説明

シクロプロピル縮合ピロリジン骨格を有するジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤及び方法

【課題】新規なジペプチジルペプチダーゼIV(DP 4)阻害化合物。
【解決手段】
式:
【化1】


[式中、
xは0又は1であり、yは0又は1であり(yが0のときxは1であり、yが1のときxは0である);
nは0又は1であり;
Xは水素又はシアノ基であり;
式中、R1、R2、R3及びR4は、本明細書で記載のとおりである]
の構造式を有する化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシクロプロピル縮合ピロリジン骨格を有するジペプチジルペプチダーゼIV(DP−4)の阻害剤に関するものであり、糖尿病、特にタイプIIの糖尿病の治療方法に関するもので、高血糖、X症候群、糖尿病合併症、高インスリン血症、肥満症、アテローム性動脈硬化症、及び様々な免疫調節性の疾病及び慢性炎症性腸疾患と同様関連する疾病も同様に含まれる。そのようなシクロプロピル縮合ピロリジンは単独又は別の種類の抗糖尿病薬及び/又は他の種類の治療剤との組合わせで使用される。
【背景技術】
【0002】
ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−4)は、Tリンパ球(そこで、酵素はCD−26として知られている)が循環しているのと同様に、様々な組織(腸、肝臓、肺、腎臓)に存在する非古典的なセリンアミノジペプチダーゼに結合した膜である。それは、ある内在性のタンパク質(GLP−1(7−36)、グルカゴン)をインビボで代謝性開裂する原因であり、様々な他のタンパク質(GHRH、NPY、GLP−2、VIP)に対してインビトロでタンパク質分解活性を示す。
【0003】
GLP−1(7−36)は、小腸においてプログルカゴンの翻訳後の工程によって得られる29アミノ酸のタンパク質である。GLP−1(7−36)は、インビボで、インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、、満腹促進及び胃排出の遅延を含む多数の活性を有する。生理学的なプロフィールに基づき、GLP−1(7−36)の活性は、タイプIIの糖尿病及び潜在的な肥満症の治療及び予防に有効であると期待されている。この主張を支持して、GLP−1(7−36)の糖尿病患者への外的な投与(連続的な注入)がこの患者群に効果を示す。不幸にして、GLP−1(7−36)はインビボで素早く分解し、インビボで短い半減期(tl/2=1. 5 分)であることが示されている。遺伝的交系な(genetically bred)DP−4ノックアウトマウスの研究及び選択的なDP−4阻害剤によるインビボ/インビトロの研究に基づき、DP−4はインビボにおいてGLP−1(7−36)の初期分解酵素であることが示唆されている。GLP−1(7−36)はDP−4によって効果的にGLP−1(9−36)分解され、生理学的なアンタゴニストとしてGLP−1(7−36)へ作用すると推測されている。従って、DP−4のインビボでの阻害は、GLP−1(7−36)の内因性のレベルを増強し、そのアンタゴニストGLP−1(9−36)の形成を減弱し、そして糖尿病の状態を回復させるのに役立つと考える。
【0004】
(発明の開示)
本発明によれば、シクロプロピル縮合ピロリジン骨格を有する化合物は、DP−4を阻害し、式:
【化1】

[式中、
xは0又は1であり、yは0又は1であるが、
yが0のときxは1であり、
yが1のときxは0であり;
nは0又は1であり;
Xは水素又はCN(すなわち、シアノ基)であり;
1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ビシクロアルキル、 トリシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルシクロアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシビシクロアルキル、ヒドロキシトリシクロアルキル、ビシクロアルキルアルキル、アルキルチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール, ヘテロアリールアルキル, シクロヘテロアルキル又はシクロヘテロアルキルアルキルの中から独立して選択されるものであり、これらすべての基は、適宜、有効な炭素原子に、水素原子、ハロ、アルキル、ポリハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ポリハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ポリシクロアルキル、ヘテロアリールアミノ、アリールアミノ、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、 ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロ、シアノ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキニルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルスルフィニル、スルホンアミド又はスルホニルの中から選択される1、2、3、4又は5基で置換されていてもよく;
1及びR3は一緒になって−(CR56m−を形成していてもよく、ここでmは2〜6、R5及びR6は、同一又は異なって、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロヘテロアルキル、ハロ、アミノ、置換されたアミノ、シクロヘテロアルキルアルキル, アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル又はアルキルアミノカルボニルアミノの中から独立して選択されるものである。また、R1及びR4は一緒になって−(CR78p−を形成していてもよく、ここでpは2〜6、R7及びR8は、同一又は異なって、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、水素元素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール, アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロヘテロアルキル、ハロ、アミノ、置換されたアミノ、シクロヘテロアルキルアルキル、アルキルカルボニルアミノ, アリールカルボニルアミノ, アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル又はアルキルアミノカルボニルアミノの中から独立して選択されるものである。また、R1及びR3
【化2】

と共に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(SO)又はスルホニル(SO2)の中から選択される全部で2〜4のヘテロ原子を含んだ5〜7員環を形成してもよく;
また、R1及びR3
【化3】

と共に、4〜8員シクロヘテロアルキル環を形成してもよい。その中で、シクロヘテロアルキル環はアリール環と縮合していてもよく、また3〜7員シクロアルキル環と縮合していてもよい]
の構造を持つ化合物で、医薬的に許容できるそれらの塩、又はそのプロドラッグエステル、及びその全立体異性体を含む。
【0005】
ここで、本発明の式Iの化合物は以下の構造式を有するものが含まれる。
【化4】

【0006】
さらに、本発明によれば、糖尿病、特にタイプIIの糖尿病、並びに、障害性グルコースホメオスタシス、障害性グルコース耐性、不妊治療剤、多嚢胞性卵巣症候群、成長障害、薄弱、関節炎、移植における同種移植拒絶、自己免疫疾患(例えば、強皮症及び多発性硬化症)、様々な免疫調節性疾患(例えば、紅斑性狼蒼又は乾癬)、AIDS、腸疾患(例えば、壊死性の腸炎,微絨毛封入症又は腹腔症)、炎症性腸症候群、化学療法誘導型腸粘膜萎縮症又は傷害、拒食症、骨粗鬆症、X症候群、代謝障害症候群、糖尿病合併症、高インスリン血症、肥満症、アテローム性動脈硬化症、及び炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)等の治療方法が提供される。その治療においては、構造式Iの化合物の治療上効果的な(DP4を阻害するための)量を、治療が必要なヒトの患者に投与する。
【0007】
「X症候群」又は代謝性症候群における状態、病気及び疾患については、Johannsson J. Clin. Endocrinol. Metab., 82, 727-734 (1997)に詳述されている。
【0008】
また、本発明は、上述及び後述する糖尿病及びその関連疾患、並びに上述の他のいずれの疾病に対する治療法も提供するものであり、その治療においては、構造式Iの化合物と、他のタイプの抗糖尿病薬(糖尿病 及びその関連疾患の治療に用いられる)の1、2、3種又はそれ以上の、及び/又は他のタイプの療法剤の1、2、3種又はそれ以上との組合わせを治療上効果的な量で、治療が必要なヒトの患者に投与する。
【0009】
用語「糖尿病及びその関連疾患」とは、タイプIIの糖尿病、タイプIの糖尿病、障害性グルコース耐性、肥満症、高血糖症、X症候群、代謝障害症候群、糖尿病合併症、代謝障害症候群、及び高インスリン血症をいう。
【0010】
「糖尿病合併症」の状態、病気及び疾患には、網膜症、神経障害、腎障害及び他に知られている糖尿病の合併症を含む。
【0011】
ここで用いられる用語「他のタイプの療法剤」とは、1又はそれ以上の 抗糖尿病薬(式IのDP4阻害剤と異なる)、1又はそれ以上の抗肥満薬、及び/又は1又はそれ以上の脂質調節剤(抗アテローム性動脈硬化症薬を含む)、及び/又は1又はそれ以上の不妊治療剤、1又はそれ以上の多嚢胞性卵巣症候群の治療剤、1又はそれ以上の成長障害の治療剤、1又はそれ以上の薄弱の治療剤、1又はそれ以上の関節炎の治療剤、1又はそれ以上の移植における同種移植拒絶の予防、1又はそれ以上の自己免疫疾患の治療剤、1又はそれ以上の抗AIDS剤、1又はそれ以上の抗骨粗鬆症薬、1又はそれ以上の免疫調節性疾患の治療剤、1又はそれ以上の慢性炎症性腸疾患又は症候群、及び/又は1又はそれ以上の拒食症治療剤をいう。
【0012】
ここで用いられる用語「脂質調節」剤とは、LDLを下げ、及び/又はHDLを上げ、及び/又はトリグリセリドを下げ、及び/又は総コレステロールを下げる薬剤、及び/又は脂質障害を療法的に治療する他に知られているメカニズムをいう。
【0013】
本発明の上述の方法において、構造式Iの化合物は、抗糖尿病薬又は他のタイプの療法剤(処置方法によっても変わるが)に対して重量比で約0.01:1から約500:1、好ましくは約0.1:1から約100:1、より好ましくは約0.2:1から約10:1の範囲内で用いられる。
【0014】
式Iの好ましい化合物は、式中、
3は水素又はアルキルであり;
1は水素、アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシトリシクロアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシビシクロアルキル、又はヒドロキシアルキルシクロアルキルであり;
2は水素又はアルキルであり;
nは0であり;
Xはシアノであり;
xは0又は1であり;
yは0又は1である、
化合物である。
【0015】
式Iの最も好ましい化合物は、式中、Xが
【化5】

であり;及び/又は、縮合シクロプロピル基が
【化6】

の化合物である。
【0016】
従って、本発明の式Iの好ましい化合物は、下部部分:
【化7】

を含む。
【0017】
特に好ましい化合物は、以下の式:
【化8】

[1S,2(2S),3S,5S]
[式中、
1はアルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシアルキルシクロアルキル、ヒドロキシビシクロアルキル、又はヒドロキシトリシクロアルキル];
【化9】

[1R,2S,3(2S),5S]
[式中、
1はアルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル、ヒドロキシビシクロアルキル、ヒドロキシトリシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、又はヒドロキシアルキルシクロアルキル];
並びに、下記式:
【化10】

のものである。
【0018】
構造Iの化合物は、以下の反応式及び説明で示される方法で合成することができる。
【0019】
反応式1に示されるように、化合物1(式中、PG1はBoc、Cbz、又はFMOCのような一般的なアミンの保護基であり、X1は水素又は以下で述べるところのCO29である)は、本明細書に記載の方法、又は文献(例えば、Sagnardら,Tet-Lett.,1995,36,pp. 3148‐3152、Tverezovskyら,Tetrahedron,1997,53,pp. 14773‐14792、Hanessianら,Bioorg. Med. Chem. Lett.,1998,8,p. 2123‐2128)の方法により合成することができる。常法によるPG1基の除去[例えば、(1)PG1がBocの場合は、TFA又はHCl、(2)PG1がCbzの場合は、H2/Pd/C,TMSI、(3)PG1がFMOCの場合は、Et2NH]により、フリーのアミン体2が得られる。アミン体2は、標準的なペプチド結合条件(例えば、EDAC/HOAT,i−BuCOCOCl/TEA,PyBop/NMM)を用い、3(式中、PG2は保護基PG1のいずれでも可)のような様々な保護されたアミノ酸と結合して、対応するジペプチド4が得られる。アミン保護基PG2を除去して本発明(式中、Xが水素)の化合物Iaが得られる。
【0020】
式中、X1=CO29(式中、R9は、メチル、エチル、t−ブチル、又はベンジルのようなアルキル基又はアラルキル基である)の場合、エステル体は様々な条件下、例えばメタノール、THF、又はジオキサンといった安定な溶媒中水酸化ナトリウム水溶液で、加水分解され、酸5が得られる。酸性基から第1カルボキサミドへの変換して6を得るのは、酸性基の活性化(例えばi−BuOCOCl/TEA又はEDACを用いて)、それに続くジオキサン、エーテル、又はメタノールといった溶媒中のアンモニア又はアンモニアと等価なもので処理することで遂行される。アミド官能基性は、様々な標準的な条件で(例えば、オキシ塩化リン/ピリジン/イミダゾール又はシアヌル酸クロリド/DMF又は無水トリフルオロ酢酸,THF,ピリジン)、ニトリル基に変換され、7が得られる。最終的に、上記と同様のPG2保護基の除去で、本発明Ibの化合物が得られる。
【0021】
別の手順(反応式2)において、化合物1(式中X1がCO29である)は酸にけん化され、続いて上述のとおりアミド化されてアミド体8が得られる。PG1基の除去、それに続く3とのペプチド結合により、Ibの合成中間体である化合物6を得る。
【0022】
別法として、8のカルボキサミド基を上述のようにニトリル体に変換して化合物9を得ることができる。PG1の脱保護で、10が得られ、これを標準的なペプチド結合条件におくことで、Ibの合成中間体である7が得られる。化合物10はまた、アミン体2の酸化(例えばNCS)、これに続く加水分解とその後のシアン化物処理により、合成される。化合物10は、立体異性体の混合物として得られるか、(常法により)エピマー化して立体異性体の混合物となり得る単一の異性体/ジアステレオマーとして得られる。
反応式1
【化11】

a. PG1 = Boc, TFA 又は HCl ; PG1 = Cbz, H2/Pd/C 又は TMSI ; PG1 = FMOC, Et2NH b. EDAC, HOBT, DMF 又は i-BuOCOCl/TEA 又は PyBop, NMM c. PG2 = PG1, (aの条件参照) d. LiOH 又は NaOH MeOH 又は THF/H20 又は ジオキサン e. i-BuOCOCl/NMM 又は i-BuOCOCl/TEA 又は EDAC, その後ジオキサン又はEt2O中 NH3 f. POCl3, ピリジン, イミダゾール又は塩化シアヌル, DMF 又は TFAA, THF, ピリジン.
反応式2
【化12】

a. MeOH 又は THF/H20 又はジオキサン中 LiOH 又は NaOH b. i-BuOCOCl/NMM 又は i-BuOCOCl/TEA 又は EDAC, その後 ジオキサン又はEt2O中 NH3 c. PG1 = Boc, TFA 又は HCl ; PG1 = Cbz, H2/Pd/C 又は TMSI ; PG1 = FMOC, Et2NH d. EDAC, HOBT, DMF 又は i-BuOCOCl/TEA 又は PyBop, NMM e. POCl3, ピリジン, イミダゾール 又は 塩化シアヌル, DMF.
【0023】
類似の方法により、
【化13】

のようなβ−アミノ酸は、8のフリーアミン体である2又は10と結合し、同じ化学手法によって、化合物Ia又はIbのβ−アミノ酸誘導体に変換し得る対応するアミド体を得ることができる。
【0024】
特に定義しなければ、用語「低級アルキル」、「アルキル」又は「アルカ(alk)」とは、単独又は他の置換基の一部として用いられ、直鎖及び分枝の炭化水素で、1〜20個の炭素、好ましくは1〜10個の炭素、より好ましくは1〜8個の炭素で通常の鎖状として含み、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチル−ペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、それらの様々な分枝鎖の異性体、及びそれらと同様のもの、例えば、ハロ(例えば、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素、又はトリフルオロメチル)、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリール (アリール)又はジアリール、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、アミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、アリールオキシアルキル、アルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールオキシアリール、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ハロアルキル、トリハロアルキル、及び/又はアルキルチオの置換基を1〜4個含んだ同様の官能基が挙げられる。
【0025】
特に定義しなければ、用語「シクロアルキル」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、飽和又は(1又は2個の二重結合を含む)部分的に不飽和な1〜3個の環からなる環状炭化水素基を含み、単環式アルキル、二環式アルキル(又はビシクロアルキル)及び三環式アルキル(トリシクロアルキル)を含み、合計3〜20個の炭素で環を形成し、好ましくは3〜10個の炭素で形成した環を含み、それらはアリールとして記述した1又は2個の芳香族環と縮合していてもよく、それらには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル及びシクロドデシル, シクロヘキセニル、アダマンチル、
【化14】

が含まれ、それらの置換基のいずれについても、1〜4個の置換基で置換されていてもよい。その置換基としては、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、オキソ、アシル、アリールカルボニルアミノ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、及び/又は アルキルチオ、及び/又はアルキルとして述べたいずれの置換基が挙げられる。
【0026】
用語「シクロアルケニル」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、3〜12個の炭素、好ましくは5〜10個の炭素、及び1又は2個の二重結合を含む環状炭化水素をいう。典型的なシクロアルケニル基には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロヘキサジエニル及びシクロヘプタジエニルが含まれ、それらはシクロアルキルで定義されたように置換されていてもよい。
【0027】
ここで使われる用語「シクロアルキレン」とは、遊離結合を含んだ「シクロアルキル」基をいい、例えば、
【化15】

及びその類似する結合基であり、「シクロアルキル」として上記で定義したように置換されていてもよい。
【0028】
用語「アルカノイル」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、カルボニル基に結合したアルキルをいう。
【0029】
特に定義しなければ、用語「低級アルケニル」又は「アルケニル」とは、単独又は他の置換基の一部として用いられ、直鎖及び分枝の鎖状基で、2〜20個の炭素、好ましくは2〜12個の炭素、より好ましくは1〜8個の炭素で通常の鎖状として含み、通常の鎖状において1〜6の二重結合を含む。これらの例として、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、4−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、3−オクテニル、3−ノネニル、4−デセニル、3−ウンデセニル、4−ドデセニル、4,8,12−テトラデカトリエニル、及びこれらの類似体が挙げられ、これらには、1〜4個の置換基で置換されていてもよい。ここで置換基としては、すなわち、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、シクロヘテロアルキル、アルカノイルアミノ、アルキルアミド、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、アルキルチオ、及び/又はここで述べたいずれのアルキル置換基が挙げられる。
【0030】
特に定義しなければ、用語「低級アルキニル」又は「アルキニル」とは、単独又は他の置換基の一部として用いられ、直鎖及び分枝の鎖状基で、2〜20個の炭素、好ましくは2〜12個の炭素、より好ましくは2〜8個の炭素で通常の鎖状として含み、通常の鎖状において1個の三重結合を含む。これらの例として、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニル、、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、2−ヘプチニル、3−ヘプチニル、4−ヘプチニル、3−オクチニル、3−ノニニル、4−デシニル、3−ウンデシニル、4−ドデシニル、及びその類似体が挙げられ、これらには、1〜4個の置換基で置換されていてもよい。ここで置換基としては、すなわち、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、アミノ、ヘテロアリール、シクロヘテロアルキル、ヒドロキシ、アルカノイルアミノ、アルキルアミド、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、及び/又はアルキルチオ、及び/又は本明細書で述べたいずれのアルキル置換基が挙げられる。
【0031】
用語「アリールアルケニル」及び「アリールアルキニル」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、アリール基を有する上述のアルケニル及びアルキニル基をいう。
【0032】
上記で定義されたアルキル基が2つの異なる炭素原子で、他の基と結合する一重結合を持つ場合、それらは「アルキレン」基と呼ばれ、「アルキル」として上記で定義されるように置換されてもよい。
【0033】
上記で定義されたアルケニル基及び上記で定義されたアルキニル基が、それぞれ2つの異なる炭素原子で結合する一重結合を持つ場合、それらは「アルケニレン基」及び「アルキニレン基」とそれぞれ呼ばれ、「アルケニル」及び「アルキニル」として上記で定義されるように置換されてもよい。
【0034】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素、同様にトリフルオロメチルをいい、好ましくは塩素又はフッ素をいう。
【0035】
用語「金属イオン」とは、ナトリウム、カリウム、リチウムといったアルカリ金属及びマグネシウム、カルシウムといったアルカリ土類金属をいい、亜鉛やアルミニウムも同様である。
【0036】
特に定義しなければ、用語「アリール」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、環の部位に6〜10個の炭素を含む単環式及びニ環式の芳香族基(例えば、フェニル、1−ナフチル及び2−ナフチルを含むナフチル)をいい、炭素環又はヘテロ環(例えば、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール又はシクロヘテロアルキル環)と縮合した1〜3個付加した環が含まれていてもよい。その例として、
【化16】

があり、有効炭素を通じて、1、2又は3個の基と置換していてもよい。その置換基としては、水素原子、ハロ、ハロアルキル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキニル、シクロアルキルアルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル, アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシ、アリールチオ、アリールアゾ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、1又は2個の置換基(置換基としてはアルキル、アリール又は定義で述べたいずれの他のアリール化合物のである)を含む置換されたアミノ、チオール、 アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリールチオアルキル、アルコキシアリールチオ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルフィニル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニルアミノ、又はアリールスルホン−アミノカルボニル、及び/又はここで述べたいずれのアルキル置換基が挙げられる。
【0037】
特に定義しなければ、用語「低級アルコキシ」、「アルコキシ」、「アリールオキシ」又は「アラルコキシ」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、酸素原子に結合する上述のアルキル、アラルキル又はアリール基のいずれも含まれる。
【0038】
特に定義しなければ、用語「置換されたアミノ」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、1又は2個の同一又は異なった置換基をいう。置換基の例としては、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、又はチオアルキルが挙げられる。これらの置換基は、上述のR1基又はR1についての置換基のいずれでも、更に置換してもよい。また、アミノ置換基は、窒素原子上で2つの置換基がいっしょにつながって、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、1−アゼピニル、4−モルホリニル、4−チアモルホリニル、1−ピペラジニル、4−アルキル−1−ピペラジニル、4−アリールアルキル−1−ピペラジニル、4−ジアリールアルキル−1−ピペラジニル、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、又は1−アゼピニルを形成していてもよい。また、これらの置換基は、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロ、トリフルオロメチル、又はヒドロキシで置換されていてもよい。
【0039】
特に定義しなければ、用語「低級アルキルチオ」、「アルキルチオ」、「アリールチオ」又は「アラルキルチオ」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、硫黄原子に結合した上述のアルキル、アラルキル又はアリール基のいずれをも含む。
【0040】
特に定義しなければ、用語「低級アルキルアミノ」、「アルキルアミノ」、「アリールアミノ」又は「アリールアルキルアミノ」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、窒素原子に結合した上述のアルキル、アリール又はアリールアルキル基のいずれをも含む。
【0041】
特に定義しなければ、用語「アシル」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、本明細書で定義されているように、カルボニル(C=O)基に結合している有機置換基をいう。アシル基の例には、カルボニルに結合したR1基のいずれも含まれ、例えばアルカノイル、アルケノイル、アロイル、アラルカノイル、ヘテロアロイル、シクロアルカノイル、 シクロヘテロアルカノイル、及びそれらの類似体が挙げられる。
【0042】
特に定義しなければ、用語「シクロヘテロアルキル」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、5、6又は7員環の飽和環又は部分的に不飽和な環で、炭素原子又はヘテロ原子と結合するところの、窒素、酸素及び/又は硫黄のような1〜2個のヘテロ原子が含まれる。ここで可能なら、リンカー(CH2r(ここでrは1、2又は3)を介していてもよく、これらの例は、
【化17】

に挙げるもの及びその類似体がある。上記の置換基には、アルキル、ハロ、オキソ及び/又はここで述べたいずれのアルキル置換基のような1〜4個の置換基が含まれていてもよい。また、シクロヘテロアルキル環は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はシクロヘテロアルキル環と縮合することができる。
【0043】
特に定義しなければ、用語「ヘテロアリール」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、窒素、酸素又は硫黄のような1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む5又は6員環の芳香環をいい、そしてアリール、シクロアルキル、ヘテロアリール又はシクロヘテロアルキル環と縮合したような環(例えば、ベンゾチオフェニル、インドリル)をいい、可能ならN−オキシド体を含む。ヘテロアリール基は、アルキルとして上述された置換基のいずれもの置換基が、1〜4個含まれていてもよい。ヘテロアリール基の例は、下式:
【化18】

とその類似体が含まれる。
【0044】
用語「シクロヘテロアルキルアルキル」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、上記で定義されているようなシクロヘテロアルキル基に、炭素原子又はヘテロ原子を介して(CH2r鎖と結合しているものをいう。
【0045】
用語「ヘテロアリールアルキル」又は「ヘテロアリールアルケニル」とは、ここで単独又は他の置換基の一部として用いられ、上記で定義されているようなヘテロアリール基に、炭素原子又はヘテロ原子を介して(CH2r鎖、上述のアルキレン又はアルケニレンと結合しているものをいう。
【0046】
ここで用いられる用語「ポリハロアルキル」とは、2〜9個、好ましくは2〜5個のハロ置換基(フッ素、塩素、好ましくはフッ素)を含む上記で定義されている「アルキル」基をいい、例としてCF2CH2、CF3又はCF3CF2CH2が挙げられる。
【0047】
ここで用いられる用語「ポリハロアルコキシ」とは、2〜9個、好ましくは2〜5個のハロ置換基(フッ素、塩素、好ましくはフッ素)を含む上記で定義されている「アルコキシ」基又は「アルキルオキシ」をいい、例としてCF2CH2O、CF3O又はCF3CF2CH2Oが挙げられる。
【0048】
本発明の化合物の全立体異性体は、混合物、又は純粋若しくはほぼ純粋な形態のいずれかと考えられる。本発明の化合物は、R置換基のいずれを含め、いずれの炭素原子においても不斉中心があり得る。従って、式Iの化合物はエナンチオマー体又はジアステレオマー体、若しくはそれらの混合物として存在し得る。製造工程は出発物質として、ラセミ体、エナンチオマー体又はジアステレオマー体を用いることができる。ジアステレオマー生成物又はエナンチオマー生成物を調製した場合、常法、例えばクロマトグラフィー分離又は分別結晶により、分割することができる。
【0049】
ここで望むなら、構造式Iの化合物は、1又はそれ以上の他のタイプの(糖尿病又は関連する疾患に用いる)抗糖尿病薬、及び/又は1又はそれ以上の治療剤との合剤で用いてよく、一つの製剤で経口投与されるか、分けて経口投与されるか又は注射によって投与される。
【0050】
式IのDP4阻害剤と組合わせて用いてもよい他のタイプの抗糖尿病薬は、1、2、3種又はそれ以上の抗糖尿病薬又は抗高血糖薬で、インスリン分泌促進物質又はインスリン増感剤、若しくは他の抗糖尿病薬が含まれ、好ましくはDP4阻害剤と異なる活性メカニズムを持ち、ビグアニド、スルホニルウレア、グルコシダーゼ阻害剤、PPARγアゴニストを含んでもよく、例として チアゾリジンジオン、SGLT2阻害剤、PPARα/β両アゴニスト、aP2阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、高度グルコシル化末端(AGE)生成物阻害剤、及び/又はメグリチニドが挙げられ、同様にインスリン及び/又はグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)又はそれらの擬似体も含まれる。
【0051】
1、2、3種又はそれ以上の他の抗糖尿病薬と組合わされる構造式Iの化合物の使用は、これらの薬物それぞれ単独より強く抗高血糖性の結果を示し、これらの薬物によって示される抗高血糖性を相加した効果より強く抗高血糖性の結果を示すと考えられる。
【0052】
その他の抗糖尿病薬は、経口抗高血糖症薬であり、好ましくはメトホルミン又はフェンホルミンのようなビアグアニド、又はその塩、好ましくは塩酸メトホルミンであり得る。
【0053】
その他の抗糖尿病薬がビアグアニドである場合、構造式Iの化合物は、ビアグアニドに対して重量比で約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.1:1から約5:1の範囲内で用いられる。
【0054】
その他の抗糖尿病薬は、また好ましくは(グリベンクラミドとしても知られる)グリブリド、(米国特許第4,379,785号に開示の)グリメピリド、グリピジド、グリクラジド又はクロルプロパミドのようなスルホニルウレア、β細胞のATP感受性チャネルに作用する他に知られたスルホニルウレア、又は他の抗高血糖症薬がある。ここで好適には、グリブリド及びグリピジドが用いられ、これらは1つ又は何回かに分けた経口製剤で投与され得る。
【0055】
構造式Iの化合物は、スルホニルウレアに対して重量比で約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.05:1から約5:1の範囲で用いられる。
【0056】
経口抗糖尿病薬は、また(米国特許第4,904,769号に開示の)アカルボース又は(米国特許第4,639,436号に開示の)ミグリトールのようなグルコシダーゼ阻害剤でもよい。これらは1つ又は何回かに分けた経口製剤で投与され得る。
【0057】
構造式Iの化合物は、グルコシダーゼ阻害剤に対して重量比で約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.2:1から約50:1の範囲内で用いられる。
【0058】
構造式Iの化合物は、チアゾリジンジオン経口抗糖尿病薬又は(NIDDM患者にインスリン感受性効果がある)他のインスリン増感剤であるような、PPARγアゴニストとの組合わせで用いることができる。ここで、これらの薬剤の例としては、トログリタゾン(ワーナーランバードのRezulino(登録商標)、米国特許第4,572,912号で開示)、ロシグリタゾン(SKB)、ピオグリタゾン(武田)、三菱のMCC−555(米国特許第5,594,016号で開示)、グラクソ・ウェルカムのGL−262570、エングリタゾン(CP−68722、ファイザー)、ダーグリタゾン(CP−86325、ファイザー)、イサグリタゾン(MIT/J&J)、JTT−501(JPNT/P&U)、L−895645(メルク)、R−119702(三共/WL)、NN−2344(Dr.Reddy/NN)、又はYM−440(山之内)、好適には、ロシグリタゾン及びピオグリタゾンが挙げられる。
【0059】
構造式Iの化合物は、チアゾリジンジオンに対して重量比で約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.1:1から約10:1の範囲内の量で用いられる。
【0060】
約150 mgの経口抗糖尿病薬より少ない量でのスルホニルウレアとチアゾリジンジオンを、構造式Iの化合物と混合して単一錠剤としてもよい。
【0061】
構造式Iの化合物はまた、インスリンのような抗高血糖症薬との組合わせで用いられ、又はグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)との組合わせで用いられ得る。これの例としては、GLP−1(1−36)アミド、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)(Habenerの米国特許第5,614,492号に開示。引用文献として本明細書に入れる)、又はGLP−1擬似体、例えば、AC2993又はエクセンディン−4(Amylin)、及びLY−315902又はLY−307167(リリー)、及びNN2211(Novo−Nordisk)が挙げられる。これらは、注射、鼻腔内、経皮又はバッカル用器具により投与され得る。
【0062】
本発明において、メトホルミン、スルホニルウレア(例えば、グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミド及びグリクラジド)グルコシダーゼ阻害剤のアカルボース又はミグリトール、又はインスリン(注射での、肺での、バッカルでの、又は経口での投与)は、上述の処方及びフィジシャンズ デスク リファレンス(Physician's Desk Reference)(PDR)に示された量及び用量で用いることができる。
【0063】
本発明において、メトホルミン又はそれの塩は、単回又は1日1〜4回に分けて、1日約500から約2000 mgの範囲の量で用いられ得る。
【0064】
本発明において、チアゾリジンジオン抗糖尿病薬は、単回又は1日1〜4回に分けて、1日約0.01から約2000 mgの範囲の量で用いられ得る。
【0065】
本発明において、インスリンは、フィジシャンズ デスク リファレンス(Physician's Desk Reference)に示された投与、量及び用量で用いられ得る。
【0066】
本発明において、GLP−1ペプチドは経口バッカル投与されるか、経鼻投与(例えば、吸入スプレー)、又は米国特許第5,346,701号(TheraTech)、第5,614,492号及び第5,631,224号に記載(これらは引用文献として本明細書に入れる)の非経口によって投与され得る。
【0067】
その他の抗糖尿病薬はまた、PPARα/γ両アゴニストでもよい。これらの例として、AR−HO39242(アストラ/ゼネカ)、GW−409544(グラクソ−ウェルカム)、KRP297(キョーリン メルク)があり、同様にムラカミらの文献(Diabetes 47,1841-1847(1998)、「A Novel Insulin Sensitizer Acts As a Coligand for Peroxisome Proliferation - Activated Receptor Alpha (PPAR alpha) and PPAR gamma. Effect on PPAR alpha Activation on Abnormal Lipid Metabolism in Liver of Zucker Fatty Rats」)で開示しているものが挙げられ、2000年9月18日に出願の米国特許出願 09/664,598(代理人ファイル番号 LA29NP、本明細書に引用文献として入れる)に記載の用量にて用いられ、好適にデザインされた化合物は、好適に用いられる。
【0068】
その他の抗糖尿病薬は、SGLT2阻害剤であってもよい。SGLT2阻害剤としては、2000年10月4日に出願の米国特許出願 09/679,027(代理人ファイル番号 LA49NP、本明細書に引用文献として入れる)に記載の用量にて用いられる。好ましくは、上述の出願書類で好適にデザインされた化合物である。
【0069】
式IのDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよいその他の抗糖尿病薬は、aP2阻害剤であってもよい。aP2阻害剤としては、1999年9月7日に出願の米国特許出願 09/391,053と2000年3月6日に出願の米国特許出願 09/519,079(代理人ファイル番号 LA27NP、本明細書に引用文献として入れる)に記載の用量にて用いられる。好ましくは、上述の出願書類で好適にデザインされた化合物である。
【0070】
式IのDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよいその他の抗糖尿病薬は、グリコーゲン ホスホリラーゼ阻害剤を挙げることができる。これらは、WO96/39384、WO96/39385、EP978279、WO2000/47206、WO99/43663、米国特許第5,952,322号及び第5,998,463号、WO99/26659及びEP1041068で開示されている。
【0071】
本発明の式Iの化合物と組合わせて用いられてもよいメグリチニドは、レパグリニド、ナテグリニド(ノバルティス)又はKAD1229(PF/キッセイ)であり得る。好ましくは、レパグリニドである。
【0072】
式IのDP4阻害剤は、メグリチニド、PPARγアゴニスト、PPARα/γ両アゴニスト、SGLT2阻害剤、aP2阻害剤又はグリコーゲン ホスホリラーゼ阻害剤に対して重量比で約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは約0.1:1から約10:1の範囲内の量で用いられる。
【0073】
本発明の式Iの化合物と組合わせて用いてもよい脂質低下薬又は脂質調節剤は、MTP阻害剤、HMG CoAリダクターゼ阻害剤、スクアレン合成酵素、フィブリン酸誘導体、ACAT阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸 Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDLレセプター活性亢進制御剤、ATPクエン酸リアーゼ阻害剤、コレステリルエステル転移タンパク阻害剤、胆汁酸封鎖剤、及び/又はニコチン酸、及びそれらの誘導体の1、2、3種又はそれ以上である。
【0074】
ここで用いられるMTP阻害剤は、米国特許第5,595,872号、米国特許第5,739,135号、米国特許第5,712,279号、米国特許第5,760,246号、米国特許第5,827,875号、米国特許第5,885,983号及び1998年10月20日出願の米国特許出願09/175,180で現在米国特許第5,962,440号に開示されている。好ましくは、上述の特許及び出願のそれぞれで開示した好適のMTP阻害剤である。
【0075】
上述の米国特許及び出願のすべては、本明細書に引用文献として入れられる。
【0076】
本発明で用いられる最も好ましいMTP阻害剤は、米国特許第5,739,135号、第5,712,279号、及び米国特許第5,760,246号に記載の好ましいMTP阻害剤、並びにインプリタピド(バイエル)である。
【0077】
最も好ましいMTP阻害剤は、9−[4−[4−[[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゾイル]アミノ]−1−ピペリジニル]ブチル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−9H−フルオレン−9−カルボキサミド
【化19】

である。
【0078】
脂質低下薬は、HMG CoAリダクターゼ阻害剤であってもよい。これには米国特許第3,983,140号に開示されているメバスタチン及び関連化合物、米国特許第4,231,938号に開示されているロバスタチン(メビノリン)及び関連化合物、米国特許第4,346,227号に開示されているプラバスタチン及び関連化合物、米国特許第4,448,784号及び第4,450,171号に開示されているシンバスタチン及び関連化合物を含む。ただし、これらに限られない。ここで用いられ得る他のHMG CoAリダクターゼ阻害剤は、米国特許第5,354,772号に開示されているフルバスタチン及び関連化合物、米国特許第5,006,530号及び第5,177,080号に開示されているセリバスタチン及び関連化合物、米国特許第4,681,893号、第5,273,995号、第5,385,929号及び第5,686,104号に開示されているアトルバスタチン及び関連化合物、米国特許第5,011,930号に開示されているアタバスタチン(ニッサン/三共のニスバスタチン(NK−104))、米国特許第5,260,440号に開示されている塩野義−アストラ/ゼネカのビサスタチン(ZD−4522)を含む。ただし、これらに限られない。
【0079】
使用に適したスクアレン合成酵素阻害剤としては、それらに限られないが、米国特許第5,712,396号に開示されているαホスホノスルホネート、ビラーらの文献[Biller et al,J. Med. Chem., 1988, Vol. 31, No. 10, pp 1869-1871]に開示のもの、イソプレノイド(ホスフィニルメチル)ホスホン酸塩、並びに他の知られたスクアレン合成酵素阻害剤、例えば米国特許第4,871,721号及び第4,924,024号に開示のもの、及びビラーらの文献[Biller, S. A.,Neuenschwander, K., Ponpipom, M. M., 及び Poulter, C. D., Current Pharmaceutical Design, 2, 1-40 (1996)]に開示されているものを含む。
【0080】
さらに、使用に適した他のスクアレン合成酵素阻害剤は、P.オルティズ・ドゥ・モンテラノらの文献[P. Ortiz de Montellano et al, J. Med. Chem., 1977, 20, 243-249]に開示のテルペノイド ピロリン酸、コレイらの文献[Corey 及び Volante, J. Am. Chem. Soc., 1976, 98, 1291-1293]に開示のファルネシル二リン酸類似体A及びプレスクアレンピロリン酸(PSQ−PP)類似体、マッククラードらの文献[McClard, R. W. et al, J. A. C. S., 1987, 109, 5544]で報告されているホスフィニルホスホネート、及びカプソンの文献[Capson, T. L., 博士論文, June, 1987, Dept. Med. Chem. U of Utah, Abstract, Table of Contents, pp 16, 17, 40-43, 48-51, Summary]で報告されているシクロプロパンを含む。
【0081】
ここで適当に用いられる他の脂質低下薬は、フィブリン酸誘導体(例えばフェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート及び類似体、プロブコール、及び米国特許第3,674,836号に開示された関連化合物で、好ましくはプロブコール及びゲムフィブロジル)、胆汁酸金属イオン封鎖剤(例えば、コレスチラミン、 コレスチポール及びDEAE−Sephadex(Secholex(登録商標)、Policexide(登録商標))、並びにリポスタビル(lipostabil)(Rhone−Poulenc)、エーザイのE−5050(N−置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(imanixil)(HOE−402)、テトラヒドロリプスタチン(tetrahydrolipstatin)(THL)、イスチグマスタニル ホスホリルクロリド(istigmastanylphosphorylcholine)(SPC,Roche)、アミノシクロデキストリン(田辺製薬)、味の素のAJ−814(アズレン誘導体)、メリナミド(住友)、サンド社の 58−035、アメリカン シアナミドのCL−277,082及びCL−283,546(ジ置換尿素誘導体)、ニコチン酸、アシピモックス、アシフラン、ネオマイシン、p−アミノサリチル酸、アスピリン、ポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体(例えば、米国特許第4,759,923号に開示)、四級アミン ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム クロリド)、及びイオネン(米国特許第4,027,009号に開示)、並びに他の公知の血清コレステロール低下剤が含まれる。ただし、これらに限られない。
【0082】
他の脂質低下薬は、以下の文献の開示のようなACAT阻害剤でもよい。例えば、文献[Drugs of the Future 24, 9-15 (1999), (Avasimibe) ;「The ACAT inhibitor, C1-1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters」]、ニコロシらの文献[Nicolosi et al,Atherosclerosis (Shannon, Irel). (1998), 137 (1), 77-85 ; 「The pharmacological profile of FCE 27677 : a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100-containing lipoprotein」]、ギセリらの文献[Ghiselli, Giancarlo, Cardiovasc. Drug Rev. (1998), 16 (1), 16-30 ;「RP 73163 : a bioavailable alkylsulfinyl-diphenylimidazole ACAT inhibitor」]、スミスらの文献[ Smith, C. et al, Bioorg. Med. Chem. Lett. (1996), 6 (1), 47-50 ;「ACAT inhibitors : physiologic mechanisms for hypolipidemic and anti-atherosclerotic activities in experimental animals」]、クラウスらの文献[Krause et al, Editor(s): Ruffolo, Robert R., Jr. ; Hollinger, Mannfred A., Inflammation: Mediators Pathways (1995), 173-98, Publisher: CRC, Boca Raton, Fla. ;「ACAT inhibitors : potential anti-atherosclerotic agents」]、スリスコヴィックらの文献[Sliskovic et al, Curr. Med. Chem. (1994), 1 (3), 204-25 ;「Inhibitors ofacyl-CoA : cholesterol O-acyl transferase (ACAT) as hypocholesterolemic agents. 6. The first water-soluble ACAT inhibitor with lipid-regulating activity. Inhibitors of acyl-CoA : cholesterol acyltransferase (ACAT). 7. Development of a series of substituted Nphenyl-N'-[(l-phenylcyclopentyl) methyl] ureas with enhanced hypocholesterolemic activity」]、ストウトらの文献[Stout et al, Chemtracts : Org. Chem. (1995), 8 (6), 359-62, 又は TS-962 (Taisho Pharmaceutical Co. Ltd)]が挙げられる。
【0083】
脂質低下薬は、MD−700(大正製薬)及びLY295427(イーライ リリー)のようなLD2レセプター活性亢進調節剤でもよい。
【0084】
脂質低下薬はコレステロール吸収阻害剤、好ましくはシェーリング−プラウのSCH48461、並びに文献[Atherosclerosis 115, 45-63 (1995)及びJ. Med. Chem. 41, 973 (1998)]に開示されているものでもよい。
【0085】
脂質低下薬は、文献[Drugs of the Future, 24, 425-430 (1999)]に開示されているような回腸Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤でもよい。
【0086】
脂質調節剤は、ファイザーのCP 529,414(WO/0038722及びEP 818448)及びファルマシアのSC−744及びSC−795のようなコレステリルエステル転移タンパク(CETP)阻害剤でもよい。
【0087】
本発明の合剤に用いられ得るATPクエン酸リアーゼ阻害剤は、例えば、米国特許第5,447,954号に開示されているものを含んでもよい。
【0088】
好ましい脂質低下薬は、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン及びZD−4522である。
【0089】
上述の米国特許類は、引用文献として本明細書に入れられている。用いられる量及び用量は、フィジシャンズ デスク リファレンス(Physician's Desk Reference)及び/又は上述の特許に示されている。
【0090】
本発明の式Iの化合物は、脂質低下薬(存在する場合)に対して重量比で約500:1から約1:500の範囲、好ましくは約100:1から約1:100の範囲内の量で用いられる。
【0091】
投与される投薬量は、患者の年齢、体重及び状態、並びに投与経路、製剤形、摂生、及び所望の効果に応じて注意深く調整しなければならない。
【0092】
脂質低下薬の用量及び処方は、様々な上述の特許及び出願に開示されている。
【0093】
用いられる他の脂質低下薬の用量及び処方は、フィジシャンズ デスク リファレンス(Physician's Desk Reference)の最新版に記載されている。
【0094】
経口投与では、MTP阻害剤を、1回量約0.01 mg/kgから約500 mgの範囲内、好ましくは約0.1 mgから約100 mgの範囲内の量で、1日1〜4回で用いて、十分な結果を得ることができる。
【0095】
錠剤又はカプセルといった好適な経口製剤としては、MTP阻害剤が1日1〜4回として、1回量で約1から約500 mg、好ましくは約2から約400 mg、より好ましくは約5から約250 mg含まれる。
【0096】
経口投与では、HMG CoA還元酵素阻害剤、例えばプラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン又はセリバスタチンを用いて、フィジシャンズ デスク リファレンス(Physician's Desk Reference)に示されたような用量、例えば1回量約1から2000 mg、好ましくは約4から約200 mgの範囲で用いることで、十分な結果を得ることができる。
【0097】
スクアレン合成酵素阻害剤は、1回量約10 mgから約2000 mg、好ましくは約25 mgから約200 mgの範囲の用量で用いることができる。
【0098】
錠剤又はカプセルといった好適な経口製剤としては、HMG CoA還元酵素阻害剤が、1回量で約0.1から約100 mg、好ましくは約5から約80 mg、より好ましくは約10から約40 mg含まれる。
【0099】
錠剤又はカプセルといった好適な経口製剤としては、スクアレン合成酵素阻害剤が、1回量で約10から約500 mg、好ましくは約25から約200 mg含まれる。
【0100】
他の脂質低下薬はまた、15−リポキシゲナーゼ(15−LO)阻害剤を含むリポキシゲナーゼ阻害剤でもよい。その例として、WO97/12615に開示されているベンゾイミダゾール誘導体、WO97/12613に開示されている15−LO阻害剤、WO96/38144に開示されているイソチアゾロン、センドブリィらの文献[Sendobry et al「Attenuation of diet-induced atherosclerosis in rabbits with a highly selective 15-lipoxygenase inhibitor lacking significant antioxidant properties」, Brit. J. Pharmacology (1997) 120, 1199-1206]、及びコーニセリらの文献[ Cornicelli et al「15-Lipoxygenase and its Inhibition : A Novel Therapeutic Target for Vascular Disease」, Current Pharmaceutical Design, 1999, 5, 11-20.]で開示されている15−LO阻害剤が挙げられる。
【0101】
式Iの化合物及び脂質低下薬は、同一の経口製剤で用いてもよく、また別個の経口製剤で同時に服用してもよい。
【0102】
上述の組成は、上述の製剤で、単回又は1日1〜4回に分けて、投与してよい。低用量の組成の患者から着手し、徐々に高用量の組成に引き上げるのが望ましいと考え得る。
【0103】
好適な脂質低下薬は、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン又は セリバスタチンである。
【0104】
式IのDP4阻害剤と用いられることもあり得る他の種類の治療剤は、ベータ3アドレナリン作動性アゴニスト、リパーゼ阻害剤、セロトニン(及びドパミン)再取り込み阻害剤、甲状腺レセプターベータ薬、食欲低下薬、及び/又は脂肪酸酸化亢進制御剤を含む1、2、3種又はそれ以上の抗肥満症薬でもよい。
【0105】
式Iの化合物と組合わせて用いられてもよいベータ3アドレナリン作動性アゴニストには、AJ9677(武田/大日本)、L750355(メルク)又はCP331648(ファイザー)、若しくは米国特許第5,541,204号、第5,770,615号、第5,491,134号、第5,776,983号及び第5,488,064号に開示された他に知られたベータ3アゴニストがあり、好ましくはAJ9677、L750,355及びCP331648である。
【0106】
式Iの化合物と組合わせて用いられてもよいリパーゼ阻害剤は、オーリスタット又はATL−962(Alizyme)で、好ましくはオーリスタットである。
【0107】
式Iの化合物と組合わせて用いられてもよいセロトニン(及びドパミン)再取り込み阻害剤は、シブトラミン、トピラマート(ジョンソン&ジョンソン)又はアキソキン(Regeneron)である。好ましくは、シブトラミン及びトピラマートである。
【0108】
式Iの化合物と組合わせて用いられてもよい甲状腺レセプターベータ化合物は、WO97/21993(U.Cal SF)、WO99/00353(KaroBio)及びGB98/284425(KaroBio)で開示されている甲状腺レセプターリガンドであり、好ましくは、KaroBioの出願の化合物である。
【0109】
式Iの化合物と組合わせて用いられてもよい食欲低下薬は、デキサンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン又はマジンドールであり、好ましくはデキサンフェタミンである。
【0110】
式Iの化合物と組合わせて用いられてもよい脂肪酸酸化亢進制御剤は、ファモキシン(Genset)でよい。
【0111】
上述の様々な抗肥満症薬は、式Iの化合物と同一の製剤で用いても又は異なる製剤で用いてもよく、技術書又はPDRで一般的に知られた用量及びレジメで用いてよい。
【0112】
本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよい不妊治療剤は、1種又は2種以上のクエン酸クロミフェン(Clomid(登録商標)、アバンティス)、メシル酸ブロモクリプチン(Parlodel(登録商標)、ノバルティス)、LHRH類似体,Lupron(TAP Pharm)、ダナゾール,ダノクリン(Sanofi)、プロゲストーゲン又は糖質コルチコイドであり、PDRで特定されている量で用いられる。
【0113】
本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよい多嚢胞性卵巣症候群は、1種又は2種以上のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、ロイプロリド(Lupron(登録商標))、Clomid(登録商標)、Parlodel(登録商標)、経口避妊薬又はPPARアゴニストのようなインスリン 増感剤、若しくは他の通常の薬剤でよく、それらはPDRで特定された量で用いられる。
【0114】
本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよい成長障害及び/又は薄弱の治療薬は、1種又は2種以上の成長ホルモン又は成長ホルモン分泌促進物質である。これらの例は、MK−677(メルク)、CP−424,391(ファイザー)及び2000年2月18日出願の米国出願番号09/506,749(代理人ファイル番号 LA26)に開示された化合物、同様に選択的アンドロゲンレセプター修飾物質(SARM)が挙げられ、これらはここで引用文献に組み入れられ、PDRで特定されている適切な量で用いられる。
【0115】
本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよい関節炎の治療薬は、1種又は2種以上のアスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ナプロキセン、ナブメトン(Relafen(登録商標)、スミス クライン ビーチャム)、トルメチンナトリウム(Tolectin(登録商標)、Ortho−McNeil)、ピロキシカム(Feldene(登録商標)、ファイザー)、ケトロラック トロメタミン(Toradol(登録商標)、ロッシュ)、セレコキシブ(セレブレックス(登録商標)、Searle)、ロフェコキシブ(ビオックス(登録商標)、メルク)及びその類似体であり、これらはPDRに特定された量で用いることができる。
【0116】
移植における同種移植拒絶に通常用いられる薬剤、例えばシクロスポリン,サンドイムン(ノバルティス)、アザチオプリン,イムラン(Faro)又はメトトレキセートは、本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよく、PDRに特定された量で用いることができる。
【0117】
多発性硬化症といった自己免疫疾患、及び紅斑性狼蒼、乾癬といった免疫調節性疾患に通常用いられる薬剤、例えばアザチオプリン,イムラン、シクロホスファミド,イブプロフェンといったNSAIDS、ビオックス及びセレブレックスといったcox 2阻害剤、糖質コルチコイド及びヒドロキシクロロキンは、本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよく、PDRに特定された量で用いることができる。
【0118】
本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよいAIDS薬は、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、及び/又は非感染性AIDS補助剤であり、1、2又はそれ以上のドロナビノール(Marinol(登録商標)、Roxane Labs)、ジダノシン(Videx(登録商標)、ブリストル−マイヤーズ スクイブ)、酢酸メゲストロール(Megace(登録商標)、ブリストル−マイヤーズ スクイブ)、スタブジン(Zerit(登録商標)、ブリストル−マイヤーズ スクイブ)、メシル酸デラビルジン(Rescriptor(登録商標)、ファルマシア)、ラミブジン/ジドブジン(CombivirTM、グラクソ)、ラミブジン(EpivirTM、グラクソ)、ザルシタビン(Hivid(登録商標)、ロッシュ)、ジドブジン(Retrovir(登録商標)、グラクソ)、硫酸インジナビル(Crixivan(登録商標)、メルク)、サキナビル(FortovaseTM、ロッシュ)、メシル酸サキナビル(Invirase(登録商標)、ロッシュ)、リトナビル(Norvir(登録商標)、アボット)、ネルフィナビル(Viracept(登録商標)、Agouron)でよい。
【0119】
上記の抗AIDS薬はPDRに特定された量で用いることができる。
【0120】
本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよい炎症性腸疾患又は症候群の治療薬は、1種又は2種以上のスルファサラジン、アセチルサリチル酸塩、メサラミン(Asacol(登録商標)、P&G)又はチェルマック(登録商標)(ブリストル−マイヤーズ スクイブ)であり、PDR又は技術書で知られている他の方法で特定された量で用いることができる。
【0121】
本発明のDP4阻害剤と組合わせて用いられてもよい骨粗鬆症の治療薬は、1種又は2種以上のアレンドロン酸ナトリウム(Fosamax(登録商標)、メルク)、チルドロン酸塩(Skelid(登録商標)、Sanofi)、エチドロン酸二ナトリウム(Didronel(登録商標)、P&G)、塩酸ラロキシフェン(Evista(登録商標)、リリー)であり、PDRで特定された量で用いることができる。
【0122】
本発明の方法を実施するにあたり、薬学的な配合、すなわち、構造式Iの化合物を含み、他の抗糖尿病薬及び/又は他の種類の治療剤と共に又は含まずに、また薬学的な賦形剤や希釈剤と関連しつつ、用いられる。薬学的な配合は、通常の固形物又は液体の賦形剤又は希釈剤、及び目的の投与方法に適したタイプの薬学的な添加剤を用いて処方されることができる。これらの化合物は、ヒト、サル、イヌなどの哺乳類に経口で、例えば錠剤、カプセル、顆粒又は粉末で投与することができ、また注射製剤の形態で非経口で投与することができる。成人の用量は、好適には1日10〜1000 mgであり、単回で投与するか又は、1日1〜4回の個々の用量の形態で投与することができる。
【0123】
典型的な経口投与のカプセルは、構造式Iの化合物(250 mg)、乳糖(75 mg)及びステアリン酸マグネシウム(15 mg)を含む。その混合物は、60メッシュのふるいを通過し、1号ゼラチンカプセルに詰められる。
【0124】
典型的な注射製剤は構造式Iの化合物250 mgを無菌状態でバイアルに詰め、無菌状態で凍結乾燥し、封をして調製する。使用にあたっては、バイアルの内容物を生理食塩水2 mLに混ぜ、注射製剤を調製する。
【0125】
本発明の化合物のDP4阻害活性は、DP4の阻害増強を測定するインビトロ測定システムの使用で測定することができる。本発明のDP4阻害の阻害定数(Ki値)は、後述の方法で測定することができる。
【0126】
ブタ ジペプチジル ペプチダーゼIVの精製
ブタの酵素は、いくらかの改良を加えつつ、あらかじめ引用文献(1)に記載してあるように精製した。腎臓を15〜20頭から取り、皮部を取り除き、−80℃で凍結した。凍結組織(2000〜2500 g)を0.25Mのショ糖12 Lでワーリングブレンダーを用いてホモジナイズした。それから、そのホモジネートを37℃で18時間放置することで、細胞膜からDP−4の切断を容易にした。切断工程後、ホモジネートを遠心分離(7000×g、20分、4℃)して浄化し、上清を集めた。固形の硫酸アンモニウムを60%飽和液に加え、遠心分離(10,000×g)で沈殿物を集め、除去した。追加の硫酸アンモニウムを上清に加えて80%飽和液にし、80%ペレットを集めて、20 mMのNa2HPO4(pH 7.4)に溶かした。
【0127】
20 mMのNa2HPO4(pH 7.4)への透析後、調製物を遠心分離(10,000×g)により浄化した。その後、浄化した調製物は、同一緩衝液で平衡化したConAセファロース300 mLに入れた。緩衝液で洗浄して一定のA280にした後、5%(w/v)メチル α−D−マンノピラノシドで、カラム抽出した。活性な分画をプールし、濃縮し、5 mM酢酸ナトリウム(pH 5.0)で透析した。透析した物質を、同一緩衝液で平衡化したファルマシア レソースSカラム(Pharmacia Resource S column)100 mLに流した。流れ出た物質は集められ、これらには酵素活性の大部分が含まれていた。活性物質は再び濃縮し、20 mMのNa2HPO4(pH 7.4)で透析した。最後に、濃縮した酵素は、ファルマシア S−200ゲルろ過カラム(Pharmacia S-200 gel filtration column)でクロマトグラフィーし、低分子量の汚染物質を除いた。カラム分画の純度は、SDS−PAGEの換算によって測定し、最も純度の高い分画を集めて濃縮した。精製された酵素は−80℃で20%グリセロール中で保存した。
【0128】
ブタ ジペプチジル ペプチダーゼIVの定量
酵素は、以下の改良を加えつつ、基質としてgly−pro−p−ニトロアニリドを用いて、あらかじめ引用文献(2)に記載してある安定状態の条件下定量した。反応液は最終的な量が100 μlで、100 mMのAces、52 mMのTRIS、52 mMのエタノールアミン、500 μMのgly−pro−p−ニトロアニリド、0.2%のDMSO及び4.5 nMの酵素が25℃、pH 7.4で含まれていた。10 μMのテスト化合物での単回の定量にあたっては、緩衝液、化合物及び酵素を96穴のミクロタイタープレートに加え、室温で5分間インキュベートした。反応は基質の添加によって開始した。p−ニトロアニリンの連続的な生成を、モレキュラデバイスTmaxプレートリーダー(Molecular Devices Tmax plate reader)を用いて、15分間405 nMで、9秒毎に読み取って測定した。p−ニトロアニリン生成の直線的速度は、各プログラム曲線の直線的部分を通して得た。p−ニトロアニリン吸収の標準的曲線は、各実験の初期段階に得られ、p−ニトロアニリンの生成を触媒化する酵素を、標準曲線から定量した。50%よりおおきな阻害があった化合物は更なる分析するのに選別した。
【0129】
ポジティブな化合物の分析のため、安定状態の速度論的阻害定数を、基質と阻害剤の濃度の両方合わせた作用として測定した。基質の飽和曲線は、gly−pro−p−ニトロアニリドの60 μMから3600 μMの濃度で得られた。付加的な飽和曲線もまた、阻害剤の存在下得られた。すべての阻害実験は、11基質と7阻害剤の濃度が含まれ、プレートにクロスして3倍の定量で行った。20 nMより低いKisで強い結合阻害剤では、酵素濃度は0.5nMに減少し、反応時間は120分に延びた。3枚のプレートからプールされたデータセットは、競合的、非競合的又は反競合的な阻害剤のいずれかと、よく一致していた。
【0130】
引用文献(1)ラーフェルドら[ Rahfeld, J. Schutkowski, M., Faust, J., Neubert., Barth, A., 及び Heins, J. (1991) Biol. Chem. Hoppe-Seyler, 372, 313-318.]
【0131】
引用文献(2) ナガツら[Nagatsu, T., Hino, M., Fuyamada, H., Hayakawa, T., Sakakibara, S., Nakagawa, Y., and Takemoto, T. (1976) Anal. Biochem., 74, 466-476.]
【0132】
以下の略号は、実施例及びこの明細書の他の箇所で用いる。
Ph=フェニル
Bn=ベンジル
i−Bu=イソブチル
Me=メチル
Et=エチル
Pr=プロピル
Bu=ブチル
TMS=トリメチルシリル
FMOC=フルオレニルメトキシカルボニル
Boc又はBOC=tert−ブトキシカルボニル
Cbz=カルボベンジルオキシ又はカルボベンゾキシ又はベンジルオキシカルボニル
HOAc又はAcOH=酢酸
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
EtOAc=酢酸エチル
THF=テトラヒドロフラン
TFA=トリフルオロ酢酸
Et2NH=ジエチルアミン
NMM=N−メチルモルホリン
n−BuLi=n−ブチルリチウム
Pd/C=パラジウム炭素
PtO2=酸化白金(IV)
TEA=トリエチルアミン
EDAC=3−エチル−3’−(ジメチルアミノ)プロピル−カルボジイミド塩酸塩(又は1−[(3−(ジメチル)アミノ)プロピル])−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)
HOBT又はHOBT・H2O=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物
HOAT=1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
PyBOP試薬=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ-トリピロリジノ ホスホニウム 6フッ化リン酸塩
min=分
h又はhr=時
L=リットル
mL=ミリリットル
μL=マイクロリットル
g=グラム
mg=ミリグラム
mol=モル
mmol=ミリモル
meq=ミリ当量
rt=室温
sat又はsat’d=飽和の
aq.=水性の
TLC=薄層クロマトグラフィー
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
LC/MS=高速液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー
MS又はMass Spec=マススペクトロメトリー
NMR=核磁気共鳴
mp=融点
【0133】
次に挙げる実施例は、本発明の好ましい具体例である。
【0134】
実施例1
【化20】

工程1
【化21】

工程1の標題化合物は、ステフェンらの文献[Stephen Hanessian,Ulrich Reinhold,Michel Saulnier,Stephen Claridge;Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 8(1998)2123‐2128]に従うか、又は以下の改良法に従い合成された。L−ピログルタミン酸エチルエステルは、カルバミン酸t−ブチル(Boc2O、DMAP又はNaH)として、窒素原子が保護され、そしてワンポットでカルボニルの還元(水素化トリエチルボラン、トルエン、−78℃)とそれに続く脱水(TFAA、ルチジン)することで、4,5−デヒドロプロリンエチルエステルへと脱水させた。標題化合物は4,5−デヒドロプロリンエチルエステルのシクロプロパン化(Et2Zn、ClCH2I、1,2−ジクロロエタン、−15℃)によって得られた。更に詳細な記録は以下のとおりである。
【0135】
4,5−デヒドロ−L−プロリンエチルエステルの合成:L−ピログルタミン酸エチルエステル(200 g、1.27 mol)を1.2リットルの塩化メチレンに溶かし、ジ炭酸ジ−tert−ブチル (297 g、1.36 mol)と触媒量のDMAP(1.55 g, 0.013 mol)により周囲温度で引き続き処理した。6時間後反応混合物を飽和食塩水でクエンチし、有機相を乾燥(Na2SO4)し、短いシリカゲルカラムでろ過して、N−Boc−L−ピログルタミン酸エチルエステル323 g(100 %)を得た。N−Boc−L−ピログルタミン酸エチルエステル(160 g、0. 62 mol)をトルエン1リットルに溶かし、−78℃に冷却し、リチウムトリエチルボランヒドリド(1. 0 MのTHF溶液 666 mL)を90分間かけて滴下して加えることで処理した。3時間後、2,6−ルチジン(423 mL、3.73 mol)を滴下して加え、続いてDMAPを加えた。この反応混合物にTFAA(157 g、0.74 mol)を加え、反応を2時間かけて周囲温度まで昇温した。反応混合物を酢酸エチルと水で希釈し、有機相を3N塩酸、水、炭酸水素水及び食塩水で洗浄し、乾燥(無水硫酸ナトリウム)し、シリカゲルプラグでろ過して粗生成物の4,5−デヒドロプロリンエチルエステル165 gを得た。これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製したところ、120 g(オレフィンの75%)を得た。
【0136】
4,5−デヒドロ−L−プロリンエチルエステルのシクロプロパン化:4,5−デヒドロ−L−プロリンエチルエステル(35.0 g、0.145 mol)を、−15℃で1,2−ジクロロエタン1リットルのニートのEt2Zn(35.8 g、0.209 mol)の溶液に加えた。この反応混合物にClCH2I(102 g、0.58 mol)を1時間かけて滴下し、18時間−15℃で攪拌した。反応液は飽和炭酸水素水でクエンチし、溶媒を蒸発させ、反応液を酢酸エチルに取り食塩水で洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより段階的に酢酸エチル/ヘキサンを20%から50%に勾配する手法を用いて精製して、ジアステレオマー純粋な工程1の標題化合物を得た(17.5 g、50%)。
【0137】
工程2
【化22】

工程1の化合物(411 mg、1.61 mmol)の塩化メチレン(1.5 mL)攪拌溶液に、室温でTFA(1.5 mL)を加えた。反応混合物を2時間室温で攪拌し、蒸発させた。残渣を塩化メチレンで希釈して蒸発させ、3回再蒸発させることで、無色油状物として標題化合物を得た(433 mg、収率100%)。
【0138】
工程3
【化23】

(S)−N−tert−ブトキシカルボニルイソロイシン(372.6 mg、1.61 mmol)とベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウム6フッ化リン酸塩(1.25 g、2.42 mmol)との塩化メチレン(6 mL)攪拌溶液に窒素雰囲気下室温で、4−メチルモルホリン(NMM)(0.36 mL、3.2 mmol)を加えた。5分後、工程2の化合物(433 mg、1.61 mmol)及びNMM(0.27 mL、2.4 mmol)の塩化メチレン溶液(1 mL)を加えた。加えた後、反応混合物を室温で窒素雰囲気下、終夜攪拌した。反応混合物を塩化メチレン(40 mL)で希釈し、4%硫酸水素カリウム(10 mL)、重曹水(10 mL)及び食塩水で洗浄し、乾燥(無水硫酸ナトリウム)し、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1:4)で精製し、無色油状物として標題化合物を得た(530 mg、収率89%)。
【0139】
工程4
【化24】

工程3の化合物(530 mg、1.44 mmol)のメタノール(4 mL)と水(4 mL)の攪拌溶液に、室温下LiOH−H2O(91 mg、2.16 mmol)を加えた。反応混合物は室温で終夜攪拌し、蒸発させた。水(10 mL)を残渣に加えて、エーテル(10 mL、2回)で抽出した。水層を4%硫酸水素カリウムを滴下して加えて、pHを〜4まで酸性にした。乳白状の溶液を酢酸エチル(15 mL、3回)で抽出した。酢酸エチル層を合わせて食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、標題化合物を白色固形物として得た(440 mg、収率90%)。
【0140】
工程5
【化25】

工程4の化合物(300 mg、0.88 mmol)のTHF(6 mL)攪拌溶液に、−15℃窒素雰囲気下、4−メチルモルホリン(0.12 mL、1.06 mmol)、続いてクロロギ酸イソブチル(0.13 mL、0.97 mmol)を2分間かけて加えた。白色の沈殿物を形成した。反応混合物は−15℃窒素雰囲気下25分間攪拌し、アンモニアのジオキサン溶液(8.8 mL、4.4 mmol)を加えた。反応混合物は−15℃で30分間攪拌し、室温に昇温し、室温で終夜攪拌した。反応混合物は4%硫酸水素カリウムでpHを〜4までしてクエンチし、酢酸エチル(20 mL、3回)で抽出した。抽出物を合わせて、食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、蒸発した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1:1)で精製することで、白色泡状物として標題化合物を得た(268 mg、収率90%)。
【0141】
工程6
【化26】

工程5の化合物(248 mg、1.38 mmol)とイミダゾール(94 mg、1.38 mmol)の乾燥ピリジン(12 mL)攪拌溶液に、−35℃窒素雰囲気下、オキシ塩化リン(0.26 mL、2.76 mmol)を滴下して加えた。反応混合物を−35℃から−20℃で1時間攪拌し、蒸発させた。塩化メチレン(10 mL)を加えて白色の沈殿物を形成させた。ろ過後、ろ液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2:5)で精製し、無色油状物として標題化合物を得た(196 mg、収率88%)。
【0142】
工程7
【化27】

工程6の化合物(130 mg、0.4 mmol)の塩化メチレン(2 mL)攪拌溶液に、室温下TFA(2 mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を、あらかじめ冷却しておいた水中(3 mL)の重曹(3.8 g)スラリーにゆっくり加えた。反応混合物を塩化メチレン(6 mL、5回)で抽出し、合わせた塩化メチレン層を蒸発させ、プレパラティブHPLCで精製し、白色粉末として標題化合物を得た(77 mg、収率57%)。融点:141−143℃。LC/MSは目的化合物の分子イオン[(M+H)+=222]と合致した。
【0143】
実施例2
【化28】

工程1
【化29】

工程1の標題化合物は、ステファンらの文献[Stephen Hanessian,Ulrich Reinhold,Michel Saulnier,Stephen Claridge;Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 8(1998)2123‐2128]に従い合成した。
【0144】
工程2
【化30】

標題化合物は、実施例1の工程2から工程6に記載と同様の方法に従い、工程1の化合物から調製した。LC/MSは目的化合物の分子イオン[(M+H)+=222]と合致した。
【0145】
実施例3
【化31】

工程1
【化32】

工程1の標題化合物は、ウィリィらの文献[Willy D. Kollmeyer,米国特許第4,183,857号]に従い合成した。
【0146】
工程2
【化33】

(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−イソロイシン(231 mg、1 mmol)とベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウム6フッ化リン酸塩(780 mg、1.5 mmol)の塩化メチレン(6 mL)の攪拌溶液に室温窒素雰囲気下、4−メチルモルホリン(0.33 mL、3 mmol)を加えた。5分後、工程1の化合物(120 mg、1 mmol)を1回で加えた。反応混合物を室温窒素雰囲気下終夜攪拌して、その後塩化メチレン(30 mL)で希釈し、4.1%硫酸水素カリウム(10 mL)、重曹水(10 mL)、食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、蒸発させた。シリカゲル(2.4×20 cmカラム、酢酸エチル/ヘキサン=1:3)のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、無色油状物として標題化合物を得た(290 mg、収率90%)。LC/MSは目的化合物の分子イオン[(M+H)+=297]と合致した。
【0147】
工程3
【化34】

工程2の化合物(220 mg、0.74 mmol)と4M塩酸とのジオキサン(1.5 mL、6 mmol)中の反応混合物を室温で2時間攪拌し、減圧下蒸発させた。エーテルを残渣に加えて、沈殿物を形成させた。エーテルをデカントして、これを3回繰り返した。沈殿物を減圧乾燥し、白色の粉末として標題化合物を得た(130 mg、収率76%)。融点:205−206℃。LC/MSは目的化合物の分子イオン[(M+H)+=197]と合致した。
【0148】
実施例4−4A
【化35】

工程1
【化36】

工程1の標題化合物は、ウィリィらの文献[Willy D. Kollmeyer,米国特許第4,183,857号]に従い、1:1のエナンチオマー比として合成された。
【0149】
工程2
【化37】

(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−イソロイシン(92.5 mg、0.4 mmol)、1−[(3−(ジメチル)アミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(77 mg、0.4 mmol)とHOAT(54.4 mg、0.4 mmol)の1,2−ジクロロエタン(0.3 mL)中のスラリーを室温窒素雰囲気下1時間攪拌し、その後工程1の化合物(22 mg,0.2 mmol)を加え、続いてトリエチルアミン(0.015 mL、0.1 mmol)を加えた。反応混合物を室温窒素雰囲気下、終夜攪拌した後、塩化メチレン(3 mL)で希釈し、水(1 mL)、重曹水(1 mL)及び食塩水(1 mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、蒸発させた。シリカゲル(2.4×12 cmカラム、酢酸エチル/ヘキサン=2:7)のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、無色油状物として標題化合物を得た(33 mg、収率51%)。LC/MSは目的化合物の分子イオン[(M+H)+=322]と合致した。
【0150】
工程3
【化38】

工程2の化合物(30 mg、0.4 mmol)の塩化メチレン(0.5 mL)攪拌溶液に、室温下TFA(0.5 mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を、あらかじめ冷却しておいた水中(1 mL)の重曹(0.8 g)スラリーにゆっくり加えた。反応混合物を塩化メチレン(2 mL、5回)で抽出し、合わせた塩化メチレン層を蒸発させ、プレパラティブHPLCで精製し、1:1のジアステレオマー比で標題化合物を得た(22 mg、収率73%)。LC/MSは目的化合物の分子イオン[(M+H)+=222]と合致した。
【0151】
実施例5−5A
【化39】

工程1
【化40】

実施例4の工程1の化合物(150 mg、1.39 mmol)を2−プロパノール(0.8 mL)に溶かした溶液に、シアン化ナトリウム(40 mg、1.0 mmol)を加えた。反応混合物を3時間加熱還流した。室温に冷却後、反応混合物を蒸発させ、続いてエーテル(5 mL)でスラリー化した。ろ過後、ろ液を蒸発させることで、実施例4工程1の化合物と実施例5工程1の化合物を2:1のジアステレオマー比でそれぞれラセミ混合物として得た(140 mg、93%)。
【0152】
工程2
【化41】

(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−イソロイシン(595 mg、2.57 mmol)、1−[(3−(ジメチル)アミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(493 mg、2.57 mmol)及び1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(350 mg、2.57 mmol)の1,2−ジクロロエタン(2 mL)中のスラリーを室温窒素雰囲気下1時間攪拌し、その後工程1の化合物の混合物(139 mg、1.28 mmol)を加えた。反応混合物は室温窒素雰囲気下終夜で攪拌し、塩化メチレン(30 mL)で希釈し、水(10 mL)、飽和重曹水(10 mL)及び食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、蒸発させた。シリカゲル(2.4×20 cmカラム、酢酸エチル/ヘキサン=1:3)のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、実施例4工程2の化合物(260 mg)と標題化合物(105 mg)を1:1のジアステレオマー比で得た。LC/MSは目的化合物の分子イオン[(M+H)+=322]と合致した。
【0153】
工程3
【化42】

工程2の化合物(104 mg、0.32 mmol)の塩化メチレン(1 mL)攪拌溶液に、室温下TFA(1 mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を、あらかじめ冷却しておいた水中(2 mL)の重曹(2 g)スラリーにゆっくり加えた。反応混合物を塩化メチレン(4 mL、4回)で抽出し、合わせた塩化メチレン層を蒸発させ、プレパラティブHPLCで精製し、実施例5の標題化合物(36 mg)と実施例5Aの標題化合物(36 mg)を得た。LC/MSは目的化合物の分子イオン[(M+H)+=222]と合致した。
【0154】
実施例6
一般法A:
商業的に有用なアミノ酸から阻害剤を調製のためのパラレルアレイ(Parallel array)合成方法。反応式3に示すように、実施例1工程1に記載したエステル11は、THF/水中の水酸化リチウムにより酸性物質にけん化され、クロロギ酸イソブチル/NMMによる処理、それに続くジオキサン中のアンモニアの処理により、アミド12へと変換した。Boc保護基は塩化メチレン中TFAによる酸性条件下除去されて、13を得た。そのTFA塩はEDAC/HOBT/DMF又はEDAC/DMAP/CH2Cl2のいずれかを用いてBoc−t−ブチルグリシンと結合し、14を得た。そのアミド体はオキシ塩化リン/イミダゾールを用いて−20℃ピリジン中ニトリル体15へと脱水反応し、最後に周囲温度で塩化メチレン中TFAで脱保護して標的化合物16を得た。
反応式3 一般法A(実施例6−27)
【化43】

a.THF/H2O中LiOH又はMeOH/H2O中LiOH b.i-BuOCOCl/TEA又は-30℃でi-BuOCOCl/TEA又はEDAC、その後室温下ジオキサン又はEt2O中NH3 c.TFA,CH2Cl2,室温 d.Boc-t-ブチルグリシン及びPyBop/NMM又はEDAC,DMAP,CH2Cl2 e.POCl3,ピリジン,イミダゾール,-20℃ f.TFA,CH2Cl2、室温
【0155】
【化44】

工程1
【化45】

メタノール/水(1:1)の溶液40 mL中、実施例1工程1の化合物(1.40 g、5.49 mmol)を室温下攪拌した溶液に、水酸化リチウム(0.20 g、8.30 mmol)を加えた。反応混合物は室温で18時間攪拌して、その後50℃で2時間加熱した。反応混合物を等量のエーテルと水(50 mL)で希釈し、硫酸水素カリウムでpH 3に酸性にした。乳白色の溶液をエーテルで抽出した(20 mL、3回)。エーテル層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣をトルエンでストリップして(10 mL、2回)、減圧乾燥することで、濃厚なシロップとして標題化合物を得た(1.20 g、96%)。
【0156】
工程2
【化46】

工程1の化合物(1.20 g、5.28 mmol)のTHF(20 mL)攪拌溶液に、−15℃窒素雰囲気下、4−メチルモルホリン(0.71 mL、6.50 mmol)、続いてクロロギ酸イソブチル(0.78 mL、6.00 mmol)を5分間かけて加えた。反応液は−15℃で30分間攪拌し、−30℃に冷却してアンモニアのジオキサン溶液(50 mL、25 mmol)で処理した。反応混合物は−30℃で30分間攪拌し、室温に昇温し、終夜攪拌した。反応混合物はクエン酸溶液(pH 4)でクエンチし、エーテル(50 mL、3回)で抽出した。有機相の分画を合わせて、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。酢酸エチルを用いたシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、工程2の化合物を得た(1.00 g、84%)。
【0157】
工程3
【化47】

工程2の化合物(0.90g、4.00 mmol)の塩化メチレン(3 mL)攪拌溶液に、0℃でTFA(3 mL)を加えた。反応混合物を0℃で18時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮することで、濃厚な油状物の形成として標題化合物を生成した(0.98 g、100%)。その油状物は時間をおくことで徐々に凝固した。
【0158】
工程4
【化48】

乾燥器で乾燥した15 mL容の試験管に工程3の化合物(56 mg、0.22 mmol)、N−tert−ブトキシカルボニル−(L)−tert−ロイシン(53 mg、0.23 mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.11 g、0.88 mmol)及び塩化メチレン(4 mL)を充填した。試験管を窒素雰囲気下封じて、1−[(3−(ジメチル)アミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(84 mg、0.44 mmol)で処理した。反応混合物を攪拌器に置き、終夜で渦巻いた。生成物はユナイテッド テクノロジーSCXカラム(United Technology SCX column)(6 mLのカラムに2 gの吸着剤)を用いて、物質をSCXイオン交換カラムに充填し、続いて塩化メチレン(5 mL)、30%メタノールの塩化メチレン溶液(5 mL)、50%メタノールの塩化メチレン溶液(5 mL)及びメタノール(10 mL)で連続して洗浄することで、固相抽出によって精製した。分画の中の生成物は減圧濃縮し、目的のアミド体を得た。逆相プレパラティブカラムクロマトグラフィー(YMC S5 ODS 20×250 mmカラム)により更に精製し、標題化合物を得た(50 mg 、収率68%)。精製条件:30%メタノール/水/0.1 TFAから90%メタノール/水/0.1 TFAへ15分間かけた勾配溶離。5分間90%メタノール/水/0.1 TFAを維持する。流速:毎分20 mL。検出波長:220。溶出時間:14分。
【0159】
工程5
【化49】

乾燥器で乾燥した15 mL容の試験管に工程4の化合物(50 mg、0.15 mmol)、イミダゾール(31 mg、0.46 mmol)及びピリジン(1 mL)を充填した。試験管を窒素雰囲気下封じて、−30℃に冷却した。オキシ塩化リン(141 mg、88 μL、0.92 mmol)をゆっくり加えることで、混合後濃厚なスラリーが得られた。試験管を−30℃で3時間混ぜ合わせ、揮発性物質を蒸発させた。生成物はユナイテッド テクノロジー(United Technology)シリカ抽出カラム(6 mLのカラムに2 gの吸着剤)を用いて、物質をシリカカラムに充填し、続いて塩化メチレン(5 mL)、5%メタノールの塩化メチレン溶液(5 mL)、7%メタノールの塩化メチレン溶液(5 mL)及び12%メタノールの塩化メチレン溶液(10 mL)で連続して洗浄することで、固相抽出によって精製した。分画の中の生成物をプールし、減圧濃縮して、標題化合物を得た(46 mg、96%)。
【0160】
工程6
【化50】

乾燥器で乾燥した15 mL容の試験管に工程5の化合物(0.45 mg、0.14 mmol)、塩化メチレン(1 mL)及びTFA(1 mL)を充填した。反応混合物を室温で40分間渦巻き、トルエン(4 mL)で希釈し、濃厚な油状物が得られるまで減圧濃縮した。生成物は逆相プレパラティブカラムクロマトグラフィー(YMC S5 ODS 20×250 mmカラム)により精製して、実施例6の化合物を得た(14 mg 、35%)。精製条件:10%メタノール/水/0.1 TFAから90%メタノール/水/0.1 TFAへ18分間かけた勾配溶離。5分間90%メタノール/水/0.1 TFAを維持する。流速:毎分20 mL。検出波長:220。溶出時間:10分。
【0161】
実施例7〜27は、実施例6の手順により購入可能なアミノ酸から調製した。
【表1】

【表2】

【表3】

【0162】
実施例27
【化51】

工程1
【化52】

(2S,4S,5S)−4,5−メタノ−L−プロリンカルボキシルアミドのTFA塩(53 mg、0.22 mmol)は、4 mLの塩化メチレンに溶かしたPyBop(172 mg、0.33 mmol)とN−メチルモルホリン(67 mg、0.66 mmol)を用いて、N−Boc−L−チロシン−ベンジルエーテル(82 mg、0.22 mmol)と結合した。反応は16時間攪拌し、酢酸エチルに取り、水、1N塩酸水、食塩水で洗浄し、その後蒸発させてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、結合した生成物を得た(FAB MH+ 480)。
【0163】
工程2
【化53】

工程1のアミド体を、(実施例29に従う)一般法Cを用いてニトリル体へ脱水反応した。(FAB MH+ 462)
【0164】
工程3
【化54】

工程2のベンジルエーテルは、メタノール中室温で1.5時間、10%パラジウム炭素と1気圧の水素ガスを用いて接触水素添加を行うことで除いた。反応液はセライトでろ過して、油状物になるまで濃縮し、更に精製することなく取り出した。(FAB MH+ 372)
【0165】
工程4
【化55】

工程3のN−[N−Boc−L−チロシン]−(2S,4S,5S)−2−シアノ−4,5−メタノ−L−プロリルアミドを塩化メチレンに溶かし、室温下TFAを加えた。反応液を1時間攪拌し、蒸発し、一般法B(続く実施例29に述べる。)に記載のプレパラティブHPLCによって精製して、標題化合物を得た。(FAB MH+ 272)
【0166】
実施例28
【化56】

標題化合物は、実施例6工程3の化合物で記載した(2S,4S,5S)−4,5−メタノ−L−プロリンカルボキシルアミドのTFA塩と、N−(tert−ブチルオキシ−カルボニルヒドロキシバリンとの結合により調製した。トリエチエルシリルクロリドによる水酸基の保護と、ピリジン中のオキシ塩化リン/イミダゾールによるアミド体の脱水反応と、一般法Cで用いるTFAによる脱保護(N末端とバリン水酸基)の後、標題化合物を得た。(FAB MH+ 224)
【0167】
実施例29
【化57】

工程1
【化58】

N−Boc−L−ホモセリン(1.20 g、5.47 mmol)を、THF(17 mL)に溶かしたtert−ブチルジメチルクロロシラン(1.67 g、11.04 mmol)とイミダゾール(938 mg、13.8 mmol)で処理して、窒素雰囲気下48時間濃厚なスラリーで攪拌した。溶媒を蒸発させ、粗物質をメタノール(10 mL)に溶かした。生じた溶液を2時間室温で攪拌した。溶媒を蒸発させ、粗物質を塩化メチレン(50mL)で希釈し、0.1N塩酸(10 mL、2回)で処理した。塩化メチレン層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。揮発性物質を除去することで油状物として標題化合物を得た(1.8 g)。これらは更に精製することなく用いた。(LC/Mass,+イオン):334(M+H)
【0168】
工程2
【化59】

塩化メチレン6 mLに溶かした工程1(333 mg、1.0 mmol)の攪拌溶液に、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(256 mg、1.32 mmol)を加えた。そしてその溶液を室温で30分間攪拌し、続いて実施例6工程3のアミンTFA塩(160 mg、0.66 mmol)と4−(ジメチルアミノ)ピリジン(244 mg、2.0 mmol)を加えた。その後その溶液を室温下終夜で攪拌した。反応混合物を塩化メチレン(5 mL)で希釈し、引き続いて水、10%クエン酸、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、標題化合物を得た(350 mg)。更に精製することなく用いた。(LC/Mass,+イオン):442(M+H)
【0169】
工程3
【化60】

乾燥器で乾燥した10 mL容の丸底フラスコに、工程2の化合物(350 mg、0.79 mmol)、イミダゾール(108 mg、1.58 mmol)、ピリジン(3 mL)を充填した。フラスコをアルゴン雰囲気下−30℃に冷却した。オキシ塩化リン(0.30 mL、3.16 mmol)をゆっくり加えて攪拌後濃厚なスラリーを得た。そのスラリーを3時間−30℃で混ぜ合わせ、揮発性物質を蒸発させた。塩化メチレン(5 mL)を加えて、不要な固形物をろ過して除去した。有機層を水、10%クエン酸、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去することで、目的の粗ニトリル体を得た(330 mg)。(LC/Mass,+イオン):424(M+H)
【0170】
工程4
【化61】

トリフルオロ酢酸(3.3 mL)を、3.3 mLの塩化メチレンに溶かした工程3の化合物(330 mg、0.58 mmol)の攪拌溶液に加えた。その後室温で30分間攪拌し、水を数滴加え、反応混合物を0.5時間攪拌した。反応混合物を塩化メチレン(5 mL)で希釈し、減圧濃縮して、濃厚な油状物を得た。生成物を逆相プレパラティブカラムクロマトグラフィー(YMC S5 ODS 20×100 mmカラム)により精製し、標題化合物を得た(59 mg、17%)。精製条件:10%メタノール/水/0.1 TFAから90%メタノール/水/0.1 TFAへ15分間かけた勾配溶離。5分間90%メタノール/水/0.1 TFAを維持する。流速:毎分20 mL。検出波長:220。溶出時間:10分。(LC/Mass,+イオン):210(M+H)
【0171】
一般法B:
Bocで保護されたアミノ酸へのクライゼン(Claisen)転位の経路。
【化62】

一般法BはBocで保護された四級アミノ酸を供給する。実施例30〜47は、化合物20に代表されるように、反応式4でのアミノ酸の結合によるビニル側鎖を含んでいる。シクロペンタノンはホーナー・エモンズ(Horner‐Emmons)の条件下でオレフィン化して17を得て、トルエン中−78℃から室温でDIBAL−Hを用いてアリルアルコール18へと還元した。アリルアルコール18に塩化メチレン中DCC/DMAPを用いて、N−Bocグリシンとエステル化して19を得た。無水塩化亜鉛と錯体形成し、−78℃でリチウムジイソプロピルアミドで脱水素化し、それに続いて周囲温度に加温することで、グリシンエステル19をルイス酸を介したクライゼン(Claisen)転位をすることにより20を得た。
反応式4 一般法B(実施例30−47)
【化63】

a.ホスホノ酢酸トリエチル,NaH,THF,0℃〜室温 b.DIBAL-H,トルエン,-78℃〜室温 c.N-Bocグリシン,DCC,DMAP,CH2Cl2,室温 d.ZnCl2,THF,LDA,-78℃〜室温
【0172】
工程1
シクロペンチリデン酢酸エチルエステル
火炎乾燥した500 mL容の丸底フラスコに、120 mLの無水THFに水素化ナトリウム(鉱油に60%分散した5.10 g、128 mmol、1.10当量)を投入し、0℃アルゴン雰囲気下ホスホノ酢酸トリエチル(25.6 mL、128 mmol、1.10当量)を滴下ロートを用いて滴下して加えた。反応混合物を更に1時間攪拌しながら、室温まで加温した。10 mLの無水THFに溶かしたシクロペンタノン(10.3 mL、116 mmol)溶液を、滴下ロートを用いて20分間かけて滴下して加え、反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。その後エーテル(200 mL)と水(100 mL)を加え、液層を分離した。有機相を水(100 mL)、食塩水(100 mL)で連続して洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、減圧濃縮して、無色の油状物として目的のエステル体を得た(17.5 g、98%)。
【0173】
工程2
2−シクロペンチリデンエタノール
火炎乾燥した500 mL容の丸底フラスコに、100 mLの無水トルエンにシクロペンチリデン酢酸エチルエステル(17.5 g、113 mmol)を投入し、−78℃アルゴン雰囲気下DIBAL−H(1.5Mのトルエン溶液の189 mL、284 mmol、2.50当量)を滴下ロートを用いて30分間掛けて滴下して加え、その後反応混合物を18時間攪拌しつつ、室温まで加温した。その後反応混合物を−78℃まで再冷却し、無水メタノール30 mLを注意深く加えてクエンチした。室温まで昇温して、1Nのロッシェル塩(Rochelle’s salt)(100 mL)を加えて、反応混合物を90分間攪拌した。その後二相の反応混合物をエーテル(200 mL)で分液ロートに希釈し、分液した。有機層を食塩水(100 mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、減圧濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、塩化メチレン/酢酸エチル、10:1)で精製し、無色油状物として目的のアリル型アルコールを得た(11.6 g、92%)。
【0174】
工程3
N−(tert−ブチルオキシカルボニル)グリシン−(2−シクロペンチリデンエチル)
【化64】

火炎乾燥した500 mL容の丸底フラスコに、100 mLの塩化メチレンにN−(tert−ブチルオキシカルボニル)グリシン(13.45 g、76.75 mmol)を投入し、室温下塩化メチレン20 mLに溶かした工程2の化合物(8.61 g、76.75 mmol、1.00当量)を加え、引き続き塩化メチレン80 mLに溶かしたジシクロヘキシルカルボジイミド(16.63 g、mmol、1.05当量)を加えた。その後この反応混合物に4−ジメチルアミノピリジン(0.94 mg、mmol、0.10当量)を加え、反応混合物を終夜で攪拌した。反応混合物を中半融ガラスロートでろ過して、100 mLの塩化メチレンですすぎ、減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル、20:1から1:1への勾配)で精製し、無色油状物として目的のグリシンエステル体を得た(19.43 g、94%)。
【0175】
工程4
N−(tert−ブチルオキシカルボニル)(1’ビニルシクロペンチル)−グリシン
【化65】

火炎乾燥した500 mL容の丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、塩化亜鉛(11.8 g、mmol、1.20当量)と20 mLのトルエンを投入した。反応混合物を減圧下激しく攪拌しながら加熱し、蒸留したトルエンで残存する水分を共沸させた。この操作を繰り返した(2回)。それからフラスコをアルゴン雰囲気下室温まで冷却し、N−(tert−ブチルオキシカルボニル)グリシン−(2−シクロペンチリデンエチル)(19.36 g、71.88 mmol)を180 mLのTHF溶液としてカニューレで加え、その後反応混合物を−78℃まで冷却した。90 mLのTHFに溶かしたジイソプロピルアミン(26.3 mL、mmol、2.60当量)を含んだ別の火炎乾燥した200 mL容の丸底フラスコに、−78℃でn−ブチルリチウム(2.5 Mのヘキサン溶液の71.89 mL、mmol、2.5当量)を加え、反応混合物を30分間0℃に加温し、−78℃に再冷却した。このようにして生成したリチウムジイソプロピルアミンを塩化亜鉛エステル混合物に、カニューレで40分間かけて一定の速度で滴下して加え、生じた反応混合物を室温までゆっくり加温して、終夜で攪拌した。それから黄色い反応混合物を別のフラスコに注ぎ、エーテル300 mLで希釈し、生じた有機溶液を1N塩酸300 mLと食塩水300 mLで連続して洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸0.5%を含んだ3%メタノールの塩化メチレン溶液)で精製し、白色固形物として目的のアミノ酸生成物を得た(17.8 g、92%)。(FAB MH+ 270)
【0176】
実施例30
一般法C:
4,5−メタノ−プロリンアミドへのペプチド結合、アミド体の脱水反応及び最終的な脱保護。
【化66】

アミド体13のTFA塩は、室温下DMF中HOBT/EDCを用いて、様々なラセミ体である保護された四級アミノ酸へ結合され、N末端アミノ酸でジアステレオマーのD/L混合物を与えた。目的のL体のジアステレオマーは、アミド体21として又はニトリル体22としていずれかによりクロマトグラフィー的に単離された。ニトリル体22は、−20℃でピリジン中オキシ塩化リン/イミダゾールとそのアミド体との処理により得られた。最終目的の23は、塩化メチレン中のTFAの使用による酸性条件下、脱保護されて得られた。
反応式5 一般法C
【化67】

a.EDAC,HOBT,DMF b.POCl3,ピリジン,イミダゾール,-20℃ c.TFA,CH2Cl2,室温
【0177】
工程1
【化68】

実施例6工程3の化合物(877 mg、3.65 mmol)とN−Boc−シクロペンチルビニルアミノ酸(1.13 g、4.20 mmol)は、一般法Bの工程4に記述したように、無水DMF20 mLに溶かして、0℃に冷却し、この反応混合物にEDAC(1.62 g、8.4 mmol)、HOBT水和物(2.54 g、12.6 mmol)及びTEA(1.27 g、12.6 mmol)を加え、反応液を室温まで加温し、24時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(100 mL)に取り、水で洗浄し(20 mL、3回)、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル100%)で精製し、工程1の化合物を得た(1.38 g、86%)。(MH+、378)
【0178】
工程2
【化69】

工程1の化合物(1.38 g、3.65 mmol)とイミダゾール(497 mg、7.30 mmol)をトルエン共沸(5 mL、2回)で乾燥し、無水ピリジン10 mLに溶かして、窒素気流下−30℃に冷却し、シリンジでオキシ塩化リン(2.23 g、14.60 mmol)を加えた。反応は1時間後に完了し、乾燥するまで蒸発させ、残渣をシリカゲルによる2つの別々のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。第一のカラム(酢酸エチル100%)は、反応の副生成物からジアステレオマーの混合物(1.15 g、88%)を単離するのに使われた。第二のカラム(25%酢酸エチル/ヘキサンから50%酢酸エチル/ヘキサンへの勾配)は、ジアステレオマーの混合物を分割するのに効力を発揮し、目的の工程2のニトリル体504 mgを得た。(MH+360)
【0179】
工程3
【化70】

工程2の化合物(32 mg、0.09 mmol)を塩化メチレン1 mLに溶かし、TFAを1 mL加えて、反応液を室温で30分間攪拌し、乾燥するまで蒸発させた。生成物を逆相プレパラティブカラムクロマトグラフィー(YMC S5 ODS 20×250 mmカラム)で精製し、標題化合物であるTFA塩12 mgを得た(水から凍結乾燥するか、又は溶離液を蒸発してエーテルでトリチュレートした後単離した)。精製条件:10%メタノール/水/0.1 TFAから90%メタノール/水/0.1 TFAへ18分間かけた勾配溶離。5分間90%メタノール/水/0.1 TFAを維持する。流速:毎分20 mL。検出波長:220。
【0180】
実施例30〜39は、それぞれシクロペンタノン、シクロブタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シス−3,4−ジメチルシクロペンタノン、4−ピラノン、シクロプロパンエチルヘミアセタール、アセトン及び3−ペンタノンから出発して一般法Bと一般法Cに概説した方法によって調製された。
【表4】

【表5】

*工程3の化合物はTetrahedron Letters 1986,1281‐1284に記載の方法によって調製した。
【0181】
実施例40
【化71】

工程1
【化72】

工程1の化合物はホスホノ酢酸トリエチルの代わりに、シクロペンタノンと2−フルオロ−ホスホノ酢酸トリエチルから出発して一般法Bによって調製した。
【0182】
工程2
【化73】

標題化合物は一般法Cに記載のように、工程1の酸のペプチド結合、それに続く脱水反応、最終的な脱保護によって調製された。[MS(M+H)278]
【0183】
実施例41
【化74】

工程1
【化75】

工程1の化合物はホスホノ酢酸トリエチルの代わりに、シクロブタノンと2−フルオロ−ホスホノ酢酸トリエチルから出発して一般法Bによって調製した。
【0184】
工程2
【化76】

標題化合物は一般法Cに記載のように、工程1の酸のペプチド結合、それに続く脱水反応、最終的な脱保護によって調製された。[MS(M+H)264]
【0185】
実施例42
【化77】

工程1
【化78】

工程1の化合物はホスホノ酢酸トリエチルの代わりに、シクロペンタノンとホスホノプロピオン酸トリエチルから出発して一般法Bによって調製した。
【0186】
工程2
【化79】

標題化合物は一般法Cに記載のように、工程1の酸のペプチド結合、それに続く脱水反応、最終的な脱保護によって調製された。[MS(M+H)274]
【0187】
実施例43
【化80】

工程1
【化81】

工程1の化合物はホスホノ酢酸トリエチルの代わりに、シクロブタノンとホスホノプロピオン酸トリエチルから出発して一般法Bによって調製した。
【0188】
工程2
【化82】

標題化合物は一般法Cに記載のように、工程1の酸のペプチド結合、それに続く脱水反応、最終的な脱保護によって調製された。[MS(M+H)260]
【0189】
実施例44
一般法D:
オゾン分解によるビニル置換基の酸化的開裂。保護されたシクロペンチルビニルニトリル体22をオゾンによる6〜8分の処理して、水素化ホウ素ナトリウムによる還元的なクエンチをして、直接的にヒドロキシメチル類似体24を得た。この化合物を、0℃でTFAの塩化メチレン溶液による酸性条件下脱保護して、目的化合物25を得た。
反応式6 一般法D(実施例44,46,48)
【化83】

a.O3,MeOH:CH2Cl2(10:4),-78℃;その後NaBH4,-78℃から0℃、79% b.TFA:CH2Cl2(1:2),0℃
【0190】
工程1
【化84】

一般法Cの工程2で調製されたシクロペンチルビニル化合物(1.28 g、3.60 mmol)を塩化メチレン/メタノールの混液(2:5)の56 mLに溶かし、−78℃に冷却し、反応混合物が青色を帯びるまでオゾンの蒸気で処理し、それから水素化ホウ素ナトリウム(566 mg、15.0 mmol、4.2当量)を加え、反応液を0℃に加温した。30分後、反応液を飽和重曹水2 mLでクエンチし、そして室温に加温した。反応混合物を蒸発乾固し、酢酸エチルに溶解した。無機物を溶かすために少量の水を加え、分液した。酢酸エチル層を乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、ろ過して油状物になるまで蒸発させた。そして酢酸エチルを用いたシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、工程1の化合物を得た(922 mg、71%)。MS(M+H)364
【0191】
工程2
【化85】

工程1の化合物(900 mg、2.48 mmol)塩化メチレン60 mLに溶かし、0℃に冷却し、蒸留してすぐのTFA 20 mLで処理した。反応は80分で完了し、反応混合物を蒸発乾固して、プレパラティブHPLC(YMC S5 ODS 30×100 mm、80%溶液A:溶液Bから100%溶液Bへの18分の濃度勾配、溶液A=10%メタノール−90%水−0.1%TFA、溶液B=90%メタノール−10%水−0.1%TFA、5.1〜6.5分の分画を集めた生成物)で精製し、水による凍結乾燥後に標題化合物のTFA塩を白色の凍結乾燥品として得た(660 mg、71%)。(MH+264)
【0192】
実施例45
一般法E:
四酸化オスミウム−過ヨウ素酸ナトリウムによるビニル置換基の酸化開裂、これに続く水素化ホウ素ナトリウムによるアルコールへの還元。シクロブチルオレフィン体26はTHF:水(1:1)の混液中四酸化オスミウムと過ヨウ素酸ナトリウムで処理して、中間体のアルデヒドを粗生成物として単離し、すぐに水素化ホウ素ナトリウムで還元し、収率56%で27を得た。TFAを用いた標準的な脱保護条件で目的化合物28を得た。
反応式7 一般法E(実施例45,47)
【化86】

a.OsO4,THF:H2O,1:1;NaIO4;後処理してNaBH4,MeOH,室温,56% b.TFA:CH2Cl2,1:2,0℃から室温
【化87】

【0193】
工程1
【化88】

N−Bocで保護されたシクロブチルビニル化合物(一般法Cで調製された実施例31)(0.16 g、0.46 mmol)をTHF/水の混液(1:1)10 mLに溶かし、四酸化オスミウム(12 mg、触媒量)と過ヨウ素酸ナトリウム(0.59 g、2.76 mmol、6当量)で処理した。2時間後、反応混合物をエーテル50 mLと水10 mLで希釈した。層を平衡化して、有機分画を重曹溶液で1度洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、色の濃い油状物を得た。油状物はメタノール10 mLで希釈し、水素化ホウ素ナトリウム(0.08 g、2.0 mmol)で処理した。反応混合物は非常に色が濃くなり、30分後にエーテルで希釈し、反応液を重曹水溶液でクエンチした。反応混合物を平衡化し、分液した。有機分画を重曹溶液及び0.1M塩酸で洗浄した。有機相は乾燥し(硫酸マグネシウム)、濃縮して色の濃い油状物として工程1の化合物を得た(90 mg、56%)。
【0194】
工程2
【化89】

工程1の化合物(90mg、0.26 mmol)を塩化メチレン3 mLに溶かし、0℃に冷却し、蒸留してすぐのTFA 3 mLで処理した。反応は80分で完了し、蒸発乾固して、プレパラティブHPLC(YMC S5 ODS 30×100 mm、100%溶液Aから100%溶液Bへの10分の濃度勾配、溶液A=10%メタノール−90%水−0.1%TFA、溶液B=90%メタノール−10%水−0.1%TFA)で精製し、水を除去して、標題化合物を得た(50 mg、60%)。(MH+250)
【0195】
【表6】

【0196】
実施例49
【化90】

工程1
【化91】

パートA.
50 mL容のフラスコに、ジヒドロ−4,4−ジメチル−2,3−フランジオン(5.0 g、39.0 mmol)、酢酸(10 mL)、酢酸ナトリウム(3.82 g、39.0 mmol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(2.71 g、39.0 mmol)を投入した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、減圧濃縮して、ほとんどの酢酸を留去した。残留物を水(100 mL)に注ぎ、水相を酢酸エチル(40 mL、3回)で抽出した。有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮することで、置いておくと凝固する無色の油状物を得た。
【0197】
パートB.
200 mL容の丸底フラスコにパートAの固形物(39 mmol)を投入し、エタノール80 mLと2N塩酸39 mL(78 mmol)で希釈した。反応混合物を5%パラジウム炭素1.0 gで処理し、反応混合物を脱気した。フラスコを水素雰囲気下8時間置いた。反応混合物をセライトでろ過し、ろ液を濃縮して灰白色の固形物を得た。
【0198】
パートC.
250 mL容の丸底フラスコにパートBの固形物を投入し、THF(50 mL)と水(15 mL)で希釈した。ジ炭酸ジ−tert−ブチル(12.7 g、117 mmol)と重炭酸ナトリウム(10.0 g、117 mmol)で反応混合物を処理した。4時間攪拌後、反応混合物をエーテル50 mLと水50 mLで希釈した。分液し、有機分画を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を30%酢酸エチル−ヘキサン溶液によるシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固形物として工程1の化合物を得た(2.00 g、全体で22%)。
【0199】
工程2
【化92】

室温窒素雰囲気下THF(20mL)中、工程1の化合物(1.00 g、3.80 mmol)の攪拌溶液に、水酸化リチウム水和物(0.16 g、3.80 mmol)を加え、その後水(5 mL)を加えた。反応液を40℃で0.5時間攪拌し、その後室温に冷却した。反応混合物を蒸発乾固し、残留物をTHF(2回)、トルエン(2回)、THF(1回)でストリップした。残存しているガラスをTHF 5 mLで希釈し、イミダゾール(0.63 g、9.19 mmol)で処理し、引き続きt−ブチル−ジメチルクロロシラン(1.26 g、8.36 mmol)で処理した。反応液を終夜攪拌し、メタノール10 mLでクエンチした。攪拌1時間後反応混合物を濃縮した。追加でメタノールを少し加え、反応混合物を濃縮した。油状物をエーテルと0.1N塩酸(pH 2)で希釈した。層を平衡化し、水層を除いた。有機分画は硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、無色のガラス状物として工程2の化合物を得た(1.25 g、83%)。
【0200】
工程3
【化93】

標題化合物は工程2のカルボン酸と実施例6工程3のアミンとのペプチド結合、それに続く一般法Cで概略を示した脱水反応と脱保護によって調製した。MS(M+H)238
【0201】
一般法F:
ビニル置換基の接触還元。反応式8に示すように、保護されているビニル基が置換されたアミノ酸20を、常圧下10%パラジウム炭素と水素を用いた接触還元により、相当する飽和類似体29へ変換した。
反応式8 一般法F(実施例50〜56)
【化94】

a.10% Pd/C,1気圧の水素,MeOH,12時間,100%
【0202】
工程1
N−(tert−ブチルオキシカルボニル)(1’ビニルシクロペンチル)グリシン(2.23 g、8.30 mmol)をメタノール50 mLに溶かし、アルゴンでパージした水素添加用の容器に投入した。この混合物に10%パラジウム炭素(224 mg、10% w/w)を加え、反応液を1気圧の水素雰囲気下、室温で12時間攪拌した。反応液をセライトでろ過して、濃縮し、メタノール:塩化メチレン(1:9)の混液によるシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、ガラス状物として工程1の化合物を得た。(FAB MH+272)
【0203】
実施例50〜56は、(そこでのビニル置換基が一般法Fによる水素添加されているところの)アミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載された脱水反応及び脱保護によって得られた。
【表7】

【0204】
実施例57
【化95】

実施例57の標題化合物は、(そこでのオレフィン置換基が一般法Fによる水素添加されているところの)イソプロピルシクロブタンアミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載された脱水反応及び脱保護によって得られた。
【0205】
実施例58
【化96】

実施例58の標題化合物は、(そこでのオレフィン置換基が一般法Fによる水素添加されているところの)イソプロピルシクロペンタンアミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載された脱水反応及び脱保護によって得られた。MS(M+H)276
【0206】
一般法G:
非対称なストレッカー(Strecker)反応により合成されたL−アミノ酸。商業上利用価値の高いアダマンチルカルボン酸を、メタノール中塩酸で還流するか、エーテル/メタノール中トリメチルシリルジアゾメタンを用いるかでエステル化して、30を得た。そのエステル体を、THF中LAHを用いてアルコール31へと還元し、その後スワン(Swern)酸化して、アルデヒド体32を得た。アルデヒド体32は、シアン化カリウム、亜硫酸水素ナトリウム及びR−(−)−2−フェニルグリシノールを用いて、非対称なストレッカー(Strecker)条件下33へ変換された。33のニトリル体を、酢酸中12Mの塩酸を用いた強い酸性条件下加水分解し、34を得た。キラル補助剤を、50 psiの水素下酸性メタノール中パールマン触媒(Pearlman's catalyst)を用いて接触還元して除いて、35を得た。そして生じたアミノ基をカルバミン酸t−ブチルとして保護し、36を得た。
反応式9 一般法G(実施例59〜64)
【化97】

a.LAH,THF,0℃から室温,96% b.ClCOCOCl,DMSO,CH2Cl2,-78℃,98% c.R-(-)-2-フェニルグリシノール,NaHSO3,KCN d.12M HCl,HOAc,80℃,16時間,78% e.20% Pd(OH)2,50 psi H2,MeOH:HOAc,5:1 f.(Boc)2O,K2CO3,DMF,92%,2工程
【0207】
工程1
【化98】

アダマンタン−1−カルボン酸(10.0 g、55 mmol,1当量)をエーテル(160 mL)とメタノール(40 mL)の混液に溶かし、トリメチルシリルジアゾメタン(2.0 Mのヘキサン溶液、30 mL、60 mmol、1.1当量)で処理して、室温で3時間攪拌した。その後揮発性物質はロータリーエバポレーターで除去し、生成物を40%塩化メチレン/ヘキサンによるシリカゲル(5×15 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、白色の結晶性の固形物として生成物を得た(10.7 g、100%)。
【0208】
工程2
【化99】

工程1の化合物(10.7 g、0.055 mmol、1当量)をアルゴン雰囲気下、無水THF(150 mL)に溶かし、水素化リチウムアルミニウム溶液(1MのTHF溶液、69 mL、69 mmol、1.25当量)で処理した。室温で1.5時間攪拌後、反応液を0℃に冷却し、水(5.1 mL)、15%水酸化ナトリウム溶液(5.1 mL)及び水(10.2 mL)で連続してクエンチした。室温で15分間攪拌後、スラリーを減圧ろ過し、固形物を酢酸エチル(100 mL、2回)で洗浄した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、生じた固形物を、10%酢酸エチル/塩化メチレンを用いたシリカゲル(5×15 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、白色の固形物として工程2の生成物を得た(8.74 g、96%)。
【0209】
工程3
【化100】

乾燥器で乾燥した三頚フラスコで、125 mL容の滴下ロートを備えたものに、アルゴン雰囲気下、無水塩化メチレン(150 mL)、無水DMSO(10.3 mL、0.145 mol、2.5当量)を投入し、−78℃に冷却した。オキザリルクロリド(6.7 mL、0.0768 mmol、1.32当量)のゆっくりした滴下による添加と、これに続く15分間の攪拌によって、活性化されたDMSO付加体を得た。これを、工程2の化合物(9.67 g、58.2 mmol、1当量)の 乾燥塩化メチレン(75 mL)溶液で処理して、反応液を1時間攪拌した。その後、生じた白色の混合物をトリエチルアミン(40.5 mL、0.291 mol、5 当量)で滴下して処理した。30分後、冷浴を除き、反応を冷20%リン酸二水素カリウム水溶液(25 mL)、冷水(150 mL)で連続してクエンチした。室温で15分間攪拌後、反応混合物をエーテル(400 mL)で希釈し、分液した。有機相を冷10%リン酸二水素カリウム水溶液(150 mL、3回)及び飽和食塩水(100 mL)で洗浄した。有機相は乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、ろ過し、濃縮した。残渣を塩化メチレンを用いたシリカゲル(5×10 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、白色の固形物として工程3の生成物を得た(9.40 g、98%)。
【0210】
工程4
【化101】

工程3の化合物(9.40 g、57 mmol、1当量)を水(145 mL)で懸濁させ、0℃に冷却した。反応液を亜硫酸水素ナトリウム(5.95 g、57 mmol、1当量)、シアン化カリウム(4.0 g、59 mmol、1.04当量)及びR−(−)−フェニルグリシノール(8.01 g、57 mmol、1当量)のメタノール(55 mL)溶液で処理した。生じた反応混合物は室温で2時間攪拌を行い、その後16時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル200 mLを加えた。15分間混ぜた後分液した。水相分画を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルの抽出物を合わせて食塩水(50 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、ろ液を濃縮した。生成物を20%酢酸エチル/ヘキサンを用いたシリカゲル(6.4×20 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、白色の固形物として目的の(R,S)生成物を得た(11.6 g、37.4 mmol、65%)。MS m/e 311(M+H)+
【0211】
工程5
【化102】

工程4のニトリル体(5.65 g、18 mmol)を、濃塩酸(120 mL)と酢酸(30 mL)中18時間80℃に加熱し、それから、反応液を氷浴で冷却した。生じた沈殿物を真空ろ過して、目的の生成物を白色の固形物として得た(5.21 g、14 mmol、78%)。MS m/e 330(m+H)+
【0212】
工程6
【化103】

工程6の化合物(5.21 g、14 mmol)をメタノール(50 mL)及び酢酸(10 mL)に溶かし、水素(50 psi)とパールマン触媒(Pearlman's catalyst)(20% Pd(OH)2、1.04 g、20%w/w)を用いて、18時間水素添加を行った。反応液をPTFEメンブランフィルターでろ過して、触媒をメタノール(25 mL、3回)で洗浄した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、白色の固形物を得た。生成物は更に精製することなく、工程7に用いた。
【0213】
工程7
【化104】

工程6の粗化合物(14 mmol)を無水DMF(50 mL)にアルゴン雰囲気下溶かし、室温アルゴン雰囲気下炭酸カリウム(5.90 g、42 mmol、3当量)とジ炭酸ジ−tert−ブチル(3.14 g、14 mmol、1当量)で処理した。19時間後、DMFはロータリーエバポレーター(ポンプ)で留去し、残渣を減圧下更に乾燥した。残渣を水(100 mL)とエーテル(100 mL)で混合し、分液して、アルカリ溶液からエーテル(100 mL、2回)により水素添加工程の副生成物を除いた。水相を0℃に冷却し、酢酸エチル(200 mL)で希釈し、1N塩酸水でpH 3になるよう水相を注意深く酸性にしながら、激しく攪拌した。分液して水相を酢酸エチル(100 mL)で抽出した。酢酸エチル抽出液の合わせたものを、食塩水(50 mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、ろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣は5%メタノール/塩化メチレンに0.5%の酢酸を加えたものを用いて、シリカゲルフラッシュカラム(5×12 cm)で精製した。生成物はヘキサンでチェイスし、白色の泡状物として生成物を得た(4.07 g、13 mmol、92%)。MS m/e 310 (m+H)+
【0214】
実施例59
【化105】

実施例59の標題化合物は、一般法Gにおける工程7の化合物とのペプチド結合と、それに続く一般法Cにて記載した脱水反応と脱保護反応によって調製した。MS m/e 300(m+H)+
【0215】
実施例60
【化106】

工程1
【化107】

2%の水酸化カリウム水溶液(6 mL)中の過マンガン酸カリウム(337 mg、2.13 mmol、1.1当量)溶液を、60℃に加温し、一般法G工程7の化合物(600 mg、1.94 mmol、1当量)を数回に分けて加え、90℃に加温した。1.5時間後、反応液を0℃に冷却し、酢酸エチル(50 mL)を加えて、1N塩酸水でpH 3になるよう混合液を注意深く酸性にした。分液して水相を酢酸エチル(50 mL)で抽出した。有機相の抽出液の合わせたものを、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮した。残渣を2%のメタノール/塩化メチレンに0.5%の酢酸を加えた溶液(200 mL)、3%の同溶液(200 mL)、4%の同溶液(200 mL)及び5%の同溶液(500 mL)を用いて、シリカゲル(3.8×15 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物を単離後、その物質をヘキサンでチェイスし、白色固形物を得た(324 mg、51%)。MS m/e 326 (m+H)+
【0216】
工程2
【化108】

工程1の化合物(404 mg,1.24 mmol、1当量)を、アルゴン雰囲気下無水DMF(10 mL)に溶かして、0℃に冷却した。そして以下のものを順に加えた。実施例6工程3の塩(328 mg、1.37 mmol、1.1当量)、HOBT(520 mg、3.85 mmol、3.1当量)、EDAC(510 mg、2.61 mmol、2.1当量)及びTEA(0.54 mL、3.85 mmol、3.1当量)。反応混合物を室温に加温して終夜置き、DMFをロータリーエバポレーター(ポンプ)で留去した。残留物を更に真空乾燥した。残渣を酢酸エチル(100 mL)に溶かし、飽和重曹水(50 mL)と飽和食塩水(25 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。生成物を6%のメタノール/塩化メチレン溶液(200 mL)、7%の同溶液(200 mL)及び8%の同溶液(500 mL)の濃度勾配法を用いて、シリカゲル(3.8×15 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固形物として生成物を得た(460 mg、1.06 mmol、85%)。MS m/e 434 (m+H)+
【0217】
工程3
【化109】

工程2の化合物(95 mg、0.22 mmol、1当量)をアルゴン雰囲気下無水塩化メチレン(2.5 mL)に溶かし、−78℃に冷却した。反応混合物をジイソプロピルエチルアミン (65 μL、0.37 mmol、1.7当量)とトリエチルシリルトリフレート(75 μL、0.33 mmol、1.5当量)で処理して、0℃で1.5時間攪拌した。反応液をメタノール(0.5 mL)、シリカゲル(200 mg)及び水(2滴)と共に混合し、室温で18時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、4%メタノール/塩化メチレン溶液を用いて、残渣をシリカゲル(2.5×10 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物を得た(92 mg、0.17 mmol、77%)。MS m/e 548 (m+H)+
【0218】
工程4
【化110】

工程3の化合物(90 mg、0.16 mmol、1当量)をアルゴン雰囲気下無水ピリジン(2 mL)に溶かし、−30℃に冷却した。イミダゾール(24 mg、0.35 mmol、2.1当量)とオキシ塩化リン(66 μL、0.67 mmol、4.1当量)による処理、続く−30℃で45分間の攪拌により、濃厚なスラリーが得られた。揮発性物質はロータリーエバポレーターで留去し、ケーキ状物は更に減圧乾燥した。生成物は7%酢酸エチル/塩化メチレン溶液を用いて、シリカゲル(2.5×10 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、白色泡状物として生成物を得た(76 mg、87%)。MS m/e 530 (m+H)+
【0219】
工程5
【化111】

工程4の化合物(76 mg、0.14 mmol)を無水塩化メチレン(1 mL)に溶かし、0℃に冷却してTFA(1 mL)と水(2滴)で処理して、0℃で1.5時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、残渣をトルエン(5 mL)でチェイスし、減圧乾燥した。エーテルによるトリチュレートで白色固形物として標題化合物を得た(54 mg、88%)。MS m/e 316(m+H)+
【0220】
実施例61
【化112】

工程1
【化113】

乾燥器で乾燥しアルゴンでパージしたフラスコに無水塩化メチレン(3 mL)を投入し、−78℃に冷却した。ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST、60 μL、0.45 mmol、1.5当量)で処理し、続いて実施例60工程2の化合物(131 mg、0.30 mmol、1当量)の乾燥塩化メチレン(3 mL)溶液で処理した。15分後、反応液を飽和重曹水(25 mL)を含んだ別のフラスコに注いで、分液した。水相分画は塩化メチレン(25 mL)で抽出し、その後、有機相の抽出液の合わせたものを食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、ろ過して、濃縮した。5%メタノール/塩化メチレン溶液を用いて、生成物をシリカゲル(2.5×10 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、工程1の化合物を得た(124 mg、0.29 mmol、94%)。MS m/e 436(m+H)+
【0221】
工程2
【化114】

工程1からのフッ素化したアミド体(161 mg、0.37 mmol、1当量)をアルゴン雰囲気下無水ピリジン(4 mL)に溶かし、−30℃に冷却した。反応混合物をイミダゾール(54 mg、0.77 mmol、2.1当量)とオキシ塩化リン(143 μL、1.52 mmol、4.1当量)で処理して、−30℃で40分間の攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、更に減圧乾燥した。生成物は5%酢酸エチル/塩化メチレン溶液を用いて、シリカゲル(2.5×10 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、白色泡状物として工程2の化合物を得た(126 mg、82%)。MS m/e 418 (m+H)+
【0222】
工程3
【化115】

工程2の化合物(125 mg、0.30 mmol)をTFA/塩化メチレン(1:1 v/v、2 mL)に溶かし、室温で攪拌した。30分後溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、残留物をトルエン(5 mL、2回)でチェイスして、固形物を減圧乾燥した。エーテルでトリチュレートして、白色固形物として標題化合物を得た(93 mg、0.21 mmol、72%)。MS m/e 318(m+H)+
【0223】
実施例62
【化116】

工程1
【化117】

工程1の化合物は2−アダマンタナールから出発して調製し、一般法Gに従い、非対称なストレッカー(Strecker)合成によってホモキラルなBoc−アミノ酸へと合成した。
【0224】
工程2
【化118】

実施例62の標題化合物は、工程1に記載の2−アダマンチル アミノ酸のペプチド結合、これに続く一般法Cの記載のように脱水反応及び脱保護反応によって、調製した。MS(M+H)300
【0225】
実施例63
【化119】

工程1
【化120】

冷却管と乾燥管を備えた乾燥器で乾燥したフラスコに、ノルボルナン−2−カルボン酸(4.92 g、35 mmol、1当量)を投入し、臭素(2.1 mL、41 mmol、1.15当量)及び三塩化リン(0.153 mL、1.8 mmol、0.05当量)で処理した。反応混合物を遮光して7時間85℃で加熱した。臭素(0.4 mL、7.8 mmol、0.22当量)を追加して加え、1時間加熱を続けた。反応混合物を室温に冷却し、エーテル(100 mL)を加えた。混合物を10%重曹水(50 mL)、水(50 mL、2回)及び食塩水(25 mL)で洗浄した。エーテル分画を乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、ろ過して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。0.5%酢酸を含んだ2%から4%のメタノール/塩化メチレン溶液を用いて、シリカゲル(5×15 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで、生成物を精製した。生成物をヘキサンでチェイスし、残留する酢酸を除いた。単離した物質は2つの分離できない物質(4.7 g)からなり、更に精製することなく次の工程に用いた。
【0226】
【化121】

上記より得られた粗生成物であるエキソ−2−臭化ノルボルナン−1−カルボン酸(4.7 g、混ざり物)をエーテル(80 mL)とメタノール(20 mL)に溶かし、トリメチルシリルジアゾメタン(2.0 M ヘキサン溶液、11.8 mL、23.6 mmol)と共に混ぜ合わせ、室温で1時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、塩化メチレン/ヘキサン混液による濃度勾配(20%及び30%についてそれぞれ600 mL)とそれに続く塩化メチレンを用いたシリカゲル(5×18 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって、油状物を精製して、白色固形物として生成物を得た(3.97 g、0.017 mol、2工程で79%)。MS m/e 233/235(m+H)+
【0227】
【化122】

エキソ−2−臭化ノルボルナン−1−カルボン酸メチル(2.0 g、8.58 mmol、1当量)を、冷却管を備え乾燥器で乾燥した三頚のフラスコにおいて、無水THF(50 mL)に溶かし、アルゴンでパージした。反応混合物をAIBN(288 mg、1.71 mmol、0.2当量)及び水素化トリブチルすず(3.6 mL、12.87 mmol、1.5当量)で処理して、その後2時間加熱還流した。フラスコを室温に冷却し、THFをロータリーエバポレーターで除去して、粗生成物を得た。生成物を、5%酢酸エチル/ヘキサン混液を用いて、シリカゲル(5×10 cm)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。残留物質は更に精製することなく次工程に用いた。
【0228】
工程2
【化123】

工程1の化合物は1−ノルボニルカルボン酸メチルから出発して調製され、一般法Gに従い、非対称のストレッカー(Strecker)合成によって、ホモキラルなBoc−アミノ酸へと合成した。
【0229】
工程3
【化124】

実施例63の標題化合物は、工程2に記載の1−ノルボニルアミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載の脱水反応と脱保護反応によって調製された。MS(M+H)260
【0230】
実施例64
【化125】

工程1
【化126】

工程1の化合物は4−ホルミルピランから出発して調製し、一般法Gに従い、非対称のストレッカー(Strecker)合成によって、ホモキラルなBoc−アミノ酸へと合成した。
【0231】
工程2
【化127】

実施例64の標題化合物は工程2に記載の4−ピラニルアミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載のように脱水反応及び脱保護反応によって、調製した。MS(M+H)250
【0232】
一般法H:
ラセミ体アミノ酸のストレッカー(Strecker)合成
反応式10 一般法H(実施例65〜66)
【化128】

a.セライト、PCC,CH2Cl2、室温、91% b.NH4Cl,NaCN,MeOH;12M HCl,HOAc;(Boc)2O,TEA,DMF
【0233】
工程1
【化129】

1−フェニルシクロ−1−ペンタン−カルボン酸(5.00 g、26.3 mmol)のTHF(25 mL)の攪拌溶液に、0℃でLAHのTHF溶液(52 mL、52 mmol、1M)を加えた。反応混合物を室温までゆっくり昇温し、その後18時間還流した。反応液をフィーザー法(Fieser procedure)(水2 mL、15%水酸化ナトリウム6 mL及び水2 mLの注意深い添加)に従い、クエンチした。二相性の混合液をエーテル100 mLで希釈し、顆粒状の白色固形物をろ別した。エーテル分画は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、工程1の化合物を得た(4.30 g、93%)。
【0234】
工程2
【化130】

工程1の化合物(0.80 g、4.50 mmol)の塩化メチレン(15 mL)の攪拌溶液に、室温でセライト(5 g)を加え、続いてPCC(1.95 g、5.00 mmol)を加えた。3時間攪拌後、反応混合物を塩化メチレン40 mLで希釈し、セライトでろ過した。ろ液を更にシリカゲルでろ過し、無色のろ液を得た。塩化メチレン分画は蒸発させて、無色の油状物としてアルデヒド体を得た(0.72 g、91%)。
【0235】
工程3
【化131】

水(8 mL)中の工程2の化合物(0.72 g、4.2 mmol)を含んだ50 mL容の丸底フラスコに、室温でシアン化ナトリウム(0.20 g、4.20 mmol)、続いて塩化アンモニウム(0.20 g、5.00 mmol)を加えた。その後この反応混合物にメタノール(8 mL)を加え、反応混合物を終夜で攪拌した。その後反応混合物をエーテル(15 mL、2回)で抽出し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮して、粗のストレッカー(Strecker)生成物を得た。
【0236】
粗のストレッカー(Strecker)生成物を含んだ100 mL丸底フラスコに、10 mLの酢酸と10 mLの濃塩酸を加えた。反応混合物は終夜で還流した。反応混合物を減圧濃縮して、黄色い固形物を得た。その固形物をエーテルとヘキサンの混液(1:1)の5 mLでトリチュレートした。白色の固形物を、DMF(50 mL)中、トリエチルアミン(1.4 mL、9.99 mmol)とジ炭酸ジ−tert−ブチル(1.00 g、4.60 mmol)で処理した。4時間後、反応混合液のpHを、飽和炭酸ナトリウム溶液で9に調整した。更に3時間攪拌を続け、反応混合物をエーテルとヘキサンの混液(1:1)で抽出し、水相分画を5%硫酸水素カリウム溶液でpH 2まで酸性にした。水相をエーテルで洗浄し(40 mL、2回)、有機相を乾燥し(硫酸マグネシウム)、油状物になるまで蒸発させ、メタノール:塩化メチレン(8:92)の混液を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、薄色の油状物としてBocで保護されたアミノ酸を得た(0.3 g、23%)。(M−H,318)
【0237】
実施例65
【化132】

工程1
【化133】

工程1の化合物の合成は、ラセミ体のアミノ酸のストレッカー(Strecker)合成として一般法Hに記載されている。
【0238】
工程2
【化134】

実施例65の標題化合物は、工程1及び一般法Hに記載のシクロペンチルフェニルアミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載の脱水反応と脱保護反応によって調製された。MS(M+H)310
【0239】
実施例66
【化135】

工程1
【化136】

工程1の化合物は、2,2−ジメチル−フェニル酢酸から出発して、一般法Hに従い、ラセミ体のストレッカー(Strecker)合成を用いて調製した。
【0240】
工程2
【化137】

実施例66の標題化合物は、工程1に記載のジメチルフェニルアミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載の脱水反応と脱保護反応によって調製された。MS(M+H)284
【0241】
実施例67
【化138】

工程1
N−(ベンジルオキシカルボニル)コハク酸イミド(5.6 g、22.4 mmol)を塩化メチレン(25 mL)に溶かし、その溶液をアミノマロン酸ジエチル塩酸塩(5.0 g、23.6 mmol)とトリエチルアミン(13.4 mL、95 mmol)の冷却し(0℃)、攪拌した塩化メチレン(125 mL)溶液に加えた。生じた溶液を0℃で10分間攪拌し、続いて室温で1時間攪拌した。反応液を10%クエン酸(50 mL、2回)、10%炭酸水素ナトリウム(50 mL、2回)及び水(50 mL)で洗浄して、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、蒸発させて無色の油状物として、N−ベンジルオキシカルボニルアミノマロン酸ジエチルを得て、0℃で放置して結晶化させた(6.3 g)。(LC/Mass +イオン):310(M+H)
【0242】
工程2
【化139】

工程1の化合物(6.18 g、20 mmol)を乾燥エタノール(30 mL)に溶解し、ナトリウムエトキシド溶液(2.85 g、8.8 mmol;21% w/wエタノール溶液(6 mL))に加えた。3−メチル−2−ブテナール(1.68 g、20 mL)のエタノール(12 mL)溶液を加え、その溶液を25℃で24時間攪拌した。それから酢酸(0.56 mL)を加え、溶液を10%パラジウム炭素(2.0 g)を触媒として用い、50 psiで24時間水素添加した。その溶液をろ過し、蒸発させて、残渣を塩化メチレン/酢酸エチル(9:1)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことにより、2,2−ジカルボエトキシ−3,3−ジメチル−ピロリジンを得た(1.6 g)。(LC/Mass,+イオン):244(M+H)
【0243】
このジエステル体(850 mg)を5M塩酸(10 mL)/TFA(1 mL)中8時間還流させ、蒸発させて、粉末状の白色固形物を得た。メタノール/エタノールから結晶化して、白色結晶として3,3−ジメチル−dl−プロリン塩酸塩を得た(190 mg)。融点:110−112℃
【0244】
工程3
【化140】

工程2の化合物(173 mg、0.97 mmol)をDMF(3 mL)/水(3 mL)に溶かした。この透明な溶液に、トリエチルアミン(0.46 mL、3.18 mmol)とジ炭酸−ジ−tert−ブチル(0.23 g、1.06 mmol)を加え、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応液を蒸発させ、残渣を塩化メチレン/メタノール(9:1)を溶離液として用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、油状物としてt−ブチルオキシ−カルボニル−3,3−ジメチル−dl−プロリンを得た(200 mg)。(LC/Mass,+イオン):244(M+H)
【0245】
工程4
【化141】

実施例67の標題化合物は、工程3に記載のt−ブチルオキシカルボニル−3,3−ジメチル−dl−プロリン アミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載の脱水反応と脱保護反応によって調製された。MS(M+H)220
【0246】
実施例68
【化142】

工程1
【化143】

ナトリウムエトキシド(21% wt%エタノール溶液の940 mg、2.9 mmol)をエタノール(2 mL)を用いて、アルゴン雰囲気下室温で、アセトアミドマロン酸ジエチル(4.31 g、19.8 mmol)の攪拌エタノール溶液(23 mL)に加えた。反応混合物を0℃に冷却し、トランス−2−ペンテナール(1.51 g、18.0 mmol)を、反応温度を5℃以下に保ちながら滴下して加えた。滴下後、反応液を室温に加温して、4時間攪拌し、その後酢酸(460 μl)でクエンチした。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(25 mL)に溶かし、10%重曹水(5 mL、2回)、食塩水で洗浄し、乾燥した(硫酸マグネシウム)。溶液をろ過し、10 mLの容量まで濃縮し、加熱還流し、ヘキサン(20 mL)で希釈した。室温に冷却後、標題化合物を沈殿させ、収集して工程1の化合物を得た(3.0 g、50%)。融点106−109℃、(LC/Mass:+イオン):324(M+Na)
【0247】
工程2
【化144】

工程1の化合物(2.87 g、9.5 mmol)とトリエチルシラン(2.28 mL、14.3 mmol)の塩化メチレン(30 mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、氷浴を用いて25℃に内温を保ちつつ攪拌しながら、TFA(7.35 mL、95.3 mmol)を滴下して加えた。4時間室温で攪拌した後、溶液を濃縮した。残渣を塩化メチレン(100 mL)で希釈し、水(50 mL)と固形の重曹で、激しく攪拌しながら混合液が塩基性になるまで処理した。有機層を分液分取し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、ろ過し、濃縮して黄色の油状物として工程2の化合物を得た。これらは更に精製することなく用いた。(LC/Mass:+イオン):308(M+Na)
【0248】
工程3
【化145】

工程2の化合物(3.73 g、9.5 mmol)を6N塩酸(20 mL)と酢酸(5 mL)で懸濁させ、20時間加熱還流した。その後、反応混合物を冷却し、酢酸エチル(20 mL)で洗浄し、濃縮して油状物を得た。これをエーテルによるトリチュレートで結晶化し、標題化合物を得た(1.2 g、70.6%)。(LC/Mass,+イオン):144(M+H)
【0249】
工程4
【化146】

工程3の化合物(692 mg、3.76 mmol)をアセトン(12 mL)/水(12 mL)に溶かした。この透明溶液にトリエチルアミン(1.9 mL、12.8 mmol)とジ炭酸−ジ−t−ブチル(928 mg、4.24 mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を、メタノール/塩化メチレン(1:9)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、油状物として工程4の化合物を得た。(LC/Mass,+イオン):266(M+Na)
【0250】
工程5
【化147】

実施例68の化合物は工程4のアミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載の脱水反応と脱保護反応によって調製された。MS(M+H)234
【0251】
実施例69
【化148】

工程1
【化149】

ナトリウムエトキシド(21% wt%エタノール溶液の940 mg、2.9 mmol)をエタノール(2 mL)を用いて、アルゴン雰囲気下室温で、アセトアミドマロン酸ジエチル(4.31 g、19.8 mmol)の攪拌エタノール(23 mL)溶液に加えた。反応混合物を0℃に冷却し、4−メチル−2−ペンテナール(1.77 g、18.0 mmol)を反応温度を5℃以下に保ちながら滴下して加えた。滴下後、反応液を室温に加温して、4時間攪拌し、その後酢酸(460 μl)でクエンチした。反応液を濃縮し、残渣を酢酸エチル(25 mL)に溶かした。有機相を10%重曹水(5 mL、2回)、食塩水で洗浄し、乾燥した(硫酸マグネシウム)。溶液をろ過し、10 mLの容量まで濃縮し、加熱還流し、ヘキサン(20 mL)で処理した。冷却後、工程1の化合物を沈殿させ、収集した(3.3 g)。(LC/Mass:+イオン):338(M+Na)
【0252】
工程2
【化150】

工程1の化合物(3.0 g、9.5 mmol)とトリエチルシラン(2.28 mL、14.3 mmol)の塩化メチレン(30 mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、氷浴を用いて25℃に内温を保ちつつ攪拌しながら、TFA(7.35 mL、95.3 mmol)を滴下して加えた。4時間室温で攪拌した後、溶液を濃縮し、残渣を塩化メチレン(100 mL)で希釈し、水(50 mL)と固形の重曹で、激しく攪拌しながら混合液が塩基性になるまで処理した。有機層を分液分取し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、ろ過し、濃縮して、油状物として標題化合物を得た。これらは更に精製することなく用いた。(LC/Mass:+イオン):300(M+H)
【0253】
工程3
【化151】

工程2の化合物(3.8 g、9.5 mmol)を6N塩酸(20 mL)と酢酸(5 mL)で懸濁させ、20時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(20 mL)で洗浄し、濃縮して油状物を得た。これをエーテルによるトリチュレートで結晶化し、工程3の化合物を得た(1.4 g、76.0%)。(LC/Mass,+イオン):158(M+H)
【0254】
工程4
【化152】

工程3の化合物(728 mg、3.76 mmol)をアセトン/水の混液(1:1,24 mL)に溶かした。この透明溶液にトリエチルアミン(1.9 mL、12.8 mmol)とジ炭酸−ジ−t−ブチル(928 mg、4.24 mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。反応液を蒸発させ、残渣を溶離液として塩化メチレン/メタノール(9:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、油状物として標題化合物を得た。(LC/Mass,+イオン):258(M+H)
【0255】
工程5
【化153】

実施例69の化合物は工程4のアミノ酸のペプチド結合、それに続く一般法Cに記載の脱水反応と脱保護反応によって調製された。MS(M+H)248
【0256】
実施例70
【化154】

工程1
【化155】

工程1の化合物はN−Boc−S−t−ブチルシステインから出発した一般法Cに記載の方法で調製した。
【0257】
工程2
【化156】

磁気攪拌子と窒素吸入口を備えた25 mLの丸底フラスコに工程1の化合物(78 mg、0.21 mmol)とクロロホルム(3 mL)を投入した。反応混合物を0℃に冷却し、m−クロロ過安息香酸(85 mg、0.44 mmol)のクロロホルム(2 mL)溶液で処理した。3時間後その溶液をクロロホルム(7 mL)で希釈し、5%重曹水(5 mL、2回)、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して、粗のスルホキシド体(100 mg)を得た。これを更に精製することなく用いた。(LC/Mass,+イオン):384(M+H)
【0258】
工程3
【化157】

トリフルオロ酢酸(1.5 mL)を、工程2の化合物(100 mg、0.26 mmol)の塩化メチレン(5 mL)に溶かした冷溶液(0℃)に加えた。その後、溶液を0℃で1.5時間攪拌し、塩化メチレン(5 mL)で希釈し、減圧濃縮して濃厚な油状物を得た。生成物を逆相プレパラティブカラムクロマトグラフィー(YMC S5 ODS 20×100 mmカラム)で精製し、実施例70の標題化合物を得た(17 mg、16%)。精製条件:10%メタノール/水/0.1 TFAから90%メタノール/水/0.1 TFAへ15分間かけた勾配溶離。5分間90%メタノール/水/0.1 TFAを維持する。流速:毎分20 mL。検出波長:220。溶出時間:10分。(LC/Mass,+イオン):284(M+H)
【0259】
実施例71
【化158】

工程1
【化159】

磁気攪拌子と窒素吸入口を備えた25 mLの丸底フラスコに、クロロホルム(3 mL)中の実施例70工程1の化合物(78 mg、0.21 mmol)を投入した。反応混合物を0℃に冷却し、m−クロロ過安息香酸(144 mg、0.84 mmol)のクロロホルム(2 mL)溶液で処理した。30分後室温にて、その溶液をクロロホルム(7 mL)で希釈し、5%重曹水(10 mL、2回)、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して、粗のスルホン体(100 mg)を得た。これを更に精製することなく用いた。(LC/Mass,+イオン):344(M+H−Bu)
【0260】
工程2
【化160】

トリフルオロ酢酸(1.5 mL)を、工程1の化合物(100 mg、0.26 mmol)の塩化メチレン(5 mL)に溶かした攪拌冷溶液(0℃)に加えた。その後、溶液を0℃で30分間攪拌し、塩化メチレン(5 mL)で希釈し、減圧濃縮して濃厚な油状物を得た。生成物を逆相プレパラティブカラムクロマトグラフィー(YMC S5 ODS 20×100 mmカラム)で精製し、標題化合物を得た(14 mg、17%)。精製条件:10%メタノール/水/0.1 TFAから90%メタノール/水/0.1 TFAへ15分間かけた勾配溶離。5分間90%メタノール/水/0.1 TFAを維持する。流速:毎分20 mL。検出波長:220。溶出時間:10分。(LC/Mass,+イオン):300(M+H)
【0261】
実施例72
【化161】

標題化合物は、(2S,3R,4S)−N−Boc−3,4−メタノ−L−プロリン カルボキシレートを合成するのに用いるササキらの公知の方法[Sasaki et al,Tetrahedron Lett. 1995,36,3149、Sasaki et al,Tetrahedron 1994,50, 7093)に従い調製した。対応するアミド体を一般法Aで調製し、TFAで脱保護し、一般法Aに記載のようにTFA塩を得た。
【0262】
実施例73
【化162】

標題化合物は、実施例72に記載の(2S,3R,4S)3,4−メタノ−L−プロリンカルボキサミド−N−トリフルオロアセテートとL−シクロヘキシルグリシンとを結合し、オキシ塩化リン/イミダゾールでアミド体へ脱水し、一般法CによりTFAを用いて脱保護(N末端窒素)することにより調製した。FAB MH+248
【0263】
実施例74
【化163】

標題化合物は、実施例72に記載の(2S,3R,4S)−3,4−メタノ−L−プロリン カルボキサミド−N−トリフルオロアセテートとL−tert−ブチルグリシンとを結合し、オキシ塩化リン/イミダゾールでアミド体へ脱水し、一般法CによりTFAを用いて脱保護(N末端窒素)することにより調製した。FAB MH+222
【0264】
実施例75
【化164】

標題化合物は、実施例72に記載の(2S,3R,4S)−3,4−メタノ−L−プロリン カルボキサミド−N−トリフルオロアセテートとL−バリンとを結合し、オキシ塩化リン/イミダゾールでアミド体へ脱水し、一般法CによりTFAを用いて脱保護(N末端窒素)することにより調製した。FAB MH+207
【0265】
実施例76
【化165】

標題化合物は、実施例72に記載の(2S,3R,4S)−3,4−メタノ−L−プロリン カルボキサミド−N−トリフルオロアセテートと一般法Bに記載のN−(tert−ブチルオキシカルボニル)−(1’エチルシクロペンチル)グリシンとを結合し、オキシ塩化リン/イミダゾールでアミド体へ脱水し、一般法CによりTFAを用いて脱保護(N末端窒素)することにより調製した。FAB MH+262
【0266】
実施例77
【化166】

標題化合物は、実施例72に記載の(2S,3R,4S)−3,4−メタノ−L−プロリン カルボキサミド−N−トリフルオロアセテートと一般法Bに記載のN−(tert−ブチルオキシカルボニル)−(1’ビニルシクロペンチル)グリシンとを結合し、オキシ塩化リン/イミダゾールでアミド体へ脱水し、一般法CによりTFAを用いて脱保護(N末端窒素)することにより調製した。FAB MH+260
【0267】
実施例78
【化167】

一般法C工程2に記載のN−[((S)−シクロペンチルビニル)−N−tert−ブトキシカルボニルグリシニル]−(2S,4S,5S)−2−シアノ−4,5−メタノ−L−プロリルアミド(70 mg、0.19 mmol)をt−ブタノール(2 mL)/THF(3 mL)の混液に溶かし、N−メチルモルホリン−N−オキシド(33 mg、0.28 mmol)を加え、続いて四酸化オスミウム(0.1 mmol、50 mol%)を加えた。反応液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液1mLでクエンチし、酢酸エチルに取り、水(5 mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、ろ過し、蒸発し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%メタノール/塩化メチレン)で精製し、油状物として保護されたジオール体を得た(41 mg、55%)。標題化合物は一般法Cに従い、TFAを用いたアミン官能基の脱保護により得られた。(FAB MH+ 294)
【0268】
実施例79
【化168】

一般法I:
マロン酸エステルへのマイケル(Michael)付加、続く選択的な加水分解及びクルチウス(Curtius)転位を経由する四級アミノ酸の合成。実施例79〜84。
【0269】
シクロヘキサノンとマロン酸ジエチルをTHFと四塩化炭素中の四塩化チタンを介したクネーフェナーゲル(Knoevenagel)縮合を行い、40を得た。メチルマグネシウムブロミドの銅を媒介したグリニャール(Grignard)付加で41を得て、選択的にけん化して42を得た。ベンジルアルコールによるトラップを伴ったクルチウス(Curtius)転位で43を得て、標準的な脱保護−保護プロトコルによって、44へ変換した。エステル体44はけん化して、四級アミノ酸45を得た。
反応式11 一般法I
【化169】

a.THF,CCl4,TiCl4,マロン酸ジエチル,0℃;ピリジン,THF,0℃から室温 72時間 b.MeMgBr,CuI,Et2O,0℃ c. 1N NaOH,EtOH,室温 6日 d.Ph2PON3,TEA,室温−還流−室温,BnOH e.10% Pd(OH)2/C,EtOAc;(Boc)2O,K2CO3,THF f.1N NaOH,ジオキサン
【0270】
工程1
【化170】

文献公知の方法[Terrahedron 1973,29, 435]に従い、乾燥テトラヒドロフラン(400 mL)と乾燥四塩化炭素(50 mL)の混液を0℃(氷−塩浴)に冷却し、四塩化チタン(22.0 mL、0.2 mol)で処理した。生じた黄色い懸濁液を0℃で5分間攪拌し、シクロヘキサノン(10.3 mL、0.1 mol)と蒸留したマロン酸ジエチル(15.2 mL、0.1 mol)を続けて処理し、その後0℃で30分間攪拌した。そして反応混合物を乾燥ピリジン(32 mL、0.40 mol)を乾燥THF(60 mL)に溶かした溶液で処理し、0℃で1.0時間攪拌し、そのあと室温で72時間攪拌した。反応混合物を水(100 mL)でクエンチし、5分間攪拌して、エーテル(200 mL、2回)で抽出した。有機抽出相を合わせて飽和食塩水(100 mL)、飽和重炭酸ナトリウム(100 mL)及び食塩水(100 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。5%酢酸エチル/ヘキサン溶液を用いたフラッシュクロマトグラフィーで、淡黄色の油状物として工程1の化合物を得た(5.25 g、22%)MS(M+Na)263
【0271】
工程2
【化171】

文献[Org. Syn. VI,442,1988;Liebigs Ann. Chem. 1981,748]に従い、3.0M ヨウ化メチルマグネシウム(3.1 mL、9.36 mmol)と塩化銅(I)(9.0 mg)の混合物を0℃(氷−塩水浴)中で攪拌し、工程1の化合物(1.5 g、6.24 mmol)の乾燥エーテル(1.8 mL)溶液で5分間かけて処理して、0℃で1時間攪拌し、その後室温で40分間攪拌した。反応混合物を氷と水のスラリー(15 mL)にゆっくり加えて、10%塩酸(3.7 mL)で滴下して処理し、酢酸エチル(25 mL、3回)で抽出した。有機抽出相を合わせて1%チオ硫酸ナトリウム(2.0 mL)と飽和食塩水(2.0 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して、濃縮した。5%エーテル/ヘキサン溶液(1.0 L)を用いたシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで、透明のシロップとして工程2の化合物を得た(1.09 g、68%)MS(M+H)257
【0272】
工程3
【化172】

工程2の化合物(1.09 g、4.03 mmol)のメタノール(5.4 mL)と水(2.7 mL)の混液の溶液を、1N水酸化ナトリウム(4.84 mL、4.84 mmol、1.2当量)で処理し、室温で6日間攪拌した。反応混合物になお出発物質が存在したので、THF(4.0 mL)を加えて、更に2日間そっくり反応混合物を攪拌した。反応液を乾固するまで蒸発させ、生じたシロップを水(8.0 mL)とエーテル(15 mL)で分配した。水相を1 N塩酸(4.8 mL)で酸性にし、pHを2〜3にし、酢酸エチル(25 mL、3回)で抽出した。有機抽出相を食塩水(10.0 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して、濃縮して、濃厚なシロップとして工程3の化合物を得た(875 mg、95.1%)。MS(M+H)229
【0273】
別法:エタノール、THF、ジオキサン及び水の混合液中のジエステル溶液、又はこれらの混合物を水酸化ナトリウムで加水分解してもよい。
【0274】
工程4
【化173】

文献[J. Org. Chem 1994,59, 8215]に従い、工程3の化合物(0.875 g 、3.83 mmol)の乾燥ベンゼン(4.0 mL)溶液を、トリエチルアミン(0.52 mL、3.83 mmol)とジフェニルホスホリルアジド(0.85 mL、3.83 mmol)で処理し、窒素雰囲気下1時間還流し、室温に冷却した。反応液をベンジルアルコール(0.60 mL、5.75 mmol、1.5当量)で処理し、17時間還流し、冷却して、エーテル(40 mL)で希釈した。その溶液を10%クエン酸水溶液(3 mL、2回)で洗浄し、クエン酸洗液をエーテル(40 mL)で逆抽出した。有機抽出相を合わせて、5%炭酸ナトリウム(3 mL、2回)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、濃縮した。10%酢酸エチル/ヘキサン溶液(1.0 L)を用いて、粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、透明濃厚シロップとして工程4の化合物を得た(1.15 g、90%)。MS(M+H)334
【0275】
工程5
【化174】

工程4の化合物(1.15 g、3.46 mmol)の酢酸エチル(60 mL)溶液を水酸化パラジウム/炭素(298 mg)で処理して、室温で20 時間水素添加した。反応混合物をセライトパッドでろ過し、パッドを酢酸エチル(25 mL、3回)でよく洗浄し、ろ液を濃縮してフリーのアミンを得た。そのアミンをテトラヒドロフラン(12 mL)と水(12 mL)に溶かした溶液を、ジ炭酸ジ−t−ブチル(1.0 g、4.58 mmol、1.48 当量)と炭酸カリウム(854 mg、6.18 mmol、2.0当量)で処理して、室温で20時間攪拌した。反応混合物を水(8 mL)とジエチルエーテル(40 mL、3回)で分液し、有機抽出相を合わせて食塩水(8 mL)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、濃縮した。粗生成物を10%酢酸エチル/ヘキサン溶液(1 L)を用いてフラッシュクロマトグラフィーを行い、透明濃厚シロップとして工程5の化合物を得た(1.18 g、100%)。MS:(M+H)300
【0276】
他の方法も用いることができる。例:
文献[Tetrahedron Lett. 1988,29, 2983]に従い、カルバミン酸ベンジルのエタノール溶液をトリエチルシラン(2当量)、ジ炭酸ジ−t−ブチル(1.1当量)、触媒量の酢酸パラジウム及びトリエチルアミン(0.3当量)で処理して、「ワンポット」法でBOC保護されたアミン体を得ることができる。
【0277】
別法:カルバミン酸ベンジルのメタノール溶液を、ジ炭酸ジ−t−ブチルの存在下水素添加をすることで、「ワンポット」法でBOC保護されたアミン体を得ることができる。
【0278】
工程6
【化175】

工程5の化合物(1.18 g、3.09 mmol)のジオキサン(8.0 mL)溶液を1N水酸化ナトリウム(9.1 mL、9.1 mmol、3.0当量)で処理して、60℃(油浴)で28時間攪拌した。反応混合物をシロップ状になるまで濃縮し、水(15 mL)で溶解し、エーテル(25 mL)で抽出した。水相を1N塩酸(9.2 mL)でpHが2〜3になるように酸性にし、酢酸エチル(50 mL、3回)で抽出した。有機抽出相を合わせて、飽和食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、濃縮して、灰白色の固形物として、工程6の化合物を得た(808 mg、96%)。MS(M+H)272
【0279】
工程7
【化176】

標題化合物は、アミノ酸を結合させ、アミド体を脱水反応して、保護基を除いく一般法Cの方法に従い、工程6の化合物から調製し、標題化合物を得た。MS(M+H)262
【0280】
化合物90〜100は一般法Iと一般法Cに従い、シクロヘキサノン、シクロペンタノン及びシクロブタノンから出発し、メチル、エチル、アリル及びプロピルマグネシウムハライドをグリニャール(Grignard)試薬として用いて、調製した。
【表8】

【0281】
実施例85
【化177】

工程1
【化178】

実施例79に従い、乾燥四塩化炭素(50 mL)の混合物を0℃(氷−塩浴)で冷却し、四塩化チタン(11.0 mL、0.1 mmol)で処理した。生じた黄色い懸濁液を0℃で5分間攪拌し、シクロペンタノン(4.42 mL、0.05 mol)と蒸留マロン酸ジエチル(7.6 mL、0.05 mol)で続けて処理し、0℃で30分間攪拌した。反応混合物を乾燥ピリジン(16 mL、0.20 mol)の乾燥THF(30 mL)の溶液で処理して、0℃で1.0時間攪拌し、その後室温で20時間攪拌した。反応混合物を水(50 mL)でクエンチし、5分間攪拌して、エーテル(100 mL、2回)で抽出した。有機抽出相を合わせて、飽和食塩水(50 mL)、飽和重炭酸ナトリウム(50 mL)及び食塩水(50 mL)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、濃縮した。5%酢酸エチル/ヘキサン溶液を用いて、フラッシュクロマトグラフィーを行うことで、淡黄色の油状物として、工程1の化合物を得た(7.67 g、68%)。MS(M+H)226
【0282】
工程2
【化179】

工程1の化合物(1.00 g、4.42 mmol)のメタノール(50 mL)溶液を、10%パラジウム炭素(0.20 g、10 mol%)で処理し、室温で20時間水素添加(バルーン圧)した。反応混合物をメタノールで希釈し、セライトのパッドでろ過した。ろ液を濃縮し、7%酢酸エチル/ヘキサンを用いて、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、工程2の化合物を得た(0.84 g、91%)。MS(M+H)229
【0283】
工程3
【化180】

工程3の化合物を一般法Hに概説した方法、すなわちエステル体を加水分解し、クルチウス(Curtius)転位し、保護基を変更し、再び最後にエステル加水分解する方法で調製した。
【0284】
工程4
【化181】

標題化合物は、工程3の化合物から一般法Cの方法、すなわちアミノ酸を結合させ、アミド体を加水分解し、保護基を除去する方法に従い、標題化合物を得た。MS(M+H)234
【0285】
実施例86と87は、実施例85の方法により、シクロヘキサノンとシクロブタノンからそれぞれ調製した。
【表9】

【0286】
実施例89
【化182】

工程1
【化183】

工程1の化合物は実施例6工程1で調製した。
【0287】
工程2
【化184】

標題化合物は工程1の化合物から一般法C、すなわちカルボン酸をペプチド結合させ、アミド体を脱水反応させ、保護基を除去する方法に従い、工程1の化合物から調製した。MS(M+H)218
【0288】
実施例90〜99
X=Hである化合物の実施例は、以下の化合物を含んでおり、上述の方法のより調製することができる。
【表10】

【0289】
実施例100〜109
n=1である化合物の実施例は、以下の化合物を含んでおり、上述の方法のより調製することができる。
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
xは0又は1であり、yは0又は1であるが、
yが0のときxは1であり、
yが1のときxは0であり;
式中、nは0又は1であり;
Xは水素又はシアノ基であり;
1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ビシクロアルキル、 トリシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルシクロアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシビシクロアルキル、ヒドロキシトリシクロアルキル、ビシクロアルキルアルキル、アルキルチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロヘテロアルキル又はシクロヘテロアルキルアルキルの中から独立して選択されるものであり;
これらすべての基は、適宜、有効な炭素原子に、水素原子、ハロ、アルキル、ポリハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ポリハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ポリシクロアルキル、ヘテロアリールアミノ、アリールアミノ、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、 ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロ、シアノ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキニルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニル、アミノスルフィニル、アミノスルホニル、アルキルスルフィニル、スルホンアミド又はスルホニルの中から選択される1、2、3、4又は5基で置換されていてもよく;
1及びR3は一緒になって−(CR56m−を形成していてもよく、ここでmは2〜6、R5及びR6は、同一又は異なって、ヒドロキシ、アルコキシ、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ハロ、アミノ、置換された アミノ、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、 アリールオキシカルボニル又はアルキルアミノカルボニルアミノの中から独立して選択されるものである。また、R1及びR4は一緒になって−(CR78p−を形成していてもよく、ここでpは2〜6、R7及びR8は、同一又は異なって、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ハロ、アミノ、置換されたアミノ、アリール, アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、アルキルカルボニルアミノ, アリールカルボニルアミノ, アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル又はアルキルアミノカルボニルアミノの中から独立して選択されるものである。また、R1及びR3
【化2】

と共に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(SO)又はスルホニル(SO2)の中から選択される全部で2〜4のヘテロ原子を含んだ5〜7員環を形成してもよく;
また、R1及びR3
【化3】

と共に、4〜8員シクロヘテロアルキル環を形成してもよい。その中で、シクロヘテロアルキル環はアリール環と縮合していてもよく、また3〜7員シクロアルキル環と縮合していてもよいが、ただし、同時に
xが0であり、yが1であり、nが0であり、Xがシアノ基であり、R1及びR3が水素原子であり、およびR2が、
【化4】

である化合物を除く]
の構造を持つ化合物(その全立体異性体を含む)、
医薬的に許容できるそれらの塩、又はそのプロドラッグエステル、及びその全立体異性体。
【請求項2】
構造:
【化5】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
構造:
【化6】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
構造:
【化7】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
構造:
【化8】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
3が水素原子、
1が水素原子、アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルシクロアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシビシクロアルキル又はヒドロキシトリシクロアルキルであり、
2が水素原子又はアルキル、
nが0であり、
Xがシアノ基である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
ピロリジンと縮合するシクロプロピル環が、立体配置:
【化9】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
構造:
【化10】

を有する請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容できるそれらの塩。
【請求項9】
医薬的に許容できる塩が塩酸塩又はトリフルオロ酢酸塩である請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式:
【化11】

(1S,2(2S),3S,5S)
[式中、
1がアルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシアルキルシクロアルキル、ヒドロキシビシクロアルキル又はヒドロキシトリシクロアルキルである]
又は、式:
【化12】

(1R,2S,3(2S),5S)
[式中、
1がアルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシアルキルシクロアルキル、ヒドロキシビシクロアルキル又はヒドロキシトリシクロアルキルである]
で示される請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容できる担体からなる医薬組成物。
【請求項12】
請求項1で記載されているDP4阻害化合物と、糖尿病及びその関連疾患治療のためのDP4阻害剤とは別の抗糖尿病薬、抗肥満薬、及び/又は脂質調節剤とからなる医薬合剤。
【請求項13】
該DP4阻害化合物及び抗糖尿病薬からなる請求項12に記載の医薬合剤。
【請求項14】
抗糖尿病薬が、ビグアニド、スルホニルウレア、グルコシダーゼ阻害剤、PPAR γアゴニスト、PPAR α/γ二重アゴニスト、SGLT2阻害剤、aP2阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、AGE阻害剤、インスリン増感剤、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)又はその擬似体、インスリン、及び/又はメグリチニドから選ばれる1、2、3種又はそれ以上である請求項13に記載された合剤。
【請求項15】
抗糖尿病薬が、メトホルミン、グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミド、グリクラジド、アカルボース、ミグリトール、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、インスリン、Gl−262570、イサグリタゾン、JTT−501、NN−2344、L895645、YM−440、R−119702、AJ9677、レパグリニド、ナテグリニド、KAD1129、AR−HO39242、GW−409544、KRP297、AC2993、エクセンディン−4、LY307161、NN2211、及び/又はLY315902から選ばれる1、2、3種又はそれ以上である請求項14に記載された合剤。
【請求項16】
上記化合物が、抗糖尿病薬に対して、約0.01から約100:1までの範囲内の重量比で存在する請求項13に記載された合剤。
【請求項17】
抗肥満薬が、ベータ3アドレナリンアゴニスト、リパーゼ阻害剤、セロトニン(及びドーパミン)再取り込み阻害剤、甲状腺受容体ベータ体、食欲低下薬、及び/又は脂肪酸酸化亢進調節剤である請求項12に記載された合剤。
【請求項18】
抗肥満薬が、オーリスタット、ATL−962、AJ9677、L750355、CP331648、シブトラミン、トピラマート、アキソキン、デキサンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ファモキシン、及び/又はマジンドールである請求項17に記載された合剤。
【請求項19】
脂質調節剤が、MTP阻害剤、HMG CoA還元酵素阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブリン酸誘導体、LDLレセプター活性亢進調節剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、ACAT阻害剤、コレステリルエステル転移タンパク阻害剤、又はATPクエン酸リアーゼ阻害剤である請求項12に記載された合剤。
【請求項20】
脂質調節剤が、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ニスバスタチン、ビサスタチン、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、インピリタピド、CP−529,414、アバシミベ、TS−962、MD−700、及び/又はLY295427である請求項19に記載された合剤。
【請求項21】
DP4阻害剤が、脂質調節剤に対して、約0.01から約100:1までの範囲内の重量比で存在する請求項19に記載された合剤。
【請求項22】
請求項1に記載されたDP4阻害化合物と、不妊治療剤、多嚢胞性卵巣症候群の治療剤、成長障害及び/又は薄弱の治療剤、抗関節炎薬、移植における同種移植拒絶を予防、阻害する薬剤、自己免疫疾患の治療剤、抗AIDS剤、炎症性腸疾患/症候群の治療薬、拒食症の治療薬、抗骨粗鬆症薬、及び/又は抗肥満薬とからなる医薬合剤。
【請求項23】
請求項1に記載された化合物を含む、糖尿病、インスリン耐性、高血糖症、高インスリン血症、遊離脂肪酸又はグリセロールの高血中濃度、肥満症、X症候群、代謝障害症候群、糖尿病の合併症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、アテローム性動脈硬化症、障害性グルコースホメオスタシス、障害性グルコース耐性、不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、成長障害、薄弱、関節炎、移植における同種移植拒絶、自己免疫疾患、AIDS、腸疾患、炎症性腸症候群、拒食症、骨粗鬆症、又は免疫調節性疾患、若しくは慢性炎症性腸疾患の治療剤。
【請求項24】
タイプIIの糖尿病及び/又は肥満症を治療するための請求項23に記載の治療剤。

【公開番号】特開2013−40219(P2013−40219A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−263345(P2012−263345)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2010−6181(P2010−6181)の分割
【原出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】