説明

シリンダーキャビネット

【課題】ガスの無駄な廃棄を減らすことができるシリンダーキャビネットを提供すること。
【解決手段】実施形態のシリンダーキャビネットでは、第1のガス供給配管内におけるガスの圧力である第1の圧力、第2のガス供給配管内におけるガスの圧力である第2の圧力および外部装置に流されるガスのガス流量に基づいて、前記第1および第2のガス供給配管の何れか一方から前記ガスを前記外部装置に供給するよう自動弁を制御する制御部を備えている。そして、前記制御部は、前記第1の圧力が所定値以下となった場合に前記配管を前記第1のガス供給配管から前記第2のガス供給配管に切り替え、その後、前記ガス流量が所定値以下となった場合に前記第1のガス容器の残ガス量が所定値以上であれば、前記配管を前記第2のガス供給配管から前記第1のガス供給配管に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シリンダーキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置では、半導体製造プロセスの工程に応じて、様々な材料ガス等が使用されている。このような材料ガスは、半導体生産工場に隣接したシリンダーキャビネットから、半導体生産工場内に設置されたガス配管を通して、半導体製造装置に供給されている。
【0003】
従来のシリンダーキャビネットでは、例えば2つのガス容器を準備しておき、2つのガス容器の何れか一方を用いて半導体製造装置にガスを供給している。そして、半導体製造装置にガスを供給している間、ガス残重量、1次圧力、ガス供給圧力(2次圧力)が測定される。そして、第1のガス容器内のガス残重量、1次圧力が、ガスを安定供給できる下限の残重量もしくは1次圧力に達すると、第1のガス容器から第2のガス容器に切り替えて、ガス供給を継続する。
【0004】
しかしながら、ガス残重量もしくは1次圧力であるガス残量がガスを安定供給できる下限値に達する前に、半導体製造装置内でガス流量が急激に増加すると、シリンダーキャビネット内の2次圧力が低下する。この場合であっても、第1のガス容器から第2のガス容器への切り替えが行われる。その結果、第1のガス容器には設定以上のガスが残存することになる。この第1のガス容器は、そのまま取り外され、新品のガス容器に取り付けられるので、残存したガスはそのままガスメーカーに返却されて廃棄されることになる。このようなガスの無駄な廃棄によって、ガスの使用コストが増加するという問題があった。このため、ガスの無駄な廃棄を減らすことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−281155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ガスの無駄な廃棄を減らすことができるシリンダーキャビネットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、提供されるシリンダーキャビネットでは、外部装置に供給するガスの第1のガス容器が接続されて前記第1のガス容器内のガスを前記外部装置側に流す第1のガス供給配管と、前記外部装置に供給するガスの第2のガス容器が接続されて前記第2のガス容器内のガスを前記外部装置側に流す第2のガス供給配管と、を備えている。また、シリンダーキャビネットは、前記第1のガス供給配管上および前記第2のガス供給配管上のそれぞれに設置されて前記ガスの流れを遮断または開放する自動弁と、前記第1のガス供給配管または前記第2のガス供給配管から前記外部装置に流されるガスのガス流量を測定する流量計と、を備えている。また、シリンダーキャビネットは、前記第1のガス供給配管内におけるガスの圧力である第1の圧力、前記第2のガス供給配管内におけるガスの圧力である第2の圧力および前記ガス流量に基づいて、前記第1および第2のガス供給配管の何れか一方から前記ガスを前記外部装置に供給するよう前記自動弁を制御することにより、前記ガスを供給する配管を切り替える制御部を備えている。そして、前記制御部は、前記第1の圧力が所定値以下となった場合に前記配管を前記第1のガス供給配管から前記第2のガス供給配管に切り替え、その後、前記ガス流量が所定値以下となった場合に前記第1のガス容器の残ガス量が所定値以上であれば、前記配管を前記第2のガス供給配管から前記第1のガス供給配管に切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施形態に係るシリンダーキャビネットの構成を示す図である。
【図2】図2は、実施形態に係るシリンダーキャビネットの動作処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、容器の交換処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係るシリンダーキャビネットを詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るシリンダーキャビネットの構成を示す図である。シリンダーキャビネット1は、2つのガス容器(ガスボンベ)5A,5Bを用いて、半導体製造装置51〜53などにプロセスガスを供給する装置である。本実施形態のシリンダーキャビネット1は、半導体製造装置51〜53に供給するプロセスガスのガス供給源をガス容器5Aまたはガス容器5Bに切り替える。
【0011】
シリンダーキャビネット1は、シリンダーキャビネット1内の各構成要素を制御する制御システム3を備えている。また、シリンダーキャビネット1は、半導体製造装置51〜53へ供給するプロセスガスのガス流量を測定する流量計2を備えている。
【0012】
本実施形態では、制御システム3は、半導体製造装置51〜53へ供給するプロセスガスの1次圧力、ガス流量およびガス容器5A,5B内の残ガス量に基づいて、半導体製造装置51〜53に供給するプロセスガスのガス供給源を切り替える。
【0013】
シリンダーキャビネット1には、ガス容器5Aと、ガス容器5Bと、が設置される。シリンダーキャビネット1は、ガス容器5Aからのプロセスガスを半導体製造装置51〜53側に送り出すプロセスガス供給配管10A,20Aを備えている。また、シリンダーキャビネット1は、ガス容器5Bからのプロセスガスを半導体製造装置側に送り出すプロセスガス供給配管10B,20Bを備えている。
【0014】
シリンダーキャビネット1内では、プロセスガスの上流側から順番に、ガス容器5A、プロセスガス供給配管10A、プロセスガス供給配管20Aの順番で接続されている。したがって、プロセスガス供給配管10Aがガス容器5A側の1次配管であり、プロセスガス供給配管20Aがガス容器5A側の2次配管である。
【0015】
同様に、シリンダーキャビネット1内では、プロセスガスの上流側から順番に、ガス容器5B、プロセスガス供給配管10B、プロセスガス供給配管20Bの順番で接続されている。したがって、プロセスガス供給配管10Bがガス容器5B側の1次配管であり、プロセスガス供給配管20Bがガス容器5B側の2次配管である。
【0016】
そして、プロセスガス供給配管20Aとプロセスガス供給配管20Bは、それぞれプロセスガスを半導体製造装置51〜53に送り出す送出口側でプロセスガス供給配管(ガス供給経路)30に接続されている。したがって、プロセスガス供給配管30は、ガス容器5A,5Bの2次配管である。この構成により、プロセスガス供給配管10A,20Aまたはプロセスガス供給配管10B,20Bから送られてくるプロセスガスがプロセスガス供給配管30を介して半導体製造装置51〜53に送り込まれる。
【0017】
プロセスガス供給配管10Aには、圧力計12Pa、自動弁13Aa、調圧弁(減圧弁)14Raが設置されている。また、プロセスガス供給配管20Aには、圧力計21Pa、自動弁22Aaが設置されている。圧力計12Pa,21Paで測定された配管内の圧力の結果は、ガス容器5A側の圧力測定結果として制御システム3に送られる。圧力計12Paでの圧力測定結果が、1次配管での圧力測定結果であり、圧力計21Paでの圧力測定結果が、2次配管での圧力測定結果である。
【0018】
同様に、プロセスガス供給配管10Bには、圧力計12Pb、自動弁13Ab、調圧弁(減圧弁)14Rbが設置されている。また、プロセスガス供給配管20Bには、圧力計21Pb、自動弁22Abが設置されている。圧力計12Pb,21Pbで測定された配管内の圧力の結果は、ガス容器5B側の圧力測定結果として制御システム3に送られる。圧力計12Pbでの圧力測定結果が、1次配管での圧力測定結果であり、圧力計21Pbでの圧力測定結果が、2次配管での圧力測定結果である。
【0019】
また、プロセスガス供給配管30には、本実施形態の特徴の1つである流量計2が設置されている。流量計2は、プロセスガス供給配管30を流れるプロセスガスの流量を測定する装置であり、ガス容器5Aまたはガス容器5Bから半導体製造装置51〜53に供給されるプロセスガスのガス流量を測定する。
【0020】
また、ガス容器5Aの設置される箇所には、重量計6Aが設置され、ガス容器5Bの設置される箇所には、重量計6Bが設置されている。重量計6A,6Bは、それぞれガス容器5A,5B内の残ガス重量を測定する装置である。重量計6A,6Bで測定された重量の測定結果は、それぞれガス容器5A側の残ガス重量測定結果、ガス容器5B側の残ガス重量測定結果として制御システム3に送られる。また、ガス容器5A,5Bには、それぞれ容器弁4A,4Bが設けられており、ガスを送出する際には、容器弁4A,4Bが開けられる。
【0021】
本実施形態では、例えば重量計6Aによる残ガス重量の測定結果に基づいて、ガス容器5Aを新しいガス容器5Aに交換するか否かが判断される。同様に、例えば重量計6Bによる残ガス重量の測定結果に基づいて、ガス容器5Bを新しいガス容器5Bに交換するか否かが判断される。
【0022】
制御システム3は、自動弁13Aa,13Ab、22Aa,22Ab,調圧弁14Ra,14Rbを制御することにより、半導体製造装置51〜53に供給するプロセスガスのガス供給源(ガス容器5Aまたはガス容器5B)などを制御するコンピュータなどである。なお、自動弁13Aa,13Ab、22Aa,22Abは、それぞれガスの流れを遮断または開放する弁であり、各自動弁が制御されることにより、ガスの流れが切り替えられる。
【0023】
例えば、ガス容器5Aを用いて半導体製造装置51〜53側にプロセスガスを供給する際には、ガス容器5B側の弁(容器弁4B、自動弁13Ab,22Abなど)は閉じておく。そして、容器弁4A、自動弁13Aa,22Aaが開けられる。これにより、プロセスガスが、プロセスガス供給配管10A,20A,30を介して半導体製造装置51〜53に供給される。
【0024】
同様に、ガス容器5Bを用いて半導体製造装置51〜53側にプロセスガスを供給する際には、ガス容器5A側の弁(容器弁4A、自動弁13Aa,22Aaなど)は閉じておく。そして、容器弁4B、自動弁13Ab,22Abが開けられる。これにより、プロセスガスが、プロセスガス供給配管10B,20B,30を介して半導体製造装置51〜53に供給される。
【0025】
ガス容器5A,5Bを用いて半導体製造装置51〜53側にプロセスガスを供給する際には、流量計2が半導体製造装置51〜53へ供給するプロセスガスのガス流量を測定しておく。この測定結果は、流量計2から制御システム3に送られる。
【0026】
つぎに、実施形態に係るシリンダーキャビネット1の動作処理手順について説明する。図2は、実施形態に係るシリンダーキャビネットの動作処理手順を示すフローチャートである。
【0027】
シリンダーキャビネット1では、ガス容器5A,5Bから半導体製造装置51〜53側にプロセスガスを供給している間、圧力計12Pa,21Pa,12Pb,21Pbが圧力を測定する。また、重量計6A,6Bは、それぞれガス容器5A内の残ガス重量とガス容器5B内の残ガス重量を測定する。また、流量計2がプロセスガスの流量を計測する。そして、圧力測定結果、残ガス重量測定結果、流量測定結果が、それぞれ制御システム3に送られる。
【0028】
ガス容器5Aを用いて半導体製造装置51〜53側にプロセスガスを供給する際には、制御システム3は、ガス容器5B側の弁(自動弁13Ab,22Abなど)を閉じるとともに、容器弁4A、自動弁13Aa,22Aaを開ける。これにより、ガス容器5Aからのプロセスガスが半導体製造装置51〜53に供給される(ステップS10)。なお、容器弁4A、自動弁13Aaは、予め開けておいてもよい。
【0029】
制御システム3は、ガス容器5A側の2次配管での圧力測定結果(圧力計21Paによる測定結果)に基づいて、2次圧力が所定値まで下がったか否かを判定する(ステップS20)。ガス容器5A側の2次圧力が所定値以上の場合(ステップS20、No)、制御システム3は、ガス容器5Aからのプロセスガスの供給を継続する(ステップS10)。
【0030】
一方、ガス容器5A側の2次圧力が所定値よりも下がると(ステップS20、Yes)、制御システム3は、プロセスガスのガス供給源をガス容器5Aからガス容器5Bに切り替える(ステップS30)。具体的には、制御システム3は、ガス容器5A側の弁(容器弁4A、自動弁13Aa,22Aaなど)を閉じるとともに、容器弁4B、自動弁13Ab,22Abを開ける。これにより、ガス容器5Bからのプロセスガスが半導体製造装置51〜53に供給される(ステップS40)。なお、容器弁4B、自動弁13Abは、予め開けておいてもよい。
【0031】
ガス容器5A側の2次圧力が所定値よりも下がる場合には、ガス容器5Aの残ガス量が少なくなった場合と、半導体製造装置51〜53に供給するプロセスガスのガス流量が急激に増加した場合と、がある。本実施形態では、半導体製造装置51〜53に供給するプロセスガスのガス流量が急激に増加した場合には、一旦、ガス供給源をガス容器5Aからガス容器5Bに切り替える。そして、ガス流量が安定した時点で、ガス供給源をガス容器5Bからガス容器5Aに戻す。また、ガス容器5Aの残ガス量が所定量よりも少なくなった場合には、ガス供給源をガス容器5Aからガス容器5Bに切り替える。そして、そのままガス容器5Bによるプロセスガスの供給を継続し、ガス容器5Aを新たなガス容器5Aに交換する。
【0032】
ガス容器5Bからのプロセスガスを半導体製造装置51〜53に供給している間、制御システム3は、流量計2から送られてくる流量測定結果に基づいて、半導体製造装置51〜53に供給するプロセスガスの流量が設定値以下になったか否かを判定する(ステップS50)。
【0033】
プロセスガスの流量が設定値よりも大きい場合(ステップS50、No)、制御システム3は、ガス容器5Bからのプロセスガスの供給を継続する(ステップS40)。一方、プロセスガスの流量が設定値以下になると(ステップS50、Yes)、制御システム3は、ガス容器5A内の残ガス量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS60)。このとき、制御システム3は、重量計6Aから送られてくる残ガス重量測定結果に基づいて、ガス容器5A内の残ガス量を判定してもよいし、自動弁13Aaから送られてくる圧力測定結果(容器5A側の1次配管での圧力測定結果)(1次圧力)に基づいて、ガス容器5A内の残ガス量を判定してもよい。例えば、残ガス重量測定結果や圧力測定結果が、ガスを安定供給できる下限値よりも小さくなるとガス容器5A内のガスは供給に使えないと判断される。
【0034】
ガス容器5A内の残ガス量が所定値よりも小さい場合(ステップS60、No)、制御システム3は、ガス容器5Bからのプロセスガスの供給を継続する(ステップS40)。そして、ガス容器5Bからプロセスガスを供給している間に、ガス容器5Aが新しいガス容器5Aに交換される。
【0035】
一方、ガス容器5A内の残ガス量が所定値以上である場合(ステップS60、Yes)、制御システム3は、プロセスガスのガス供給源をガス容器5Bからガス容器5Aに切り替える(ステップS70)。具体的には、制御システム3は、ガス容器5B側の弁(容器弁4B、自動弁13Ab,22Abなど)を閉じるとともに、容器弁4A、自動弁13Aa,22Aaを開ける。これにより、ガス容器5Aからのプロセスガスが半導体製造装置51〜53に供給される(ステップS10)。
【0036】
シリンダーキャビネット1では、ガス容器5Aが新しいガス容器5Aに交換されるまで、ステップS10〜S70までの処理が繰り返される。ガス容器5A内の残ガス量が所定値よりも小さいために、ガス容器5Aが新しいガス容器5Aに交換された場合、ガス容器5Bからのプロセスガスの供給が継続される。そして、シリンダーキャビネット1は、ガス容器5Bを用いたプロセスガスの供給処理として、ステップS10〜S70と同様の処理を行う。
【0037】
具体的には、制御システム3は、ガス容器5B側の2次配管での圧力測定結果(圧力計21Pbによる測定結果)に基づいて、2次圧力が所定値まで下がったか否かを判定する。ガス容器5B側の2次圧力が所定値以上の場合、制御システム3は、ガス容器5Bからのプロセスガスの供給を継続する。
【0038】
一方、ガス容器5B側の2次圧力が所定値よりも下がると、制御システム3は、プロセスガスのガス供給源をガス容器5Bからガス容器5Aに切り替える。これにより、ガス容器5Aからのプロセスガスが半導体製造装置51〜53に供給される。
【0039】
ガス容器5Aからのプロセスガスを半導体製造装置51〜53に供給している間、制御システム3は、流量計2から送られてくる流量測定結果に基づいて、半導体製造装置51〜53に供給するプロセスガスの流量が設定値以下になったか否かを判定する。
【0040】
プロセスガスの流量が設定値よりも大きい場合、制御システム3は、ガス容器5Aからのプロセスガスの供給を継続する。一方、プロセスガスの流量が設定値以下になると、制御システム3は、ガス容器5B内の残ガス量が所定値以上であるか否かを判定する。
【0041】
ガス容器5B内の残ガス量が所定値よりも小さい場合、制御システム3は、ガス容器5Aからのプロセスガスの供給を継続する。そして、ガス容器5Aからプロセスガスを供給している間に、ガス容器5Bが新しいガス容器5Bに交換される。
【0042】
一方、ガス容器5B内の残ガス量が所定値以上である場合、制御システム3は、プロセスガスのガス供給源をガス容器5Aからガス容器5Bに切り替える。これにより、ガス容器5Bからのプロセスガスが半導体製造装置51〜53に供給される。
【0043】
シリンダーキャビネット1では、ガス容器5Aからのプロセスガス供給、ガス容器5Aからガス容器5Bへのガス供給源の切り替え、ガス容器5Bからガス容器5Aへのガス供給源の切り替え、ガス容器5Bからのプロセスガス供給、ガス容器5Aの交換、ガス容器5Bの交換などの処理が順番に繰り返される。
【0044】
図3は、容器の交換処理手順を示すフローチャートである。ガス容器5Aからのプロセスガスが半導体製造装置51〜53に供給される(ステップS110)。このとき、ガス容器5A側の2次圧力が所定値まで下がった場合には、ガス容器5Aからガス容器5Bへの切り替えが行われる。そして、プロセスガスの流量が設定値以下になると、ガス容器5Bからガス容器5Aへの切り替えが行われる。
【0045】
制御システム3は、ガス容器5A内の残ガス量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS120)。ガス容器5A内の残ガス量が所定値以上である場合(ステップS120、Yes)、ガス容器5Aからのプロセスガス供給が継続される。一方、ガス容器5A内の残ガス量が所定値よりも小さい場合(ステップS120、No)、制御システム3は、ガス供給源をガス容器5Aからガス容器5Bへの切り替えを行う(ステップS130)。これにより、ガス容器5Bからのプロセスガスが半導体製造装置51〜53に供給される(ステップS140)。
【0046】
そして、ガス容器5Bからプロセスガスを供給している間に、ガス容器5Aが新しいガス容器5Aに交換される(ステップS150)。このとき、ガス容器5B側の2次圧力が所定値まで下がった場合には、ガス容器5Bからガス容器5Aへの切り替えが行われる。そして、プロセスガスの流量が設定値以下になると、ガス容器5Aからガス容器5Bへの切り替えが行われる。
【0047】
制御システム3は、ガス容器5B内の残ガス量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS160)。ガス容器5B内の残ガス量が所定値以上である場合(ステップS160、Yes)、ガス容器5Bからのプロセスガス供給が継続される。一方、ガス容器5B内の残ガス量が所定値よりも小さい場合(ステップS160、No)、制御システム3は、ガス供給源をガス容器5Bからガス容器5Aへの切り替えを行う(ステップS170)。これにより、ガス容器5Bからのプロセスガスが半導体製造装置51〜53に供給される(ステップS180)。
【0048】
そして、ガス容器5Aからプロセスガスを供給している間に、ガス容器5Bが新しいガス容器5Bに交換される(ステップS190)。この後、シリンダーキャビネット1では、ステップS120〜S190の処理が繰り返される。
【0049】
半導体製造装置51〜53では、シリンダーキャビネット1からのプロセスガスを用いて、半導体装置の製造を行う。なお、シリンダーキャビネット1は、半導体製造装置51〜53以外の装置にプロセスガスを供給してもよい。
【0050】
半導体製造装置51〜53は、例えば成膜装置、エッチング装置などである。半導体装置(半導体集積回路)を製造する際には、フォトマスクなどのマスクが作製され、レジストの塗布されたウエハにマスクを用いて露光を行ない、その後ウエハを現像してウエハ上にレジストパターンが形成される。そして、レジストパターンをマスクとしてウエハの下層側がエッチングされる。これにより、レジストパターンに対応する実パターンがウエハ上に形成される。半導体装置を製造する際には、成膜処理、露光処理、現像処理、エッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0051】
なお、シリンダーキャビネット1に設置するガス容器は、3本以上でもよい。この場合もガス容器毎にプロセスガス供給配管、圧力計、自動弁、調圧弁、重量計などを設置しておく。
【0052】
このように、シリンダーキャビネット1は、半導体製造装置51〜53へのガス供給口近傍に流量計2を有しているので、半導体製造装置51〜53に供給するプロセスガスの供給量を正確に測定することが可能となる。
【0053】
また、シリンダーキャビネット1では、供給するプロセスガスの2次圧力が所定値よりも低くなった場合、一方の容器(例えばガス容器5A)から他方の容器(例えばガス容器5B)にガス供給源を切り替える。この場合であっても、流量計2によって測定されたガス流量が所定値以下となり、且つ一方の容器内に所定量以上の残ガスが残っている場合には、再度一方の容器から半導体製造装置51〜53にプロセスガスを供給する。このため、ガス容器内の残ガスをプロセスガスに用いることが可能となる。
【0054】
このように実施形態によれば、流量計2によって測定されたガス流量に基づいて、ガス供給源の切り替えを行うので、供給するプロセスガスの2次圧力が所定値よりも低くなったガス容器を再度使用することが可能となる。これにより、ガス容器5A,5B内のガスを設定した残重量または残圧まで使い続けることが可能となる。したがって、ガスの無駄な廃棄を減らすことが可能となり、ガスに使用されるコストを削減できる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…シリンダーキャビネット、2…流量計、3…制御システム、5A,5B…ガス容器、6A,6B…重量計、10A,20A,10B,20B,30…プロセスガス供給配管、12Pa,21Pa,12Pb,21Pb…圧力計、51〜53…半導体製造装置。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に供給するガスの第1のガス容器が接続されて前記第1のガス容器内のガスを前記外部装置側に流す第1のガス供給配管と、
前記外部装置に供給するガスの第2のガス容器が接続されて前記第2のガス容器内のガスを前記外部装置側に流す第2のガス供給配管と、
前記第1のガス供給配管上および前記第2のガス供給配管上のそれぞれに設置されて前記ガスの流れを遮断または開放する自動弁と、
前記第1のガス供給配管または前記第2のガス供給配管から前記外部装置に流されるガスのガス流量を測定する流量計と、
前記第1のガス供給配管内におけるガスの圧力である第1の圧力、前記第2のガス供給配管内におけるガスの圧力である第2の圧力および前記ガス流量に基づいて、前記第1および第2のガス供給配管の何れか一方から前記ガスを前記外部装置に供給するよう前記自動弁を制御することにより、前記ガスを供給する配管を切り替える制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の圧力が所定値以下となった場合に前記配管を前記第1のガス供給配管から前記第2のガス供給配管に切り替え、その後、前記ガス流量が所定値以下となった場合に前記第1のガス容器の残ガス量が所定値以上であれば、前記配管を前記第2のガス供給配管から前記第1のガス供給配管に切り替えることを特徴とするシリンダーキャビネット。
【請求項2】
前記第1のガス容器の残ガス重量を測定する第1の重量測定部をさらに備え、
前記第1のガス容器の残ガス量は、前記第1の重量測定部によって測定されることを特徴とする請求項1に記載のシリンダーキャビネット。
【請求項3】
前記第1のガス容器から出されるガスの1次圧力を測定する第1の圧力測定部をさらに備え、
前記第1のガス容器の残ガス量は、前記第1の圧力測定部によって測定されることを特徴とする請求項1に記載のシリンダーキャビネット。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の圧力が所定値以下となった場合に前記配管を前記第2のガス供給配管から前記第1のガス供給配管に切り替え、その後、前記ガス流量が所定値以下となった場合に前記第2のガス容器の残ガス量が所定値以上であれば、前記配管を前記第1のガス供給配管から前記第2のガス供給配管に切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のシリンダーキャビネット。
【請求項5】
前記第2のガス容器の残ガス重量を測定する第2の重量測定部をさらに備え、
前記第2のガス容器の残ガス量は、前記第2の重量測定部によって測定されることを特徴とする請求項4に記載のシリンダーキャビネット。
【請求項6】
前記第2のガス容器から出されるガスの1次圧力を測定する第2の圧力測定部をさらに備え、
前記第2のガス容器の残ガス量は、前記第2の圧力測定部によって測定されることを特徴とする請求項4に記載のシリンダーキャビネット。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−202422(P2012−202422A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64725(P2011−64725)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】