説明

シャンプー組成物

【課題】乾いた髪に使用した際に、起泡力、洗浄力、コンディショニング性に優れ、液垂れがなく、低温安定性及び希釈後の外観安定性に優れたシャンプー組成物に関する。
【解決手段】下記成分(A)〜(D)を含有し、2〜5倍に希釈して使用することを特徴とするシャンプー組成物。
(A)脂肪酸組成がラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選ばれる脂肪酸石鹸を含有し、脂肪酸石鹸中のラウリン酸とミリスチン酸の合計量とパルミチン酸とステアリン酸の合計量との配合比(質量比)が、(ラウリン酸+ミリスチン酸):(パルミチン酸+ステアリン酸)=3:1〜10:1
(B)両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤(C)多価アルコール
(D)水溶性高分子化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー組成物に関し、詳しくは、2〜5倍に希釈して使用するシャンプー組成物であって、乾いた髪に使用した際に、起泡力、洗浄力、コンディショニング性に優れ、液垂れがなく、低温安定性及び希釈後の外観安定性に優れたシャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なシャンプーの工程は、毛髪をお湯で濡らした後にシャンプー液を毛髪に塗布し、マッサージを行い、その後にシャンプーを洗い流す工程である。しかしながら、ヘアサロンや理髪店においては、スタンドシャンプーという方法が行われている。これは、イスに座ったままの状態で、乾いた毛髪にシャンプー液を直接塗布し、マッサージを行い、その後にシャンプー液を洗い流す方法である。このスタンドシャンプーにおいては、シャンプー前に毛髪を濡らすことがないため、通常、シャンプー液を2〜5倍に希釈してから毛髪に塗布することが行われており、この希釈行為によって、泡立ち等に必要な水分を髪に供給している。これらスタンドシャンプーを行なう際のシャンプー液においては、高い起泡力、洗浄力、液垂れしないこと、また希釈しやすく、更に希釈したシャンプー液は数日間外観変化がなく安定であることが求められている。例えば、市販のシャンプーを5倍程度に希釈してスタンドシャンプーとして使用した場合、起泡力が非常に弱く、殆ど泡立たず、また希釈後の安定性が悪く、スタンドシャンプーとして使用することは不可能であった。
【0003】
そこで、従来、シャンプー組成物中のアルキルエーテル硫酸エステル塩などの界面活性剤を高濃度に上げたシャンプー組成物が一般に用いられているが、界面活性剤の濃度を上げることによって、組成物の粘性が上昇し、希釈する際に非常に手間がかかったり、起泡力として十分満足できるレベルと言えず、また、冬場の低温環境において界面活性剤が析出するなどの問題を有していた。これら高濃度タイプの洗浄剤については、例えば、40%以上の高濃度アニオン界面活性剤及び/又は高濃度ノニオン界面活性剤からなる液体洗剤(例えば、特許文献1参照。)、アルキル硫酸エステル塩またはアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカノールアミドど硫酸化不飽和脂肪酸塩を合計40〜80%含有した液体洗浄剤組成物(例えば、特許文献2参照。)、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩及び非イオン界面活性剤を特定比率で含有した液体洗浄剤組成物(例えば、特許文献3参照。)等が開示されている。しかし、これらの液体洗剤及び洗浄剤組成物は、主に食器用洗剤やボディ洗浄料を主眼に開発されており、スタンドシャンプーとして毛髪に使用した場合、起泡力が弱く、液垂れが発生し、また毛髪のコンディショニング性が悪く充分満足できるものではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−38200号公報
【特許文献2】特開平11−116985号公報
【特許文献3】特開2002−332499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、2〜5倍に希釈して使用するシャンプー組成物であって、乾いた髪に使用した際に、起泡力、洗浄力、コンディショニング性に優れ、液垂れがなく、低温安定性及び希釈後の外観安定性に優れたシャンプー組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、特定の脂肪酸配合比の脂肪酸石鹸、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤、多価アルコールおよび水溶性高分子化合物を特定の配合比で含有するシャンプー組成物が、乾いた髪に使用した際に、起泡力、洗浄力、コンディショニング性に優れ、液垂れがなく、低温安定性及び希釈後の外観安定性に優れている特性を有し、上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記成分(A)〜(D)を含有し、2〜5倍に希釈して使用することを特徴とするシャンプー組成物である。
(A)脂肪酸組成がラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選ばれる脂肪酸石鹸を含有し、脂肪酸石鹸中のラウリン酸とミリスチン酸の合計量とパルミチン酸とステアリン酸の合計量との配合比(質量比)が、(ラウリン酸+ミリスチン酸):(パルミチン酸+ステアリン酸)=3:1〜10:1
(B)両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤(C)多価アルコール
(D)水溶性高分子化合物
【発明の効果】
【0008】
本発明のシャンプー組成物は、2〜5倍に希釈して使用するシャンプー組成物であって、乾いた髪に使用した際に、起泡力、洗浄力、コンディショニング性に優れ、液垂れがなく、低温安定性及び希釈後の外観安定性に優れた特徴を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0010】
本発明に用いられる成分(A)脂肪酸石鹸の脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸であり、それぞれ炭素数12、14、16、18の飽和脂肪酸である。これら脂肪酸を中和して脂肪酸石鹸とするが、中和剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ剤、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等の有機塩基が挙げられる。好ましい中和剤としては、水酸化カリウムである。また、高級脂肪酸を中和する場合、97%以上の中和率で中和されることが好ましく、また、これら脂肪酸は、脂肪酸石鹸そのものとして配合することを要せず、高級脂肪酸とその中和剤として配合して製造してもよい。
【0011】
本発明におけるこれら脂肪酸の配合比は、ラウリン酸とミリスチン酸の合計量とパルミチン酸とステアリン酸の合計量との配合比(重量比)が、(ラウリン酸+ミリスチン酸):(パルミチン酸+ステアリン酸)=3:1〜10:1である。この範囲を超えた場合、泡立ちや泡持ちなどの基本性能や、使用感において問題点が生じ好ましくない。なお、ラウリン酸とミリスチン酸、パルミチン酸とステアリン酸のそれぞれの組合せにおいて、二つともを必須とするものでなく、例えばステアリン酸を含まないなど、いずれかの脂肪酸のみであっても構わない。
【0012】
本発明に配合される脂肪酸石鹸の総量は、10〜25%であり、より好ましくは15〜20%である。この範囲にあれば、低温での安定性、泡立ち、泡持ちなど良好に作用し、他の必須成分との組み合わせにより目的とする効果を達成できる。
【0013】
また、本発明に係るシャンプー組成物には本発明に係る効果を阻害しない範囲でラウリン酸石鹸、ミリスチン酸石鹸、パルミチン酸石鹸及びステアリン酸石鹸以外の脂肪酸石鹸も併用できる。炭素数12未満の脂肪酸の添加は、起泡力の低下という本発明の意図を逸脱するために好ましくないが、炭素数16以上の他の脂肪酸すなわちパルミトオレイン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、ベヘニン酸などを本発明の効果を損なわな
い範囲で併用可能である。
【0014】
本発明に用いられる成分(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤は、一種又は二種以上を適宜選択して組み合わせて用いることができる。両性界面活性剤としては、ベタイン型、イミダゾリン型、アミノ酸型が挙げられるが、ベタイン型とイミダゾリン型が好ましい。ベタイン型ではアルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタインが好ましく、アルキルアミノ酢酸ベタインでは、アルキル基の炭素数が8〜18のものが好ましく、炭素数が10〜16のものがより好ましい。特に、ヤシ油脂肪酸アミノ酢酸ベタイン、パーム油脂肪酸アミノ酢酸ベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタインが好ましい。アルキルアミドプロピルベタインでは、アルキル基の炭素数が6〜20のものが好ましく、さらに炭素数8〜18のものがより好ましく、特に、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好ましい。2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインでは、アルキル基の炭素数が8〜18のものが好ましく、炭素数が10〜16のものがより好ましい。特に、アルキル基がヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸及びラウリン酸から誘導されるアルキル基であるものが好ましい。イミダゾリン型では2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが好ましい。
【0015】
半極性界面活性剤としては、アミンオキシド型、アミドアミンオキシド型が挙げられるが、アミンオキシド型が好ましく、特に、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油ジメチルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシドが好ましい。
【0016】
両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤の含有量は、シャンプー組成物中0.5〜10%が好ましく、より好ましくは1〜5%である。この範囲を超えた場合、泡立ちや泡持ちなどの基本性能や、低温で結晶物が発生する等の問題点が生じ好ましくない。
【0017】
本発明に用いられる成分(C)多価アルコールは、保湿効果が高く、毛髪にしっとり感や、しなやかさなどのコンディショニング効果を付与する目的でシャンプー組成物に汎用されるが、成分(D)の水溶性高分子を配合した時に生じるごわつき、重さ、べたつきなどを低減する目的で配合されるものであり、また低温での界面活性剤の析出を防止する目的で配合される。本発明に用いられる成分(C)の多価アルコールは、分子内に2個以上の水酸基をもつ化合物であり、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、糖類としてソルビトール、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖、果糖、キシリトール、乳糖、マルトース、マルチトール、トレハロース、エチルグルコシド等のアルキルグルコシド類などが挙げられる。これらの中でも、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールが特に好ましい。これらは、必要に応じて一種又は二種以上を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
【0018】
本発明に用いられる成分(C)多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、シャンプー組成物中0.5〜15%が好ましく、1〜5%がより好ましい。
【0019】
本発明に用いられる成分(D)水溶性高分子化合物は、毛髪にしっとり感や、しなやかさなどのコンディショニング効果を付与する目的で配合され、一種又は二種以上を適宜選択して組み合わせて用いることができる。水溶性高分子化合物としては、アニオン性高分子化合物、非イオン性高分子化合物、カチオン性残基を有する両性又はカチオン性高分子化合物が挙げられる。水溶性高分子化合物の分子量は、1,000〜5,000万、好ましくは1万〜1,000万、より好ましくは10万〜500万である。
【0020】
アニオン性高分子化合物としては、例えば、天然高分子としてカラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコール、ヒアルロン酸等、合成高分子化合物としてカルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸・マレイン酸共重合体、マレイン酸・ジイソブチレン共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。メタクリル酸・アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、メタクリル酸・アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸プロピル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸メチル・アクリル酸プロピル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸メチル・アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル・アクリル酸プロピル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル・アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸プロピル・アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸メチル・アクリル酸エチル・アクリル酸プロピル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸メチル・アクリル酸エチル・アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸メチル・アクリル酸プロピル・アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸メチル・アクリル酸エチル・アクリル酸プロピル共重合体・アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。
【0021】
非イオン性高分子化合物としては、例えば、天然高分子化合物としてペクチン、グアーガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、トラガラントガム、合成高分子化合物としてポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
【0022】
両性高分子化合物としては、ポリメタクロイルエチルジメチルベタイン、メタクリロイルエチルベタイン・メタクリル酸エステル共重合体(三菱化学(株)製、ユカフォーマーシリーズ)等が挙げられる。
【0023】
カチオン性高分子化合物としては、官能基がジメチルジアリルアンモニウムハライドである塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸3元共重合体(カルゴン社、マーコートシリーズ)等が挙げられる。さらに、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化デキストラン、カチオン化プルラン、四級化ビニルピロリドン・アミノエチルメタクリレート共重合体、ポリエチレンイミン、ジプロピレントリアミン縮合物、アジピン酸ジメチル−アミノヒドロキシプロピルジエチルトリアミン共重合体、第四級窒素含有スターチ等の他、カチオン化加水分解ケラチン、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、カチオン化加水分解小麦、シリコーン化加水分解コラーゲン、シリコーン化加水分解シルクのタンパク加水分解にカチオン基を導入したもの等が挙げられる。
【0024】
これらの高分子化合物の中でも、非イオン性高分子化合物が好ましく、使用後の髪に滑らかな感触を付与する効果の点から、ヒドロエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0025】
ヒドロキシエチルセルロースは特に制限されないが、重量平均分子量10万〜300万のものが好ましく、より好ましくは50万〜200万のものが好ましい。これらに該当する市販品としては、例えば、ユニオンカーバイド社製のHECQM100M(重量平均分子量150万)、HEC−QP4400(重量平均分子量80万)や、ダイセル化学工業(株)製のHECダイセルSE900(重量平均分子量150万)等が挙げられる。
【0026】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは特に制限されないが、2%水溶液の粘度(20℃)が単一円筒形回転粘度計((株)トキメック製TVB−20L型、ローターNo.L、M2又はM4を使用、回転数60rpm、測定時間4分)で測定した時に、2〜35,000mPa・s、より好ましくは20〜10,000mPa・sの範囲のものが好ましい。これらに該当する市販品としては、例えば信越化学工業(株)製のメトローズが挙げられる。
【0027】
水溶性高分子化合物の配合量は、毛髪化粧料中0.01〜5%が好ましく、より好ましくは0.1〜2%である。この範囲で、この範囲であれば、毛髪に十分な滑らかさを付与し、また泡持ち、泡質を良好にすることができる。
【0028】
本発明のシャンプー組成物は、前記の必須成分に加えて必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料に使用されている任意の成分を使用することが出来る。これらの成分としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、パール光沢剤、油分、紫外線吸収剤、防腐剤、保湿剤、ポリマー類、アミノ酸誘導体、糖誘導体、香料、水、アルコール、増粘剤、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、薬剤等が挙げられる。
【0029】
本発明のシャンプー組成物の剤型は任意であり、粘稠液状、クリーム状、ゲル状、固状、粉末状とすることができるが、好ましいものとしては、粘度100〜3,000センチポアズの粘稠液状であり、また外観として透明であることが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例及び比較例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0031】
(1)起泡力試験
2,500ml容器の攪拌機つき円筒形シリンダーに40℃の人工硬水(70ppm炭酸カルシウム)を400ml入れ、シャンプー組成物を5倍に希釈した溶液40gを添加後、4,500rpmで1分間攪拌した後の泡容積を測定した。
また、評価の基準を次のように設定した。
◎:泡立ち極めて良好(泡容積1,200ml以上)
○:泡立ち良好(泡容積1,000ml以上,1,200ml未満)
△:泡立ち普通(泡容積800ml以上,1,000ml未満)
×:泡立ち不良(泡容積800ml未満)
【0032】
(2)洗浄性試験
5cm×5cmのウールモスリン布にラノリン7%及びスダンIII0.005%のクロロホルム溶液0.4mlを均一に塗布し、乾燥させ、この汚染布をシャンプー組成物を5倍に希釈した溶液40mlが入った約100mlのガラス製シリンダー中に入れ、40℃の恒温槽中で15分間振とうし、汚染布を流水中でよくすすぎ、乾燥させ、反射率を調べ、下記式(1)により洗浄率を求めた。
【0033】
【数1】

【0034】
また、評価の基準を次のように設定した。
◎ ・・・洗浄性優秀 洗浄率 85%以上
○ ・・・洗浄性良好 洗浄率 70%以上85%未満
△ ・・・洗浄性普通 洗浄率 55%以上70%未満
× ・・・洗浄性不良 洗浄率 55%未満
【0035】
(3)液垂れのなさ、およびコンディショニング性
男女被験者10名を用いて、5倍希釈して調製したシャンプー組成物を用いて、乾いた頭髪部に塗布してシャンプーを行い、マッサージ中の液垂れの状態を観察し、次に濯ぎ後のコンディショニング効果を判定した。評点は下記のように分類し、平均値を算出した。
(液垂れ)
液垂れが全くない ・・・ 4点
液垂れが殆どない ・・・ 3点
液垂れがややある ・・・ 2点
液垂れがある ・・・ 1点
(コンディショニング性)
コンディショニング性が高い ・・・ 4点
コンディショニング性がやや高い ・・・ 3点
コンディショニング性がやや低い ・・・ 2点
コンディショニング性が低い ・・・ 1点
【0036】
また、評価の基準を次のように設定した。
◎ ・・・ 平均値が3.0点以上
○ ・・・ 平均値が2.5点以上3.0点未満
△ ・・・ 平均値が2.0点以上2.5点未満
× ・・・ 平均値が2.0点未満
【0037】
(4)低温安定性
シャンプー組成物を0℃の恒温槽中に2週間放置し、濁りおよび結晶物の析出の有無を目視にて確認した。
【0038】
また評価の基準を次のように設定した。
◎ ・・・ 濁りおよび結晶析出を認めない
○ ・・・ わずかに濁りを生じるが結晶物を認めない
△ ・・・ わずかに結晶析出を認める
× ・・・ 明らかな結晶析出を認める
【0039】
(5)希釈後の安定性
シャンプー組成物を水道水にて2〜5倍に希釈し、室温にて1週間放置し、濁りおよび沈殿物の析出の有無を目視にて確認した。
【0040】
また評価の基準を次のように設定した。
◎ ・・・ 濁りおよび沈殿物を認めない
○ ・・・ わずかに濁りを生じるが沈殿物を認めない
△ ・・・ わずかに沈殿物を認める
× ・・・ 明らかな沈殿物を認める
【0041】
実施例1〜7、比較例1〜5
表1に示す処方のシャンプー組成物を常法に従って作成し、前記の諸試験を実施して評価
を行った。その結果を併せて表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
表1から明らかなように、本発明のシャンプー組成物は、比較例と比べて起泡力、洗浄力
、コンディショニング性、液垂れのなさ、低温安定性及び希釈後の外観安定性のいずれの項目においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0044】
以下、本発明シャンプー組成物のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例についても、前期の起泡力、洗浄力、コンディショニング性、液垂れのなさ、低温安定性及び希釈後の外観安定性の各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0045】
実施例8 シャンプー
配合量(%)
(1)ラウリン酸 8.0
(2)ミリスチン酸 3.0
(3)パルミチン酸 1.5
(4)水酸化カリウム 3.4
(5)ラウリルベタイン 1.0
(6)ココアンホ酢酸ナトリウム 2.0
(7)グリセリン 2.0
(8)プロピレングリコール 2.0
(9)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
(10)ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミン 2.0
(11)コカミドDEA 2.0
(12)塩化ナトリウム 0.5
(13)アロエエキス 0.5
(14)加水分解シルク 0.5
(15)サザンカ油 0.1
(16)香料 0.3
(17)タール系色素 微 量
(18)精製水 残 部
【0046】
<製法>
(1)〜(3)及び(18)を80℃にて均一に混合溶解させ、(4)を加えて中和を行なう。次いで(5)〜(12)を加えて、冷却後、(13)〜(17)を添加し、シャンプーを調製した。
【0047】
実施例9 トニックシャンプー
配合量(%)
(1)ラウリン酸 8.0
(2)ミリスチン酸 2.5
(3)パルミチン酸 1.7
(4)水酸化カリウム 3.5
(5)ラウリルベタイン 0.5
(6)ココアンホ酢酸ナトリウム 1.5
(7)グリセリン 2.0
(8)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
(9)コカミドDEA 1.0
(10)塩化ナトリウム 0.8
(11)エデト酸二ナトリウム 0.2
(12)アロエエキス 0.5
(13)アルギニン 0.1
(14)加水分解コラーゲン 0.5
(15)海藻抽出液 0.5
(16)メントール 1.5
(17)カンファー 0.5
(18)香料 0.3
(19)カラメル色素 微 量
(20)精製水 残 部
【0048】
<製法>
(1)〜(3)及び(20)を80℃にて均一に混合溶解させ、(4)を加えて中和を行なう。次いで(5)〜(11)を加えて、冷却後、(12)〜(19)を添加し、トニックシャンプーを調製した。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のシャンプー組成物は、乾いた髪に使用した際に、起泡力、洗浄力、コンディショニング性に優れ、液垂れがなく、低温安定性及び希釈後の外観安定性に優れた特性を有し、シャンプー組成物としてきわめて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(D)を含有し、2〜5倍に希釈して使用することを特徴とするシャンプー組成物。
(A)脂肪酸組成がラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選ばれる脂肪酸石鹸を含有し、脂肪酸石鹸中のラウリン酸とミリスチン酸の合計量とパルミチン酸とステアリン酸の合計量との配合比(質量比)が、(ラウリン酸+ミリスチン酸):(パルミチン酸+ステアリン酸)=3:1〜10:1
(B)両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤(C)多価アルコール
(D)水溶性高分子化合物

【公開番号】特開2009−292752(P2009−292752A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146570(P2008−146570)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】