説明

シクレソニドとその結晶変異体の調製方法

[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンと化学的に命名されるシクレソニドとその結晶変異体の改善された合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンと化学的に命名されるシクレソニドとその結晶変異体の改善された合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シクレソニドとしても知られる[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンは、合成コルチコステロイドであり、肺での炎症を低減するために使用される。それは、最初に、特許文献1と特許文献2で開示された。
【0003】
特許文献3は、シリル化によるプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン16,17アセタール誘導体のエピマー富化のためのプロセスを記載している。
【0004】
特許文献4は、21-アシロキシプレグナ-1,4-ジエン-11β,16α,17α-トリオール-3,20-ジオン誘導体の16,17アセタール誘導体のR-エピマー富化を開示している。
【0005】
先行技術で開示された全てのプロセスにおいて、シクレソニド或いはその中間体は、収率の損失をもたらし、プロセスを工業的なスケールアップのために不経済とする、エピマー富化のため反復再結晶化を受けさせられる。一つの側面で、本発明は、[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの新規な調製方法を提供する試みである。
【0006】
先行技術のプロセスにおいて、シクレソニドは、水と水混和性溶剤との混合物を使用して結晶化される。こうして得られた生成物は、結晶形態であり、図2で示されるとおりのXRDパターンを有し、今後、フォームAと呼ぶ。
【0007】
薬物の種々の結晶変異体(しばしば多形体と呼ばれる)は、粒度硬度のような物理的性質に実質的な相違を有し得る。更に、結晶構造におけるこれら一見したところの小さな変化は、溶解度、バイオアベイラビリティ等のようなある種の薬学的に重要な特性に実質的に大きな影響を有し得る。結晶変異体は、しかも、薬物の種々な溶媒和物、水和物を含む。ある種の薬物は、溶媒和物と水和物を形成する傾向を有する。
【0008】
溶媒和物と水和物を含む、任意の所与の化合物の結晶変異体の存在は、予測することはできず、既知化合物のこれまで未知の結晶変異体を調製するための標準的な経験則プロセスは存在しない。結晶変異体が同定された後でさえも、任意の追加的な変異体が更に発見されるであろうかどうかを予測する可能性はない。
【0009】
その結果、シクレソニドの新規な結晶形態、調製方法、医薬処方及びその使用方法を提供することは、結晶変異体の分野での画期的な貢献となろう。しかも、シクレソニドを良好な収率と純度で提供する改善されたプロセスへの更なる展望とニーズが存在する。
【0010】
本発明は、高い純度と収率を有するシクレソニドを生じるシクレソニド合成のための改善されたプロセスを提供する。本発明は、更に、今後フォームCと呼ぶシクレソニドの新規な結晶変異体とフォームCの調製のためのプロセスを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE 4129535
【特許文献2】US 5,482,934
【特許文献3】WO 9524416
【特許文献4】US 6,787,533
【発明の概要】
【0012】
発明の簡単な説明
本発明の第1の側面によると、酸と溶剤の存在下、RがH若しくは保護基である式Aの化合物と、Xがアルカリ金属である式2のメタ重亜硫酸塩錯体とを反応させることを含む、式Bの化合物の調製方法が提供される。1つの具体例では、Rは、-C(O)R’であり、ここで、R’は、C1〜C6の直鎖或いは分枝鎖アルキル基である。好ましくは、R’は、メチルである。代替として、R’は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等であってよい。別の具体例では、R’は、-CH(CHであり、式Bの化合物はシクレソニドである。したがって、本発明は、R’が、-CH(CHであるときに、式Aの化合物からのシクレソニドの直接的合成を提供する。1つの具体例では、Xは、カリウム或いはナトリウム、好ましくは、ナトリウムである。酸は、硫酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸及び過塩素酸から成る群より選ばれ、好ましくは、酸は、過塩素酸である。溶剤は有機溶剤であってよい。例えば、溶剤は、ジクロロエタン、アセトニトリル、トルエン及びジクロロメタンから成る群より、好ましくは、ジクロロメタンから選ばれてよい。
【化1】

【化2】

【化3】

【0013】
Rが、-C(O)CH(CHではない1つの具体例では、プロセスは、式Bの化合物をシクレソニドに変換することを、更に含む。例えば、Rが保護基であるとき、変換は、-OR基をヒドロキシ基に変換し、ヒドロキシ基を-OC(O)CH(CH基に変換することを含む。1つの具体例では、Rは、-C(O)R’であり、-ORのヒドロキシ基への変換が、加水分解を含む。式Bのシクレソニドへの変換は、先行技術から知られる任意のプロセスによりなされてよく、例えば、ヒドロキシ基を-OC(O)CH(CH基へ変換する工程は、イソ酪酸無水物の存在下実行され得る。代替として、ヒドロキシ基を-OC(O)CH(CH基へ変換する工程は、塩化イソブチリルの存在下実行される。別の具体例では、式2のメタ重亜硫酸塩錯体は、以下の第3の側面で記載されるプロセスにより調製される。
【0014】
本発明の第2の側面によれば、Xがアルカリ金属である、式2を有するシクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸塩錯体が提供される。1つの具体例では、Xは、カリウム或いはナトリウムである。好ましくは、Xは、ナトリウムである。
【化4】

【0015】
本発明の第3の側面によれば、上記定義されるとおりの式2を有するメタ重亜硫酸塩錯体を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドを、式Xを有する対応するアルカリ金属メタ重亜硫酸塩と反応させることを含む。プロセスは、水と溶剤の存在下、実行されてもよい。1つの具体例では、溶剤は、変性エタノールである。例えば、エタノールは、アセトン若しくはトルエンで変性されてもよい。
【0016】
本発明の第4の側面によれば、シクレソニドの調製における、上記定義されるとおりのシクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸塩錯体の使用が提供される。
【0017】
本発明の第5の側面によれば、Rが保護基である式Aの化合物と、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドとを、酸と溶剤の存在下、反応させることを含む式Bの化合物の調製方法が提供される。1つの具体例では、溶剤は、水混和性溶剤或いは塩素化溶剤と水混和性有機溶剤との混合物である。1つの具体例では、Rは、-C(O)R’であり、ここで、R’は、C1〜C6の直鎖或いは分枝鎖アルキル基である。好ましくは、R’は、メチルである。代替として、R’は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等であってよい。適切には、酸は、有機酸若しくは無機酸である。例えば、酸は、硫酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸及び過塩素酸から成る群より選ばれてよい。好ましくは、酸は、過塩素酸である。場合によっては、塩素化溶剤は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム若しくはそれらの混合物から成る群より選ばれる。適切には、水混和性溶剤は、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、C1〜C4アルコール、アセトン若しくはそれらの混合物から成る群より選ばれる。好ましい溶剤混合物は、ジクロロメタンとアセトニトリルである。
【化5】

【化6】

【0018】
1つの具体例では、R’は、-CH(CHであり、式Bの化合物は、シクレソニドである。したがって、本発明は、R’が-CH(CHであるときに、式Aの化合物からのシクレソニドの直接的合成を提供する。
【0019】
別の具体例では、Rは、-C(O)CH(CHではなく、プロセスは、式Bの化合物をシクレソニドに変換することを、更に含む。適切には、変換は、-OR基をヒドロキシ基に変換し、ヒドロキシ基を-OC(O)CH(CH基に変換することを含む。別の具体例では、Rは、-C(O)R’であり、-ORのヒドロキシへの変換が、加水分解を含む。場合によっては、ヒドロキシ基を-OC(O)CH(CH基へ変換する工程は、イソ酪酸無水物の存在下実行される。
【0020】
本発明の第6の側面によれば、RがHである式Bの化合物を、有機塩基と有機溶剤の存在下、塩化イソブチリルと反応させことを含むシクレソニドの調製プロセスが提供される。適切には、塩基は、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ピペリジン及びトリアルキルアミンから成る群より選ばれる。好ましくは、トリアルキルアミンはトリエチルアミンである。場合によっては、有機溶剤は、ジクロロメタンのような塩素化溶剤である。式Bの化合物は、本発明の第1と第5の側面での上記のとおりの任意の方法で調製され得る。
【化7】

【0021】
本発明の第7の側面によれば、メタノールからシクレソニドを結晶化或いは再結晶化することを含む、シクレソニドの精製プロセスが提供される。例えば、粗シクレソニドが、固形物として単離されなければ、その場で、メタノールから結晶化され得る。代替として、粗シクレソニドが、固形物として単離されれば、メタノールから再結晶化され得る。精製のために使用されるシクレソニドは、本発明の第1、第5と第6の側面での上記のとおりの任意の方法の一つにより調製され得る。精製されたシクレソニドは、結晶性メタノール溶媒和物フォームCの形態であり得る。
【0022】
本発明の第8の側面によれば、Rは保護基であるが、但し、Rは-C(O)CHではない化合物A、すなわち、16α-ヒドロキシプレドニジロン21アセテートが提供される。1つの具体例では、Rは、-C(O)R’であり、ここで、R’は、C1〜C6の直鎖或いは分枝鎖アルキル基である。、R’は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等であってよい。場合によっては、R’は、-CH(CHである。
【化8】

【0023】
本発明の第9の側面によれば、Rは保護基であるが、但し、Rは、-C(O)CH(CHではない、化合物Bが提供される。1つの具体例では、Rは、-C(O)R’であり、ここで、R’は、C1〜C6の直鎖或いは分枝鎖アルキル基である。場合によっては、R’は、メチルである。代替として、R’は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等であってよい。
【化9】

【0024】
本発明の更なる側面によれば、結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCが提供される。1つの具体例では、メタノール含有量は、1%〜10%の範囲である。
【0025】
結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCは、8.7、15.9及び18.2゜2θ±0.2゜2θに特性ピークを有するX線粉末回折パターンを有するものとして特性決定され得る。フォームCは、13.1、15.2及び26.2゜2θ±0.2゜2θに更なる特性ピークを有するX線粉末回折パターンを有してもよい。フォームCは、10.5、11.8、12.9、17.6及び24.7゜2θ±0.2゜2θになお更なる特性ピークを有するX線粉末回折パターンを有してもよい。結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCは、図1で説明されるとおりのX線回折図或いは実質的に同じX線回折図を有し得る。
【0026】
本発明の更なる側面によれば、結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCを脱溶媒和することを含む無水結晶性シクレソニドフォームAの調製方法が提供される。
【0027】
1つの具体例では、結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCが、1〜6時間の範囲の時間中、水中で攪拌され、懸濁液を生成し、引き続き冷却し、結晶性無水シクレソニドフォームA固形物を単離する。適切には、攪拌は、50〜60℃の範囲の温度で行われる。場合によっては、単離された固形物が、60℃超の、より好ましくは、90℃超の温度で、真空オーブンで乾燥される。
【0028】
別の具体例では、結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCは、2〜12時間の範囲の時間中、25〜60℃の範囲の温度で、貧溶媒中で攪拌され、懸濁液を生成し、引き続き冷却し、無水結晶性シクレソニドフォームA固形物を単離する。適切には、懸濁液は、25℃未満の温度、好ましくは、0〜15℃の範囲の温度まで冷却される。固形物は、好ましくは、90℃で真空下乾燥される。貧溶剤はヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン及びジイソプロピルエーテルから成る群より選ばれる。
【0029】
上記のとおりの任意の1つのプロセスにより調製されるシクレソニドは、本発明の別の側面を形成する。
【0030】
本発明の更なる側面によれば、1以上の薬学的に受容可能な賦形剤と共に、上記のとおりのシクレソニドを含む医薬組成物が提供される。
【0031】
本発明は、また、上記のとおりのシクレソニドの医薬における使用を提供する。本発明は、更に、上記のとおりのシクレソニドの肺の炎症の低減のための医薬製造における使用を提供する。なお更に、本発明は、患者に、上記のとおりのシクレソニドを投与することを含む、必要な患者の肺の炎症の低減方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、シクレソニドフォームCのためのX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【図2】図2は、シクレソニドフォームAのためのX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【0033】
発明の詳細な説明
ある側面で、本発明は、[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの生成に有用な中間体の合成のためのプロセスを提供し、合成は、新規な付加物の使用、より特別には、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドのメタ重亜硫酸塩付加物を使用することを含む。
【0034】
シクロヘキサンカルボキシアルデヒドは、[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの合成のための中間体として使用されてきた。シクロヘキサンカルボキシアルデヒドは、不安定な化合物であり、純粋な形では入手できない。シクロヘキサンカルボキシアルデヒドは、そのまま合成のために使用されると、多くの不純物を生成し、低収率の生成物を与える。
【0035】
ある種のアルデヒドは、それらをメタ重亜硫酸塩錯体に変換し、次いで精製されたアルデヒドを得るために錯体を分解することにより精製することができることは当分野で知られている。驚くべきことに、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドは、安定なメタ重亜硫酸塩付加物に変換することにより精製されることができるのみならず、付加物は、11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンと直接反応することができ、付加物を分解し、アルデヒドを単離する必要もないことが見出された。このプロセスは、不純物生成がより少なく、良好な収率で生成物を与える。付加物は、しかも、対応する21イソブチリル化合物(すなわち、Rが、-C(O)CH(CHである式Aの化合物)と反応して、シクレソニドを直接生じ得る。このプロセスは、21ヒドロキシ基をイソブチリル基に変換する追加的工程を伴わないことから、非常に便利である。したがって、このようなプロセスは、更により高い収率のシクレソニド生成物を生じる。
【0036】
別の側面では、本発明は、変性工業用スピリットのような溶剤に溶解したシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを、水中の、アルカリ金属メタ重亜硫酸塩、例えば、重亜硫酸ナトリウムの溶液と反応させることを含む、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸塩錯体を調製するためのプロセスを提供する。生じた沈殿物は、ろ過により単離されてもよく、工業用スピリットで洗浄され、真空オーブン中で乾燥され、錯体を得る。
【0037】
1つの具体例では、本発明は、以下のスキーム1で示されるとおりの、適切な溶剤、好ましくは、ジクロロメタンを使用して過塩素酸の存在下、メタ重亜硫酸ナトリウム錯体(2)を、11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンと反応させ、式(B)の化合物を与えることを含む、[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(C)の合成のための改善されたプロセスを提供する。化合物(B)は、適切な有機溶剤中で、有機塩基、好ましくは、トリエチルアミンを使用して、更に、塩化イソブチリルと反応させ、メタノールから単離され再結晶化される[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンを与える。
【化10】

【0038】
別の具体例では、本発明は、以下のスキーム2で示されるとおりの、適切な溶剤、好ましくは、ジクロロメタンを使用して過塩素酸の存在下、メタ重亜硫酸ナトリウム錯体(2)を、11β,16α,17α-トリヒドロキシ-21-アセテート-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(D)と反応させ、式(E)の化合物を与えることを含む、[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(C)の合成のための改善されたプロセスを提供する。化合物(E)は、更に、加水分解させ、(B)をあたえ、(B)は、塩化イソブチリルと反応させ、メタノールから単離され再結晶化される[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(C)を与える。
【化11】

【0039】
本発明のプロセスは、驚くべきことに、所望のR-エピマーの割合が96%より大である、富化型のシクレソニドを与える。
【0040】
驚くべきことに、本発明の反応条件、特に、メタ重亜硫酸塩付加物を使用して、シクレソニドは、反応塊から直接単離することができ、R-エピマーは96%より大である。このエピマー純度は、先行技術で開示されたいずれもの大規模/反復結晶化をも用いずに達成される。エピマー含有量は、メタノールを使用する結晶化或いは再結晶化により、99%以上に更に向上させることができる。
【0041】
別の具体例では、本発明は、シクレソニドを調製するためのプロセスを提供し、ここで、11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(A)の保護形態(21位で保護)は、塩素化溶剤と水混和性有機溶剤との混合物を使用して、硫酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸、好ましくは、過塩素酸のような有機酸或いは無機酸の存在下、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドと反応される。反応は、また、0ないし25〜30℃の範囲の温度で、水混和性有機溶剤のみを使用してなされ、式(B)の化合物を与えた。使用される塩素化溶剤は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム若しくはそれらの混合物を含んでよく、使用される水混和性溶剤は、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、C1〜C4アルコール、アセトン若しくはそれらの混合物を含んでよい。化合物(B)は、適切な有機溶剤中で、有機塩基、好ましくは、トリエチルアミンを使用して、塩化イソブチリルと更に反応させ、メタノールから単離され、96%より大であるR-エピマー含有量を有する[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンを与える。
【0042】
更に別の具体例では、本発明は、以下のスキーム3で示されるとおりの、塩素化溶剤と水混和性有機溶剤との混合物若しくは水混和性有機溶剤のみを使用して、硫酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸、好ましくは、過塩素酸のような有機或いは無機酸の存在下、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドを11β,16α,17α-トリヒドロキシ-21-アセテート-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(D)と反応させ、式(E)の化合物を与えることを含む、[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(C)の合成のための改善されたプロセスを提供する。化合物(E)は、更に、塩化イソブチリルと反応させ、メタノールから単離され、随意に再結晶化される[11β,16α(R)]-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンを与える。
【化12】

【0043】
典型的には、11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシ-1,4-プレグナ-ジエン-3,20-ジオン(A)は、塩素化溶剤と水混和性有機溶剤との混合物を使用して、硫酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸、好ましくは、過塩素酸のような有機或いは無機酸の存在下、0〜30℃、好ましくは、0〜25℃の範囲の温度で、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドと反応して、式(B)の化合物を与える。式(B)の化合物は、更に、有機塩基、好ましくは、トリエチルアミンの存在下、塩化イソブチリルと反応させてもよく、生成物は、メタノールから単離されてもよい。シクレソニドは、更に、メタノールで再結晶化され、99%より大であるR-エピマー割合を有するシクレソニドを得る。
【0044】
シクレソニドを調製するための本発明のプロセスは、中間体(B)の単離を伴う必要はなく、中間体(B)が単離されないと、(B)の単離の間の収率損失は回避され、それゆえに、シクレソニドを良好な収率で提供する。
【0045】
本発明の実験の間に、シクレソニドは、C1〜C4アルコールと溶媒和物を形成する傾向を有することが見出された。シクレソニドは、メタノールから単離されると、メタノール溶媒和物の形の針状の結晶を生成し、以後、結晶変異体フォームCと命名される。このように別の側面で、本発明は、新規な結晶変異体シクレソニド(フォームC)を提供する。
【0046】
溶媒和物の形で、反応からシクレソニドを単離する利点は、反応中に生成される不純物を含まず、しかも、シクレソニドは、エピマー純度に関して富化形態で得られることであり、シクレソニドメタノール溶媒和物は、好ましくは、96%より大きいエピマー純度を有する。シクレソニドメタノール溶媒和物のメタノール含有量は、1〜10%の範囲である。
【0047】
メタノール溶媒和物は、好ましくは、50〜60℃の範囲の温度で、1〜6時間の範囲の時間中、水中での攪拌により、脱溶媒和されてもよい。懸濁液は、次いで、冷却され、固形物は、ろ過され、好ましくは、60℃超、より好ましくは、90℃超の温度で真空オーブン中で乾燥されてもよく、なんら残留溶剤のない結晶性無水シクレソニドを得る。
【0048】
メタノール溶媒和物シクレソニドは、25〜60℃の範囲の温度で、2〜12時間の範囲の時間中、反溶剤中での攪拌により、脱溶媒和されてもよい。懸濁液は、次いで、25℃未満、好ましくは、0〜10℃の範囲の温度まで冷却され、ろ過されてもよい。湿潤固形物は、真空下好ましくは、90℃の温度で乾燥されてもよい。使用される反溶剤は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン及びジイソプロピルエーテルから成る群より選ばれてよい。脱溶媒後、シクレソニドは、無水結晶形フォームAとして、単離される。
【0049】
このように、アルコール溶媒和物から無水結晶性シクレソニドフォームAを調製するためのプロセスは、本発明の別の側面を形成する。
【0050】
本発明のシクレソニドフォームCは、更に、図1に示されるX線粉末回折スペクトルにより特徴付けられ、ここで、垂直軸は強度であり、水平軸は、度での2θ角度である。
【0051】
シクレソニドフォームCのXRPDは、Cu Kアルファ-1放射線源を使用するリガクミニフレックス拡張型粉末X線粉末回折計により測定され、表1で表されるとおりのピーク(±0.2゜2θ)を有するそのX線粉末回折スペクトルにより特性決定される。
【表1】

【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、本発明の化合物と組成物の調製のある面と具体例を詳細に明らかにする、次の例の参照により更に説明される。当業者には、材料と方法共に多くの改変が、本発明の目的と趣旨を逸脱することなく実施することができることは明らかであろう。引き続く例は、前記記載し以下に特許請求するとおりの本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0053】

例1
シクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸塩錯体の調製
100gmsのシクロヘキサンカルボキシアルデヒドが、400mlの工業用スピリット(変性アルコール)に溶解され、水(150ml)中のメタ重亜硫酸ナトリウム(95gms)溶液が、攪拌下添加された。得られた沈殿物は、ろ過され、工業用スピリットで洗浄され、約50〜60℃の温度で真空下乾燥され、99.5%の純度を有する150gmsの表題の錯体を得た。
【0054】
例2
11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(B)の調製
100gmの16α-ヒドロキシプレドニゾロン(A)が、2.0ltのジクロロメタン中に懸濁され、200mlの70%過塩素酸で処理された。50gmsのシクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸塩錯体(2)が、温度0〜5℃に維持しながら、ロットに添加された。反応塊は、0〜5℃で6時間攪拌され、次いで、10%の重炭酸ナトリウム溶液で中和された。有機相が分離され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥された。有機相は、真空下濃縮され、100mlのメタノールでストリップされた残留物を得た。溶剤は濃縮され、残留物は、メタノール中で還流により溶解された。透明な溶液が、25〜30℃まで冷却され、得られた固形物は、真空下ろ過され、80gmの表題の化合物(エピマー比R:S=97.5:2.5)を得た。
【0055】
例3
11β,16α(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(C)-シクレソニドの調製
25gmの11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(B)が、25〜30℃で、250mlのジクロロメタン中に懸濁された。反応塊は、0〜5℃まで冷却され12.8mlのトリエチルアミンが添加され、引き続き、125mlのジクロロメタン中に希釈された10.0mlの塩化イソブチリルが、0〜5℃で30分間にわたりゆっくり添加された。反応塊は、400mlの水で希釈され、有機層は分離され、水で洗浄され、硫酸ナトリウムで乾燥され、真空下濃縮され、残留物を得た。残留物は100mlのメタノールで還流することにより溶解された。透明な溶液は、10〜15℃に冷却され、ろ過された。生成物は、真空下90℃で乾燥され、25gmの純粋な表題の化合物を得た。必要なら、生成物はメタノールから再結晶化され、所望のエピマー比R:S=99.7:0.3を得た。
【0056】
例4
11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、21-アセテート(E)の調製
75gmの11β,16α,17α-トリヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、21-アセテート(D)が、1.0ltのジクロロメタン中に懸濁され、100mlの70%過塩素酸で処理された。30gmsのシクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸塩錯体(2)が、温度0〜5℃に維持しながら、ロットに添加された。反応塊は、0〜5℃で6時間攪拌され、次いで、10%の重炭酸ナトリウム溶液で中和された。有機相が分離され、真空下濃縮して残留物を得た。メタノールが添加され、得られた懸濁液は、1時間攪拌され、ろ過され、真空下乾燥され、65gmの表題の化合物(エピマー比R:S=94:6)を得た。
【0057】
例5
11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(B)の調製
33gmの11β,16α(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、21-アセテート(E)が、窒素雰囲気下、330mlのメタノールと165mlのジクロロメタン中に懸濁され、透明な溶液を得た。反応は、0〜5℃まで冷却され、1.32gmの水酸化カリウムが、0〜5℃の温度に維持しながら、添加され、1時間更に攪拌された。溶液は、稀酢酸(pH6.0〜7.0)を使用して中和され、真空中で濃縮され、濃いスラリーを得た。70mlのメタノールが添加され、懸濁液は、50℃まで加熱され、1時間攪拌され、その後、0〜5℃まで冷却され、ろ過され、25gmの表題の化合物(エピマー比R:S=95:5)を得た。
【0058】
例6
11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(B)の調製
11β,16α、17α-21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(A)(100gms)が、ジクロロメタン(1.0ltr.)とアセトニトリル(1.0ltr.)の混合物中に添加され、0℃まで冷却された。過塩素酸(400ml)が、0〜5℃で反応塊に添加され、引き続き、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド(40ml)が添加され、温度0〜5℃で4〜5時間攪拌された。反応完了後、10%の重炭酸ナトリウム溶液(2.0ltr.)が、攪拌下添加された。ジクロロメタン層が分離され、水で洗浄され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥された。溶剤は真空下50℃未満で濃縮され、残留物を得た。残留物は、メタノール(300ml)中に溶解され、25〜30℃で2時間攪拌された。生成物は、ろ過され、真空下70℃で乾燥され、90gmの(B)(エピマー比R:S=90:10)を得た。
【0059】
例7
11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(1)-シクレソニドの調製
50gmの11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(B)が、25℃で500mlのジクロロメタン中に懸濁された。懸濁液は、0〜5℃まで冷却され、26mlのトリエチルアミンが添加された。250mlのジクロロメタンで希釈された20.0mlの塩化イソブチリルが、0〜5℃で、30分間にわたり、ゆっくりと添加された。反応完了後、反応塊は、800mlの水で希釈され、有機層は分離され、水で洗浄された。有機層は硫酸ナトリウムを使用して乾燥され、真空下濃縮され、残留物を得た。残留物は、200mlのメタノール中で還流され、透明な溶液を得た。透明な溶液は、0〜5℃まで冷却され、1時間攪拌され、ろ過され、冷却されたメタノールで洗浄され、真空下乾燥され、エピマー比(R:S=99.62:0.38)を有する40gmの純粋な生成物を得た。得られた固形物は、メタノール溶媒和物(フォームC)と同定され、粉末X線回折により特性決定された。
【0060】
例8
フォームCの脱溶媒
シクレソニドメタノール溶媒和物100gms(フォームC)が、1.0lt.の水に懸濁され、懸濁液は、攪拌され、50〜60℃で、2時間加熱された。懸濁液は、25〜30℃まで冷却された。固形物はろ過され、水で洗浄され、真空下90℃で6時間乾燥され、96gmsの無水結晶性シクレソニド(フォームA)を得た。
【0061】
例9
11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン,21-アセテート(E)の調製
50gmの11β,16α,17α,トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン,21-アセテート(D)が、1.0ltのジクロロメタン中に懸濁され、75mlの70%過塩素酸で処理され、次いで0〜5℃まで冷却された。20mlのシクロヘキサンカルボキシアルデヒドが、温度0〜5℃に維持しながら、滴下された。0〜5℃で6時間攪拌後、反応塊は、10%の重炭酸ナトリウム溶液で中和された。有機相が分離され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥され、有機相は、真空下濃縮され、油状物が得られ、ジ-イソプロピルエーテル中で攪拌された。得られた固形物は、ろ過され、乾燥され、44gmのエピマー比R:S=92:8を有する粗生成物を得た。粗生成物は、88mlのメタノールに70℃で溶解され、透明な溶液は0〜5℃まで冷却され、得られた固形物は、ろ過され、メタノールで洗浄され、真空下乾燥され、36gmの純粋な表題の化合物(エピマー比R:S=96:4)を得た
例10
11β,16α(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(B)の調製
50gmの11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン,21-アセテート(E)が、窒素雰囲気下、400mlのメタノールと200mlのジクロロメタン中に懸濁され、透明な溶液を得た。反応塊は、冷却され、1.32gmの水酸化カリウムが、添加され、1時間攪拌された。溶液は、稀酢酸(pH6.0〜7.0)により中和され、真空中で濃縮され、濃いスラリーを得た。生成物は、次いで、50℃でメタノール中に溶解され、その後、0〜5℃に冷却され、ろ過され、乾燥され、35gm(エピマー比R:S=98:2)を得た
例11
11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(1)-シクレソニドの調製
100gmの11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(B)が、25℃で1000mlのジクロロメタン中に懸濁され、0〜5℃まで冷却された。50mlのトリエチルアミンが添加された。500mlのジクロロメタンで希釈された40.0ml塩化イソブチリルが、0〜5℃で、30分間にわたり、ゆっくりと添加された。反応完了後、反応塊は、1500mlの水で希釈され、有機層は分離され、水で洗浄された。有機層は硫酸ナトリウムを使用して乾燥され、真空下濃縮され、残留物を得た。残留物は、500mlのメタノールで還流され、透明な溶液を得た。透明な溶液は、0〜5℃に冷却され、1時間攪拌され、ろ過された。湿潤ケーキは、200mlのジイソプロピルエーテル中で1時間攪拌され、ろ過された。得られた固形物は、真空下90℃で乾燥され、80gmの純粋な無水結晶性シクレソニド(フォームA)(エピマー比R:S=99.7:0.3)を得た。
【0062】
例12
11β,16α-(R,S)-16,17-[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン(1)-シクレソニドの調製
11β,16α、17α-21-トリヒドロキシプレグナ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)1,4-ジエン-3,20-ジオン(100gms)が、ジクロロメタン(1.0ltr.)とアセトニトリル(1.0ltr.)の混合物中に添加され、0℃まで冷却された。過塩素酸(400ml)が、0〜5℃で反応塊に添加され、引き続き、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド(40ml)が添加され、0〜5℃で、4〜5時間攪拌された。反応完了後、10%の重炭酸ナトリウム溶液(2.0ltr.)が、攪拌下添加された。ジクロロメタン層が分離し、水で洗浄され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥された。溶剤は真空下50℃未満で濃縮され、残留物を得た。残留物は、メタノール(300ml)中に溶解され、25〜30℃で2時間攪拌された。生成物は、ろ過され、メタノールから再結晶化され、真空下50℃で乾燥され、90gmの(1)(エピマー比R:S=98:2)を得た。
【0063】
本発明が、付属した特許請求の範囲内で改変し得ることは、理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸と溶剤の存在下、RがH若しくは保護基である式Aの化合物と、Xがアルカリ金属である式2のメタ重亜硫酸塩錯体を反応させることを含む、式Bの化合物の調製方法。
【化1】

【化2】

【化3】

【請求項2】
Rは、-C(O)R’であり、ここで、R’は、C1〜C6の直鎖或いは分枝鎖アルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
R’は、メチルである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
R’は、-CH(CHであり、式Bの化合物がシクレソニドである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
Xは、カリウム或いはナトリウムである、請求項1〜4何れか1項記載の方法。
【請求項6】
Xは、ナトリウムである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
酸は、硫酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸及び過塩素酸から成る群より選ばれる、請求項1〜6何れか1項記載の方法。
【請求項8】
酸は、過塩素酸である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
溶剤は、ジクロロエタン、アセトニトリル、トルエン及びジクロロメタンから成る群より選ばれる、請求項1〜8何れか1項記載の方法。
【請求項10】
溶剤は、ジクロロメタンである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
Rは、-C(O)CH(CHではなく、式Bの化合物をシクレソニドに変換することを、更に含む、請求項1〜10何れか1項記載の方法。
【請求項12】
Rは、保護基であり、変換は、-OR基をヒドロキシ基に変換し、ヒドロキシ基を-OC(O)CH(CH基に変換することを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
Rは、-C(O)R’であり、-ORのヒドロキシ基への変換が、加水分解を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
ヒドロキシ基を-OC(O)CH(CH基へと変換する工程が、イソ酪酸無水物或いは塩化イソブチリルの存在下実行される、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
Xがアルカリ金属である、式2を有するシクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸塩錯体。
【化4】

【請求項16】
Xは、カリウム或いはナトリウムである、請求項15記載のメタ重亜硫酸塩錯体。
【請求項17】
Xは、ナトリウムである、請求項16記載のメタ重亜硫酸塩錯体。
【請求項18】
Xがアルカリ金属で、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドを、水と溶剤の存在下、式Xを有する対応するアルカリ金属メタ重亜硫酸塩と反応させることを含む、式2を有するメタ重亜硫酸塩錯体の調製方法。
【化5】

【請求項19】
Xは、カリウム或いはナトリウムである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
Xは、ナトリウムである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
溶剤が、変性エタノールである、請求項18〜20何れか1項記載の方法。
【請求項22】
シクレソニドの調製における、請求項15〜17何れか1項記載のシクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸塩錯体の使用。
【請求項23】
Rが、保護基である式Aの化合物とシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを、酸と溶剤の存在下反応させることを含む式Bの化合物の調製方法。
【化6】

【化7】

【請求項24】
溶剤が、水混和性溶剤或いは塩素化溶剤と水混和性有機溶剤との混合物である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
Rは、-C(O)R’であり、ここで、R’は、C1〜C6の直鎖或いは分枝鎖アルキル基である、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
R’は、メチルである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
酸は、有機酸或いは無機酸である、請求項23〜26何れか1項記載の方法。
【請求項28】
酸は、硫酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸及び過塩素酸から成る群より選ばれる、請求項27記載の方法。
【請求項29】
酸は、過塩素酸である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
塩素化溶剤は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム若しくはそれらの混合物から成る群より選ばれる、請求項24〜29何れか1項記載の方法。
【請求項31】
水混和性溶剤は、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、C1〜C4アルコール、アセトン若しくはそれらの混合物から成る群より選ばれる、請求項24〜30何れか1項記載の方法。
【請求項32】
塩素化溶剤は、ジクロロメタンであり、水混和性溶剤は、アセトニトリルである、請求項24〜29何れか1項記載の方法。
【請求項33】
R’は、-CH(CHであり、式Bの化合物がシクレソニドである、請求項25記載の方法。
【請求項34】
Rは、-C(O)CH(CHではなく、式Bの化合物をシクレソニドに変換することを、更に含む、請求項23〜32何れか1項記載の方法。
【請求項35】
変換が、-OR基をヒドロキシ基に変換し、ヒドロキシ基を式-OC(O)CH(CHを有する基に変換することを含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
Rは、-C(O)R’であり、-ORのヒドロキシ基への変換が、加水分解を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
ヒドロキシ基を-OC(O)CH(CH基へと変換する工程が、イソ酪酸無水物或いは塩化イソブチリルの存在下実行される、請求項11または12記載の方法。
【請求項38】
RがHである式Bの化合物を、有機塩基と有機溶剤の存在下、塩化イソブチリルと反応させことを含むシクレソニドの調製方法。
【化8】

【請求項39】
塩基は、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ピペリジン及びトリアルキルアミンから成る群より選ばれる、請求項38記載の方法。
【請求項40】
トリアルキルアミンがトリエチルアミンである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
有機溶剤は、塩素化溶剤である、請求項38〜40何れか1項記載の方法。
【請求項42】
塩素化溶剤は、ジクロロメタンである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
式Bの化合物が、請求項1〜3、請求項5〜10及び請求項23〜32何れか1項記載の方法により調製される、請求項38〜42何れか1項記載の方法。
【請求項44】
メタノールからシクレソニドを結晶化或いは再結晶化することを含む、シクレソニドの精製方法。
【請求項45】
シクレソニドが、請求項4、請求項11〜14何れか1項、請求項33〜42何れか1項記載の方法により調製される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
精製されたシクレソニドが、結晶性メタノール溶剤和物フォームCの形態である、請求項44または45記載の方法。
【請求項47】
Rは保護基であるが、但し、Rは、-C(O)CHではない、化合物A。
【化9】

【請求項48】
Rは、-C(O)R’であり、ここで、R’は、C1〜C6の直鎖或いは分枝鎖アルキル基である、請求項47記載の化合物A。
【請求項49】
R’は、-CH(CHである、請求項48記載の化合物A。
【請求項50】
Rは保護基であるが、但し、Rは、-C(O)CH(CHではない、化合物B。
【化10】

【請求項51】
Rは、-C(O)R’であり、ここで、R’は、C1〜C6の直鎖或いは分枝鎖アルキル基である、請求項50記載の化合物B。
【請求項52】
Rは、メチルである、請求項51記載の化合物B。
【請求項53】
結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームC。
【請求項54】
メタノール含有量が、1%〜10%の範囲である、請求項53記載の結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームC。
【請求項55】
8.7、15.9及び18.2゜2θ±0.2゜2θに特性ピークを有するX線粉末回折パターンを有するものとして特性決定される、請求項53または54記載の結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームC。
【請求項56】
13.1、15.2及び26.2゜2θ±0.2゜2θに更なる特性ピークを有するX線粉末回折パターンを有するものとして特性決定される、請求項55記載の結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームC。
【請求項57】
10.5、11.8、12.9、17.6及び24.7゜2θ±0.2゜2θに更なる特性ピークを有するX線粉末回折パターンを有するものとして特性決定される、請求項56記載の結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームC。
【請求項58】
図1で説明されるとおりのX線回折図或いは実質的に同じX線回折図を有する、請求項53または54記載の結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームC。
【請求項59】
結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCを脱溶媒和することを含む無水結晶性シクレソニドフォームAの調製方法。
【請求項60】
結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCが、1〜6時間の範囲の時間中、水中で攪拌され、懸濁液を生成し、引き続き冷却し、結晶性無水シクレソニドフォームA固形物を単離する、請求項59記載の方法。
【請求項61】
攪拌が、50〜60℃の範囲の温度で行われる、請求項60記載の方法。
【請求項62】
単離された固形物が、60℃超の、より好ましくは、90℃超の温度で真空オーブンで乾燥される、請求項60または61記載の方法。
【請求項63】
結晶性シクレソニドメタノール溶媒和物フォームCが、2〜12時間の範囲の時間中、25〜60℃の範囲の温度で反溶剤中で攪拌され、懸濁液を生成し、引き続き冷却し、結晶性無水シクレソニドフォームA固形物を単離する、請求項59記載の方法。
【請求項64】
懸濁液は、25℃未満の温度、好ましくは、0〜10℃の範囲の温度まで冷却される、請求項63記載の方法。
【請求項65】
固形物は、好ましくは、90℃で真空下乾燥される、請求項63または64記載の方法。
【請求項66】
反溶剤はヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン及びジイソプロピルエーテルから成る群より選ばれる、請求項63〜65何れか1項記載の方法。
【請求項67】
請求項4、請求項11〜14何れか1項、請求項33〜46及び請求項59〜66何れか1項記載の方法により調製される、シクレソニド。
【請求項68】
1以上の薬学的に受容可能な賦形剤と共に、請求項53〜58何れか1項若しくは請求項67記載のシクレソニドを含む医薬組成物。
【請求項69】
請求項53〜58何れか1項若しくは請求項67記載のシクレソニドの医薬における使用。
【請求項70】
請求項53〜58何れか1項若しくは請求項67記載のシクレソニドの肺の炎症を低減するための医薬製造における使用。
【請求項71】
必要な患者の肺の炎症を低減する方法であって、前記患者に、請求項53〜58何れか1項若しくは請求項67記載のシクレソニドを投与することを含む、方法。
【請求項72】
付随する例3、7、11及び12について、実質的にここに記載されるとおりのシクレソニド。
【請求項73】
付随する例1について、実質的にここに記載されるとおりのシクロヘキサンカルボキシアルデヒドメタ重亜硫酸ナトリウム錯体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−503722(P2010−503722A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528780(P2009−528780)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003549
【国際公開番号】WO2008/035066
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】