説明

シート処理装置、及びこれを備えた画像形成システム

【課題】用紙厚さや折りモードに対応した正確な排紙トレイへの残りの積載可能な用紙枚数を算出可能とする。
【解決手段】排紙トレイ8のホームポジションHPから排紙トレイ8の現在位置までの距離と、距離センサ20を用いて積載された用紙Pの折り重ね部Xまでの距離を測定、算出する。これら距離と用紙積載上限位置Hまでの距離とを比較し、これらの距離が不一致であれば排紙トレイ8を一定距離だけ上下に移動させる。これを、算出した距離と用紙積載上限位置Hまでの距離が一致するまで行う。その後、用紙厚さ情報、用紙折りモード情報等を用いて、排紙トレイ8上への積載可能な用紙の残り枚数を換算、算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と組み合わせて用いるシート処理装置と、少なくともこのシート処理装置を画像形成装置と組み合わせて構成する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタや、これらの2つ以上の機能を併せ持つ複合機のような画像形成装置にシート処理装置を接続した画像形成システムでは、最近、画像形成装置で画像形成された用紙に対し、針綴じ処理や折り処理を施す等の処理機能を有するシート処理装置を接続するシステムが提案されている。このようなシステムで用いられるシート処理装置で行う折り処理には二つ折りやZ折りなど多種多用な折りが提案されている。
【0003】
このようなシート処理装置では、折り等の処理を施された用紙をシート処理装置の排紙トレイ上に順次積載していく。そのため、排紙トレイには、積載された用紙枚数に応じて上下方向に可動としたものが用いられることが多い。
【0004】
一方、従来から排紙トレイ上に積載可能な枚数を超えて複写、プリント等の画像形成が行われる場合には、上述のようなシート処理装置を備えた画像形成システムでは、シート処理装置の排紙トレイ上の積載可能枚数以上のコピー枚数が設定されたりしたとき、画像形成装置やシート処理装置そのものから、使用者、操作者に対する警告を発して画像形成装置における画像形成動作を禁止するものがある。また、排紙トレイに積載した画像形成後の用紙が一杯になるまでは画像形成装置において画像形成を行わせた後、画像形成装置やシート処理装置に警告表示を出し、使用者、操作者に知らせるものや、シート処理装置の排紙トレイに積載した転写紙が積載可能枚数に到達すると、シート処理装置内での排紙経路を切り換えて別の排紙トレイに積載させるものもある。さらには、シート処理装置の排紙トレイに転写紙が既に積載されていたとしても画像形成動作の開始前に排紙トレイの積載可能枚数を表示できたりするものや、複写機能を有するシステムであれば複写する原稿の枚数から排紙トレイに積載不可能かどうかを判断して、積載不能な場合に警告を出したりするもの等も知られている。
【0005】
しかしながら、従来の上述のような後処理紙装置での残り積載可能枚数の表示や警告は、複写される用紙の厚さや折りモード(二つ折り、Z折り等)について考慮されておらず、積載可能な用紙の枚数を換算したときに用いた用紙厚さ情報よりも、実際には厚い用紙、または薄い用紙が使用されてしまった場合は、残りの積載可能な枚数と実際の積載可能な枚数に違いが生じ、正確性を欠くという問題があった。
【0006】
また、折りを施した用紙を排紙トレイに積載する場合には、折りを施さないで積載した用紙と比較すると、折り重ね部が膨らんで積載されているため、やはり積載可能枚数の表示や警告が、実際の積載可能な枚数との関係で正確性を欠くという問題があった。
【0007】
なお、特許文献1には、排紙トレイに転写紙が既に収納されていたとしても、複写開始前に排紙トレイの積載可能枚数を表示したり、複写原稿の枚数と複写部数の入力から収納不可能の場合警告を出したりして、ユーザーが対応しなければいけない無駄な時間を防止することができる画像形成装置を提供する目的で、排出された転写紙を積載する上下方向可動型の排紙トレイを備えた画像形成装置において、可動型の排紙トレイの上下方向位置を検知する位置検知手段と、位置検知手段の検出結果に基づいて排紙トレイ上の積載枚数を判別する判別手段と、判別手段により判別された積載枚数と予め設定された最大積載枚数から残りの積載可能枚数を計算する積載計算手段と、積載計算手段により算出された残りの積載可能枚数を表示させる積載表示手段とを備えた画像形成装置、及び複写原稿の枚数と複写部数と入力する入力手段と、入力手段の入力結果から使用する転写紙の枚数を計算する転写紙計算手段とを備え、転写紙計算手段により得られた使用転写紙枚数が積載計算手段により算出された残りの積載可能枚数を超えた場合に警告を出す警告手段と、を備えた画像形成装置が開示されている。
【0008】
すなわち、画像形成開始前に排紙トレイ上への残りの積載可能枚数を表示するものであるが、画像形成後の用紙に折りを施そうとしたり、異なる厚さの用紙を画像形成に用いた場合には、やはり、正確な残りの積載可能枚数を表示して使用者、操作者に知らせることが難しいという点は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、画像形成する用紙に折りを施したり、異なる厚さの用紙に画像形成しようとする場合に、画像形成動作の開始前に、使用者、操作者が、シート処理装置の排紙トレイ上への残りの積載可能枚数を正確に把握可能とし、また使用者、操作者に対して正確に警告することが可能なシート処理装置と、これを備えた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のシート処理装置は、少なくとも用紙の折り処理が可能なシート処理装置であって、用紙を積載する上下方向に可動の排紙トレイと、該排紙トレイの上方に設けられ、該排紙トレイの方向に光を照射する照射部及び該照射部から照射された光の反射光を受光する受光部を有する距離センサと、を備えたシート処理装置において、前記距離センサの前記照射部から照射する光の照射位置を、前記排紙トレイ上に積載された折り処理された用紙の折り重ね部とし、前記距離センサの前記受光部の出力から前記距離センサと前記用紙の折り重ね部あるいは該用紙の折り重ね部に対応する位置の前記排紙トレイの上面との距離を算出する距離算出手段と、該距離算出手段により求めた距離と、予め設定された用紙積載上限位置までの前記距離センサからの距離が一致するように前記排紙トレイを上下方向に移動させる排紙トレイ制御手段と、前記排紙トレイのホームポジション位置から現在位置までの前記排紙トレイの移動距離を算出する移動距離算出手段と、該移動距離算出手段で求めた移動距離から、前記用紙積載上限位置までの残りの積載可能な用紙の枚数を換算して算出する積載可能枚数換算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、用紙厚さや折りモードに対応した正確な排紙トレイへの残りの積載可能な用紙枚数を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】シート処理装置を接続した複写機としての画像形成システムの構成概略例を示す図
【図2】従来のシート後処理装置の用紙積載高さの検知方法について説明するための図
【図3】本発明に係るシート処理装置の一実施形態を示す図
【図4】図3に示す実施形態に係るシート後処理装置の排紙トレイの上下動について示す図
【図5】図3に示す実施形態に係るシート後処理装置の制御フロー図
【図6】シート後処理装置において排紙、積載される用紙の折り形態について示す参考図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、シート処理装置を接続した複写機としての画像形成システムの構成概略例を示す図である。図1のシステムでは、原稿画像を読み取って電気信号に変換するスキャナ1、スキャナ1に原稿を1枚ずつ搬送する原稿処理装置2、スキャナ1によって読み取られた画像電気信号を給紙装置3から給紙した用紙に形成する画像形成部4からなる画像形成装置5と、シート処理装置群からなる。画像形成装置5によって画像形成された用紙は、シート処理装置群の一つである折り装置6によって折り加工され、シート後処理装置7に搬送され、シート後処理装置7で整合、ステープル処理等を施された後、シート後処理装置7の排紙トレイ8に排紙、積載される。本例においては、折り装置6とシート後処理装置7とがシート処理装置に該当する。
【0014】
折り装置6では、画像形成装置5から排出された用紙を折り処理、例えばZ折りし、シート後処理装置7に搬送する。シート後処理装置7では、そのような用紙に整合、ステープル処理等を施し、排紙トレイ8上に積載する。積載された用紙が折り用紙の場合には、用紙の折り重ね部と、折り重ね部以外の部位では積載高さが違ってくる。特にZ折りした用紙ではそれが顕著である。
【0015】
図2(A)は参考のため従来のシート後処理装置7の構成を示す。図示のとおり、従来の構成では排紙ローラ対9により排紙トレイ8上に用紙P(図示の例はZ折りした用紙)が積載されていくと、フィラー10が持ち上げられ、フィラー10の一端に取り付けた反射板(図示せず)が紙面センサ11の出力状態を変化させ、紙面センサ11の出力状態の変化を受けて、排紙トレイ8を下降方向に動作させる。そして再び紙面センサ11の出力の反転状態を検知すると動作を停止させ、それにより排紙トレイ8上に積載された用紙Pの最上位紙の紙面の位置を検出する。フィラー10による排紙トレイ8上の紙面検知位置は、排紙トレイ8の排紙ローラ対9とは反対側、すなわち排紙方向で先側を検出部位にするとフィラー10が大型化するため、用紙Pの折り重ね部X以外の部位でかつ排紙トレイ8の排紙ローラ対9側の紙面を検知している。折り処理を施さない用紙を積載するときにもそのほうが都合が良いという点もある。
【0016】
ところがそのような部位で用紙積載高さを判定し、その情報を基に残りの積載可能枚数を算出していると、正確な残り積載可能枚数を算出できず、用紙積載上限位置Hを超えて用紙を積載してしまう可能性がある。また図2(B)に示すとおり、折り重ね部Xが排紙ローラ対9からの用紙の排出口よりも高い位置に位置することになると、そのような状態が次の用紙を排出するときの障害になり、ジャムになる可能性がある。
【0017】
図2(C)は、Z折りを施した用紙の説明図である。図中点線で囲んだ範囲aが上述した折り重ね部Xに対応する。
【0018】
図3は本発明に係るシート処理装置の一実施形態を示す図である。本実施形態では、距離センサ20を用いて積載された用紙P(Z折り)の折り重ね部Xまでの距離、さらに具体的には、距離センサ20と用紙Pの折り重ね部Xの最上位紙の紙面との間の距離を測定する。そして、測定した距離と予め設定された用紙積載上限位置Hが一致するように排紙トレイ8を上下方向に移動させる。図3では最上位紙の折り重ね部Xの紙面と用紙積載上限位置Hが一致した状態を示している。なお、距離センサ20は、排紙トレイ8の方向に光を照射する照射部及びこの照射部から照射された光の反射光を受光する受光部を有するが、これら照射部、受光部については図示を省略してある。また距離センサ20には、例えば発、受光素子から構成される公知のセンサ等、種々公知の光センサ、フォトセンサ等と称されるものを用いることができる。
【0019】
次に、排紙トレイ8のホームポジションHPから現在の排紙トレイ8の位置までの移動距離を算出する。排紙トレイ8の上下方向の移動は、例えば駆動モータ(図示しない)等を用いて行う。駆動モータには例えばエンコーダ(図示しない)を付加し、排紙トレイ8の移動量に応じた信号パルスを図示しない制御装置に対して出力するようにしている。そして、排紙トレイ8のホームポジションHPを起点にした排紙トレイ8の移動量に応じた信号パルスから、排紙トレイ8の移動距離を算出する。
【0020】
算出した排紙トレイ8の移動距離から、すなわち排紙トレイ8上への残りの用紙積載可能な距離(高さ)がわかる。この残りの用紙積載可能な距離情報を基に、用紙Pの厚さ、折りモードに応じて残り用紙積載可能な枚数を算出することで、正確な残り積載可能枚数を算出することができる。また積載された用紙Pの最高部位(折り重ね部)を用紙積載上限位置に合わせることで、次に排紙されてくる用紙Pが排出時にジャムになることがないようにしている。
【0021】
<残り積載可能枚数の算出方法>
移動距離が50mm、用紙厚さが0.5mmの場合の残り積載可能枚数の算出について説明する。この場合、
残り積載可能枚数=50mm(移動距離)÷0.5mm(用紙厚さ)=100枚
となる。
上述の条件に加え、図6(A)に示すような折りモードがZ折りの場合は、
残り積載可能枚数=50mm(移動距離)÷{0.5mm(用紙厚さ)×3(折り重ね部)}=33枚
なお折りモードが図6(B)に示すような二つ折りの場合、上述の条件に加え、
残り積載可能枚数=50mm(移動距離)÷{0.5mm(用紙厚さ)×2(折り重ね部)}=50枚
となる。ただし、これは一例であり、本発明は上述の数値により規定される状態には限定されない。
【0022】
図4は、図3に示した実施形態に係るシート後処理装置7の排紙トレイ8の上下動の状態について説明する図である。
本実施形態では、測定した距離と予め設定された用紙積載上限位置Hが一致するように排紙トレイ8を上下方向に作動させる。その動作を図4(A)〜(C)を用いて説明する。
【0023】
図3で示すように、用紙Pの折り重ね部Xが用紙積載上限位置Hと一致している状態のときに、次のZ折りした用紙Pが排出されたとする。すると、既に積載されている用紙Pの上にスタックされる。このスタックされた用紙Pの分だけ用紙積載高さが高くなる。そこで、これを距離センサ20で検出し、用紙積載上限位置Hを超えた場合(図4(A))には、排紙トレイ8を下降させ、折り重ね部Xと用紙積載上限位置Hとを一致させる。
【0024】
そして図4(C)に示すように、距離センサ20で検出する用紙Pの最上位紙の折り重ね部Xまでの距離が、距離センサ20から用紙積載上限位置Hまでの距離に一致する所まで排紙トレイ8を下降させ、一致したら排紙トレイ8の下降を停止させる。
【0025】
また図4(B)で示すように、排紙トレイ8を下降させ過ぎて用紙積載上限位置Hを越えて下降させてしまった場合、排紙トレイ8を上昇(下降から上昇に切り換える)させる。そして図4(C)に示すように、用紙積載上限位置Hまでの距離と積載された用紙Pの折り重ね部Xとが一致するまで排紙トレイ8を昇降させ、一致したら排紙トレイ8の昇降動作を停止させる。このように排紙トレイ8の上昇と下降を繰り返し行うことで、用紙積載上限位置Hと積載された用紙Pの最も高い位置にある面(図示の例ではZ折りした用紙Pの折り重ね部X)の位置を一致させることができる。折り処理していない用紙Pであれば、最上位紙の上面のほぼ全体が用紙積載上限位置Hと位置が一致する。
【0026】
図5は、本実施形態に係るシート後処理装置の制御フロー図である。この図を用いて本実施例の動作を説明する。
ステップ1(S1)で、排紙トレイ8のホームポジションHPから排紙トレイ8の現在位置までの距離を算出する(例えば、ホームポジションHPから排紙トレイ8の現在位置までの距離を100mmとする)。次に、ステップ2(S2)で、距離センサ20を用いて積載された用紙Pの折り重ね部Xまでの距離を測定、算出する。
【0027】
そして、ステップ3(S3)で、算出した距離と予め設定された用紙積載上限位置Hまでの距離とを比較し、これらの距離が一致しているか否かを判定する。距離が一致していない場合はステップ4(S4)に進み、用紙積載上限位置Hまでの距離が算出した距離より長い場合にはステップ5(S5)へ進み、短い場合は、ステップ6(S6)へ進む。
【0028】
ステップ5(S5)では、排紙トレイ8をある一定距離(例えば、5mm)だけ下降させる。ステップ6(S6)では、排紙トレイ8をある一定距離(例えば、1mm)だけ上昇させる。ステップ5(S5)またはステップ6(S6)で排紙トレイ8を一定距離だけ上下に移動させた後、ステップ2(S2)に戻り、再度用紙Pの折り重ね部Xまでの距離を測定、算出し、ステップ3(S3)で、算出した距離と予め設定された用紙積載上限位置Hまでの距離を比較し、距離が一致しているか否かを判定する。
【0029】
以後、算出した距離と予め設定された用紙積載上限位置Hまでの距離が一致するまでステップ2(S2)からステップ5(S5)もしくはステップ6(S6)までの処理を継続する。この場合、例えば、下降を1回、上昇を3回実施したら一致したものとするという設定を採用することもできる。誤差が小さくなれば、完全に一致していなくても良いとするものである。
【0030】
次に、ステップ3(S3)で、算出した距離と予め設定された用紙積載上限位置Hまでの距離が一致したと判定した場合は、ステップ7(S7)に進む。ステップ7(S7)では、排紙トレイ8のホームポジションHPから現在停止している位置までの距離を算出する。上記例では、100mm−5mm+(1mm×3(回))=98mmと算出される。
【0031】
次にステップ8(S8)に進み、画像形成装置より用紙厚さ情報を取得する。それからステップ9(S9)に進み、画像形成装置より用紙折りモード情報を取得する。そしてステップ10(S10)へ進み、排紙トレイ8の移動距離から用紙厚さ情報、及び用紙折りモード情報を用いて、排紙トレイ8上への積載可能な用紙の残り枚数を換算、算出する。なお、用紙の厚さを枚数算出のための一つの情報として採用すれば、用紙の厚さが異なるものが用いられても、正確な残りの積載可能枚数を換算、算出できる。
【0032】
次いでステップ11(S11)に進み、換算、算出した積載可能な用紙の残り枚数を画像形成装置の表示部に表示し、正確な残り積載可能枚数を使用者、操作者に知らせることを可能とする。さらにステップ12(S12)へ進み、画像形成装置で設定された転写する用紙Pの枚数と残り積載可能な枚数を比較し、これから転写する用紙Pの枚数が残り積載可能な枚数を超えた場合、ステップ13(S13)で警告出力手段により警告を出力する。警告は、実使用状況に合致したものとなる。転写する用紙の枚数が残り積載可能な枚数より少ない場合は、警告を出力することなく処理を終了する。
【0033】
図6は、参考のために、この種のシート後処理装置において排紙、積載される用紙の折り形態について示す図である。
図6(A)は、図2(C)にも示したZ折りを施した用紙の説明図である。図6(A)の符号aで囲まれた範囲が折り重ね部Xである。図示の折り方は、用紙Pを用紙の搬送方向中央部で山折りを施し、さらに、山折りを施した部分の用紙搬送方向中央部で谷折りを施した外三つ折りである。そして本実施形態では、このような折り重ね部Xの上面に光を照射し、その反射光で距離を測定している。折り処理を施していない用紙や、Z折り以外の処理を施した用紙の場合でも、この折り重ね部Xに相当する部位に向かって照射部から光を照射することになる。
【0034】
図6(B)は、二つ折りを施した用紙Pの説明図である。図6(B)の符号bで囲まれた範囲が折り重ね部Xであり、用紙Pを搬送方向中央部で折り返す山折りを施してある。そして、この折り重ね部に向かって照射部から光を照射する。
【0035】
以上説明してきたように、本発明の実施形態に係るシート後処理装置、及びこれを備えた画像形成システムでは、シート後処理装置の排紙トレイ上に積載可能な用紙の残り枚数を算出し、表示、警告等を行う処理に際して、排紙トレイのホームポジション位置から現在の排紙トレイの位置までの移動距離と、用紙厚さ情報と、用紙折りモード(二つ折り、Z折りなど)情報とから、残りの積載可能枚数を正確に換算、算出しようとするものである。もちろん、積載可能枚数を算出するために用いる情報には上述したものが必須であるというものではなく、用いずに単に排紙トレイの移動距離だけから算出することや、他の種々の情報をも加味して算出するなど、種々の算出手法を採用できる。
【0036】
すなわち本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 :スキャナ
2 :原稿処理装置
3 :給紙装置
4 :画像形成部
5 :画像形成装置
6 :装置
7 :シート後処理装置
8 :排紙トレイ
10 :フィラー
11 :紙面センサ
20 :距離センサ
H :用紙積載上限位置
HP :ホームポジション
P :用紙
X :折り重ね部
a :Z折りでの折り重ね部
b :山折りでの折り重ね部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特開平9−240917号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも用紙の折り処理が可能なシート後処理装置であって、
用紙を積載する上下方向に可動の排紙トレイと、
該排紙トレイの上方に設けられ、該排紙トレイの方向に光を照射する照射部及び該照射部から照射された光の反射光を受光する受光部を有する距離センサと、
を備えたシート後処理装置において、
前記距離センサの前記照射部から照射する光の照射位置を、前記排紙トレイ上に積載された折り処理された用紙の折り重ね部とし、
前記距離センサの前記受光部の出力から前記距離センサと前記用紙の折り重ね部あるいは該用紙の折り重ね部に対応する位置の前記排紙トレイの上面との距離を算出する距離算出手段と、
該距離算出手段により求めた距離と、予め設定された用紙積載上限位置までの前記距離センサからの距離が一致するように前記排紙トレイを上下方向に移動させる排紙トレイ制御手段と、
前記排紙トレイのホームポジション位置から現在位置までの前記排紙トレイの移動距離を算出する移動距離算出手段と、
該移動距離算出手段で求めた移動距離から、前記用紙積載上限位置までの残りの積載可能な用紙の枚数を換算して算出する積載可能枚数換算手段と、
を備えることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
請求項1のシート後処理装置において、
前記積載可能枚数換算手段は、前記用紙積載上限位置までの残りの積載可能な用紙の枚数を、前記移動距離算出手段で求めた移動距離と前記用紙の厚さ情報とに基づき換算して算出することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項3】
請求項1のシート後処理装置において、
前記積載可能枚数換算手段は、前記用紙積載上限位置までの残りの積載可能な用紙の枚数を、前記移動距離算出手段で求めた移動距離と前記用紙の二つ折りやZ折り等の折りモードの情報に基づき換算して算出することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのシート後処理装置において、
前記積載可能枚数換算手段で換算、算出した積載可能枚数と、画像形成装置から送られてくる画像形成済みの用紙の枚数とを比較し、前記画像形成装置から送られてくる用紙の枚数が前記算出した積載可能枚数を超えるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段で判定した結果、前記画像形成装置から送られてくる用紙の枚数が前記算出した積載可能枚数を超えると判定された場合に警告を出す警告手段と、
を備えたことを特徴とするシート後処理装置。
【請求項5】
請求項4のシート後処理装置において、
前記判定手段は、前記積載可能枚数換算手段で換算、算出した積載可能枚数と、画像形成装置から送られてくる画像形成済みの用紙の枚数との比較に、用紙の厚さ情報または用紙の折りモード情報を組み合わせて前記算出した積載可能枚数を超えるか否かを判定する、ことを特徴とするシート後処理装置。
【請求項6】
画像形成装置と、請求項1から5のいずれかのシート後処理装置とを備えてなることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項6の画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置に表示手段を有し、
前記シート後処理装置の前記積載可能枚数換算手段で換算、算出した積載可能枚数を前記表示手段で表示可能とした、
ことを特徴とする画像形成システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−82537(P2013−82537A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223771(P2011−223771)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】