項72】
前記ノズル(50)の前記開口部(55)の位置が、高さ調節自在であることを特徴とする請求項66から71の何れか一項に記載の使用。
【請求項73】
案内部材が環状ガイドプレート(25、26、27、29)の間に配置され、該案内部材は、該案内部材の間を通過する前記プロセスガスに円周方向の流れ成分を与えることを特徴とする請求項65から72の何れか一項に記載の使用。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate


【公表番号】特表2010−527777(P2010−527777A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509740(P2010−509740)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004328
【国際公開番号】WO2008/145388
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(508131358)ズード−ケミー アーゲー (30)
【Fターム(参考)】