説明

シートの定着構造

【課題】シート定着作業を容易に行うことができるシートの定着構造を提供する。
【解決手段】折り返し部3cを端部寄り部位に有するシート3と、シート3の折り返し部3cの内側に取付けられる係止部材23と、係止部材23および折り返し部3cが抜け防止された状態で取付けられる凹溝22bを長手方向に有し、かつ外側に固定部材係合用の係合部22aが設けられたファスナー部材22と、ファスナー部材22が入る取付凹部20を長手方向に有し、取付凹部20に長手方向と直交する方向からファスナー部材22を挿入して係合部22aと係合される被係合部20aが取付凹部20に設けられた固定部材10とを具備し、取付凹部20にファスナー部材22を固定部材10の長手方向と直交する方向から挿入し、係合部22aを被係合部20aに係合させることにより、取付凹部20にファスナー部材22が取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを用いてエアドームやテントなどの組立物を組立てる場合に、その組立物に対して所定の位置に予め配置させた固定部材にシートの端部を固定等して定着させるシートの定着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したシートの定着構造として、図7に示すものが知られている(例えば特許文献1参照)。この構造は、シート100の端部100aを折り返し、その折り返し部分の内側に、例えば紐や棒状物等からなる係止部材101を取付け、その係止部材101を、長手方向に沿って凹溝103が設けられた固定部材102の前記凹溝103の内部に挿入し、その凹溝103の開口103aの外側に抜け防止部材104を配置して開口103aを塞ぎ、係止部材101が抜け出るのを防止する構成となっている。
【特許文献1】特開平6−313381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したシートの定着構造の場合には、係止部材101だけでなく抜け防止部材104をも取付けを必要とするため、シート定着作業が煩わしいという難点があった。そこで、凹溝103の開口103aを係止部材101よりも狭い寸法に設定することで、抜け防止部材104を省略した構成とし、シート定着作業の容易化を図ることが考えられるが、この場合には係止部材101を凹溝103の長手方向から挿入する必要性があってシート定着作業に改善の余地が残されていた。
【0004】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、シート定着作業を容易に行うことができるシートの定着構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシートの定着構造は、折り返し部を端部寄り部位に有するシートと、上記シートの折り返し部の内側に取付けられる係止部材と、上記係止部材および上記折り返し部が抜け防止された状態で取付けられる凹溝を長手方向に有し、かつ外側に固定部材係合用の係合部が設けられたファスナー部材と、上記ファスナー部材が入る取付凹部を長手方向に有し、該取付凹部に長手方向と直交する方向から上記ファスナー部材を挿入して上記係合部と係合される被係合部が上記取付凹部に設けられた固定部材とを具備し、上記取付凹部に上記ファスナー部材を固定部材の長手方向と直交する方向から挿入し、上記係合部を上記被係合部に係合させることにより、取付凹部に上記ファスナー部材が取付けられることを特徴とする。
【0006】
請求項2のシートの定着構造は、請求項1に記載のシートの定着構造において、前記被係合部が前記取付凹部の側面から取付凹部内に突出する突条に形成され、前記係合部が上記突条に引掛けることにより係合する断面鈎形に形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3のシートの定着構造は、請求項1または2に記載のシートの定着構造において、前記凹溝は、前記係止部材が取付けられる広幅部とこれに繋がっていてシート部分が通る狭幅部とを有するもので、上記狭幅部が上記係止部材を抜け防止する幅寸法で形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4のシートの定着構造は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシートの定着構造において、前記固定部材の下側に、固定部材よりも固定部材の幅方向に突出した庇部を有する内樋が設けられ、上記庇部には上方に突出した突出部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5のシートの定着構造は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシートの定着構造において、前記固定部材を覆うとともに該固定部材にシートを押し付けるように取付けられるカバー部材と、そのカバー部材のシート側に配置される防水カバーとを更に備えることを特徴とする。
【0010】
請求項6のシートの定着構造は、請求項5に記載のシートの定着構造において、前記防水カバーの幅方向端部と対向する固定部材の幅方向端部に、シートを挟持するように別の防水カバーが設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項7のシートの定着構造は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシートの定着構造において、前記固定部材は、前記固定部材の長手方向と直交する幅方向両側に前記取付凹部を有し、各取付凹部にそれぞれ取付けられた両ファスナー部材の凹溝に各折り返し部が抜け防止された両シートは、前記折り返し部よりも外側にシート端縁部を有し、各シート端縁部を固定部材の上側に、かつこれら両シート端縁部どうしが相互に重なるように位置させ、両シート端縁部の重なり部分が接着、溶着または貼着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項8のシートの定着構造は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシートの定着構造において、前記固定部材が、その下側に配置される支持部材に対してその支持部材の長手方向に沿って複数設けられ、該支持部材の上側であって固定部材との間に設けられた隙間に、支持部材とほぼ同一長さの防水性長樋が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にあっては、ファスナー部材を取付凹部にその長手方向と直交する方向から挿入し、ファスナー部材の係合部を固定部材の被係合部に係合させることで、固定部材の取付凹部にファスナー部材を取付けることができる。よって、取付凹部にその長手方向からファスナー部材と抜け防止部材とを挿入する必要がなく、また抜け防止部材のような別部材で凹溝の開口を塞ぐ必要もなくなり、作業性よくファスナー部材を固定部材の取付凹部に取付けることが可能になる。その結果、シート定着作業を容易に行うことが可能になる。
【0014】
請求項2による場合には、断面鈎形の係合部を突条の被係合部に引っ掛けることで両者間の係合を行うことができ、係合作業が容易である。
【0015】
請求項3による場合には、凹溝の広幅部に係止部材を位置合わせし、狭幅部にシート部分を位置合わせして挿入すると、狭幅部により係止部材の凹溝からの抜け防止を図ることができる。
【0016】
請求項4による場合には、万が一シートの下側に雨水が浸入してきても、或いはシートの内外での温度差に基づきシートの下側に結露による水滴が形成されても、このような水分を内樋が受けることとなる。そして、例えば内樋の適当な箇所にシートの外部へ水分を導く導水管を設けておくことで、シートで覆われた空間の外側へ排水することが可能となる。
【0017】
請求項5による場合には、固定部材とカバー部材との間に設けた防水カバーがシートを固定部材に密着させるとともに、凹溝をも覆うので、より確実にシート下側への雨水の漏れを防止することが可能になる。
【0018】
請求項6による場合には、シートがその表裏両側に設けた防水カバーで挟持されるので、より確実にシート下側への雨水の漏れを防止することが可能になる。
【0019】
請求項7による場合には、折り返し部に設けた係止部材が固定部材の凹溝に取付けられ、固定部材の両側のシートのシート端縁部が相互に重ねられるとともに、その重なり部分が接着等されて両側のシートが一体化した状態に繋がる。加えて、係止部材が凹溝から抜け防止されているので、固定部材の両側にシートが接続される。このように固定部材に接続された両側のシートが、例えば内側にエアを吹入れてシートの中央部が上方へ向けて膨らんだ状態で使用されるとき、雨等により固定部材側、つまりシート端縁部側へ雨水が集まって来ても、上述のように両側のシートが一体化した状態に繋がっているので、シートの下側へ雨水が漏れることを防止できる。よって、確実な防水機能を発揮させ得る。
【0020】
請求項8による場合には、支持部材の上に、それよりも短尺の複数の固定部材を長手方向に並べて配置しても、長手方向に隣り合う固定部材の突き合わせ部分から雨水等の侵入が起こっても、その侵入してきた雨水等を防水性長樋が受けることとなる。そして、例えば長樋の適当な箇所にシートの外部へ水分を導く導水管を設けておくことで、シートで覆われた空間の外側へ排水することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明を具体的に説明する。
【0022】
図1は本発明のシートの定着構造を適用した構造物を模式的に示す正面図である。
【0023】
この構造物は、左右方向に並んだ複数列、図示例では3列の支持部材1と、3列の支持部材1の前端が繋がった前側支持片(図示せず)と、3列の支持部材1の後端が繋がった後側支持片(図示せず)とを有する。左右方向に並んだ各支持部材1は前後方向に長い水平板1aと、その水平板1aの下側に所定間隔で設けられた支柱1bとからなる。そして、各水平板1aの上にシート接続手段2が設けられ、隣り合うシート接続手段2の間にシート3が接続された構成となっている。このシート3は、本実施形態では4層の膜体4a、4b、4c、4dを有するもので、そのうちの3つの膜体4a〜4cがシート接続手段2の外側に主として存在し、膜体4d(図4参照)はシート接続手段2の内部に存在している。そして、膜体4a〜4cの間に空気を充填することで、外観として蒲鉾を2列並べた形状の屋根を形成する。なお、膜体4a〜4dについては、後で詳述する。
【0024】
この構造物において、3つのシート接続手段2のうち、両端のシート接続手段2には片側にシート3が接続され、中央のシート接続手段2には両側にシート3が接続されている。
【0025】
図2は上記シート接続手段を示す分解図(正面図)であり、図3はその要部を示す断面図(正面図)である。
【0026】
このシート接続手段2は、水平板1aの上側に取付けられる固定部材10と、固定部材10の上に設けられる防水カバー11と、更にその上に設けられるカバー部材12とを有する。固定部材10は水平板1aにボルト13aとナット13bにより固定され、その固定部材10に対して防水カバー11及びカバー部材12がボルト14aとナット14bにより固定されている。なお、防水カバー11とカバー部材12の間には、ボルト14aに挿通させて防水性ワッシャ14cが配されている。なお、図2中の13cと14dはワッシャである。
【0027】
上記固定部材10は、隣合うシート3、3の間であってシート3の端部3aに沿う方向に長手方向を一致させて配置されるものであり、図3に示すように、一対の取付凹部20を有する固定部材本体21と、上記取付凹部20に着脱可能に取付けられる一対のファスナー部材22とを有する。
【0028】
取付凹部20は上記長手方向と直交する幅方向の両側に長手方向に沿って形成されていて、その内奥部に被係合部20aが設けられており、被係合部20aは取付凹部20の側面から取付凹部20の内側に突出した突条に形成されている。ファスナー部材22には外側に係合部22aが設けられており、その係合部22aは断面鈎形に形成されている。そして、係合部22aを被係合部20aに引掛けることで両者間の係合を行うことができ、ファスナー部材22が固定部材10の取付凹部20に取付けられる。この取付け状態において、両ファスナー部材22と、これらの間の固定部材本体21の中央部分21cとの高さはほぼ一定となっていて、各取付凹部20の外側は少し低く、傾斜面21aが形成されている。傾斜面21aの上には防水部材21bが取付けられ、防水部材21bの上面は外側が高く内側が低くなっている。
【0029】
このような上面を有する固定部材10の上に設けられるカバー部材12の下面および防水カバー11は、固定部材10の上面に対応する凹凸状態に形成されていて、固定部材10に対してカバー部材12をボルト14aおよびナット14bにより取付けると、例えばゴム等の弾性部材からなる防水カバー11のほぼ全域が固定部材10に押し付けられる。
【0030】
各ファスナー部材22には凹溝22bが形成されている。図左側のファスナー部材22の凹溝22bは左向きに開口22cを配して形成され、図右側のファスナー部材22の凹溝22bは右向きに開口22cを配して形成されている。
【0031】
各シート3の両側の端部3aは、図4に示すようにシート端縁部3bと折り返し部3cと接合部3dとを有する。接合部3dは、4つの膜体4a〜4dが接合されている。その接合には、接着、熱溶着、貼着などが用いられる。折り返し部3cは、接合部3dよりも外側であってシート端縁部3bの下側に位置し、本実施形態では膜体4aの端部を折り返して形成されていて、その折り返し部3cの内部には前記係止部材23が配置される。シート端縁部3bは、前記接合部3dよりも外側に位置し、前記中央部分21cの上側に配される。
【0032】
上記係止部材23は、例えば紐状のものであって、この係止部材23が取付けられる凹溝22bはその溝長方向(前記固定部材10の長手方向と同一方向)と直交する方向の開口22cを内奥部よりも狭幅に形成されていて、開口22cの幅寸法を紐状の係止部材23の直径よりも十分に小さくし、係止部材23が開口22cから抜け落ちるのを防止するようにしている。つまり、開口22cの内側の肉部22dが抜け防止手段として機能する。
【0033】
上記ファスナー部材22における凹溝22bへの係止部材23の取付けは、凹溝22bの両端の開口部の一方から長手方向に挿入することで行われ、これによりシート3がファスナー部材22に取付けられる。このファスナー部材22の上部に設けた取付用の穴22eに、図3において二点鎖線で示す取付け治具50の先端50aを入れてシート3を引っ張り、係合部22aを被係合部20aに引掛けることで、ファスナー部材22を固定部材本体21の取付凹部20に取付ける。その後、図4に示すように、シート端縁部3bを前記中央部分21cの上側に位置させ、左右両側のシート3の一方(例えば図示例では右側)のシート3のシート端縁部3bを下側に、他方(例えば図示例では左側)のシート3のシート端縁部3bを上側にして重ねる。そして、その相互に重なる部分に、両面に接着層を有するテープ24を貼着する。これにより、両側のシート3、3は、それぞれのシート端縁部3bがテープ24を介して一体的に繋がった状態で固定部材10に取付けられることとなる。
【0034】
カバー部材12およびその下側の防水カバー11は固定部材10の幅寸法とほぼ同一の幅寸法を有し、上記カバー部材12を固定部材10に、上述したようにボルト14aおよびナット14bにより取付けると、カバー部材12および防水カバー11は、幅方向両側の取付凹部20および凹溝22bを覆う。また、弾性部材からなる防水カバー11が固定部材10に押し付けられるので、テープ24を介してシート3の繋がった部分が密着され、シート3の下側への雨水等の漏れをより確実に防止する。更に、シート端縁部3bの少し内側寄りの部分、図示例では接合部3dが、防水カバー11と防水部材21bとの間で挟持される。防水部材21bは、防水カバー11の幅方向端部と対向する固定部材の幅方向端部に設けられている。ここで、防水カバー11および防水部材21bを共に、例えば弾性部材により作製することにより、テープ24を介してシート3の繋がった部分が、更に確実に防水状態とされる。更にまた、テープ24を介してシート3の繋がった部分は、防水カバー11と防水部材21bとの間で挟持される高さ位置よりも高い位置にあるので、防水性能が向上する。
【0035】
したがって、本実施形態による場合には、ファスナー部材22を取付凹部20にその長手方向と直交する方向から挿入し、固定部材本体21の被係合部20aにファスナー部材22の係合部22aを係合させることで、取付凹部20にファスナー部材22を取付けることができる。よって、従来のように取付凹部20にその長手方向からファスナー部材と抜け防止部材とを挿入する必要がなく、また前記抜け防止部材のような別部材で凹溝の開口を塞ぐ必要もなくなり、作業性よくファスナー部材22を固定部材本体21の取付凹部20に取付けることが可能になる。その結果、シート定着作業を容易に行うことが可能になる。
【0036】
また、本実施形態による場合には、固定部材10に接続された両側のシート3、3が、膜体4の間に空気を充填してシート3の中央部が上方へ向けて膨らんだ状態で使用されるとき、雨等により固定部材10側、つまりシート端縁部3b側へ雨水が集まって来ても、上述のように両側のシート3、3が一体化した状態に繋がっているので(図4参照)、シート3の下側へ雨水が漏れることを防止できる。よって、確実な防水機能を発揮させ得る。
【0037】
図5は、本発明の他の実施形態に係るシートの定着構造を示す断面図である。なお、図2〜図4と同一部分には同一番号を付している。
【0038】
このシート定着構造は、固定部材10の下側に、固定部材10の幅方向両側において固定部材10よりも突出させて内樋30が設けられている。この内樋30は、固定部材10から幅方向に突出した庇部30aを有し、その庇部30aには上方に突出した突出部が形成されている。その突出部は、図示例では庇部30aの全体を斜め上方に向けて曲折させた構成としているが、二点鎖線で示すように庇部30aの端部30bを上方に向けて曲折させた構成としてもよい。
【0039】
この実施形態による場合には、万が一シート3の下側に雨水が浸入してきても、或いはシート3の内外での温度差に基づきシート3の下側に結露による水滴が形成されても、このような水分を内樋30が受けることとなる。そして、例えば内樋30の適当な箇所にシート3の外部へ水分を導く導水管(図示せず)を設けておくことで、シート3で覆われた空間の外側、つまり構造物の外側へ排水することが可能となる。
【0040】
図6は、本発明の更に他の実施形態に係るシートの定着構造を示す断面図である。なお、図2〜図4と同一部分には同一番号を付している。
【0041】
このシート定着構造は、支持部材1における水平板1aの上側であって固定部材10との間に設けられた隙間に防水性長樋31が設けられている。長樋31は、例えばゴム製のもので、幅方向両端部31aが上向きの断面コの字状に形成されていて、支持部材1とほぼ同一長さとなっている。但し、支持部材1よりも短いものを一部に使用する場合には、複数の支持部材1の繋ぎ目を接続して水漏れが発生しないように構成される。
【0042】
この実施形態による場合には、支持部材1の水平板1aの上に、それよりも短尺の固定部材10を長手方向に並べて配置しても、隣り合う固定部材10の突き合わせ部分から雨水等の侵入が起こっても、その侵入してきた雨水等を長樋31が受けることとなる。そして、例えば長樋31の適当な箇所にシート3の外部へ水分を導く導水管(図示せず)を設けておくことで、シート3で覆われた空間の外側(構造物の外側)へ排水することが可能となる。なお、図6の例では、ボルト13aとナット13bは長樋31の両外側に配置されている。また、図6中の33はカバー部材12を固定部材10に固定するためのねじであり、11Aは固定部材の凸部10aとカバー部材12の凹部12aとの位置決めを可能とすべく中央部を省略して幅方向両側に配された防水カバーである。
【0043】
なお、上述した実施形態ではシート端縁部3bを重ね、その重なった部分をテープ24で貼着しているが、本発明はこれに限らず、上記重なった部分を接着、熱溶着などで密着させてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態ではシートとして用いる膜体の材質について特に限定しないため明言していないが、その膜体の材質としては、例えばフィルム、繊維織物、繊維織物に樹脂やゴムをコーティングしたものなどが利用できる。
【0045】
更に、上述した実施形態ではシートとして、3層の膜体4a〜4cの一つの膜体4cに膜体4dが接合された構成のものを使用しているが、本発明はこれに限らない。例えば、3層の膜体4a〜4cのうちの膜体4bまたは膜体4cが省略された構成、或いは膜体4bおよび膜体4cが省略されていて膜体4aのみからなる構成、或いは3層の膜体4a〜4cに更に別の膜体が重なった4層以上の膜体に、膜体4dが接合された構成であってもよい。また、本発明は、膜体4dを膜体4cに接合する構成ではなく、膜体4dおよび膜体4cのうちの一方を長めに設定することで、他方の膜体を省略した構成とすることも可能である。
【0046】
更にまた、上述した実施形態では膜体4aの折り返し部の上に膜体4b、4cを重なるように設けているが、本発明はこれに限らない。例えば、膜体4aとその折り返し部との間で膜体4b、4cを挟むように設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のシートの定着構造を適用した構造物を模式的に示す正面図である。
【図2】図1のシート接続手段を示す分解図(正面図)である。
【図3】図1のシート接続手段の要部を示す断面図(正面図)である。
【図4】シートの接続状態を示す模式図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るシートの定着構造を示す断面図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態に係るシートの定着構造を示す断面図である。
【図7】特許文献1のシートの定着構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 支持部材
2 シート接続手段
3 シート
3a 端部
3b シート端縁部
3c 折り返し部
10 固定部材
11 防水カバー
12 カバー部材
20 取付凹部
20a 被係合部
21 固定部材本体
22 ファスナー部材
22a 係合部
22b 凹溝
22c 開口
23 係止部材
24 両面に接着層を有するテープ
30 内樋
31 防水性長樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り返し部を端部寄り部位に有するシートと、
上記シートの折り返し部の内側に取付けられる係止部材と、
上記係止部材および上記折り返し部が抜け防止された状態で取付けられる凹溝を長手方向に有し、かつ外側に固定部材係合用の係合部が設けられたファスナー部材と、
上記ファスナー部材が入る取付凹部を長手方向に有し、該取付凹部に長手方向と直交する方向から上記ファスナー部材を挿入して上記係合部と係合される被係合部が上記取付凹部に設けられた固定部材とを具備し、
上記取付凹部に上記ファスナー部材を固定部材の長手方向と直交する方向から挿入し、上記係合部を上記被係合部に係合させることにより、取付凹部に上記ファスナー部材が取付けられることを特徴とするシートの定着構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシートの定着構造において、
前記被係合部が前記取付凹部の側面から取付凹部内に突出する突条に形成され、前記係合部が上記突条に引掛けることにより係合する断面鈎形に形成されていることを特徴とするシートの定着構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシートの定着構造において、
前記凹溝は、前記係止部材が取付けられる広幅部とこれに繋がっていてシート部分が通る狭幅部とを有するもので、上記狭幅部が上記係止部材を抜け防止する幅寸法で形成されていることを特徴とするシートの定着構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシートの定着構造において、
前記固定部材の下側に、固定部材よりも固定部材の幅方向に突出した庇部を有する内樋が設けられ、上記庇部には上方に突出した突出部が設けられていることを特徴とするシートの定着構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシートの定着構造において、
前記固定部材を覆うとともに該固定部材にシートを押し付けるように取付けられるカバー部材と、そのカバー部材のシート側に配置される防水カバーとを更に備えることを特徴とするシートの定着構造。
【請求項6】
請求項5に記載のシートの定着構造において、
前記防水カバーの幅方向端部と対向する固定部材の幅方向端部に、シートを挟持するように別の防水カバーが設けられていることを特徴とするシートの定着構造。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシートの定着構造において、
前記固定部材は、前記固定部材の長手方向と直交する幅方向両側に前記取付凹部を有し、各取付凹部にそれぞれ取付けられた両ファスナー部材の凹溝に各折り返し部が抜け防止された両シートは、前記折り返し部よりも外側にシート端縁部を有し、各シート端縁部を固定部材の上側に、かつこれら両シート端縁部どうしが相互に重なるように位置させ、両シート端縁部の重なり部分が接着、溶着または貼着されていることを特徴とするシートの定着構造。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシートの定着構造において、
前記固定部材が、その下側に配置される支持部材に対してその支持部材の長手方向に沿って複数設けられ、該支持部材の上側であって固定部材との間に設けられた隙間に、支持部材とほぼ同一長さの防水性長樋が設けられていることを特徴とするシートの定着構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−314990(P2007−314990A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144136(P2006−144136)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】