説明

シートチャックおよびそれを用いたマイクロコンタクトプリント法

【課題】フレキシブルなシート基材をスタンプに均一に接触させることができるシートチャックと、このシートチャックを使用して高精度のパターンを形成するためのマイクロコンタクトプリント法を提供する。
【解決手段】シートチャック1を、上面がシート基材を載置するための載置面2Aとなっている基部2と、この載置面2Aに位置する吸引・放出部3と、この吸引・放出部3を囲むように載置面2Aに位置する保持部5と、を有するものとし、吸引・放出部3は気体の吸引と気体の放出が可能な領域とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートチャックとマイクロコンタクトプリント法に係り、特にフレキシブルなシート基材を保持するためのシートチャックと、これを用いたマイクロコンタクトプリント法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ〜ナノオーダーの微細パターニング技術として、ソフトリソグラフィがあり、これは、微細なモールドにシリコーン樹脂などの流動性のある材料を流し込み、そのまま硬化させることで微細な立体構造を転写する技術である。このソフトリソグラフィにより得られる樹脂製モールドを版としてパターニングする技術として、マイクロコンタクトプリント(以下、「μCP」とも記す)法がある。
μCP法は、1993年にアメリカのハーバード大学のG.M.Whitesidesらによって開発された微細パターン形成技術である。この微細パターン形成技術では、例えば、シリコンや石英等の基板上にソフトリソグラフィで作製されたパターンを有するマスター版に、ポリジメチルシロキサン(PDMS:2液硬化性のシリコーン樹脂)等の液状材料を流し込み硬化させ、その後、マスター版と硬化したPDMSとを引き離して、マスター版の反転パターンを有するPDMSからなるスタンプを作製する。そして、このスタンプの転写凸部上にインクを載せ、シートチャックに載置保持されている被加工物にインクを転写するものである。
【0003】
このようなμCP法によりフレキシブルなシート基材に所望のパターンを形成する場合、シートチャックの表面にフレキシブルなシート基材を直接載置すると、シート基材の表面とスタンプの転写凸部の表面とが理想平面ではないため、両者の接触が不均一なものとなり、スタンプからシート基材へのインクの転写不良が発生する。このようなシート基材とスタンプの転写凸部との接触不良を防止するために、ウレタンゴムやスポンジシートなどの弾性体をシートチャックとフレキシブルなシート基材との間に介在させることが行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−208413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、転写凸部の配設密度が顕著に異なるような粗密差がスタンプに有る場合、あるいは、弾性体の不具合、例えば、厚み等の加工精度不良、経時による弾性劣化等がある場合、局所的な接触不良により、スタンプからシート基材へのインクの転写不良やパターンの寸法変動が生じる。また、シート基材が自重で弾性体に載置されている場合、弾性体上をシート基材が滑ることがあり、このようなシート基材の滑り現象が生じると、アライメント精度が低下するという問題もあった。
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、フレキシブルなシート基材をスタンプに均一に接触させることができるシートチャックと、このシートチャックを使用して高精度のパターンを形成するためのマイクロコンタクトプリント法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明のシートチャックは、上面がシート基材を載置するための載置面となっている基部と、該載置面に位置する吸引・放出部と、該吸引・放出部を囲むように前記載置面に位置する保持部と、を有し、前記吸引・放出部は気体の吸引と気体の放出が可能な領域であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記吸引・放出部の表面が前記保持部の表面から突出する高さが0〜5μmの範囲内であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記吸引・放出部が、凹部と、該凹部の開口を閉塞するように位置する多孔質体と、を有し、前記凹部は気体流路を介して前記基部の外部と連通しているような構成、あるいは、前記吸引・放出部が、凹部と、該凹部の開口を閉塞するように位置する板状体と、を有し、前記凹部は気体流路を介して前記基部の外部と連通しており、前記板状体は複数の貫通孔を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記保持部が、前記吸引・放出部を囲むように枠形状の弾性部材を有し、該弾性部材が前記保持部から突出する高さは20μm以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記弾性部材が前記保持部に存在する溝部に位置するような構成、あるいは、前記弾性部材が前記保持部の表面に固着しているような構成とした。
【0007】
本発明のマイクロコンタクトプリント法によるパターン形成方法は、上述のいずれかのシートチャックに、前記吸引・放出部を被覆し、周辺部が前記保持部に位置するようにシート基材を載置する工程と、前記保持部に位置するシート基材上にギャップ保持枠を配設する工程と、前記吸引・放出部から気体を吸引して前記シート基材を前記吸引・放出部に保持する工程と、基部と、該基部に形成された転写凸部と、該転写凸部が形成された領域の周囲の領域の前記基部に位置するダミー凸部と、を有するマイクロコンタクトプリント用のスタンプの前記転写凸部にインクを供給し、該スタンプと前記シート基材とのアライメントを行った後、前記ダミー凸部が前記ギャップ保持枠に当接するまで前記スタンプと前記シート基材とを接近させる工程と、前記吸引・放出部から気体を放出して、前記ギャップ保持枠よりも内側に位置するシート基材を前記スタンプへ向けて変位させ、前記転写凸部に供給されているインクに接触させる工程と、前記吸引・放出部から気体を吸引して前記シート基材を前記スタンプから離間させることにより前記インクを前記シート基材へ転写させるとともに、前記シート基材を前記吸引・放出部に保持し、前記スタンプを離間させる工程と、を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記保持部に前記弾性部材を有するシートチャックを使用し、基材シートを介して前記弾性部材上に位置するような形状のギャップ保持枠を使用するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ギャップ保持枠の厚みは、20〜70μmの範囲内で均一とするような構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシートチャックは、吸引・放出部にシート基材を吸引保持することができ、シート基材がシートチャック上を滑ることが防止されるので、従来の弾性体からなるシートチャック上にシート基材が自重で保持された場合に比べて、マイクロコンタクトプリントにおけるスタンプとのアライメントの精度、信頼性が大幅に向上する。また、保持部にシート基材を押圧した状態で吸引・放出部から気体を放出することにより、シート基材を変位させることができるので、マイクロコンタクトプリント用のスタンプの転写凸部の粗密に影響されることなく、スタンプに対して均一な圧力でシート基材を押し付けることができ、従来の弾性体からなるシートチャックにおける経時劣化によるマイクロコンタクトプリント時のインク転写不良やパターン寸法変動を防止することができる。さらに、保持部に弾性部材を有する場合、吸引・放出部からの気体吸引によるシート基材の吸引保持が更に確実なものとなり、また、吸引・放出部からの気体放出によるシート基材の変位の制御精度が更に向上する。
【0009】
本発明のマイクロコンタクトプリント法は、本発明のシートチャックを使用するので、シート基材を吸引・放出部に吸引保持した状態でスタンプとのアライメントを行うことができ、アライメントの精度、信頼性が極めて高いものとなる。また、ダミー凸部をギャップ保持枠に当接するようにスタンプとシート基材とを接近させた状態で吸引・放出部から気体を放出してシート基材をスタンプへ向けて変位させるので、転写凸部の粗密に影響されることなく、インクとシート基材とを均一な圧力で接触させることができる。また、従来の弾性体からなるシートチャックにおける経時劣化に伴う押し付け圧力の微調整が不要であり、吸引・放出部からの気体放出の制御によりインクとシート基材との接触を安定して再現することができる。また、インクとシート基材とを接触させた後、吸引・放出部から気体を吸引してシート基材をスタンプから離間させるので、スタンプの転写凸部のインクを安定して確実にシート基材に転写することができ、高い精度でパターン形成が可能である。さらに、保持部に弾性部材を有するシートチャックを使用し、この弾性部材に対応した形状のギャップ保持枠を使用する場合、吸引・放出部におけるシート基材の吸引保持を更に確実に行うことができるとともに、ギャップ保持枠を介したダミー凸部によるシート基材の保持部への押圧を更に確実に行うことができ、吸引・放出部からの気体放出によるシート基材の変位の制御精度が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のシートチャックの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示されるシートチャックのI−I線における断面図である。
【図3】本発明のシートチャックの他の実施形態を示す図2相当の断面図である。
【図4】本発明のシートチャックの他の実施形態を示す図2相当の断面図である。
【図5】本発明のシートチャックの他の実施形態を示す図2相当の断面図である。
【図6】本発明のマイクロコンタクトプリント法の一実施形態を説明するための工程図である。
【図7】本発明のマイクロコンタクトプリント法の一実施形態を説明するための工程図である。
【図8】ギャップ保持枠とシート基材とシートチャックの弾性部材との位置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[シートチャック]
図1は本発明のシートチャックの一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1に示されるシートチャックのI−I線における断面図である。図1および図2において、本発明のシートチャック1は、上面がシート基材を載置するための載置面2Aとなっている基部2と、この載置面2Aに位置する吸引・放出部3と、この吸引・放出部3を囲むように載置面2Aに位置する保持部5と、を有している。
【0012】
上記の吸引・放出部3は、基部2に形成されている凹部11と、この凹部11の開口を閉塞するように位置する多孔質体13と、を有し、凹部11は気体流路12を介して基部2の外部と連通している。図示例では、凹部11の形状に対応した形状の多孔質体13を凹部11に嵌着することにより凹部11の開口を閉塞しているが、これに限定されるものではない。例えば、凹部11の深さよりも薄い多孔質体13を凹部11の上部(載置面2A寄り)に配設して凹部11の開口を閉塞したものであってもよい。そして、この吸引・放出部3は、気体流路12を図示しない吸排気ポンプ等に接続することにより、多孔質体13の表面13aから気体の吸引と気体の放出が可能となっている。このような吸引・放出部3は、その表面3a(図示例では多孔質体13の表面13a)が保持部5から突出する高さが0〜5μmの範囲内であることが好ましい。吸引・放出部3の表面3aが保持部5から突出する高さが0μm未満、すなわち、吸引・放出部3の表面3aが保持部5より低い状態であると、シート基材の吸引保持の安定性が損なわれることがあり、また、5μmを超えると、後述の本発明のマイクロコンタクトプリント法で使用するようなスタンプの転写凸部の局所的に高い部位が底当たりする状況が多く発生しやすくなり好ましくない。
【0013】
上記の保持部5は、シートチャック1に載置されるシート基材の周辺部(マイクロコンタクトプリントで使用するスタンプの転写凸部に対応したパターンが転写形成される領域の周囲の領域)が位置する部位である。このような保持部5は、うねりがなく平坦であることが好ましく、例えば、RP-Vが10μm以下、好ましくは1.0μm以下であることが望ましい。RP-Vが10μmを超える程度のうねりが保持部5に存在すると、後述する本発明のマイクロコンタクトプリント法におけるシート基材とスタンプとの不要な接触が生じたりして、安定したマイクロコンタクトプリントを実施することが難しくなり好ましくない。尚、RP-Vの測定条件は、CNC3次元画像測定システムによる非接触式とする。
【0014】
シートチャック1を構成する基部2の材質は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材や、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス、ガラス等を挙げることができる。この基部2が有する載置面2Aの寸法、形状、および、凹部11の開口寸法、開口形状は、保持するシート基材の寸法、形状、シート基材にパターンを形成する領域の寸法、形状等に応じて適宜設定することができる。また、凹部11の深さは、上述のように、凹部11全体を多孔質体13によって満たした状態とするか、開口のみを多孔質体13で閉塞した状態とするかにより、多孔質体13の厚みを考慮して設定することができ、例えば、1.0〜5.0mm程度の範囲で適宜設定することができる。また、気体流路12は、図示例では凹部11の内側壁面と基部2の外側壁面の間を貫通するように1本のみが穿設されているが、気体流路12の本数、位置は図示例に限定されるものではない。例えば、基部2の複数の外側壁面に気体流路12を備えていてもよく、また、同一の外側壁面に複数の気体流路12を備えていてもよい。さらに、例えば、基部2の内部で気体流路12が枝分かれするように形成され、凹部11側に位置する気体流路12の開口端部が凹部11の内側壁面に複数存在するものであってもよく、また、凹部11側に位置する気体流路12の開口端部が凹部11の底面に位置するものであってもよい。
【0015】
シートチャック1を構成する多孔質体13は、その表面13aから吸引された気体が内部を通過して気体流路12へ到達し、また、気体流路12から凹部11に送出された気体が多孔質体13の内部を通過して表面13aから放出される構造を有するものであり、例えば、セラミックスや金属の粉末状材料を部分的に焼結したもの等の材料に化学的あるいは物理的な処理を施して微細孔を形成して作製したもの等を用いることができる。また、多孔質構造を有する天然素材を用いることもできる。また、多孔質体13の表面13aは、シート基材を吸引保持するのに支障を来すことのない平坦性を有することが必要であり、例えば、RP-Vが10μm以下、好ましくは1.0μm以下であることが望ましい。尚、RP-Vの測定条件は、上述と同様とすることができる。
このような多孔質体13の凹部11への配設は、例えば、接着剤、溶着等を用いて行うことができる。
【0016】
本発明のシートチャックは、吸引・放出部3を構成する多孔質体13に代えて、複数の貫通孔を有する板状体を備えるものであってもよい。図3は、このような本発明のシートチャックの実施形態を示す図2相当の断面図である。図3に示される本発明のシートチャック1では、基部2の凹部11の上部(載置面2A寄り)を閉塞するように、複数の貫通孔15を有する板状体14が配設されており、この点を除き上述の図1、図2に示されるシートチャック1と同じであり、同じ部材には同じ部材番号を付して示している。
【0017】
板状体14が有する貫通孔15は、凹部11と気体流路12を介した気体の吸引、あるいは放出において、気体が通過可能なものであり、かつ、気体吸引時のシート基材の保持が確実に行われ、気体放出時のシート基材の変位が均一に行われるものであればよく、内径、貫通孔の内壁面形状、個数等は特に制限はない。例えば、内径が50〜300μm程度の範囲の貫通孔を1〜10個/cm2程度の範囲の密度で有する板状体14を使用することができる。
板状体14の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、真鍮、ステンレス鋼、チタン、アルミナ、ジルコニア、ガラス等を挙げることができ、貫通孔15は、化学的あるいは物理的な処理を施して穿設することができる。板状体14は、上述の多孔質体13と同様に、その表面14aが保持部5から突出する高さが0〜5μmの範囲内であることが好ましい。また、板状体14の表面14aは、シート基材を吸引保持するのに支障を来すことのない平坦性を有することが必要であり、例えば、RP-Vが10μm以下、好ましくは1.0μm以下であることが望ましい。RP-Vの測定条件は、上述と同様とすることができる。
【0018】
尚、上述の板状体14は、厚み方向に沿って形成された貫通孔15を有するものであるが、貫通孔15の形状は、これに限定されるものではない。例えば、図4に示されるように、板状体14の表面14aから板状体14の厚み方向に所定の深さまで達する複数の縦孔15aが、板状体14の内部に穿設された横孔15bに連通されたような貫通孔であってもよく、この例では、横孔15bは気体流路12に接続されている。
【0019】
また、本発明のシートチャックは、吸引・放出部3を囲むように保持部5に枠形状の弾性部材を有するものであってもよい。図5は、このような本発明のシートチャックの実施形態を示す図2相当の断面図である。図5(A)に示される本発明のシートチャック1は、吸引・放出部3を囲むように保持部5に形成された枠形状の溝部16を有し、この溝部16に弾性部材17を備えるものである。また、図5(B)に示される本発明のシートチャック1は、吸引・放出部3を囲むように保持部5の表面に枠形状の弾性部材18を固着して備えるものである。図5に示されるシートチャック1は、溝部16と弾性部材17を備える点、弾性部材18を備える点を除き、上述の図1、図2に示されるシートチャック1と同じであり、同じ部材には同じ部材番号を付して示している。
【0020】
図5に示されるようなシートチャック1では、弾性部材17,18が保持部5から突出する高さTは20μm以下であることが好ましい。弾性部材17,18が保持部から突出する高さTが20μmを超えると、シート基材の吸引保持の安定性が損なわれることがあり好ましくない。このように保持部5に弾性部材17,18を有することにより、吸引・放出部3からの気体吸引によるシート基材の吸引保持が更に確実なものとなり、また、吸引・放出部3からの気体放出によるシート基材の変位の制御精度が更に向上する。尚、図5(A)に示される弾性部材17は、その上面17aが保持部5よりも低くなると、弾性部材17による効果が奏されず好ましくない。
【0021】
上記の弾性部材17,18は、例えば、デュロメータタイプEでのゴム硬度が30〜60の範囲にあるような材質とすることができ、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のようなシリコーンゴム、ニトリルゴム等を挙げることができる。また、弾性部材17,18の枠形状は、シートチャック1に載置されるシート基材の周辺部(マイクロコンタクトプリントで使用するスタンプの転写凸部に対応したパターンが転写形成される領域の周囲の領域)に位置するように、シート基材の寸法、形状に応じて適宜設定することができる。また、弾性部材17,18の幅は、例えば、2.0〜5.0mm程度の範囲で適宜設定することができる。
また、このような弾性部材17,18を、図3および図4に示されるシートチャックが具備可能であることは勿論である。
【0022】
このような本発明のシートチャックは、吸引・放出部3にシート基材を吸引保持することができ、シート基材がシートチャック上を滑ることが防止されるので、従来の弾性体からなるシートチャック上にシート基材が自重で保持された場合に比べて、マイクロコンタクトプリントにおけるスタンプとのアライメントの精度、信頼性が大幅に向上する。また、保持部5にシート基材を押圧した状態で吸引・放出部3から気体を放出することにより、シート基材を変位させることができるので、マイクロコンタクトプリント用のスタンプの転写凸部の粗密に影響されることなく、スタンプに対して均一な圧力でシート基材を押し付けることができる。したがって、従来の弾性体からなるシートチャックにおける経時劣化によるマイクロコンタクトプリント時のインク転写不良やパターン寸法変動を防止することができる。
上述の実施形態は例示であり、本発明のシートチャックはこれらの実施形態の限定されるものではない。
【0023】
尚、本発明のシートチャックによる保持対象となるシート基材としては、例えば、厚みが50〜150μm程度の範囲にある樹脂製のシート、厚みが30〜100μm程度の範囲にある金属製のシート、厚みが50〜150μm程度の範囲にある紙や不織布、カーボンファイバーやガラスファイバーを布状にした素材等に樹脂を含浸させて通気性を無くしたシート等、あるいは、これらのシートに所望の線、模様等の図形(パターン)、例えば、配線、端子、素子等が形成されているものを挙げることができる。
【0024】
[マイクロコンタクトプリント法]
次に、本発明のマイクロコンタクトプリント法について説明する。
図6および図7は、本発明のマイクロコンタクトプリント法の一実施形態を説明するための工程図であり、上述の図5(A)に示されている本発明のスタンプ1を用いた例を示している。図6において、ステージ31上に本発明のシートチャック1を搭載し、このシートチャック1の吸引・放出部3に、シート基材21をその周辺部21b(マイクロコンタクトプリントで使用するスタンプ41の転写凸部43に対応したパターンが転写形成される領域21aの周囲の領域)が保持部5に位置するように載置する。また、保持部5に位置するシート基材21の周辺部21b上にギャップ保持枠25を載置し、気体流路12に接続した図示しない吸排気装置を作動させ、吸引・放出部3から気体を吸引してシート基材21を吸引・放出部3に吸引保持する(図6(A))。尚、シート基材21の周辺部21b上へのギャップ保持枠25の載置と、吸引・放出部3から気体を吸引してシート基材21を吸引・放出部3に吸引保持する順序は、いずれが先であってもよい。
【0025】
ここで、本発明のマイクロコンタクトプリント法において使用するシート基材は、後述する工程で吸引・放出部3からの気体の放出によりマイクロコンタクトプリントのスタンプ41方向へ変位可能な可撓性を有するものであればよく、例えば、厚みが50〜150μm程度の範囲にある樹脂製のシート、厚みが30〜100μm程度の範囲にある金属製のシート、厚みが50〜150μm程度の範囲にある紙や不織布、カーボンファイバーやガラスファイバーを布状にした素材等に樹脂を含浸させて通気性を無くしたシート等、あるいは、これらのシートに所望の線、模様等の図形(パターン)、例えば、配線、端子、素子等が形成されているものを挙げることができる。
【0026】
上記のギャップ保持枠25は、後述する工程で、スタンプ41の転写凸部43に供給されているインクとシート基材21との間に所望のギャップを確保するための部材であり、シート基材21の周辺部21bを介してシートチャック1の弾性部材17と対向可能な形状を有するものである。図8は、このようなギャップ保持枠25とシート基材21とシートチャック1の弾性部材17との位置関係を説明するための図であり、各部材を離間した状態を示している。尚、図8では、弾性部材17とギャップ保持枠25とがシート基材21に当接する枠形状の領域を、シート基材21に二点鎖線で示している。
ギャップ保持枠25の厚みは、上記のように、スタンプ41の転写凸部43に供給されているインク61とシート基材21との間に介在させるギャップの大きさを決定するものであり、例えば、20〜70μm程度の範囲で設定することができ、厚みのバラツキは10μm以下、好ましくは2μm以下とすることができる。ギャップ保持枠25の厚みが上記の範囲から外れたり、厚みのバラツキが10μmを超えると、後述するスタンプ41のシート基材21への接近においてシート基材21とインク61との不要な接触が生じたり、シート基材21の変位によるインク61との接触の均一性が損なわれることがあり好ましくない。このようなギャップ保持枠25の材質は、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、ギャップ保持枠25の幅は、例えば、3〜15mm程度の範囲で適宜設定することができる。
【0027】
一方、支持基板51上に形成されたマイクロコンタクトプリント用のスタンプ41を、スタンプホルダー52に装着し、スタンプ41の転写凸部43にインク61を供給する。スタンプ41は、基部42と、この基部42のパターン領域42aに突設した転写凸部43と、基部42の周辺部42bに突設したダミー凸部44と、を有している。そして、ステージ31を調整してスタンプ41とシート基材21とのアライメントを行った後、ダミー凸部44がギャップ保持枠25に当接するまでスタンプ41とシート基材21とを接近させる(図6(B))。
スタンプ41のダミー凸部44は、その先端部が転写凸部43の上面と同一面をなすものであり、図示のように、ダミー凸部44がギャップ保持枠25に当接することにより、シート基材21へのスタンプ41の接近が停止し、転写凸部43に供給されているインク61とシート基材21に所望のギャップが確保される。また、シート基材21の周辺部21bは保持部5に押圧された状態となる。このようなダミー凸部44は、円柱形状、円錐形状、角錐形状、截頭円錐形状、截頭角錐形状等の複数の凸部が所望の間隔で配置されたものであってよく、また、ギャップ保持枠25の枠形状に対応した枠形状の凸部であってもよい。通常、スタンプ41とシート基材21とのアライメントの制御範囲は数μm〜数百μmの範囲であり、上述のように、ギャップ保持枠25の幅を3〜15mmの範囲で設定しておくことにより、アライメントによってスタンプ41とシート基材21との相対位置が変更されても、ダミー凸部44が確実にギャップ保持枠25に当接する。
【0028】
次に、気体流路12に接続した図示しない吸排気装置を作動させ、吸引・放出部3から気体を放出する。これにより、周辺部21bが保持部5に押圧された状態のシート基材21は、ギャップ保持枠25よりも内側に位置する領域が、吸引・放出部3から放出される気体によって徐々にスタンプ41へ向けて変位し、最終的に均一な圧力でインク61に接触することになる(図6(C))。シート基材21の変位の速度は、例えば、図示しない吸排気装置と気体流路12との間に流量計、レギュレーターを配置し、それぞれ最大流量、最大圧を設定して制御することができる。
【0029】
次いで、気体流路12に接続した図示しない吸排気装置を作動させ、吸引・放出部3から気体を吸引してシート基材21をスタンプ41から離間させ、吸引・放出部3に吸引保持する(図7(A))。これにより、スタンプ41の転写凸部43に供給されていたインク61をシート基材21へ転写させることができる。その後、スタンプ41を離間させ(図7(B))、吸引・放出部3からの気体の吸引を停止することにより、スタンプ41の転写凸部43に対応したパターンを形成したシート基材を得ることができる。
【0030】
このような本発明のマイクロコンタクトプリント法は、本発明のシートチャック1を使用することにより、シート基材21を吸引・放出部3に吸引保持した状態でスタンプ41とのアライメントを行うことができ、アライメントの精度、信頼性が極めて高いものとなる。また、ダミー凸部44をギャップ保持枠25に当接するようにスタンプ41とシート基材21とを接近させた状態で吸引・放出部3から気体を放出してシート基材21をスタンプ41へ向けて変位させるので、転写凸部43の粗密に影響されることなく、インク61とシート基材21とを均一な圧力で接触させることができる。また、従来の弾性体からなるシートチャックにおける経時劣化に伴う押し付け圧力の微調整が不要であり、吸引・放出部3からの気体放出の制御によりインク61とシート基材21との接触を安定して再現することができる。また、インク61とシート基材21とを接触させた後、吸引・放出部3から気体を吸引してシート基材21をスタンプ41から離間させるので、転写凸部43に供給されているインク61を安定して確実にシート基材21に転写することができ、高い精度でパターン形成が可能である。
【0031】
上述の本発明のマイクロコンタクトプリント法は、図2、図3、図4、図5(B)に示されるような他の態様の本発明のシートチャックを用いても同様に実施することができる。尚、保持部5に弾性部材17,18を有するシートチャック(図5参照)を使用し、この弾性部材17,18に対応した形状のギャップ保持枠25を使用する場合、吸引・放出部3におけるシート基材21の吸引保持がより確実となり、また、ギャップ保持枠25を介したダミー凸部44によるシート基材21の保持部5への押圧をより確実に行うことができ、吸引・放出部3からの気体放出によるシート基材21の変位の制御精度が向上する。
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
<シートチャックの作製>
基部として、厚み15mmのアルミニウム基板(250mm×350mm)を準備し、この基部の一方の面を載置面とした。この載置面上に、フライス盤を用いた機械加工により、181mm×271mmで、深さが5mmの凹部を基部の中央部に形成した。また、ドリルを用いて、基部の外側壁面から凹部の内側壁面に貫通する気体流路(内径3mm)を穿設した。
【0033】
このように凹部と気体流路を形成した基部について、凹部周辺の保持部のRP-Vを測定したところ、1μm以下であり、保持部がうねりのない平坦なものであることが確認された。尚、RP-Vの測定条件は、CNC3次元画像測定システムを用いて、非接触で光学的に行うものとした。
また、多孔質体として、アルミナ多孔質焼結体((株)吉岡精工製)を準備した。この多孔質体をラッピングマシンを用いて研磨して、上記の凹部形状に対応させて181mm×271mm、厚み5mmの形状とした。この多孔質体の両面について、それぞれRP-Vを測定したところ、5μm以下であり、平坦性に優れたものであることが確認された。尚、RP-Vの測定条件は上記と同様とした。
次いで、上記の基部に形成した凹部の底面に接着剤を塗布し、上記のように作製した多孔質体を凹部に嵌合して固着した。これにより、図2に示されるような本発明のシートチャックを得た。このシートチャックの多孔質体の表面(吸引・放出部)は、基部の周囲(保持部)と同じ面をなすものであった。
【0034】
<スタンプの作製>
支持基板としてのガラス基板(300mm×400mm、厚み0.7mm)上に、硬化性材料(主剤90gに硬化剤9gを混合したポリジメチルシロキサン(PDMS:信越化学(株)製 KE−106))を硬化させて、基部と転写凸部とダミー凸部とを備えたマイクロコンタクトプリント用のスタンプを作製した。このスタンプは、160mm×250mmの転写領域を有し、この転写領域には、ライン/スペースが10μm/10μmで長さが20mmであるストライプ形状の転写凸部が157本形成された密部位が、幅50μmの粗部位を介して点在しており、転写凸部の粗密が存在するものであった。また、転写凸部の基部からの突出高さは5μmであった。さらに、ダミー凸部は転写凸部が形成された領域の周囲に215mm×302mmの枠形状に形成されており、幅は10mm、基部からの突出高さが5μmであった。尚、部材、溝部の枠形状の寸法は、部材、溝部の幅の中心部における寸法であり、以下の実施例においても同様である。
【0035】
<マイクロコンタクトプリント>
上記のように作製したシートチャックをステージに搭載し、このシートチャックの多孔質体(吸引・放出部)を覆うように、210mm×297mmのシート基材(ポリカーボネート、厚み100μm)を載置した。したがって、このシート基材の周辺部はシートチャックの保持部に位置するものとなった。
次に、材質がポリエチレンナフタレートであるギャップ保持枠を、保持部に位置するシート基材上に載置した。このギャップ保持枠は、225mm×312mmの枠形状に形成されており、幅は15mm、厚みが50μmであった。尚、ギャップ保持枠の厚みをマイクロメータで測定した結果、厚みのバラツキは1μm以下であり、均一な厚みであることが確認された。
【0036】
次いで、シートチャックの気体流路に接続した吸排気装置を作動させ、多孔質体(吸引・放出部)から気体を吸引してシート基材を多孔質体(吸引・放出部)に吸引保持した。
一方、上記のように支持基板上に形成されたマイクロコンタクトプリント用のスタンプを、スタンプホルダーに装着し、スタンプの転写凸部に、電極パターン形成用のインク(Agナノインキ)をスピンコート法で塗布して、転写凸部上にインクを供給した。その後、23℃、1分間の条件でインクを半乾燥状態とした。次いで、ステージを調整してスタンプとシート基材とのアライメントを行った後、スタンプのダミー凸部がギャップ保持枠に当接するまでスタンプをシート基材に接近させた。この状態では、転写凹部上のインクとシート基材との距離が約50μmであった。
【0037】
次に、シートチャックの気体流路に接続した吸排気装置を作動させ、多孔質体(吸引・放出部)から気体を放出した。これにより、ギャップ保持枠よりも内側に位置するシート基材は多孔質体(吸引・放出部)から放出される気体によって約5μm/秒の速度で徐々にスタンプへ向けて変位し、転写凹部上のインクに接触した。
次いで、シートチャックの気体流路に接続した吸排気装置を作動させ、多孔質体(吸引・放出部)から気体を吸引してシート基材をスタンプから離間させ、多孔質体(吸引・放出部)に吸引保持した。これにより、スタンプの転写凸部に供給されていたインクをシート基材へ転写した。その後、スタンプを離間させ、多孔質体(吸引・放出部)からの気体の吸引を停止し、180℃、30分間の乾燥を行って電極パターンを形成した。
【0038】
同様の電極パターンの形成を行った5枚のシート基材について、形成した電極パターンを光学顕微鏡で観察した結果、電極幅が9.7〜10.1μmであり、バラツキが極めて小さいとともに、スタンプのライン幅10μmの再現性に優れており、また、厚みは252〜267nmで均一なものであり、高い精度でパターンが形成されていることが確認された。
【0039】
[実施例2]
シートチャックの作製において、凹部形成前に、凹部を囲む位置となるように、幅4.0mm、深さ3.98mmの溝部を205mm×292mmの枠形状で形成し、この溝部に幅4.0mm、厚み4.0mmのニトリルゴムを配設して弾性部材とした他は、実施例1と同様にシートチャックを作製し、図5(A)に示されるような本発明のシートチャックを得た。上記の溝部は、フライス盤を用いて機械的な切削加工で形成した。また、弾性部材の表面は、基部の周囲(保持部)と同じ面をなすものであった。
このようなシートチャックを用いて、実施例1と同様のシート基材、マイクロコンタクトプリント用スタンプ、インクを用いて、実施例1と同様にしてマイクロコンタクトプリントを行って電極パターンを形成した。
同様の電極パターンの形成を行った5枚のシート基材について、形成した電極パターンを光学顕微鏡で観察した結果、電極幅が9.8〜10.1μmであり、バラツキが極めて小さいとともに、スタンプのライン幅10μmの再現性に優れており、また、厚みは255〜271nmで均一なものであり、高い精度でパターンが形成されていることが確認された。
【0040】
[実施例3]
シートチャックの作製において、多孔質体に代えて、複数の貫通孔を有する板状体を、その表面が基部の周囲(保持部)と同じ面をなすように、凹部の開口部に接着剤を用いて配設した他は、実施例1と同様にシートチャックを作製し、図3に示されるような本発明のシートチャックを得た。上記の板状体は、内径が約100μmの貫通孔を1個/cm2の密度で有する厚み2mmのアルミニウム基板とした。また、上記の板状体の両面について、それぞれRP-Vを測定したところ、3μm以下であり、平坦性に優れたものであることが確認された。尚、RP-Vの測定条件は上記と同様とした。
このようなシートチャックを用いて、実施例1と同様のシート基材、マイクロコンタクトプリント用スタンプ、インクを用いて、実施例1と同様にしてマイクロコンタクトプリントを行って電極パターンを形成した。
同様の電極パターンの形成を行った5枚のシート基材について、形成した電極パターンを光学顕微鏡で観察した結果、電極幅が9.4〜10.3μmであり、バラツキが極めて小さいとともに、スタンプのライン幅10μmの再現性に優れており、また、厚みは263〜277nmで均一なものであり、高い精度でパターンが形成されていることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0041】
マイクロコンタクトプリント法によるパターン形成を行う種々の装置、部品、機器の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…シートチャック
2…基部
2A…載置面
3…吸引・放出部
5…保持部
11…凹部
12…気体流路
13…多孔質体
14…板状体
17,18…弾性部材
25…ギャップ保持枠
41…スタンプ
43…転写凸部
44…ダミー凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面がシート基材を載置するための載置面となっている基部と、該載置面に位置する吸引・放出部と、該吸引・放出部を囲むように前記載置面に位置する保持部と、を有し、前記吸引・放出部は気体の吸引と気体の放出が可能な領域であることを特徴とするシートチャック。
【請求項2】
前記吸引・放出部の表面が前記保持部の表面から突出する高さは0〜5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のシートチャック。
【請求項3】
前記吸引・放出部は、凹部と、該凹部の開口を閉塞するように位置する多孔質体と、を有し、前記凹部は気体流路を介して前記基部の外部と連通していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシートチャック。
【請求項4】
前記吸引・放出部は、凹部と、該凹部の開口を閉塞するように位置する板状体と、を有し、前記凹部は気体流路を介して前記基部の外部と連通しており、前記板状体は複数の貫通孔を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシートチャック。
【請求項5】
前記保持部は、前記吸引・放出部を囲むように枠形状の弾性部材を有し、該弾性部材が前記保持部から突出する高さは20μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシートチャック。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記保持部に存在する溝部に位置することを特徴とする請求項5に記載のシートチャック。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記保持部の表面に固着していることを特徴とする請求項5に記載のシートチャック。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のシートチャックに、前記吸引・放出部を被覆し、周辺部が前記保持部に位置するようにシート基材を載置する工程と、
前記保持部に位置するシート基材上にギャップ保持枠を配設する工程と、
前記吸引・放出部から気体を吸引して前記シート基材を前記吸引・放出部に保持する工程と、
基部と、該基部に形成された転写凸部と、該転写凸部が形成された領域の周囲の領域の前記基部に位置するダミー凸部と、を有するマイクロコンタクトプリント用のスタンプの前記転写凸部にインクを供給し、該スタンプと前記シート基材とのアライメントを行った後、前記ダミー凸部が前記ギャップ保持枠に当接するまで前記スタンプと前記シート基材とを接近させる工程と、
前記吸引・放出部から気体を放出して、前記ギャップ保持枠よりも内側に位置するシート基材を前記スタンプへ向けて変位させ、前記転写凸部に供給されているインクに接触させる工程と、
前記吸引・放出部から気体を吸引して前記シート基材を前記スタンプから離間させることにより前記インクを前記シート基材へ転写させるとともに、前記シート基材を前記吸引・放出部に保持し、前記スタンプを離間させる工程と、を有することを特徴とするマイクロコンタクトプリント法。
【請求項9】
前記保持部に前記弾性部材を有するシートチャックを使用し、基材シートを介して前記弾性部材上に位置するような形状のギャップ保持枠を使用することを特徴とする請求項8に記載のマイクロコンタクトプリント法。
【請求項10】
前記ギャップ保持枠の厚みは、20〜70μmの範囲内で均一とすることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のマイクロコンタクトプリント法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−148143(P2011−148143A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10007(P2010−10007)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超フレキシブルディスプレイ部材技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】