説明

シャシフレーム及びシャシフレームの製造方法

サイドメンバ(12)の端部をフロントエンドメンバ(11)の外面に突き当てて接合してなる井桁状のシャシフレーム(1)であり、サイドメンバ(12)は中空パイプからなり、このサイドメンバ(12)の端部を徐変に拡開してフレアスカート状に拡がる接合部(20)を形成し、この接合部(20)の外縁をフロントエンドクロスメンバ(11)の外面に当接して溶接することにより、サイドメンバ(12)をフロントエンドクロスメンバ(11)の外面に接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
接合側メンバの端部を被接合側メンバの外面に突き当てて接合するシャシフレーム、例えばサイドメンバの端部をエンドクロスメンバの外面に突き当てて接合する、又はクロスメンバの端部をサイドメンバの外面に突き当てて接合する井桁状のシャシフレームに関する。
本発明における「サイドメンバ」は、車両の進退方向に延在する左右一対の構造部材である。また、「エンドクロスメンバ」は、車両の進退直交方向で前記サイドメンバの端部に形成した接合部に架設するシャシフレームの前縁又は後縁となる構造部材であり、フロントエンドクロスメンバ又はリアエンドクロスメンバがある。そして、「クロスメンバ」は、車両の進退直交方向で前記サイドメンバ間に架設する構造部材である。
【背景技術】
自動車等におけるエンジン等の架台であるシャシフレームは、例えばサイドメンバの端部に形成した接合部をフロントエンドクロスメンバ又はリアエンドクロスメンバの外面に突き当てて接合する、又はクロスメンバ両端をサイドメンバの外面に突き当てて接合し、井桁状に構成する。このシャシフレームは、要素となる各メンバ自体の剛性のみならず、各メンバ相互の接合部分における接合強度及び剛性を高める必要がある。この各メンバ相互の接合部分の接合強度及び剛性を高めるため、従来より各種技術が提案されている。
特開平10−338161号は、特にサイドメンバに掛け渡すクロスメンバとの接合部分として、クロスメンバ端に「半裁状のラッパ形状を有するブレース」を添設する先行技術である。クロスメンバ端にブラケットを溶接すれば、より剛性を向上できるとしている。
特開2000−203452号は、前端が二股に分かれたサイドメンバの端部に形成した接合部にブラケットを装着して接合部分を構成する先行技術である。この特開2000−203452号の接合部分は、クロスメンバに段差があるため、ブラケットが前記段差を吸収してクロスメンバの重心軸とサイドメンバとの重心軸とを揃える働きを有している。
特開2002−120754号は、接合部分の剛性向上を狙っている。この先行技術接合部分は、横断面コ字形状の2部材を組合わせて接合したクロスメンバの各端部にフランジを形成し、このフランジにサイドメンバをアーク溶接する。サイドメンバは、クロスメンバを取付けるための穴を設けない。そして、両部材の接合部分を左右から挟み込む形でクロスメンバリンフォースメントを取付けて全周アーク溶接し、接合している。これにより、前記接合部分の剛性を向上させるのみならず、シャシフレーム全体の曲げ剛性やねじり剛性も向上させている。
以下、サイドメンバの端部に形成した接合部をフロントエンドクロスメンバの外面に突き当てて接合する場合を例に説明する。
上述の各先行技術は、いずれもサイドメンバの端部に形成した接合部に別の補助部材を付設して、接合部分の接合強度及び剛性を高めている。確かに、補助部材を付設することで接合強度又は剛性は増加するが、これは部材数の増加から工程数及び製造コストの増加を招く問題がある。
このため、補助部材を用いずに、フロントエンドクロスメンバの外面に倣うようにレーザ等で切断加工したサイドメンバの端部の接合部を、フロントエンドクロスメンバの外面に密着させる接合部分も多用されていた。しかし、こうしたサイドメンバの端部に形成した接合部の切断加工は、レーザの使用や高い寸法精度の確保のために加工コストを高くするほか、鋭角に交差する接合部の溶接は耐久性が悪いという問題があった。
そこで、部材数の低減を目的として補助部材を用いずに、高い接合強度及び剛性を実現しながら、かつレーザを用いた切断加工等を要しない接合部分によるシャシフレームを開発するべく、検討した。
【発明の開示】
本発明は、接合側メンバの端部を被接合側メンバの外面に突き当てて接合してなる井桁状のシャシフレームにおいて、接合側メンバは中空パイプからなり、この接合側メンバの端部を徐変に拡開してフレアスカート状に拡がる接合部を形成し、この接合部の外縁を被接合側メンバの外面に当接して溶接することにより、接合側メンバを被接合側メンバの外面に接合したシャシフレームである。
具体的には、接合側メンバがサイドメンバで、被接合側メンバがエンドクロスメンバである場合、中空パイプであるサイドメンバの端部をエンドクロスメンバの外面に向けて徐変に拡開してフレアスカート状に拡がる接合部を形成し、この接合部の外縁をエンドクロスメンバの外面に当接して、エンドクロスメンバの外面に前記接合部の外縁を溶接する。逆に、接合側メンバがクロスメンバで、被接合側メンバがサイドメンバである場合、中空パイプであるクロスメンバの端部をサイドメンバの外面に向けて徐変に拡開してフレアスカート状に拡がる接合部を形成し、この接合部の外縁をサイドメンバの外面に当接して、サイドメンバの外面に前記接合部の外縁を溶接する。
接合部は、接合側メンバ及び被接合側メンバそれぞれの形状又は大小関係によって外形が左右される。接合側メンバ及び被接合側メンバがいずれも断面円形パイプである場合、接合部の外縁は側面視が被接合側メンバの外面に倣う略円弧状となる。これに対し、接合側メンバは断面円形パイプ、被接合側メンバは断面角形パイプである場合、接合部の外縁は側面視が被接合側メンバの外面に倣う略直線状となる。接合部は、被接合側メンバの外面に倣った外縁を有することで、被接合側メンバに対する接合側メンバの容易な位置決めを実現し、溶接作業に際して組付関係を維持しやすくする。
接合側メンバ及び被接合側メンバが同じ大きさであれば、接合部は被接合側メンバの延在方向に大きく拡開できるが、被接合側メンバの延在直交方向に被接合側メンバの大きさの範囲しか拡開できない。また、被接合側メンバが接合側メンバより小さければ、接合部は被接合側メンバの延在直交方向に絞ることになる。これから、接合側メンバ及び被接合側メンバが同じ大きさの場合又は接合側メンバが被接合側メンバより大きい場合、接合部は、外縁の側面視が被接合側メンバの外面の倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向に長径を有し、被接合側メンバの延在直交方向に短径を有する楕円形状にするとよい。すなわち、接合部は、被接合側メンバの延在方向で拡開しながら、被接合側メンバの延在直交方向で殆ど拡開せず、被接合側メンバに向けて突出する形状にする。これから、接合部の正面視である楕円形状は、被接合側メンバの大きさに略等しい短径と、接合側メンバの1.2〜2.5倍、好ましくは1.5〜2.0倍の長径とから構成するとよい。例えば、接合側メンバが外径Daの断面円形パイプ、そして被接合側メンバが外径Dbの断面円形パイプの場合、接合部の正面視である楕円形状は、短径がDb、長径が1.2×Da〜2.5×Da、好ましくは1.5×Da〜2.0×Daとなる。
逆に接合側メンバが被接合側メンバより小さい場合、接合部は、外縁の側面視が被接合側メンバの外面の倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向にそれぞれ延びる十字形状にするとよい。前記十字形状は、上述した楕円形状から、被接合側メンバの大きさに合わせて、特に被接合側メンバの延在直交方向に接合部を拡大した形状である。
接合部が正面視で十字形状の場合、前記十字形状は、被接合側メンバの延在方向に接合側メンバの1.2〜2.5倍、好ましくは1.5〜2.0倍の長さとし、同被接合側メンバの延在直交方向に接合側メンバの大きさから被接合側メンバの大きさの範囲の長さにするとよい。例えば、接合側メンバが外径Daの断面円形パイプ、そして被接合側メンバが外径Dbの断面円形パイプで、Db=1.5×Daの場合、接合部の正面視である十字形状は、被接合側メンバの延在方向の長さが1.2×Da〜2.5×Da、好ましくは1.5×Da〜2.0×Daとしながら、被接合側メンバの延在直交方向の長さはDa〜Db=1.5×Daの範囲にする。
接合部は、接合側メンバを支持する実効的な接合断面積を大きくし、接合強度及び剛性を高める。上記例で言えば、正面視が楕円形状である接合部の接合断面積は、1.2×Db/Da〜2.5×Db/Da、好ましくは1.5×Db/Da〜2.0×Db/Da倍に拡大される。また、正面視が十字形状の接合部は、前記楕円形状から更に被接合側メンバの延在直交方向に拡大されているため、更に接合断面積が拡大される。
接合部は、接合側メンバから拡大された接合断面積へ円滑に負荷を伝達する働きを有する。このため、接合部は、フレアスカート状、すなわち接合側メンバの外面から連続した曲面で形成している。前記曲面は、接合側メンバ及び被接合側メンバの形状及び大きさによって形状が左右される3次元曲面となる。この接合部を構成する曲面は、正面視の楕円形状又は十字形状との関係から、外径Daの断面円形パイプからなる接合側メンバについて言えば、接合側メンバの端面から0.5×Da〜1.5×Da、好ましくは0.6×Da〜1.2×Daの範囲で形成することが望ましい。
接合部は、応力が接合部の周方向に均等となるように、接合側メンバの軸線方向に対して被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向それぞれに対称であることが望ましい。接合部が接合側メンバの軸線方向に対して被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向それぞれに対称であることは、外縁の正面視である楕円形状又は十字形状が対称形状で、接合側メンバの外面から外縁へと連続する曲面が対称形状であることを意味する。例えば、正面視が楕円形状の接合部では楕円の中心(重心)が接合側メンバの軸線に一致する場合、正面視が十字形状の接合部では被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向の中点が一致し、かつ前記中点が接合側メンバの軸線に一致する場合に、それぞれ接合部が接合側メンバの軸線方向に対して被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向に対称となる。
接合側メンバは、被接合側メンバの外面に対して平面視及び側面視共に直交関係に接合部の外縁を突き当てて接合する場合、すなわち接合側メンバ及び被接合側メンバが同一平面上に並び、被接合メンバに対して直交関係に接合側メンバを被接合側メンバに接合する場合に、接合強度及び剛性をよりよく高めることができる。また、被接合側メンバに対する接合側メンバが、平面視又は側面視のいずれかで直交関係を有すれば、被接合側メンバに対する接合側メンバの接合強度及び剛性を高めることができる。すなわち、接合側メンバが被接合側メンバの外面に対して平面視を斜交関係に突き当てて接合する場合、又は被接合側メンバの外面に対して側面視を斜交関係に突き当てて接合する場合であれば、被接合側メンバに対する接合側メンバの接合強度及び剛性は高められる。
シャシフレームは、サイドメンバ、エンドクロスメンバ及びクロスメンバを相互に接合した後、塗装や防錆処理のために塗料槽や防錆処理液槽に浸漬させる。このとき、各接合部が閉鎖状態にあると、各メンバ内に塗料や防錆処理液が残存する虞れがある。この場合、被接合側メンバの外面に対して凹溝を形成する膨出リブを各接合部に設けるとよい。膨出リブは、接合部の外縁に至る曲面における局部的な膨らみである。接合部は、被接合側メンバの外面に当接する膨出リブ以外の外縁を溶接して接合する。これにより、シャシフレーム内、特に接合側メンバ内に侵入した塗料や防錆処理液は、前記膨出リブが形成する凹溝を通じて排出される。これから、膨出リブが形成する凹溝は、シャシフレーム内に侵入した砂礫や水等を排出する排出経路を提供することもできる。このほか、膨出リブは各接合部の断面形状を複雑にする補強リブとして働き、接合部自体の構造強度を向上させる効果もある。
膨出リブの大きさ、断面形状又は数は、自由である。例えば塗料又は防錆処理液の排出目的だけであれば、接合部に小さな膨出リブを1基設ければよい。また、膨出リブの補強リブとしての働きに着目すれば、接合部に複数の膨出リブを設ければよい。この場合、膨出リブの増加又は巨大化は接合部の被接合側メンバの外面に溶接する接合部の外縁の長さを短くするので、接合強度又は剛性を低下させない範囲で、膨出リブの大きさ、断面形状又は数を決定する。更に、複数の膨出リブは、接合部にかかる応力の偏在を防止するため、接合部の周方向で均等に配置することが望ましいが、例えばシャシフレームにおける他部材と膨出リブとが干渉する場合には、不均等配置でもよい。
本発明のシャシフレームは、次の製造方法に従って製造する。すなわち、中空パイプからなる接合側メンバの端部を被接合側メンバの外面に突き当てて接合し、井桁状のシャシフレームを製造するに際し、接合側メンバの端部に形成したフレアスカート状の接合部の外縁を被接合側メンバの外面に当接して溶接することにより、接合側メンバを被接合側メンバの外面に接合してなり、接合側メンバの端部に形成したフレアスカート状の接合部は、被接合側メンバの外面に倣った表面を有するベース部と、被接合側メンバに対する接合側メンバの接合方向に一致した突出方向に前記ベースから突出するフレアスカート状の突起部とからなる成形パンチを用い、位置固定した接合側メンバの端部に前記成形パンチのフレアスカート状の突起部をこのフレアスカート状の突起部の突出方向と前記接合側メンバの軸線方向とを一致させて押し込み、このフレアスカート状の突起部により接合側メンバの端部を押し広げて形成するシャシフレームの製造方法に従って製造する。成形パンチは、接合側メンバの端部の外縁がベース部に当接するまで突起部を押し込めばよい。
ここで、上記製造方法に使用する成形パンチは、接合側メンバの内形状に等しい上端面と、外縁の側面視が被接合側メンバの外面に倣ったベース部の表面に倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向に長径を有し、被接合側メンバの延在直交方向に短径を有する楕円形状である下端面と、前記上端面及び下端面とを連続した曲面とからなる略錐台状の突起部を有する構造であるとよい。この成形パンチにより形成される接合部は、外縁の側面視が被接合側メンバの外面の倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向に長径を有し、被接合側メンバの延在直交方向に短径を有する楕円形状となる。前記成形パンチは、被接合側メンバが接合側メンバ以下の大きさである場合に適切である。
また、上記製造方法に使用する成形パンチは、接合側メンバの内形状に等しい上端面と、外縁の側面視が被接合側メンバの外面に倣ったベース部の表面に倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向にそれぞれ延びる十字形状である下端面と、前記上端面及び下端面とを連続した曲面とからなる略錐台状の突起部を有す構造であってもよい。この成形パンチにより形成される接合部は、外縁の側面視が被接合側メンバの外面の倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向にそれぞれ延びる十字形状となる。前記成形パンチは、被接合側メンバが接合側メンバより大きい場合に適切である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明を適用したシャシフレームの一例を示す斜視図である。
第2図は、同シャシフレームの平面図である。
第3図は、膨出リブを形成したサイドメンバの端部に形成した接合部を示した正面図である。
第4図は、同接合部の側面図である。
第5図は、同接合部の平面図である。
第6図は、同接合部を形成したシャシフレームの塗装処理又は防錆処理の状態を表した模式図である。
第7図は、サイドメンバの端部に接合部を形成する前の形成装置の側面図である。
第8図は、サイドメンバの端部に接合部を形成する前の形成装置の平面図である。
第9図は、サイドメンバの端部に接合部を形成する後の形成装置の側面図である。
第10図は、サイドメンバの端部に接合部を形成する後の形成装置の平面図である。
第11図は、フロントエンドクロスメンバに対して斜めに接合するサイドメンバの端部に形成した接合部を表す正面図である。
第12図は、同接合部の側面図である。
第13図は、同接合部の平面図である。
第14図は、相対的に大きなフロントエンドクロスメンバの外面に接合するサイドメンバの端部に形成した接合部を表す正面図である。
第15図は、同接合部の側面図である。
第16図は、同接合部の平面図である。
第17図は、フロントエンドクロスメンバに軸線をずらして接合するサイドメンバの端部に形成した接合部を表す正面図である。
第18図は、同接合部の側面図である。
第19図は、同接合部の平面図である。
第20図は、相対的に小さなフロントエンドクロスメンバの外面に接合するサイドメンバの端部に形成した接合部を表す正面図である。
第21図は、同接合部の側面図である。
第22図は、同接合部の平面図である。
第23図は、断面方形パイプのフロントエンドクロスメンバの外面に接合するサイドメンバの端部に形成した接合部を表す正面図である。
第24図は、同接合部の側面図である。
第25図は、同接合部の平面図である。
第26図は、相対的に大きな断面方形パイプのフロントエンドクロスメンバの外面に接合するサイドメンバの端部に形成した接合部を表す正面図である。
第27図は、同接合部の側面図である。
第28図は、同接合部の平面図である。
第29図は、相対的に小さな断面方形パイプのフロントエンドクロスメンバの外面に接合するサイドメンバの端部に形成した接合部を表す正面図である。
第30図は、同接合部の側面図である。
第31図は、同接合部の平面図である。
第32図は、コンピュータ解析に用いた実施例のモデル図である。
第33図は、コンピュータ解析に用いた従来例のモデル図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。説明の便宜上、各図における接合部20,30の外縁に対する溶接痕は図示を省略している。
シャシフレーム1は、第1図及び第2図に見られるように、フロントエンドクロスメンバ11、サイドメンバ12,12及びクロスメンバ13を井桁状に組み付けた構成で、エンジン14の取付基礎になるほか、懸架装置15を介して車輪16を取り付ける。このため、前記フロントエンドクロスメンバ11、サイドメンバ12及びクロスメンバ13は、それぞれフランジを設けたり、取付孔を開孔する。本例のシャシフレーム1は、フロントエンドクロスメンバ11の外面111に接合するサイドメンバ12の前端部と、サイドメンバ12,12間に架設するクロスメンバ13の両端部とに、それぞれフレアスカート状に拡開した接合部20,30を形成している。
以下、サイドメンバ12を接合側メンバ、フロントエンドクロスメンバ11を被接合側メンバとし、サイドメンバ12の端部に形成した接合部20を例に説明する。
サイドメンバ12の端部に形成した接合部20は、図3〜図5に見られるように、フロントエンドクロスメンバ11の外面111に向けて徐変に拡開し、フレアスカート状に拡がる形状である。本例では、サイドメンバ12及びフロントエンドクロスメンバ11が同径の断面円形パイプであるため、接合部20の外縁201は側面視がフロントエンドクロスメンバ11の外面111の倣い形状の略円弧状で、かつ外縁201の正面視が楕円形状である。ここで、説明の便宜上、接合部20における上下方向の拡開部分を上フランジ202及び下フランジ203と呼び、左右方向の拡開部分を左フランジ204及び右フランジ205と呼ぶ。これから、接合部20の正面視である楕円形状は、上フランジ202及び下フランジ203と、左フランジ204及び右フランジ205とがそれぞれ等長で、各フランジ202,203,204,205の間を半径方向突な円弧状に結んだ形状である。本例のシャシフレーム1は、前記楕円形状の中心をサイドメンバ12の軸線と一致させて形成した接合部20を、平面視及び側面視共に直交関係でフロントエンドクロスメンバ11の外面111に突き当てて、溶接により接合する。
本例の接合部20は、正面視が楕円形状で、フロントエンドクロスメンバ11の延在直交方向に向く短径をフロントエンドクロスメンバ11の外径Dbに略等しくし、フロントエンドクロスメンバ11の延在方向を向く長径をサイドメンバ12の外径Daの1.8倍としている。本例では、フロントエンドクロスメンバ11及びサイドメンバ12が同径であるから、接合部20の外縁201が形成する接合断面積はサイドメンバ12の断面積に対して約1.8倍となる。また、接合部20は、サイドメンバ12の端面から1.25×Da以下の範囲で形成する。ここで、左フランジ204及び右フランジ205は、フロントエンドクロスメンバ11の延在方向に広がるため、上フランジ202及び下フランジ203が1.25×Da以下、左フランジ204及び右フランジ205が0.75×Da以下となる。この接合部20の曲面の曲率半径Rは、左フランジ204及び右フランジ205で最大となり、本例ではおよそ0.75×Daとしている。
本例の接合部20は、フロントエンドクロスメンバ11の外面111に対して凹溝207を形成する膨出リブ206を、周方向に略等間隔で、上フランジ202、下フランジ203、左フランジ204及び右フランジ205宛に4基設けている。これにより、フロントエンドクロスメンバ11の外面111と接合部20とにより形成される閉鎖空間に対して外部に連通する凹溝207が形成され、図6に見られるように、シャシフレーム1内に侵入した塗料又は防錆処理液を接合部20に形成された凹溝207から排出できる。このほか、膨出リブ206は接合部20に対して補強リブとしても働く。
接続部の形成には、種々の方法又は装置が利用できる。本例では、第7図及び第8図に見られる形成装置5を用いて形成する。本例の形成装置5は、成形パンチ4を前進又は後進させる加工部51と、この加工部51に端部を向けてサイドメンバ12を挟持して固定するクランプ部52とを、基台53上に設けている。
加工部51は、被押圧斜面511を有し、クランプ部52に向けて基台53上を前進又は後進するカムスライダ512と、前記カムスライダ512の被押圧斜面511に向けて押圧斜面513を上昇又は下降させるカムドライバ514とからなる。成形パンチ4は、突起部41をクランプ部52に固定したサイドメンバ12に向けて、前記カムスライダ512の被押圧斜面511と反対側に装着する。カムスライダ512は、下降するカムドライバ514の押圧斜面513が被押圧斜面511を押圧することにより、クランプ部52に向けて移動し、前記クランプ部52に固定したサイドメンバ12の端部へ成形パンチ4の突起部41を挿入する。
成形パンチ4は、フロントエンドクロスメンバ11の外面111に倣った表面を有するベース部42と、フロントエンドクロスメンバ11に対するサイドメンバ12の接合方向に一致した突出方向に前記ベース部42から突出するフレアスカート状の突起部41とからなる。突起部41は、サイドメンバ12の内径に等しい円形状の上端面411と、側面視がフロントエンドクロスメンバ11の外面111に倣ったベース部42の表面に倣い形状で、かつ正面視はフロントエンドクロスメンバ11の延在方向に長径を有し、フロントエンドクロスメンバ11の延在直交方向に短径を有する楕円形状の下端面412と、前記上端面411及び下端面412とを結ぶ連続した曲面413とからなる略円錐台状である。本例の成形パンチ4は、ベース部42及び突起部41が一体の金属製形成品であり、ベース部42には塑性変形によりサイドメンバ12の端部を拡開して形成した接合部20の外縁201が当接する段差421を設けて前記接合部20の拡開を規制すると共に、突起部41をサイドメンバ12の端部へ挿入しやすくするため、前記突起部41の先端を面取りしている。
このほか、本例の形成装置5は、カムドライバ514の上昇により被押圧斜面511の押圧がなくなった後のカムスライダ512を初期位置へ押し戻すため、クランプ部52に向けて前進するカムスライダ512によって圧縮される復帰部521をクランプ部52に設けている。復帰部521は、カムスライダ512により圧縮されて弾性変形して復元力を発生させればよく、例えばゴムブロックやコイルスプリング等を例示できる。
具体的な接合部20の形成手順は次の通りである。クランプ部52にサイドメンバ12を挟持して固定した後、カムドライバ514を下降させると、図9及び図10に見られるように、カムドライバ514の押圧斜面513がカムスライダ512の被押圧斜面511を押圧する。このとき、カムスライダ512は基台53によって下方への移動が規制されているため、カムドライバ514の下降量×cosθ(被押圧斜面の傾斜角θの余弦)で、クランプ部52に固定したサイドメンバ12に接近していく。そして、サイドメンバ12の端部から成形パンチ4の突起部41が挿入され、この突起部41の外形状に従って、塑性変形により前記端部を拡開していく。突起部による押圧力は、カムドライバ514の押圧力×cosθ(被押圧斜面の傾斜角θの余弦)である。そして、形成された接合部20の外縁201が成形パンチ4のベース部42に設けた段差421に当接した段階で、形成作業は終了である。膨出リブは、成形パンチにより接合部の形成と同時に形成することもできるが、形成された接合部に対して別途形成してもよい。
形成後、カムドライバ514を上昇させると、カムスライダ512は弾性変形した復帰部521の復元力によって押し戻され、自動的に成形パンチ4の突起部41をサイドメンバ12の端部に形成した接合部20から引き抜くことができる。サイドメンバ12は、接合部20から突起部41が離反した後、クランプ部52から取り外す。本例の形成装置5は、成形パンチ4さえ交換すれば、異なる大きさ又は形状のサイドメンバ、フロントエンドクロスメンバ又はクロスメンバの各端部に任意の接合部を簡単に形成できる。
このように、接合部20は成形パンチ4により自由に形状を決定し、かつ容易に形成できる。接合部は、被接合側メンバに対する接合メンバの接合強度を高めるばかりでなく、被接合側メンバに対する被接合側メンバの突き当て方向、角度の違いを吸収したり、接合側メンバ及び被接合側メンバの大きさ又は形状の違いを吸収するアダプタとしての働きもある。そこで、次に接合部のアダプタとしての働きに着目し、本発明の種々の態様について、上記例と同様、フロントエンドクロスメンバ11にサイドメンバ12を接合する場合を例に説明する。説明の便宜上、以下に示す各図では、接合部における膨出リブは省略しているが、それぞれ必要に応じて膨出リブを設けてもよい。
フロントエンドクロスメンバ11に対して平面視斜め方向からサイドメンバ12を突き当てて接合する場合、第11図〜第13図に見られるように、接合部21を介してサイドメンバ12を傾ければよい。本例の接合部21は、左フランジ211及び右フランジ212を対称にしているが、例えばサイドメンバの傾きが急になれば、左フランジ及び右フランジを非対称にしてサイドメンバの傾倒を防止又は抑制することが考えられる。例示では、左フランジ211及び右フランジ212の関係について述べたが、フロントエンドクロスメンバに対して側面視斜め方向からサイドメンバを突き当てて接合する場合には、上記説明は上フランジ及び下フランジの関係にも当てはまる。
サイドメンバ及びフロントエンドクロスメンバの大小関係も、接合部の形状によって吸収しうる。
例えば、第14図〜第16図に見られるように、サイドメンバ12に対してフロントエンドクロスメンバ11が大きい場合、サイドメンバ12の端部に形成する接合部22は、フロントエンドクロスメンバ11の延在直交方向に上フランジ221及び下フランジ222を延長させて、正面視を十字形状に形成するとよい。
サイドメンバ12に対してフロントエンドクロスメンバ11が大きい場合、図17〜図19に見られるように、サイドメンバ12の外面121とフロントエンドクロスメンバ11の外面111とを揃えて接合する、すなわちサイドメンバ12及びフロントエンドクロスメンバ11の各軸線をずらして接合することもできる。この場合、接合部23はフロントエンドクロスメンバ11の延在直交方向の上フランジ231及び下フランジ232を非対称に形成する。このように、接合部23は、軸線がずれたフロントエンドクロスメンバ11及びサイドメンバ12の前記ずれを吸収して接合させるアダプタとして働いていることが分かる。
サイドメンバ12に対してフロントエンドクロスメンバ11が小さい場合、図20〜図22に見られるように、上フランジ241及び下フランジ242をフロントエンドクロスメンバ11の外径Dbの間隔で絞った接合部24を形成する。この接合部24は、成形パンチによる塑性変形により、左フランジ243及び右フランジ244を拡開しながら、同時に上フランジ241及び下フランジ242を絞ることで、簡単に形成できる。これは、別途補助部材等を用いた従来の接合部分に比べて、部材数の低減及び製造手順の簡略化等をもたらす。
被接合側部材であるフロントエンドクロスメンバは、断面角形パイプであっても本発明は適用しうる。例えば、図23〜図25に見られるように、一辺の長さLがサイドメンバ12の外径Daに略等しい断面角形パイプからなるフロントエンドクロスメンバ17に対し、正面視を楕円形状とした接合部25を形成することにより、断面円形パイプからなるサイドメンバ12を接合できる。この接合部25は、上フランジ及び下フランジがなく、もっぱら左フランジ251及び右フランジ252をフロントエンドクロスメンバ17の延在方向に拡開して接合部25を形成する。
断面角形パイプからなるフロントエンドクロスメンバ17の一辺の長さLが、サイドメンバ12の外径Daより大きい場合、図26〜図28に見られるように、上フランジ261及び下フランジ262をフロントエンドクロスメンバ17の延在直交方向に拡開し、正面視を楕円形状とした接合部26を形成することにより、断面円形パイプからなるサイドメンバ12を接合できる。
逆に、断面角形パイプからなるフロントエンドクロスメンバ17の一辺の長さLが、サイドメンバ12の外径Daより小さい場合、図29〜図31に見られるように、上フランジ271及び下フランジ272をフロントエンドクロスメンバ17の延在直交方向に拡開し、かつ前記上フランジ271及び下フランジ272をフロントエンドクロスメンバ17の上面171及び下面172それぞれに接面させた接合部27を形成することにより、断面円形パイプからなるサイドメンバ12を接合できる。前記接合部27は、フロントエンドクロスメンバ17の上面171及び下面172それぞれに接面させた上フランジ271及び下フランジ272を除く正面視が略楕円形状になればよい。
【実施例】
本発明のシャシフレームにおける接合部の有効性を確認するため、従来例及び実施例の接合強度及び剛性を比較するコンピュータ解析を実施した。実施例は、図32に見られるように、被接合側メンバの外面に外縁が倣い形状である接合部を形成した接合側メンバの端部を前記被接合側メンバの外面に接合した構造である。接合部は、正面視が楕円形状で、被接合側メンバの延在方向に一致する長径を接合側メンバの外径Daの1.8倍とし、短径を被接合側メンバの外径Dbと一致させている。また、この接合部は、接合側メンバの端縁から接合側メンバの外径Daの1.2倍の範囲で、接合側メンバの外面から接合部の端縁に至る滑らかな曲面を形成している。従来例は、図33に見られるように、被接合側メンバの外面の倣い形状に切削した接合側メンバの端部を前記被接合側メンバの外面に接合した構造である。
上記構造以外の解析条件は、従来例及び実施例は同じである。まず、接合側メンバ及び被接合側メンバは、いずれも外径Da及びDbが60mm、板厚が2.0mmの炭素鋼鋼管(断面円形パイプ)で、被接合側メンバの長さは200mm、接合側メンバの長さは被接合側メンバに接合した状態で被接合側メンバの軸線から170mmとし、接合側メンバは被接合側メンバの中点へ直交関係に接合している。実施例及び従来例の各モデルは、被接合側メンバの両端(各図中上下端)を完全拘束し、接合側メンバのA点:開放端(各図中右端)に与える負荷を徐々に増加させながら、各図中a点及びb点の発生応力ピーク値と、前記A点の変位量をそれぞれ算出した。
コンピュータ解析の結果を表1に示す。

実施例の曲げ負荷(X方向)による発生応力ピーク値は従来例に比べて32%小さく、また実施例の曲げ負荷(Y方向)による発生応力ピーク値は従来例に比べて46%小さくなっている。これは、実施例は従来例よりも剛性が高く、より大きな負荷に耐えうることを示している。また、実施例の引張り負荷(Z方向)による発生応力ピーク値は、従来例に比べて13%小さくなっている。これは、実施例は従来例よりも接合強度が高いことを示している。
上記接合強度又は剛性の向上については、各負荷を与えた際における荷重入力点の変位量からも確認される。すなわち、曲げ負荷(X方向)に際する実施例の変位量は従来例に比べて14%小さく、曲げ負荷(Y方向)に際する実施例の変位量は従来例に比べて13%小さく、そして引張り負荷(Z方向)に際する実施例の変位量は従来例に比べて44%も小さい。特に、実施例の引張り負荷に対する変位量が、従来例に比べて非常に小さいことは、接合側メンバが被接合側メンバに対して強固に接合されていること、すなわち接合強度の向上を示している。
これらのコンピュータ解析から、本発明のシャシフレームは、接合側メンバ及び被接合側メンバの接合強度及び剛性に優れ、より安定して、エンジンを取り付けたり、懸架装置を介して車輪を支持できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
本発明により、補助部材を必要とせずに、接合側メンバ及び被接合側メンバを高い接合強度及び剛性で接合できるシャシフレームを提供できる。これは、シャシフレームにおける部材数の低減の効果となる。そして、部材数の低減は、工程数及び製造コストの低減をもたらす効果を生む。
例えば、フロントエンドクロスメンバの外面に突き当てるサイドメンバの端部に形成する接合部が左右対称及び上下対称であれば、左右一対のサイドメンバを共通化でき、各サイドメンバの生産性が向上する利点となる。
また、接合作業自体は、接合側メンバを被接合側メンバの外面に突き当てて接合部を溶接するだけなので、工程数を増やしたり作業内容が大きく変わる問題がない。そして、接合側メンバの端部を被接合側メンバの外面に接合するための開孔等も必要ないことから、本発明のシャシフレームは、被接合側メンバ自体の構造強度を低下させる虞もない。
本発明の特徴である接合部は、簡素な成形パンチによる塑性加工を利用した接合側メンバの端部の拡開のみで形成される。これは、接合部の形成が容易であることばかりでなく、被接合側メンバに対する接合側メンバの端部をレーザによる切断加工等が不要になることを意味し、製造コストを低減する効果となる。
しかも、上記成形パンチを利用した塑性変形により形成される接合部は、外縁を必ず被接合側メンバの外面に当接できるため、前記外縁の溶接の仕上がりを均一にでき、従来のような溶接部位の耐久性が悪いという問題も引き起こさない。
このように、本発明は少ない部材数及び簡易な構成でありながら、シャシフレームとして望まれる性能要求に応える技術を提供する。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合側メンバの端部を被接合側メンバの外面に突き当てて接合してなる井桁状のシャシフレームにおいて、接合側メンバは中空パイプからなり、該接合側メンバの端部を徐変に拡開してフレアスカート状に拡がる接合部を形成し、該接合部の外縁を被接合側メンバの外面に当接して溶接することにより、接合側メンバを被接合側メンバの外面に接合したことを特徴とするシャシフレーム。
【請求項2】
接合側メンバがサイドメンバで、被接合側メンバがエンドクロスメンバである請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項3】
接合側メンバがクロスメンバで、被接合側メンバがサイドメンバである請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項4】
接合側メンバ及び被接合側メンバはいずれも断面円形パイプであり、接合部の外縁は側面視が被接合側メンバの外面に倣う略円弧状である請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項5】
接合側メンバは断面円形パイプ、被接合側メンバは断面角形パイプであり、接合部の外縁は側面視が被接合側メンバの外面に倣う略直線状である請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項6】
接合部は、外縁の側面視が被接合側メンバの外面の倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向に長径を有し、被接合側メンバの延在直交方向に短径を有する楕円形状である請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項7】
接合部は、外縁の側面視が被接合側メンバの外面の倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向にそれぞれ延びる十字形状である請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項8】
接合部は、接合側メンバの軸線方向に対して被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向それぞれに対称とした請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項9】
接合側メンバは、被接合側メンバの外面に対して平面視及び側面視共に直交関係に突き当てて接合する請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項10】
接合側メンバは、被接合側メンバの外面に対して平面視を斜交関係に突き当てて接合する請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項11】
接合側メンバは、被接合側メンバの外面に対して側面視を斜交関係に突き当てて接合する請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項12】
接合部は、被接合側メンバの外面に対して凹溝を形成する膨出リブを各接合部に設けた請求項1記載のシャシフレーム。
【請求項13】
中空パイプからなる接合側メンバの端部を被接合側メンバの外面に突き当てて接合し、井桁状のシャシフレームを製造するに際し、接合側メンバの端部に形成したフレアスカート状の接合部の外縁を被接合側メンバの外面に当接して溶接することにより、接合側メンバを被接合側メンバの外面に接合してなり、接合側メンバの端部に形成したフレアスカート状の接合部は、被接合側メンバの外面に倣った表面を有するベース部と、被接合側メンバに対する接合側メンバの接合方向に一致した突出方向に前記ベースから突出するフレアスカート状の突起部とからなる成形パンチを用い、位置固定した接合側メンバの端部に前記成形パンチのフレアスカート状の突起部を該フレアスカート状の突起部の突出方向と前記接合側メンバの軸線方向とを一致させて押し込み、該フレアスカート状の突起部により接合側メンバの端部を押し広げて形成するシャシフレームの製造方法。
【請求項14】
成形パンチは、接合側メンバの内形状に等しい上端面と、外縁の側面視が被接合側メンバの外面に倣ったベース部の表面に倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向に長径を有し、被接合側メンバの延在直交方向に短径を有する楕円形状である下端面と、前記上端面及び下端面とを連続した曲面とからなる略錐台状の突起部を有する請求項13記載のシャシフレームの製造方法。
【請求項15】
成形パンチは、接合側メンバの内形状に等しい上端面と、外縁の側面視が被接合側メンバの外面に倣ったベース部の表面に倣い形状で、かつ外縁の正面視は被接合側メンバの延在方向及び延在直交方向にそれぞれ延びる十字形状である下端面と、前記上端面及び下端面とを連続した曲面とからなる略錐台状の突起部を有する請求項13記載のシャシフレームの製造方法。

【国際公開番号】WO2005/077735
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517870(P2005−517870)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001687
【国際出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【出願人】(000112082)ヒルタ工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】