説明

シリコーンゲル封止、並びに、その形成及び使用方法

形状安定なゲルを用い、基板間に封止を形成し、空気及び水分透過を最小化することができる。形状安定なゲルは窓枠部材の封止、後付け及び取替え窓の封止のような建設産業用途、並びに浴槽、シンク及びシャワー室の封止のような屋内用途において有用である。形状安定なゲルはボートの船体の封止用途においても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シリコーンゲル(「ゲル」)はガス(例えば空気)及び蒸気(例えば水分)透過に対して基板を封止するのに用いられる。ゲルは形状安定に製造され、第1基板に塗布すると第2基板がそこに固定されるまで粘着するのに十分な粘着性を有する。ゲルは窓枠及び雨押さえのような建設用途、ならび浴槽、シャワー室、及びシンクの周囲の封止のような屋内封止用途において有用である。ゲルはボートの船体の窓及び/又は貫通穴の封止のような海洋用途において有用である。
【背景技術】
【0002】
各種の製品及び方法が、枠組部材を封止してガス及び蒸気透過を最小化する当技術分野において知られている。従来は湿潤封止材が用いられていた。しかしながら、湿潤封止材には塗布するのに扱いにくいという欠点がある。また、枠組用途では、封止材を塗布した後、枠組部材間で圧縮する。この圧縮中、余剰分が押し出され、これをふき取り、廃棄しなければならない。さらに、湿潤封止材の硬化中に揮発性有機化合物(VOC)が大気中に放出されることがある。
【0003】
別の方法として、シリコーンゴム又は発泡体のシートは切ることができ、次に枠組部材を固定する際、得られた一片を部材間に置き、圧縮することができる。この方法は、シリコーンゴムが基板への塗布前に硬化するため、VOC放出を削減する。しかしながら、シリコーンゴムには、例えばシリコーンゴムを基板に対して垂直に置く場合、固定プロセス中に第1基板上にとどまるのに十分な粘着性(自己粘着性)を欠いているという欠点がある。
【0004】
その側面上に、接着剤を有するシリコーン発泡体のシート又はテープも提案されている。しかしながら、この製品には基板上に塗布した後に整えることができないという欠点がある。整えると、発泡体は接着剤から剥離し得、基板上に接着剤残渣又は膜を残し、これは吸塵及び外観不良をもたらすことがある。
【0005】
建設産業には、より良好な美観を有し、廃棄物を低減し、VOC放出を低減した製品を製造する継続的必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
基板間に耐ガス及び蒸気性封止を形成する方法について開示する。本方法は、
i)形状安定なゲルを第1基板に塗布するステップ、及び
ii)第1基板及び第2基板を接続するステップ
を含み、これにより第1基板と第2基板との間に封止を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】その表面上に剥離ライナーを有する形状安定なゲルの例である。
【図2】形状安定なゲルを製造するプロセスフロー図である。
【図3】形状安定なゲルを用いてアルミニウム枠を封止する方法の写真を示す。
【図4】図3の方法の追加ステップの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
すべての量、比、及び割合は、とくに指示のない限り、質量による。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、とくに指示のない限り、1又はそれ以上を指す。すべての粘度測定はとくに記載のない限り25℃で行った。
【0009】
ゲル
上述の方法に用いられる硬化性シリコーン組成物は硬化し、形状安定なゲルを形成する。硬化性シリコーン組成物の硬化機構は、ゲルがその間に入る基板を汚染する製品により剥離しないいずれかの硬化機構であってもよい。例えば、硬化性シリコーン組成物は、周囲温度若しくは高温で硬化する熱硬化性一液型組成物若しくは二液型組成物、過酸化物硬化性シリコーン組成物、放射線硬化性シリコーン組成物、又は、これらの組み合わせのような付加反応硬化性であってもよい。
【0010】
本明細書に記載する方法及び物品に用いられるゲルは形状安定である。本出願の目的のため、「ゲル」の語は、軽微に架橋したポリマーネットワークを意味する。ゲルは、ゲルより高い架橋密度を有するシリコーンゴムに一般的に関連する硬度より低い硬度値を有する。ゲルはASTM Standard D 2240−05に従ってデュロメーターを用いて測定されるようにShore 00スケールで30〜70の範囲の硬度を有することができる。あるいは、ゲルは、参照例2の方法により測定されるように、50グラム〜300グラム、選択的に100グラム〜200グラムの範囲の硬度を有することができる。これらの方法は圧入に基づく硬度測定を可能にする。
【0011】
本出願の目的のため、「形状安定」とは、ゲルを基板に手作業で塗布する場合、第2基板を第1基板に貼り付けるのに十分な時間ゲルがその形状を維持すること意味する。ゲルは必ずしも形状安定なわけではないが、ゲルは硬化性シリコーン組成物への増量充填剤の添加、支持体の使用、又はこれらの組み合わせにより形状安定にすることができる。ゲルは、米国カリフォルニア州ニューアークのダウコーニングコーポレーションのGT−1700のような、市販のシリコーンゲルであってもよい。
【0012】
あるいは、ゲルは硬化性シリコーン組成物から調製することができる。硬化性シリコーン組成物は(A)ベースポリマー、任意で(B)架橋剤、及び、組成物の硬化を促進するのに十分な量の(C)触媒を含むことができるが、その成分及び量については、硬化性シリコーン組成物の硬化物がゲルとなるように選択される。
【0013】
ヒドロシリル化硬化性組成物
上述のゲルを形成するのに用いられる硬化性シリコーン組成物は、ヒドロシリル化硬化性組成物を含むことができる。ヒドロシリル化硬化性組成物は(A’)、1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するベースポリマー、(B’)1分子当たり平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する架橋剤、及び、(C’)ヒドロシリル化触媒を含むが、その成分及び量については、組成物を硬化することにより調製された生成物がゲルとなるように選択される。
【0014】
成分(A’)ベースポリマー
ヒドロシリル化硬化性組成物の成分(A’)は1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサンを含むことができる。成分(A’)は線状又は分岐構造を有することができる。あるいは、成分(A’)は線状構造を有することができる。成分(A’)はホモポリマー又はコポリマーであってもよい。脂肪族不飽和有機基はアルケニル、例えば、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、及びへキセニルであってもよい。不飽和有機基はアルキニル基、例えば、これらに限定されないが、エチニル、プロピニル、及びブチニルであってもよい。成分(A’)中の脂肪族不飽和有機基は末端、ペンダント、又は末端及びペンダント両方の位置にあってもよい。あるいは、成分(A’)中の脂肪族不飽和有機基は末端位置にあってもよい。
【0015】
成分(A’)中の残りのケイ素結合有機基は、脂肪族不飽和を含まない一価の有機基であってもよい。これらの一価の有機基は1〜20個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子を有することができ、その例としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル基;シクロペンチル及びシクロへキシルのようなシクロアルキル基;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのような芳香族基を含む炭化水素基があるが、これらに限定されない。
【0016】
成分(A’)は、
・式(I):RSiO(RSiO)(RSiO)SiR
・式(II):RSiO(RSiO)(RSiO)SiR
又は、これらの組み合わせからなるポリジオルガノシロキサンを含むことができる。
【0017】
式(I)及び(II)中、各Rは、独立して脂肪族不飽和を含まない一価の有機基であり、各Rは独立して脂肪族不飽和有機基である。下付き文字a、b、c、及びdはポリジオルガノシロキサンにBrookfield RVT CP−52粘度計により5rpmで測定されるように、100〜20,000mPa・sの範囲の粘度を与えるのに十分な値を有する。
【0018】
あるいは、下付き文字aは2〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字bは0〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字cは0〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字dは2〜2000の範囲の平均値を有することができる。Rに適した一価の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロへキシルのようなシクロアルキル;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリールが挙げられるが、これらに限定されない。各Rは、独立して脂肪族不飽和一価の有機基である。Rの例としては、ビニル、アリル、及びブテニルのようなアルケニル基並びにエチニル及びプロピニルのようなアルキニル基がある。
【0019】
成分(A’)は、以下のようなポリジオルガノシロキサンを含むことができる。
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
v)トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
vi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
vii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
viii)フェニル、メチル、ビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ix)ジメチルへキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
x)ジメチルへキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルへキセニルシロキサン)、
xi)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
xii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルへキセニルシロキサン)、
xiii)これらの組み合わせ
【0020】
対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡のような、成分(A’)として用いるのに適した液体ポリジオルガノシロキサンの調製方法は当技術分野において周知である。
【0021】
成分(A’)は単一のベースポリマー又は以下の特性:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、及び配列の少なくとも1つが異なる2つ以上のベースポリマーを含む組み合わせであり得る。
【0022】
成分(B’)架橋剤
ヒドロシリル化硬化性組成物中の成分(B’)は、1分子当たり平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する架橋剤である。ヒドロシリル化硬化パッケージ中の成分(B’)の量は上述のように組成物を架橋してゲルを形成するのに十分である。成分(B’)の量は成分(A’)の構造及びビニル含量並びに成分(B’)の構造及びSiH含量によって異なるが、その量は成分(A’)100質量部当たり0.5質量部〜15質量部、あるいは1質量部〜5質量部の範囲とすることができる。成分(B’)はホモポリマー又はコポリマーとすることができる。成分(B’)は線状、分岐、又は環状構造を有することができる。成分(B’)中のケイ素結合水素原子は末端、ペンダント、又は末端及びペンダント両方の位置にあり得る。
【0023】
成分(B’)は、これらに限定されないが、HRSiO1/2、RSiO1/2、HRSiO2/2、RSiO2/2、RSiO3/2、及びSiO4/2単位を含むシロキサン単位を含むことができる。前式中、各Rは独立して上述のような一価の有機基から選択される。
【0024】
成分(B’)は、以下の式のポリジオルガノ水素シロキサンを含むことができる。
・(VI)RSiO(RSiO)(RHSiO)SiR
・(VII)RHSiO(RSiO)(RHSiO)SiRH、又は、
・(VIII)これらの組み合わせ
【0025】
上記式中、下付き文字e、f、g、及びhはポリジオルガノ水素シロキサンに10mPa・s〜500mPa・sの範囲の粘度を与えるのに十分な値を有する。あるいは、下付き文字eは0〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字fは2〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字gは0〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字hは0〜2000の範囲の平均値を有することができる。各Rは独立して一価の有機基である。適切な一価の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロへキシルのようなシクロアルキル;ビニル、アリル、ブテニル、及びへキセニルのようなアルケニル;エチニル、プロピニル、及びブチニルのようなアルキニル;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリールが挙げられる。
【0026】
成分(B’)の例としては、以下のものがある。
a)ジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
b)ジメチル水素シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、
c)ジメチル水素シロキシ末端ポリメチル水素シロキサン、
d)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、
e)トリメチルシロキシ末端ポリメチル水素シロキサン、及び
f)これらの組み合わせ
【0027】
成分(B’)は以下の特性:構造、平均分子量、粘度、シロキサン単位、及び配列の少なくとも1つが異なる2つ以上のSiH官能性架橋剤の組み合わせであってもよい。オルガノハロシランの加水分解及び縮合のような、成分(B’)として用いるのに適した線状、分岐、及び環状オルガノ水素ポリシロキサンの調製方法は当技術分野において周知である。成分(B’)として用いるのに適したオルガノ水素ポリシロキサン樹脂の調製方法も、米国特許第5,310,843号、第4,370,358号、及び第4,707,531号に例示されるように周知である。
【0028】
成分(C’)ヒドロシリル化触媒
ヒドロシリル化硬化性組成物の成分(C’)は、ヒドロシリル化触媒である。成分(C’)は、ヒドロシリル化硬化性組成物の質量に対して、白金族金属0.1ppm〜1000ppm、あるいは1ppm〜500ppm、あるいは2ppm〜200ppm、あるいは5ppm〜150ppmの範囲の量で添加される。
【0029】
適切なヒドロシリル化触媒は当技術分野において知られ、市販されている。成分(C’)は白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム若しくはイリジウム金属若しくはこれらの有機金属化合物、又はこれらの組み合わせから選択される白金族金属を含むことができる。成分(C’)の例としては、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、及びマトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化した前記化合物の低分子量オルガノポリシロキサン又は白金化合物との錯体のような化合物がある。低分子量オルガノポリシロキサンの白金錯体としては、1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体が挙げられる。これらの錯体は樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化することができる。触媒が低分子量オルガノポリシロキサンの白金錯体である場合、触媒の量はヒドロシリル化硬化性組成物の質量に対して0.01%〜0.4%の範囲とすることができる。
【0030】
成分(C’)に適したヒドロシリル化触媒については、例えば、米国特許第3,159,601号、第3,220,972号、第3,296,291号、第3,419,593号、第3,516,946号、第3,814,730号、第3,989,668号、4,784,879号、第5,036,117号、及び第5,175,325号並びに欧州特許第0347895B号に記載されている。マイクロカプセル化したヒドロシリル化触媒及びその調製方法は、米国特許第4,766,176号及び第5,017,654号に例示されるように、当技術分野において知られている。
【0031】
過酸化物硬化パッケージ
あるいは、硬化性シリコーン組成物は、過酸化物硬化性組成物を含むことができる。過酸化物硬化性組成物は(A”)、1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するベースコポリマー、任意で(B”)架橋剤、及び(C”)触媒を含むことができるが、その成分及び量については組成物の硬化物がゲルとなるように選択される。
【0032】
成分(A”)ベースポリマー
過酸化物硬化パッケージの成分(A”)は、1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリジオルガノシロキサンを含む。成分(A”)は、ホモポリマー又はコポリマーであってもよい。脂肪族不飽和有機基は、アルケニル、例えば、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、及びへキセニルであってもよい。脂肪族不飽和有機基は、アルキニル基、例えば、これらに限定されないが、エチニル、プロピニル、及びブチニルであってもよい。成分(A”)中の不飽和有機基は、末端、ペンダント、又は末端及びペンダント両方の位置にあってもよい。あるいは、成分(A”)中の脂肪族不飽和有機基は、末端位置にあってもよい。
【0033】
成分(A”)中の残りのケイ素結合有機基は、脂肪族不飽和を含まない一価の有機基であってもよい。これらの一価の有機基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル基;シクロへキシルのようなシクロアルキル基;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのような芳香族基があるが、これらに限定されない。
【0034】
成分(A”)は、以下の、ポリジオルガノシロキサンを含むことができる。
・式(IX):RSiO(RSiO)(RSiO)SiR
・式(X):RSiO(RSiO)(RSiO)SiR、又は、
・これらの組み合わせ
【0035】
式(IX)及び(X)中、各Rは独立して脂肪族不飽和を含まない一価の有機基であり、各Rは独立して脂肪族不飽和有機基である。上記式中、下付き文字i、j、k、及びmはポリジオルガノ水素シロキサンに100mPa・s〜15,000mPa・sの範囲の粘度を与えるのに十分な値を有する。あるいは、下付き文字iは少なくとも2の平均値を有することができ、下付き文字jは0又は正の数とすることができ、下付き文字kは0又は正の数とすることができ、下付き文字mは少なくとも2の平均値を有することができる。Rに適した一価の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロへキシルのようなシクロアルキル;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリールが挙げられるが、これらに限定されない。各Rは独立して脂肪族不飽和一価の有機基である。Rの例としては、ビニル、アリル、及びブテニルのようなアルケニル基、並びにエチニル及びプロピニルのようなアルキニル基がある。
【0036】
対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡のような、成分(A”)として用いるのに適した液体ポリジオルガノシロキサンの調製方法は、当技術分野において周知である。成分(A”)は、以下の特性:構造、平均分子量、粘度、シロキサン単位、及び配列の少なくとも1つが異なる2つ以上のポリジオルガノシロキサンの組み合わせであってもよい。
【0037】
任意の成分(B”)架橋剤
成分(B”)は架橋剤であり、任意で過酸化物硬化性組成物に添加することができる。組成物中の成分(B”)の量は、成分(A”)100質量部当たり0〜15質量部の範囲とすることができる。成分(B”)は1分子当たり平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリジオルガノ水素シロキサンを含むことができる。
【0038】
成分(B”)は、以下の式のポリジオルガノ水素シロキサンを含むことができる。
・(XI)RSiO(RSiO)(RHSiO)SiR
・(XII)RHSiO(RSiO)(RHSiO)SiRH、又は
・(XIII)これらの組み合わせ
【0039】
上記式中、下付き文字n、o、p、及びqはポリジオルガノ水素シロキサンに10mPa・s〜500mPa・sの範囲の粘度を与えるのに十分な値を有する。あるいは、下付き文字nは0〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字oは2〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字pは0〜2000の範囲の平均値を有することができ、下付き文字qは0〜2000の範囲の平均値を有することができるが、ただし(n+o)<2000であり、(p+q)<2000である。各Rは独立して一価の有機基である。適切な一価の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロへキシルのようなシクロアルキル;ビニル、アリル、ブテニル、及びへキセニルのようなアルケニル;エチニル、プロピニル、及びブチニルのようなアルキニル;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリールが挙げられる。
【0040】
成分(B”)の例としては、以下のものがある。
i)ジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチル水素シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、
iii)ジメチル水素シロキシ末端ポリメチル水素シロキサン、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、
v)トリメチルシロキシ末端ポリメチル水素シロキサン、
vi)これらの組み合わせ
【0041】
オルガノハロシランの加水分解及び縮合のような、成分(B’)として用いるのに適した線状、分岐、及び環状オルガノ水素ポリシロキサンの調製方法は当技術分野において周知である。成分(B”)は以下の特性:構造、平均分子量、粘度、シロキサン単位、及び配列の少なくとも1つが異なる2つ以上のポリジオルガノ水素シロキサンの組み合わせであってもよい。
【0042】
成分(C”)触媒
過酸化物硬化性組成物中の成分(C”)は、過酸化化合物を含む。組成物に添加する成分(C”)の量は、成分(C”)について選択される特定の過酸化化合物によって決まるが、その量は成分(A”)100質量部当たり0.2〜5質量部の範囲とすることができる。成分(C”)に適した過酸化化合物の例としては、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化ジクミル、及びこれらの組み合わせ;並びにこうした過酸化物の過安息香酸第三級ブチルのような安息香酸化合物との組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適切な過酸化物硬化性組成物は当技術分野において知られ、例えば、米国特許第4,774,281号に開示されている。
【0043】
任意の成分
硬化性シリコーン組成物は上述の成分(A)、(B)、及び(C)に加えて1つ以上の追加成分をさらに含むことができる。組成物は(D)増量充填剤、(E)充填剤処理剤、(F)安定剤(例えば、ヒドロシリル化硬化安定剤、熱安定剤、又はUV安定剤)、(G)可塑剤、(H)鎖延長剤、(I)接着促進剤、(J)殺菌剤、(K)レオロジー添加剤、(L)難燃剤、(M)顔料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される追加成分をさらに含むことができる。
【0044】
任意の成分(D)増量充填剤
硬化性シリコーン組成物は任意で成分(D)増量充填剤をさらに含むことができる。増量充填剤の量は増量充填剤のタイプ及び量、充填剤処理剤(もしあれば)、並びに形状安定なゲルの所望の粘着量を含む各種要因によって決まる。一般に、増量充填剤の量が増加すると、形状安定なゲルの粘着性は減少する。所望の粘着量は消費者の要求を含む各種要因によって決まるが、形状安定なゲルをアルミニウム窓枠用途に用いる場合、粘着性の量は形状安定なゲルを基板に第2基板をそれに貼り付ける方法の間粘着させるのに十分であるべきである。しかしながら、存在する場合、増量充填剤は硬化性組成物の質量に対して20%〜90%、あるいは40%〜70%、あるいは45%〜70%、あるいは45%〜55%の範囲の量で存在することができる。
【0045】
増量充填剤の例としては、硫酸バリウム、ベントナイト、カーボンブラック、カオリン粘土のような粘土、粉砕石英、珪藻土、黒鉛、粉砕炭酸カルシウム、粉砕シリカ、酸化鉄、酸化マグネシウム、砂、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、ジルコニア、又はこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、増量充填剤は、硫酸バリウム、ベントナイト、珪藻土、粉砕炭酸カルシウム、カオリン粘土、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。増量充填剤は、当技術分野において知られ、ウエストバージニア州バークレースプリングスのU.S.SilicaからMIN−U−SILの商品名で販売される粉砕シリカのように、市販されている。粉砕炭酸カルシウムを成分(D)として用いる場合、粉砕炭酸カルシウムの量は、硬化性シリコーン組成物の質量に対して20%〜80%、あるいは45%〜55%の範囲とすることができる。
【0046】
増量充填剤は、ゲルの費用を低減するため、ゲルの粘着性を制御するため、又はその両方のため、硬化性シリコーン組成物に添加することができる。増量充填剤はペーストを形成することなしに十分な量の増量充填剤を硬化性シリコーン組成物に添加することができるように選択すべきである。沈降炭酸カルシウムは好ましくない。理論に縛られることを望むことなしに、沈降炭酸カルシウムは粘着性を低減するのに十分な量のこうした充填剤を硬化性シリコーン組成物に添加するとペーストの形成をもたらす量で水を含有し得、さらに処理した沈降炭酸カルシウムはペーストの形成をもたらし得ると考えられる。当業者であれば必要以上の実験なしに適切な増量充填剤を選択することができるだろう。
【0047】
任意の成分(E)充填剤処理剤
硬化性シリコーン組成物は任意で成分(E)、充填剤処理剤を組成物の質量に対して0.1%〜15%、あるいは0.5%〜5%の範囲の量でさらに含むことができる。成分(D)は、任意で組成物に添加される前、又は、in situで、成分(E)により表面処理することができる。成分(E)はアルコキシシラン、アルコキシ官能性オリゴシロキサン、環状ポリオルガノシロキサン、ジメチルシロキサン若しくはメチルフェニルシロキサンのようなヒドロキシル官能性オル後シロキサン、又はステアリン酸のような脂肪酸を含むことができる。ステアリン酸の例としてはステアリン酸カルシウムが挙げられる。充填剤処理剤及びその使用方法の例は、例えば、欧州特許第1101167A2号並びに米国特許第5,051,455号、第5,053,442号、及び第6,169,142号(4段落42行〜5段落2行)に開示されている。
【0048】
任意の成分(F)安定剤
成分(F)は安定剤である。ヒドロシリル化硬化性組成物の安定剤の例としては、メチルブチノール、エチニルシクロヘキサノール、ジメチルへキシノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オル、1,1−ジメチル−2−プロピニルオキシトリメチルシラン、メチル(トリス(1,1−ジメチル−2−プロピニルオキシ))シラン、及びこれらの組み合わせのようなアセチレンアルコール;メチルビニルシクロシロキサン、例えば1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラへキセニルシクロテトラシロキサン、及びこれらの組み合わせのようなシクロアルケニルシロキサン;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−インのようなエンイン化合物;ベンゾトリアゾールのようなトリアゾール;ホスフィン;メルカプタン;ヒドラジン;テトラメチルエチレンジアミンのようなアミン;フマル酸ジアルキル、フマル酸ジアルケニル、フマル酸ジアルコキシアルキル;マレイン酸ジアリルのようなマレイン酸;並びにこれらの組み合わせがある。あるいは、安定剤はアセチレンアルコールを含むことができる。適切なヒドロシリル化硬化パッケージ安定剤については、例えば、米国特許第3,445,420号、第3,989,667号、第4,584,361号、及び第5,036,117号に開示されている。
【0049】
硬化性シリコーン組成物に添加する安定剤の量は用いる特定の安定剤並びに架橋剤の組成及び量によって決まるだろう。しかしながら、ヒドロシリル化硬化安定剤の量はヒドロシリル化硬化性組成物の質量に対して0.0025%〜0.025%の範囲とすることができる。
【0050】
任意の成分(G)可塑剤
可塑剤を任意で硬化性シリコーン組成物に添加し、レオロジー特性を向上させることができる。可塑剤は0.5cSt〜20cStの範囲の粘度を有するポリジメチルシロキサンのような非官能性ポリオルガノシロキサンであってもよい。適切な可塑剤はDOW CORNING(登録商標)200液として米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販されている。
【0051】
任意の成分(H)鎖延長剤
鎖延長剤を任意で硬化性シリコーン組成物に添加し、硬化性シリコーン組成物を硬化させることにより形成されるゲルの物理的特性を向上させることができる。鎖延長剤はジメチル水素シロキシ基末端ポリジオルガノシロキサンであってもよい。鎖延長剤は3〜100、あるいは3〜10の範囲の重合度(Dp)を有することができる。架橋剤に加えて添加する鎖延長剤の量は硬化性シリコーン組成物の0〜5%、あるいは0.25%〜2.5%の範囲とすることができる。
【0052】
当業者であれば硬化性シリコーン組成物が2つ以上の硬化機構を含むことができることを認識するだろう。例えば放射線硬化性及びヒドロシリル化硬化性である二重硬化組成物は本発明の範囲内である。当業者であれば上述の各硬化性シリコーン組成物中の成分及びその量を選択し、ゲルとして所望の粘稠度を有する硬化物を調製することができるだろう。
【0053】
硬化性シリコーン組成物の製造方法
硬化性シリコーン組成物は一液型組成物として、例えば、混合のようないずれか便利な手段によりすべての成分を組み合わせることにより調製することができる。あるいは、硬化性シリコーン組成物は、架橋剤及び触媒を別々の部分に保存し、それらの部分を硬化性シリコーン組成物の使用の直前に組み合わせる多液型組成物として調製することができる。例えば、二液型硬化性シリコーン組成物は(A)、(C)、及びいずれかの任意の成分を含む成分を基剤部分において混合のようないずれかの便利な手段により組み合わせることにより調製することができる。硬化剤部分は(A)、(B)、及び任意の成分を含む成分を混合のようないずれかの便利な手段により組み合わせることにより調製することができる。成分(D)は基剤部分、硬化剤部分、又は両方に添加することができる。成分は選択される硬化機構に応じて周囲温度又は高温で組み合わせることができる。二液型硬化性シリコーン組成物を用いる場合、基剤の硬化剤に対する量の比は1:1〜10:1の範囲とすることができる。当業者であれば不必要な実験なしに硬化性シリコーン組成物を調製することができるだろう。
【0054】
支持体
支持体を用い、上述のゲルに形状安定性を与えるのを促進することができる。支持体はシリコーン発泡体、綿、ガラス繊維、又は金属メッシュのような発泡体又はメッシュであってもよい。適切なメッシュは当技術分野において知られ、市販されている。綿メッシュの例としてはチーズクロスがある。米国ノースカロライナ州グリーンズボロのBGF Industries,Inc.,は各種グレードのガラス繊維メッシュ、例えば以下の表1に記載のものを製造するが、表中、LOI%は成分の損失を意味する。
【0055】
【表1】

【0056】
形状安定なゲルはその表面上に剥離ライナーを有し、例えば、製造後及び使用前にゲルを保護することができる。剥離ライナーは重要ではなく、ゲルの表面を保護することができるいずれかの市販の剥離ライナーであってもよい。適切な剥離ライナーの例としては、シリコーン被覆剥離紙、LOPAREXのMYLAR(登録商標)のようなポリエステルなどのプラスチックシート、XPEDXのプリント剥離紙、米国ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから商品名FILCONで販売されているMATTE−FINISH−POLY−21−INCH、及び米国ノースカロライナ州グリーンボロのBGF Industries,Inc.,から市販のOS−GEL−1084−A57C−TB−20W(ガラス繊維)がある。
【0057】
図1は本明細書に記載するような有用な形状安定なゲル100の例を示す。形状安定なゲル100は反対の側面上にゲルの層102を配置した支持体101を有する。ゲルの層102はそれらの表面を保護する剥離ライナー103を有する。剥離ライナー103は形状安定なゲル100の基板との接触の直前に取り除くことができる。
【0058】
形状安定なゲルは、支持体の有無にかかわらず(及び剥離ライナーなしに)基板間に封止を形成するのに十分な厚さを有する。厚さは、建設の基板物質、表面粗さ、及び封止される物質(例えば、空気のようなガス透過、水分のような蒸気透過、又は両方)を含む各種要因によって決まる。しかしながら、形状安定なゲル100は0.25mm〜6mm、あるいは0.5mm〜1.5mmの範囲の厚さを有することができる。形状安定なゲルを用いてアルミニウム窓枠を封止する場合、形状安定なゲルは3インチの水を形状安定なゲルにより少なくとも18分間封止する漏水防止試験に合格するのに十分な耐水透過性を有することができる。
【0059】
形状安定なゲルはShore 00スケール上30〜70の範囲の硬度を有することができる。形状安定なゲルは、以下の参照例1に記載するように、形状安定なゲル上に降下するプローブを有し、0.2mm/秒の速度で2mm押圧し、その後ゲルからプローブを持ち上げる力を測定するするテクスチャーアナライザーで測定されるように、少なくとも30グラムの粘着性を有することができる。あるいは、粘着性は参照例1に記載の方法により測定されるように30グラム〜200グラムの範囲とすることができる。
【0060】
方法
形状安定なゲルの製造方法は図2に例示する。ガラス繊維メッシュをペイオフ201から一次被覆機202に供給する。硬化性シリコーン組成物を、例えば上述のように基剤部分及び硬化剤部分を、混合することにより調製する。基剤はドラム203中に保存することができ、硬化剤は別のドラム204中に保存することができ、基剤及び硬化剤はドラムポンプ205で静的ミキサー206へ送り込むことができる。あるいは、硬化性シリコーン組成物はミキサー207において調製し、貯蔵タンク208へ供給することができる。
【0061】
硬化性シリコーン組成物をガラス繊維メッシュ209の片面を被覆する一次被覆機202へ供給することができる。次に被覆メッシュ209を、一次加熱機210を通して供給し、硬化性シリコーン組成物を硬化し、形状安定なゲル211を形成する。得られる形状安定なゲル211は供給ロール212によりその表面上に配置される剥離ライナー(例えばポリエステル、マット仕上げ紙、又は上述のポリエチレン)を有することができる。その表面上に剥離ライナーを有する得られる形状安定なゲル211を製品巻取装置213にてロール上に回収する。
【0062】
当業者であれば上述の方法が例示的であり非限定的であることを認識するだろう。例えば、基板上に硬化性シリコーン組成物を被覆するのに異なるタイプの被覆機を用いることができる。あるいは、例えばゲル層102の厚さが1.5mmより大きい場合、1つ以上の被覆機を順番に用いることができる。
【0063】
使用方法
上述の形状安定なゲルを用い、第1基板と第2基板との間に封止をもたらすことができる。形状安定なゲルの使用方法はi)上述の形状安定なゲルを第1基板に塗布するステップ、及びii)第1基板及び第2基板を基板間の形状安定なゲルによって接続するステップを含む。本方法は任意で、例えば、ステップii)後に形状安定なゲルを整えることにより、又はステップi)前に形状安定なゲルを打ち抜くことにより、iii)形状安定なゲルを基板に合うように成形するステップをさらに含むことができる。
【0064】
基板は木材、金属(例えば、アルミニウム又は鋼)、ガラス、ガラス繊維、プラスチック(例えば、押出ポリビニルクロリド)、又はこれらの組み合わせのような建設産業において一般的に用いられるいずれかの基板であってもよい。例えば、1つの用途では、形状安定なゲルを用い、水分が窓枠の2つの部材に入るのを防ぐ封止をもたらすことができる。第1基板はアルミニウム中枠のような枠部材であってもよく、第2基板は第2アルミニウム枠部材であってもよい。中枠はネジ又はボルトのような固定具で枠部材に固定することができる。形状安定なゲルは固定具がゲルを通過した後も中枠と枠部材との間に封止を形成する。
【0065】
形状安定なゲルの使用方法は図3及び4に例示する。図3では、不規則な形状を有するアルミニウム中枠(3a)及び一片の形状安定なゲル(3b)を示す。形状安定なゲル(3b)をアルミニウム中枠(3c)の端部に手作業で塗布する。形状安定なゲルは中枠を動かすと(3d)中枠の端部に粘着する。アルミニウム中枠をアルミニウム枠部材にネジ(3e:正面図、3f:背面図)で固定する。図4は形状安定なゲルを整えるステップを示す。過剰な形状安定なゲルは手作業によってナイフで切り取ることにより除去することができる。あるいは、形状安定なゲルはより正確に合わせるため中枠の形状へ打抜機により予備切断することができる。
【0066】
あるいは、形状安定なゲルは取替え窓用途及び後付け窓用途における封止に用いることができる。例えば、取替え窓を取り付ける方法はi)古い窓を取り外すステップ及びii)新しい窓を古い窓があった空間に外部から滑りこませるステップを含む。形状安定なゲルは、ステップ(ii)前に空間の周りの壁に又は新しい窓の周りの枠に塗布することができる。本方法は新しい窓を、例えば内部からネジを差し込むことにより、所定の位置に固定するステップをさらに含む。
【0067】
あるいは、形状安定なゲルは浴室又は台所の備品を土台に封止するのに用いることができる。第1基板及び第2基板の少なくとも1つはシャワー室、浴槽、及びシンクからなる群から選択される備品であってもよい。例えば、形状安定なゲルはシンク(例えば、台所又は浴室のシンク)に塗布することができ、次にシンクをキャビネットに取り付けることができる。
【0068】
あるいは、形状安定なゲルはボートにおける封止用途に用いることができる。第1基板及び第2基板の一方はボートの船体であってもよい。第1基板及び第2基板の他方はボートの窓又は汚水処理タンクラインのようなパイプであってもよい。
【実施例】
【0069】
以下の実施例は本発明を当業者に示すために含む。しかしながら、当業者であれば、本開示を踏まえて、特許請求の範囲に記載する発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示する特定の実施形態に多くの変更を行うことができ、また同様又は類似の結果が得られることを理解すべきである。すべての量、比、及び割合はとくに指定のない限り質量による。
【0070】
以下の成分を実施例に用いた。
【0071】
ベースポリマー(A1)は、(5rpmでBrookfield RVT CP−52粘度計を用いる)5,000mPa・sの粘度、及び(赤外線法を用いて測定した)0.15%〜0.19%の範囲のビニル含量を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0072】
架橋剤(B1)は、標準毛管法を用いる141cSt〜172cStの範囲の粘度及び赤外線法を用いる0.112%〜0.118%の範囲のSiH含量を有するトリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)ポリマーとした。
【0073】
触媒(C1)は、300〜700cP(300〜700mPa・s)の範囲の粘度及び2.2%〜2.4%の範囲の白金金属の量を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン中の5.5%の1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体の混合物とした。
【0074】
鎖延長剤(1)は、標準毛管法を用いる9〜13cStの範囲の粘度及び赤外線法を用いる0.112%〜0.119%の範囲のSiH含量を有する水素末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0075】
安定剤(1)は米国、53201、ウィスコシン州ミルウォーキーのSigma−Aldrichから市販の3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オルとした。
【0076】
炭酸カルシウム(D1)は米国、62305−9378、イリノイ州クインシーのJ.M.Huber Corporationの一部であるHuber Engineered MaterialsのHubercarb Qとした。この粉砕炭酸カルシウムは0.75%〜1.5%ステアリン酸で処理した。
【0077】
(実施例1)
二液型硬化性シリコーン組成物を調製した。まず、炭酸カルシウム(D1)を150℃のオーブンで4時間加熱することにより乾燥させた。基剤は9質量部のベースポリマー(A1)及び0.008質量部の触媒(C1)を5ガロン(18.925リットル)のペール中で5分間混合することにより調製した。炭酸カルシウム(D1)を11質量部の量で添加し、5分間又は滑らかになるまで混合した。
【0078】
硬化剤は8.25質量部のベースポリマー(A1)、0.24質量部の架橋剤(B1)、0.5質量部の鎖延長剤(1)及び0.008質量部の安定剤(1)を5ガロン(18.925リットル)のペール中で3分間混合することにより調製した。炭酸カルシウム(D1)を11質量部の量で添加し、5分間又は滑らかになるまで混合した。
【0079】
基剤及び硬化剤を組み合わせ、得られた硬化性シリコーン組成物を米国ノースカロライナ州グリーンズボロのBGF Industries,Inc.から市販されるガラス繊維メッシュ(1084/A57C)の反対側に塗布した。硬化性シリコーン組成物を125℃で30分間加熱することにより硬化した。この実施例において形状安定なゲルを調製するのに図2の装置を用いた。
【0080】
ガラス繊維ペイオフ201は中央スピンドル位置及び0〜15psi(0〜1.05kgcm−2)のペイオフ張力で作動した。ガラス繊維209ロール長は1000mであり、質量は55kgであった。一次被覆機202及び一次加熱機210は240°F〜260°F(115.56〜126.67℃)の範囲の起動温度及び260°F〜360°F(126.67〜182.2℃)の範囲の実行温度で作動した。駆動速度は1分当たり1〜8フィート(fpm)(1分当たり0.305〜2.44メートル)であり、ガラス繊維に塗布する硬化性シリコーン組成物の厚さは被覆機ブレードのガラス繊維からのブレードギャップにより制御した。二次被覆機211及び二次加熱機212は260°F〜280°F(126.67〜137.8℃)の範囲の起動温度及び260°F〜360°F(126.67〜342.2℃)の範囲の実行温度で作動した。駆動速度は1〜8fpm(1分当たり0.305〜2.44メートル)であった。厚さはロールギャップにより制御した。
【0081】
製品巻取装置214は中央スピンドル位置で作動した。巻取張力は20〜40psi(1.4〜2.8kgcm−2)の範囲であり、ペイオフ張力は5〜15psi(0.35〜1.05kgcm−2)の範囲であった。形状安定なゲル製品のロール質量は25〜35kgの範囲であり、その長さは異なった。
【0082】
(実施例2−性能)
実施例1において調製した形状安定なゲルの試料を垂直なアルミニウム枠部材に対して置いた。水平なアルミニウム枠部材を垂直なアルミニウム枠部材にネジで固定した。垂直なアルミニウム枠部材は中空であり、18インチ(45.72cm)の水で満たした。3か月後枠に目に見える漏れはなく、これは18分後漏れのない3インチ(7.62cm)の水の工業規格測定を超えた。
【0083】
(参照例1−粘着性測定)
1インチ×6インチ(15.24cm)の寸法を有する一片の形状安定なゲルを図2の被覆装置を用いて調製した。その片を、中心を通る穴を有するプラスチック板間に置き、これによりその縁で固定した形状安定なゲルの延伸膜の直径1インチ(2.54cm)を露出した。TA−XT2テクスチャーアナライザーを用いて粘着性を測定した。プローブをゲル上に降下し、0.2mm/秒の速度で2mm押圧し、プローブをゲルから持ち上げる力を測定することにより粘着性を記録した。
【0084】
(参照例2−硬度測定)
ゲル試料(9mL)を同量の基剤及び硬化剤を混合し、混合物を2〜5分間又は泡が消えるまで真空にかけ、125℃のオーブンで30分間硬化した後、10分間冷却することにより調製した。
【0085】
1/4インチ(0.635cm)の鋼球プローブを取り付けたテクスチャーアナライザーを試験に用いた。球プローブをイソプロパノールで洗浄し、キムワイプでふき取った。硬度は球プローブを用いて試料の圧入により測定した。プローブ圧入距離は0.2mm/sの速度で0.4mmであった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本明細書に記載する形状安定なゲルは2つの作用を組み合わせて封止を作成する。まず、 圧縮下でゲルはさまざまな対象又は不規則な表面の周りに合わせることができ、ゲルは封止される対象の全表面に接触している。対象の表面が接触していると、システム力学は、空気のようなガス又は水のような液体若しくは蒸気によるものと比べ、ゲルによる表面の被覆に有利に働き得る。ゲルによる整合性及び表面湿潤性のこの組み合わせは形状安定なゲルによる空気及び水に対する封止を可能にする。この出願の目的のため、水に対する封止とは本明細書に記載する形状安定なゲルで形成した封止がASTM Standard E311の透水試験に合格することを意味する。形状安定なゲルは枠(又は他の基板)の組み立て中に所定の位置にとどまるのに十分に自己支持性及び自己粘着性である。従来の発泡体テープは整えた場合残渣を残し得るが、形状安定なゲルは残さない。形状安定なゲルは従って建設産業のさまざまな用途において有用である。
【符号の説明】
【0087】
100 形状安定なゲル
101 支持体
102 ゲルの層
103 剥離ライナー
201 ガラス繊維メッシュペイオフ
202 一次被覆機
203 基剤のドラム
204 硬化剤のドラム
205 ドラムポンプ
206 静的ミキサー
207 ミキサー
208 貯蔵タンク
209 ガラス繊維メッシュ
210 一次加熱機
211 形状安定なゲル
212 剥離ライナー供給ロール
213 製品巻取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)形状安定なゲルを第1基板に塗布するステップであって、該形状安定なゲルは硬化性シリコーン組成物からなる反応生成物を含み、該形状安定なゲルは該第1基板に塗布すると第2基板がそこに固定されるまで接着するのに十分な粘着性を有するステップと、
ii)該第1基板及び該第2基板を接続するステップと、
iii)これにより該第1基板と該第2基板との間に封止を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記組成物が、
(A’)1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリジオルガノシロキサン、
(B’)1分子当たり平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する架橋剤、及び
(C’)ヒドロシリル化触媒
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、
(A’)1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリジオルガノシロキサン、
任意で(B’)架橋剤、及び
(C’)過酸化物触媒
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、(D)増量充填剤、(E)充填剤処理剤、(F)安定剤、(G)可塑剤、(H)鎖延長剤、(I)粘着促進剤、(J)殺菌剤、(K)レオロジー添加剤、(L)難燃剤、(M)顔料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の成分をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
成分(D)が、前記組成物100質量部に対して20質量部〜90質量部の範囲の量で存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
成分(D)が、カオリン粘土、粉砕炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、珪藻土、タルク、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記形状安定なゲルは、Shore 00スケールで30〜70の範囲の硬度を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記形状安定なゲル上に降下し0.2mm/秒の速度で2mm押圧するプローブを持ち、その後該プローブを該ゲルから持ち上げる力を測定するテクスチャーアナライザーの測定で少なくとも30グラムの粘着性を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、支持体に塗布され、ステップi)前に硬化し、前記形状安定なゲルを形成する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記支持体が、発泡体、ゴム、又はメッシュからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記支持体が、ガラス繊維、綿、及びステンレス鋼からなる群から選択されるメッシュを含む、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、支持体の2つの側面に塗布され、ステップi)前に硬化する、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が垂直な支持体に塗布され、ステップi)前に硬化する、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記形状安定なゲルが、0.25mm〜6mmの範囲の厚さを有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1基板が窓枠の第1部分であり、第2基板が該窓枠の第2部分である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1基板及び前記第2基板の一方が、シャワー室、浴槽、及びシンクからなる群から選択される備品である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1基板及び前記第2基板の一方が壁であり、前記第1基板及び前記第2基板の他方が窓枠である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
iii)前記形状安定なゲルを成形するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
i)第1基板と、
ii)該第1基板に取り付けられた第2基板と、
iii)該第1基板と該第2基板との間に入る形状安定なゲルであって、該形状安定なゲルは該第1基板と該第2基板との間に封止を形成するゲルとを備える物品において、
該形状安定なゲルは、硬化性シリコーン組成物からなる反応生成物を含み、該形状安定なゲルは該第1基板に塗布すると第2基板がそこに固定されるまで接着するのに十分な粘着性を有する物品。
【請求項20】
前記組成物が、
(A’)1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリジオルガノシロキサン、
(B’)1分子当たり平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する架橋剤、及び
(C’)ヒドロシリル化触媒
を含む請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記組成物が、
(A’)1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリジオルガノシロキサン、
任意で(B’)架橋剤、及び
(C’)過酸化物触媒
を含む請求項19に記載の物品。
【請求項22】
前記組成物が、(D)増量充填剤、(E)充填剤処理剤、(F)安定剤、(G)可塑剤、(H)鎖延長剤、(I)粘着促進剤、(J)殺菌剤、(K)レオロジー添加剤、(L)難燃剤、(M)顔料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される追加の成分をさらに含む、請求項19に記載の物品。
【請求項23】
成分(D)が、前記組成物100質量部に対して20質量部〜90質量部の範囲の量で存在する、請求項19に記載の物品。
【請求項24】
成分(D)が、カオリン粘土、粉砕炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、珪藻土、タルク、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記形状安定なゲルがShore 00スケール上30〜70の範囲の硬度を有する、請求項19に記載の物品。
【請求項26】
前記形状安定なゲルが前記形状安定なゲル上に降下し、0.2mm/秒の速度で2mm押圧するプローブを有し、その後該プローブを該ゲルから持ち上げる力を測定するテクスチャーアナライザーで測定されるように少なくとも30グラムの粘着性を有する請求項19に記載の物品。
【請求項27】
前記組成物が、支持体に塗布され、ステップi)前に硬化され、前記形状安定なゲルを形成する、請求項19に記載の物品。
【請求項28】
前記支持体が、発泡体、ゴム、又はメッシュからなる群から選択される請求項27に記載の物品。
【請求項29】
前記支持体が、ガラス繊維、綿、及びステンレス鋼からなる群から選択されるメッシュを含む請求項27に記載の物品。
【請求項30】
前記組成物が支持体の2つの側面に塗布され、ステップi)前に硬化する請求項27に記載の物品。
【請求項31】
前記組成物が、垂直な支持体に塗布され、ステップi)前に硬化する請求項27に記載の物品。
【請求項32】
前記形状安定なゲルが、0.25mm〜6mmの範囲の厚さを有する請求項19に記載の物品。
【請求項33】
前記第1基板が窓枠の第1部分であり、第2基板が該窓枠の第2部分である請求項19に記載の物品。
【請求項34】
前記第1基板及び前記第2基板の一方がシャワー室、浴槽、及びシンクからなる群から選択される備品である請求項19に記載の物品。
【請求項35】
前記第1基板及び前記第2基板うちの一方が壁であり、前記第1基板及び前記第2基板のうちの他方が窓枠である請求項19に記載の物品。
【請求項36】
前記第1基板及び前記第2基板の一方がボートの船体である請求項19に記載の物品。
【請求項37】
前記第1基板及び前記第2基板の一方がボートの船体である請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【公表番号】特表2012−518061(P2012−518061A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550320(P2011−550320)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/024365
【国際公開番号】WO2010/096412
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】