シート搬送装置および記録装置
【課題】 残留した記録シートを適切なルートで排出することができる記録装置を提供する。
【解決手段】 シートを搬送方向に搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートを案内し、前記第1の搬送手段に導く搬送路と、前記搬送路においてシートを搬送する第2の搬送手段と、前記第2の搬送手段の回転方向を検出する回転方向検出手段と、起動時に、前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動し、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出したときに、前記第2の搬送手段を前記回転方向検出手段が検出した回転方向に回転するように駆動する制御手段と、を有するシート搬送装置である。
【解決手段】 シートを搬送方向に搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートを案内し、前記第1の搬送手段に導く搬送路と、前記搬送路においてシートを搬送する第2の搬送手段と、前記第2の搬送手段の回転方向を検出する回転方向検出手段と、起動時に、前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動し、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出したときに、前記第2の搬送手段を前記回転方向検出手段が検出した回転方向に回転するように駆動する制御手段と、を有するシート搬送装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体を搬送するシート搬送装置、およびシート搬送装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された記録装置においては、電源が投入されたときにセンサが記録紙を検知したときは排紙処理を行う。センサが記録紙を検知しない場合で、前回の記録が正常終了しているときは排紙処理を行わない。正常終了でないときは、所定量搬送装置を駆動し、センサが記録紙を検知したら排紙処理を行い、検知しない場合は排紙処理を行わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−106040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1では記録シートの排出方向は1方向しかないが、排出方向が複数考えられる場合、引用文献1の方法では適切な排出方向を判断することはできない。
【0005】
本発明は、残留した記録シートを適切なルートで排出することができる記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための構成は、シートを搬送方向に搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートを案内し、前記第1の搬送手段に導く搬送路と、前記搬送路においてシートを搬送する第2の搬送手段と、前記第2の搬送手段の回転方向を検出する回転方向検出手段と、起動時に、前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動し、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出したときに、前記第2の搬送手段を前記回転方向検出手段が検出した回転方向に回転するように駆動する制御手段と、を有するシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0007】
残留した記録シートを適切なルートで排出することができる記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態である本体断面図。
【図2】実施形態の本体斜視図。
【図3】実施形態の本体斜視図。
【図4】記録シート反転機構を示す断面図。
【図5】搬送ローラ、排紙ローラの駆動構成を示す左斜視図。
【図6】搬送ローラ、排紙ローラの駆動構成を示す右斜視図。
【図7】両面搬送ローラ、給紙搬送ローラの駆動構成を示す斜視図。
【図8】制御系の主要部を示す図。
【図9】記録装置の動作を説明するための図。
【図10】記録装置の動作を説明するための図。
【図11】記録装置の動作を説明するための図。
【図12】記録装置の動作を説明するための図。
【図13】実施形態の制御を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
まず、図1〜図7を用いて記録装置機構部を説明する。
印字部での記録ヘッド1を搭載したキャリッジユニットの構成について説明する。キャリッジ7は、記録シートの搬送方向に対して略直角方向に往復移動して記録シートに印字を行う。キャリッジ7には記録ヘッド1およびインクタンク6が搭載されており、インクタンク6は記録ヘッド1に、記録ヘッド1はキャリッジ7に位置決めされている。キャリッジ7の上部はキャリッジシャーシ12によって摺動可能にガイドされ、位置決めされている。キャリッジ7の下側は、キャリッジシャーシ12に固定されたキャリッジレール13によって摺動可能にガイドされ、位置決めされている。
【0011】
キャリッジ7は、キャリッジシャーシ12、キャリッジレール13に沿って記録シートの搬送方向に対して略直角方向に移動する。キャリッジ7はタイミングベルト14に連結され、キャリッジシャーシ12に取り付けられたキャリッジモータ15がタイミングベルト14を駆動することによってキャリッジは移動する。
【0012】
次に給紙部及び排紙部の構成について説明する。記録シートは、給紙部ユニット51に積載され、給紙ローラ27と分離ローラ28のニップ部で1枚ずつ分離搬送され、搬送ローラ3へと搬送される。搬送ローラ3には、ピンチローラ16が、不図示のばね部材を介してして加圧され、従動回転する。第1の搬送手段である搬送ローラ3は記録シートを搬送する各ローラの中で最も搬送力が大きく、記録装置の搬送精度を司っている。
【0013】
ピンチローラ16は、ピンチローラホルダ17に保持されている。給紙ローラ27によって給送された記録シートは、ピンチローラホルダ17と、紙ガイド40と、紙ガイドフラッパ41の紙ガイド部にガイドされ搬送ローラ3と、ピンチローラ16のニップ部に搬送される。
【0014】
搬送ローラ3によって記録シートはさらに所定の搬送方向に搬送され、印字部で記録シートを位置決め保持するプラテン2に保持され、第二排紙ローラ5と、第一排紙ローラ4へと搬送される。第二排紙ローラ5には、第二ピンチローラ(拍車)22が加圧され、搬送力を与えて従動回転する。同様に、第一排紙ローラ4には、第一ピンチローラ(拍車)21が加圧され、搬送力を与えて従動回転する。第一ピンチローラ(拍車)21と、第二ピンチローラ(拍車)22は、ピンチローラ(拍車)ホルダ23に保持されている。
【0015】
裏面の印字データがない場合、印字部で印字された記録シートは、排出手段である第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4により排紙部へ排出され印字動作を終了する。
【0016】
両面印字の搬送について図4を用いて説明する。印字部で第1の面である表面を印字された記録シートは、表面の印字が終了すると、搬送ローラ3、第一排紙ローラ4、第二排紙ローラ5を逆回転させ、記録シートを所定の搬送方向とは逆方向に搬送する。この逆回転動作に連動して、紙ガイドフラッパ41を上方に回動移動させ、逆側に搬送された記録シートを、紙ガイドフラッパ41の下方に案内する。搬送される記録シートは、外側両面ガイド382と内側両面ガイド392によって形成される搬送路であるシート反転搬送路に案内される。シート反転搬送路に案内された記録シートは両面搬送ローラ32と、ピンチローラ33のニップに挟持されて、第2両面搬送ローラ30とピンチローラ31へ搬送される。この後は、紙ガイド40、紙ガイドフラッパ41、ピンチローラホルダ17の紙ガイド部に案内され、搬送ローラ3へと搬送される。
【0017】
次に印字部に記録シートが搬送され、第2の面である裏面の印字が行われ、表裏の両面の印字が行われる。このような両面印字のための記録シート反転搬送路を搬送路とする。記録シート反転搬送路はガイドフラッパ41の下方の入口から入ったシートの表裏を反転し、紙ガイド40の下流端の出口までの環状の搬送経路である。また、シート反転搬送路において記録シートを搬送する両面搬送ローラ32、ピンチローラ33、第2両面搬送ローラ30、ピンチローラ31は第2の搬送手段を構成する。
【0018】
印字部で記録された記録シートは、第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4により排紙部へ排出され印字動作を終了する。
【0019】
次にフロント給紙部について説明する。フロント給紙カセット36に積載された記録シートは、フロント給紙ローラ34により、装置本体の前から奥側へと搬送される。フロント給紙ローラ34により搬送力が付与された記録シートは、フロント給紙分離ガイド37によって最上位の記録シートだけが分離されて搬送される。フロント給紙ローラ34により送り出された記録シートは、自重により回動自在に設置された両面フラッパ381を押し上げ、外側Uターンガイド38と、内側Uターンガイド39の紙ガイド部に案内される。記録シートは、給紙搬送ローラ30とピンチローラ31に挟持されてさらに搬送され、搬送ローラ紙ガイド40、紙ガイドフラッパ41、ピンチローラホルダ17の紙ガイド部に案内され、搬送ローラ3へと搬送される。このようなフロント給紙のための記録シート給紙搬送路を第二の搬送路とする。搬送路と第二の搬送路とは、両面フラッパ381以降の搬送路を共有している。
【0020】
本実施形態は給紙部を給紙部ユニット51とフロント給紙部とを有しているが、給紙部はフロント給紙部のみでも良い。
【0021】
次に、記録シート検出センサ305について説明する。記録シート検出センサ305は、搬送ローラ3とピンチローラ16とのニップ近傍で記録シート搬送方向の上流側に配設されている。記録シート検出センサ305は直接またはレバーなどを用い間接的に記録シートの有無を検出する。センサの種類はフォトインタラプタなどを用いるがこれに限らない。本実施形態においては、通過する記録シートの先端がばねで付勢された記録シート検出レバー306を回動させ、記録シート検出センサ305のフォトインタラプタの光路を遮蔽状態から開放することによって記録シートの有無を検出する。
【0022】
次に、搬送ローラ3、第一排紙ローラ4、第二排紙ローラ5の駆動構成について図3、図5、図6を用いて説明する。搬送ローラモータ20から、搬送駆動タイミングベルト19を介して、搬送ローラ3に固定された搬送ローラギア18に駆動が伝達される。次に、搬送ローラギア18から排紙駆動ギア26を介して、第一排紙ローラ4に固定された第一排紙ローラギア24に駆動が伝達される。第二排紙ローラ5へは、プラテン2上に配置された排紙アイドラギア(不図示)を介して、プラテン2上に配置された第二排紙ローラ5へと駆動が伝達される。搬送ローラ3と第一排紙ローラ4とには夫々にはローラの回転角度検出手段である搬送ローラコードホイール121、排紙ローラコードホイール122が設けられている。各々のコードホイールに対してそのマーキングを読み取る搬送ローラエンコーダセンサ116、排紙ローラエンコーダセンサ117が設けられている。
【0023】
次に、両面搬送ローラ32、給紙搬送ローラ30の駆動構成について図7を用いて説明する。給紙・回復系・搬送モータ46から、両面搬送ギア118を介して、両面搬送ローラ32に固定された両面搬送ローラギア119および給紙搬送ローラ30に固定された給紙搬送ローラギア120に駆動が伝達される。回転体である両面搬送ギア118の軸上には両面搬送ローラ32および給紙搬送ローラ30の搬送量を検出する為の両面搬送ローラコードホイール123が設けられている。両面搬送ローラコードホイール123のマーキングを読み取る両面搬送ローラエンコーダセンサ124が本体側に設けられている。両面搬送ローラコードホイール123と両面搬送ローラエンコーダセンサ124は回転方向検出手段を構成する。本実施形態において給紙搬送ローラ30と両面搬送ローラ32は同一駆動源であるが、これに限らない。また、記録シート反転搬送路における両面搬送ローラは単一でも複数でもよく、複数の場合に共通の駆動源によって駆動されていても個別の駆動源によって駆動されても良い。
【0024】
次に、記録ヘッドの吐出を維持安定させる回復ユニット50と、給紙、搬送、回復ユニットへの駆動を切換える駆動切換えユニット45について説明する。回復ユニット50は本体の右前部に配置され、記録ヘッド1の待機ポジションに相対する位置に配置されている。駆動切換えユニット45は、本体の右奥に配置され、給紙、搬送、回復ユニットは給紙・回復系・搬送モータ46より駆動を受ける。これらへの駆動の切換は、不図示の切換え手段で伝達の連結を変えることで駆動を切換える。
【0025】
次に、図8を参照し、上記構成の記録装置記録機構部の制御系主要部として制御手段としての制御部1750と主電源部1900の構成を説明する。
【0026】
図8において、1700はインタフェースであり、コンピュータ、デジタルカメラ、スキャナ等適宜の形態を有するホスト装置1000から送られてくるコマンドや画像データを含む記録信号を受信する。さらにインターフェース1700は、ホスト装置1000に対しては必要に応じ記録装置のステータス情報を送出する。
【0027】
1750は制御部であり、次の各部を有する。制御部1750において、1701はMPUであり、ROM1702に記憶された図13のような後述する処理手順に対応した制御プログラムや所要のデータに従ってプリンタ内の各部を制御する。1703は各種データを保存しておくDRAMである。1704は記録ヘッド1に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インタフェース1700、MPU1701およびDRAM1703間のデータ転送制御も行う。1726は所要のデータを記録装置の電源オフ時にも保存しておくためのEEPROM等の不揮発性メモリである。
【0028】
1705、1706および1707は、それぞれ、給紙・回復系・搬送モータ46、搬送ローラモータ20およびキャリッジモータ15を駆動するためのモータドライバである。
【0029】
制御部1750はさらに、記録ヘッド1に対して記録データの送信を行う。また、制御部に対しては、所要のセンサ群1800が接続されている。
【0030】
主電源部1900は制御部1750に接続されている。
【0031】
次に、本実施形態による記録装置において、記録シートが搬送路内に残った状態で主電源を切った状態からの、本発明の特徴である初期化処理における動作を説明する。図13に以下の初期化処理動作のフローチャートを示す。図10〜図12に記録シートが搬送路内に残った状態を模式的に示す。
【0032】
図9は搬送ローラ3、給紙搬送ローラ30、両面搬送ローラ32の配置を模式的に表したものである。図9において搬送ローラ3の排出搬送方向を向き301(正転)、引き込み搬送方向を向き302(逆転)、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32の矢印303で示す回転方向を順搬送方向(正転)、矢印304で示す回転方向を逆搬送方向(逆転)とする。
【0033】
搬送路内における記録シートの位置の例を以下に挙げる。
【0034】
図10に示すように本実施形態の記録装置で用いられる記録シートは搬送ローラ3から入口を経由して搬送路を通って両面搬送ローラ32に至る搬送経路の長さよりも長い。図10において、記録シートは搬送路内において搬送ローラ3とピンチローラ16、給紙搬送ローラ30とピンチローラ31および両面搬送ローラ32とピンチローラ33に挟持され、かつ、記録シート検出センサ305によって検出されている。この場合記録シートを排出するためには搬送ローラ3を矢印301の方向に、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を矢印303方向に回転させる。
【0035】
また、図11に示すように、記録シートは給紙搬送ローラ30から搬送路を通って出口を経由して搬送ローラ3に至る搬送経路の長さよりも長い。図11においても、記録シートは搬送路内において搬送ローラ3とピンチローラ16、給紙搬送ローラ30とピンチローラ31および両面搬送ローラ32とピンチローラ33に挟持され、かつ、記録シート検出センサ305によって検出されている。しかし図11の場合には、図10の場合と異なり、この場合記録シートを排出するためには搬送ローラ3を矢印301方向に、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を矢印304方向に回転させる必要がある。
【0036】
このような、記録シート検出センサ305のみでは搬送路内の記録シートの排出方法を選択できない場合において、本発明によれば、図13に示すような処理により、記録シートの適切な排出を行うことができる。
【0037】
図13のフローチャートを以下に説明する。
電源が投入されたときや、リセットボタンが押されたときの起動時にスタート(ステップS101)し、ステップS102において前回の終了が正常であったか否かを判断する。正常終了であった場合はフローを終了する(ステップS106)。
【0038】
前回の終了が正常に行われなかった場合、ステップS107に移行して搬送ローラ3を所定量正方向(矢印301方向)に回転させる。次にステップS108において搬送ローラ3の正回転による両面搬送ローラ32の回転を検知する。両面搬送ローラ32の回転が検知された場合、ステップS113において回転方向を判別する。両面搬送ローラエンコーダセンサ124が給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32の正転(矢印303方向)を検出した場合は、図10に示されるような状態にある。すなわち、記録シートは給紙搬送ローラ30とピンチローラ31に挟持されるとともに、給紙搬送ローラ30よりも下流側の部分が搬送ローラ3とピンチローラ16によって挟持されている。この場合はステップS116に移行し、搬送ローラモータ20と、給紙・回復系・搬送モータ46が正転するように制御し、搬送ローラ3を正方向回転(矢印301方向)、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を正方向回転(矢印303方向)させる。記録シートは搬送ローラ3から、駆動中の第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4へと渡されて装置外に排出されて初期化処理中の記録シートの排出動作フローチャートを終了する(ステップS117)。
【0039】
記録シートの長さや停止位置によっては、搬送ローラ3とピンチローラ16、給紙搬送ローラ30とピンチローラ31およびピンチローラ33のみによって挟持されている場合も同様の制御である。
【0040】
ここで、S107における搬送ローラ3の回転速度は、記録シートを介して給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を回転させることができる速度である。
【0041】
ステップS113において、両面搬送ローラエンコーダセンサ124が給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32の逆転(矢印304)を検出した場合は、記録シートは図11の状態にある。すなわち、記録シートは両面搬送ローラ32とピンチローラ33に挟持されるとともに、両面搬送ローラ32よりも上流側の部分が搬送ローラ3とピンチローラ16によって挟持されている。この場合ステップS114に移行し、搬送ローラ3が正転、給紙搬送ローラ20および両面搬送ローラ32が逆転するように搬送ローラモータ20を正転させ、給紙・回復系・搬送モータ46を逆転させる。記録シートは搬送ローラ3から、駆動中の第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4へと渡されて装置外に排出されて初期化処理中の記録シートの排出動作フローチャートを終了する(ステップS115)。記録シートの長さや停止位置によって記録シートが搬送ローラ3および両面搬送ローラ32と各ピンチローラのみによって挟持されている場合も同様である。また、記録シート検出センサ305による記録シートの検出の有無に関わらず同様に処理される。
【0042】
ステップS107において搬送ローラ3を所定回転量正転(矢印301、S107)させても、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32が回転しないとステップS108で判断した場合はステップS110に移行する。この場合は、図12に示されるように、記録シートは搬送ローラ3とピンチローラ16には挟持されておらず、両面搬送ローラ32とピンチローラ33および給紙搬送ローラ30とピンチローラ31に挟持されている。
【0043】
ステップS110においては、搬送ローラ3が正方向回転(矢印301方向)、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32が正方向回転(矢印303方向)するように、搬送ローラモータ20と、給紙・回復系・搬送モータ46が正転するように制御する。記録シートは搬送ローラ3から、駆動中の第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4へと渡されて装置外に排出されて初期化処理中の記録シートの排出動作フローチャートを終了する(ステップS111)。
【0044】
記録シートの長さや停止位置によって記録シートの挟持は、搬送ローラ3のみの場合、給紙搬送ローラ30のみの場合、両面搬送ローラ32のみの場合も同様である。また、記録シート検出センサ305による記録シートの検出の有無に関わらず同様に処理される。
【0045】
ここで、S107における搬送ローラ3の回転速度は、記録シートを介して給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を回転させることができる速度である。
【0046】
なお、本実施形態の記録シート検出センサ305を有しない場合においても、図13に示したフローチャートによる処理が適用できる。
【0047】
また、本実施形態における初期化処理は、不揮発性メモリであるEEPROM1726の情報から、前回の終了状態情報を得、正常終了だった場合には、排紙処理は行わない(S102、S106)。
【0048】
なお、両面搬送ローラコードホイール123には複数種類のパターンのマークが付与されており、両面搬送ローラエンコーダセンサ124による各パターンの検出順序によって両面搬送ローラ32の回転方向を判別することができる。
【0049】
本実施形態では、記録シート検出センサの数を減らし、低コストの記録装置を提供できる。
ユーザの手動によるジャム処理を最小限に抑えることができる。
【0050】
また、適切で搬送距離が最短となる記録シートの排出方向を自動的に選択することができ、記録シートならびに搬送ローラの損傷を最小限に抑えることができる。
【0051】
多数のセンサを用いて記録シートの位置を詳細に把握しなくても、搬送距離が最短となる記録シートの排出方向を自動的に選択することができる。
【符号の説明】
【0052】
3 搬送ローラ
27 給紙ローラ
30 給紙搬送ローラ
32 両面搬送ローラ
46 給紙・回復系・搬送モータ
123 両面搬送ローラコードホイール
124 両面搬送ローラエンコーダセンサ
382 外側両面ガイド
392 内側両面ガイド
1750 制御部
1800 センサ部
1900 主電源部
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体を搬送するシート搬送装置、およびシート搬送装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された記録装置においては、電源が投入されたときにセンサが記録紙を検知したときは排紙処理を行う。センサが記録紙を検知しない場合で、前回の記録が正常終了しているときは排紙処理を行わない。正常終了でないときは、所定量搬送装置を駆動し、センサが記録紙を検知したら排紙処理を行い、検知しない場合は排紙処理を行わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−106040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1では記録シートの排出方向は1方向しかないが、排出方向が複数考えられる場合、引用文献1の方法では適切な排出方向を判断することはできない。
【0005】
本発明は、残留した記録シートを適切なルートで排出することができる記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための構成は、シートを搬送方向に搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートを案内し、前記第1の搬送手段に導く搬送路と、前記搬送路においてシートを搬送する第2の搬送手段と、前記第2の搬送手段の回転方向を検出する回転方向検出手段と、起動時に、前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動し、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出したときに、前記第2の搬送手段を前記回転方向検出手段が検出した回転方向に回転するように駆動する制御手段と、を有するシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0007】
残留した記録シートを適切なルートで排出することができる記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態である本体断面図。
【図2】実施形態の本体斜視図。
【図3】実施形態の本体斜視図。
【図4】記録シート反転機構を示す断面図。
【図5】搬送ローラ、排紙ローラの駆動構成を示す左斜視図。
【図6】搬送ローラ、排紙ローラの駆動構成を示す右斜視図。
【図7】両面搬送ローラ、給紙搬送ローラの駆動構成を示す斜視図。
【図8】制御系の主要部を示す図。
【図9】記録装置の動作を説明するための図。
【図10】記録装置の動作を説明するための図。
【図11】記録装置の動作を説明するための図。
【図12】記録装置の動作を説明するための図。
【図13】実施形態の制御を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
まず、図1〜図7を用いて記録装置機構部を説明する。
印字部での記録ヘッド1を搭載したキャリッジユニットの構成について説明する。キャリッジ7は、記録シートの搬送方向に対して略直角方向に往復移動して記録シートに印字を行う。キャリッジ7には記録ヘッド1およびインクタンク6が搭載されており、インクタンク6は記録ヘッド1に、記録ヘッド1はキャリッジ7に位置決めされている。キャリッジ7の上部はキャリッジシャーシ12によって摺動可能にガイドされ、位置決めされている。キャリッジ7の下側は、キャリッジシャーシ12に固定されたキャリッジレール13によって摺動可能にガイドされ、位置決めされている。
【0011】
キャリッジ7は、キャリッジシャーシ12、キャリッジレール13に沿って記録シートの搬送方向に対して略直角方向に移動する。キャリッジ7はタイミングベルト14に連結され、キャリッジシャーシ12に取り付けられたキャリッジモータ15がタイミングベルト14を駆動することによってキャリッジは移動する。
【0012】
次に給紙部及び排紙部の構成について説明する。記録シートは、給紙部ユニット51に積載され、給紙ローラ27と分離ローラ28のニップ部で1枚ずつ分離搬送され、搬送ローラ3へと搬送される。搬送ローラ3には、ピンチローラ16が、不図示のばね部材を介してして加圧され、従動回転する。第1の搬送手段である搬送ローラ3は記録シートを搬送する各ローラの中で最も搬送力が大きく、記録装置の搬送精度を司っている。
【0013】
ピンチローラ16は、ピンチローラホルダ17に保持されている。給紙ローラ27によって給送された記録シートは、ピンチローラホルダ17と、紙ガイド40と、紙ガイドフラッパ41の紙ガイド部にガイドされ搬送ローラ3と、ピンチローラ16のニップ部に搬送される。
【0014】
搬送ローラ3によって記録シートはさらに所定の搬送方向に搬送され、印字部で記録シートを位置決め保持するプラテン2に保持され、第二排紙ローラ5と、第一排紙ローラ4へと搬送される。第二排紙ローラ5には、第二ピンチローラ(拍車)22が加圧され、搬送力を与えて従動回転する。同様に、第一排紙ローラ4には、第一ピンチローラ(拍車)21が加圧され、搬送力を与えて従動回転する。第一ピンチローラ(拍車)21と、第二ピンチローラ(拍車)22は、ピンチローラ(拍車)ホルダ23に保持されている。
【0015】
裏面の印字データがない場合、印字部で印字された記録シートは、排出手段である第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4により排紙部へ排出され印字動作を終了する。
【0016】
両面印字の搬送について図4を用いて説明する。印字部で第1の面である表面を印字された記録シートは、表面の印字が終了すると、搬送ローラ3、第一排紙ローラ4、第二排紙ローラ5を逆回転させ、記録シートを所定の搬送方向とは逆方向に搬送する。この逆回転動作に連動して、紙ガイドフラッパ41を上方に回動移動させ、逆側に搬送された記録シートを、紙ガイドフラッパ41の下方に案内する。搬送される記録シートは、外側両面ガイド382と内側両面ガイド392によって形成される搬送路であるシート反転搬送路に案内される。シート反転搬送路に案内された記録シートは両面搬送ローラ32と、ピンチローラ33のニップに挟持されて、第2両面搬送ローラ30とピンチローラ31へ搬送される。この後は、紙ガイド40、紙ガイドフラッパ41、ピンチローラホルダ17の紙ガイド部に案内され、搬送ローラ3へと搬送される。
【0017】
次に印字部に記録シートが搬送され、第2の面である裏面の印字が行われ、表裏の両面の印字が行われる。このような両面印字のための記録シート反転搬送路を搬送路とする。記録シート反転搬送路はガイドフラッパ41の下方の入口から入ったシートの表裏を反転し、紙ガイド40の下流端の出口までの環状の搬送経路である。また、シート反転搬送路において記録シートを搬送する両面搬送ローラ32、ピンチローラ33、第2両面搬送ローラ30、ピンチローラ31は第2の搬送手段を構成する。
【0018】
印字部で記録された記録シートは、第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4により排紙部へ排出され印字動作を終了する。
【0019】
次にフロント給紙部について説明する。フロント給紙カセット36に積載された記録シートは、フロント給紙ローラ34により、装置本体の前から奥側へと搬送される。フロント給紙ローラ34により搬送力が付与された記録シートは、フロント給紙分離ガイド37によって最上位の記録シートだけが分離されて搬送される。フロント給紙ローラ34により送り出された記録シートは、自重により回動自在に設置された両面フラッパ381を押し上げ、外側Uターンガイド38と、内側Uターンガイド39の紙ガイド部に案内される。記録シートは、給紙搬送ローラ30とピンチローラ31に挟持されてさらに搬送され、搬送ローラ紙ガイド40、紙ガイドフラッパ41、ピンチローラホルダ17の紙ガイド部に案内され、搬送ローラ3へと搬送される。このようなフロント給紙のための記録シート給紙搬送路を第二の搬送路とする。搬送路と第二の搬送路とは、両面フラッパ381以降の搬送路を共有している。
【0020】
本実施形態は給紙部を給紙部ユニット51とフロント給紙部とを有しているが、給紙部はフロント給紙部のみでも良い。
【0021】
次に、記録シート検出センサ305について説明する。記録シート検出センサ305は、搬送ローラ3とピンチローラ16とのニップ近傍で記録シート搬送方向の上流側に配設されている。記録シート検出センサ305は直接またはレバーなどを用い間接的に記録シートの有無を検出する。センサの種類はフォトインタラプタなどを用いるがこれに限らない。本実施形態においては、通過する記録シートの先端がばねで付勢された記録シート検出レバー306を回動させ、記録シート検出センサ305のフォトインタラプタの光路を遮蔽状態から開放することによって記録シートの有無を検出する。
【0022】
次に、搬送ローラ3、第一排紙ローラ4、第二排紙ローラ5の駆動構成について図3、図5、図6を用いて説明する。搬送ローラモータ20から、搬送駆動タイミングベルト19を介して、搬送ローラ3に固定された搬送ローラギア18に駆動が伝達される。次に、搬送ローラギア18から排紙駆動ギア26を介して、第一排紙ローラ4に固定された第一排紙ローラギア24に駆動が伝達される。第二排紙ローラ5へは、プラテン2上に配置された排紙アイドラギア(不図示)を介して、プラテン2上に配置された第二排紙ローラ5へと駆動が伝達される。搬送ローラ3と第一排紙ローラ4とには夫々にはローラの回転角度検出手段である搬送ローラコードホイール121、排紙ローラコードホイール122が設けられている。各々のコードホイールに対してそのマーキングを読み取る搬送ローラエンコーダセンサ116、排紙ローラエンコーダセンサ117が設けられている。
【0023】
次に、両面搬送ローラ32、給紙搬送ローラ30の駆動構成について図7を用いて説明する。給紙・回復系・搬送モータ46から、両面搬送ギア118を介して、両面搬送ローラ32に固定された両面搬送ローラギア119および給紙搬送ローラ30に固定された給紙搬送ローラギア120に駆動が伝達される。回転体である両面搬送ギア118の軸上には両面搬送ローラ32および給紙搬送ローラ30の搬送量を検出する為の両面搬送ローラコードホイール123が設けられている。両面搬送ローラコードホイール123のマーキングを読み取る両面搬送ローラエンコーダセンサ124が本体側に設けられている。両面搬送ローラコードホイール123と両面搬送ローラエンコーダセンサ124は回転方向検出手段を構成する。本実施形態において給紙搬送ローラ30と両面搬送ローラ32は同一駆動源であるが、これに限らない。また、記録シート反転搬送路における両面搬送ローラは単一でも複数でもよく、複数の場合に共通の駆動源によって駆動されていても個別の駆動源によって駆動されても良い。
【0024】
次に、記録ヘッドの吐出を維持安定させる回復ユニット50と、給紙、搬送、回復ユニットへの駆動を切換える駆動切換えユニット45について説明する。回復ユニット50は本体の右前部に配置され、記録ヘッド1の待機ポジションに相対する位置に配置されている。駆動切換えユニット45は、本体の右奥に配置され、給紙、搬送、回復ユニットは給紙・回復系・搬送モータ46より駆動を受ける。これらへの駆動の切換は、不図示の切換え手段で伝達の連結を変えることで駆動を切換える。
【0025】
次に、図8を参照し、上記構成の記録装置記録機構部の制御系主要部として制御手段としての制御部1750と主電源部1900の構成を説明する。
【0026】
図8において、1700はインタフェースであり、コンピュータ、デジタルカメラ、スキャナ等適宜の形態を有するホスト装置1000から送られてくるコマンドや画像データを含む記録信号を受信する。さらにインターフェース1700は、ホスト装置1000に対しては必要に応じ記録装置のステータス情報を送出する。
【0027】
1750は制御部であり、次の各部を有する。制御部1750において、1701はMPUであり、ROM1702に記憶された図13のような後述する処理手順に対応した制御プログラムや所要のデータに従ってプリンタ内の各部を制御する。1703は各種データを保存しておくDRAMである。1704は記録ヘッド1に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インタフェース1700、MPU1701およびDRAM1703間のデータ転送制御も行う。1726は所要のデータを記録装置の電源オフ時にも保存しておくためのEEPROM等の不揮発性メモリである。
【0028】
1705、1706および1707は、それぞれ、給紙・回復系・搬送モータ46、搬送ローラモータ20およびキャリッジモータ15を駆動するためのモータドライバである。
【0029】
制御部1750はさらに、記録ヘッド1に対して記録データの送信を行う。また、制御部に対しては、所要のセンサ群1800が接続されている。
【0030】
主電源部1900は制御部1750に接続されている。
【0031】
次に、本実施形態による記録装置において、記録シートが搬送路内に残った状態で主電源を切った状態からの、本発明の特徴である初期化処理における動作を説明する。図13に以下の初期化処理動作のフローチャートを示す。図10〜図12に記録シートが搬送路内に残った状態を模式的に示す。
【0032】
図9は搬送ローラ3、給紙搬送ローラ30、両面搬送ローラ32の配置を模式的に表したものである。図9において搬送ローラ3の排出搬送方向を向き301(正転)、引き込み搬送方向を向き302(逆転)、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32の矢印303で示す回転方向を順搬送方向(正転)、矢印304で示す回転方向を逆搬送方向(逆転)とする。
【0033】
搬送路内における記録シートの位置の例を以下に挙げる。
【0034】
図10に示すように本実施形態の記録装置で用いられる記録シートは搬送ローラ3から入口を経由して搬送路を通って両面搬送ローラ32に至る搬送経路の長さよりも長い。図10において、記録シートは搬送路内において搬送ローラ3とピンチローラ16、給紙搬送ローラ30とピンチローラ31および両面搬送ローラ32とピンチローラ33に挟持され、かつ、記録シート検出センサ305によって検出されている。この場合記録シートを排出するためには搬送ローラ3を矢印301の方向に、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を矢印303方向に回転させる。
【0035】
また、図11に示すように、記録シートは給紙搬送ローラ30から搬送路を通って出口を経由して搬送ローラ3に至る搬送経路の長さよりも長い。図11においても、記録シートは搬送路内において搬送ローラ3とピンチローラ16、給紙搬送ローラ30とピンチローラ31および両面搬送ローラ32とピンチローラ33に挟持され、かつ、記録シート検出センサ305によって検出されている。しかし図11の場合には、図10の場合と異なり、この場合記録シートを排出するためには搬送ローラ3を矢印301方向に、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を矢印304方向に回転させる必要がある。
【0036】
このような、記録シート検出センサ305のみでは搬送路内の記録シートの排出方法を選択できない場合において、本発明によれば、図13に示すような処理により、記録シートの適切な排出を行うことができる。
【0037】
図13のフローチャートを以下に説明する。
電源が投入されたときや、リセットボタンが押されたときの起動時にスタート(ステップS101)し、ステップS102において前回の終了が正常であったか否かを判断する。正常終了であった場合はフローを終了する(ステップS106)。
【0038】
前回の終了が正常に行われなかった場合、ステップS107に移行して搬送ローラ3を所定量正方向(矢印301方向)に回転させる。次にステップS108において搬送ローラ3の正回転による両面搬送ローラ32の回転を検知する。両面搬送ローラ32の回転が検知された場合、ステップS113において回転方向を判別する。両面搬送ローラエンコーダセンサ124が給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32の正転(矢印303方向)を検出した場合は、図10に示されるような状態にある。すなわち、記録シートは給紙搬送ローラ30とピンチローラ31に挟持されるとともに、給紙搬送ローラ30よりも下流側の部分が搬送ローラ3とピンチローラ16によって挟持されている。この場合はステップS116に移行し、搬送ローラモータ20と、給紙・回復系・搬送モータ46が正転するように制御し、搬送ローラ3を正方向回転(矢印301方向)、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を正方向回転(矢印303方向)させる。記録シートは搬送ローラ3から、駆動中の第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4へと渡されて装置外に排出されて初期化処理中の記録シートの排出動作フローチャートを終了する(ステップS117)。
【0039】
記録シートの長さや停止位置によっては、搬送ローラ3とピンチローラ16、給紙搬送ローラ30とピンチローラ31およびピンチローラ33のみによって挟持されている場合も同様の制御である。
【0040】
ここで、S107における搬送ローラ3の回転速度は、記録シートを介して給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を回転させることができる速度である。
【0041】
ステップS113において、両面搬送ローラエンコーダセンサ124が給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32の逆転(矢印304)を検出した場合は、記録シートは図11の状態にある。すなわち、記録シートは両面搬送ローラ32とピンチローラ33に挟持されるとともに、両面搬送ローラ32よりも上流側の部分が搬送ローラ3とピンチローラ16によって挟持されている。この場合ステップS114に移行し、搬送ローラ3が正転、給紙搬送ローラ20および両面搬送ローラ32が逆転するように搬送ローラモータ20を正転させ、給紙・回復系・搬送モータ46を逆転させる。記録シートは搬送ローラ3から、駆動中の第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4へと渡されて装置外に排出されて初期化処理中の記録シートの排出動作フローチャートを終了する(ステップS115)。記録シートの長さや停止位置によって記録シートが搬送ローラ3および両面搬送ローラ32と各ピンチローラのみによって挟持されている場合も同様である。また、記録シート検出センサ305による記録シートの検出の有無に関わらず同様に処理される。
【0042】
ステップS107において搬送ローラ3を所定回転量正転(矢印301、S107)させても、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32が回転しないとステップS108で判断した場合はステップS110に移行する。この場合は、図12に示されるように、記録シートは搬送ローラ3とピンチローラ16には挟持されておらず、両面搬送ローラ32とピンチローラ33および給紙搬送ローラ30とピンチローラ31に挟持されている。
【0043】
ステップS110においては、搬送ローラ3が正方向回転(矢印301方向)、給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32が正方向回転(矢印303方向)するように、搬送ローラモータ20と、給紙・回復系・搬送モータ46が正転するように制御する。記録シートは搬送ローラ3から、駆動中の第二排紙ローラ5、第一排紙ローラ4へと渡されて装置外に排出されて初期化処理中の記録シートの排出動作フローチャートを終了する(ステップS111)。
【0044】
記録シートの長さや停止位置によって記録シートの挟持は、搬送ローラ3のみの場合、給紙搬送ローラ30のみの場合、両面搬送ローラ32のみの場合も同様である。また、記録シート検出センサ305による記録シートの検出の有無に関わらず同様に処理される。
【0045】
ここで、S107における搬送ローラ3の回転速度は、記録シートを介して給紙搬送ローラ30および両面搬送ローラ32を回転させることができる速度である。
【0046】
なお、本実施形態の記録シート検出センサ305を有しない場合においても、図13に示したフローチャートによる処理が適用できる。
【0047】
また、本実施形態における初期化処理は、不揮発性メモリであるEEPROM1726の情報から、前回の終了状態情報を得、正常終了だった場合には、排紙処理は行わない(S102、S106)。
【0048】
なお、両面搬送ローラコードホイール123には複数種類のパターンのマークが付与されており、両面搬送ローラエンコーダセンサ124による各パターンの検出順序によって両面搬送ローラ32の回転方向を判別することができる。
【0049】
本実施形態では、記録シート検出センサの数を減らし、低コストの記録装置を提供できる。
ユーザの手動によるジャム処理を最小限に抑えることができる。
【0050】
また、適切で搬送距離が最短となる記録シートの排出方向を自動的に選択することができ、記録シートならびに搬送ローラの損傷を最小限に抑えることができる。
【0051】
多数のセンサを用いて記録シートの位置を詳細に把握しなくても、搬送距離が最短となる記録シートの排出方向を自動的に選択することができる。
【符号の説明】
【0052】
3 搬送ローラ
27 給紙ローラ
30 給紙搬送ローラ
32 両面搬送ローラ
46 給紙・回復系・搬送モータ
123 両面搬送ローラコードホイール
124 両面搬送ローラエンコーダセンサ
382 外側両面ガイド
392 内側両面ガイド
1750 制御部
1800 センサ部
1900 主電源部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送方向に搬送する第1の搬送手段と、
前記第1の搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートを案内し、前記第1の搬送手段に導く搬送路と、
前記搬送路においてシートを搬送する第2の搬送手段と、
前記第2の搬送手段の回転方向を検出する回転方向検出手段と、
起動時に、前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動し、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出したときに、前記第2の搬送手段を前記回転方向検出手段が検出した回転方向に回転するように駆動する制御手段と、
を有するシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、起動時に、前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動したときに、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出しない場合は、前記第2の搬送手段を所定の回転方向に駆動するように制御する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記搬送路は前記第1の搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートを受け入れる入口と、シートを前記第1の搬送手段に案内する出口を有する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、起動時に、シートを前記搬送方向に搬送するように前記第1の搬送手段を駆動したときに、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出しない場合は、シートを前記出口に向けて搬送する方向に前記第2の搬送手段を駆動するように制御する請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、起動時に前回に行われた制御が正常に終了していないときに、シートを前記搬送方向に搬送するように前記第1の搬送手段を駆動し、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出したときに、前記第2の搬送手段を前記回転方向検出手段が検出した回転方向に回転するように駆動する制御を行い、前回の制御が正常に終了しているときには前記制御を行わない請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段が同じシートを挟持している状態で電源か投入された場合に前記制御手段が前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動すると、前記第1の搬送手段によって搬送される前記シートによって駆動されていない前記第2の搬送手段が回転する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第1の搬送手段から前記入口を経由して前記搬送路を通って前記第2の搬送手段に至る搬送経路の長さは搬送されるシートよりも短い請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記第2の搬送手段から前記搬送路を通って前記出口を経由して前記第1の搬送手段に至る搬送経路の長さは搬送されるシートよりも短い請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記第2の搬送手段は、前記搬送路に沿って配置され、共通の駆動源によって駆動される複数の搬送ローラを有している請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記第1の搬送手段の前記搬送方向の下流側にシートを装置外に排出する排出手段が配置されている請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記回転方向検出手段は、駆動源の駆動を前記第2の搬送手段に伝達する回転体に設けられたコードホイールとエンコーダセンサを有している請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載のシート搬送装置と、前記第1の搬送手段によって搬送されるシートに記録を行う記録手段を有し、
第1の面に記録が行われ、前記搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートは前記第2の搬送手段によって前記搬送路を経由して表裏が反転されて再び前記第1の搬送手段に搬送され、前記記録手段によって前記シートの第2の面に記録が行われることを特徴とする記録装置。
【請求項1】
シートを搬送方向に搬送する第1の搬送手段と、
前記第1の搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートを案内し、前記第1の搬送手段に導く搬送路と、
前記搬送路においてシートを搬送する第2の搬送手段と、
前記第2の搬送手段の回転方向を検出する回転方向検出手段と、
起動時に、前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動し、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出したときに、前記第2の搬送手段を前記回転方向検出手段が検出した回転方向に回転するように駆動する制御手段と、
を有するシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、起動時に、前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動したときに、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出しない場合は、前記第2の搬送手段を所定の回転方向に駆動するように制御する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記搬送路は前記第1の搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートを受け入れる入口と、シートを前記第1の搬送手段に案内する出口を有する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、起動時に、シートを前記搬送方向に搬送するように前記第1の搬送手段を駆動したときに、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出しない場合は、シートを前記出口に向けて搬送する方向に前記第2の搬送手段を駆動するように制御する請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、起動時に前回に行われた制御が正常に終了していないときに、シートを前記搬送方向に搬送するように前記第1の搬送手段を駆動し、前記回転方向検出手段が前記第2の搬送手段の回転を検出したときに、前記第2の搬送手段を前記回転方向検出手段が検出した回転方向に回転するように駆動する制御を行い、前回の制御が正常に終了しているときには前記制御を行わない請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段が同じシートを挟持している状態で電源か投入された場合に前記制御手段が前記搬送方向にシートを搬送する方向に前記第1の搬送手段を駆動すると、前記第1の搬送手段によって搬送される前記シートによって駆動されていない前記第2の搬送手段が回転する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第1の搬送手段から前記入口を経由して前記搬送路を通って前記第2の搬送手段に至る搬送経路の長さは搬送されるシートよりも短い請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記第2の搬送手段から前記搬送路を通って前記出口を経由して前記第1の搬送手段に至る搬送経路の長さは搬送されるシートよりも短い請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記第2の搬送手段は、前記搬送路に沿って配置され、共通の駆動源によって駆動される複数の搬送ローラを有している請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記第1の搬送手段の前記搬送方向の下流側にシートを装置外に排出する排出手段が配置されている請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記回転方向検出手段は、駆動源の駆動を前記第2の搬送手段に伝達する回転体に設けられたコードホイールとエンコーダセンサを有している請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載のシート搬送装置と、前記第1の搬送手段によって搬送されるシートに記録を行う記録手段を有し、
第1の面に記録が行われ、前記搬送手段によって前記搬送方向とは逆の方向に搬送されたシートは前記第2の搬送手段によって前記搬送路を経由して表裏が反転されて再び前記第1の搬送手段に搬送され、前記記録手段によって前記シートの第2の面に記録が行われることを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−111284(P2011−111284A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269193(P2009−269193)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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