説明

シリコーン感圧接着剤の調製方法

シリコーン感圧接着剤(PSA)組成物及びその調製方法を提供する。1つの実施形態では、PSAはシリコーンポリマー混合物から不活性溶媒及び/又はシリコーン流体における低粘度ポリオルガノシロキサンの縮合重合、及び任意で重合中のシリコーン樹脂(MQ)の添加により形成される。形成されたシリコーンポリマー混合物はシリコーン樹脂(MQ)及び増粘触媒と混合することもでき、増粘は所望の反応生成物が形成されるまで継続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各種実施形態において、本出願はシリコーン感圧接着剤(PSA)組成物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン感圧接着剤は1950年半ばに市場に導入され、それ以来、各種産業及び用途においてますます増える要求を満たすため(とくに極端な温度での)性能を向上させることに焦点を当てた継続的な開発の対象となっている。こうした開発にもかかわらず、従来のPSAの主成分は(i)ポリマー鎖末端にシラノール官能基を有する高分子量鎖状シリコーンポリマー、(ii)その表面上にシラノール官能基を有する高密度低分子量シリケート樹脂(MQ)、及び(iii)溶媒のままである。
【0003】
PSAの既知の製造方法は、シリコーンポリマー(通常ポリジメチルシロキサン系又はポリジメチル−ジフェニルシロキサン系)、MQ樹脂、及び触媒を炭化水素溶媒中で混合した後、加熱して樹脂及びポリマーのそれぞれのシラノール官能基間の増粘(すなわち、縮合)を促進するステップを含む。増粘後、当技術分野において知られるほとんどのシリコーンPSAをさらに架橋し、凝集強度を向上させる。既知の架橋方法は過酸化物触媒フリーラジカル硬化系又は白金触媒添加硬化系を用いる。
【0004】
PSA性能特性は、とりわけ、シリコーンポリマーの分子量/粘度の臨界バランス、シリコーンポリマーの構造、MQ樹脂の分子量/粘度、ポリマーの樹脂に対する比、ポリマー及び樹脂上の官能基のタイプ及びレベル、並びに製造のプロセス条件(例えば、反応時間及び温度)により制御される。わずかな変化がPSA特性に対して劇的な効果を有し得る。
【0005】
PSA及びその製造方法は周知であるが、当技術分野には新たな用途のニーズを満たすとともに既知の用途の新たな性能要求を満たす、新たなPSAの必要性がある。こうしたニーズは、とりわけ、機械的ファスナーに代わる化学的ファスナーの使用の増加、高温用途(例えば、電子機器)におけるPSAの使用の増加、温度感受性基板上でのPSAの使用の増加、並びに揮発性シクロシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン)及びシリコーンポリマー成分の調製方法から生じる他の副生成物/不純物を最小化させなければならない用途におけるPSAの使用の増加から生じる。
【発明の概要】
【0006】
これら及び当技術分野における他のニーズは本発明の実施形態により満たされる。各種実施形態において、シリコーンPSA及びそれらの調製方法を提供する。特定の態様によると、本発明のPSA調製方法は、不活性溶媒(例えば、トルエン又はキシレン)及び/又はシリコーン流体(例えば、ポリジメチルシロキサン)中での低粘度ポリオルガノシロキサンの縮合重合によりシリコーンポリマーを形成するステップを含む。他の態様によると、シリコーン樹脂は任意で重合中にシリコーンポリマーと混合し、縮合は中和剤(必要に応じて)の添加まで継続させる。さらなる態様では、シリコーン樹脂、増粘触媒、及びシリコーンポリマー混合物を混合し、増粘は所望の反応生成物が形成されるまで継続させる。追加の態様では、反応生成物は有機過酸化物の添加により硬化させる。
【0007】
いくつかの態様では、シリコーン樹脂に加えて、他の固体粒子、結合剤(例えば、テトラエトキシシラン及びテトラオルソチタネートのようなアルコキシシラン)、及び架橋剤を添加し、シリコーンポリマーでさらに増粘することができる。他の態様では、シリコーンポリマーは低粘度ポリオルガノシロキサンと併せて混合中間体(例えば、メチルフェニルシロキサン又はメチルトリフルオロプロピルシロキサン)を用いて調製することができ、向上したPSA特性をもたらすことができるコポリマーを生成する。追加の態様では、シリコーンポリマーの形成のための縮合重合は、PSAの接着特性及び粘度の調整を可能にする分岐をシリコーンポリマー中に導入するように選択されるトリアルコキシフェニルシラン、テトラアルコキシシラン、及び他のシランの存在下で行うことができる。例えば、シリコーンポリマーを形成するための縮合重合は、分岐を得られるシリコーンポリマー中に導入するため、トリメトキシフェニルシラン、テトラエトキシシラン、又はこれらの組み合わせの存在下で行うことができる。
【0008】
これら並びに本発明の追加の特徴及び利点は以下の詳細な説明において理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明及びその多くの実施形態のより完全な理解は、添付の図面に関連して考察されると、以下の詳細な説明を参照しながらより良く理解される場合、容易に得られる。
【図1】分岐をシリコーンポリマー、とくに高分子量鎖状ガムポリマーに添加する特性の1つが溶液粘度を低減させながら分子量を維持する能力であることを示す。チャートは鎖状及び分岐ジメチルシリコーンポリマーにおいて分子量に対してプロットされた溶液粘度を示す。分岐ポリマーは低溶液粘度でかなりの高重量平均分子量(M:例えば、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定される)を達成することができる。これはこれらのポリマーから誘導されるPSA組成物の低溶液粘度も可能にする。
【図2】本発明の実施形態によるPSA組成物の熱剥離試験を示す。接着テープをステンレス鋼板に貼った後、10分間250〜270℃の温度にさらす。次に板をオーブンから取り出し、接着テープを素早く剥がす。接着剤により板上に残った残留物の存在はこの特定の試験の失敗を示す。試験には板上に残った残留物の量を示すスケール数が与えられ、0は完全な接着不良であり、5は板上で接着剤残留物を検出することができないことを意味する。チャートは高分子量ポリマーの使用により熱剥離性能を最大化することができることを示す。また、優れた熱剥離性能に必要な分子量が鎖状ポリマーにおいて分岐ポリジメチルシロキサンポリマーからの優れた性能に必要なものより高いことを示す。最後の2つのデータ点は、シリコーンPSAの従来の市販の試料を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで本発明の特徴及び利点について時折特定の実施形態を参照しながら説明する。ただし、本発明は異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全となり、本発明の範囲が当業者に十分に伝わるように提供する。
【0011】
とくに定義されない限り、本明細書において用いるすべての技術及び科学用語は本発明の属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書における記載に用いる用語は特定の実施形態の説明のみを目的とし、限定を意図しない。
【0012】
明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる単数形「a」、「an」及び「the」はとくに文脈に明確な指示がない限り、複数形も含むことを意図する。
【0013】
明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「独立して〜から選択される」の語は、とくに文脈に明確な指示がない限り、挙げられる群が同じ、異なる、又はその両方であり得ることを意味することを意図する。よって、この定義のもと、「X、X及びXは独立して希ガスから選択される」の句は、X、X及びXがすべて同じである、X、X及びXがすべて異なる、並びにX及びXは同じだがXが異なる場合を含むであろう。
【0014】
明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「シリコーン流体」の語は、一般的には重合反応に化学的に関与しない、又は記載プロセスのいずれかの工程において導入される添加剤と化学的に相互作用しない実質的に不揮発性、非反応性、シリコーン系流体を意味することを意図する。不活性流体はプロセス中に除去してもしなくてもよい。
【0015】
明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「シリコーンポリマー」の語は、1分子当たり複数のオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサン基を含むポリマーを意味することを意図する。その語は、これらに限定されないが、ポリマー鎖中に実質的にオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサン基のみを含有するポリマー、及び骨格がポリマー鎖中にオルガノシロキサン及びポリオルガノシロキサン基を両方含有するポリマーを含む。
【0016】
炭化水素基に関して明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「置換」の語は、炭化水素基中の1つ以上の水素原子が別の置換基で置き換えられていることを意味する。こうした置換基の例としては、これらに限定されないが、塩素、フッ素、臭素、及びヨウ素のようなハロゲン原子;クロロメチル、ペルフルオロブチル、トリフルオロエチル、及びノナフルオロへキシルのようなハロゲン化有機基;酸素原子;(メタ)アクリル及びカルボキシルのような酸素含有基;窒素原子;アミン、アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基のような窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基のような硫黄原子含有基が挙げられる。
【0017】
明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「増量剤」の語は、製品の特性に実質的には影響を及ぼすことなく、シリコーン系製品を希釈し、経済的により競争力のある製品を製造するために一般的に用いられる化合物を意味する。
【0018】
明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「可塑剤」の語は、ポリマー製品の柔軟性及び靭性を増加させるためにシリコーン系組成物に添加される化合物を意味する。これは一般的には硬化ポリマー組成物のガラス転移温度(T)の低減により達成され、これによりエラストマー(例えば、封止剤)の弾性を向上させる。
【0019】
明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「増粘」の語は、分子量若しくは架橋、又は両方を増加させるための、シリコーンポリマーの官能性ヒドロキシル基とシリコーン樹脂の官能性ヒドロキシル基との間の縮合反応を意味する。
【0020】
明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「粘度」及び「溶液粘度」の語は、化合物の約30〜70%が溶媒中に溶解している化合物の粘度を意味する。いくつかの態様では、化合物の45〜55%が溶媒中に溶解している。溶液粘度は、スピンドルRV7及び試験する流体により決定される0.3RPM〜100RPMの回転速度を用いるBrookfield回転粘度計DVII+型で標準的な手順を用いて測定した。
【0021】
とくに指示のない限り、明細書及び特許請求の範囲において用いる成分の量、分子量のような特性、反応条件、等を表すすべての数は、すべての場合において「約」の語により修正されていると理解すべきである。従って、とくに指示のない限り、明細書及び特許請求の範囲において記載する数値特性は、本発明の実施形態において得ようとする所望の特性に応じて異なり得る近似値である。本発明の幅広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、特定の実施例において記載する数値はできるだけ正確に報告されている。いずれの数値も、しかしながら、それらのそれぞれの測定にみられる誤差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含有する。
【0022】
本発明は、特定の態様において、新規シリコーン感圧接着剤(PSA)組成物及びこうした組成物の製造方法を提供する。本発明の実施形態では、PSA組成物は、連続的な(i)少なくとも1つのポリオルガノシロキサンの少なくとも1つの炭化水素溶媒又はシリコーン流体の存在下での縮合重合によりシリコーンポリマーを形成するステップと;任意に;(ii)縮合重合を行うことができる少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、少なくとも1つの炭化水素溶媒又はシリコーン流体に可溶性であるシリコーン樹脂を該シリコーンポリマーと混合するステップと;(iii)縮合重合を、必要に応じた中和剤の添加まで継続させるステップと;(iv)少なくとも1つの増粘触媒、及び、増粘を行うことができ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、少なくとも1つの炭化水素溶媒又はシリコーン流体に可溶性であるシリコーン樹脂を添加するステップと;(v)該シリコーンポリマーと該シリコーン樹脂との間の増粘を所望の反応生成物が形成されるまで継続させるステップと;(vi)任意で、有機過酸化物を添加し、感圧接着剤を硬化させるステップと、を含む方法により製造される。いくつかの実施形態では、(i)のシリコーンポリマーを形成するための縮合重合は分岐をポリマー中に導入するために選択される1つ以上のシランの存在下において行われる。
【0023】
特定の態様では、本発明により製造されたPSA組成物はさまざまな範囲のポリマー構造、分子量及び粘度(これらに限定されないが、1,000,000g/molより大きい分子量及び対応する50%固体溶液粘度を含む)、並びに、さまざまな有機基を有するシリコーンポリマー成分を有する。他の態様では、本発明により製造されたPSA組成物は低シクロシロキサン含有量(本明細書では<0.1重量%の特定のシクロシロキサンと定義される)ならび/又は他の副生成物及び不純物を有する。例えば、本発明により製造されたPSA組成物は<0.1重量%のオクタメチルシクロテトラシロキサン、<0.1重量%のデカメチルシクロペンタシロキサン、及び/又は<0.1重量%のより大きなシクロシロキサンを有することができる。
【0024】
本発明の方法の実施形態は、従来のPSA組成物と比較して、向上した性能特性(これらに限定されないが、接着性及び粘着性を含む)を有すると特徴づけられるPSA組成物を可能にする。例えば、こうしたPSA組成物は当業者であればよく知っているであろう熱剥離試験において優れた性能を有する。基本的には、熱剥離試験はPSA組成物をステンレス鋼板上に塗布し、ある時間(例えば、10分間)250〜270℃の温度にさらした後、素早く除去するステップを含む。板上に残った残留物の程度を評価する。いくつかの態様では、本発明の方法により調製されたPSA組成物は、熱剥離性能がPSA組成物において高分子量シリコーンポリマーの使用により最大化させることができ、優れた性能に必要な分子量が鎖状ポリマーにおいて分岐ポリマーより高いという発明者らの発見を具体化する。
【0025】
本発明の実施形態によると、PSA組成物は、PSAのシリコーンポリマー成分が少なくとも1つのポリオルガノシロキサンの少なくとも1つの炭化水素溶媒又はシリコーン流体の存在下での縮合重合により形成される方法により製造される。ポリオルガノシロキサンは鎖状、実質的に鎖状、又は分岐であってもよい。いくつかの態様では、反応性ヒドロキシル基を有する鎖状又は実質的に鎖状の低分子量/低粘度ポリオルガノシロキサンは縮合重合の出発材料として用いられる。例えば、こうしたポリオルガノシロキサンは一般的には式(1):
(1)RO[RSiO]
により特徴づけることができ、式中、各Rは独立して水素原子、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル又は置換アルキル基、1〜8個の炭素原子を含有するアリール又は置換アリール基から選択され、xは少なくとも2の値を有する整数である。特定の態様では、xは2〜80の範囲の値を有する整数である。他の態様では、xは3〜49の範囲の値を有する整数である。追加の態様では、xは50〜80の範囲の値を有する整数である。Rの例としては、これらに限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペルフルオロブチルエチル基、フェニルエチル基、クロロプロピル基、フルオロプロピル基、ビニル基、及びフェニル基が挙げられる。
【0026】
ポリマー鎖における各種基の存在によって、ポリマーは適度な分岐を含んでいても、本明細書において用いる語として「鎖状」又は「実質的に鎖状」とみなすことができる。いくつかの態様では、分岐は10%未満である。他の態様では、分岐は2%未満である。参考のため、著しく分岐したポリマー(すなわち、ポリマーが鎖状でも実質的に鎖状でもない場合)は、
【化1】

から選択される構造単位を有し、分子構造はD単位100個当たり少なくとも1個のT単位、又はD単位200個当たり少なくとも1個のQ単位を有する。
【0027】
本発明の方法の鎖状又は実質的に鎖状のポリオルガノシロキサンは、特定な態様において、25℃で約1mm/s〜約200mm/sの溶液粘度を有することができる。良好な結果は25℃で約10mm/s〜約100mm/sの溶液粘度を有するポリオルガノシロキサンで得られた。良好な結果はポリオルガノシロキサン出発材料であるシラノール末端ポリジメチルシロキサンでも得られた。
【0028】
いくつかの態様では、鎖状又は実質的に鎖状のポリオルガノシロキサンは、メチルフェニルシロキサン又はメチルトリフルオロプロピルシロキサンのような混合中間体との縮合重合を行い、向上したPSA特性をもたらすことができるコポリマーを生成する。いくつかの態様では、縮合重合反応は分岐をシリコーンポリマー中に導入するように選択されるシランの存在下で行われ、これにより得られたPSA組成物の接着特性及び粘度の調整を可能にする。例えば、縮合重合をトリメトキシフェニルシランのようなトリアルコキシフェニルシラン;テトラエトキシシランのようなテトラアルコキシシラン;又はこれらの組み合わせの存在下で行うことにより、分岐をシリコーンポリマー中に導入することができる。いくつかの態様では、本発明の方法により調製されたPSA組成物は、PSA組成物(とくに高分子量ガム)に用いられるシリコーンポリマーに分岐を添加するステップが、溶液粘度を低減し、これにより粘着性を増加させながら、分子量の維持を可能にするという本発明者らの発見を具体化する。よって、特定の態様では、本発明の方法により調製されたPSA組成物は、同等の分子量を有する従来的に調製されたPSAと比較して、溶液粘度の減少及び粘着性の増加を示す。
【0029】
原理上、いずれかの適切な縮合重合反応経路をシリコーンポリマーの形成に用いることができる。同様に、当技術分野において知られるいずれかの適切な縮合触媒をシロキサン出発材料と混合し、重合を促進することができる。特定の態様では、プロトン酸、ルイス酸及び塩基、有機酸及び塩基、並びに無機酸及び塩基が用いられる。例えば、BF、FeCl、AlCl、ZnCl、及びZnBrを用いることができる。あるいは、一般式RSOHを有するもののような有機酸を用いることができ、式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、ヘキシル又はドデシル基)、アリール基(例えば、フェニル基)、又はアルカリル基(例えば、ドデシルベンジル)を表す。他の縮合特異的触媒としては、これらに限定されないが、n−ヘキシルアミン、テトラメチルグアニジン、ルビジウム又はセシウムのカルボン酸塩、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム又はストロンチウムの水酸化物、及び一般式[X(PX=N)PXを有するハロゲン化ホスホニトリルイオン系触媒が挙げられ、式中、Xはハロゲン原子を示し、zは1〜6の整数である。特定の態様では、用いられる触媒は[PCl=N−PCl=N−PClPClである。
【0030】
一般的には存在する触媒の量は、これらに限定されないが、(ポリオルガノシロキサンの重量に対して)約2〜12ppm、約12〜24ppm、約24〜36ppm、約36〜48ppm、約48〜60ppm、約60〜72ppm、約72〜84ppm、約84〜96ppm、約96〜108ppm、約108〜120ppm、約120〜136ppm、約136〜148ppm、約148〜160ppm、約160〜172ppm、約172〜184ppm、約184〜196ppm、及び約196〜208ppmを含む、約2ppm〜約208ppmである。いくつかの態様では、触媒は、これらに限定されないが、約3〜13ppm、約13〜23ppm、約23〜33ppm、約33〜43ppm、及び約43〜53ppmを含む、約3ppm〜約53ppmの量で存在する。追加の態様では、触媒は溶媒中に約1〜50%(重量/重量)の量で存在することができる。
【0031】
当業者であれば、縮合重合が副生成物としての水の生成を含むことを理解するであろう。本発明の特定の態様では、縮合中に形成された水を除去することが必要であってもなくてもよい。いくつかの態様では、水の除去は必要であり、縮合重合中又はその後かつ中和前に行われる。水の除去方法は当技術分野において知られている。
【0032】
特定の態様では、選択される触媒、所望の反応生成物及びその特性、並びに任意の末端ブロッキング剤及び/又は他の任意の添加剤の存在はどのように反応温度が選択されるかに影響を及ぼし得る。いくつかの態様では、縮合重合は、これらに限定されないが、約30℃〜40℃、約40℃〜50℃、約50℃〜60℃、約60℃〜70℃、約70℃〜80℃、約80℃〜90℃、約90℃〜100℃、及び約100℃〜110℃を含む約30〜約110℃の温度で行われる。他の態様では、縮合重合は、これらに限定されないが、70℃〜75℃、約75℃〜80℃、約80℃〜85℃、及び約85℃〜90℃を含む、約70℃〜90℃の温度で行われる。
【0033】
適当な場合には、当技術分野において知られるいずれかの適切な末端ブロッキング剤(例えば、水、ポリメチルシロキサン、又はポリマーの末端基と反応することができる1つの基を有するシラン)を添加し、適当な末端基をポリマー中に導入し、重合反応を止めることもでき、これにより得られたシリコーンポリマーの平均分子量を限定する。末端ブロッキング剤は所望の分子量範囲のシリコーンポリマーをもたらすように計算された量で存在する。
【0034】
適当な場合には、シリコーンポリマーの生成に用いることが知られるいずれかの従来の添加剤を添加することもできる。添加剤はシリコーンポリマーの所望の特性をもたらすように計算された量で存在する。添加剤の例としては、他の固体粒子又は補強剤、増量剤、可塑剤、結合剤(例えば、テトラエトキシシラン及びテトラオルトチタネートのようなアルコキシシラン)、架橋剤、及び分岐をシリコーンポリマー中に導入するように選択されるシラン(例えば、トリメトキシフェニルシラン、テトラエトキシシラン)が挙げられる。
【0035】
特定の態様では、縮合重合は少なくとも1つの炭化水素溶媒の存在下で行われる。炭化水素溶媒は、とりわけ、鎖状又は分岐飽和炭化水素、鎖状又は分岐不飽和炭化水素(例えば、アルケン)、ベンゼン及び置換ベンゼン(例えば、アルキルベンゼン)、脂環式化合物(例えば、シクロヘキサン)及び置換脂環式化合物(例えば、アルキルシクロヘキサン)から選択することができる。適切な炭化水素溶媒としては、これらに限定されないが、キシレン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ドデカン、イソドデカン、ヘキサン、デカン、ナフタ、ミネラルスピリット、パラフィン、イソパラフィン、ポリイソブチル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、アセトン、ジメチルイソソルビド、及び炭酸プロピレンが挙げられる。
【0036】
他の態様では、縮合重合は少なくとも1つのシリコーン流体の存在下で行われる。シリコーン流体は、とりわけ、トリアルキルシリル末端ポリジアルキルシロキサン及びある程度の置換基を含み得るが、いずれの置換基も重合反応には関与しないその誘導体から選択することができる。適切なシリコーン流体としては、これらに限定されないが、低分子量ポリジメチルシロキサン及びシクロシロキサンが挙げられる。例えば、0.65、1、2及び3csのトリメチルシリル末端ポリシロキサン流体は有用であり得る。
【0037】
PSA組成物に含むことができる炭化水素溶媒及び/又はシリコーン流体の量は、PSAの使用目的並びに溶媒及び/又は流体の分子量のような複数の要因によって決まるであろう。一般的には、PSA組成物は最大70%重量/重量の溶媒及び/又は流体を含有することができる。
【0038】
本発明の方法の実施形態によると、縮合重合反応は所望の特徴を有するシリコーンポリマーが形成されるまで継続させる。形成されたシリコーンポリマーの特徴は、ポリオルガノシロキサン出発材料の性質、選択された触媒、選択された炭化水素溶媒若しくはシリコーン流体、縮合反応の温度、1つ以上の末端ブロック剤の任意の添加、及び/又は1つ以上の他の添加剤(例えば、コモノマー、増量剤及び可塑剤)の任意の添加により影響され得る。
【0039】
特定の態様では、縮合重合反応は、平衡化のような他の重合技術により一般的に得られるより少量の環状シロキサンが組成物中に存在するシリコーンポリマーが生成されるまで継続させる。特定の態様では、シリコーンポリマーは0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン又はデカメチルシクロペンタシロキサンの濃度を有する。
【0040】
特定の態様では、縮合重合はシリコーンポリマーの所望の粘度が達成されるまで継続させ、その後中和剤(必要に応じて)を添加する。いくつかの態様では、形成されたシリコーンポリマーは、25℃で約10,000mm/s〜約5,000,000mm/sの溶液粘度を有すると特徴づけられる。良好な結果は25℃で約80,000mm/s〜約750,000mm/sの溶液粘度を有するポリマーの形成で得られた。いくつかの態様では、PSA組成物は約20重量%〜約60重量%の本明細書に記載するシリコーンポリマーを含むことができる。一般的には、こうしたPSAは約30重量%〜約50重量%のシリコーンポリマーを含む。
【0041】
他の態様によると、ポリオルガノシロキサンの縮合重合はシリコーンポリマーの所望の粘度が達成されるまで継続させ、その後縮合重合を行うことができる少なくとも1つのヒドロキシル基を有するシリコーン樹脂を添加するが、重合は中和剤(必要に応じて)の添加まである時間継続させる。適切なシリコーン樹脂の例としては、少なくとも1つの炭化水素溶媒又はシリコーン流体に可溶性であり、(樹脂固体含有量に対して)約0.5重量%〜約2.5重量%のヒドロキシル基含有量を有し、RSiO1/2単位及びSiO4/2単位を約0.6〜約1.5(RSiO1/2単位:SiO4/2単位)のモル比で含むものがあり、式中、Rは独立して1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素又はハロゲン化炭化水素基、アルケニル基、又はヒドロキシル基から選択される。
【0042】
本発明の方法のいくつかの実施形態によると、ポリマー混合物(すなわち、シリコーンポリマー、溶媒/シリコーン流体、触媒、任意の末端ブロック剤及び/又は他の添加剤、任意のシリコーン樹脂、並びに任意の中和剤)が形成されると、少なくとも1つの増粘触媒及び増粘を行うことができる少なくとも1つのヒドロキシル基を有するシリコーン樹脂はポリマー混合物と混合され、増粘は所望の反応生成物が形成されるまで行われる。増粘のための適切なシリコーン樹脂の例としては、少なくとも1つの炭化水素基溶媒又はシリコーン流体に可溶性であり、(樹脂固体含有量に対して)約0.5重量%〜約2.5重量%のヒドロキシル基含有量を有し、RSiO1/2単位及びSiO4/2単位を約0.6〜約1.5(RSiO1/2単位:SiO4/2単位)のモル比で含むものがあり、式中、Rは独立して1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素又はハロ炭化水素基、アルケニル基、又はヒドロキシル基から選択される。いくつかの態様では、シリコーン樹脂は本発明の方法の増粘工程中のみで添加される。他の態様では、本方法の増粘工程中に添加されるシリコーン樹脂は、シリコーンポリマー混合物の形成をもたらす工程中に添加されるものと同じである。追加の態様では、本方法の増粘工程中に添加されるシリコーン樹脂は、シリコーンポリマー混合物の形成をもたらす工程中に添加されるものとは異なる。いずれの場合でも、増粘は一般的には所望の反応生成物が形成されるまで継続させる。いくつかの態様では、適切なPSA組成物は約40重量%〜約80重量%の本明細書に記載するシリコーン樹脂(すなわち、添加の工程とは関係なくすべてのシリコーン樹脂を含む)を含むことができる。一般的には、こうしたPSAは約50重量%〜約70重量%のシリコーン樹脂を含む。
【0043】
適切な増粘温度の例としては、これらに限定されないが、約40℃〜50℃、約50℃〜60℃、約60℃〜70℃、約70℃〜80℃、約80℃〜90℃、約90℃〜100℃、約100℃〜110℃、約110℃〜120℃、約120℃〜130℃、約130℃〜140℃、及び約140℃〜150℃が挙げられる。増粘に適した時間の例としては、これらに限定されないが、約1〜2時間、約2〜3時間、及び約3〜4時間が挙げられる。
【0044】
原理上、当技術分野において知られる1つ以上の適切な増粘触媒を本発明の方法の増粘工程に用いることができる。一般的には、存在する増粘触媒の量は約1000重量ppm〜約3000重量ppmである。特定の態様では、増粘触媒は200℃未満の沸点を有する液体シラノール縮合触媒又は室温で固体である触媒から選択することができる。例えば、こうした触媒はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属シラノレート、アミン、アミンの金属塩、カルボン酸又はカルボン酸の金属塩、有機アミンのカルボン酸塩、及び第4級アンモニウム塩から選択することができる。適切なアミンとしては、これらに限定されないが、第1級アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ブタノールアミン及びブチルアミン;第2級アミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、エチルアミルアミン、イミダゾール及びプロピルヘキシルアミン;第3級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、メチルジプロピルアミン、トリプロパノールアミン、ピリジン、N−メチルイミダゾール及びメチルプロピルヘキシルアミンが挙げられる。適切な有機アミンのカルボン酸塩としては、これらに限定されないが、酢酸ジエチルアンモニウム、オクタン酸ブチルアンモニウム及びラウリン酸トリメチルアンモニウムが挙げられる。適切な第4級アンモニウム塩としては、これらに限定されないが、酢酸テトラメチルアンモニウム、塩化メチルエチルジブチルアンモニウム又は塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウムが挙げられる。適切なカルボン酸としては、これらに限定されないが、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ギ酸、ステアリン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、デカン酸、安息香酸、3,6−ジオキサヘプタン酸及び3,6,9−トリオキサデカン酸が挙げられる。金属がLi、Na、K、Ce及びCaからなる群から選択されるカルボン酸の金属塩は増粘触媒としての使用にも適している。適切なカルボン酸の金属塩の例としては、ギ酸カリウム及び酢酸カリウムが挙げられる。
【0045】
増粘触媒に加えて、増粘触媒のためのポリマー安定剤及び/又は中和剤を増粘工程中又はその後に追加で添加することができる。いくつかの態様では、当技術分野において知られるいずれかの高温ポリマー安定剤/中和剤を添加することができる。こうした添加剤の例としては、これらに限定されないが、トリメチルシリルホスフェートのようなアルキルシリルホスフェートが挙げられる。
【0046】
本発明の方法の実施形態によると、所望の反応生成物が形成されると、任意で有機過酸化物の添加による硬化が行われる。いくつかの態様では、有機過酸化物は過酸化ベンゾイル及び過酸化ジクロロベンゾイルから選択される。他の態様では、有機過酸化物は(シリコーンポリマー及びシリコーン樹脂の)約0.5重量%〜約3.5重量%の量で添加される。別の実施形態では、硬化はヒドロシリル化反応を用いて達成される。硬化方法は当技術分野において知られている。
【0047】
本発明の方法により形成されたPSA組成物は、従来的に形成されたPSA組成物と比較して、これらに限定されないが、接着性、粘着性、及び溶液粘度を含む、向上した性能特性を有すると特徴づけられる。特定の態様では、本発明の方法により形成されたPSA組成物は熱剥離試験において優れた性能を有する。いくつかの態様では、優れたPSA組成物は鎖状シリコーンポリマーを含み、他の態様では、組成物は分岐シリコーンポリマーを含む。分岐シリコーンポリマーを有するPSA組成物に関して、組成物は、同様の分子量の従来のPSA組成物と比較して、より低い溶液粘度及び増加した粘着性を示す。その他の態様では、本発明の方法により形成されたPSA組成物は0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン又はデカメチルシクロペンタシロキサンを含有する。
【0048】
本発明の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示する以下の実施例を参照することによってより良く理解されるであろう。
【実施例】
【0049】
本発明は、例示の目的で提示され、当業者であれば限定を意図しないと認識し、以下の実施例を参照することによってより良く理解されるであろう。
【0050】
(実施例1)シリコーンポリマーの形成
1000グラムのシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体(Mw 2500g/mol)及び1000グラムの非反応性希釈剤であるキシレンの溶液を、Nパージされ、真空のシグマブレードミキサーにおいてブレンドした。混合物を80℃まで加熱した後、0.6グラムの塩化メチレン溶液中の5%塩化ホスホニトロシル触媒で触媒した。システムを混合及び真空化し、縮合の水を共沸蒸留によって除去した。分離したキシレン溶媒を縮合器から反応器に戻した。反応は25℃で278,000mm/sの溶液粘度が達成されるまで進んだ。これはゲル透過クロマトグラフィー又はGPC(すべてのGPCは本明細書ではトルエン溶媒を用い、ポリスチレン標準を用いて測定した)により測定される1.17×10g/molのMwを有するキシレン中のポリマー(化合物1;CAS登録番号70131−67−8)を生成した。得られたポリマーは0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサンを含有した。
【0051】
(実施例2)シリコーンポリマーの形成
900グラムのシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体(Mw 2500g/mol)、100グラムのジフェニルシランジオール(Mw 216g/mol)及び1000グラムの非反応性希釈剤であるキシレンの溶液を、Nパージされ、真空のシグマブレードミキサーにおいてブレンドした。混合物を80℃まで加熱した後、0.6グラムの塩化メチレン溶液中の5%塩化ホスホニトロシル触媒で触媒した。システムを混合及び真空化し、縮合の水を共沸蒸留によって除去した。分離したキシレン溶媒を縮合器から反応器に戻した。反応は25℃で82,000mm/sの溶液粘度が達成されるまで進んだ。これはGPCにより測定される9.02×10g/molのMwを有し、0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサンを有するキシレン中のポリマー(化合物2;CAS登録番号68931−93−9)を生成した。
【0052】
(実施例3)シリコーンポリマーの形成
999.7グラムのシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体(Mw 2500g/mol)、0.3グラムのテトラエトキシシラン(Mw 208g/mol)及び1000グラムの非反応性希釈剤であるキシレンの溶液を、Nパージされ、真空のシグマブレードミキサーにおいてブレンドした。混合物を80℃まで加熱した後、0.6グラムの塩化メチレン溶液中の5%塩化ホスホニトロシル触媒で触媒した。システムを混合及び真空化し、縮合の水を共沸蒸留によって除去した。分離したキシレン溶媒を縮合器から反応器に戻した。反応は25℃で749,000mm/sの溶液粘度が達成されるまで進んだ。これはGPCにより測定される1.89×10g/molのMwを有し、0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサンを有するキシレン中のポリマー(化合物3)を生成した。
【0053】
(実施例4)シリコーンポリマーの形成
900グラムのシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体(Mw 2500g/mol)、100グラムのシラノール末端ポリフェニルメチルシロキサン流体(Mw 543g/mol)及び1000グラムの非反応性希釈剤であるキシレンの溶液を、Nパージされ、真空のシグマブレードミキサーにおいてブレンドした。混合物を80℃まで加熱した後、0.6グラムの塩化メチレン溶液中の5%塩化ホスホニトロシル触媒で触媒した。システムを混合及び真空化し、縮合の水を共沸蒸留によって除去した。分離したキシレン溶媒を縮合器から反応器に戻した。反応は25℃で114,000mm/sの溶液粘度が達成されるまで進んだ。これはGPCにより測定される1.06×10g/molのMwを有し、0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサンを有するキシレン中のポリマー(化合物4)を生成した。
【0054】
(実施例5)シリコーンポリマーの形成
900グラムのシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体(Mw 2500g/mol)、100グラムのシラノール末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン流体(Mw 577g/mol)及び1000グラムの非反応性希釈剤であるキシレンの溶液を、Nパージされ、真空のシグマブレードミキサーにおいてブレンドした。混合物を80℃まで加熱した後、0.6グラムの塩化メチレン溶液中の5%塩化ホスホニトロシル触媒で触媒した。システムを混合及び真空化し、縮合の水を共沸蒸留によって除去した。分離したキシレン溶媒を縮合器から反応器に戻した。反応は25℃で326,000mm/sの溶液粘度が達成されるまで進んだ。これはGPCにより測定される1.35×10g/molのMwを有し、0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサンを有するキシレン中のポリマー(化合物5)を生成した。
【0055】
(実施例6)PSA組成物の形成
203gの化合物1の溶液を、Nパージ、機械的撹拌及びキシレンを満たしたDean Starkのウォータートラップを備えた0.5リットル3つ口丸底フラスコにおいて、177グラムのキシレン中の70%固体トリメチルシロキシル化ケイ酸(MQ樹脂)(Mw 20000g/mol)、19グラムの追加のキシレン、0.8グラムの安息香酸、0.1グラムのトリメチルシリルホスフェートと組み合わせた。混合物を143℃で3時間還流し、縮合水を除去した。得られたPSA(化合物6;CAS登録番号68440−70−0)は25℃、56.5%固体で83000mm/sの粘度であり、多様な樹脂及びポリマーピークのGPCを有した。
【0056】
(実施例7)PSA組成物の形成
215gの化合物2の溶液を、Nパージ、機械的撹拌及びキシレンを満たしたDean Starkのウォータートラップを備えた0.5リットル3つ口丸底フラスコにおいて、177グラムのキシレン中の70%固体トリメチルシロキシル化ケイ酸(MQ樹脂)(Mw 20000g/mol)、6グラムの追加のキシレン、0.8グラムの安息香酸、0.1グラムのトリメチルシリルホスフェートと組み合わせた。混合物を143℃で3時間還流し、縮合水を除去した。得られたPSA(化合物7;CAS登録番号68440−62−2)は25℃、56.5%固体で12000mm/sの粘度であり、多様な樹脂及びポリマーピークのGPCを有した。
【0057】
(実施例8)PSA組成物の形成
187gの化合物3の溶液を、Nパージ、機械的撹拌及びキシレンを満たしたDean Starkのウォータートラップを備えた0.5リットル3つ口丸底フラスコにおいて、189グラムのキシレン中の70%固体トリメチルシロキシル化ケイ酸(MQ樹脂)(Mw 20000g/mol)、27グラムの追加のキシレン、0.8グラムの安息香酸、0.1グラムのトリメチルシリルホスフェートと混合した。混合物を143℃で3時間還流し、縮合水を除去した。得られたPSA(化合物8)は25℃、56.5%固体で25000mm/sの粘度であり、多様な樹脂及びポリマーピークのGPCを有した。
【0058】
(実施例9)PSA組成物の形成
187gの化合物4の溶液を、Nパージ、機械的撹拌及びキシレンを満たしたDean Starkのウォータートラップを備えた0.5リットル3つ口丸底フラスコにおいて、187グラムのキシレン中の70%固体トリメチルシロキシル化ケイ酸(MQ樹脂)(Mw 20000g/mol)、25グラムの追加のキシレン、0.8グラムの安息香酸、0.1グラムのトリメチルシリルホスフェートと組み合わせた。混合物を143℃で3時間還流し、縮合水を除去した。得られたPSA(化合物9)は25℃、56.5%固体で11000mm/sの粘度であり、多様な樹脂及びポリマーピークのGPCを有した。
【0059】
(実施例10)PSA組成物の形成
195gの化合物4の溶液を、Nパージ、機械的撹拌及びキシレンを満たしたDean Starkのウォータートラップを備えた0.5リットル3つ口丸底フラスコにおいて、188グラムのキシレン中の70%固体トリメチルシロキシル化ケイ酸(MQ樹脂)(Mw 20000g/mol)、14グラムの追加のキシレン、0.8グラムの安息香酸、0.1グラムのトリメチルシリルホスフェートと組み合わせた。混合物を143℃で3時間還流し、縮合水を除去した。得られたPSA(化合物10)は25℃で56.5%固体の33,300mm/sの粘度であり、多様な樹脂及びポリマーピークのGPCを有した。
【0060】
(実施例11)PSAサンプルの試験
PSAを過酸化ベンゾイルの10重量%トルエン溶液の添加により2重量%の過酸化ベンゾイルを含有するように製剤し、粘着性及び接着性測定のため50マイクロメートルのポリエステル膜下地上に28〜35マイクロメートルの乾燥膜厚まで塗布した。接着剤製剤をキシレン溶液から塗布し、90℃で2分間乾燥させた後、強制空気オーブンにおいて178℃で2分間硬化させた。粘着性試験は、1.0秒の滞留、20グラムの加重、及び5mm/秒で動く5mmのステンレス鋼プローブ先端を用いてプローブ粘着性を測定するASTM2979に従って行った。接着性試験は、180度の剥離角での鏡面ステンレス鋼板への接着性を測定するASTM3359−08に従って行い、0.3m/分の剥離速度でのグラム/25.4mm幅として報告した。比較目的で、2つの従来の市販のシリコーンPSAも塗布、硬化し、接着特性及び性能について試験した。1つは汎用シリコーン接着剤とし、1つは高温用途に適したものとした。結果は表1に示すとおりである。
【表1】

【0061】
(実施例12)シリコーンポリマーの形成
998グラムのシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体(Mw 2500g/mol)、2グラムのシラノール末端ポリメチルビニルジメチルシロキサン流体(Mw 432g/mol)及び1000グラムの非反応性希釈剤であるキシレンの溶液を、Nパージされ、真空のシグマブレードミキサーにおいてブレンドした。混合物を80℃まで加熱した後、0.6グラムの塩化メチレン溶液中の5%塩化ホスホニトロシル触媒で触媒した。システムを混合及び真空化し、縮合の水を共沸蒸留によって除去した。分離したキシレン溶媒を縮合器から反応器に戻した。反応は25℃で223,000mm/sの溶液粘度が達成されるまで進んだ。これは0.95×10g/molのMwを有し、0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサンを有するキシレン中のポリマー(化合物12;CAS登録番号67923−19−7)を生成した。
【0062】
本発明は本明細書に記載する特定の実施例に限定されるものとみなされるべきではなく、むしろ本発明のすべての態様に及ぶものと理解されるべきである。各種変形及び同等プロセス、並びに本発明が適用可能であり得る多数の構造及びデバイスは当業者にとって容易に明らかとなるであろう。当業者であれば、明細書に記載するものに限定されるとみなされるべきでない本発明の範囲から逸脱することなく、各種変更を行うことができることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的な工程:
(I)(A)少なくとも1つの炭化水素溶媒又はシリコーン流体の存在下で、少なくとも1つのポリオルガノシロキサンの縮合重合により形成されたシリコーンポリマーであって、
該ポリオルガノシロキサンは、25℃で約1mm/s〜約200mm/sの平均溶液粘度及び少なくとも1つの縮合重合を行うことができるヒドロキシル基を有し、
重合は、少なくとも1つの縮合触媒の添加により促進され、約30℃〜約110℃の温度で起こり、
形成された該シリコーンポリマーは、25℃で約10,000mm/s〜約5,000,000mm/sの溶液粘度を有する、シリコーンポリマー;
(B)任意に、縮合重合を行うことができる少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、炭化水素溶媒又はシリコーン流体の少なくとも1つに溶解するシリコーン樹脂であって、
該樹脂は、(樹脂固体含有量に対する重量で)約0.5%〜約2.5%のヒドロキシル基含有量を有し、
該樹脂は、RSiO1/2単位とSiO4/2単位を、約0.6〜約1.5(RSiO1/2単位:SiO4/2単位)のモル比で含み、
式中、Rは独立して1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素又はハロ炭化水素基、アルケニル基、又はヒドロキシル基から選択される、シリコーン樹脂;並びに
(C)任意に、該縮合触媒を中和するのに十分な量で添加される中和剤;
を含むポリマー混合物を形成する工程と;
(II)該(I)のポリマー混合物と、少なくとも1つの増粘触媒及び増粘を行うことができる少なくとも1つのヒドロキシル基を有するシリコーン樹脂とを混合した後、約40℃〜約145℃の温度で増粘反応を行い、シリコーン感圧接着剤組成物を形成する工程であって、
該樹脂は、キシレン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、石油スピリット、ポリジメチルシロキサン、イソドデカン、ヘキサン及びデカンより選択される、少なくとも1つのシリコーン流体又は炭化水素溶媒に溶解し、
該樹脂は、(樹脂固体含有量に対する重量で)約0.5%〜約2.5%のヒドロキシル基含有量を有し、
該樹脂は、RSiO1/2単位及びSiO4/2単位を約0.6〜約1.5(RSiO1/2単位:SiO4/2単位)のモル比で含み、
式中、Rは独立して1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素又はハロ炭化水素基、アルケニル基、又はヒドロキシル基から選択される、工程と;
(III)任意に、約0.5重量%〜約3.5重量%の有機過酸化物を(II)の該シリコーン感圧接着剤組成物に添加する工程と;
を具える方法によって得られたシリコーン感圧接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリオルガノシロキサンが、一般的に下式によって特徴づけられる請求項1に記載の組成物。
O[RSiO]
ここで、R、R及びRが、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、パーフルオロブチルエチル、フェニルエチル、クロロプロピル、フルオロプロピル、ビニル、及び、フェニルから選択され、xが少なくとも2の値を有する整数である。
【請求項3】
前記ポリオルガノシロキサンがポリジメチルシロキサンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリオルガノシロキサンが25℃で約10mm/s〜約100mm/sの溶液粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの炭化水素溶媒又はシリコーン流体がキシレン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ナフタ、ミネラルスピリット、ポリジメチルシロキサン、イソドデカン、ヘキサン、及びデカンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記縮合触媒が[PCl=N−PCl=N−PClPClから選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーンポリマーが25℃で約80,000mm/s〜約750,000mm/sの平均粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記感圧接着剤が、約20重量%〜約60重量%のシリコーンポリマーを有する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
工程(I)の前記シリコーン樹脂(B)に前記中和剤の添加前に前記シリコーンポリマーとの縮合重合を行う、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
工程(I)の前記シリコーン樹脂(B)が工程(II)の前記シリコーン樹脂と同じである請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
工程(I)の前記シリコーン樹脂(B)が工程(II)の前記シリコーン樹脂と異なる請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記感圧接着剤が、重量で約40%〜約80%のシリコーン樹脂を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記任意の有機過酸化物が、過酸化ベンゾイル及び過酸化ジクロロベンゾイルから選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記感圧接着剤が、0.1重量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン又はデカメチルシクロペンタシロキサンを有する請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
工程(I)の前記シリコーンポリマー(A)が、分岐ポリオルガノシロキサンを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記シリコーンポリマーが、トリアルコキシフェニルシラン、テトラアルコキシシラン、又はこれらの組み合わせの存在下での縮合重合によって形成される請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記シリコーンポリマーがトリメトキシフェニルシラン、テトラエトキシシラン、又はこれらの組み合わせの存在下での縮合重合により形成される請求項16に記載の組成物。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503248(P2013−503248A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526914(P2012−526914)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/046487
【国際公開番号】WO2011/031452
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】