説明

シート乾燥方法、シート乾燥装置、および塗工シートの製造方法

【課題】シートを効率的に、かつ、品質が均一になるように乾燥できる乾燥方法を提供する。
【解決手段】シート乾燥方法は、熱風が導入されるL個の乾燥室を有し、乾燥条件を制御して、下記の相対積算乾燥強度Dを調整する。ここで、相対積算乾燥強度Dは、n番目(nは1〜Lまでの整数)の乾燥室から排気された排気ガスの相対湿度H、風量V、温度Tと、基準操業条件における乾燥前のシート水分量Aと、実際の操業条件における乾燥前のシート水分量Aとから、式(1)に基づいて求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの乾燥方法、特に、支持体上に塗工液を塗布した後の塗工シートの乾燥方法および乾燥装置に関する。また、塗工シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録用シートなど塗工シートの製造においては、例えば、支持体上に塗工液を塗布した後、乾燥して塗工層を形成する方法が採られる。このようなシート製造方法における乾燥では、熱風乾燥を行うのが一般的である。
熱風乾燥法としては、例えば、2個以上の乾燥室内に、塗工液が塗布された支持体を通す方法が知られている。この乾燥法では、乾燥後に所望の塗工シートを得るために、塗工層の水分量や温度を測定し、その水分量および/または温度が所定の値に一致するように各乾燥室に送る熱風の温度や風量等を制御することがある。
その際の水分量の測定方法としては、例えば、水による赤外線吸収を測定する方法、水によるマイクロ波吸収を測定する方法、静電容量を測定する方法などが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】「紙パルプ製造技術シリーズ10 紙パルプ計装・制御システム」、紙パルプ技術協会発行、1992年4月1日、p.18−25
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱風乾燥法では、外気等を加熱して熱風を得るため、多くのエネルギーを必要とする。そのため、エネルギー消費量削減の観点から、効率的な乾燥が求められているが、従来の熱風乾燥法は、充分に効率的であるとはいえなかった。また、得られるシートの品質が均一になるような乾燥が求められているが、従来の熱風乾燥法では、品質が充分に均一になっているとはいえなかった。そのため、良好な乾燥条件を得るために、常に試行錯誤が繰り返されるのが実情である。しかし、試行錯誤により良好な乾燥条件を見出しても、熱風乾燥においては、シートの走行速度、塗工幅、塗工液の固形分などの操業条件は随時変更することがあるため、操業条件を変更した際には再度試行錯誤して良好な乾燥条件を見出す必要があった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、試行錯誤を繰り返さなくても、シートを効率的に、かつ、品質が均一になるように乾燥できるシート乾燥方法およびシート乾燥装置を提供することを目的とする。また、品質が均一な塗工シートを効率的に製造できる塗工シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らが、前記課題を解決するために乾燥工程について検討したところ、従来の水分量測定方法および表面温度測定方法では、表面付近の水分量または温度しか測定できず、内部まで含めた全体の水分量や温度を測定できていないことを見出した。さらに、そのような、局部的な水分量等に基づいて乾燥条件を制御した場合には、効率的かつ均一な品質になるように乾燥することが困難であることを見出した。そして、本発明者らは、このような知見に基づいてさらに検討した結果、以下のシート乾燥方法および乾燥装置、塗工シートの製造方法を発明した。
【0005】
本発明のシート乾燥方法は、熱風が導入されるL個(Lは2以上の整数)の乾燥室を有する熱風乾燥機によりシートを乾燥するシート乾燥方法において、
少なくとも1個の乾燥室の乾燥条件を制御して、下記の相対積算乾燥強度D[kg/h]を調整することを特徴とする。
相対積算乾燥強度D[kg/h]とは、実際の操業条件における、n番目(nは1〜Lまでの整数)の乾燥室から排気された排気ガスの相対湿度H[%]と、前記排気ガスの単位時間あたりの風量V[m/h]と、前記排気ガスの温度T[K]と、前記排気ガスの全圧Ptotal[Pa]とを用いてn番目の乾燥室での除去水分量MRnを求め、
該除去水分量MRnを全ての乾燥室について積算した積算除去水分量と、基準操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]と、実際の操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]とから、式(1)に基づいて求められる値である。
【0006】
【数1】

【0007】
本発明のシート乾燥方法においては、前記乾燥条件が、乾燥室に導入される熱風の温度および/または風量であることが好ましい。
【0008】
本発明のシート乾燥装置は、熱風が導入されるL個(Lは2以上の整数)の乾燥室を有し、シートを乾燥する熱風乾燥機と、
実際の操業条件にてn番目(nは1〜Lまでの整数)の乾燥室から排出された排気ガスの相対湿度H[%]を測定する湿度計と、
前記排気ガスの単位時間あたりの風量V[m/h]を測定する風量計と、
前記排気ガスの温度T[K]を測定する温度計と、
前記排気ガスの全圧Ptotal[Pa]を測定する圧力計と、
前記排気ガスの相対湿度H[%]、温度T[K]、全圧Ptotal[Pa]を用いてn番目の乾燥室での除去水分量MRnを求め、該除去水分量MRnと基準操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]と実際の操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]とから、式(1)に基づいて、相対積算乾燥強度D[kg/h]を求める演算部と、
演算部にて求められた相対積算乾燥強度D[kg/h]を、少なくとも1個の乾燥室の乾燥条件を制御して調整する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
【数2】

【0010】
本発明の塗工シートの製造方法は、支持体上に塗工液を塗布して、塗工層を有するシートを得る塗工工程と、
前記塗工層を有するシートを上述したシート乾燥方法により乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシート乾燥方法およびシート乾燥装置によれば、試行錯誤を繰り返さなくても、シートを効率的に、かつ、品質が均一になるように乾燥でき、しかも操業条件の変更に対応できる。
本発明の塗工シートの製造方法によれば、品質が均一な塗工シートを効率的に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(シート乾燥装置)
本発明のシート乾燥装置の一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態におけるシート乾燥装置を示す。このシート乾燥装置1は、6個の乾燥室11,11・・・を有し、シートSを乾燥する熱風乾燥機10と、n番目の乾燥室11から排出された排気ガスの相対湿度H[%]を測定する湿度計20と、前記排気ガスの単位時間あたりの風量V[m/h]を測定する風量計30と、前記排気ガスの温度T[K]を測定する温度計40と、前記排気ガスの全圧Ptotal[Pa]を測定する圧力計50と、前記相対湿度H[%]と全圧Ptotal[Pa]と温度T[K]での飽和水蒸気圧PH2O[Pa]を用いて相対積算乾燥強度D[kg/h]を求める演算部60と、熱風乾燥機10の各乾燥室11の乾燥条件を制御して、演算部60にて求められた相対積算乾燥強度D[kg/h]を調整する制御部70と、シートSを移送させるためのロール80とを備えている。
【0013】
また、シート乾燥装置1には、外気導入ファン(図示せず)により導入された外気を排気ガスやスチームなどの熱を利用して加熱する加熱機110と、乾燥室11に加熱された熱風を供給するための送風ファン100と、乾燥室11に供給する熱風の風量を調節するためのダンパ120a,120bと、乾燥室11から使用済みのガス(排気ガス)を排出するための吸引ファン130とが備えられている。送風ファン100および吸引ファン130としては、例えば、軸流ファンなどが使用される。
【0014】
乾燥室11には、シートSの入口11aと出口11bとが設けられている。また、乾燥室11には、熱風の導入口11cおよび導出口11dが設けられている。熱風の導入口11cおよび導出口11dは1つに限らず、熱風を効率的に流動させるためには、2つ以上であることが好ましい。熱風の導入口11cおよび導出口11dの設置位置についても、熱風を効率的に利用できるように適宜選択することが好ましい。
乾燥室11,11・・・は、図示例のように、若干の隙間を有して連結されていてもよいし、隙間無く連結されていてもよい。隙間を有する場合には、その隙間にシートSの表面温度を測定する温度計などを設けてもよい。
【0015】
湿度計20としては、例えば、水による赤外線吸収を測定するもの、水によるマイクロ波吸収を測定するもの、静電容量を測定するもの、電気抵抗を測定するものなどが挙げられるが、応答速度が速く、高温で測定でき、しかも低湿度測定に適していることから、静電容量を測定するものが好ましい。
風量計30としては特に制限されず、周知のものを適宜使用できる。また、ピトー管など差圧法により測定したり、風速[m/h]を測定した後、ダクト90の開口面積[m]を乗じて求めたりすることもでき、その場合には、コンピュータ等で計算して出力させることが好ましい。
温度計40、圧力計50としては特に制限されず、周知のものを適宜使用することができる。
湿度計20、風量計30、温度計40、圧力計50は、演算部60と電気的に接続されている。
【0016】
演算部60としては、例えば、電子計算機を備えたものが挙げられる。
演算部60においては、相対積算乾燥強度D[kg/h]を求める。具体的には、上記式(1)に示すように、各乾燥室11における除去水分量MRnを全ての乾燥室について積算した積算除去水分量と、基準操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]を実際の操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]で除した値とを掛け合わせることにより求める。なお、式(1)において積算除去水分量に(A/A)を掛け合わせるのは、操業条件が変わった場合でも対応できるように規格化するためである。
【0017】
式(1)において、乾燥前のシート水分量A[kg/h]は、シートSが塗工シートの場合には、式(2){L[m/h]×W[m]×C[g/m]/1000[g/kg]}×{(100/Q[%])−1}により求められる。また、基準操業条件Aについても同様に求められる。ここで、L[m/h]はシートSの走行速度、W[m]は塗工幅、Q[%]は塗工液の固形分濃度、C[g/m]はドライ塗工量のことである。これらの条件は随時変更することがある。この式(2)は、全塗工量からドライ塗工量を差し引いて水分量を求める式である。
基準操業条件としては、過去に実際に乾燥を行った際の操業条件を採用する。過去の操業条件の中でも、シートSを効率的に、かつ、品質が均一になるように乾燥できた操業条件を基準条件として採用することが好ましい。また、実際の操業条件に近い条件を採用することが好ましい。
【0018】
また、式(1)において、除去水分量MRnは、n番目の乾燥室11から排出された排気ガス中の水分量から乾燥室11に導入される熱風中に含まれる水分量を引いて求められるが、乾燥室11に導入される熱風中に含まれる水分量が少ない場合、または、一定である場合には、n番目の乾燥室11から排出された排気ガス中の水分量に近似してもよい。
【0019】
n番目の乾燥室11から排出された排気ガス中の水分量は、実際の操業条件における排気ガスの質量m[kg/h]と絶対湿度M[kg/kg]との積より求められる(式(3)参照)。
式(3)における排気ガスの質量M[kg/h]は、n番目の乾燥室11から排出された排気ガスの全圧Ptotal[Pa]、風量V[m/h]、温度T[K]を式(4)に代入することにより求められる。
また、式(3)における絶対湿度M[kg/kg]は、相対湿度H[%]、全圧Ptotal[Pa]、温度T[K]での飽和水蒸気圧PH2O[Pa]を式(5)に代入して求められる。
なお、演算部60では、式(2)〜(5)の計算を行う機能も有している。
【0020】
【数3】

【0021】
式(5)において、温度T[K]での飽和水蒸気圧PH2O[Pa]は、例えば、Antoineの式やWagner−Prussの式などがから求めることができる。
【0022】
制御部70としても、電子計算機を備えたものを利用することができる。本実施形態では、制御部70は、演算部60、および、送風ファン90と加熱機110とダンパ120aとに電気的に接続されている。
【0023】
(シート乾燥方法)
次に、本実施形態のシート乾燥方法について説明する。
本実施形態のシート乾燥方法は、上記乾燥装置1を用いる方法であり、まず、導入された外気を加熱機110により加熱し、送風ファン100で送風し、かつ、吸引ファン130で吸引することにより熱風を各乾燥室11に供給すると共に、ロール80でシートSを巻き取ることにより、熱風乾燥機10内にシートSを所定の走行速度L[m/h]で通す。
次いで、n番目の乾燥室11より排出された排気ガスの相対湿度H[%]、風量V[m/h]、全圧Ptotal[Pa]、温度T[K]を、湿度計20、風量計30、温度計40、圧力計50により測定する。その後、測定した相対湿度H[%]、風量V[m/h]、全圧Ptotal[Pa]、温度T[K]のデータを演算部60に送信する。
次いで、演算部60にて、風量V[m/h]と相対湿度H[%]と全圧Ptotal[Pa]と温度Tでの飽和水蒸気圧PH2O[Pa]から、上記式(1)〜(5)に基づいて相対積算乾燥強度D[kg/h]を求める。
【0024】
そして、制御部70にて、各乾燥室11の乾燥条件を各々制御して、所定の値に一致するように相対積算乾燥強度D[kg/h]を調整する。その際、制御する乾燥条件としては、例えば、乾燥室に供給する熱風の温度や風量などが挙げられる。熱風温度を制御する方法としては、例えば、バルブの開度を調節して、加熱機110への排気ガスや加熱用スチームの導入量を調節する方法などが挙げられる。また、風量を制御する方法としては、例えば、送風ファン100のインバータ周波数を調節してファン回転数を変更する方法、ダンパ110aの開度を調節する方法などが挙げられる。
【0025】
より具体的には、相対積算乾燥強度D[kg/h]が所定の値より高い場合には、乾燥が過剰であるから、加熱機110への加熱用スチーム量を減らして熱風温度を下げたり、送風ファン100のインバータ周波数を下げてファン回転数を下げたり、ダンパ120aの開度を小さくしたりする。一方、相対積算乾燥強度D[kg/h]が所定の値より低い場合には、乾燥が不足しているから、加熱機110への加熱用スチーム量を増やして熱風温度を上げたり、送風ファン100のインバータ周波数を上げてファン回転数を上げたり、ダンパ120aの開度を大きくしたりする。
【0026】
上記乾燥条件の制御においては、所定の値に完全に一致するように相対積算乾燥強度D[kg/h]を調整しなくてもよい。
また、その所定の値は、基準操業条件における積算除去水分量を基準とし、季節要因などの変動要因で適宜補正することにより求めることが好ましい。
【0027】
上記制御は自動化されていることが好ましい。具体的には、演算部60および制御部70をDCS(Distributed Control System)の中に組み込んで自動化することが好ましい。
【0028】
本実施形態で乾燥されるシートSとしては、例えば、抄紙後の湿紙、支持体上に塗工液が塗布された塗工シートなどが挙げられる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態では、各乾燥室11の乾燥条件を制御して、所定の値に一致するように相対積算乾燥強度D[kg/h]を調整する。ここで、相対積算乾燥強度D[kg/h]は、シート乾燥装置1が行った仕事量を反映した値であり、シートSの表面のみならず、シートSの内部から除去された水分量をも含む全体的な値であるため、水分量の指標として精度の高いものである。したがって、精度の高い水分量に基づいて乾燥条件を制御する本実施形態では、シートSを効率的に、かつ、品質が均一になるように乾燥できる。しかも、相対積算乾燥強度D[kg/h]を用いて乾燥条件を制御することにより、良好な乾燥条件を得るために、試行錯誤を繰り返す必要がなくなる。
【0030】
なお、上述した実施形態では、相対積算乾燥強度を測定し、該相対積算乾燥強度が所定の値になるように各乾燥室の乾燥条件を各々制御したが、本発明では、相対積算乾燥強度が所定の値になるように少なくとも1個の乾燥室について乾燥条件を制御すればよい。また、乾燥室は2個以上であれば、6個以外であってもよい。
また、上述した実施形態では、外気をそのまま利用して熱風を得ていたが、熱風を得るために使用される外気は、あらかじめ除湿あるいは加湿して水分量を制御することが好ましい。外気の水分(すなわち、熱風の水分)を制御すれば、相対積算乾燥強度D[kg/h]における外気の水分量の影響を小さくできるため、より精密な制御が可能になる。
【0031】
また、本発明において、除去水分量MRnを、n番目の乾燥室11から排出された排気ガス中の水分量に近似しない場合には、n番目の乾燥室11に導入される熱風の水分量を測定して、n番目の乾燥室11から排出された排気ガス中の水分量から乾燥室11に導入される熱風中に含まれる水分量を引くことにより求める。n番目の乾燥室11に導入される熱風中の水分量測定方法は、排気ガス中の水分量測定と同様に、実際の操業条件における熱風の質量とその熱風の絶対湿度との積より求められる。熱風の質量とその熱風の絶対湿度は、排気ガスと同様にして測定された熱風の全圧、風量、温度、相対湿度を用いて求められる。
【0032】
(塗工シートの製造方法)
本発明の塗工シートの製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の塗工シートの製造方法は、インクジェット記録用シートを製造する方法であって、支持体上に、微粒子とバインダを含む塗工液を塗布して塗工層であるインク受容層を設ける塗工工程と、前記インク受容層を有するシートを上述したシート乾燥方法により乾燥する乾燥工程とを有する方法である。
【0033】
前記塗工工程における支持体としては、透気性支持体、非透気性支持体のいずれでも使用できる。具体的な支持体としては、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類、金属フォイル、合成紙などのシート類が例示される。
【0034】
塗工液に含まれる微粒子としては、例えば、非晶質シリカ、非晶質シリカとカチオン性化合物を混合し凝集させることによって得られる非晶質シリカ−カチオン性化合物凝集体粒子、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナおよびアルミナ水和物、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられる。
バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、澱粉、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアクリルアミド及びポリビニルピロリドン等が挙げられる。また、バインダとして、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックスなどの水分散性樹脂を用いることもできる。
【0035】
塗工方法としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドビードコーター等が挙げられる。
【0036】
本実施形態のインクジェット記録用シートの製造方法では、乾燥工程後に、光沢を高めるためのキャスト工程を有していてもよい。
【0037】
上記実施形態では、上述したシート乾燥方法を適用するため、品質が均一なインクジェット記録用シートを効率的に製造できる。また、キャスト工程を有する場合には、不均一な乾燥に基づく、キャストドラムの汚れを防止することができる。
【0038】
なお、本発明の塗工シートの製造方法では、インクジェット記録用シート以外の塗工シートを製造することができる。例えば、感熱記録シート、熱転写受像シート、磁気記録シートなどの記録用シート、印刷用シートなどを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のシートの乾燥装置の一実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0040】
1 シート乾燥装置、10 熱風乾燥機、11 乾燥室、20 湿度計、30 風量計、40 温度計、50 圧力計、60 演算部、70 制御部、80 ロール、90 ダクト、100 送風ファン、110 加熱機、120a,120b ダンパ、130 吸引ファン、S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風が導入されるL個(Lは2以上の整数)の乾燥室を有する熱風乾燥機によりシートを乾燥するシート乾燥方法において、
少なくとも1個の乾燥室の乾燥条件を制御して、下記の相対積算乾燥強度D[kg/h]を調整することを特徴とするシート乾燥方法。
相対積算乾燥強度D[kg/h]とは、実際の操業条件における、n番目(nは1〜Lまでの整数)の乾燥室から排気された排気ガスの相対湿度H[%]と、前記排気ガスの単位時間あたりの風量V[m/h]と、前記排気ガスの温度T[K]と、前記排気ガスの全圧Ptotal[Pa]とを用いてn番目の乾燥室での除去水分量MRnを求め、該除去水分量MRnを全ての乾燥室について積算した積算除去水分量と、基準操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]と、実際の操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]とから、式(1)に基づいて求められる値である。
【数1】

【請求項2】
前記乾燥条件が、乾燥室に導入される熱風の温度および/または風量である請求項1に記載のシート乾燥方法。
【請求項3】
熱風が導入されるL個(Lは2以上の整数)の乾燥室を有し、シートを乾燥する熱風乾燥機と、
実際の操業条件にてn番目(nは1〜Lまでの整数)の乾燥室から排出された排気ガスの相対湿度H[%]を測定する湿度計と、
前記排気ガスの単位時間あたりの風量V[m/h]を測定する風量計と、
前記排気ガスの温度T[K]を測定する温度計と、
前記排気ガスの全圧Ptotal[Pa]を測定する圧力計と、
前記排気ガスの相対湿度H[%]、温度T[K]、全圧Ptotal[Pa]を用いてn番目の乾燥室での除去水分量MRnを求め、該除去水分量MRnと基準操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]と実際の操業条件における乾燥前のシート水分量A[kg/h]とから、式(1)に基づいて、相対積算乾燥強度D[kg/h]を求める演算部と、
演算部にて求められた相対積算乾燥強度D[kg/h]を、少なくとも1個の乾燥室の乾燥条件を制御して調整する制御部とを備えることを特徴とするシート乾燥装置。
【数2】

【請求項4】
支持体上に塗工液を塗布して、塗工層を有するシートを得る塗工工程と、
前記塗工層を有するシートを請求項1または2に記載のシート乾燥方法により乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする塗工シートの製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2007−78246(P2007−78246A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266454(P2005−266454)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】